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特許7548639尿または便失禁の処置における使用のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】尿または便失禁の処置における使用のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/04 20060101AFI20240903BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61L31/04 120
A61L31/14 300
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2023556961
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 FI2022050054
(87)【国際公開番号】W WO2022195158
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】20217052
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510063878
【氏名又は名称】アールト・ユニバーシティ・ファウンデイション・エスアール
【氏名又は名称原語表記】Aalto University Foundation sr
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】クーラ,ヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ラウッシ-レフト,エイヤ
(72)【発明者】
【氏名】ロハス,オルランド
(72)【発明者】
【氏名】アジダリ,ルビナ
(72)【発明者】
【氏名】ミッコラ,トミ
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517478(JP,A)
【文献】特表2022-522997(JP,A)
【文献】国際公開第2021/245324(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0102426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿または便失禁の処置において、哺乳類の尿道壁の内側または哺乳類の直腸壁の内側にそれぞれ注射するように構成されている充填剤として使用するための組成物であって、該組成物が、ナノ構造セルロース系材料を含み、
ナノ構造セルロース系材料が、パルプ化プロセスにより製造された未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含む、組成物。
【請求項2】
ナノ構造セルロース系材料が、漂白した未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ナノ構造セルロース系材料が、架橋ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
架橋ナノ構造セルロース系材料が、金属イオンによってイオン的に架橋したナノ構造セルロース系材料である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ナノ構造セルロース系材料が、幅平均繊維幅が10~100nmの範囲であるセルロース系繊維を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
幅平均繊維幅が、20~50nmの範囲である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ナノ構造セルロース系材料が、長さ平均繊維長が少なくとも100μmであるセルロース系繊維を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
長さ平均繊維長が、100~1000μmの範囲である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ナノ構造セルロース系材料が、長さ対幅のアスペクト比が少なくとも2000であるセルロース系繊維を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
長さ対幅のアスペクト比が、少なくとも10000である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
室温またはヒトの体温で、注射用水性ゲルの形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、0.5~2.0重量%のナノ構造セルロース系材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、少なくとも95重量%の水を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、少なくとも99重量%の水を含む、請求項13の組成物。
【請求項15】
組成物が、1つ以上の活性物質または生細胞を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
活性物質が、組織成長促進物質である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、せん断減粘性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ナノ構造セルロース系材料が、セルロース系繊維の表面に荷電官能基を導入するかまたは付着させることにより修飾されて、セルロース系繊維の親水性または疎水性が高められている、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ナノ構造セルロース系材料が修飾されて、哺乳類の組織への組成物の注入中の、組成物の凝集が防止または低減されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
哺乳類の組織が、哺乳類の尿道壁の内側である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
腹圧性尿失禁(SUI)、腹圧性優勢混合型尿失禁(MUI)または便失禁の処置における使用のための、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
腹圧性尿失禁(SUI)の処置における使用のための、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
哺乳類の尿道壁の内側に注入するように構成されている充填剤として、腹圧性尿失禁(SUI)の処置において使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
哺乳類の尿道壁の内側に注入して、括約筋の閉鎖を改善するように構成されている充填剤として、腹圧性尿失禁(SUI)の処置において使用するための、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
下記工程:
- セルロース系材料を提供する工程;
- セルロース系材料を剥離して、ナノフィブリル化セルロースを得る工程;
- 得られたナノフィブリル化セルロースから水性組成物を製造する工程であって、組成物が、少なくとも2重量%のナノフィブリル化セルロースおよび少なくとも95重量%の水を含む、工程
を含む方法により得られる、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
セルロース系材料の剥離が、セルロースの細胞壁の剥離である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
剥離工程が、高圧マイクロフルイダイザーにより実施される、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
剥離工程が、高圧マイクロフルイダイザーにより、少なくとも1400barの圧力で実施される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
セルロース系材料を精製する工程をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
ナノ構造セルロース系材料の表面の少なくとも一部、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-l-オキシ(TEMPO)媒介酸化によって修飾され、より高い親水性にされて、カルボキシル基がナノ構造セルロース系材料の骨格に導入されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
ナノ構造セルロース系材料が、ナノフィブリル化セルロース(NFC)を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
哺乳類における尿失禁を処置するための組成物であって、
ゲル形態の組成物哺乳類の尿道壁に注入されて、粘膜下クッションを尿道壁の内側に形成する、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物
【請求項33】
腹圧性尿失禁を処置するための、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
哺乳類が、ヒトである、請求項32または33に記載の組成物。
【請求項35】
哺乳類における便失禁を処置するための組成物であって、
ゲル形態の組成物哺乳類の直腸壁に注入されて、粘膜下クッションを直腸壁の内側に形成する、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物
【請求項36】
哺乳類が、ヒトである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
クッションが、該壁において柔らかいかまたは柔らかいままである、請求項31~36のいずれか一項に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、尿失禁の処置における使用のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、意図しない尿漏れを指す。14.8~31.8%の女性の幸福に多大な影響を及ぼしている。腹圧性尿失禁(SUI)は、女性だけでなく男性にも最も一般的なタイプの尿失禁である。腹圧性尿失禁は、腹圧を上昇させる身体活動中に尿漏れ生じる状態である。身体活動は、咳、くしゃみ、笑いまたは身体運動を含み得る。
【0003】
SUIの背後にある理由は、膀胱および/または尿道を支える組織の弱化である。これにより、膀胱を尿道とつなぐ筋肉群(膀胱頸部)が身体活動中に下降する。この下降が生じると、尿道、特に尿道壁が、膀胱から尿が漏れないように制御する機能が適切に働かなくなる。
【0004】
SUIの別のメカニズムは、尿道を制御する括約筋が弱くなることである。この状態では、括約筋は、高い腹圧下でまたは腹圧を上昇させる身体活動中に尿の流れを防ぐことができない。
【0005】
SUI発症のリスク因子は、妊娠、出産、加齢、過去の骨盤手術、慢性的な咳または緊張、肥満および喫煙である。
【0006】
重度でないSUIの場合は、骨盤底筋運動、計画的なトイレ、および/または禁煙および減量を含むより健康的なライフスタイルで処置できる。
【0007】
SUIを処置するための非侵襲的医療デバイスとしては、ペッサリーおよびタンポン様の尿道挿入物が挙げられる。
【0008】
外科的処置が必要な場合、最も一般的な外科的アプローチは、外科医が尿道を支えるメッシュを設置するスリング手術である。一般的に使用されるスリング材料およびその挿入手法は極めて侵襲的であり、その安全性に患者の懸念が高まっている。メッシュ挿入に関連する合併症としては、メッシュびらん、疼痛、感染症および臓器穿孔が挙げられる。2019年、米国食品医薬品局(FDA)は、女性の健康を支援するための行動を起こし、外科用メッシュの使用に関連した有害性報告のため、経膣メッシュの販売および流通の即時停止を命じた。
【0009】
侵襲性が低く、リスクの低い方法は、尿道の周囲に注入される充填剤(bulking agent)を用いることである。充填剤のアイデアは、充填剤材料を用いて尿道を大きくすることによって括約筋の閉鎖能力を改善することである。充填剤の作用は比較的短期間であるが、術後の有害免疫反応の軽減を考慮することにより、処置の侵襲性が低いため、手法の再現性が容易になる。しかしながら、文献で報告されている充填剤は、効率が低いことが示されている:
【0010】
Brosche, T.; Kuhn, A.; Lobodasch, K.; Sokol, E. R. Seven-Year Efficacy and Safety Outcomes of Bulkamid for the Treatment of Stress Urinary Incontinence. Neurourol. Urodyn. 2021, 40 (1), 502-508.
【0011】
Leone Roberti Maggiore, U.; Bogani, G.; Meschia, M.; Sorice, P.; Braga, A.; Salvatore, S.; Ghezzi, F.; Serati, M. Urethral Bulking Agents versus Other Surgical Procedures for the Treatment of Female Stress Urinary Incontinence: A Systematic Review and Meta-Analysis. Eur. J. Obstet. Gynecol. Reprod. Biol. 2015, 189, 48-54.
【0012】
本発明の実施態様は、先行技術における欠点の少なくとも一部を克服することを意図する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの特定の実施態様は、従属請求項で定義される。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、ナノ構造セルロース系材料を含む、尿または便失禁の処置における使用のための組成物を提供する。
【0015】
第1の態様の様々な実施態様は、以下の箇条書きリストの1つ以上の特徴を含み得る:
・ナノ構造セルロース系材料は、未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる。
・ナノ構造セルロース系材料は、漂白した未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる。
・ナノ構造セルロース系材料は、ナノフィブリル化セルロース(NFC)を含むかまたはそれらからなる。
・ナノ構造セルロース系材料は、架橋ナノ構造セルロース系材料、例えばイオン的にまたは物理的にまたは化学的に架橋したナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる。
・ナノ構造セルロース系材料は、幅平均繊維幅が10~100nmの範囲、例えば20~50nmの範囲であるセルロース系繊維を含む。
・ナノ構造セルロース系材料は、長さ平均繊維長が少なくとも100μm、例えば100~1000μmの範囲であるセルロース系繊維を含む。
・ナノ構造セルロース系材料は、長さ対幅のアスペクト比が少なくとも2000、例えば少なくとも10000であるセルロース系繊維を含む。
・組成物は、典型的には室温および/またはヒトの体温で、水性ゲル、例えば注射用水性ゲルの形態である。
・組成物は、0.5~2.0重量%のナノ構造セルロース系材料を含む。
・組成物は、少なくとも95重量%、例えば少なくとも98重量%、例えば少なくとも99重量%の水を含む。
・組成物は、1つ以上の活性物質、例えば組織成長促進物質を含む。
・組成物は、生細胞、または哺乳類の身体による組成物の拒絶を防止もしくは低減する物質を含む。
・組成物は、典型的には室温で、せん断減粘性(shear-thinning)である。
・ナノ構造セルロース系材料は、例えばセルロース系繊維の表面に荷電官能基を導入するかまたは付着させることにより修飾されて、セルロース系繊維の親水性または疎水性が高められている。
・ナノ構造セルロース系材料は修飾されて、哺乳類の、例えば尿道の粘膜下の、尿道壁の内側などの哺乳類の組織への組成物の注入中の、組成物の凝集が防止または低減されている。
・組成物は、尿失禁、例えば腹圧性尿失禁(SUI)または腹圧性優勢混合型尿失禁(MUI)、または便失禁、好ましくは腹圧性尿失禁(SUI)の処置における使用のためである。
・組成物は、哺乳類の、例えば尿道の粘膜下の、尿道壁の内側に注入して、好ましくは括約筋の閉鎖を改善するように構成されている充填剤として尿失禁の処置において使用するためである。
・組成物は、充填剤としての腹圧性優勢混合型尿失禁(MUI)の処置における使用のためである。
・組成物は、充填剤としての便失禁の処置における使用のためである。
・組成物は、哺乳類の直腸壁の内側に注入して、好ましくは括約筋の閉鎖を改善するように構成されている充填剤としての便失禁の処置における使用のためである。
・組成物は、セルロース系材料を提供する工程;セルロース系材料、特にセルロースの細胞壁を剥離またはフィブリル化して、ナノ構造セルロース系材料、例えばナノフィブリル化セルロースを得る工程;得られたナノ構造セルロース系材料から水性組成物を製造する工程であって、組成物が、少なくとも2重量%のナノ構造セルロース系材料および少なくとも95重量%の水を含む、工程を含む方法により得られる。
・該剥離工程は、マイクロフルイダイザー、例えば高圧マイクロフルイダイザーにより、好ましくは少なくとも1400barの圧力で実施される。
・方法は、セルロース系材料を精製する工程をさらに含む。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、哺乳類、好ましくはヒトにおける、尿失禁、好ましくは腹圧性尿失禁の処置方法であって、第1態様による組成物を提供する工程;ゲル形態の組成物を、哺乳類の、例えば尿道の粘膜下の、尿道壁へ注入して、粘膜下クッションを尿道壁の内側に形成する工程を含む、方法を提供する。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、哺乳類、好ましくはヒトにおける、便失禁の処置方法であって、第1態様による組成物を提供する工程;ゲル形態の組成物を哺乳類の直腸壁へ注入して、粘膜下クッションを直腸壁の内側に形成する工程を含む、方法を提供する。
【0018】
(利点)
【0019】
本発明は、尿または便失禁の処置のための、改善されてかつより効果的な充填剤を提供できる。
【0020】
本発明は、生体適合性の高い充填剤を提供できる。
【0021】
本発明は、充填剤としての使用に適した非毒性かつ非合成の生体材料を提供できる。
【0022】
本発明の充填剤材料は、典型的には体内で自然に分解せず、持続可能な充填剤として機能できる。
【0023】
いくつかの実施態様において、公知の充填剤に関連する凝集、安定性および/または加工性の問題が軽減され得る。
【0024】
本発明の材料は、例えばオートクレーブまたは蒸気滅菌によって滅菌可能であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1(a)~1(d)は、本発明の少なくともいくつかの実施態様による方法におけるセルロース原料および最終製品、ならびにそれらの粘度特定を示す。
【0026】
図1(a)は、マイクロ流動化処理前のセルロース繊維を示す。図1(b)は、1400barの圧力でのマイクロ流動化処理に1回通過させた後に得られたナノセルロースを示す。図1(c)は、ナノセルロースの透過型電子顕微鏡写真と、高アスペクト比のナノフィブリルの物理的絡み合いの可視化を示す。図1(d)は、ナノセルロースの粘度プロファイルと、ナノセルロースの濃度に対する粘度プロファイルの依存性を示す。
【0027】
図2図2は、線形粘弾性領域(貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G'')に基づく)を示す。図2(a)は、0.5重量%および2.0重量%でのナノセルロースの振動レオロジー挙動を示し、図2(b)は、ナノセルロースの貯蔵弾性率と損失弾性率を示す(周波数掃引は、0.5%の一定ひずみおよび0.5mmの固定ギャップで実施した)。図2(c)はNFCの押出を示し、図2(d)は非架橋NFCを示し、図2(e)は金属イオン架橋NFCを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(定義)
【0029】
本明細書で他に断らない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で言及するあらゆるパーセントは、それぞれの組成物の総重量に基づく重量パーセントとして表される。
【0030】
他に断らない限り、本明細書で用いる用語「粘度」は、25℃における動粘度を表し、せん断速度0.01~100s-1にてレオメーターによって決定される。
【0031】
本明細書で用いる用語「処置」または「処置すること」は、病的状態に関連する障害または症状の完全な治癒だけでなく、予防、改善または軽減を含む目的で、対象体、例えば哺乳類またはヒト対象体に本発明の組成物を投与することを指す。治療効果は、患者の症状、血液中のバイオマーカー、損傷または病変のサイズ、および/または患者の生存期間をモニタリングすることによって評価され得る。
【0032】
本明細書において、用語「ナノ構造セルロース」および「ナノセルロース」および「ナノフィブリル化セルロース」は、相互交換可能に用いられ得て、典型的には、少なくとも1つの次元、好ましくは3つすべての次元がナノスケール、特に1~100nmを有するセルロースを指す。
【0033】
「未乾燥セルロース」は、パルプ化プロセスなどの製造プロセス中にいかなる乾燥工程も受けていないセルロース系材料を指す。
【0034】
他に断らない限り、繊維長をL&W Fiber Tester Plus機によって決定した。
【0035】
他に断らない限り、繊維幅(繊維直径)および繊維形状をSEM画像から決定した。
【0036】
本明細書において、長さ平均繊維長を、規格ISO 16065-2に従って測定および定義する。
【0037】
ナノセルロースゲルは、例えば尿失禁を処置するために充填剤として使用できることが観察された。ナノセルロースは、非毒性であって生体適合性の高い非合成の生体材料である。ナノセルロースは、体内で自然に分解せず、持続可能な充填剤として機能できる。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様は、組織成長促進物質の放出有りまたは無しで、尿道の周囲に人工クッションを形成して膀胱からの尿漏れを防止するために、ヒトおよび他の哺乳類の尿道壁に(ナノ)セルロースゲルを注入して、尿失禁を処置することを含む方法を提供する。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様は、便失禁の処置方法を提供する。
【0040】
典型的には、本発明は、ナノ構造セルロース系材料を含む、尿または便失禁の処置における使用のための組成物に関する。
【0041】
ナノ構造セルロース系材料は、未乾燥ナノ構造セルロース系材料、好ましくは漂白した未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなり得る。
【0042】
ナノ構造セルロース系材料は、ナノフィブリル化セルロース(NFC)を含むかまたはそれらからなり得る。
【0043】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、幅平均繊維幅が少なくとも10nm、例えば10~100nmの範囲、例えば20~50nmの範囲であるセルロース系繊維を含む。
【0044】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、長さ平均繊維長が少なくとも50μm、少なくとも100μm、例えば少なくとも500μm、または例えば100~1000μmの範囲であるセルロース系繊維を含む。
【0045】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、長さ対幅のアスペクト比が少なくとも2000、例えば少なくとも5000、例えば少なくとも7000、例えば少なくとも10000であるセルロース系繊維を含む。
【0046】
組成物は、典型的には、室温および/またはヒトの体温で、水性ゲル、例えば注射用水性ゲルの形態である。
【0047】
組成物は、組成物の総重量に対して0.5~2.0重量%のナノ構造セルロース系材料を含み得る。
【0048】
好ましくは、組成物は、少なくとも95重量%の水、例えば少なくとも97重量%の水、例えば少なくとも99重量%の水を含む水性組成物、例えば水性ゲルの形態である。
【0049】
組成物は、1つ以上の活性物質、例えば組織成長促進物質または生細胞を含み得る。
【0050】
典型的には、組成物は、せん断減粘性であり、これにより通常は体内への注入性が改善する。
【0051】
いくつかの実施態様において、組成物は、セルロース系材料を提供する工程;セルロース系材料、特にセルロースの細胞壁を剥離して、ナノ構造セルロース系材料、例えばナノフィブリル化セルロースを含む組成物を得る工程;得られたナノ構造セルロース系材料から水性組成物を製造する工程であって、組成物が、少なくとも2重量%のナノ構造セルロース系材料および少なくとも95重量%の水を含む、工程を含む方法により得られる。
【0052】
一実施態様において、該剥離工程は、高圧マイクロフルイダイザーにより、好ましくは少なくとも1000bar、例えば少なくとも1400barの圧力で実施される。
【0053】
一実施態様において、方法は、セルロース系材料を精製する工程をさらに含む。
【0054】
図1(a)は、マイクロ流動化処理前のセルロース繊維を示し、図1(b)は、1400barの圧力でのマイクロ流動化処理に1回通過させた後に得られたナノセルロースを示す。図1(c)は、ナノセルロースの透過型電子顕微鏡写真と、高アスペクト比のナノフィブリルの物理的絡み合いの可視化を示す。図1(d)は、ナノセルロースの粘度プロファイルと、ナノセルロースの濃度に対する粘度プロファイルの依存性を示す。
【0055】
セルロースは、再生可能、生分解性、生体適合性および非毒性である最も豊富な天然ポリマーである。未乾燥漂白セルロース繊維(図1(a))を、高圧フルイダイザーで機械的に処理して、セルロース細胞壁を剥離し、幅寸法が20~50nmで長さが数百μmのナノ構造セルロース(ナノフィブリル化セルロース、NFC)(図1(b)および1(c))を得ることができる。ナノセルロースの高いアスペクト比は、ナノフィブリルの絡み合いおよび湿潤状態での安定性の向上に貢献する。
【0056】
NFCは、擬似塑性特性を有し、これは通常の条件または低濃度では厚いゲルを形成することを意味する。ナノセルロースの粘度は、ゲルの濃度を(水の添加または除去によって)変更すること、およびゲルを精製してフィブリルを破壊し、より短く薄いナノフィブリルを得ることによって調整可能である。ナノセルロースは、親水性が高く、表面に多くのヒドロキシル基を有する。ゲルは、99%を超える水分を含有し得て、図1(d)に示すとおり、せん断減粘性挙動を依然として示している。この挙動により、ナノセルロースは、広範囲のニードルサイズで容易に注射可能になる。
【0057】
図2(a)に示すとおり、貯蔵弾性率>損失弾性率(G'>G'')は、試験したせん断応力の広範囲でNFCのゲル様挙動を裏付けている。また、ナノセルロースは、G'>G''が優勢な弾性挙動を示し、損失弾性率より約1桁高い貯蔵弾性率を示す。NFCのレオロジー特性は、注入目的への適合性を検証する。図2(c)から2(e)は、1Dフィラメントおよび3D構造の形態でNFCの押出をしており、これは安定なゲルとしてのNFCの可能性を示す。
【0058】
図1および図2に示す実施態様において、ナノセルロースを、別個の修飾工程によって修飾しなかった。
【0059】
以下では、いくつかの実施態様に従ってナノセルロースを修飾する方法を説明する。
【0060】
ナノセルロースの表面は、所望の用途に従ってより高い親水性またはより低い親水性にするために修飾され得る。この修飾は、ナノセルロースに表面電荷を導入することによって行われる。表面電荷の存在は、ゲルの凝集を減少させ、ゲルの加工性および注入後のゲルの安定性を向上させる。
【0061】
セルロースのグルコース単位は、様々な化学反応に関与できる3つの異なるヒドロキシル基(O(2)H、O(3)H、およびO(6)H)を含む。
【0062】
ナノセルロースの表面の少なくとも一部は、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-l-オキシ(TEMPO)媒介酸化によって、より高い親水性にするために修飾されて、カルボキシル基がナノセルロースの骨格、例えばナノフィブリル化セルロースに導入されていてもよい。ナノセルロースの修飾に適した例示的な方法は、Isogai, A.; Saito, T.; Fukuzumi, H. TEMPO-Oxidized Cellulose Nanofibers. Nanoscale 2011, 3 (1), 71-85に記載されている。
【0063】
また、ナノセルロースの表面の少なくとも一部は、例えばアセチル化プロセスによって、より低い親水性にするために修飾されて、アセチル基がナノセルロースの骨格、例えばナノフィブリル化セルロースに導入されていてもよい。
【0064】
これらの修飾は、表面電荷をナノセルロースに導入する。表面電荷の存在は、体内への注入中のナノセルロースゲルの凝集を減少させ得る。また、ゲルの加工性および/または注入後のゲルの安定性を向上させ得る。
【0065】
一実施態様において、ナノセルロース、例えばナノフィブリル化セルロースの粘度を調整または微調整する簡単な手法は、物理的および/または化学的架橋によるものである。
【0066】
ナノセルロース、例えばナノフィブリル化セルロースのイオン架橋は、金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Cu2+、Al3+および/またはFe3+により行われ得る。イオン架橋は、軟質NFCの粘度を増加させ得る。イオン架橋は、表面電荷密度を増加させることにより靭性および剛性を向上させ得る。架橋は、典型的には、NFCと金属イオン塩の相互作用によって速やかに生じ、ゲルの機械的性能は、使用する金属イオンの種類に応じて変化し、典型的には、亜鉛イオン<カルシウムイオン<アルミニウムイオンの順で向上する。上記の架橋アプローチ(物理的または化学的)は、SUIを処置するために、NFCの粘弾性特性を変更し、カスタマイズされた充填剤を開発するために適用し得る。
【0067】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、材料の親水性、特に材料中のセルロースまたはセルロース系繊維の親水性を高めるために修飾されている。これは、例えば繊維上にカルボキシル基を結合させることによって達成され得る。
【0068】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、材料の疎水性、特に材料中のセルロースまたはセルロース系繊維の疎水性を高めるために修飾されている。これは、例えば繊維上にアセチル基を結合させることによって達成され得る。
【0069】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料の繊維表面は、その表面電荷密度を増加させるために修飾されている。
【0070】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、架橋ナノ構造セルロース系材料を含む。
【0071】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、イオン的に架橋したナノ構造セルロース系材料を含む。イオン架橋は、金属イオン、例えば金属イオン塩により行われ得る。
【0072】
金属イオン塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、およびそれらの混合物より選択され得る。
【0073】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、物理的に架橋したナノ構造セルロース系材料を含む。
【0074】
一実施態様において、ナノ構造セルロース系材料は、化学的に架橋したナノ構造セルロース系材料を含む。
【0075】
本組成物の適用領域
【0076】
組成物は、好ましくは、腹圧性尿失禁(SUI)、腹圧性優勢混合型尿失禁(MUI)または便失禁、最も好ましくは腹圧性尿失禁(SUI)の処置における使用のためである。
【0077】
いくつかの実施態様において、組成物は、哺乳類の尿道壁の内側に注入して、好ましくは括約筋の閉鎖を改善するように構成されている充填剤として、尿失禁、好ましくは腹圧性尿失禁(SUI)の処置において使用するためである。
【0078】
いくつかの実施態様は、哺乳類における尿失禁の処置方法であって、ナノ構造セルロース系材料を含む組成物を提供する工程;ゲル形態の組成物を哺乳類の尿道壁へ注入して、粘膜下クッションを、例えば尿道の粘膜下の、尿道壁の内側に形成する工程を含む、方法を提供する。
【0079】
いくつかの実施態様は、哺乳類、好ましくはヒトにおける、便失禁の処置方法であって、ナノ構造セルロース系材料を含む組成物を提供する工程;ゲル形態の組成物を哺乳類の直腸壁へ注入して、粘膜下クッションを直腸壁の内側に形成する工程を含む、方法を提供する。
【0080】
典型的には、尿道壁または直腸壁の内側の得られたクッションは、注入後、典型的には長期間、例えば少なくとも1年間、例えば少なくとも5年間、尿道壁において柔らかく安定なままである。
【0081】
開示される本発明の実施態様は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス工程または材料に限定されず、関連技術の当業者によって認識されるように、その等価物に拡張されると理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施態様を説明する目的のみに使用されており、限定することを意図していないことも理解されるべきである。
【0082】
本明細書全体にわたる「一実施態様」または「実施態様」への言及は、その実施態様に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施態様において」または「実施態様において」の表現は、必ずしもすべてが同じ実施態様を指すわけではない。
【0083】
本明細書で使用される場合、複数の品目、構造的要素、組成的要素および/または材料は、便宜上、共通のリストで提示され得る。ただし、これらのリストは、リストの各メンバーが別個で固有のメンバーとして個別に識別されるものとして解釈される必要がある。したがって、そのようなリストの個別のメンバーは、反対の指示なしに、共通のグループ内における掲示のみに基づいて、同じリストの他のメンバーと事実上の等価物であると解釈されるべきではない。また、本発明の様々な実施態様および例が、その様々な構成要素の代替物とともに本明細書で参照され得る。このような実施態様、例および代替物は、互いの事実上の等価物として解釈されるべきではなく、本発明の別個で自律的な表現とみなされるべきであることが理解される。
【0084】
さらに、記載される特性、構造または特徴は、1つまたは複数の実施態様において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。以下の説明では、本発明の実施態様の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例などの多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者は、本発明が、具体的な詳細の1つ以上がなくても、あるいは他の方法、構成要素、材料などを用いても実施できることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料または操作は詳細に提示または記載していない。
【0085】
前述の例は、1つまたは複数の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、発明能力を使うことなく、そして発明の原理および概念から逸脱することなく、形態、使用法および実施の詳細において多数の変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、以下に記載の特許請求の範囲による以外は、本発明が限定されることを意図していない。
【0086】
本明細書において、動詞「含む(comprise)」および「含む(include)」は、記載していない特徴の存在を除外または要求しないオープンな制限として使用する。従属請求項に記載する特徴は、他に明示に断らない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本明細書全体にわたる「ある(a)」または「ある(an)」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【0087】
(産業上の利用可能性)
本発明は、少なくとも尿失禁の処置における使用のための組成物の製造において産業上利用可能である。
【0088】
(略語リスト)
SUI 腹圧性尿失禁
MUI 腹圧性優勢混合型尿失禁
NFC ナノフィブリル化セルロース
【0089】
(引用リスト)
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本発明は、以下の態様および実施態様を含む。
[1] ナノ構造セルロース系材料を含む、尿または便失禁の処置における使用のための組成物。
[2] ナノ構造セルロース系材料が、未乾燥ナノ構造セルロース系材料、好ましくは漂白した未乾燥ナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる、[1]に記載の組成物。
[3] ナノ構造セルロース系材料が、架橋ナノ構造セルロース系材料、例えば金属イオンによってイオン的に架橋したナノ構造セルロース系材料を含むかまたはそれらからなる、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] ナノ構造セルロース系材料が、幅平均繊維幅が10~100nmの範囲、例えば20~50nmの範囲であるセルロース系繊維を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] ナノ構造セルロース系材料が、長さ平均繊維長が少なくとも100μm、例えば100~1000μmの範囲であるセルロース系繊維を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] ナノ構造セルロース系材料が、長さ対幅のアスペクト比が少なくとも2000、例えば少なくとも10000であるセルロース系繊維を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 通常の条件、例えば室温またはヒトの体温で、水性ゲル、例えば注射用水性ゲルの形態である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 組成物が、0.5~2.0重量%のナノ構造セルロース系材料を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 組成物が、少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%の水を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 組成物が、1つ以上の活性物質、例えば組織成長促進物質または生細胞を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 組成物が、せん断減粘性である、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] ナノ構造セルロース系材料が、例えばセルロース系繊維の表面に荷電官能基を導入するかまたは付着させることにより修飾されて、セルロース系繊維の親水性または疎水性が高められている、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] ナノ構造セルロース系材料が修飾されて、哺乳類の組織、例えば哺乳類の尿道壁の内側への組成物の注入中の、組成物の凝集が防止または低減されている、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 腹圧性尿失禁(SUI)、腹圧性優勢混合型尿失禁(MUI)または便失禁、好ましくは腹圧性尿失禁(SUI)の処置における使用のための、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15] 哺乳類の尿道壁の内側に注入して、好ましくは括約筋の閉鎖を改善するように構成されている充填剤として、腹圧性尿失禁(SUI)の処置において使用するための、[1]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16] 下記工程:
- セルロース系材料を提供する工程;
- セルロース系材料、特にセルロースの細胞壁を剥離して、ナノ構造セルロース系材料、例えばナノフィブリル化セルロースを得る工程;
- 得られたナノ構造セルロース系材料から水性組成物を製造する工程であって、組成物が、少なくとも2重量%のナノ構造セルロース系材料および少なくとも95重量%の水を含む、工程
を含む方法により得られる、[1]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17] 剥離工程が、高圧マイクロフルイダイザーにより、好ましくは少なくとも1400barの圧力で実施される、[16]に記載の組成物。
[18] セルロース系材料を精製する工程をさらに含む、[16]または[17]に記載の組成物。
[19] 哺乳類、好ましくはヒトにおける、尿失禁、好ましくは腹圧性尿失禁の処置方法であって、下記工程:
- [1]~[18]のいずれかに記載の組成物を提供する工程;
- ゲル形態の組成物を哺乳類の尿道壁へ注入して、粘膜下クッションを尿道壁の内側に形成する工程
を含む、方法。
[20] 哺乳類、好ましくはヒトにおける、便失禁の処置方法であって、下記工程:
- [1]~[18]のいずれかに記載の組成物を提供する工程;
- ゲル形態の組成物を哺乳類の直腸壁へ注入して、粘膜下クッションを直腸壁の内側に形成する工程
を含む、方法。
[21] クッションが、該壁において柔らかいかまたは柔らかいままである、[19]または[20]に記載の方法。

図1
図2