(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】指定装置、システム、指定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240903BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240903BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240903BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240903BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G03B21/00 D
G08B21/02
G08B25/00 510M
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2023040760
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2019004197の分割
【原出願日】2019-01-15
【審査請求日】2023-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】江連 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】大神 咲子
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-49793(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158353(WO,A1)
【文献】特開2015-17189(JP,A)
【文献】特表2016-510149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18 , 5/74
G03B 21/00
G08B 21/02 , 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置
と、に接続され、
前記装置にて受信された前記位置情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付きマーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成する領域認識部
と、
前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示する投影制御部と、
を備えた
投影像指定装置。
【請求項2】
前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作は、前記ユーザーが前記位置測定手段付マーカーを移動させて前記領域を囲う操作であ
り、
前記投影制御部は、前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記マーカーの軌跡によって指定された前記領域の投影を指示する、
請求項1の
投影像指定装置。
【請求項3】
前記領域データに基づいて前記領域に近づく侵入者又は侵入物を認識し、前記侵入者又は侵入物の動きを検出する監視部を備える、
請求項1又は2の
投影像指定装置。
【請求項4】
所定の範囲を投影可能な投影装置と、
前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置と、
前記装置にて受信された前記位置情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付マーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成する領域認識部
と、前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示する投影制御部と、を備えた
投影像指定装置と、
を含むシステム。
【請求項5】
所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置
と、に接続されたコンピュータが、
前記装置にて受信された情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付マーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成するステップ
と、
前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示するステップと、
を備えた
投影像指定方法。
【請求項6】
所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置
と、に接続されたコンピュータに、
前記装置にて受信された情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付マーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成する処理
と、
前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定装置、システム、指定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、映像自動監視システムの監視エリアの設定を行う装置が開示されている。同文献によると、この装置は、3点のマーカーを等間隔で監視エリアの一辺に設置し、これを監視カメラ20で撮影して、画像処理部12で検出することで、監視エリアを設定する。
【0003】
特許文献2には、操作が簡単であり、交通事故現場での計測作業を極力短時間にできるとともに、事故現場において現場見取図を容易に作成できるという位置計測作図装置が開示されている。同文献によると、この位置計測作図装置は、撮影手段で撮影した所望の位置の画像を表示する。そして、この位置計測作図装置は、その画像上で、所望の位置に設置されたマーカーの座標を検出することで、現場見取図を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-204007号公報
【文献】特開平2-281380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。プロジェクター装置に代表される投影装置を用いて、特定の形状の像を投影したいというニーズがある。例えば、部屋や通路にプロジェクターを設置して、任意の色の像を提示することで、注意喚起や空間の演出を行うことができる。また、端的には、建物内の通路に、センターラインや横断歩道の形状の像を投影することで、場内の交通を随時整理することが可能となる。
【0006】
本発明は、像の簡便な指定方法の提供に貢献できる指定装置、システム、指定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の視点によれば、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記投影装置の投影可能な範囲を撮影可能な撮影装置と、に接続され、前記撮影装置にて撮影された画像に基づいて、ユーザーによる図形の描画操作を認識する図形認識部と、前記投影装置に対して、前記図形の描画操作に基づいた図形の投影を指示する投影制御部と、を備えた投影像指定装置が提供される。
前記第1の視点の変形として、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置と、に接続され、前記装置にて受信された前記位置情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付きマーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成する領域認識部と、前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示する投影制御部と、を備えた投影像指定装置が提供される。
【0008】
第2の視点によれば、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記投影装置の投影可能な範囲を撮影可能な撮影装置と、前記撮影装置にて撮影された画像に基づいて、前記ユーザーによる図形の描画操作を認識する図形認識部と、前記投影装置に対して、前記図形の描画操作に基づいた図形の投影を指示する投影制御部と、を備えた投影像指定装置と、を含む図形投影システムが提供される。
前記第2の視点の変形として、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置と、前記装置にて受信された前記位置情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付マーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成する領域認識部と、前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示する投影制御部と、を備えた投影像指定装置と、
を含むシステムが提供される。
【0009】
第3の視点によれば、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記投影装置の投影可能な範囲を撮影可能な撮影装置と、に接続されたコンピュータが、前記撮影装置にて撮影された画像に基づいて、前記ユーザーによる図形の描画操作を認識するステップと、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる図形の描画操作に基づいた図形の投影を指示するステップと、を備えた投影像指定方法が提供される。本方法は、ユーザーから図形の描画操作を受け付けて、図形の投影を指示する投影像指定装置という、特定の機械に結びつけられている。
前記第3の視点の変形として、所定の範囲を投影可能な投影装置と、前記所定の範囲の3以上の位置測定手段付マーカーの各前記位置測定手段からの位置情報を受信可能な装置と、に接続されたコンピュータが、前記装置にて受信された情報に基づいて、ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作を認識して前記3以上の位置測定手段付マーカーのそれぞれの位置を特定して前記3以上の位置測定手段付マーカーによって区切られる領域に係る領域データを作成するステップと、前記領域データに基づいて、前記投影装置に対して、前記認識した前記ユーザーによる前記3以上の位置測定手段付マーカーの設置操作に基づいて作成された前記領域の投影を指示するステップと、
を備えた投影像指定方法が提供される。
【0010】
第4の視点によれば、上記した投影像指定装置の機能を実現するためのプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便に、像の指定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの構成を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の領域提示システムが保持する領域データの一例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態の領域提示システムの効果を説明するための図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図18】本発明の第4の実施形態の領域提示システムの動作を説明するための図である。
【
図19】本発明の領域提示システムを構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート又はインタフェースがあるが図示省略する。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A及びBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0014】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示すように、所定の範囲を投影可能な投影装置12と、前記投影装置12の投影可能な範囲を撮影可能な撮影装置11と、に接続された投影像指定装置20にて実現できる。この投影像指定装置20は、撮影装置11にて撮影された画像に基づいて、ユーザーによる図形の描画操作を認識する図形認識部21と、投影装置12に対して、前記図形の描画操作に基づいた図形の投影を指示する投影制御部22と、を備える。
【0015】
上記投影像指定装置20の動作について
図2~
図6を参照して説明する。まず、ユーザーUが
図2に示すように、投影装置12に投影させたい形状の頂点にマーカーMを配置する。ここでは、ユーザーは、3つのマーカーを用いて三角形を描画するものとして説明する。
【0016】
次に撮影装置11は、ユーザーが並べたマーカーMを含む領域を撮影する。投影像指定装置20の図形認識部21は、撮影装置11にて撮影された画像に基づいて、ユーザーによる図形の描画操作を認識する。
図3の例では、図形認識部21は、マーカーMによって構成された三角形を認識する。図形認識部21は、認識した内容を投影制御部22に渡す。
【0017】
次に、投影制御部22は、投影装置12に対して、前記図形の描画操作に基づいた三角形の投影を指示する。これにより、
図4に示すように、3つのマーカーMを頂点とする三角形TR1が投影されることになる。
【0018】
より望ましい形態において、前記投影像指定装置20は、ユーザーからマーカーMの移動による修正操作を受け付ける。例えば、
図5に示すように、ユーザーが右端のマーカーMを右側に動かしたものとする。
【0019】
投影像指定装置20の図形認識部21は、撮影装置11にて撮影された画像に基づいて、ユーザーによる図形の修正操作を認識する。最終的に、投影制御部22は、図形認識部21により認識された内容に基づいて
図6に示す三角形TR2を投影する。この三角形TR2は、右端のマーカーMを更に右側に動かしたことによって、
図4の三角形TR1よりも面積が広くなっている。
【0020】
なお、ユーザーからマーカーMの移動による修正操作を受け付ける期間を限定してもよい。例えば、投影後の一定期間だけ修正操作を受け付けるようにしてもよい。また、ユーザーから所定のジェスチャーや通信装置による修正要求操作を受け付けたタイミングで、図形認識部21に認識を行わせることでもよい。さらに、投影像指定装置20に備えられたボタンなどに、修正要求機能を割り当て、その操作(押下)により、マーカー移動の期間開始や期間終了を指定する構成も採用可能である。
【0021】
以上のように、本実施形態によれば、簡単な操作で投影装置12に、意図した形状の図形等を投影させることが可能となる。なお、
図2~
図6の例では、ユーザーが三角形の形状になるようにマーカーMを配置しているが、投影像指定装置20が認識可能な形状は三角形に限られない。例えば、n個のマーカーMを用いて表現されたn個の頂点を持つ多角形を認識させることもできる。また、2個のマーカーを用いて、任意の直線を認識し、投影させることもできる。さらに、マーカーMの種別(形、色)を変えることで、図形認識部21のその違いを認識させ、通常の多角形の角のみならず、アールの付いた角等を使い分けられるようにしてもよい。また、
図4~
図6の例では、マーカーの位置を基準に、マーカーを含む図形を認識するものとして説明したが、マーカーの位置と、認識する図形の関係は、別途ルールにて定めることができる。例えば、マーカーの内側を図形として認識してもよい。
【0022】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態の領域提示システムの構成を示す図である。
図7を参照すると、領域認識部101と、投影制御部102と、領域記憶部103と、監視部104と、投影部106と、撮影部107とを備えた構成が示されている。
【0023】
投影制御部102は、1台以上の投影装置によって構成された投影部106を用いて、領域記憶部103に登録された領域データを用いて領域の投影を行う。前記投影装置としてはDLP(登録商標)方式、LCD方式(透過型液晶方式)、LCoS方式(反射型液晶方式)などを用いたものを用いることができる。なお、DLPは、Digital Light Processingの略である。また、LCDは、Liquid Crystal Display、LCoSは、Liquid Crystal on Siliconの略である。また、投影制御部102は、上記した投影制御部22に相当する。
【0024】
もちろん、投影制御部102は、複数の投影装置によって構成された投影部106を制御して投影を行うものとしてもよい。
【0025】
撮影部107は、投影部106の投影可能領域をカバーする領域を撮影可能な1台以上のカメラなどによって構成される。撮影部107は、投影部106の出力座標とほぼ同一の座標にて被写体の位置を特定できるように、投影部106と近接して並列に配置されていることが好ましい。この撮影部107にて撮影された画像は、領域認識部101と、監視部104に入力される。なお、投影部106の投影可能領域と撮影部107の撮影領域(カバーする領域)は同じでなくてもよい。
【0026】
領域認識部101は、撮影部107にて撮影された画像に基づいて、ユーザーによる領域の設定操作を認識する。そして、領域認識部101は、前記ユーザーによって設定された領域の情報を領域記憶部103の領域データに追加又は反映する。従って、領域認識部101は、上記した図形認識部21に相当する。なお、撮影部107が複数設けられている場合、領域認識部101は、複数の撮影部107から画像を取得して、ユーザーによる領域の設定操作を認識することになる。
【0027】
領域記憶部103は、投影制御部102に投影させる領域のデータを保持する。
図8は、領域記憶部103が保持する領域データの一例を示す図である。
図8の例では、ID#1の領域は、(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)、(x5,y5)の5点の内側の領域を示している。同様に、ID#3の領域は、(x6,y6)、(x7,y7)、(x8,y8)の3点の内側の領域を示している。これらの座標としては、投影装置が一般的な投影用スクリーンに投影する際の座標と同じものを使用することができる。なお、これらの領域の表現形態はあくまで一例であり、例えば、これらの座標に代えて、各領域のノードとなる点の物理的な位置(緯度経度、必要に応じて高さ)を用いて領域を管理してもよい。
【0028】
監視部104は、撮影部107にて撮影された画像から、投影制御部102に投影された領域に近づく人、車両、ロボット、動物等(以下、これらを総称して「侵入者又は侵入物」という。)を認識し、その動きを検出する。そして、監視部104は、これらの「侵入者又は侵入物」の領域への侵入を検出したときに所定の警告動作や注意喚起動作を実施する。
【0029】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の領域提示システム100の動作を説明するための図である。領域提示システム100の撮影部107が撮影を開始した状態において、ユーザーが
図9の左図に示すように、クレーンの周囲に、マーカーとして用いるコーン(トラフィックコーン)を配置したものとする。
【0030】
領域提示システム100の領域認識部101は、撮影部107にて撮影された画像からコーンの位置を特定し、領域データを作成して領域記憶部103に登録する。ここでは、
図9の右図のように5つの座標が特定されたものとする。これにより、
図8の領域ID#1に相当する領域データが生成される。
【0031】
これにより、投影制御部102は、領域記憶部103から読みだした領域データに基づいて、
図10に示すように領域Z1を提示することが可能となる。以降、この領域Z1への侵入者を監視部104にて監視、警告することで、この領域Z1を危険領域として監視することが可能となる。
【0032】
上記した領域は2つ以上設定することも可能である。例えば、
図11の左図に示すように、ユーザーが危険領域の外側に、コーン(トラフィックコーン)を配置したものとする。
【0033】
領域提示システム100の領域認識部101は、
図11の右図に示すように、撮影部107にて撮影された画像から新たに追加されたコーンの位置を特定し、領域データを作成して領域記憶部103に登録する。これにより、
図8の領域ID#2に相当する領域データが生成される。
【0034】
これにより、投影制御部102は、領域記憶部103から読みだした領域データに基づいて、
図12に示すように領域Z2を提示することが可能となる。以降、この領域Z2への侵入者を監視部104にて監視する。例えば、この領域Z2への侵入者を検出したときに、警告ではなく、注意喚起動作を行わせることで、この領域Z2をグレーゾーンとして機能させることが可能となる。
【0035】
領域Z1、Z2を修正する場合、以下の2つの方法を採ることができる。その1つは、
図5、
図6に示したように、コーン(トラフィックコーン)を移動し、領域提示システム100の領域認識部101に再認識させる方法である。もう1つの方法は、すべてのコーン(トラフィックコーン)を再配置し、領域提示システム100の領域認識部101に再認識させる方法である。いずれの場合も投影制御部102によって投影された領域を見ながら領域の修正を行うことができるので、領域の修正作業を効率よく行うことができる。
【0036】
以上、説明したとおり、本実施形態の領域提示システム100によれば、投影装置に投影させる領域の設定を効率よく行うことが可能となる。その理由は、投影制御部102によって領域を提示しつつ、コーン(トラフィックコーン)を配置することで領域を設定できる簡便なユーザーインタフェースを提供したことにある。
【0037】
図13は、背景技術に示した撮影画像から点a2を指定する方法に対する本発明の優位性(効果)を説明するための図である。
図13の左図は、背景技術に示した撮影画像から、ポインタPを用いて点a2を指定している状態示す。しかしながら、この方法では、
図13の右図に示すように、カメラの位置から点a2と同一直線上にある点a3を選択したのかそうでないのかの判断が難しくなってしまう。一方、本発明によれば、
図3に示すように、実際に、マーカーを配置し、これをカメラで撮影し認識する構成を採っているので、意図した範囲を特定できないという問題が解消されることになる。
【0038】
なお、上記した実施形態では、コーン(トラフィックコーン)をカメラにて撮影することで領域を指定する例を挙げて説明したが、マーカーは、コーン(トラフィックコーン)に限定されない。領域認識部101による認識が好ましく行われるものであればよく、任意の形状の標識板や発光体等をマーカーとして利用することができる。また、領域認識部101がマーカーの認識に用いる装置はカメラに限定されない。例えば、マーカーとの距離と方位を特定可能な距離センサ等を用いて、マーカーの位置を特定してもよい。また例えば、マーカー自体にGPS(Global Positioning System)等の位置測定手段を持たせておき、その位置情報を受信する構成も採用可能である。この場合、領域提示システム100は、位置情報の受信手段を備えることになる。
【0039】
[第2の実施形態]
続いて、領域認識部101における領域の認識方法に変更を加えた第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成にて実現できるので、以下、その動作上の相違点を中心に説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態の領域提示システム100の動作を説明するための図である。領域提示システム100の撮影部107が撮影を開始した状態において、ユーザーが
図14の左図に示すように、コーンを移動させて、クレーンの周囲に、領域を描いたものとする。
【0040】
領域提示システム100の領域認識部101は、撮影部107にて撮影された画像からコーンの移動軌跡を特定し、この移動軌跡によって囲われた領域に対応する領域データを作成して領域記憶部103に登録する。例えば、ユーザーが第1の実施形態と同様の五角形を描くことで、第1の実施形態と同様に、5つの座標を特定させることができる。これにより、
図8の領域ID#1に相当する領域データが生成される。もちろん、ユーザーがコーンを移動し、フリーハンドで不定形の領域を描いてもよい。その場合は、マーカーの軌跡の座標を持つ領域データを作成して領域記憶部103に登録すればよい。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態によれば、1つのマーカーで領域を指定可能な構成を得ることができる。もちろん、本実施形態においても、投影制御部102によって投影された領域を見ながら領域の修正を行うことができるので、領域の修正作業を効率よく行うことができる。
【0042】
[第3の実施形態]
続いて、マーカーとして投影したマーカー(仮想マーカー)を用いるようにした第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成にて実現できるので、以下、その動作上の相違点を中心に説明する。
図15は、本発明の第3の実施形態の領域提示システム100の動作を説明するための図である。撮影部107が撮影を開始した状態において、ユーザーが所定のジェスチャーを行うと、
図15の左図に示すように、仮想マーカーが表示される。仮想マーカーの表示形態は、一度に複数の仮想マーカーを表示する形態であってもよいし、ユーザーのジェスチャーに応じて、ユーザーの指定位置に1つずつ仮想マーカーを表示する形態であってもよい。
【0043】
そして、領域提示システム100は、投影部106と撮影部107とを用いて、ユーザーの(第2の)ジェスチャーにより、これら仮想マーカーの位置修正インタフェースを提供する。例えば、領域提示システム100は、投影部106と撮影部107とを用いて、
図16に示すように、仮想マーカーのドラグ&ドロップ操作にて、仮想マーカーの移動を受け付ける。そして、最終的に、ユーザーが
図16の右図に示すように、点(x2,y2)を、点(x2a,y2a)に移動させた領域が特定されることになる。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態によれば、物理的なマーカーを用意しなくても、領域を指定可能な構成を得ることができる。もちろん、本実施形態においても、投影制御部102によって投影された領域を見ながら領域の修正を行うことができるので、領域の修正作業を効率よく行うことができる。また、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、仮想マーカーの移動軌跡を認識して領域を認識する方法も採用可能である。
【0045】
[第4の実施形態]
続いて、作成した領域の結合、分割をなしうるようにした第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成にて実現できるので、以下、その動作上の相違点を中心に説明する。
図17は、本発明の第4の実施形態の領域提示システム100の動作を説明するための図である。例えば、
図17に示すように、2つの危険領域Z3、Z4が作成済みであるものとする。その状態でユーザーが所定の領域結合操作を行うと、領域提示システム100は、
図17の右図に示すように、危険領域Z3、Z4を結合して危険領域Z5を作成する。
【0046】
図18は、本発明の第4の実施形態の領域提示システム100の別の動作を説明するための図である。例えば、
図18に示すように、危険領域Z5が作成済みであるものとする。その状態でユーザーが投影部106の前に立つと、ユーザーが陰になり、
図18に示すように危険領域Z5は2つに分割される。その状態で、ユーザーが所定のジェスチャーを行うと、領域提示システム100は、
図18の右図に示すように、危険領域Z5を、危険領域Z5-1、Z5-2に分割する。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態によれば、マーカーの移動を行わなくても、領域の形状を変更可能な構成を得ることができる。さらに、ユーザーの所定のジェスチャーにより、領域提示システム100が、四角形、三角形、円等の基本的な領域図形を提示するようにしてもよい。このようにすることで、これらの図形の結合と分割により、任意の形状の領域を作成する構成が得られる。
【0048】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した装置構成、各要素の構成、データの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0049】
上記した各実施形態では、本発明を領域提示システム100の領域の指定に用いた例を挙げて説明したが、同様の構成にて、投影により建物内のラインや模様等の任意の投影像を指定する用途に適用することができる。例えば、建物内のラインを投影する場合、領域提示システム100にマーカー等によって描かれた線を認識させて、投影すればよい。
【0050】
また、上記した第1~第4の実施形態に示した手順は、領域提示システム100として機能するコンピュータ(
図19の9000)に、領域提示システム100としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図19のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図19のCPU9010にて、領域認識プログラムや投影制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0051】
即ち、上記した各実施形態に示した領域提示システム100の各部(処理手段、機能)は、領域提示システム100に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0052】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による投影像指定装置参照)
[第2の形態]
上記した投影像指定装置が認識する前記ユーザーによる図形の描画操作は、
前記ユーザーによる3以上のマーカーの設置操作であり、
前記投影制御部は、前記3以上のマーカーによって区切られる領域を投影する構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記した投影像指定装置が認識する前記ユーザーによる図形の描画操作は、
前記ユーザーがマーカーを移動させて領域を囲う操作であり、
前記投影制御部は、前記マーカーの軌跡によって指定された領域を投影する構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記した投影像指定装置において、
前記マーカーとして、前記投影装置によって投影された仮想マーカーを用いる構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記した投影像指定装置において、
前記図形認識部は、前記ユーザーのジェスチャーによる、前記投影装置によって投影された仮想マーカーに対する操作を認識する構成を採ることができる。
[第6の形態]
上記した投影像指定装置において、
前記図形認識部は、前記ユーザーのジェスチャーとして、前記仮想マーカーの設置、前記仮想マーカーの移動、領域の切断又は領域の結合の少なくとも1つ以上を認識可能な構成を採ることができる。
[第7の形態]
上記した投影像指定装置において、
前記図形認識部は、前記投影された図形を参照したユーザーによる図形の修正操作を認識し、
前記投影制御部は、前記投影装置に対して、前記図形の修正操作を反映した図形の投影を指示する構成を採ることができる。
[第8の形態]
(上記第2の視点による図形投影システム参照)
[第9の形態]
(上記第3の視点による投影像指定方法参照)
[第10の形態]
(上記第4の視点によるプログラム参照)
なお、上記第8~第10の形態は、第1の形態と同様に、第2~第7の形態に展開することが可能である。
【0053】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
11 撮影装置
12 投影装置
20 投影像指定装置
21 図形認識部
22 投影制御部
100 領域提示システム
101 領域認識部
102 投影制御部
103 領域記憶部
104 監視部
106 投影部
107 撮影部
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
M マーカー
TR1、TR2 三角形
U ユーザー
Z1~Z5、Z5-1、Z5-2 領域