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特許7548660生理学的データの収集方法及び装置並びにウェアラブル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】生理学的データの収集方法及び装置並びにウェアラブル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20240903BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/00 102A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023512105
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2021112892
(87)【国際公開番号】W WO2022037555
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】202010834214.4
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ユエ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/098719(WO,A1)
【文献】特開2010-063788(JP,A)
【文献】特開2004-254827(JP,A)
【文献】特開2016-016203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的データ収集方法であって、
ユーザが入眠しているかどうかを検出することと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定し、前記ユーザが目を覚ましているかどうかを検出することと、
前記第1の回数が前記回数閾値未満の場合、第1のセンサを有効にし、該第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第1の生理学的データを収集することと、
前記ユーザが目を覚ましていることが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にすることと、
を含む、生理学的データ収集方法。
【請求項2】
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することであって、該第2の期間は前記ユーザが長時間睡眠に入る期間である、ことと、
前記入眠時点が前記第2の期間内の場合、前記第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る前記第1の回数が、前記回数閾値未満かどうかを特定することと、
を含む、請求項1に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項3】
入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することの前に、前記方法は、
第3の期間内の前記ユーザの履歴睡眠データを取得することと、
前記履歴睡眠データを分析して前記第2の期間を取得することと、
をさらに含む、請求項2に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項4】
前記履歴睡眠データを分析して前記第2の期間を取得することは、
前記履歴睡眠データを分析して、前記ユーザが各日に最も長い睡眠持続時間睡眠し且つ前記第3の期間内にあるk回の睡眠に関連する睡眠期間データを取得することであって、kは前記回数閾値と等しい、ことと、
前記睡眠期間データから、睡眠持続時間が持続時間閾値以上の睡眠期間に関連する睡眠期間データを選び出し、選び出した睡眠期間データのそれぞれに含まれる入眠時点を読み取ることと、
前記読み取った入眠時点を分析することにより前記第2の期間を取得することと、
を含む、請求項3に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項5】
前記ユーザが目を覚ましていることが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集することと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値以上の場合、睡眠が長時間睡眠であると判定し、前記第1の回数を更新することと、
をさらに含む、請求項4に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項6】
前記ユーザが目を覚ましていることが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集することと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値未満の場合、前記ユーザが入眠しているかどうか検出することと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、前記ユーザが目を覚ましているかどうかを検出し、前記第1のセンサを有効にし、前記第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第2の生理学的データを取得することと、
をさらに含む、請求項4に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項7】
第3の期間内の前記ユーザの履歴睡眠データを取得することは、
現在の期間の期間種類を特定することと、
前記第3の期間から、期間種類が第1の種類である第4の期間を選び出すことと、
前記第4の期間内の前記履歴睡眠データを取得することと、
を含む、請求項3又は4に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項8】
前記履歴睡眠データを分析して前記第2の期間を取得することは、
前記第3の期間を複数の期間セットに分割し、前記履歴睡眠データから各期間セットの睡眠サブデータを抽出することであって、各期間セットは同じ期間種類の期間のみを含み、異なる期間セットは異なる期間種類に関連する、ことと、
各期間セットに関連する前記睡眠サブデータをそれぞれ分析して、各期間種類にそれぞれ関連する前記第2の期間を取得することと、
それに対応して、前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、現在の期間の期間種類を特定して、第2の種類を取得することと、
前記第2の種類に関連する前記第2の期間を取得し、前記入眠時点が前記第2の期間内かどうかを特定することと、
を含む、請求項3又は4に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項9】
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、睡眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものかを特定することと、
前記睡眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものの場合、前記第1の回数の閾値は前記回数閾値未満であると判定することと、
を含む、請求項1に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項10】
前記第1のセンサはPPGセンサである、請求項1に記載の生理学的データ収集方法。
【請求項11】
電子装置であって、当該電子装置はメモリ、プロセッサ及び第1のセンサを含み、該メモリは、該プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを記憶し、該プロセッサが該コンピュータプログラムを実行した場合、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法のステップが実施される、電子装置。
【請求項12】
前記電子装置はウェアラブル装置である、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、当該コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶し、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法のステップが実施される、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
チップシステムであって、該チップシステムはプロセッサを含み、該プロセッサはメモリに連結され、該プロセッサは該メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行して、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の生理学的データ収集方法を実施する、チップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が参照により本願に組み込まれている、2020年8月18日に中国国家知識産権局に出願された「生理学的データ収集方法及び装置並びにウェアラブル装置」と題する中国特許出願第202010834214.4号に対する優先権を主張する。
【0002】
本願はデータ収集技術の分野に関し、具体的には生理学的データ収集方法及び装置並びにウェアラブル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠は人間の最も重要な生理学的活動の1つである。研究によると、多くの人は睡眠障害を抱えており、不眠症の問題さえ抱えている。したがって、ユーザが自身の睡眠状態をよりよく理解するように、睡眠モニタリングを正確に行うことが重要である。睡眠モニタリングを実施するために、現在の技術では、生理学的データを収集できるセンサがバンド又は時計等のウェアラブル装置に配置され、これらのセンサがユーザの生理学的データを収集するのに用いられる。そして、収集した生理学的データに基づいて分析を行って、ユーザの睡眠モニタリングを実施する。
【0004】
睡眠は、長時間睡眠と短時間睡眠とに分けることができる。長時間睡眠、例えば、夜間の睡眠は、睡眠持続時間が特定の持続時間閾値に達することを意味する。短時間睡眠、昼間のうたた寝及び昼寝は、例えば、睡眠持続時間が短く、特定の持続時間閾値に達しないことを意味する。長時間睡眠は、ユーザが休息を取る主たる方法であり、ユーザの大半の注目を集める睡眠種類でもある。長い睡眠持続時間に伴って、長時間睡眠はウェアラブル装置が睡眠中のユーザからの大量のデータを検出できるようにし、洗練された睡眠分析を行うことが可能となる。洗練された睡眠分析は長時間の睡眠に基づいて行われ、睡眠の質のスコア及び提案が提供される。これは、ユーザが睡眠状態について学習し、目標を定めた改善を行うのに役立つ。
【0005】
長時間睡眠モニタリングを実施するために、現在の技術では、ウェアラブル装置内の関連センサを継続的に有効にし、ユーザの生理学的データを継続的に収集する。そして、収集した生理学的データから長時間睡眠の間の生理学的データを特定及び分析する。このように、ユーザの長時間睡眠中の生理学的データ収集を実施でき、ユーザの睡眠モニタリングを実施できる。しかしながら、生理学的データ収集及び睡眠モニタリングの双方には多くの電力消費が必要なる。その結果、ウェアラブル装置は電力を直ぐに消費し、バッテリ寿命が短く、ユーザエクスペリエンスが悪くなる。
【発明の概要】
【0006】
これに鑑み、本願の実施形態は、長時間の睡眠の間にユーザの生理学的データを収集するのに消費電力が大きいという現在の技術の課題を解決するために、生理学的データ収集方法及び装置並びにウェアラブル装置を提供する。
【0007】
本願の実施形態の第1の態様は、第1のセンサを含むウェアラブル装置に適用される生理学的データ収集方法を提供し、当該方法は、
ユーザが入眠しているかどうか検出することと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定することと、
前記ユーザが目を覚ましたかどうか検出することと、
前記第1の回数の閾値が前記回数閾値未満の場合、第1のセンサを有効にし、該第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第1の生理学的データを収集することと、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にすることと、を含む。
【0008】
本願のこの実施形態では、睡眠モニタリングが有効になっている期間中、センサは継続的に有効にされるのではなく、ユーザに対して入眠モニタリングが継続的に行われる。ユーザが入眠していることが検出された場合、直近の第1の期間にユーザが長時間睡眠している回数が、回数閾値に達しているかどうかが判定される。加えて、回数閾値に達していない場合にのみセンサを有効にして、ユーザの生理学的データを収集する。加えて、ユーザが眠っている場合、ユーザに対して起床モニタリングを継続し、ユーザが目を覚ましたことが検出された場合にセンサが無効にされる。第1の期間は過去の期間であり、実際の状況に基づいて特定の期間範囲が当業者によって設定され得る。
【0009】
通常の生活及び仕事では、ユーザはほとんどの場合しらふの状態にある。したがって、関連するセンサを1日中有効にする場合と比較して、本願のこの実施形態は、大量のセンサ収集作業及び消費電力を減らすことができる。加えて、回数閾値を設定することにより、ユーザの全ての睡眠期間に対して生理学的データ収集が行われる場合を効果的に回避でき、関連するセンサを短時間の睡眠に対して有効にすることが少なくなる。したがって、本願のこの実施形態では、長時間睡眠の間にセンサにより生理学的データを収集する作業負荷を軽減できることに加えて、消費電力を削減し、ウェアラブル装置の電力消費を抑え、電池寿命を長くすることができる。
【0010】
第1の態様の第1の可能な実施では、前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することと、
前記入眠時点が前記第2の期間内の場合、前記第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る前記第1の回数が、前記回数閾値未満かどうかを特定することと、
を含む。
【0011】
ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できる。この場合、本願のこの実施形態では、ユーザの長時間睡眠の習慣に基づいて、ユーザの実際の長時間睡眠時間の入眠時点範囲(すなわち、第2の期間)を予め推定する。睡眠モニタリングが有効に維持されている期間では、センサが継続的に有効されるのではなく、ユーザに対して入眠モニタリングが継続的に行われる。ユーザが入眠していることが検出された場合、入眠時点が入眠時点の範囲内であるかどうかが判定される。入眠時点が入眠時点の範囲内の場合、睡眠は長時間睡眠である可能性が高いことを示す。したがって、第1の期間でユーザが長時間睡眠状態にある回数が、回数閾値に達したかどうかが判定される。
【0012】
実際の生活では、長時間睡眠はユーザにとって極めて通常の行動であると考えられる。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザが慣れ親しんでいる入眠時点の範囲を適応的に取得するためにユーザの履歴睡眠データを分析するため、ユーザの睡眠が長時間睡眠であるかどうかを正確に判別できる。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザが入眠しているかどうか、入眠時点がユーザが慣れ親しんだ入眠時点範囲内にあるかどうか、最近の期間内の長時間睡眠回数が回数閾値に達しているかどうかという3つの条件に基づいて、センサを有効にするかどうか判定される。ユーザが入眠する毎のユーザの意図を正確に特定して、長時間睡眠のための正確な特定を実施する。したがって、ユーザの全ての睡眠時間について生理学的データ収集を行う場合を効果的に回避でき、短時間睡眠のために関連するセンサを有効にする確率が低減される。生理学的データ収集のための消費電力を低減できる。
【0013】
第1の態様の第1の可能な実施に基づいて、第1の態様の第2の可能な実施では、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することの前に、前記方法は、
第3の期間内の前記ユーザの履歴睡眠データを取得することと、
前記履歴睡眠データを分析することにより前記第2の期間を取得することと、
をさらに含む。
【0014】
本願のこの実施形態では、過去の期間(つまり、第3の期間)内のユーザの履歴睡眠データが取得される。取得した履歴睡眠データに基づいて、本願のこの実施形態では、履歴睡眠データを分析することにより、ユーザが日常的に長時間睡眠に入る入眠時点の範囲を取得する。このように、ユーザの入眠習慣について適応的な学習が実施されるために、入眠時点範囲がユーザにより適用可能になる。したがって、長時間睡眠についての入眠検出の正確性及び信頼性が高くなる。
【0015】
第1の態様の第2の可能な実施に基づいて、第1の態様の第3の可能な実施では、前記履歴睡眠データを分析することにより前記第2の期間を取得することは、
前記履歴睡眠データを分析することにより、前記ユーザが毎日最も長い睡眠持続時間睡眠し、前記第3の期間内にあるk回の睡眠に関連する睡眠期間データを取得することであって、kは前記回数閾値と等しい、ことと、
前記睡眠期間データから、睡眠持続時間が持続時間閾値以上の睡眠期間に関連する睡眠期間データを選び出し、選び出した睡眠期間データのそれぞれに含まれる前記入眠時点を読み取ることと、
前記読み取られた入眠時点を分析することにより前記第2の期間を取得することと、を含む。
【0016】
本願のこの実施形態では、第3の期間内の毎日の睡眠状態をそれぞれ分析することにより、その長さが毎日の最も長い睡眠持続時間の時間の閾値となる睡眠時間データを取得する。そして、持続時間閾値を用いることにより選び出しを行って、第3の期間内の毎日の実際の長時間睡眠の間の睡眠期間データを取得する。最後に、睡眠期間データから入眠時点を抽出し、入眠時点を分析して第2の時点を取得する。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザが毎日長時間睡眠に入る時点のための適応学習及び正確な抽出を実施できるため、長時間睡眠のための入眠検出の精度及び信頼性が高くなる。
【0017】
第1の態様の第3の可能な実施に基づいて、第1の態様の第4の可能な実施では、睡眠期間データが選び出された後に、本方法は、
選び出された睡眠期間データに対応する睡眠持続時間を取得し、睡眠持続時間に基づいて持続時間閾値を更新すること、
をさらに含む。
【0018】
持続時間閾値は、履歴睡眠データを用いることにより更新されるため、持続時間閾値の値をユーザの実際の睡眠習慣に適応させることができる。したがって、ユーザの長時間睡眠を特定するプロセスでは、ユーザの長時間睡眠を特定する精度を高めることができるため、センサを有効にするより正確な機会が選択され、センサを誤って有効にする可能性が低減される。したがって、長時間睡眠の間にユーザの生理学的データを収集するための消費電力を低減できる。
【0019】
第1の態様の第1~第4の可能な実施に基づいて、第1の態様の第5の可能な実施では、前記方法は、前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集することと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値以上の場合、前記睡眠が長時間睡眠であると判定し、前記第1の回数を更新することと、
をさらに含む。
【0020】
本願のこの実施形態では、睡眠が長時間睡眠であると判定された後に、第1の回数が適時に更新されて、第1の回数の精度が確かなものになる。
【0021】
第1の態様の第5の可能な実施に基づいて、第1の態様の第6の可能な実施では、前記方法は、
第1の持続時間が持続時間閾値以上の場合に、今回収集された第1の生理学的データを分析して対応する睡眠分析データを取得し、長時間睡眠のモニタリングを実施することを含む。
【0022】
第1の態様の第1~第4の可能な実施に基づいて、第1の態様の第7の可能な実施では、前記方法は、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集することと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値未満の場合、前記ユーザが入眠しているかどうか検出することと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、前記ユーザが目を覚ますかどうか検出し、前記第1のセンサを有効にし、前記第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第2の生理学的データを取得することと、
前記ユーザが目を覚ましていることが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にすることと、
をさらに含む。
【0023】
本願のこの実施形態では、ユーザの通常の長時間睡眠が中断されてユーザが再度長時間睡眠に入る必要がある場合を特定できない場合を回避するために、ユーザの睡眠持続時間が持続時間閾値未満であることが特定された場合に、ユーザが次の入眠挙動を行った場合にセンサが有効に設定される。具体的には、この場合、ユーザの入眠時点範囲内にあるかどうか及び回数閾値に達しているかどうかの判定はもはや行われなくなるが、ユーザが入眠したことが検出された場合にセンサが直接有効にされ、ユーザの生理学的データが収される。本願のこの実施形態によれば、長時間睡眠の間の騒音等の干渉要因によってユーザが中断された場合でも、ユーザが再度長時間睡眠に入った場合に、ユーザに対して生理学的データ収集を適時に行うことができる。このように、長時間睡眠の間に行われる生理学的データ収集の正確性及び信頼性がより高くなる。
【0024】
第1の態様の第3又は第4の可能な実施に基づいて、第1の態様の第8の可能な実施では、第3の期間内の前記ユーザの履歴睡眠データを取得することは、
現在の期間の期間種類を特定して、第1の種類を取得することと、
前記第3の期間から、期間種類が前記第1の種類である第4の期間を選び出すことと、
前記第4の期間内に前記履歴睡眠データを取得することと、
を含む。
【0025】
本願のこの実施形態では、入眠期間を分析する場合、現在の期間が属する期間種類の期間(すなわち、第4の期間)が過去の期間から選択され、これらの期間の履歴睡眠データが対象として取得される。したがって、本願のこの実施形態では、現在の期間が属する期間種類に基づいて入眠時点範囲を分析して、ユーザの睡眠習慣の正確な学習及び特定を実施することができる。このように、本願のこの実施形態では、ユーザの長時間睡眠の特定はより正確であり、より正確且つ効果的な機会にセンサが有効にされる。
【0026】
第1の態様の第3又は第4の可能な実施に基づいて、第1の態様の第9の可能な実施では、前記履歴睡眠データを分析することにより前記第2の期間を取得することは、
前記第3の期間を複数の期間セットに分割し、前記履歴睡眠データから各期間セットの睡眠サブデータを抽出することであって、各期間セットは同じ期間種類の期間のみを含み、異なる期間セットは異なる期間種類に関連する、ことと、
各期間セットに関連する前記睡眠サブデータをそれぞれ分析することにより、各期間種類にそれぞれ関連する前記第2の期間を取得することと、
それに対応して、前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、現在の期間の期間種類を特定して、第2の種類を取得することと、
前記第2の種類に関連する前記第2の期間を取得し、前記入眠時点が前記第2の期間内かどうか特定することと、
を含む。
【0027】
本願のこの実施形態では、長時間睡眠の間にユーザの生理学的データが正常に取得され、履歴睡眠データが更新されるたびに、各期間種類のユーザの入眠習慣が適時に分析され、各期間種類のユーザの入眠時点範囲が取得され、ユーザの入眠習慣に対する適応学習が実施される。しかしながら、図3に示す実施形態では、ユーザが入眠したことが検出された後に、S302で、分析された現在の期間が属する期間種類の入眠時点範囲を読み取るだけで、入眠時点を判定できる。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザの睡眠習慣に対する適応的で正確な学習を実施できる。このように、本願のこの実施形態では、ユーザの長時間睡眠の特定がより正確になり、センサがより正確で効果的な機会に有効にされる。
【0028】
第1の態様の第10の可能な実施では、前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定することは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、前記入眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものかを特定することと、
前記入眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものの場合、前記第1の回数の閾値は前記回数閾値未満であると判定することと、
を含む。
【0029】
本願のこの実施形態では、ユーザが入眠していることが検出された場合、該入眠はユーザが第1の期間内で入眠した最初のものかが特定される。入眠が、ユーザが入眠した最初のものの場合、ユーザが長時間睡眠に入った回数の特定の値が得られなくてもよい(つまり、第1の回数の値に関係ない)。代わりに、その回数が回数閾値未満であると判定され、次のステップの生理学的データ収集が開始される。
【0030】
本願の実施形態の第2の態様は、生理学的データ収集装置であって、
ユーザが入眠しているかどうか検出するように構成された入眠検出モジュールと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定するように構成された入眠回数検出モジュールと、
前記ユーザが目を覚ましたかどうか検出するように構成された目覚め検出モジュールと、
前記第1の回数の閾値が前記回数閾値未満の場合、第1のセンサを有効にし、該第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第1の生理学的データを収集するように構成されたデータ収集モジュールと、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にするように構成されたセンサ無効モジュールと、
を含む、生理学的データ収集装置を提供する。
【0031】
第2の態様の第1の可能な実施では、入眠回数検出モジュールは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定するように構成された入眠時点特定モジュールと、
前記入眠時点が前記第2の期間内の場合、前記第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る前記第1の回数が、前記回数閾値未満かどうかを特定するように構成された回数検出モジュールと、
を含む。
【0032】
第2の態様の第1の可能な実施に基づいて、第2の態様の第2の可能な実施では、生理学的データ収集装置は、
第3の期間内の前記ユーザの履歴睡眠データを取得するように構成された履歴データ取得モジュールと、
前記履歴睡眠データを分析することにより前記第2の期間を取得するように構成された履歴データ分析モジュールと、
をさらに含む。
【0033】
第2の態様の第2の可能な実施に基づいて、第2の態様の第3の可能な実施では、履歴データ分析モジュールは、
前記履歴睡眠データを分析することにより、前記ユーザが毎日最も長い睡眠持続時間睡眠し、前記第3の期間内にあるk回の睡眠に関連する睡眠期間データを取得するように構成された睡眠分析モジュールであって、kは前記回数閾値と等しい、睡眠分析モジュールと、
前記睡眠期間データから、睡眠持続時間が持続時間閾値以上の睡眠期間に関連する睡眠期間データを選び出し、選び出した睡眠期間データのそれぞれに含まれる前記入眠時点を読み取るように構成された睡眠抽出にジュールと、
前記読み取られた入眠時点を分析することにより前記第2の期間を取得するように構成された回数分析モジュールと、
を含む。
【0034】
第2の態様の第3の可能な実施に基づいて、第2の態様の第4の可能な実施では、生理学的データ収集装置は、
選び出された睡眠期間データに対応する睡眠持続時間を取得し、睡眠持続時間に基づいて持続時間閾値を更新するように構成された持続時間閾値更新モジュール、
をさらに含む。
【0035】
第2の態様の第1~第4の可能な実施に基づいて、第2の態様の第5の可能な実施では、前記装置は、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集するように構成された持続時間統計収集モジュールと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値以上の場合、前記睡眠が長時間睡眠であると判定し、前記第1の回数を更新するように構成された回数更新モジュールと、
をさらに含む。
【0036】
第2の態様の第5の可能な実施に基づいて、第2の態様の第6の可能な実施では、前記装置は、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値以上の場合に、今回収集された第1の生理学的データを分析して対応する睡眠分析データを取得し、長時間睡眠のモニタリングを実施するように構成された睡眠分析モジュール、
をさらに含む。
【0037】
第2の態様の第1~第4の可能な実施に基づいて、第2の態様の第7の可能な実施では、生理学的データ収集装置は、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記ユーザの入眠時点から前記ユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の持続時間に関する統計を収集するように構成された持続時間収集モジュールと、
前記第1の持続時間が前記持続時間閾値未満の場合、前記ユーザが入眠しているかどうか検出するように構成された入眠検出モジュールと、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、前記第1のセンサを有効にし、前記第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第2の生理学的データを収集するように構成された二次データ収集モジュールと、
前記ユーザが目を覚ますかどうか検出するように構成された目覚め検出モジュールと、
前記ユーザが目を覚ましていることが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にするように構成されたセンサ無効モジュールと、
をさらに含む。
【0038】
第2の態様の第3又は第4の可能な実施に基づいて、第2の態様の第8の可能な実施では、履歴データ取得モジュールは、
現在の期間の期間種類を特定して、第1の種類を取得するように構成された第1の種類特定モジュールと、
前記第3の期間から、期間種類が前記第1の種類である第4の期間を選び出すように構成された期間抽出モジュールと、
前記第4の期間内に前記履歴睡眠データを取得するように構成されたデータ取得モジュールと、
を含む。
【0039】
第2の態様の第3又は第4の可能な実施に基づいて、第2の態様の第9の可能な実施では、履歴データ分析モジュールは、
前記第3の期間を複数の期間セットに分割し、前記履歴睡眠データから各期間セットの睡眠サブデータを抽出するように構成されたデータ分割モジュールであって、各期間セットは同じ期間種類の期間のみを含み、異なる期間セットは異なる期間種類に関連する、データ分割モジュールと、
各期間セットに関連する前記睡眠サブデータをそれぞれ分析することにより、各期間種類にそれぞれ関連する前記第2の期間を取得するように構成されたデータ分析モジュールと、
を含む。
【0040】
それに対応して、入眠時点特定モジュールは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、現在の期間の期間種類を特定して、第2の種類を取得するように構成された第2の種類特定モジュールと、
前記第2の種類に関連する前記第2の期間を取得し、前記入眠時点が前記第2の期間内かどうか特定するように構成された時間特定モジュールと、
を含む。
【0041】
第2の態様の第10の可能な実施では、入眠回数検出モジュールは、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合、前記睡眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものかを特定する初回睡眠特定モジュールと、
前記睡眠は前記ユーザが前記第1の期間内で入眠した最初のものの場合、前記第1の回数の閾値は前記回数閾値未満であると判定するように構成された判定モジュールと、
を含む。
【0042】
本願の実施形態の第3の態様は、ウェアラブル装置を提供する。ウェアラブル装置はメモリ及びプロセッサを含む。メモリは、該プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを記憶する。該プロセッサが該コンピュータプログラムを実行した場合、ウェアラブル装置は、第1の態様に係るいずれかの生理学的データ収集方法のステップを実施することができる。
【0043】
本願の実施形態の第4の態様は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体を提供する。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶する。該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、ウェアラブル装置は、第1の態様に係るいずれかの生理学的データ収集方法のステップを実施することができる。
【0044】
本願の実施形態の第5の態様は、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品がウェアラブル装置上で実行された場合、ウェアラブル装置は、第1の態様に係るいずれかの生理学的データ収集方法のステップを実施する。
【0045】
本願の実施形態の第6の態様はチップシステムを提供する。チップシステムはプロセッサを含む。プロセッサはメモリに連結されている。プロセッサはメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行し、第1の態様に係るいずれか従って生理学的データ収集方法を実装する。
【0046】
チップシステムは、単一のチップ又は複数のチップを含むチップモジュールであり得る。
【0047】
第2の態様~第6の態様の有益な効果については、第1の態様における関連する説明を参照すべきことが理解されよう。詳細については、ここでは再度説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図2図2は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図3図3は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図4図4は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図5図5は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図6図6は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図7図7A及び図7Bは、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図8図8は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図9図9は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集方法の概略フローチャートである。
図10図10は、本願の一実施形態に係る生理学的データ収集装置の構造の概略図である。
図11図11は、本願の一実施形態に係るウェアラブル装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の説明では、本願の実施形態の十分な理解を促進するために、限定ではなく説明のために、特定のシステム構造や技術等の具体的な詳細を提供する。しかしながら、当業者であれば、本願は、これらの具体的な詳細なしで他の実施形態でも実施され得ることを知るべきである。他の場合では、不要な詳細によって不明瞭にすることなく本願を説明するために、周知のシステム、装置、回路及び方法の詳細な説明は省略される。
【0050】
本願の理解を容易にするために、本願の実施形態を先ず簡単に説明する。
【0051】
長時間睡眠及び短時間睡眠は、睡眠の持続時間に基づいて分類される2つの睡眠の種類である。長時間睡眠は、夜の睡眠等、睡眠持続時間が特定の持続時間閾値に達することを意味する。短時間睡眠は、午後の昼寝やうたた寝等の睡眠持続時間が短く、特定の持続時間閾値に達しないことを意味する。
【0052】
ユーザの長時間睡眠をモニタリングするには、先ず、長時間睡眠の間のユーザの生理学的データを収集する必要がある。長時間睡眠の間の生理学的データ収集を実施するために、関連技術では以下のいくつかの任意の行為がある。
【0053】
1.生理学的データの収集に関連するセンサを24時間作動させて生理学的データを継続的に収集する。
【0054】
この場合、ユーザが長時間睡眠を行う限り、収集された生理学的データは長時間睡眠の間の生理学的データを含む。したがって、長時間睡眠の間に収集された生理学的データの整合性は高い。しかしながら、収集を長期間行う必要がある。したがって、センサの消費電力が高くなり、ウェアラブル装置の消費電力が速くなり、バッテリの寿命が悪くなる。加えて、生理学的データが過度に収集される。したがって、ウェアラブル装置のデータ記憶及びデータ処理に大きな負荷がかかり、ウェアラブル装置のコストが増大する。
【0055】
2.当業者によって、生理学的データを収集する時間帯が、例えば22:00から10:00に予め設定される。ウェアラブル装置は、生理学的データを収集するために、関連するセンサをその時間内で毎日有効にする。その時間外では、関連するセンサはデフォルトで無効にされている。
【0056】
この場合、ウェアラブル装置は、毎日の決まった時間帯に生理学的データを取得し得る。1つの側面では、その時間帯内で長時間の睡眠を行うことに慣れた一部のユーザにとって、長時間睡眠の間の完全な生理学的データが収集され得る。しかしながら、別の時間帯内で長時間睡眠を行うことに慣れたユーザにとって、この場合、長時間睡眠の間の完全な生理学的データを収集するのは困難であり、長時間睡眠の間の生理学的データも完全に収集されないことがある。例えば、一部の夜勤のユーザは、通常、昼間に長時間睡眠を行う。この場合、22:00から10:00までの時間帯内の長時間睡眠の間にユーザの完全な生理学的データを収集できない。別の側面では、設定された時間帯は、通常、ユーザの実際の長時間睡眠時間と完全に一致することはほとんどない。したがって、長時間睡眠時間内にない生理学的データが収集され、収集された生理学的データは睡眠モニタリングに用いることができない。したがって、センサは不要な動作を行い、ウェアラブル装置の消費電力が増加する。
【0057】
長時間睡眠の間のユーザの生理学的データを効果的に収集し、生理学的データ収集によってもたらされるウェアラブル装置の消費電力を低減するために、本願の実施形態では、ユーザが入眠したかどうかが先ず検出される。センサを有効にするかどうかを判定するロジックは、ユーザが入眠した場合にのみトリガーされる。加えて、ユーザが実際の生活で特定の期間内に長時間睡眠を行う回数は非常に限られていると考えられる。例えば、1日では、長時間睡眠が行われるのには通常1回だけである。しかしながら、ユーザは、長時間睡眠に加えて、ある期間内で短時間睡眠を行う場合もある。したがって、ユーザが入眠する毎にセンサを有効にした場合、センサは必然的に過度の無駄な生理学的データを収集することになる。これは消費電力の増加をもたらす。したがって、本願の実施形態では、ユーザの実際の状況に基づいて長時間睡眠の回数閾値が設定される。ユーザが入眠していることが検出された場合、ユーザが最近の期間に長時間睡眠を行う回数が回数閾値に達したかどうか判定される。回数閾値に達していない場合、睡眠は長時間睡眠であり得ることを示す。この場合、本願の実施形態では、ユーザの生理学的データを収集するためにセンサが有効にされる。本願の実施形態では、ユーザが目を覚ましたこと、つまり睡眠が終わった後であることが検出された場合、センサは無効にされ、生理学的データ収集が終了する。
【0058】
本願の実施形態では、ユーザが入眠し、ユーザが最近の期間に長時間睡眠を行った回数が回数閾値に達していない場合に、センサが有効にされる。関連技術と比べて、ユーザが起きている時間帯にセンサを有効な状態で維持される場合を回避できる。通常の生活や仕事では、ユーザはほとんどの時間しらふの状態にある。したがって、関連するセンサを1日中有効な状態で維持するのと比較して、本願の実施形態は、大量のセンサ収集動作及び消費電力を低減できる。予め設定された時間帯内にセンサを固定的に有効な状態で維持する場合と比較して、これは、実際のユーザの睡眠習慣により適応でき、目覚めた状態にあるユーザの生理学的データを収集する場合を低減する。また、回数閾値を設定することで、ユーザの全ての睡眠期間に対して生理学的データの収集が行われる場合を効果的に回避でき、関連するセンサを短時間睡眠に対して有効にする可能性が少なくなる。したがって、生理学的データ収集のための消費電力を低減できる。結論として、本願の実施形態では、ユーザが目を覚ましているときに行われる生理学的データ収集を回避でき、ユーザが短時間睡眠の間に生理学的データ収集を行う場合を低減できる。長時間睡眠の間に生理学的データを正確に収集できる。したがって、ウェアラブル装置の低消費電力及び電池の長寿命化のために、長時間睡眠の間に関連するセンサにより生理学的データを収集する作業負荷に加えて消費電力を低減できる。
【0059】
加えて、本願の実施形態で用いられ得るいくつかの用語を以下で説明する。
【0060】
持続時間閾値:長時間睡眠は、ユーザが身体機能及び精神を回復するために休息する重要な方法である。したがって、長時間睡眠は、ユーザが十分に休息するように長い持続時間を有する必要がある。本願の実施形態では、ユーザの1回の睡眠持続時間が十分かどうかを測定するために持続時間閾値が用いられる。つまり、持続時間閾値を用いることにより長時間睡眠と短時間睡眠とを区別する。睡眠持続時間が持続時間閾値に達すると、睡眠は長時間睡眠であると見なされ得る。反対に、持続時間閾値に達していない場合、睡眠は短時間睡眠と見なされ得る。実際の適用では、持続時間閾値は当業者によって設定され得る。例えば、持続時間閾値は、5時間~6時間以内の任意の持続時間に設定され得る。あるいは、当業者がユーザの睡眠時間に関する統計を調査及び収集した後に、持続時間閾値が決定され得る。あるいは、ユーザの実際の睡眠習慣に基づいて分析を行って、ユーザに適した持続時間閾値が取得され得る。本明細書ではこれは具体的且つ過度に限定されない。
【0061】
睡眠モニタリング:本願の実施形態では、睡眠モニタリングは、ユーザの長時間睡眠のモニタリングのことをいう。具体的には、ユーザの長時間睡眠の間に収集された生理学的データを分析し、特定の分析結果(つまり、睡眠分析データ)を生成し、ユーザが、ユーザの長時間睡眠状態を学習するのに役立つようにする。分析結果は、睡眠データのパース(例えば、深い睡眠、浅い睡眠及び急速眼球運動睡眠の3つの睡眠周期の持続時間と、長時間睡眠全体の間の各周期の分布時間)、睡眠の質スコア又は睡眠指導の提案又は他の内容であり得る。これは、実際の要件に基づいて当業者によって具体的に設定され得る。本願の以下の実施形態における(第1の生理学的データ及び第2の生理学的データを含む)生理学的データは、ユーザに対して睡眠モニタリングを行うために用いられる生理学的データである。睡眠モニタリングの間に収集される特定の種類の生理学的データ及び睡眠モニタリングの分析方法は、本願の実施形態で過度に限定されない。例えば、心拍数、パルス波形及び生体インピーダンスのうちのいずれか1つ以上を、本願の実施形態における生理学的データとして用いてよい。異なる選択された生理学的データに基づいて、本願の実施形態における対応する分析方法として、心電図(electrocardiogram、ECG)、光プレチスモグラフ(Photo Plethysmo Graphy、PPG)法又は生体電気インピーダンス分析(Bioelectrical Impedance Analysis、BIA)法が用いられ得る。
【0062】
なお、本願の実施形態では、睡眠モニタリングはウェアラブル装置によって提供される機能である。実際の適用では、睡眠モニタリング機能は、デフォルトで常に有効に設定され得るか又はユーザに対して機能を有効若しくは無効にするオプションが提供され得る。これは、ウェアラブル装置のメーカーによって具体的に設定され得る。睡眠モニタリング機能がデフォルトで常に有効に設定されている場合、ユーザがウェアラブル装置を用いる場合に、本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法が行われる。睡眠モニタリング機能を有効または無効にするオプションがユーザに提供されている場合、ユーザが睡眠モニタリング機能を有効にすることを選択した場合に、本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法が行われる。したがって、睡眠モニタリング機能が有効な状態で維持された場合に、本願の以下の実施形態の全てが行われる。
【0063】
第1のセンサとは、ユーザに対して睡眠モニタリングを行うために用いられる生理学的データを収集するセンサのことをいう。本願の実施形態では、特に指定がない限り、「センサ」とは「第1のセンサ」のことをいう。したがって、第1のセンサの種類は、実際に収集する必要がある生理学的データに基づいて決定する必要がある。本明細書では、これは過度に限定されない。例えば、収集する必要がある生理学的データが心拍数の場合、本願の実施形態では心拍数センサが第1のセンサとして用いられ得る。収集する必要がある生理学的データがパルス波形の場合、光学式心拍数センサが第1のセンサとして用いられ得る。収集する必要がある生理学的データが生体インピーダンスの場合、生体電気インピーダンスセンサが第1のセンサとして用いられ得る。加えて、本願の実施形態では、第1のセンサの数は過度に限定されておらず、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。
【0064】
履歴睡眠データとは、過去の期間(すなわち、第3の期間)内でのユーザの睡眠に関するデータのことをいう。履歴睡眠データに具体的に含まれるデータ内容は、実際の要求に基づいて当業者によって設定され得る。本明細書では、これは限定されない。例えば、履歴睡眠データは、過去の期間内での長時間睡眠における入眠時点及び目覚め時点を含むように設定され得る。あるいは、履歴睡眠データは、過去の期間内の全ての睡眠期間における入眠時点及び目覚め時点を含むように設定され得る。あるいは、履歴睡眠データは、過去の期間内での全ての睡眠期間における入眠時点及び目覚め時点を含み、長時間睡眠の間に収集されたユーザの生理学的データをさらに含むように設定され得る。加えて、過去の期間の特定の範囲は本明細書では限定されず、必要に応じて当業者によって設定され得る。例えば、範囲が過去1週間又は過去1か月に設定され得る。
【0065】
ユーザ活動日とは次のことをいう:実際の生活では、通常、暦日は各日の00:00から翌日の00:00(つまり、当日の00:00から翌日の00:00まで;本明細書では、各暦日の期間範囲の説明を容易にするために、最小時間単位を秒に設定する;理論的には、最小時間単位がさらに精緻化されて、例えば、ミリ秒に設定され得る;本明細書では、これは限定されない)に分割される。つまり、各日の00:00から24:00までの期間が当日の期間であるとみなされる。しかしながら、実際の状況では、ユーザは主に暦日をまたいで長時間睡眠を行う。例えば、夜間の睡眠は当日の夜から翌日の朝まで通常続き、翌日の00:00をまたぐ。したがって、長時間睡眠の間にユーザに対して生理学的データの収集及び分析を毎日行う場合に、データを従来の暦日方式で区別すると、生理学的データが不適切に分離され得る。
【0066】
長時間睡眠の発生時間特性により良く適応し、長時間睡眠の間の適切な生理学的データの収集及び分析を実施するために、本願の実施形態では「ユーザ活動日」の概念が提案される。ユーザ活動日とは、暦日の開始時点から24時間後の終了時点までの期間のことをいう。開始時点は暦日の00:00から、その暦日の24:00までの任意の時点であり、終了時点は開始時点から24時間後の時点であり得る(つまり、ユーザ活動日の持続時間も24時間である)。例えば、ユーザ活動日の開始時点が20:00:00の場合、終了時点は次の暦日の19:59:59である(つまり、暦日の午後8時00分から次の暦日の午後8時00分の前の時点まで;本明細書では、各ユーザ活動日の説明を容易にするために、最小時間単位を秒に設定する;理論的には、最小時間単位がさらに精緻化されて、例えば、ミリ秒に設定され得る;本明細書では、これは限定されない)。この場合、当暦日の20:00:00から次の暦日の19:59:59までの期間をユーザ活動日という。ユーザ活動日の開始時点は、本願の実施形態では過度に限定されておらず、実際の要求に基づいて当業者又はユーザによって設定され得る。例えば、夜に長時間睡眠を行うユーザの場合、開始時点は、例えば、暦日の午後の時点に、例えば8:00に設定され得る。昼間に長時間睡眠を行う必要があるユーザ(例えば、夜間勤務が必要な一部のユーザ)の場合、開始時点は早朝の時点に、例えば3:00に設定され得る。開始時点が00:00に設定された場合、ユーザ活動日は暦日と同じになる。つまり、ユーザ活動日は暦日である。
【0067】
なお、本願の以下の実施形態では、実施形態で別段明記がない限り、実施形態における「当日」とは、デフォルトでは当暦日ではなく、当ユーザ活動日のことをいう。「各日」とは各ユーザ活動日のことをいう。
【0068】
回数閾値:一般的に、ユーザが各日に長時間睡眠を行う回数は限られている。1つの側面では、1日の持続時間は限られており、長時間睡眠はその都度長い期間を要する。したがって、長時間睡眠を1日に複数回行うのは困難である。別の側面として、身体機能及び精神を回復させるための主な休息方法として、短時間の長時間睡眠息により休息効果を得ることができる。長時間の長時間睡眠は人体を失神状態に陥らせ、休息効果を悪化させる。この実際の状況に基づいて、本願の実施形態では、ユーザが毎日長時間睡眠を長時間に行っているかどうかを測定するために回数閾値が設定される。回数が回数閾値よりも少ない場合、回数は少ないとみなされ、その後の睡眠は依然長時間睡眠であり得る。回数が回数閾値以上の場合は、回数は比較的多いとみなされ、その後のユーザの睡眠は長時間睡眠でない可能性が高い。回数閾値が0より大きい場合、回数閾値の具体的な値は実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。本明細書では、これは過度に限定されない。例えば、特定の値は1又は2に設定され得る。
【0069】
本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法は、バンド、時計及びリング等のウェアラブル装置に適用され得る。この場合、ウェアラブル装置は、本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法の実行体である。
【0070】
本願の以下の実施形態では、第1のセンサが光学式心拍数センサである例を解決策の説明のために用いる。したがって、PPGの原理を以下で先ず説明する。
【0071】
PPGは、光電手段を用いることによりユーザの血液量の変化を検出する非侵襲的な検出分析方法である。光心拍センサは、発光体(PPGランプとも呼ばれ、発光ダイオード等の発光装置であり得る)と、感光センサ(光電受信機とも呼ばれる)とを含む。検出の間、PPGランプは、ユーザの皮膚に波長の光ビームを照射するために有効のまま維持される。皮膚表面に到達した後、光ビームは透過又は反射の方法で感光センサによって受信される。このプロセスでは、感光センサによって受信された光の強度は、皮膚の筋肉及び血液の吸収及び減衰によって弱められる。皮膚の筋肉、骨等の光の吸収は、血循環過程の全体で基本的に変化しない。しかしながら、皮膚の血液量は心臓の働きによって脈動的に変化する。したがって、感光センサによって受信される光の強さも脈動的に変化する。光ビームを受信した後に、感光センサは光の強度の変化を電気信号に変換するため、血液量の変化のデータを得ることができる。そして、電気信号がデジタル信号に変換されるため、睡眠モニタリングに用いられるPPG信号を得ることができる。最後に、PPG信号をさらに抽出し、周波数領域分析方法又は時間領域分析法等の分析方法を用いることにより分析することにより、ユーザの長時間睡眠プロセスにおける血中酸素や脈拍数等の生体データ分析結果を得ることができる。
【0072】
前述の説明から、第1のセンサが光心拍数センサの場合、光心拍数センサを有効にすることは、本質的にPPGランプを有効にすることを意味することが分かる。光心拍数センサを無効にすることは、PPGランプを無効にすることを意味する。PPGランプが有効にされたままの場合、消費電力が高くなる。したがって、本願の実施形態では、生理学的データを収集するための消費電力を低減するために、PPGランプを有効にする機会を制御する必要がある。
【0073】
加えて、本願の実施形態では、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できるかどうかに基づいて、適用ケースが2種類に分類される。
【0074】
ケース1:ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できない。
【0075】
ケース2:ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できる。
【0076】
ケース1は、ユーザがウェアラブル装置を購入した後の期間又はウェアラブル装置のデータがクリアされた後の期間に主に起こる。この場合、ユーザはウェアラブル装置を短時間使用し、睡眠モニタリングを受けていない可能性すらある。その結果、ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得することができない。ケース2は、ユーザがウェアラブル装置をある期間使用した後に起こる。この場合、ウェアラブル装置はある期間内でユーザの履歴睡眠データを記録している。
【0077】
ケース1の場合、本願の実施形態では、ユーザが入眠しているかどうか及びユーザの長時間の睡眠状態に基づいて、第1のセンサを有効にするかどうかが判定され得る。
【0078】
ケース2の場合、本願の実施形態では、ユーザが入眠しているかどうか及びユーザの長時間の睡眠状態に基づいて、第1のセンサを有効にするかどうかが判定され得る。あるいは、ユーザが入眠しているかどうか、入眠時点及び長時間睡眠状態に基づいて、第1のセンサを有効にするかどうかが判定され得る。
【0079】
本明細書では、ケース1に対応する生理学的データ収集の技術的解決策を、特定の実施形態を用いることにより先ず説明する。特定の実施形態では、第1のセンサは光学式心拍センサであると仮定する。図1は、本願の実施形態に係る生理学的データ収集方法の実施フローチャートを示す。S101~S105の詳細を以下で説明する。
【0080】
S101:睡眠モニタリング機能が有効で維持されている場合、ウェアラブル装置はユーザが入眠しているかどうかを検出する。
【0081】
本願の実施形態では、睡眠モニタリング機能が有効で維持されている場合、ウェアラブル装置は、ユーザが睡眠に入ったか(つまり入眠)どうかを検出する。入眠検出のために用いられるセンサ及び検出方法は、本願の実施形態では過度に限定されず、実際の要求に基づいて当業者によって設定され得る。一部の任意の実施形態では、入眠検出のための消費電力を低減するために、ユーザの運動データを検出可能ないくつかの運動センサを選択して、ユーザが入眠しているかどうか検出され得る。つまり、ユーザが入眠しているかどうかは、運動センサによって検出された運動データに基づいて特定される。例えば、加速度計(accelerometer、ACC)を使用してユーザの動作信号を収集し、収集された動作信号に基づいて、ユーザが入眠状態にあるかどうかが特定され得る。例えば、ユーザの動作がある期間内で小さい場合に、ユーザ入眠していると判定され得る。
【0082】
S102:ユーザが入眠していることが検出された場合、ウェアラブル装置は、ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数を取得し、その回数が回数閾値未満かどうかを判定する。その回数が回数閾値未満の場合はS103が行われる。回数が回数閾値以上の場合はS105が行われる。
【0083】
本願のこの実施形態では、ユーザが各日(つまり、各ユーザ活動日)に長時間睡眠に入った回数(つまり、第1の回数)を記録する。具体的には、ユーザが長時間睡眠を行っていることを検出するたびに、回数が1増加される。新たなユーザ活動日が始まると、回数は0(つまり、第1の回数の初期値は0である)にリセットされる。なお、本願の実施形態では回数の記録方法には限定されず、当業者によって設定され得る。例えば、0、1又は2といった回数の実数値を記録するためにパラメータが設定され得る。あるいは、少なくとも2つの状態を有するフラグビットが設定され、フラグビットの異なる状態を用いて異なる回数の値を表してもよい。この場合、回数の各変化はフラグビットの状態変化に対応する。例えば、フラグビットとしてビットが設定され得る。この場合、2つの状態は0及び1で記録され得る。2つの状態は、それぞれ2つの回数値に関連し得る。例えば、状態0は回数値0に対応し、状態1は回数値1に対応する。加えて、ユーザが各日に長時間睡眠に入っていることを検出する方法は本明細書では限定されず、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。例えば、ユーザが入眠する度に睡眠持続時間が検出され、その持続時間が持続時間閾値以上の睡眠が長時間睡眠と判定される。
【0084】
ユーザが入眠したことが検出された場合、本願の実施形態では、ユーザが当日(つまり、当ユーザ活動日)に長時間睡眠に入った回数が取得される。つまり、当ユーザ活動日にユーザが長時間睡眠に入った回数は、記録された回数の読み出し、フラグビットの状態の特定すること等によって特定される。本願の任意の実施形態では、当ユーザ活動日を以前の活動日と区別するために、当ユーザ活動日に経過した期間を第1の期間ということがある。この場合、S102は以下の通りである。
【0085】
ユーザが入眠していることが検出された、ウェアラブル装置は、第1の期間内にユーザが長時間睡眠に入った第1の回数を取得する。
【0086】
たとえば、ユーザ活動日は各暦日の午後8:00から、次の暦日の午後8:00の前の時点まで設定されていると仮定する。加えて、ユーザは2020年8月13日の午後10時に入眠したことが検出されたと仮定する。この場合、第1の期間は、2020年8月13日の午後8:00から午後10:00までの期間のことをいう。つまり、この期間内にユーザが長時間睡眠に入った回数を取得する必要がある。しかしながら、ユーザが午後8:00より前に寝たことが検出された場合、第1の期間を前で決定する必要がある。例えば、ユーザが2020年8月13日の午後5:00に入眠したことが検出されたと仮定する。この場合、第1の期間は、2020年8月12日の午後8:00から2020年8月13日の午後5:00までの期間のことをいう。この場合、第1の期間は暦日をまたぐ。
【0087】
本願の任意の実施形態では、第1の期間は、現在の時点の前の期間であり得る。この場合、第1の期間は、ユーザ活動日に関連しても、関連しなくてもよい。具体的には、第1の期間は、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。例えば、範囲は過去の期間、例えば24時間に設定され得る。この場合、ユーザが過去の期間内で長時間睡眠を行う回数も評価され、その回数に基づいて第1のセンサを有効にするかどうかが判定される。
【0088】
ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数が特定された後に、本願のこの実施形態では、その回数が予め設定された回数閾値に達したかどうか判定される。回数が予め設定された回数閾値に達していない場合、ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数は少なく、ユーザは今回長時間睡眠に入る可能性が高いことを示す。したがって、この場合、長時間睡眠の間の生理学的データを収集するために、第1のセンサを有効にする動作がS103で行われる。
【0089】
反対に、ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数が回数閾値に達した場合、つまり、回数が回数閾値以上の場合、ユーザが当日に長い時間長時間睡眠に入ったことを示す。したがって、睡眠が短時間睡眠である可能性が高い。したがって、この場合では、S103での第1のセンサを有効にする動作は行われない。
【0090】
本願の任意の実施形態では、実際のケースでは、1ユーザ活動日に、ユーザが最初に入眠ときに、ユーザが以前に長時間睡眠に入る回数は0であり、回数閾値よりも確実に少ないとみなされる。したがって、毎日最初に入眠した場合は、理論的に、第1の回数を取得する必要はなく、第1の回数は回数閾値よりも少ないと直接判定され得る。この場合、S102は以下のものに置き換えられ得る。
【0091】
ユーザが入眠していることが検出された場合、該入眠が第1の期間内で最初の入眠かどうかが特定され、
前記入眠が最初の入眠の場合、前記第1の回数は回数閾値未満であると判定する。
【0092】
本願のこの実施形態では、ユーザが入眠していることが検出された場合、その入眠が第1の期間内で最初の入眠かどうかが特定される。その入眠が最初の入眠の場合、ユーザが長時間睡眠に入った回数の特定の値は得られない(つまり、第1の回数の値に関わらず)。代わりに、その回数は回数閾値未満であると判定され、次のステップの生理学的データ収集が開始される。
【0093】
それに対応して、入眠が、第1の期間内での最初の入眠でない場合、S102の独自ロジックが次のように行われる。ウェアラブル装置は、ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数を取得し、その回数が回数閾値未満かどうかを判定して処理を行う。
【0094】
本願の任意の実施形態では、ユーザが長時間睡眠に入った回数が回数閾値に達したことを検出されたに後、ユーザが後で長時間睡眠に入ったかどうかにかかわらず、本願の実施形態では、ユーザが長時間睡眠に入った回数は更新されない。つまり、第1の回数が回数閾値と等しい場合、当ユーザ活動日の第1の回数は更新されない。更新されないとは、第1の回数が特定の値を用いて記録された場合に、第1の回数の値はもはや増加されないことを意味する。第1の回数がフラグビットを用いて記録される場合、フラグビットの状態はもはや変化しない。
【0095】
ユーザが長時間睡眠に入る回数が回数閾値に達すると、本願の実施形態では、当ユーザ活動日にユーザは長時間睡眠をもはや行わないと見なされる。したがって、第1の回数はその後更新されないため、長時間睡眠の特定を行う作業負荷と、回数を記録する作業負荷とを低減できる。
【0096】
S103:ウェアラブル装置は、第1のセンサを有効にし、第1のセンサを用いることによりユーザの第1の生理学的データを収集する。
【0097】
当ユーザ活動日にユーザが長時間睡眠に入った回数が、回数閾値に達していないと判定された場合、ユーザの睡眠は長時間睡眠である可能性が高いことを示す。したがって、この場合、ウェアラブル装置はPPGランプを有効にし、PPGランプ及び感光センサを用いることによりユーザの生理学的データを収集する。本願のこの実施形態では、このときに収集された生理学的データを第1の生理学的データという。
【0098】
S104:ユーザが入眠した後に、ウェアラブル装置はユーザが目を覚ましたかどうかを検出し、ユーザが目を覚ました場合に、ウェアラブル装置は第1のセンサを無効にする。
【0099】
S105:ユーザが入眠した後に、ウェアラブル装置はユーザが目を覚ましたかどうかを検出し、ユーザが目を覚ました場合、ウェアラブル装置は戻ってS101を行って、ユーザが入眠したかどうかのモニタリングを続ける。
【0100】
ユーザが入眠した後、ウェアラブル装置はユーザが眠りから覚めたかどうか、つまり、睡眠が終わったかどうかのモニタリングを続ける。PPGランプが有効になっていない場合、PPGランプを無効にする必要はなく、対応する生理学的データは収集されない。したがって、本願のこの実施形態では、ウェアラブル装置はS101での動作を行うために戻り、ユーザに対して睡眠モニタリングを続けて、ユーザの次の睡眠の検出を開始する。
【0101】
PPGランプを有効にする必要がある場合、ウェアラブル装置はPPGランプを無効にして、ユーザの生理学的データの収集を終了し、現在の睡眠プロセスで生理学的データを取得する。ユーザの目覚めをモニタリングするために用いられるセンサ及び検出方法は、本願の実施形態では過度に限定されておらず、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。一部の任意の実施形態では、目覚め検出のための消費電力を低減するために、ユーザの運動データを検出可能ないくつかの運動センサを選択して、ユーザが目覚めたかどうかを検出し得る。つまり、ユーザが目覚めたかどうかは、運動センサによって検出された運動データに基づいて特定される。例えば、ユーザの動作信号を収集し、収集された動作信号に基づいて、ユーザが監視状態にあるかどうかを特定するためにACCが用いられ得る。例えば、ユーザが入眠した後に、ユーザが大きな振幅で動き、その動きがある期間続くケースが検出された場合、ユーザが目を覚ましたと判定される。
【0102】
PPGランプが無効された後に、一側面において、本願のこの実施形態では、ウェアラブル装置はS101での動作を行うために戻り、ユーザに対する睡眠モニタリングを続けてユーザの次の睡眠の特定を開始し得る。
【0103】
別の側面において、睡眠の間の生理学的データが収集されており、睡眠の入眠時点及び目覚め時点が知られている。したがって、入眠時点及び目覚め時点に基づいて睡眠持続時間(つまり、第1の期間)が先ず特定され得る。睡眠持続時間が持続時間閾値以上の場合、睡眠は長時間睡眠であることを示す。睡眠持続時間が持続時間閾値未満の場合、睡眠は短時間睡眠であることを示す。この場合、ウェアラブル装置の記憶スペースを節約するために、このときに収集された生理学的データは破棄され得る。
【0104】
睡眠が長時間睡眠の場合、以下の動作が行われ得る。
【0105】
動作1:当ユーザ活動日にユーザが長時間睡眠に入る回数を更新する。
【0106】
本願のこの実施形態ではユーザの実際の長時間睡眠状態を判定し、ユーザが入眠したことを検出した場合に第1のセンサを有効にする必要があるかどうかを判定するために、当ユーザ活動日にユーザが実際に長時間睡眠に入った回数を記録する必要がある。したがって、睡眠が長時間睡眠であることが特定された場合、本願の実施形態ではその回数を更新して、その回数をリアルタイムで更新する。パラメータを用いることによりその回数の実数値を記録することを選択した場合、回数を更新することはその実数値に1を加算することをいう。フラグビットを用いることによりその回数を記録する場合、その回数を更新することは、フラグビットの状態を1が加算された元の回数に対応する状態に更新することをいう。例えば、ビットがフラグビットに設定され、状態0が回数値0に対応し、状態1が回数値1に対応すると仮定する。加えて、睡眠の前に、当ユーザ活動日にユーザが長時間睡眠を行う回数は0であると仮定する。この場合、ビットの状態を0+1=1に対応する状態、つまり状態1に変更する必要がある。
【0107】
本願の任意の実施形態では、ユーザが長時間睡眠に入る回数が回数閾値に達したことが検出された後、当ユーザ活動日にユーザが長時間睡眠に入る回数は、ユーザが後で長時間睡眠に入るかどうかに関わらず更新されないように設定されている。この場合、回数を更新することは、現在の状況の回数を維持することをいう。
【0108】
なお、第1の期間が当ユーザ活動日でない場合、動作1を次のものに置き換えられ得る。第1の期間内にユーザが長時間睡眠に入った回数を更新する。原理及び動作内容は基本的に動作1と同じである。詳細についてはここでは再度説明しない。
【0109】
動作2:このときに収集された生理学的データを分析し、対応する睡眠分析データを取得して、長時間睡眠のモニタリングを実施する。
【0110】
ユーザの長時間睡眠のモニタリングを実施するために、本願のこの実施形態では、睡眠が長時間睡眠であると判定された後に、長時間睡眠の間に収集された生理学的データを分析して、対応する分析結果が得られ得る。生理学的データの分析方法及び分析結果の具体的な内容については、本明細書では過度に限定されておらず、実際の状況に基づいて当業者によって設定され得る。加えて、分析された生理学的データはウェアラブル装置にローカルに保存されてもいいし、ローカルで削除されてもよい。
【0111】
本願のこの実施形態では、ウェアラブル装置がユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できない場合、ウェアラブル装置は、睡眠モニタリングが有効になっている期間の間センサを継続的に有効にせず、ユーザが入眠したかどうかを継続的に検出する。ユーザが入眠していることが検出され他場合、当活動日(又は第1の期間)にユーザが長時間睡眠を入った回数が回数閾値に達したかどうかが判定される。加えて、回数閾値に達していない場合にのみセンサが有効にされて、ユーザの生理学的データを収集する。加えて、ユーザが眠っている場合は、ユーザに対して目覚めモニタリングが継続して行われ、ユーザが目を覚ましていることが検出された場合にセンサが無効にされる。
【0112】
実際の生活で、ユーザが特定の期間内に長時間睡眠を行う回数は非常に限られていると考えられる。したがって、本願のこの実施形態では、センサを有効にするかどうかの判定は、ユーザが入眠しているかどうか及び最近の期間内での長時間睡眠の回数が回数閾値に達しているかどうかという2つの条件に基づく。回数閾値に達していない場合、センサは有効にされる。関連技術と比較して、ユーザが目を覚ましている期間にセンサの有効状態が維持されるケースを回避できる。通常の生活及び仕事では、ユーザはほとんどの場合しらふの状態にある。したがって、関連するセンサを1日中有効にする場合と比較して、本願のこの実施形態は、大量のセンサ収集作業及び消費電力を減らすことができる。予め設定された時間帯内にセンサを固定的に有効な状態で維持する場合と比較して、これは、実際のユーザの睡眠習慣により適応でき、目覚めた状態にあるユーザの生理学的データを収集する場合を低減する。加えて、回数閾値を設定することで、ユーザの全ての睡眠期間に対して生理学的データの収集が行われる場合を効果的に回避でき、関連するセンサを短時間睡眠に対して有効にする可能性が少なくなる。したがって、生理学的データ収集のための消費電力を低減できる。結論として、本願の実施形態では、ユーザが目を覚ましているときに行われる生理学的データ収集を回避でき、ユーザが短時間睡眠の間に生理学的データ収集を行う場合を低減できる。長時間睡眠の間に生理学的データを正確に収集できる。したがって、ウェアラブル装置の低消費電力及び電池の長寿命化のために、長時間睡眠の間に関連するセンサにより生理学的データを収集する作業負荷に加えて消費電力を低減できる。
【0113】
加えて、PPGランプを有効にする必要がある場合に、PPGランプを正確に有効にすることで、ユーザが短時間睡眠を行う場合にユーザに対するPPGランプによる干渉を回避できるため、ユーザの睡眠の質を改善できる。
【0114】
上記のケース2の場合、ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データに対応する生理学的データ収集解決策を取得し得る。これを特定の実施形態を用いて説明する。具体的な実施形態では、第1のセンサは光学式心拍数センサであると仮定する。図2は、本願の実施形態に係る生理学的データ収集方法の実施のフローチャートを示す。詳細について以下で説明する。
【0115】
S201:睡眠モニタリング機能が有効な状態で維持されている場合、ウェアラブル装置はユーザが入眠しているかどうかを検出する。
【0116】
S202:ユーザが入眠していることが検出された場合、当日にユーザが長時間睡眠に入った回数を取得し、その回数が回数閾値未満かどうかを判定する。回数が回数閾値未満の場合はS203が行われる。回数が回数閾値以上の場合はS205が行われる。
【0117】
S203:ウェアラブル装置は第1のセンサを有効にし、第1のセンサを用いることによりユーザの第1の生理学的データを収集する。
【0118】
S204:ユーザが入眠した後に、ウェアラブル装置は、ユーザが目を覚ましているかどうかを検出し、ユーザが目を覚ましている場合、ウェアラブル装置は第1のセンサを無効にする。
【0119】
S205:ユーザが入眠した後に、ウェアラブル装置はユーザが目を覚ましているかどうかを検出する。ユーザが目を覚ましている場合、ウェアラブル装置はS201を行うために戻って、ユーザが入眠したかどうかのモニタリングを続ける。
【0120】
本願のこの実施形態の原理、動作の詳細、有益な効果等は図1に示す実施形態のものと同じである。したがって、詳細については、図1に示す実施形態の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。加えて、図1に示す実施形態に関連する一部の詳細な、最適化された又は拡張された実施形態は、適用のために本願のこの実施形態とも組み合わされ得る。例えば、ユーザの長時間睡眠の回数が更新され、収集された生理学的データが分析される等の実施形態も、本願のこの実施形態を参照して適用され得る。これらの実施形態の具体的な詳細については、図1に示す実施形態の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0121】
本願のこの実施形態では、ウェアラブル装置はユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できるが、ウェアラブル装置は履歴睡眠データを使用しないように選択することができる。選択は、ウェアラブル装置はユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できないというケース1のものと同じ処理方法で処理を行うことである。
【0122】
ケース2について、図3は、本願の実施形態に係る別の生理学的データ収集方法の実施のフローチャートを示す。実際の生活では、長時間の睡眠はユーザにとって規則的な活動であるとみなされる。一般に、ユーザは毎日決まった時間に入眠する。これに基づいて、本願のこの実施形態では、ユーザの実際の長時間睡眠状態に基づいて、ユーザが一般的に長時間睡眠に入る入眠時点範囲(つまり、第2の期間)を特定する。睡眠モニタリングが行われる場合、センサを有効にするための決定条件として、ユーザが入眠しているかどうか、入眠時点が入眠期間に属するかどうか及び当ユーザ行動日での長時間睡眠時間の回数が回数閾値に達したかどうかという3つの条件が同時に用いられる。詳細について以下で説明する。
【0123】
S301:睡眠モニタリング機能が有効状態で維持されている場合、ウェアラブル装置はユーザが入眠しているかどうかを検出する。
【0124】
S301の動作の詳細はS101のものと同じである。詳細については、S101の説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度記載しない。
【0125】
S302:ユーザが入眠していることが検出された場合、ウェアラブル装置は、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定する。
【0126】
ユーザは、実際に長時間睡眠を定期的に行うとみなされる。例えば、ほとんどのユーザは夜に入眠する。仕事又は生活の要件で日中の休息が必要な一部のユーザであっても、日中に休息するために長時間睡眠をとることはユーザにとって習慣的である。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザが日常的に長時間睡眠に入る入眠時点範囲がユーザの実際の長時間睡眠状態に基づいて予め決定される。「予め」とは、「入眠時点が第2の期間内かどうかを特定する」動作を行う前の時点のことをいう。
【0127】
入眠時点範囲の具体的なケースは本願の本実施形態では限定されておらず、実際のユーザの状況に基づいて当業者又はユーザによって決定され得る。例えば、一部の任意の実施形態では、当業者又はユーザは、ユーザの長時間睡眠の実際の入眠状態に基づいて、入眠時点範囲を手動で設定し得る。例えば、範囲は、毎日午後8:00から午後12:00までの期間に設定され得る。あるいは、一部の他の任意の実施形態では、ウェアラブル装置は、ユーザの入眠時点範囲(この場合、第2の期間は、ユーザの履歴睡眠データに基づいて決定された期間データである)を取得するために、ユーザの履歴睡眠データに基づいて分析を行い得る。なお、入眠時点範囲は単一の期間であってもいいし、複数の異なる期間であってもよい。本明細書では、これは具体的に限定されない。例えば、範囲は、毎日午前11:00から午後1:00まで継続する期間及び午後10:00から午後12:00まで継続する期間のことをいい得る。
【0128】
本願の任意の実施形態では、図4に示すように、入眠時点範囲を決定する動作は下記のステップを含む。
【0129】
S401:第3の期間内のユーザの履歴睡眠データを取得する。
【0130】
S402:履歴睡眠データを分析して、第2の期間を取得する。
【0131】
本願のこの実施形態では、過去の期間(つまり、第3の期間)内のユーザの履歴睡眠データが取得される。履歴睡眠データは、過去の期間内の1日あたりのユーザの入眠時点データ、すなわち1日あたりのユーザの入眠時点を含む。履歴睡眠データはウェアラブル装置、外部メモリ又はウェアラブル装置とデータをやりとり可能な別の装置にローカルに保存され得る。本願のこの実施形態では、入眠時点データの精度は過度に限定されておらず、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。例えば、精度が時間で測定される場合、入眠時点データは、ユーザが各日に入眠する特定の時点を記録する。精度が分で測定される場合、ユーザが各日に入眠する特定の時点及び特定の分を記録する。本願の実施形態では、履歴睡眠データに対応する「各日」は各暦日であっても、各ユーザ活動日であってもよい。
【0132】
本願のこの実施形態では、取得した履歴睡眠データに基づいて、履歴睡眠データ及びその入眠時点データを分析して、ユーザが日常的に長時間睡眠に入る入眠時点範囲を取得する。入眠時点データを分析する具体的な方法は、本願の実施形態では過度に限定されておらず、実際の要件に基づいて当業者によって設定され得る。例えば、一部の任意の実施形態では、ユーザの長時間睡眠に対応するデータは履歴睡眠データに基づいて抽出され、そのデータから各日内の長時間睡眠の入眠時点を特定し、入眠時点の上限及び下限を用いて入眠時点範囲を取得する。
【0133】
本願の任意の実施形態では、第3の期間はm日を含み、回数閾値はkであり、m及びkの双方は0より大きい整数であると仮定する。図5に示すように、S402の動作はS501~S503を具体的に含む。
【0134】
S501:履歴睡眠データ中のm日分のデータをそれぞれ分析し、第3の期間内で1日の睡眠持続時間が最も長いユーザのk回の睡眠期間のデータを特定する。
【0135】
本願のこの実施形態では、ユーザによって各日行われる長時間睡眠に対して、回数閾値kが設定される。したがって、履歴睡眠データが処理された場合、各日内でのユーザの各睡眠時間に対応する睡眠期間データを先ず特定する。加えて、各日の睡眠時間データから、睡眠持続時間(すなわち、入眠時点から目覚め時点までの継続する持続時間)が短い順にk回の睡眠の睡眠期間データを順次抽出して、k個の睡眠期間データを得る。この場合、1日の睡眠期間データの総数がk個未満の場合、その日内の睡眠時間データの全てが抽出される。k=1の場合、履歴睡眠データから、第3の期間内で1日当たりのユーザの睡眠持続時間が最も長い睡眠の睡眠期間データを特定するためにステップ1が行われる。ステップ1が行われた後で、最大でm×k個の睡眠期間データを得ることができる。
【0136】
S502:睡眠期間データから、睡眠持続時間が持続時間閾値以上の睡眠期間データを抽出して、n個の睡眠期間データを取得し、n個の睡眠期間データに含まれるn個の入眠時点を読み取り、nは0より大きい整数である。
【0137】
ピッキングにより睡眠期間データを取得した後に、本願のこの実施形態では、各睡眠期間データに対応する睡眠持続時間が継続時間閾値に達するかどうかを継続して判定し、持続時間閾値に達する睡眠期間データが抽出される。また、ユーザによって各日に実際に行われる長時間睡眠の睡眠期間データが取得される。そして、睡眠期間データから特定の入眠時点が読み取られる。このように、ユーザが実際に各日に長時間睡眠に入る時点を得ることができる。
【0138】
なお、1日の場合、持続時間閾値を満たす睡眠時間データの数は0~kの任意の値であり得る。数が0の場合、ユーザはその日のうちに長時間睡眠を行わないことを示す。この場合、ユーザは夜更かし等をしている可能性がある。説明を容易にするために、本願のこの実施形態では、持続時間閾値を満たす睡眠期間データの総数をnに設定する。
【0139】
本願のこの実施形態では、ユーザが各日に第3の期間内に長時間睡眠に入る入眠時点(すなわち、入眠時点データであり、本願のこの実施形態では、入眠時点データにはn個の入眠時点を含む)を抽出する。
【0140】
S503:n個の入眠時点を分析して、第2の期間を取得する。
【0141】
参照のために用いることができるn個の入眠時点を得た後に、本願の本実施形態ではこれらの入眠時点を分析して、ユーザの入眠挙動の規則を特定する。分析方法は次の通りであり得る。参照のために用いることができるn個の入眠時点の極値を求め、n個の入眠時点のモード数を求め、クラスタ分析等を行う。
【0142】
いくつかの任意の分析方法の例を以下で説明する。
【0143】
方法1:n個の入眠時点のうちの最も早い時点及び最も遅い時点(2つの極値)をそれぞれ、入眠時点範囲の開始時点及び終了時点として用いて、入眠時点範囲を決定する。各入眠時点は1日の中の1つの時点である。したがって、1日単位で比較した場合、入眠時点は連続している。本願のこの実施形態では、最も早い入眠時点を開始時点として用い、最も遅い入眠時点を終了時点として用いて、対応する入眠時点範囲を決定する。例えば、午後8:15、午後9:00、午後9:10及び午後10:00の合計4つの入眠時点があると仮定する。この場合、最も早い時点は午後8:15であり、最も遅い時点は午後10:00である。したがって、入眠時点範囲は午後8:15から午後10:00までである。
【0144】
方法2:この場合、n個の入眠時点の平均値uを先ず計算する。
【0145】
次に、n個の入眠時点の標準偏差pを計算する。
【0146】
最後に、T1=u-b×p及びT2=u+b×pを計算し、入眠時点範囲の開始時点をT1に設定し、終了時点をT2に設定する。この方法では、bは定数項係数であり、b>0である。実際の要件に基づいて、当業者によって特定の値が設定され得る。理論的には、bの値が大きいほど、入眠時点範囲が大きいことを示す。
【0147】
方法3:いくつかのクラスタリングアルゴリズムを用いることにより、n個の入眠時点に対してクラスタ分析を行って、入眠時点範囲を得る。例えば、クラスタリングアルゴリズムは、K-meansアルゴリズム、APクラスタリングアルゴリズム又はニューラルネットワークベースのクラスタリングモデルである。
【0148】
本願の任意の実施形態では、各人の長時間睡眠の持続時間は実際の用途で異なり得ると考えられる。したがって、ユーザの実際の睡眠習慣により適した持続時間閾値とするために、S502が行われた後に、本願のこの実施形態では、取得した履歴睡眠データに基づいて、既存の持続時間閾値が更新される。詳細を以下で説明する。
【0149】
S504:n個の睡眠期間データに対応するn個の睡眠期間を取得し、n個の睡眠期間に基づいて持続時間閾値を更新する。
【0150】
本願の本実施形態では、持続時間閾値を更新するための具体的な方法は限定されておらず、当業者によって設定され得る。例えば、n個の睡眠持続時間のうちの最も短い睡眠持続時間を持続時間閾値とて用いるか、n個の睡眠持続時間のモード数又は平均値を持続時間閾値として用いられ得る。
【0151】
本願のこの実施形態では、持続時間閾値を履歴睡眠データを用いることにより更新するため、持続時間閾値の値をユーザの実際の睡眠習慣に適応させることができる。したがって、ユーザの長時間睡眠を特定するプロセスでは、ユーザの長時間睡眠を特定する精度を高めることができるため、センサを有効にする時間をより正確に選択でき、センサを誤って有効にする可能性が低くなる。したがって、長時間睡眠の間にユーザの生理学的データを収集するための消費電力を低減できる。
【0152】
S303:ユーザの入眠時点が第2の時間内の場合、ウェアラブル装置は、ユーザが当日に長時間睡眠に入った回数を取得し、その回数が回数閾値未満かどうかを判定する。回数が回数閾値未満の場合はS304が行われる。回数が回数閾値以上の場合はS306が行われる。
【0153】
ユーザの入眠時点が入眠時点範囲内であると判定された場合、睡眠は長時間睡眠である可能性が高いことを示す。したがって、この場合、本願の本実施形態では、ユーザが当日に長時間睡眠を行う回数を特定する。長時間睡眠の回数を特定する動作の詳細、原理、有益な効果等は、S102のものと基本的に同じである。詳細については、S102の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0154】
なお、S303の「当日」は代替的に「第1の期間」に置き換えられ得る。第1の期間の説明については、S102の説明を参照されたい。詳細について、ここでは再度記説明しない。
【0155】
S304:ウェアラブル装置は第1のセンサを有効にし、第1のセンサを用いることによりユーザの第1の生理学的データを収集する。
【0156】
S305:ユーザが入眠した後、ウェアラブル装置はユーザが目を覚ましたかどうかを検出し、ユーザが目を覚ましている場合、ウェアラブル装置は第1のセンサを無効にする。
【0157】
S306:ユーザが入眠した後に、ウェアラブル装置はユーザが目を覚ましたかどうかを検出する。ユーザが目を覚ましている場合、ウェアラブル装置はS301を行うために戻って、ユーザが入眠したかどうかのモニタリングを継続する。
【0158】
S304~S306の動作は、S103~S105でのものと同じである。詳細については、S103~S105の説明を参照されたい。詳細について、ここでは再度記説明しない。
【0159】
加えて、図1に示す実施形態に関連する一部の詳細な、最適化された又は拡張された実施形態は、適用のために本願のこの実施形態とも組み合わされ得る。例えば、ユーザの長時間睡眠の回数が更新され、収集された生理学的データが分析される等の実施形態も、本願のこの実施形態を参照して適用され得る。これらの実施形態の具体的な詳細については、図1に示す実施形態の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0160】
例えば、図6に示すように、図1に示す実施形態の動作1に対応して、S305が行われた後に、本願のこの実施形態は以下のステップをさらに含み得る。
【0161】
S307:ユーザが目を覚ましたことが検出された後に、ユーザが入眠した時点からユーザが目を覚ました時点まで継続する第1の期間についての統計を収集する。
【0162】
S308:第1の期間が期間閾値以上の場合、睡眠は長時間睡眠であると判定し、第1の回数を更新する。
【0163】
睡眠の間の生理学的データが収集されており、睡眠の入眠時点及び目覚め時点が知られている。したがって、入眠時点及び目覚め時点に基づいて睡眠持続時間(つまり、第1の期間)が先ず特定され得る。睡眠持続時間が持続時間閾値以上の場合、睡眠は長時間睡眠であることを示す。睡眠持続時間が持続時間閾値未満の場合、睡眠は短時間睡眠であることを示す。この場合、ウェアラブル装置の記憶スペースを節約するために、このときに収集された生理学的データは破棄され得る。睡眠が長時間睡眠の場合、ユーザの長時間睡眠の回数が更新され得る。
【0164】
なお、第1の期間が当ユーザ活動日でない場合は、S308は次のものに置き換えられ得る。第1の期間が期間閾値以上の場合、睡眠は長時間睡眠であると判定し、第1の期間内にユーザが長時間睡眠に入った回数を更新する。原理及び動作の詳細はS308のものと基本的に同じである。詳細についてはここでは再度説明しない。
【0165】
S308で用いられる期間閾値は、最新の期間閾値である。つまり、S504で説明した方法で期間閾値が更新された場合、この場合は最新の更新された期間閾値が用いられる。
【0166】
加えて、S305が行われた後に、本願のこの実施形態では、睡眠の間のユーザの生理学的データが取得され得る。睡眠持続時間が持続時間閾値以上(つまり、S307を行った後に、第1の期間が期間閾値以上であることが特定される)の場合、睡眠は長時間睡眠であることを示す。これに対応して、睡眠の入眠時点及び目覚め時点も履歴睡眠データの一部になる。入眠時点範囲をリアルタイムで正確にして、異なる期間で変化し得るユーザの睡眠習慣(例えば、異なる季節により、睡眠習慣が異なり、入眠時点も異なり、1か月の間でも月初の睡眠習慣と月末の睡眠習慣とは異なることがある)に適応するために、S305を行った後に、本願のこの実施形態は以下のステップをさらに含み得る。
【0167】
S309:ユーザが目を覚ましたことが検出された後に、ユーザが入眠した時点からユーザが目を覚ました時点まで続く第1の期間についての統計を収集する。
【0168】
S310:第1の期間が期間閾値以上の場合、第3の期間内のユーザの履歴睡眠データを取得する動作をS401で行う。
【0169】
この場合、S401及びS402の動作がトリガーされ(図5に示す実施形態と組み合わされると、S501~S503の動作がさらにトリガーされる)、入眠時点範囲が適時に更新され得る。加えて、本願の実施形態が図6と組み合わせて適用された場合、S309はS307になる。
【0170】
本願の任意の実施形態では、睡眠習慣は入眠時点を含み、睡眠期間をさらに含むとみなされる。つまり、ユーザの長時間睡眠持続時間は、異なる期間によって異なり得る。したがって、S309が行われた後に、図5に示す実施形態と組み合わせて、本願のこの実施形態は以下のステップをさらに含み得る。
【0171】
第1の持続時間が持続時間閾値以上の場合、n個の睡眠期間データに対応するn個の睡眠持続時間を取得し、n個の睡眠持続時間に基づいて持続時間閾値を更新する動作がS504で行われる。
【0172】
本願のこの実施形態では、長時間睡眠の最後の入眠時点と睡眠持続時間が取得される毎に、入眠時点範囲及び持続時間閾値の適時な更新を、本願のこの実施形態では適時にトリガーできる。このように、本願のこの実施形態は、異なる期間におけるユーザの長時間睡眠習慣の変化に自動的に適応できる。したがって、長時間睡眠に対するより正確な特定を実施でき、誤ってセンサを有効にする可能性を低減できる。長時間睡眠の間にユーザの生理学的データを収集するための消費電力を低減できる。
【0173】
本願の任意の実施形態では、S301~S306の動作を行って、ユーザの長期睡眠を理論的に正確に特定することができる。しかしながた、実際の適用では、ユーザのある入眠時点範囲内で入眠して長期睡眠を行いたいと思っているが、外部要因の干渉によりユーザの睡眠が中断される(例えば、通話又は目覚まし時計等の騒音によって目を覚ます)というシナリオが存在し得ることが分かった。この場合、ユーザは長期睡眠に入りたいと通常思う。睡眠持続時間は持続時間閾値未満であり、ユーザの次の入眠時点は入眠時点範囲を超え得る。この場合、ユーザが実際に長時間睡眠を行いたいと思うが、センサを特定して有効にすることができないケースが起こる。
【0174】
説明のために一例を用いる。入眠時点範囲は午後8:00から午後11:00まであり、持続時間閾値は6時間であると仮定する。加えて、ユーザAは午後10:00に入眠し、当日の長時間睡眠時間の回数は回数閾値未満であると仮定する。ユーザが午後10:00に入眠した後に、ユーザは騒音によって目を覚まし、ユーザの睡眠持続時間は6時間未満であると仮定する。例えば、ユーザは午後11:00の呼び出しによって目を覚ます。この場合、ユーザは目を覚ました後に再度長時間睡眠を通常行う。再入眠時点は入眠時点範囲を超えると仮定する。例えば、ユーザは午後11:50に通話を終えて、その後に再度長時間睡眠を行うと仮定する。この場合、S301~S306の動作を用いることによって、ユーザが今回長時間睡眠を行うことを意図しているかを特定できない。この問題を解決するために、図7A及び図7Bに示すように、S305を行った後に、本願のこの実施形態はS701~S703をさらに含む。
【0175】
S701:ユーザが入眠した時点からユーザが目を覚ます時点まで継続する第1の持続時間が持続時間閾値未満の場合、データ収集は異常であると判定し、ユーザが入眠したかどうかのモニタリングを継続する。
【0176】
ユーザの睡眠持続時間が持続時間閾値未満の場合、外部要因の影響により、ユーザは目を覚ましている可能性が高いことを示す。この場合、本願のこの実施形態では、ユーザの生理学的データの収集に異常があると判定する。
【0177】
S702:データ収集に異常があると判定された後に、ユーザが入眠していることが検出された場合、第1のセンサを有効にし、第1のセンサを制御してユーザの第2の生理学的データを収集する。
【0178】
ユーザの生理学的データの収集に異常がある場合、本願のこの実施形態では、ユーザが次に入眠したときに、S302、S303の動作に基づいてセンサを有効にするかどうかを判定するのではなく、センサが直接有効にされる。具体的には、ユーザが次に入眠したときに、入眠時点が入眠時点範囲内かどうかにかかわらず、本願のこの実施形態ではセンサが有効にされ、ユーザの生理学的データの収集が行われる。本願のこの実施形態によれば、長時間睡眠の間に騒音等の干渉要因によってユーザが妨害されても、ユーザが再度長時間睡眠に入ったときに生理学的データの収集をユーザに対して適時に行うことができる。このように、長時間睡眠の間に行われる生理学的データの収集はより正確で信頼性が高い。図3に示す実施形態で収集された生理学的データと区別するために、本願のこの実施形態では、ユーザが次に入眠した後で収集された生理学的データを第2の生理学的データという。
【0179】
S703:ユーザが目を覚ましたことが検出された場合、第1のセンサを無効にする。
【0180】
ユーザが目を覚ました場合、ユーザの睡眠が終了したことを示す。したがって、センサを無効にして、ユーザの生理学的データの収集を終了する。
【0181】
本願のこの実施形態では、ウェアラブル装置がユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できるケースの場合、任意の方法で、図1のものと同じ解決策を用いて処理が行われる。この場合の具体的な有益な効果については、図1の有益な効果の説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0182】
別の任意の方法では、ユーザの長時間の睡眠習慣に基づいて、ユーザの実際の長時間睡眠期間の入眠時点範囲が予め推定される。睡眠モニタリングが有効状態で維持されている期間では、センサは継続的に有効にされないが、ユーザに対して入眠モニタリングが継続的に行われる。ユーザが入眠したことが検出されると、入眠時点が入眠時点範囲内にあるかどうかが判定される。入眠時点が入眠時点範囲内にある場合、睡眠は長時間睡眠である可能性が高いことを示す。したがって、ユーザが当活動日(又は第1の期間)に長時間睡眠した回数が回数閾値に達したかどうかが判定される。加えて、回数閾値に達していない場合にのみセンサを有効にしてユーザの生理学的データを収集する。加えて、ユーザが寝ている場合、ユーザに対して目覚めモニタリングを継続して行い、ユーザが目を覚したことが検出された場合にセンサが無効される。
【0183】
実際の生活で、長時間睡眠はユーザにとって極めて規則的な挙動であると考えられる。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザの履歴睡眠データを分析して、ユーザが慣れ親しんだ入眠時点範囲を適応的に取得するため、ユーザの睡眠が長時間睡眠かどうかを正確に区別できる。ユーザが長時間睡眠の入眠時点範囲内の時点で入眠する、すなわち、ユーザが長時間睡眠を行う可能性が非常に高いことに基づいて、長時間睡眠が特定の期間で行われる回数は非常に限られることを考慮して、回数閾値が再度決定される。したがって、本願のこの実施形態では、センサを有効にするかどうかの判定は、ユーザが入眠しているかどうか、入眠時点がユーザが慣れ親しんだ入眠時点範囲内にあるかどうか及び最近の期間内での長時間睡眠の回数が回数閾値に達しているかどうかの3つの条件に基づく。加えて、ユーザが慣れ親しんだ入眠時点範囲内に入眠時点があり、回数が回数閾値に達していない場合にセンサが有効にされる。関連技術のものと比較して、ユーザが目を覚ましている期間にセンサの有効状態を維持するケースが回避される。通常の生活や仕事では、ユーザはほとんどの時間しらふの状態にある。したがって、関連するセンサを1日中有効な状態で維持するのと比較して、本願の実施形態は、大量のセンサ収集動作及び消費電力を低減できる。予め設定された時間帯内にセンサを固定的に有効な状態で維持する場合と比較して、これは、実際のユーザの睡眠習慣により適応でき、目覚めた状態にあるユーザの生理学的データを収集する場合を低減する。ユーザの入眠時点習慣を比較し、回数閾値を設定することにより、ユーザが入眠する毎のユーザの意図を正確に特定して、長時間睡眠の正確な特定を実施できる。したがって、ユーザの全ての睡眠期間に対して生理学的データ収集を行うケースを効果的に回避でき、短時間睡眠のために関連センサを有効にする可能性が低減される。生理学的データ収集のための消費電力を低減できる。
【0184】
結論として、本願のこの実施形態では、ユーザが目を覚ましているときに行われる生理学的データ収集を回避でき、ユーザが短時間睡眠の間に生理学的データ収集を行う場合を低減できる。加えて、長時間睡眠の間に生理学的データを正確に収集でき、ユーザに対する睡眠モニタリングのための基本データの精度を確保できる。したがって、本願のこの実施形態では、センサにより長時間睡眠の間に生理学的データを収集する作業負荷を軽減でき、消費電量を低減でき、ウェアラブル装置の消費電力を低減でき、電池の寿命を延ばすことができる。加えて、PPGランプを有効にする必要がある場合に、PPGランプを正確に有効にすることで、ユーザが短時間睡眠を行う際にPPGランプによるユーザへの干渉をさらに回避することができるため、ユーザの睡眠の質が改善される。
【0185】
図1図3に示す実施形態の補足説明の一部は次の通りである。
【0186】
1.図4に示す実施形態では、履歴睡眠データを分析してユーザの入眠時点範囲を得る場合、日付タイプが区別され、実際の日付タイプに基づいて入眠時点範囲が分析される。
【0187】
実際の生活では、ユーザの長時間睡眠の習慣は異なる期間で大きく異なり得ると考えられる。例えば、一般に、ユーザは就業日には早く寝て、早く起き得る。しかしながら、休日にはユーザは遅く寝て、遅く起き得る。したがって、図4に示す実施形態が行われる場合、本願のこの実施形態では、日付が予め種類に分類されている。例えば、平日及び休日の2つの期間種類があり得る(就業日と休日との区分は、ユーザの所在する国における休日区分の実態の状況に基づいて決定されてもよく、本明細書では限定されない)。あるいは、月曜日、火曜日~木曜日、金曜日、土曜日、日曜日の5つの期間種類があり得る。そして、実際の過去の期間に含まれる特定の日付に基づいて、異なる期間種類の日付を区別し、分析して、実際の利用可能な入眠時点範囲を得る。期間種類の特定の分割ルールは本明細書では限定されず、ユーザの実際の状況に基づいて当業者によって設定され得る。加えて、本願のこの実施形態における「日付」及び「日」は暦日のことをいうか又はユーザ活動日のことをいい得る。
【0188】
本願のこの実施形態では、図4に示す実施形態の発生機会に基づいてケースが分類され、異なる処理解決策がそれぞれ設定される。詳細を以下で説明する。
【0189】
図4に示す実施形態がS302の処理で起こる場合、本願の任意の実施形態では、S302のロジックは次のとおりである。ユーザが入眠していることを検出された場合、S401及びS402を行って、入眠時点範囲を取得する。そして、ユーザの入眠時点が入眠時点範囲内であるかどうかが特定される。
【0190】
図8に示すように、この場合、S401の動作は下記で置き換えられ得る。
【0191】
S801:現在の期間の期間種類を特定して、現在の期間が属する第1の種類を取得する。
【0192】
本願のこの実施形態では、過去の期間の履歴睡眠データを取得した後に、データ分析が直接行われるのでなく、現在の期間の期間種類(すなわち、第1の種類)が特定される。現在の期間の単位は、期間種類が分割を通じて取得する場合に含まれる最小期間単位である。例えば、分割を通じて休日、就業日、平日等が得られる場合、最小期間単位は「日」である。したがって、この場合、現在の期間は当日のことをいう。例えば、当日が就業日であるか又は休日であるかが特定される。あるいは、当日が特定の平日であるかが特定される。期間の1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月といったように最小単位が「月」の場合、現在の期間は当月のことをいう。
【0193】
S802:第3の期間から、期間種類が第1の種類である第4の期間を抽出する。
【0194】
現在の期間の期間種類が特定された後に、期間種類に属する全ての期間(すなわち、第4期)が過去の期間から抽出される。例えば、当日が休日であると仮定する。この場合、本願のこの実施形態では、全ての休日の期間を過去の期間から抽出する。
【0195】
S803:第4の期間内の履歴睡眠データを取得する。
【0196】
現在の期間と同じ種類の期間を抽出した後、本願のこの実施形態では、これらの期間の履歴睡眠データが取得され、S402の分析動作が行われる。
【0197】
本願のこの実施形態では、入眠期間を分析する場合、現在の期間が属する期間種類の期間が過去の期間から選択され、これらの期間の履歴睡眠データを的を絞って取得する。したがって、S402では、現在の期間が属する期間種類に基づいて入眠時点範囲を分析して、ユーザの睡眠習慣の正確な学習及び特定を実施できる。このように、本願のこの実施形態では、ユーザの長時間睡眠の特定がより正確になり、センサがより正確且つ効果的な機会に有効にされる。
【0198】
図4に示す実施形態は、長時間睡眠の間の生理学的データの取得に前回成功した後であった、S302の前に起こるケースである(S309及びS310の説明を参照)。本願の別の任意の実施形態では、この場合、入眠時点範囲を予め分析して保存するのと同等である。S302の動作が行われた場合、保存された入眠時点範囲が直接読み出される。これに対応して、図9に示すように、S402の動作が下記と置き換えられ得る。
【0199】
S901:第3の期間を複数の期間セットに分割し、履歴睡眠データから各期間セットに関連する睡眠サブデータを抽出し、各期間セットは同じ期間種類の期間のみを含み、異なる期間セットは異なる期間種類に対応する。
【0200】
本願のこの実施形態では、過去の期間を期間種類に基づいて複数の期間セットに分割する。期間セット及び期間タイプは1対1の対応関係を有する。例えば、期間種類は就業日及び休日を含むと仮定する。この場合、過去の期間は、就業日セット及び休日セットの計2つの期間セットに分割される。
【0201】
期間分割が完了した後に、本願のこの実施形態では、履歴睡眠データに対してデータ抽出が行わる。つまり、各期間セットに対応する履歴睡眠データがそれぞれ抽出される。この場合、各期間セットは1つの睡眠サブデータに関連する。睡眠サブデータは履歴睡眠データの一部であり、睡眠サブデータのデータ形式は同じである。1つの睡眠サブデータは、対応する期間セットの1日あたりのユーザの睡眠データ、例えば、1日あたりの入眠時点を含む。
【0202】
S902:各期間セットに関連する睡眠サブデータをそれぞれ分析して、各期間種類にそれぞれ関連する第2の期間を得る。
【0203】
各期間セットに関連する睡眠サブデータを得た後、本願のこの実施形態では、各睡眠サブデータをそれぞれ分析して、各期間セットと1対1の対応関係にある入眠時点範囲を得る。期間セットは、期間種類と1対1の対応関係にある。したがって、この場合、各期間種類に関連する睡眠時間範囲を得ることができる。例えば、就業日セット及び休日セットの計2つの期間セットがあると仮定する。この場合、本願のこの実施形態では、就業日セットの睡眠サブデータ及び休日セットの睡眠サブデータがそれぞれ分析される。加えて、就業日のユーザの入眠時点範囲と休日の入眠時点範囲とが得られる。睡眠サブデータを分析する方法については、図5に示す実施形態の履歴睡眠データを分析する方法を参照されたい(この場合、図5に示す実施形態の履歴睡眠データは睡眠サブデータに置き換えられる)。
【0204】
これに対応して、S302は次のものに置き換えられ得る。ユーザが入眠していることが検出された場合、ウェアラブル装置は、現在の期間の期間種類(つまり、第2の種類)を特定し、その期間種類に関連する第2の期間を読み取る。ウェアラブル装置は、入眠時点が読み取られた第2の期間内にあるかどうか特定する。
【0205】
各期間種類に対応するユーザの入眠時点範囲を得ることに基づいて、S302では、ユーザの入眠時点が入眠時点範囲内にあるかどうかが特定され、現在の期間に関連する入眠時点範囲が先ず読み取られる。そして、読み取られた入眠時点範囲に基づいて、ユーザの入眠が長時間睡眠に該当するかどうか判定される。現在の期間の説明については、S801の関連説明の内容を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0206】
本願のこの実施形態では、長時間睡眠の間のユーザの生理学的データが正常に取得され、履歴睡眠データが更新される毎に、各期間種類のユーザの入眠習慣が適時に分析され、各期間種類のユーザの入眠時点範囲を取得し、ユーザの入眠習慣に対する適応学習を実施する。しかしながら、図3に示す実施形態では、ユーザは入眠していることが検出された後に、S302で、分析された現在の期間が属する期間種類の入眠時点範囲を読み取るだけで入眠時点を判定できる。したがって、本願のこの実施形態では、ユーザの睡眠習慣に対する適応的で且つ正確な学習を実施できる。このように、本願のこの実施形態では、ユーザの長時間の睡眠の特定がより正確になり、センサをより正確で且つ効果的な機会に有効にされる。
【0207】
2.本願のこの実施形態の使用シナリオは、ユーザの睡眠モニタリングに限定されない。
【0208】
図1図3に示す上記の実施形態の全ては、ユーザの睡眠モニタリングシナリオを用いて説明した。実際の適用では、図1図3に示す実施形態は、ユーザの長時間睡眠について、センサ有効制御及び生理学的データ収集を行う必要がある任意のシナリオに適用され得る。つまり、実施形態は、睡眠モニタリングシナリオ以外の別のシナリオ、例えば、睡眠時無呼吸ピッキングのシナリオや、睡眠の間のユーザの生理学的データをモニタリングするシナリオにも適用され得る。
【0209】
3.図1に示す実施形態と、図3に示す実施形態とは組み合わせて用いられる。
【0210】
ユーザが実際にウェアラブル装置を用いる過程で、両方のケースに遭遇し得ると考えられる。ケース1では、ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できない。ケース2では、ウェアラブル装置は、ユーザの長時間睡眠の履歴睡眠データを取得できる。したがって、実際の適用では、ウェアラブル装置は、ユーザの履歴睡眠データの実際の収集に基づいて、図1に示す実施形態又は図3に示す実施形態の使用を選択し得る。例えば、ユーザがウェアラブル装置を購入した後の期間又はウェアラブル装置のデータがクリアされた後の期間、ウェアラブル装置は履歴睡眠データを収集しないか又は収集された履歴睡眠データの量が少なすぎたりする。この場合、処理のために図1に示す実施形態がもちいられ得る。しかしながら、ユーザがある期間ウェアラブル装置を用いた後、ウェアラブル装置はある期間内のユーザの履歴睡眠データを収集している。この場合、処理のために図2に示す実施形態が用いられ得る。
【0211】
上記の実施形態における生理学的データ収集方法に対応して、図10は、本願の実施形態に係る生理学的データ収集装置の構造のブロック図を示す。説明を容易にするため、本願のこの実施形態に関連する部分のみを示す。
【0212】
図10に示すように、生理学的データ収集装置は、
ユーザが入眠しているかどうか検出するように構成された入眠検出モジュール1001と、
前記ユーザが入眠していることが検出された場合に、第1の期間内で前記ユーザが長時間睡眠に入る第1の回数が、回数閾値未満かどうかを特定するように構成された入眠回数検出モジュール1002と、
前記ユーザが目を覚ましたかどうかを検出するように構成された目覚め検出モジュール1003と、
前記第1の回数の閾値が前記回数閾値未満の場合、第1のセンサを有効にし、該第1のセンサを用いることにより前記ユーザの第1の生理学的データを収集するように構成されたデータ収集モジュール1004と、
前記ユーザが目を覚ましたことが検出された場合に、前記第1のセンサを無効にするように構成されたセンサ無効モジュール1005と、
を含む。
【0213】
本願の任意の実施形態では、入眠回数検出モジュール1002は、
ユーザが入眠したことが検出された場合に、入眠時点が第2の期間内かどうかを特定するように構成された入眠時点特定モジュールと、
入眠時点が第2の期間内の場合に、ユーザが第1の期間内に長時間睡眠に入った第1の回数が回数閾値未満かどうかを特定するように構成された回数検出モジュールと、
を含む。
【0214】
本願のこの実施形態で提供される生理学的データ収集装置のモジュールがそれぞれの機能を実施するプロセスの詳細については、図1図3に示す実施形態及び他の関連する方法の実施形態の説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0215】
なお、上記の装置/ユニット間の情報交換及びその実行プロセス等の内容は、本願の方法の実施形態と同じ概念に基づく。内容の具体的な機能及び技術的効果については、方法の実施形態を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0216】
ステップのシーケンス番号は、上記の実施形態における実行シーケンスを意味するものではないことを理解すべきである。プロセスの実行シーケンスは、プロセスの機能及び内部ロジックに基づいて決定すべきであり、本願の実施形態の実施プロセスに対するいかなる限定をなすものではない。
【0217】
本願の明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、「含む」という用語は、記載された特徴、全体、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を示すことを理解すべきである。しかしながら、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのセットの存在又は追加は除外されない。
【0218】
本願の明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている「及び/又は」という用語は、関連して列挙された1つ以上のアイテムの任意の組み合わせ又は全ての可能な組み合わせのことをいい、これらの組み合わせを含むことをさらに理解すべきである。
【0219】
本願の明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている「もし」という用語は、文脈に応じて「場合」又は「一度」又は「判定に応答して」又は「検出に応答して」として説明され得る。同様に、「もし判定されると」又は「もし[説明した条件又はイベント]が検出されると」という表現は、文脈に応じて、「一度判定されると」又は「判定に応答して」又は「[説明した条件又はイベント]が一度検出されると」又は「[説明した条件又はイベント]が検出されたことに応答して」を意味すると解釈され得る。
【0220】
加えて、本願の明細書及び添付の特許請求の範囲の記載において、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は区別及び説明のために用いているにすぎず、相対的な重要性を示すもの又は暗示するものと理解すべきでない。「第1」、「第2」等の用語は、本文中の本願の一部の実施形態における様々な要素を説明するために用いられているが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことをさらに理解すべきである。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために用いられているにすぎない。例えば、様々な説明した実施形態の範囲から逸脱することなく、第1のテーブルを第2のテーブルと呼んでもよく、同様に、第2のテーブルを第1のテーブルと呼んでもよい。第1のテーブル及び第2のテーブルの双方はテーブルであるが、第1のテーブルと第2のテーブルは同じテーブルではない。
【0221】
本願の明細書に記載の「一実施形態」又は「一部の実施形態」への言及は、本願の1つ以上の実施形態が、実施形態を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性を含むことを意味する。したがって、本明細書に現れる、互いに異なる「一実施形態では」、「一部の実施形態では」、「一部の他の実施形態では」及び「さらに一部の他の実施形態では」との記載は、必ずしも同じ実施形態のことを言及しておらず、代わりに、別段具体的に強調されていない限り、「全てではないが、1つ以上の実施形態」を意味する。「含む」、「含まれる」、「有する」及びそれらの他の変種の全ては、別段具体的に他の方法で強調されていない限り、「限定されないが含む」を意味する。
【0222】
限定ではなく、一例として、本願の実施形態では、ウェアラブル装置は、眼鏡、手袋、時計、衣服及び靴等のウェアラブル技術を用いることにより、日常着をインテリジェントに設計することにより開発されたウェアラブル装置の総称であり得る。ウェアラブル装置は、ユーザが直接着用するか又はユーザの衣服又はアクセサリーに統合され得る携帯装置である。ウェアラブル装置は、ハードウェア装置以上のものである。ウェアラブル装置は、ソフトウェアサポート、データ交換及びクラウドとの相互作用によって強力な機能を実施する。広義には、ウェアラブルスマートデバイスは完全な機能及び大きなサイズを有し、スマートフォンに依存することなく、例えば、スマートウォッチ、スマートグラス等の機能の全て又は一部を実施できる。加えて、ウェアラブルスマートデバイスは、1種類のアプリケーション機能のみに焦点を当てており、スマートフォン等の他の装置、例えば、サインのモニタリングを行う様々なスマートバンド又はスマートジュエリーと共に用いる必要がある。
【0223】
図11は、本願の一実施形態に係るウェアラブル装置100の構造の概略図である。
【0224】
ウェアラブル装置100は、プロセッサ110、内部メモリ120、充電接点130、充電管理モジュール140、電力管理モジュール141、バッテリ142、ディスプレイ150、アンテナ、無線通信モジュール160、センサモジュール170等を含み得る。センサモジュール170は加速度計170A及び光学式心拍センサ170Bを含み得る。光学式心拍センサ170BはPPGランプ及び感光センサを含む。
【0225】
本発明のこの実施形態に示す構造は、ウェアラブル装置100に対する具体的な限定をなすものではないことが理解されよう。本願の一部の他の実施形態では、ウェアラブル装置100は、図示のものよりも多くの又は少ないコンポーネントを含み得るか、いくつかのコンポーネントを統合し得るか又はいくつかのコンポーネントを分割し得るか又は異なるコンポーネント構成を有し得る。図示のコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実施され得る。
【0226】
プロセッサ110は1つ以上の処理ユニットを含み得る。例えば、プロセッサ110は、アプリケーションプロセッサ(application processor、AP)、モデムプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor、ISP)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、ベースバンドプロセッサ、ニューラルネットワーク処理ユニット(Neural-network processing unit、NPU)及び/又は等を含み得る。異なる処理ユニットは、独立したコンポーネントであり得るか又は1つ以上のプロセッサに統合され得る。コントローラは、ウェアラブル装置100の神経センター及びコマンドセンターであり得る。コントローラは、命令動作コード及び時系列信号に基づいて動作制御信号を生成して、命令フェッチ及び命令実行を制御し得る。
【0227】
メモリがプロセッサ110内にさらに配置されてもよく、命令及びデータを記憶するように構成されている。一部の実施形態では、プロセッサ110内のメモリはキャッシュである。メモリは、プロセッサ110によって用いられたばかりの又は繰り返し用いられる命令又はデータを記憶し得る。プロセッサ110が命令又はデータを再度用いる必要がある場合、プロセッサ110はメモリから命令又はデータを直接呼び出し得る。このように、繰り返しのアクセスが回避され、プロセッサ110の待ち時間が短縮され、システム効率が改善される。
【0228】
プロセッサ110は、本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法を実行して、長時間睡眠の間のユーザの生理学的データのための低消費電力機能を実施し、ユーザ体験を改善する。
【0229】
ディスプレイ150は、画像、ビデオ等を表示するように構成されている。ディスプレイ150はディスプレイパネルを含む。ディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode、AMOLED)、フレキシブル発光ダイオード(flexible light-emitting diode、FLED)、ミニLED、マイクロLED、マイクロOLED、量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode、QLED)等が用いられ得る。ディスプレイ150は、ユーザによって入力された情報又はユーザのために提供される情報及び様々なグラフィカルユーザインターフェイス(graphical user interface、GUI)を表示するように構成され得る。例えば、ディスプレイ150は、写真、ビデオ、ウェブページ、ファイル等を表示し得る。別の例として、ディスプレイ150はグラフィカルユーザインターフェイスを表示し得る。グラフィカルユーザインターフェイスは、ステータスバー、非表示にできるナビゲーションバー、時間及び天気のウィジェット(widget)、アプリケーションアイコン、例えばブラウザアイコンを含む。ステータスバーは時間及びバッテリ残量を含む。ナビゲーションバーは、戻る(back)ボタンアイコン、ホーム(home)ボタンアイコン、進むボタンアイコンを含む。加えて、一部の実施形態では、ステータスバーは、Bluetoothアイコン、Wi-Fiアイコン、外部接続されたデバイスアイコン等をさらに含み得ることが理解されよう。一部の他の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェイスはDockバーをさらに含み、Dockバーは一般的に用いられるアプリケーションアイコン等を含み得ることがさらに理解されよう。ユーザの指(又はスタイラス等)を用いることにより、アプリケーションアイコンに対して行われるタッチイベントを検出した後に、プロセッサは、タッチイベントに応答して、アプリケーションアイコンに対応するアプリケーションのユーザインターフェイスを開き、アプリケーションのユーザインターフェイスをディスプレイ150に表示する。
【0230】
本願のこの実施形態では、ディスプレイ150は、統合されたフレキシブルディスプレイであり得るか又は2つのリジッドスクリーンと、2つのリジッドスクリーンの間に位置する1つのフレキシブルディスプレイとを含むスプライスされたディスプレイであり得る。
【0231】
内部メモリ120はコンピュータ実行可能プログラムコードを記憶するように構成され、実行可能プログラムコードは命令を含む。プロセッサ110は、内部メモリ120に記憶された命令を実行して、ウェアラブル装置100の様々な機能アプリケーション及びデータ処理を行う。内部メモリ120は、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含み得る。プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、アプリケーション(カメラアプリケーション及びWeChatアプリケーション等)のコード等を記憶し得る。データ記憶領域は、ウェアラブル装置100を用いるプロセスで作成されたデータ(例えば、カメラアプリケーションによって収集された画像又はビデオ)等を記憶し得る。
【0232】
内部メモリ120は、本願の実施形態で提供される生理学的データ収集方法に対応する一つ以上のコンピュータプログラム1200をさらに記憶し得る。1つ以上のコンピュータプログラム1200はメモリ120に記憶され、1つ以上のプロセッサ110によって実行されるように構成されている。1つ以上のコンピュータプログラム1200は命令を含み、該命令は、図1図9の対応する実施形態のステップを行うために用いられる。内部メモリ120に記憶された生理学的データ収集コードがプロセッサ110によって実行されると、プロセッサ110は、生理学的データ収集を行うためにウェアラブル装置を制御する。
【0233】
センサモジュール170の機能を以下で説明する。
【0234】
加速度計170Aは、ユーザがウェアラブル装置を装着した後に行った動作を判定して、ユーザが入眠したかどうか、ユーザが目を覚ましたかどうかを検出するために、ユーザのウェアラブル装置の加速度データを収集する。
【0235】
光学式心拍センサ170Bはユーザの睡眠モニタリングを実施するためにユーザの生理学的データを収集する。
【0236】
アンテナは電磁波信号を送受信するように構成されている。無線通信モジュール160は、ウェアラブル装置100に適用され、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)(例えば、ワイヤレスフィデリティー(wireless fidelity、Wi-Fi)ネットワーク)、Bluetooth(Bluetooth、BT)、衛星測位システム(global navigation satellite system、GNSS)、周波数変調(frequency modulation、FM)、近距離無線通信(near field communication、NFC)技術、赤外(infrared、IR)技術等を含む無線通信解決策を提供し得る。無線通信モジュール160は、少なくとも1つの通信処理モジュールを統合する1つ以上のコンポーネントであり得る。無線通信モジュール160は、アンテナ2を介して電磁波を受信し、電磁波信号に対して周波数変調及びフィルタリング処理を行い、処理した信号をプロセッサ110に送信する。無線通信モジュール160は、送信すべき信号をプロセッサ110から受信し、その信号に対して周波数変調及び増幅を行い、信号をアンテナ2を用いた放射のために電磁波に変換し得る。本願のこの実施形態では、無線通信モジュール160はアクセスポイント装置にアクセスし、別のウェアラブル装置とメッセージの送受信を行うように構成され得る。
【0237】
本発明のこの実施形態に示すモジュール間のインターフェイス接続関係は、説明のための一例にすぎず、ウェアラブル装置100の構造に対する制限をなすものではないことが理解されよう。本願の一部の他の実施形態では、ウェアラブル装置100は、代替的に、上記の実施形態とは異なるインターフェイス接続方法又は複数のインターフェイス接続方法の組み合わせを用いり得る。
【0238】
充電接点は、充電器に接続してウェアラブル装置100を充電するように構成されている。あるいは、一部の任意の実施形態では、充電接点を置き換えるためにUSBインターフェイスが用いられ得る。USBインターフェイスは、USB規格の仕様に準拠したインターフェイスであり、具体的にはミニUSBインターフェイス、マイクロUSBインターフェイス、USBタイプCインターフェイス等であり得る。USBインターフェイスは、ウェアラブル装置100を充電するために充電器に接続されるように構成されてもいいし、ウェアラブル装置100と周辺機器との間でデータを送信するように構成されてもいいし、ヘッドセットを介してオーディオを再生するためにヘッドセットに接続するように構成されてもよい。インターフェイスは、他の電子装置、例えばAR装置に接続されるようように構成され得る。
【0239】
充電管理モジュール140は、充電器からの充電入力を受信するように構成されている。充電器は無線充電器でもいいし、有線充電器でもよい。有線充電の一部の実施形態では、充電管理モジュール140は、USBインターフェイス130を介して有線充電器から充電入力を受信し得る。無線充電の一部の実施形態では、充電管理モジュール140は、ウェアラブル装置100の無線充電コイルを介して無線充電入力を受信し得る。バッテリ142を充電する場合、充電管理モジュール140は電力管理モジュール141を用いることによって電子装置にさらに給電し得る。
【0240】
電力管理モジュール141は、バッテリ142、充電管理モジュール140及びプロセッサ110に接続されるように構成されている。電力管理モジュール141は、バッテリ142及び/又は充電管理モジュール140の入力を受信し、プロセッサ110、内部メモリ121、ディスプレイ150、無線通信モジュール160等に給電する。電力管理モジュール141は、バッテリ容量、バッテリサイクル数及びバッテリの健康状態(漏電又はインピーダンス)等のパラメータをモニタリングするようにさらに構成され得る。一部の他の実施形態では、電力管理モジュール141は、代替的にプロセッサ110内に配置され得る。一部の他の実施形態では、電力管理モジュール141及び充電管理モジュール140は、代替的に同じコンポーネント内に配置され得る。
【0241】
実際の用途では、ウェアラブル装置100は、図1に示すものよりも多く又は少なくコンポーネントを含み得ることを理解すべきである。これは、本願のこの実施形態に限定されない。図示のウェアラブル装置100は一例にすぎない。ウェアラブル装置100は、図示のものよりも多くの又は少ないコンポーネントを有し得るか、2つ以上のコンポーネントを組み合わせ得るか又は異なるコンポーネント構成を有し得る。図示の様々なコンポーネントは、1つ以上の信号処理及び/又はアプリケーション固有の集積回路含むハードウェア、ソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実施され得る。
【0242】
加えて、本願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合され得るか又はユニットのそれぞれは物理的に単独で存在し得るか又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合され得る。統合ユニットはハードウェアの形態で実施され得るか又はソフトウェア機能ユニットの形態で実施され得る。
【0243】
本願の一実施形態は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、前述の方法の実施形態におけるステップを実施できる。
【0244】
本願の一実施形態は、コンピュータプログラム製品をさらに提供する。コンピュータプログラム製品がウェアラブル装置上で実行された場合、ウェアラブル装置は、前述の方法の実施形態におけるステップを実施できる。
【0245】
本願の実施形態は、チップシステムをさらに提供する。チップシステムはプロセッサを含み、プロセッサはメモリに連結されている。プロセッサはメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行して、前述の方法の実施形態におけるステップを実施する。
【0246】
統合モジュール/ユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売又は使用された場合、統合モジュール/ユニットはコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本願では、前述の実施形態の方法におけるプロセスの全部又は一部は、関連するハードウェアを指示するコンピュータプログラムを用いることにより代替的に実施され得る。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得る。コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合、前述の方法の実施形態におけるステップが実施され得る。コンピュータプログラムはコンピュータプログラムコードを含み、コンピュータプログラムコードはソースコードの形態、オブジェクトコードの形態、実行可能ファイルの形態、一部の中間形態等にあり得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータプログラムコードを運ぶことができる任意の実体又は装置、記録媒体、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ(Read-only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、電気キャリア信号、電気通信信号、ソフトウェア配信媒体等を含み得る。
【0247】
上記の実施形態では、全ての実施形態の説明はそれぞれの焦点を有する。実施形態で詳細に説明されていないか又は記録されていない部分については、別の実施形態の関連説明を参照されたい。
【0248】
当業者であれば、本明細書で開示の実施形態を参照して説明した例におけるユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせによって実施され得ることが分かるであろう。機能がハードウェアによって実行されるか又はソフトウェアによって実行されるかは、技術的解決策の特定の用途及び設計上の制約に依存する。当業者であれば、説明した機能を特定の用途のそれぞれのために実施するのに異なる方法を用いり得るが、その実施は本願の範囲を超えると考えるべきではない。
【0249】
別々のパーツとして説明したユニットは物理的に分離されていてもいいし、されていなくてもよく、ユニットとして表示されているパーツは物理的なユニットであっても、なくてもよい。つまり1つの位置に位置し得るか又は複数のネットワークユニットに分散され得る。ユニットの一部又は全ては、実施形態の解決策の目的を実現するために実際の要件に基づいて選択され得る。
【0250】
上記の実施形態は、本願の技術的解決策を説明するために用いられているにすぎず、本願を限定することを意図していない。上記の実施形態を参照して本願を詳細に説明してきたが、当業者であれば、上記の実施形態で説明した技術的解決策は依然として変更され得るか又はその一部の技術的特徴が同等に置き換えられ得ることを理解すべきである。これらの変更又は置き換えは、対応する技術的解決策の本質を本願の実施形態の技術的解決の範囲から逸脱させるものではなく、本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0251】
なお、最後に、上記の説明は、本願の特定の実施にすぎず、本願の保護範囲を限定することを意図していない。本願で開示の技術的範囲内での変更又は置き換えは、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7B
図8
図9
図10
図11