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特許7548628金融商品取引管理装置、金融商品取引管理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】金融商品取引管理装置、金融商品取引管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023188328
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2022161765の分割
【原出願日】2011-01-28
(65)【公開番号】P2023181483
(43)【公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
(72)【発明者】
【氏名】山本 久敏
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130002(JP,A)
【文献】特開2010-152814(JP,A)
【文献】特開2002-183446(JP,A)
【文献】特開2010-020501(JP,A)
【文献】特開2010-055323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0278237(US,A1)
【文献】国際公開第2010/024185(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/074217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の相場情報を取得する相場情報取得手段と、
一の種類の前記金融商品の取引の注文を行うための売買注文申込情報に基づいて生成された金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、
該注文情報生成手段が生成した前記注文情報の処理に基づいて前記注文を約定させる取引を行う約定情報生成手段と、
を備え、
前記注文情報生成手段は、
一の前記売買注文申込情報に基づいて生成された、前記相場価格が第一の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第一注文の前記注文情報としての第一注文情報を1又は複数生成すると共に、前記相場価格が第二の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第二注文の前記注文情報としての第二注文情報を1又は複数生成することを繰り返し、
前記約定情報生成手段は、
前記金融商品の相場価格が前記第一の価格になったときに、1又は複数の前記第一注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第一注文を約定させる取引を行い、
前記金融商品の相場価格が前記第二の価格になったときに、1又は複数の前記第二注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第二注文を約定させる取引を行うことを繰り返すことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項2】
前記注文情報は、未約定状態及び約定状態の何れであるかを決定する注文状態情報を備え、
前記約定情報生成手段は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文を約定させる際に、前記注文状態情報を前記未約定状態から前記約定状態に変換させることを特徴とする請求項1に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項3】
前記複数の注文情報群のうちの特定の注文情報群は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文よりも低い価格について売りの逆指値注文をする第三注文情報を備え、前記特定の注文情報群の他の前記注文情報群は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文よりも高い価格について買いの逆指値注文をする第四注文情報を備え、
前記第三注文情報に基づく前記逆指値注文又は前記第四注文情報に基づく前記逆指値注文が約定された場合、前記約定情報生成手段は、前記注文情報群を形成する約定されていない注文に係る前記注文情報を全てキャンセル処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項4】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置において行われる金融商品取引管理方法であって、
前記金融商品の相場情報を取得する相場情報取得手段において行われる相場情報取得手順と、
一の種類の前記金融商品の取引の注文を行うための売買注文申込情報に基づいて生成された金融商品の注文情報が生成される注文情報生成手順と、
該注文情報生成手順において生成された前記注文情報の処理に基づいて前記注文を約定させる取引を行わせる約定情報生成手順と、
を備え、
前記注文情報生成手順においては、
一の前記売買注文申込情報に基づいて生成された、前記相場価格が第一の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第一注文の前記注文情報としての第一注文情報を1又は複数生成させると共に、前記相場価格が第二の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第二注文の前記注文情報としての第二注文情報を1又は複数生成させることを繰り返し、
前記約定情報生成手順においては、
前記金融商品の相場価格が前記第一の価格になったときに、1又は複数の前記第一注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第一注文を約定させる取引を行わせ、
前記金融商品の相場価格が前記第二の価格になったときに、1又は複数の前記第二注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第二注文を約定させる取引を行わせることを繰り返させることを特徴とする金融商品取引管理方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替等、金融商品の取引を管理、支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
外国為替等の金融商品の取引方法として、注文時の価格で取引を行う成行注文の他に、指値注文が知られている。この指値注文とは、予め顧客から売買価格の指定を受ける注文形態であり、金融商品の取扱業者は対象となる金融商品が指定された価格まで下落したときに当該金融商品の買い注文を行い、指定された価格まで上昇したときに当該金融商品の売り注文を行う。従来、この金融商品の指値注文をコンピュータシステムを用いて行う発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方、金融商品の指値注文においては、イフダンオーダー(順位のある2つの注文を同時に出し、第一順位の注文が成立したら、自動的に第二順位の注文が有効になる注文形式のこと。本明細書において同じ。)が行われることも多い。そして、リスクを回避しつつイフダンオーダーを自動的に行うシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-99787号公報
【文献】特開2008-130002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引用文献1に記載の発明においては、イフダンオーダーの指値注文に対応できないという問題がある。また、引用文献2においては、相場価格が一の価格になったら第一順位の注文のみを約定させ、他の価格になったら第二順位の注文のみを約定させる構成となっているため、本来存在している収益機会を逸してしまうという問題が生ずる。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、金融商品の指値注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく、リスクを回避しつつ収益機会を十分に活用して合理的な取引を行える金融商品取引管理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の相場情報を取得する相場情報取得手段と、一の種類の前記金融商品の取引の注文を行うための売買注文申込情報に基づいて生成された金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、該注文情報生成手段が生成した前記注文情報の処理に基づいて前記注文を約定させる取引を行う約定情報生成手段と備え、前記注文情報生成手段は、一の前記売買注文申込情報に基づいて生成された、前記相場価格が第一の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第一注文の前記注文情報としての第一注文情報を1又は複数生成すると共に、前記相場価格が第二の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第二注文の前記注文情報としての第二注文情報を1又は複数生成することを繰り返し、前記約定情報生成手段は、前記金融商品の相場価格が前記第一の価格になったときに、1又は複数の前記第一注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第一注文を約定させる取引を行い、前記金融商品の相場価格が前記第二の価格になったときに、1又は複数の前記第二注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第二注文を約定させる取引を行うことを繰り返すことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記注文情報は、未約定状態及び約定状態の何れであるかを決定する注文状態情報を備え、前記約定情報生成手段は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文を約定させる際に、前記注文状態情報を前記未約定状態から前記約定状態に変換させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記複数の注文情報群のうちの特定の注文情報群は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文よりも低い価格について売りの逆指値注文をする第三注文情報を備え、前記特定の注文情報群の他の前記注文情報群は、前記第一注文情報に基づく前記第一注文及び前記第二注文情報に基づく前記第二注文よりも高い価格について買いの逆指値注文をする第四注文情報を備え、前記第三注文情報に基づく前記逆指値注文又は前記第四注文情報に基づく前記逆指値注文が約定された場合、前記約定情報生成手段は、前記注文情報群を形成する約定されていない注文に係る前記注文情報を全てキャンセル処理することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置において行われる金融商品取引管理方法であって、前記金融商品の相場情報を取得する相場情報取得手段において行われる相場情報取得手順と、一の種類の前記金融商品の取引の注文を行うための売買注文申込情報に基づいて生成された金融商品の注文情報が生成される注文情報生成手順と、該注文情報生成手順において生成された前記注文情報の処理に基づいて前記注文を約定させる取引を行わせる約定情報生成手順とを備え、前記注文情報生成手順においては、一の前記売買注文申込情報に基づいて生成された、前記相場価格が第一の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第一注文の前記注文情報としての第一注文情報を1又は複数生成させると共に、前記相場価格が第二の価格になったときに前記金融商品の1の取引を行う注文としての第二注文の前記注文情報としての第二注文情報を1又は複数生成させることを繰り返し、前記約定情報生成手順においては、前記金融商品の相場価格が前記第一の価格になったときに、1又は複数の前記第一注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第一注文を約定させる取引を行わせ、前記金融商品の相場価格が前記第二の価格になったときに、1又は複数の前記第二注文情報の処理に基づいて1又は複数の前記第二注文を約定させる取引を行わせることを繰り返させることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項4に記載の発明によれば、一の売買注文申込情報に基づいて生成された、相場価格が第一の価格になったときに金融商品の1の取引を行う注文としての第一注文の注文情報としての第一注文情報を1又は複数生成すると共に、相場価格が第二の価格になったときに金融商品の1の取引を行う注文としての第二注文の注文情報としての第二注文情報を1又は複数生成することを繰り返し、金融商品の相場価格が前記第一の価格になったときに、1又は複数の前記第一注文情報の処理に基づいて1又は複数の第一注文を約定させる取引を行い、金融商品の相場価格が第二の価格になったときに、1又は複数の第二注文情報の処理に基づいて1又は複数の第二注文を約定させる取引を行うことを繰り返すことにより、複数の注文情報群を逐次約定する際に第一注文情報及び第二注文情報が1又は複数ずつ約定されることになり、顧客は約定する際に一の注文情報だけが約定される場合よりも高い収益を得ることができる。これにより、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく、リスクを回避しつつ収益機会を十分に活用して合理的な取引を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第一注文情報と第二注文情報とを有する第一の注文情報群と第二の注文情報群とに基づいて注文を約定させて、イフダンオーダーによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせることを実現できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第一注文情報及び第二注文情報よりも低い価格について売りの逆指値注文をする第三注文情報、又は第一注文情報及び第二注文情報よりも高い価格について買いの逆指値注文をする第四注文情報が約定された場合、第一の注文情報群及び前記第二の注文情報群を形成する約定されていない注文情報を全てキャンセル処理することにより、相場価格が一定価格よりも上昇又は下落することで顧客が不利益を被る事態を防止し、顧客のリスクを回避することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、本発明の金融商品取引管理装置をプログラム化し、多様なコンピュータハードウェア上で実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この実施の形態の金融商品取引管理システムにおけるシステム構成図及び金融商品取引管理装置の機能ブロック図である。
図2A】同上金融商品取引管理装置の注文テーブルのフィールド定義の模式図である。
図2B】同上金融商品取引管理装置の顧客口座情報テーブルのフィールド定義の模式図である。
図2C】同上金融商品取引管理装置の通貨ペア注文条件テーブルのフィールド定義の模式図である。
図3】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文を成立させる際の処理手順を示すフローチャートである。
図4】同上金融商品取引管理装置における、第一注文情報、第二注文情報に基づく発注、約定の基本手順を示すフローチャートである。
図5】同上金融商品取引管理装置における、新たな注文情報群の注文情報の発注処理と、約定処理を示すフローチャートである。
図6】同上金融商品取引管理装置における、ストップロス価格における逆指値注文としての約定処理を示すフローチャートである。
図7】クライアント端末の表示部に表示される入力画面のイメージ図である。
図8】第一の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図である。
図9】第一の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図である。
図10】第一の約定手順のタイムチャートである。
図11】第二の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図である。
図12】第二の約定手順のタイムチャートである。
図13】第三の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図である。
図14】第三の約定手順のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[システム構成とデータ構造]
図1は、この実施の形態の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、n個(n≧1)のオンライン端末としてのクライアント端末2~2とを備えている。金融商品取引管理装置1とクライアント端末2~2は、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。
【0018】
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、金融商品の売買取引を管理する。金融商品取引管理装置1は、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。クライアント端末2,・・・,2は、金融商品の売買を行う個人又は法人(つまり金融商品取引管理システム1Aのユーザ)が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末2,・・・,2は、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部21,・・・,21、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり操作部21,・・・,21から入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部22,・・・,22を有している。なお、クライアント端末2,・・・,2、操作部21,・・・,21、表示部22,・・・,22は同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2、操作部21、表示部22とする。
【0019】
図1には図示しないが、金融商品取引管理装置1は少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されている。これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
【0020】
なお、金融商品取引管理装置1は、1のサーバコンピュータによって形成されていても、複数のネットワークコンピュータシステムによって形成されていてもよい。
【0021】
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部(約定情報生成手段、記録管理手段)14、口座情報生成部15、注文情報生成部(注文情報生成手段)16、データベース(DB)接続基底部17、価格情報受信部(相場情報取得手段)19を有している。
【0022】
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。
【0023】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0024】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。
【0025】
なお、この実施の形態の金融商品取引管理装置1は新規注文にのみイフダンオーダーを適用するものとし、システム構成の簡素化、並びに顧客にとって利用し易いシステムの形成を図っている。従って、注文情報生成部16は、新規注文のみの注文情報を生成するものとして構成されている。
【0026】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。更に、約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文情報をデータベース18に記録すると共にデータベース18における注文情報の記録状態を管理する。
【0027】
口座情報生成部15は、顧客の預金残高情報を生成し、当該預金残高情報を証拠金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)として管理する機能を有する。なお、口座情報生成部15において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、顧客の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
【0028】
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
【0029】
データベース18は、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。この実施の形態におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、注文テーブル(注文情報記録手段)181、顧客口座情報テーブル182、通貨ペア注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184が記録されている。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。注文テーブル181、顧客口座情報テーブル182、通貨ペア注文条件テーブル183の詳細については後述する。
【0030】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22にされる画像データを作成し、作成した画像データをクライアント端末2に送信する。
【0031】
価格情報受信部19は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の相場価格の情報(相場情報)を取得し、取得した情報に対し、データ処理部10にて用いるために必要な処理を行う。この実施の形態においては、価格情報受信部19は外為の相場価格の情報を取得する。
【0032】
また、金融商品取引管理装置1におけるデータ処理部10、データベース18、フロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部14、口座情報生成部15、注文情報生成部16、データベース接続基底部17、価格情報受信部19は、どのような形で構成されていてもよい。例えば、金融商品取引管理装置1が複数のサーバコンピュータからなるネットワークコンピュータシステムとして形成されている場合、各構成要件が複数のサーバコンピュータに分散して配設されていてもよい。また、それらのサーバコンピュータは、複数の業者、サーバ管理者がそれぞれ所有するコンピュータシステム(例えば金融証券取引所、他の金融商品取引管理業者、プロバイダ、ホスティングシステム提供業社等が所持又は管理するコンピュータシステム)に跨って配設されていてもよい。サーバコンピュータは、いわゆるクラウド・コンピュータシステムとして形成されてもよい。更に、データ処理部10、データベース18、フロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部14、口座情報生成部15、注文情報生成部16、データベース接続基底部17、価格情報受信部19のうち少なくとも一部の構成が、金融商品取引管理装置1ではなく、クライアント端末2に設けられていてもよい。
【0033】
図2Aは注文テーブル181のフィールド定義の模式図、図2Bは顧客口座情報テーブル182のフィールド定義の模式図、図2Cは通貨ペア注文条件テーブル183のフィールド定義の模式図である。これらの図に示す通り、各テーブル181,182,183は項目数分のフィールドを有する。各フィールドには、名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。
【0034】
上述の金融商品取引管理装置1においては、金融商品の指値取引が行われる際、一の予約注文によって、同一種類の複数の金融商品の指値注文を複数のイフダンオーダーによって行うことができる。
【0035】
[取引手順]
次に、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおけるイフダンオーダーによる指値注文の取引手順について説明する。
【0036】
[注文情報生成手順]
図3は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、イフダンオーダーによる指値注文の注文情報を生成させる際の処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて注文時の処理手順を説明する。
【0037】
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末2を用いて金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末2の表示部22に、図7に示す入力画面40を表示させる。顧客は、操作部21を用いて入力画面40に注文内容のデータを入力する。具体的には、入力画面40に対して下記(処理1)~(処理4)の処理が行われることになる。
【0038】
(処理1)
入力画面40には、取引可能な通貨ペアを選択するための売買希望入力ボタン41が設けられている。顧客は、売買希望入力ボタン41で売買を希望する通貨ペアを選択する。図7では、日本円と米国ドルの売買取引をするための「米国ドル(USD)/日本円(JPY)」が選択された状態が示されている。
【0039】
(処理2)
入力画面40には、指値注文の注文条件を選択するための注文条件選択ボタン43が設けられている。顧客は、この注文条件選択ボタン43において、この実施の形態の取引形態を示す「ダブルリピートイフダン」を選択する。なお、「リピートイフダン」とは、一の注文により金融商品取引管理装置1にイフダンオーダーを自動的に繰り返し行わせる取引態様のことである。
【0040】
すると、図7に示す通り、入力画面40には各種ボタンが設けられた状態となる。この各種ボタンは、後述する「第一注文情報」を形成する、新規注文及び決済注文のうち低価格側の注文価格である下方側注文価格(以下「下方側注文価格」と称する)を入力する下方側注文価格入力欄44a、後述する「第二注文情報」を形成する、新規注文及び決済注文のうち高価格側の注文価格である上方側注文価格(以下「上方側注文価格」と称する)を入力する上方側注文価格入力欄44b、一注文ごとの注文金額を入力する金額入力欄44c、「第一注文情報」と「第二注文情報」との有効期限を表示する有効期限表示欄44d、相場価格が暴落または暴騰した際に顧客が過大な不利益を被る事態を防止するために設定する逆指値注文としてのストップロス注文(以下「ストップロス注文」と称する)を選択するためのストップロス注文選択ボタン44e,44f、後述する「第三注文情報」を形成する、下方側注文価格及び上方側注文価格よりも低価格側のストップロス注文の価格(以下「第一ストップロス価格」と称する)を入力する第一ストップロス価格入力欄44g、後述する「第四注文情報」を形成する、下方側注文価格及び上方側注文価格よりも高価格側のストップロス注文の価格(以下「第二ストップロス価格」と称する)を入力する第二ストップロス価格入力欄44h、注文内容を確認するための注文確認ボタン45からなる。
【0041】
なお、下方側注文価格入力欄44a、及び上方側注文価格入力欄44bの何れか一方に代えて、第一注文、第二注文が一回ずつ約定された際の利益額を入力する利益金額指定欄を設ける構成であってもよい。この場合、下方側注文価格入力欄44a(又は上方側注文価格入力欄44b)に入力された第一注文の価格(又は第二注文の価格)と、金額入力欄44cに入力された金額に基づき、注文入力受付部12が上方側注文価格(又は下方側注文価格)を自動算出する。
【0042】
(処理3)
顧客は、これらの各入力欄に所望の数値を入力し、各選択ボタンにおいて所望の取引形態等を選択する。
【0043】
図7においては、下方側注文価格入力欄44aに80.00円、上方側注文価格入力欄44bに90.00円、金額入力欄44cに1万(通貨)が入力された状態が示されている。また、図7においては、ストップロス注文選択ボタン44e,44fにてストップロス注文が選択され、第一ストップロス価格入力欄44gに70.00円、第二ストップロス価格入力欄44hに100.00円が入力された状態を示している。
【0044】
(処理4)
各入力欄及び各選択欄に対する入力及び選択の完了後、顧客が入力画面40に設けられた注文確認ボタン45をクリックすると、入力画面40に入力されたデータは金融商品取引管理装置1に送信され、後述するステップS2の手順が行われる。なお、顧客が注文確認ボタン45に代えてリセットボタン46をクリックすると、上記の処理は取り消され、入力画面40は上記(処理1)が行われる前の状態に戻る。
【0045】
上記(処理4)において注文確認ボタン45をクリックされ、送信されたデータが金融商品取引管理装置1に供給されると、金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、入力された注文の内容を確認する。具体的には、有効期限表示欄44dにおいて選択された期限等を確認し、さらに、供給されたデータの注文価格について検査を行う(ステップS2)。具体的には、注文入力受付部12は、以下検査方法1及び検査方法2を行なう。
【0046】
(検査方法1)注文入力受付部12は、下方側注文価格入力欄44aに入力された下方側注文価格、及び上方側注文価格入力欄44bに入力された上方側注文価格と、価格情報受信部19が受信した現在の為替相場価格との対比を行う。下方側注文価格が現在の為替相場価格以下であり、上方側注文価格が現在の為替相場の価格以上である場合、注文入力受付部12は、後述する「第一の約定手順」によって取引手順を行う。下方側注文価格及び上方側注文価格がそれぞれ現在の為替相場価格より上である場合、注文入力受付部12は、後述する「第二の約定手順」によって取引手順を行う。上方側注文価格が現在の為替相場の価格以下である場合、注文入力受付部12は、後述する「第三の約定手順」によって取引手順を行う。
【0047】
(検査方法2)注文入力受付部12は、売買希望入力ボタン41において選択された通貨ペアの、下方側注文価格入力欄44aに入力された下方側価格と、上方側注文価格入力欄44bに入力された上方側注文価格との対比を行う。注文入力受付部12は、上方側注文価格が下方側注文価格よりも上である場合を適正価格と判断する。
【0048】
下方側注文価格及び上方側注文価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。具体的には、図2Bに示す“amnt”フィールド182aに記録された数値データが証拠金情報として取得される。
【0049】
注文入力受付部12は、取得された証拠金情報と顧客の注文総額(即ち、各入力欄44a,44b,44g,44hに入力された数値に基づいて算出される注文総額)とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する。注文情報生成部16は、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、後述する「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみイフダンオーダーによる指値注文を受け付けることができる。
【0050】
証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述以外のイフダンオーダーの各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
【0051】
イフダンオーダーの各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0052】
イフダンオーダーの各種条件を満たしている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述のイフダンオーダーによる指値注文に必要な条件を全て満たしているものと判定された場合、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、確認画面(図示せず)を表示させる。確認画面(図示せず)には、入力画面40にて顧客によって入力、選択された注文条件が列記されており、列記された内容で間違いない場合にクリックする承認ボタン(図示せず)が設けられている。
【0053】
顧客が操作部21の操作により承認ボタン(図示せず)をクリックすると、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16はステップS1にて入力されたデータに基づいて注文情報を生成する(ステップS8)。具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。一回のステップS8の手順で形成される複数の注文情報は、同一種類の複数の金融商品を二つの価格(即ち、下方側注文価格と上方側注文価格)で一定の商品数ごとに指値注文するための注文情報を少なくとも有する複数の注文情報(以下単に「注文情報群」と称する。)を複数回生成する。
【0054】
注文情報生成部16は、生成された注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。具体的には、図2Aに示す各フィールドに、該当する注文情報(即ち“備考”カラム181aの項目に対応するデータ)が記録される。例えば、ステップS8にて付与されたシーケンス番号は“ord_seq”フィールド181bに記録される。“cust_seq”フィールド181cには顧客ごとに一意に定められた顧客番号が、“style_id”フィールド181dには商品名が記録される。“ccy_pair_id”フィールド181eには通貨ペア毎に一意に定められたID番号が記録される。このID番号と通貨ペアとの組合わせはデータベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“ord_amnt”フィールド181fには注文情報毎の注文金額が記録される。“buy_sell_id”フィールド181gには売り注文、買い注文のいずれであるかを示すデータ、“ord_rate”フィールド181hには注文価格、“limit_time”フィールド181iには注文価格が記録される。“ord_cond”フィールド181jには注文種別がイフダンオーダーであることを示す“1”が記録される。“ifd_ord_seq”フィールド181kにはイフダンオーダーのシーケンス番号が記録される。“new_close”フィールド181mには新規注文、継続注文(決済注文)のいずれであるかを示すデータが記録される。以上の手順より、この実施の形態におけるイフダンオーダーによる指値注文の注文処理は完了する。
【0055】
[注文情報、注文情報群の生成]
注文処理が完了すると、注文情報生成部16はまず最初の二つの注文情報群(以下それぞれ「第一の注文情報群」「第二の注文情報群」と称する。)を生成する。図8の(a2)(b2)、図9の(c2)に、注文情報群、及びそれを構成する注文情報のイメージ図を示す。同図に示すように、注文テーブル181(図2A参照)のフィールドに入力画面40(図7参照)に入力されたデータが入力された状態で第一注文情報51A,51D、第二注文情報51B,51E、第三注文情報51C、第四注文情報51Fが構成される。第一注文情報51A、第二注文情報51B、第三注文情報51Cは第一の注文情報群50Aを構成し、第一注文情報51D、第二注文情報51E、第四注文情報51Fは第二の注文情報群50Bを構成する。
【0056】
図8及び図9に示す通り、それぞれの第一注文情報51A,51Dは、同一種類の金融商品を、一の価格(下方側注文価格)について買いの指値注文をするための情報として構成されている。それぞれの第二注文情報51B,51Eは、同一種類の金融商品を、他の価格(上方側注文価格)について売りの指値注文をするための情報として形成されている。第三注文情報51Cは、第一注文情報51A,51D及び第二注文情報51B,51Eよりも低価格側の第一ストップロス価格について売りの逆指値注文(ストップロス注文)をするための情報として構成されている。第四注文情報51Fは、第一注文情報51A,51D及び第二注文情報51B,51Eよりも高価格側の第二ストップロス価格について買いの逆指値注文(ストップロス注文)をするための情報として構成されている。
【0057】
[売買情報の設定]
注文情報の生成に際し、注文情報生成部16は、各注文情報51A~51Eの売買情報181gを設定する。この実施の形態においては、注文情報生成部16は、第一注文情報51A,51D、及び第四注文情報51Fの売買情報181gを「買い」、第二注文情報51B,51E、及び第三注文情報51Cの売買情報181gを「売り」として設定する。この売買情報181gは、各注文情報51A~51Fに基づいて約定処理が行われる際、約定情報生成部14が顧客口座情報テーブル182や金融商品の取引を行う金融機関のシステム(図示せず)等に対して行う売買処理の種類を決定するために用いられる。
【0058】
[指値注文、逆指値注文の設定]
注文情報の生成に際し、注文情報生成部16は、各注文情報51A~51Eの注文条件情報181jに指値注文、逆指値注文の何れかを示す情報を設定する。この実施の形態においては、入力画面40の下方側注文価格入力欄44a及び上方側注文価格入力欄44bに入力された価格(つまり下方側注文価格及び上方側注文価格)と生成時の相場価格(以下「成行注文価格」と称する。)との対比とに基づいてそれぞれ設定される。具体的には、以下(設定条件1)~(設定条件4)の通りに設定される。
(設定条件1)注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格よりも上であると共に上方側注文価格よりも下である場合、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181jは「指値」として設定される。第三注文情報51C、第四注文情報51Fの注文条件情報181jは「逆指値」として設定される。
(設定条件2)注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格よりも下である場合、第一注文情報51Aの注文条件情報181jは「逆指値」として、第一注文情報51D、及び第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181jは「指値」として設定される。第三注文情報51C、第四注文情報51Fの注文条件情報181jは「逆指値」として設定される。
(設定条件3)注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格よりも上である場合、第二注文情報51Eの注文条件情報181jは「逆指値」として、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51Bの注文条件情報181jは「指値」として設定される。第三注文情報51C、第四注文情報51Fの注文条件情報181jは「逆指値」として設定される。
(設定条件4)注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格又は上方側注文価格と等しい場合、例えば成行注文価格が下方側注文価格と等しい場合は各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fの生成はキャンセルされる。
【0059】
この実施の形態においては、各注文情報51A~51Fは、指値注文及び逆指値注文の何れであるかを決定する注文条件情報181jを備えることにより、最初に約定される第一注文の注文情報(例えば第一注文情報51A)が発注時の相場価格よりも高い買いの指値注文である場合や、最初に約定される第一注文の注文情報(例えば第二注文情報51E)が発注時の相場価格よりも低い売りの指値注文である場合にも、イフダンオーダーによる取引を実現できる(後述する(第二の約定手順)(第三の約定手順)参照)。
【0060】
なお、約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した各注文情報51A~51Fをデータベース18の注文テーブル181や顧客口座情報テーブル182に記録すると共に、以後の注文テーブル181における注文情報の記録状態を管理する。具体的には、注文テーブル181や顧客口座情報テーブル182と交信を行い、各注文情報51A~51Fの状態の変化に伴うデータの入力、修正、削除について指示を行う。
【0061】
[注文情報の表示]
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、生成された注文情報群や、それを構成する注文情報を表示させる。図8の(a1)(b1)図9の(c1)は、表示部22に画面表示された注文履歴画面のイメージ図である。同図においては、表示部22には、注文情報群50A、50B、及びそれらを構成する各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fの主要なフィールドが表示される。
【0062】
[注文の拒絶]
なお、ステップS2における検査の結果、第一注文情報51Aの注文価格、及び第二注文情報51Bの注文価格のうち少なくとも何れか一方が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、又は、ステップS5において証拠金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文を拒絶する(ステップS10)。
【0063】
[指値注文の約定処理(第一の約定手順)]
図4乃至図6は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、イフダンオーダーによる指値注文の注文処理が行われた後の約定処理の手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて手順を説明する。
【0064】
[注文情報発注、約定の基本手順]
図4は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、第一注文情報、第二注文情報に基づく発注、約定の基本手順を示すフローチャートである。同図に基づいて、基本手順を説明する。
【0065】
注文情報生成部16は、ステップS8で生成された第一の注文情報群50Aを構成する各注文情報51A,51B,51Cと、第二の注文情報群50Bを構成する各注文情報51D,51E,51Fとの発注処理を行う(ステップS21)。ここで、「発注処理」とは、各注文情報群50A,50Bを構成する第一注文情報51A,51D、第二注文情報51B,51Eの状態情報181oを「待機中」から「注文中」に変更することを言い、金融商品の取引上は、指値注文の発注として扱われる。金融商品取引管理装置1は、状態情報181oが「待機中」の注文情報(例えば図8の(a1)(a2)に示す第二注文情報51B)を生成後発注処理前の指値注文として、状態情報181oが「注文中」の注文情報(例えば図8の(a1)(a2)に示す第一注文情報51A)を発注処理後の指値注文として処理を行う。
【0066】
図8の(a1)(a2)に示す通り、ステップS21の手順が完了した状態で、新規・決済情報181mが「新規」を示す、第一の注文情報群50Aの第一注文情報51A及び第二の注文情報群50Bの第二注文情報51Eは、状態情報181oが「注文中」である。一方、新規・決済情報181mが「決済」を示す、その他の注文情報51B,51C,51D,51Fは状態情報181oが「待機中」である。
【0067】
この状態で、金融商品取引管理装置1の価格情報受信部19は為替相場の情報取得を継続する。そして、相場価格が第四注文価格以上(又は第三注文価格以下)にならず(ステップS22の“No”)、上方側注文価格以上(又は下方側注文価格以下)と等しくなったとき(ステップS23の“Yes”)、約定情報生成部14が当該第二注文情報(又は第一注文情報)の約定処理を行う(ステップS24)。ここで「約定処理」とは、任意の注文情報の状態情報181oを「注文中」から「成立済」に変更し、当該任意の金融商品の売買処理を行うことを言う。また、金融商品の取引上においてこの「約定処理」は、ポジションが取得され、指値注文が約定して特定の注文情報群(ここでは第二の注文情報群50B)に基づくイフダンオーダーにおいて第一順位の注文が成立したものとして扱われる。
【0068】
図10に、この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおける、指値注文に基づく約定を模式的に表したタイムチャートを示す。例えば、同図に示す通り、イフダンオーダーによって注文情報が生成(ステップS8)、発注(ステップS21)された時点t1での米国ドルの相場購入価格が1ドル85.00円であったとする。
【0069】
注文情報が発注された後に米国ドルの相場価格が上昇し、相場購入価格71が1ドル90.00円になった時点t2において(ステップS23の“Yes”)、約定情報生成部14は第二注文情報51Eを約定させる処理を行う(ステップS24)。即ち、図8に示す通り、約定処理が完了した状態で、第二の注文情報群50Bの第二注文情報51Eの状態情報181oを「注文中」から「成立済」に変換し、データベース18中の対応するデータを書き換える。具体的には、顧客口座情報テーブル182の“amnt”フィールド182aのデータが約定した金額分だけ増減される。
【0070】
時点t2’(事実上は時点t2と同時)において、注文情報生成部16は、同一注文情報群の第一注文情報と第二注文情報(例えば第二の注文情報群50Bの第一注文情報51Dと第二注文情報51E)がそれぞれ約定処理済か否か(即ち状態情報181oが「成立済」か否か)を確認する。それら注文情報が双方共約定処理済でない場合(ステップS25の“No”)、注文情報生成部16は、約定した注文情報と同じ注文情報群を構成する第一(又は第二)注文情報、及び第四(又は第三)注文情報の発注処理を行う(ステップS27)。即ち、図8の(b2)に示す通り、第二の注文情報群50Bの第一注文情報51Dの状態情報181oを「待機中」から「注文中」に変更する(ステップS27)。フロントページ配信部11は、図8の(b1)に示す通り、表示画面47において、注文情報51Eの約定と、第一注文情報51Dが「注文中」になったことを表示させる。これにより、第二の注文情報群50Bに基づくイフダンオーダーにおいて第二順位の注文が有効になったものとして扱われる。
【0071】
なお、同一の注文情報群を構成する第一注文情報及び第二注文情報のうち一方が約定処理されたのち他方が発注処理される際、その注文情報群を形成する第三注文情報51C又は第四注文情報51Fの状態情報181oも「待機中」から「注文中」に変更される(ステップS27)。即ち、図10の時点t2’において第二の注文情報群50Bの第一注文情報51Dが発注処理される際、図8の(b1)(b2に示す通り、第二の注文情報群50Bの第四注文情報51Fの状態情報181oは「待機中」から「注文中」に変更される。これにより、ポジションが取得された注文をストップロス注文により約定させることが可能になる。
【0072】
この後、ステップS22以降の処理に戻る。相場価格が第四注文価格以上(又は第三注文価格以下)にならず(ステップS22の“No”)、下方側注文価格と等しくなったとき(ステップS23の“Yes”)、約定情報生成部14が当該第一注文情報の約定処理を行う(ステップS24)。
【0073】
例えば、図10に示すように、時点t2’以降米国ドルの相場購入価格が下落し、時点t3において米国ドルの相場購入価格71が1ドル80.00円になると、約定情報生成部14は第一注文情報51A,51Dに基づく指値注文を約定させる処理を行う。これにより、第二の注文情報群50Bに基づくイフダンオーダーにおいて第二順位の注文が成立したものとして扱われる。また、第一の注文情報群50Aに基づくイフダンオーダーにおいて第一順位の注文が成立したものとして扱われる。
【0074】
同時に、約定情報生成部14は第四注文情報51Fをキャンセル処理する。ここで「キャンセル処理」とは、任意の注文情報の状態情報181oを「待機中」又は「注文中」から「無効」に変更することを言い、金融商品の取引上は、指値注文を約定させずにキャンセルするものとして扱われる。
【0075】
即ち、図8の(b1)に示すように、第一注文情報51A,51Dの状態情報181oを「注文中」の状態から「成立済」の状態に、第四注文情報51Fの状態情報181oを「注文中」の状態から「無効」の状態に変換する。そして、フロントページ配信部11は、図9の(c1)に示す通り、表示画面47において、第一注文情報51A,51Dが約定処理され、第四注文情報51Fが無効になったことを表示させる。
【0076】
そして、約定情報生成部14は、データベース18中の第一注文情報51A,51Dと第二注文情報51Eに対応するデータを書き換える。具体的には、図10の時点t3において、約定情報生成部14は、第二の注文情報群50Bを構成する各注文情報51D,51E,51Fを消去する。また、約定情報生成部14は、顧客口座情報テーブル182や金融商品の取引を行う金融機関のシステム(図示せず)等に対して売買処理を行う。これにより、顧客はt2時点の売り注文とt3時点の買い注文の差額分の利益を得られることになる。
【0077】
注文情報生成部16は、一の注文情報群を構成する各注文情報のうち、第一注文情報と第二注文情報の状態情報が「成立済」になった場合(ステップS25の“Yes”)、新たな注文情報群の注文情報の発注処理を行う(ステップS26)。この実施の形態では、図10の時点t3’に示す通り、新たな第二の注文情報群50Cの第一注文情報51D、第二注文情報51E、第四注文情報51Fの発注処理を行う。なお、ステップS26の手順の具体的内容は後述する。
【0078】
更に、注文情報生成部16は、他方の注文情報群の第一(又は第二)注文、第三(又は第四)注文情報の発注処理を行う(ステップS27)。この実施の形態では、図10の時点t3’において、第一の注文情報群50Aの第二注文情報51Bの発注処理を行う。これにより、第一の注文情報群50Aに基づくイフダンオーダーにおいて第二順位の注文が有効になったものとして扱われる。そして、再びステップS22以降の処理に戻る。
【0079】
即ち、この実施の形態においては、下方側注文価格、及び上方側注文価格において約定処理される際に、二つの注文情報の約定処理が行われる(例えば、図10の時点t2においては第二注文情報51E,51B、時点t3においては第一注文情報51D,51A)。即ち、相場価格71が下方側注文価格、上方側注文価格に到達する度に二つの指値注文(一方は新規の指値注文、他方は決済の指値注文)が約定する形で、イフダンオーダーが複数回繰り返し行われる。そのため、相場価格が下方側注文価格、上方側注文価格に到達する度に一つの指値注文が約定する形式でイフダンオーダーが行われる場合に比べ、顧客は短期間で多くの収益をあげることができる。
【0080】
また、この実施の形態においては、注文情報群50A,50Bを構成する第一注文情報51A,51D及び第二注文情報51B,51Eとを逆の順番に約定させることになる。例えばこの実施の形態においては、第二注文情報51E約定(時点t2)、第一注文情報51D約定(時点t3)という順序で約定し、第一注文情報51A約定(時点t3)、第二注文情報51B約定という順序で約定する、・・・というように、第一注文情報51A,51Dと第二注文情報51B,51Eとの約定処理が繰り返される。これにより、時点t3以降での約定処理においては、複数の注文情報群、つまり第一の注文情報群50A、第二の注文情報群50B)を逐次約定する際に一対の第一注文情報(つまり第一注文情報51Aと第一注文情報51D)及び一対の第二注文情報(つまり第二注文情報51Bと第二注文情報51E)が約定処理されることになる。そのため、顧客は約定処理が行われる際に一の注文情報だけの約定処理が行われる場合よりも高い収益を得ることができる。
【0081】
[新たな注文情報群の注文情報発注(ステップS26)]
図5は、ステップS26における、新たな注文情報群の注文情報の発注処理を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて手順の詳細を説明する。
【0082】
新たな注文情報群を発注する場合、口座情報生成部15は、再度顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。そして、注文入力受付部12は、再度、取得された証拠金情報と顧客の注文総額とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する(ステップS261)。証拠金の額が注文総額を下回る場合(ステップS262の“Yes”)には、注文総額以上になるまで処理は保留され、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS262の“No”)、注文情報生成部16はステップS26で消去した注文情報群について再度発注処理を行う(ステップS263)。この実施の形態では、図9に示す通り、時点t3’(事実上は時点t3と同時)において、第二の注文情報群50Bと同じ構成の第二の注文情報群50Cの発注処理を行う。また、注文情報生成部16は、第二注文情報51Eの注文情報の発注処理を行う(ステップS263)。注文情報生成部16は、ステップS9と同様に、発注処理が行われた第二の注文情報群50Cを注文テーブル181に記録する(ステップS264)。ステップS263において第二の注文情報群50Cの発注処理が行われると、フロントページ配信部11はクライアント端末2の表示部22に、第二の注文情報群50Cを表示させる。
【0083】
[ストップロス価格における逆指値注文の約定処理(キャンセル処理)(ステップS28)]
図6は、ステップS28における、ストップロス価格における逆指値注文の約定処理を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて手順の詳細を説明する。
【0084】
金融商品の相場価格が第四注文価格以上(又は第三注文価格以下)になった場合(ステップS22の“Yes”)、約定情報生成部14は第四注文情報51F(又は第三注文情報51C)の約定処理を行うと共に、未約定の注文情報を全てキャンセル処理する(ステップS281)。
【0085】
例えば、図10の時点t2’の後に相場価格が更に上昇し、同図の時点t4に示すように第四注文情報の価格である1ドル100円以上になった場合、約定情報生成部14は、第四注文情報51Fの約定処理を行う。これにより。時点t2で約定済みの第一注文情報51Dについて、1ドル100.00円の売りの「決済」の逆指値注文の約定を行うことになる。また、約定情報生成部14は、状態情報181oが「注文中」である第一注文情報51A,51D、状態情報181oが「待機」である第三注文情報51Cを、それぞれキャンセル処理する。更に、約定情報生成部14は、注文情報の将来に於ける発注も全てキャンセル処理する。即ち、約定情報生成部14は、未生成の注文情報群についてのデータを注文テーブル181から削除し、まだ生成されていない注文情報群の生成を停止させる処理を行う。
【0086】
なお、この実施の形態においては、相場価格が大きく下落し、金融商品の相場価格が第三注文価格(1ドル70.00円)以下になった場合も、約定情報生成部14は上記と同様のキャンセル処理を行う。
【0087】
ステップS281の処理の後、金融商品取引管理装置1は当該注文情報に基づく約定処理を全て終了する(ステップS282)。
【0088】
このように、第一注文情報51A及び第二注文情報51Bよりも低い価格について売りの逆指値注文をする第三注文情報51C、又は第一注文情報51D及び第二注文情報51Eよりも高い価格について売りの逆指値注文をする第四注文情報51Fについて約定処理が行われた場合、一組の注文情報群50A,50Bを形成する約定処理がされていない注文情報を全てキャンセル処理することにより、相場価格が一定価格よりも上昇又は下落することで顧客が不利益を被る事態を防止し、顧客のリスクを回避することができる。
【0089】
なお、上記の実施の形態においては、時点t2においてまず上方側注文価格となり、次に時点t3において下方側注文価格となった場合について説明したが、逆に、時点t2においてまず下方側注文価格となり、次に時点t3において上方側注文価格になった場合であっても、本実施形態の金融商品取引管理装置1にて同様の第一の約定手順が行われる。この場合、時点t2において第一の注文情報群50Aの第一注文情報51Aの約定処理が行われ(第一の注文情報群50Aの第一順位の注文が成立したものとして扱われる。)、時点t2’において第二の注文情報群50Bの第一の注文情報51Dの発注処理(第二の注文情報群50Bの第一順位の注文が有効になったものとして扱われる)、及び第一の注文情報群50Aの第二注文情報51Bの発注処理(第一の注文情報群50Aの第二順位の注文が有効になったものとして扱われる。)が行われる。時点t3において、第一の注文情報群50Aの第二注文情報51Bの約定処理、及び第二の注文情報群50Bの第二注文情報51Eの約定処理(第一の注文情報群50Aの第二順位の注文、及び第二の注文情報群50Bの第一順位の注文が約定したものとして扱われる)が行われる。時点t4において、第一の注文情報群(図示せず)の第一注文情報51Aの発注処理(第一の注文情報群の第一順位の注文が有効になったものとして扱われる)が行われる。
【0090】
[指値注文の約定処理(第二の約定手順)]
図11は、第二の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図、図12は第二の約定手順のタイムチャートを示す。
【0091】
図11に示す通り、第二の約定手順においては、最初にステップS21の手順が完了した状態で、第一の注文情報群50Aの第一注文情報51Aは、注文条件情報181jが「逆指値」になっている。即ち、この第一注文情報51Aは、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、下方側注文価格について買いの新規逆指値注文をするための情報として構成されている。それ以外は第一の約定手順と同じである。
【0092】
第二の約定手順においても、第一の約定手順と同様に処理が行われる。但し、図12に示す通り、時点t2において、第一注文情報51Aに基づいて、逆指値注文の約定処理が行われる。なお、2回目以降に発注される第一注文情報(例えば図12にて、時点t3’において発注される第一注文情報51A)は、第一の約定手順と同様の買いの指値注文としての注文情報である。
【0093】
第二の指値注文の約定処理により、第一注文情報及び第二注文情報が発注時の金融商品の相場価格よりも上の価格である場合において、イフダンオーダーによる取引でリスクを回避しつつ収益機会を十分に活用して合理的な取引を自動的に行うことができる。
【0094】
[指値注文の約定処理(第三の約定手順)]
図13は、第三の約定手順において、クライアント端末の表示部に表示される注文履歴画面のイメージ図、及び各注文情報のデータ構造を示すイメージ図、図14は第三の約定手順のタイムチャートを示す。
【0095】
図13に示す通り、第三の約定手順においては、最初にステップS21の手順が完了した状態で、第二の注文情報群50Bの第二注文情報51Eは、注文条件情報181jが「逆指値」になっている。即ち、この第二注文情報51Eは、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、上方側注文価格について売りの新規逆指値注文をするための情報として構成されている。それ以外は第一の約定手順と同じである。
【0096】
第三の約定手順においても、第一の約定手順と同様に処理が行われる。但し、図14に示す通り、時点t2において、第二注文情報51Eに基づいて、逆指値注文の約定処理が行われる。なお、2回目以降に発注される第二注文情報(例えば図14にて、時点t3’において発注される第二注文情報51E)は、第一の約定手順と同様の売りの指値注文としての注文情報である。
【0097】
第三の指値注文の約定処理により、第一注文情報及び第二注文情報が発注時の金融商品の相場価格よりも下の価格である場合において、イフダンオーダーによる取引でリスクを回避しつつ収益機会を十分に活用して合理的な取引を自動的に行うことができる。これにより、相場の状況等に即した多様な取引に本発明を適用し、顧客にとって利便性の高いシステムを実現できる。
【0098】
[注文情報のエラー処理と注文情報のキャンセル処理]
なお、この実施の形態の金融商品取引管理装置1は、ステップS1~S9の手順により各注文情報51A~51Fが生成された後、クライアント端末2から各注文情報51A~51Fの価格及び金額の変更の要求があった場合、当該要求が不正要求であるものとして入力エラー扱いで処理する。これにより、価格や金額の頻繁な要求で金融商品の売買元である銀行側の業務が過大になることを防止できる。
【0099】
一方、クライアント端末2において表示部22に表示された注文キャンセルボタン(図示せず)がクリックされて、一度成立したイフダンオーダーのキャンセル要求があった場合、金融商品取引管理装置1の約定情報生成部14は、キャンセル要求のあったイフダンオーダーに含まれる注文情報群を抽出し、この注文情報群のうち約定未成立の注文情報を全てキャンセルされたものとして処理する。キャンセルされた注文情報群のデータや注文情報のデータは、注文テーブル181から削除される。
【0100】
以上示した通り、この実施の形態においては、注文情報を約定させる際に、状態情報181oを発注後未約定状態を示す「注文中」から約定状態を示す「成立済」に変換することで、注文情報51A~51Fごとの約定状態、即ち約定の有無を記録できる。また、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を一の価格について指値注文する注文情報としての第一注文情報51A,51Dと、金融商品を他の価格についてそれぞれ指値注文する注文情報としての第二注文情報51B,51Eとを備える注文情報群50A,50Bを複数生成することで、一の注文手続きに基づいて、コンピュータシステム上でイフダンオーダーによる取引を自動的に複数回繰り返して行わせることを実現できる。これにより、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく、リスクを回避しつつ収益機会を十分に活用して合理的な取引を行うことができる。
【0101】
なお、上記実施の形態は、以下に示す(変形例1)乃至(変形例9)のように実施することもできる。
【0102】
(変形例1)
上記実施の形態においては、第一注文情報51A,51Dと第二注文情報51B,51Eの約定処理の繰り返しを事実上無制限に行える構成としたが、入力画面40にリピート回数選択欄を設け、リピート回数選択欄に入力された回数分、イフダン注文を繰り返す構成としてもよい。この場合、各注文情報51A~51Fが、繰り返し回数を記録する情報を備える構成となる。
【0103】
(変形例2)
記実施の形態においては、入力画面40に第一ストップロス価格入力欄44g、第二ストップロス価格入力欄44hを設け、第三注文情報51C及び第四注文情報51Fをストップロス価格を設定するための注文情報として設定する構成とした。しかしこれに代えて、入力画面にこれらの価格入力欄44g、44hの少なくとも何れか一方を設けず、第三注文情報51C及び第四注文情報51Fの少なくとも何れか一方を設定しない構成としてもよい。
【0104】
(変形例3)
上記実施の形態においては、更に、入力画面40にトレール幅入力欄を設け、第一注文情報51A,51D及び第二注文情報51B,51Eの属性情報としてトレール幅情報を設け、相場価格がトレール幅情報以上に上昇又は下落した際に、各注文情報51A~51Fの注文価格情報181hをトレール幅情報の価格分上昇又は下落させる構成としてもよい。
【0105】
(変形例4)
上記実施の形態においては、入力画面40に下方側注文価格入力欄44a、下方側注文価格入力欄44bを設け、各価格入力欄44a,44bに入力された価格によって下方側注文価格と上方側注文価格を設定する構成とした。しかしこれに代えて、第一注文情報を注文情報生成(ステップS8)時の成行注文価格と同じ価格として設定し、上方側注文価格を入力画面から入力された情報(例えば上方側注文価格欄に入力された価格や、利益額入力欄に入力された一回のイフダン注文ごとの利益額)に基づいて設定し、イフダンオーダーによる指値注文が行われる構成としてもよい。
【0106】
(変形例5)
上記実施の形態においては、(設定条件1)において、成行注文価格が下方側注文価格よりも上であると共に上方側注文価格よりも下である場合、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181jは「指値」として設定され、(設定条件4)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格又は上方側注文価格と等しい場合、各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fの生成はキャンセルされる構成とした。しかし、この構成に代えて、(設定条件1)において、成行注文価格が下方側注文価格以上であると共に上方側注文価格以下である場合、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181jは「指値」として設定され、(設定条件4)が存在しない構成としてもよい。具体的には、例えば成行注文価格が下方側注文価格と等しい場合、注文情報生成部16は、第一注文情報51Aの注文条件情報181mを成行注文である「成行」として設定し、第一注文情報51D、第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181mを「指値」として、第三注文情報51C、第四注文情報51Fを「逆指値」として設定する構成が考えられる。
【0107】
(変形例6)
また、上記実施の形態においては、(設定条件2)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格よりも下である場合、第一注文情報51Aの注文条件情報181jは「逆指値」として設定され、(設定条件4)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格又は上方側注文価格と等しい場合、各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fの生成はキャンセルされる構成とした。しかしこの構成に代えて、(設定条件2)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格以下である場合、第一注文情報51Aの注文条件情報181jは「逆指値」として設定され、(設定条件4)が存在しない構成としてもよい。
【0108】
(変形例7)
また、上記実施の形態においては、(設定条件3)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格よりも上である場合、第二注文情報51Eの注文条件情報181jは「逆指値」として設定され、(設定条件4)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格又は上方側注文価格と等しい場合、各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fの生成はキャンセルされる構成とした。しかし、この構成に代えて、(設定条件3)において、注文情報の生成時、成行注文価格が下方側注文価格及び上方側注文価格以上である場合、第一注文情報51Aの注文条件情報181jは「逆指値」として設定され、(設定条件4)が存在しない構成としてもよい。
【0109】
(変形例8)
上記実施の形態及び(変形例1)乃至(変形例7)においては、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eのうち一方又は双方の注文条件情報181j(図8図9参照)は「指値」又は「逆指値」とし、それらを指値注文又は逆指値注文として機能させる構成とした。しかし、この構成に代えて、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eの注文条件情報181jを成行注文である「成行」として設定しつつ、イフダンオーダーと同様に機能させる構成としてもよい。具体的には、約定情報生成部14は、図4に示すフローチャート中、第一注文情報51A,51D及び第二注文情報51B,51Eの発注(ステップS21)の手順を、ステップS23の手順とステップS24の手順との間において行う。
【0110】
即ち、(変形例8)において、価格情報受信部19が受信した現在の為替相場価格が下方側注文価格又は上方側注文価格と一致すると(ステップS23の“Yes”)、約定情報生成部14は、当該注文価格に対応する第一注文情報51A,51D又は第二注文情報51B,51Eを発注し(ステップS21)、約定させる(ステップS24)。なお、(変形例8)においても、上記実施の形態及び(変形例1)乃至(変形例7)と同様に、各注文情報51A,51B,51C,51D,51E,51Fは新規・決済情報181mを有する(図8図9参照)。このため、第一注文情報51A,51D、及び第二注文情報51B,51Eが成行注文として設定されていても、イフダンオーダーと同様の機能が実現できる。
【0111】
更に、(変形例8)において、第三注文情報51C及び第四注文情報51Fの注文条件情報181jを「成行」として設定しつつ、ストップロス注文と同様に機能させる構成としてもよい。具体的には、約定情報生成部14は、図4に示すフローチャート中、第三注文情報51C及び第四注文情報51Fの発注(ステップS21)の手順をステップS22の手順とステップS28の手順との間にて行う。即ち、価格情報受信部19が受信した現在の為替相場価格が第三注文価格又は第四注文価格と一致すると(ステップS22の“Yes”)、約定情報生成部14は、当該注文価格に対応する第三注文情報51C又は第四注文情報51Fを発注し(ステップS21)、キャンセル処理を行う(ステップS28)。
【0112】
なお(変形例8)においては、図4に示すステップS25、ステップS26、ステップS27の処理は行われない。即ち、(変形例8)において、ステップS24の処理が終了した後は、ステップS22に戻り、以降の処理が繰り返される。この場合、ステップS24の処理の後ステップS22の処理が行われる前の段階で、証拠金のチェック処理(ステップS261,ステップS262と同様の処理)が行われてもよい。
【0113】
(変形例9)
上記実施の形態及び各変形例の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱うものとしたが、これに限定されず、他の金融商品、例えば株式、債券を取扱う金融商品取引管理システムにおいても本発明を適用できる。
【0114】
上記実施の形態及び各変形例は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態及び変形例に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0115】
1A・・・金融商品取引管理システム
1・・・金融商品取引管理装置
2、2~2・・・クライアント端末
12・・・注文入力受付部(注文入力受付手段)
14・・・約定情報生成部(約定情報生成手段、記録管理手段)
16・・・注文情報生成部(注文情報生成手段)
19・・・価格情報受信部(相場情報取得手段)
50A,50B,50C,50D,50E・・・注文情報群
51A,51D・・・第一注文情報
51B,51E・・・第二注文情報
51C・・・第三注文情報
51D・・・第四注文情報
181・・・注文テーブル(注文情報記録手段)
181o・・・状態情報(注文状態情報)
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14