(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電磁部品を入れるためのハウジングアセンブリ、およびハウジングを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
H01H 50/04 20060101AFI20240903BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20240903BHJP
H01H 11/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01H50/04 J
H01H9/02 A
H01H11/00 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020019246
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501218751
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ オーストリア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハラー,フィリップ
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-312136(JP,A)
【文献】実開昭56-101835(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/04
H01H 9/02
H01H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング部(6)と、少なくとも1つの隔壁(4)とを備える、リレー(40)などの電気部品(38)を入れるためのハウジングアセンブリ(1)であって、
前記少なくとも1つの隔壁(4)は、前記ハウジング部(6)に挿入方向(S)で挿入するように構成され、挿入状態(2)において、一方の壁部(8)から反対の壁部(8)へ水平方向(H)に沿って延び、
前記ハウジングアセンブリ(1)は、前記少なくとも1つの隔壁(4)を少なくとも前記水平方向(H)に平行な方向で前記ハウジング部(6)にロックするように構成されているロッキングサブアセンブリ(10)を備える
とともに、
前記挿入状態(2)において、少なくとも1つの接着剤移送流路(68)が設けられ、前記少なくとも1つの接着剤移送流路(68)は、前記ハウジングアセンブリ(1)の外側に向かって開き、前記ロッキングサブアセンブリ(10)へ延びる、
ハウジングアセンブリ
(1)。
【請求項2】
前記ロッキングサブアセンブリ(10)は、前記少なくとも1つの隔壁(4)を案内するための、前記挿入方向(S)に延びる少なくとも1つのレールガイド(12)を提供する、請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレールガイド(12)は、その内部で前記ハウジング部(6)と前記少なくとも1つの隔壁(4)との前記挿入方向(S)での相対摺動を可能にし、少なくとも前記水平方向(H)に平行な移動を阻止するように構成されている、請求項2に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記レールガイド(12)は、前記挿入方向(S)および前記水平方向(H)に垂直に互いに離間し、間に切欠き(20)を形成する少なくとも2つのリブ(16、18)を備える、請求項2または3に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのリブのうちの少なくとも一方(16)は、前記挿入状態(2)において前記ロッキングサブアセンブリ(10)の突起(24)が係合するように構成されているアンダカット(22)を形成する、請求項4に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの隔壁(4)は、前記ハウジング部(6)に少なくとも部分的に受け入れられるように構成されているさらなるハウジング部(7)の一部である、請求項1~5のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記挿入状態(2)において前記ハウジングアセンブリ(1)は密封されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接着剤移送流路(68)は、前記壁部(8)の溝(66)として形成されている、請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの隔壁(4)の前部(28)および後部(30)に、前記ロッキングサブアセンブリ(10)が少なくとも部分的に係合する、請求項1~
8のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーなどの電磁部品を入れるためのハウジングアセンブリ、およびハウジングを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなハウジングアセンブリは、高い周囲温度および/または動作温度によって生じ得る高い内圧を受けることが多い。さらに、急速な温度変化は、ハウジングアセンブリ内の湿度と相まって、やはり内圧を上昇させ得る。内圧は、ハウジングを変形および/または損傷させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、耐久性の高いハウジングアセンブリ、およびハウジングを組み立てる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、リレーなどの電磁部品を入れるためのハウジングアセンブリを提供することによって、上記の問題を解決する。ハウジングアセンブリは、ハウジング部と少なくとも1つの隔壁とを備え、少なくとも1つの隔壁は、ハウジング部に挿入方向で挿入するように構成され、挿入状態において、ハウジングの一方の壁部から反対の壁部へ水平方向に沿って延びる。ハウジングアセンブリは、少なくとも1つの隔壁を水平方向に平行な方向でハウジング部にロックするように構成されているロッキングサブアセンブリをさらに備える。
【0005】
上記の目的は、少なくとも1つの隔壁をハウジング部に挿入方向で挿入するステップと、少なくとも1つの隔壁を挿入方向に垂直な方向でハウジング部にロックするステップとを含む、ハウジングを組み立てる方法によってさらに解決される。
【0006】
本発明のハウジングアセンブリおよびハウジングを組み立てる方法により、ロッキングサブアセンブリは、高い内圧によるハウジングアセンブリの膨張を防止することができる。ロッキングサブアセンブリにより、水平方向の移動が防止されるため、ハウジングアセンブリの全体的な耐久性が向上する。
【0007】
本発明は、それぞれの技術的効果に関して互いに独立し、任意に組み合わせることのできる以下の特徴によってさらに改良することができる。
【0008】
本発明の第1の実施形態によれば、ロッキングサブアセンブリは、水平方向に平行に力を伝えることができる。したがって、ロッキングサブアセンブリは、高い内圧によって生じる力にさらに対抗することができる。
【0009】
水平方向は、実質的に挿入方向に垂直であってよい。
【0010】
ハウジングアセンブリの耐久性をさらに高め、ロックをさらに強化するために、ロッキングサブアセンブリは、少なくとも2つの重なり突起を備えることができる。少なくとも2つの突起は、水平方向に平行に重なってインタロックを形成し、これにより、水平方向に平行な移動を防止することができる。少なくとも2つの重なり突起は互いに当接することができる。あるいは、ロッキングサブアセンブリをさらに封止し接着強化するための接着剤を受け入れるように構成されている間隙を、少なくとも2つの重なり突起間に設けることができる。
【0011】
ロッキングサブアセンブリは、少なくとも1つの隔壁を挿入方向に案内するための、挿入方向に延びる少なくとも1つのレールガイドを提供することができる。これにより、少なくとも1つの隔壁の挿入を容易にすることができる。少なくとも1つのレールガイドを、その内部でハウジング部と隔壁との挿入方向の相対摺動を可能にし、少なくとも水平方向に平行な移動を阻止するように特に構成することができる。したがって、レールガイドは、ハウジング部への少なくとも1つの隔壁の挿入を案内することができ、さらにハウジング部の変形を防止することができる。
【0012】
少なくとも1つのレールガイドは、ハウジング部と少なくとも1つの隔壁との、水平方向および挿入方向に垂直な相対移動を阻止することもできる。したがって、ロッキングサブアセンブリは、ハウジング部に対する少なくとも1つの隔壁の位置決めをさらに確実にすることができる。
【0013】
少なくとも1つのレールガイドは、互いに離間し、間に切欠きを形成する少なくとも2つのリブを備えることができる。少なくとも2つのレールガイドは、水平方向に平行に突出し、挿入方向に沿って延びることができる。少なくとも2つのリブは、水平方向および挿入方向に垂直に互いに離間することができる。
【0014】
少なくとも2つのリブのうちの少なくとも一方は、ロッキングサブアセンブリの舌部を受け入れて水平方向に平行なポジティブフィットを形成するように構成されているアンダカットを備えることができる。
【0015】
少なくとも2つのレールガイドを、ロッキングサブアセンブリの両側に設けることができる。少なくとも2つのレールガイドを、ハウジング部の2つの対向する壁部にそれぞれ配置することができる。少なくとも1つの隔壁を、それぞれの側でレールガイドに係合させることができる。したがって、ロッキングサブアセンブリを、少なくとも1つの隔壁およびハウジング部によって直接形成することができる。これにより、ロッキングサブアセンブリの追加の別の部品を省いて、製造コストを低下させることができる。
【0016】
少なくとも1つのレールガイドをハウジング部と一体形成することができると好ましい。ハウジング部を射出成形部品として形成して、簡単で費用効果の高い大規模製造を可能にすることができる。特に、少なくとも2つのリブをハウジング部と一体形成することができる。2つのリブのうちの一方が、他方のリブより大きい材料厚さを有することができる。アンダカットを備えるリブが、他方のリブより大きい材料厚さを有することができると好ましい。したがって、アンダカットを備えるリブをさらに安定させることができ、ロッキングサブアセンブリは、より大きい水平方向の力を補償することができる。
【0017】
壁部に面する隔壁の側縁部を、挿入状態において2つのリブ間の切欠きに少なくとも部分的に配置することができる。側縁部は、挿入状態においてアンダカット内へ延びる舌部を備えることができる。
【0018】
ロッキングサブアセンブリの水平方向でのロック強度を高めるために、少なくとも1つの隔壁の前部および後部に、ロッキングサブアセンブリが係合することができる。例えば、2つの舌部は、挿入方向および水平方向に実質的に垂直に、側縁部で反対方向に延びることができる。各舌部を、挿入状態においてリブのアンダカットに係合するように構成して、ロッキングサブアセンブリの全体的な重なり表面積を増加させることにより、前記
ロッキングサブアセンブリの強度を高めることができる。
【0019】
隔壁の側縁部は、挿入方向に垂直な平面で実質的にL字形またはT字形の断面を有することができる。少なくとも1つの案内レールを相補的に形成して、大きい重なり表面積を有するポジティブフィットを実現することにより、少なくとも1つの隔壁とハウジング部との、少なくとも水平方向に平行な相対移動をロックすることができるようにしてもよい。ロッキングサブアセンブリを、少なくとも水平方向に平行かつ挿入方向および水平方向に垂直な相対移動を少なくともロックするように構成することができると好ましい。
【0020】
特に強力なインタロックのために、ロッキングサブアセンブリは、ダブテールを備えることができる。少なくとも1つの隔壁の側縁部は、挿入方向に垂直な平面にダブテール形断面を有することができると好ましい。インタロックダブテールにより、大きい接触表面積をもたらすことができる。特に、インタロック部品間に接着剤を加えると、大きい接触表面積によってダブテールの強度をしっかりと高めることができる。
【0021】
ハウジング部と隔壁とを、互いに圧入接続を形成するように寸法決めすることができる。これにより、容易に製造および組み立て可能な費用効率の高いハウジングアセンブリを提供することができる。しかしながら、ハウジング部と隔壁との間に接着剤層を設けて、ハウジングアセンブリをさらに封止し、ロッキングサブアセンブリを強化することができるとより好ましい。
【0022】
少なくとも1つの隔壁は、挿入状態においてハウジングアセンブリを閉じ、電気部品を完全に包むことができる。
【0023】
別の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの隔壁は、ハウジング部に少なくとも部分的に受け入れられるように構成されているさらなるハウジング部の一部であってよい。さらなるハウジング部は、挿入状態においてハウジングアセンブリを閉じるベースを形成することができる。さらなるハウジング部と少なくとも1つの隔壁とを、一体部品として互いに一体形成することができる。電気部品をさらなるハウジング部に形成することができ、さらなるハウジング部は電気部品のベースとして機能する。
【0024】
少なくとも1つの隔壁は、電気部品の一部を互いに分離することができる。リレーの場合、少なくとも1つの隔壁は、例えば、電磁コイルをコンタクトばねから分離することができる。
【0025】
挿入状態において、少なくとも1つの隔壁を、挿入方向および水平方向に垂直に、ハウジング部の中央部に配置することができると好ましい。中央部は、通常、高い内圧による影響を最も受けるため、ハウジング部の壁部が外側に偏向する。
【0026】
ハウジングアセンブリを、挿入状態において密封することができると好ましい。これにより、気密のハウジングアセンブリを形成し、中に入っている電気部品を水蒸気および/または他の異物から保護する。これにより、電気部品の適切な機能および信頼性を維持する。ロッキングサブアセンブリは、ハウジングアセンブリ内の高い内圧により封止が裂けてハウジング部の壁部同士が押し離されることを防止することによって、密封されたハウジングアセンブリの信頼性をさらに高めることができる。
【0027】
ハウジングアセンブリを、挿入状態において封止用エポキシ樹脂などの接着剤を塗布することによって密封することができる。接着剤をハウジングアセンブリの外側に塗布して、ハウジングアセンブリの部品同士を接着し、少なくとも挿入方向での移動をロックすることができると好ましい。
【0028】
さらなる有利な実施形態では、挿入状態においてさらなるハウジング部をハウジング部に完全に挿入することができる。さらなるハウジング部は、接着剤を受け入れるための少なくとも1つの凹部を備えることができる。凹部を、ハウジング部から離れた側を向く、さらなるハウジング部の外面に形成することができると好ましい。凹部は、挿入状態においてハウジング部の少なくとも1つの壁部へ延びることができ、凹部に充填された接着剤がさらなるハウジング部を少なくとも1つの壁部に接着し、ハウジングアセンブリを密封することができるようになっている。
【0029】
別の有利な実施形態によれば、挿入状態において接着剤移送流路を設けることができる。接着剤移送流路は、ハウジングアセンブリの外側に向かって開くことができ、ロッキングサブアセンブリへ延びることができる。したがって、ハウジングアセンブリの内側に接着剤層を形成して、ハウジングアセンブリの封止性およびロック強度をさらに高めることができる。接着剤移送流路は、凹部のうちの少なくとも1つの外側に向かって開くことができると好ましい。
【0030】
接着剤移送流路をハウジング部の溝として形成することができる。溝は鋭い縁部を有することができる。これにより、接着剤移送流路は、毛管作用によって接着剤をハウジングアセンブリの内部へ移送することができる。
【0031】
ロッキングサブアセンブリの強度をさらに高め、挿入状態においてロッキングサブアセンブリへの接着剤の挿入を可能にするために、ロッキングサブアセンブリは、接着剤移送流路に接続されているさらなる接着剤移送流路を形成することができる。特に、さらなる接着剤移送流路は接着剤移送流路に連続することができる。したがって、接着剤をロッキングサブアセンブリに加えて、インタロック部品同士を接着することができる。これにより、振動または衝撃によるロッキングサブアセンブリの損傷をさらに防止することができる。接着剤により、インタロック部品の相対移動、したがって摩耗を避ける。
【0032】
さらなる接着剤移送流路を、特にハウジング部と少なくとも1つの隔壁との間に形成することができる。これにより、接着剤を充填したときに、ハウジング部と少なくとも1つの隔壁とを接着剤により接着することができる。さらなる移送流路を、ハウジング部の壁部のさらなる溝として形成することができると好ましい。さらなる溝は鋭い縁部を有するため、接着剤を毛管作用によって移送することができる。さらなる移送流路を、ロッキングサブアセンブリ2つの突出するリブ間の切欠きによって形成することができる。
【0033】
しかしながら、圧力、例えば空気圧により接着剤を流路に押し通すことによって、接着剤を、接着剤流路および/またはさらなる接着剤流路を通して移送してもよいことに留意されたい。
【0034】
接着剤流路およびさらなる接着剤流路を、互いに平行な平面に配置してもよく、挿入方向に千鳥(スタガード)構成で配置してもよい。
【0035】
接着剤移送流路またはさらなる接着剤移送流路の少なくともいずれか、好ましくは両方に接着剤を充填することができる。少なくとも1つの隔壁をハウジング部に挿入する前に接着剤を充填することができる。しかしながら、少なくとも1つの隔壁をハウジング部に挿入する前に接着剤を塗布すると、接着剤は、あまりにも速く固まって、またはずれて、少なくとも1つの隔壁とハウジング部との間に不均一な接着剤層を形成するおそれがある。したがって、隔壁をハウジング部に挿入した後に、接着剤を接着剤移送流路および/またはさらなる接着剤移送流路に充填することができると好ましい。
【0036】
以下で、例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、本発明によるハウジングアセンブリについてより詳細に説明する。
【0037】
図中、機能および/または構造に関して互いに対応する要素については同一の参照符号を使用する。
【0038】
様々な態様および実施形態の説明に従って、図面に示す要素の技術的効果が特定の適用に必要でない場合には、これらの要素を省略することができる。逆に、図示されていない、または図面を参照して説明されていないが、上述されている要素を、これらの特定の要素の技術的効果が特定の適用に有利である場合には、追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明によるハウジングアセンブリの例示的な実施形態の概略切断図である。
【
図2】
図1に示すロッキングサブアセンブリの概略拡大図である。
【
図3】L字形ロッキングサブアセンブリの概略切断図である。
【
図4】ダブテール形ロッキングサブアセンブリの概略切断図である。
【
図5】T字形ロッキングサブアセンブリの概略切断図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態によるさらなるハウジング部の一部としての隔壁の概略斜視図である。
【
図7】挿入状態における本発明のハウジングアセンブリの概略斜視図である。
【
図8】
図7において囲んだ領域の概略拡大図である。
【
図9】
図7および
図8に示すハウジングアセンブリの概略切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1において、ハウジングアセンブリ1の例示的な実施形態の切断図が示される。図示したハウジングアセンブリ1は挿入状態2にあり、少なくとも1つの隔壁4がハウジング部6に挿入方向Sで挿入されている。
【0041】
挿入状態2において、隔壁4はハウジング部6の一方の壁部8から反対の壁部8へ水平方向Hに延びている。この水平方向Hは、挿入方向Sに実質的に垂直に配置することが好ましい。隔壁4を、壁部8に実質的に垂直に配置することができると好ましい。隔壁を水平方向Hに実質的に平行な方向でハウジング部6にロックするように構成されているロッキングサブアセンブリ10が設けられる。
【0042】
挿入状態2において、隔壁4をハウジング部6の中央部11に配置することができ、この中央部11は、挿入方向Sおよび水平方向Hに垂直に、ハウジング部6の中央に位置する。中央部11は、通常、高い内圧による変形が最も大きいハウジング部6の領域である。したがって、隔壁4を前記中央部11に配置して変形を防止することができると好ましい。しかしながら、ハウジングアセンブリ1の大きさに応じて、隔壁4を異なる部分に配置してもよく、2つ以上の隔壁4を、挿入方向Sおよび水平方向Hに垂直に互いに離間して設けてもよい。
【0043】
ロッキングサブアセンブリ10は、挿入方向Sに沿って延びる少なくとも1つのレールガイド12を備えることができる。レールガイド12は、壁部8と一体形成され、隔壁4の側縁部14に係合するように構成されている。
【0044】
レールガイド12を、壁部8から張り出し、挿入方向Sに沿って延びる2つのリブ16、18によって形成することができる。2つのリブ16、18は、挿入方向Sおよび水平方向Hに垂直に互いに離間して、間に切欠き20を形成することができる。側縁部14は、切欠き20に摺動挿入するように構成されている。対向する壁部8にも相補レールガイド12が形成されているため、隔壁4は、水平方向Hの両側でハウジング部6に係合することができる。したがって、ロッキングサブアセンブリ10は、隔壁4とハウジング部6との係合部を、水平方向Hのそれぞれの側に備えることができる。
【0045】
ロッキングサブアセンブリ10は実質的に対称の構成を備えているため、参照符号は2つの側の一方のみに示される。
【0046】
図1において囲んだ領域の拡大像を示す
図2では、ロッキングサブアセンブリ10がより詳細に示される。
【0047】
押込みインタロックを形成するために、リブのうちの少なくとも一方16がアンダカット22を形成することができ、挿入状態2において、このアンダカット22に隔壁4の突起24、例えば舌部25を挿入することができる。リブ16を壁部8から隔壁4に向かって斜めに延ばすことによって、アンダカット22を形成することができる。あるいは、リブ16は、隔壁4に向かって延びて水平方向Hで突起24に重なる突起26を備えることができる。重なり突起24、26はポジティブフィットを形成して、ハウジング部6と隔壁4との少なくとも水平方向に平行な相対移動を阻止することができる。
【0048】
ロッキングサブアセンブリ10の部品を、挿入状態2において圧入接続を形成するように寸法決めすることができる。しかしながら、インタロック部、すなわちレールガイド12のリブ16、18と少なくとも1つの隔壁4の側縁部14との間に間隙32を設けることができると好ましい。間隙32に接着剤34、例えば封止用エポキシ樹脂を充填して、インタロック部同士を接着し、ロッキングサブアセンブリ10をさらに強化することができる。接着剤34が硬化すると、ロッキングサブアセンブリ10は、特に挿入方向Sでの相対移動をさらにロックすることができる。
【0049】
図3~
図5に、少なくとも1つの隔壁4とハウジング部6との他の形状のインタロックが示される。インタロックはL字形、T字形、またはダブテール形であってよい。特に、T字形またはダブテール形インタロックにより、少なくとも1つの隔壁4の前部28および後部30にロッキングサブアセンブリが係合することができる。したがって、大きい重なり表面積が実現されて、インタロックをさらに強化することができる。接着剤を加えることによって、ロッキングサブアセンブリをさらに強化してもよい。
【0050】
図面において、レールガイド12がハウジング部6に形成され、隔壁4が、挿入状態2において受け入れられるように構成されている、相補的に形成された突起24を備えることが示される。しかしながら、この逆であってもよく、すなわち、隔壁4の側縁部14がレールガイド12を備え、ハウジング部6が、レールガイド12に受け入れられるように構成されている、相補的に形成された突起24を備えてもよいことに留意されたい。
【0051】
少なくとも1つの隔壁4は、挿入状態2においてハウジング部6に受け入れられるように構成されているさらなるハウジング部7の一部であってよい。さらなるハウジング部7はベース9を備えることができ、このベース9は、少なくとも1つの隔壁4を受け入れるためのハウジング部6の開口部13を閉じるように構成されている。さらなるハウジング部7と少なくとも1つの隔壁4とを、一体部品36として互いに一体形成することができる。
【0052】
さらなるハウジング部7は、
図6の概略斜視図に示される。
【0053】
さらなるハウジング部7は、電気部品38、特にリレー40を保持することができる。リレー40は、電磁コイル42と、互いに対向して配置されている2つのコンタクトばね44とを備える。2つのコンタクトばね44のうちの一方は駆動要素46に接続され、駆動要素46は、電磁コイル42によって動くように構成されているアーマチュア48にさらに結合される。これにより、電磁コイルに電力が供給されると、駆動要素46はコンタクトばねを他方のコンタクトばね44に向かって動かす。駆動要素46は、隔壁4の上方で挿入方向Sに配置され、アーマチュア48から挿入方向Sおよび水平方向Hに垂直にコンタクトばね44まで延びる。駆動要素46は、隔壁4の自由端50から離間して、隔壁4が駆動要素46の移動に影響されないようになっていることが好ましい。
【0054】
隔壁4は、さらなるハウジング部7の中央部に配置されて、2つのチャンバ52、54を分離することが好ましい。一方のチャンバ52は電磁コイル42およびアーマチュア48を保持し、他方のチャンバ54はコンタクトばね44を特徴とする。
【0055】
隔壁4はベース9から挿入方向Sに延びる。隔壁4をさらに安定させるために、水平方向Hに延びる隔壁4の表面に安定化支柱56が形成される。2つの安定化支柱56は、水平方向Hに互いに離間して配置され、増加された材料厚さを有し、表面に向かって挿入方向Sにテーパ状になっている。安定化支柱56は、衝撃または振動によって生じる、さらなるハウジング部7に対する隔壁の相対移動を特に防止することができる。したがって、隔壁4の強度およびロッキングサブアセンブリ10の信頼性がさらに高まる。
【0056】
さらなるハウジング部7は、外周に向かって開く様々な凹部58をベース9に備える。
図7および
図8において、凹部58がより明確に示されている。
図7は、挿入状態2におけるハウジングアセンブリ1の概略斜視図であり、さらなるハウジング部7の、ハウジング部6から離れた側を向く底面60が見えている。
【0057】
図7に見られるように、複数の凹部58は、さらなるハウジング部7の底面60に形成されている。各凹部58は、底面60の外周に向かって開く少なくとも1つのくぼみ62を備える。くぼみ62は各々、接着剤34をくぼみ62内に案内するための案内リブ63の境界を成す。凹部58および案内リブ63は、鋭い縁部を有することにより、接着剤34を案内する毛管として作用することが好ましい。
【0058】
挿入状態2において、くぼみ62はハウジング部6の開口部13の内周を開く。したがって、くぼみ62は、接着剤34を周囲間のスロット64内に案内するように構成されている。封止用接着剤、例えば封止用エポキシ樹脂を塗布することにより、ハウジングアセンブリ1を密封することができる。
【0059】
図8は、
図7において円で示した凹部58の拡大図である。
【0060】
図8に見られるように、ハウジング部6の壁部8に溝66が形成され、挿入状態2において凹部58のくぼみ62は溝66内に開く。
【0061】
溝66は鋭い縁部を有し、挿入方向Sに延びて接着剤移送流路68を形成する。鋭い縁部により、挿入状態2において、壁部8とさらなるハウジング部7との間で接着剤をハウジングアセンブリ内に吸引して、ハウジングアセンブリ1をさらに封止することができる。
【0062】
図9は、本発明の例示的な実施形態による、挿入状態2におけるハウジングアセンブリ1の概略斜視図である。壁部8を除去して、挿入状態2におけるハウジングアセンブリ1の内部が見えるようになっている。図に見られるように、接着剤移送流路68に接着剤34が充填される。接着剤移送流路68は、挿入方向Sに延び、リブ16、18の一方に当接する。当接したリブ16は、接着剤34をレールガイド12の切欠き20に向け直す。これにより、ロッキングサブアセンブリ10は、接着剤移送流路68に連続するさらなる接着剤移送流路70を形成する。さらなる接着剤移送流路70は、リブ16、18によって境界がつけられ、挿入方向Sに延びる。したがって、接着剤34を隔壁4の側縁部14とレールガイド12との間で、特に毛管作用により吸引することができる。
【0063】
接着剤34を、隔壁4の挿入前に接着剤移送流路68および/またはさらなる接着剤移送流路70に充填することができる。しかしながら、接着剤34は、あまりにも速く固まって、または挿入中にずれて、少なくとも1つの隔壁4とハウジング部6との間に不均一な接着剤層を形成するおそれがある。したがって、隔壁4をハウジング部6に挿入した後に、接着剤34を接着剤移送流路68および/またはさらなる接着剤移送流路70に充填することができると好ましい。
【0064】
ロッキングサブアセンブリ10は、ハウジングアセンブリ1内で生じる高い内圧による、ハウジング部6の水平方向Hでの膨張に対抗する。特に、密封されたハウジングアセンブリ1では、ロッキングサブアセンブリ10は封止材料にかかる剪断力を大幅に低減させる。したがって、本発明のハウジングアセンブリ1はより信頼性が高く、高い耐久性を有する。
【符号の説明】
【0065】
1 ハウジングアセンブリ
2 挿入状態
4 隔壁
6 ハウジング部
7 さらなるハウジング部
8 壁部
9 ベース
10 ロッキングサブアセンブリ
11 中央部
12 レールガイド
13 ハウジング部の開口部
14 側縁部
16 リブ
18 リブ
20 切欠き
22 アンダカット
24 突起
25 舌部
26 突起
28 前部
30 後部
32 間隙
34 接着剤
36 一体部品
38 電気部品
40 リレー
42 電磁コイル
44 コンタクトばね
46 駆動要素
48 アーマチュア
50 自由端
52 電磁コイルを有するチャンバ
54 コンタクトばねを有するチャンバ
56 安定化支柱
58 凹部
60 底面
62 くぼみ
63 案内リブ
64 スロット
66 溝
68 接着剤移送流路
70 さらなる接着剤移送流路
H 水平方向
S 挿入方向