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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】車両用梯子装置および車両
(51)【国際特許分類】
   E06C 5/04 20060101AFI20240903BHJP
   B66C 23/50 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E06C5/04
B66C23/50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022158165
(22)【出願日】2022-09-30
(65)【公開番号】P2024051823
(43)【公開日】2024-04-11
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉元 啓朗
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-131599(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0045770(US,A1)
【文献】実公第002411(大正11年)(JP,Y1T)
【文献】実開平7-41000(JP,U)
【文献】特開2012-171402(JP,A)
【文献】実開平1-105197(JP,U)
【文献】米国特許第05064022(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00-9/14
B66C 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用梯子装置であって、
上下に延びる前後の第1支柱と複数の第1踏み桟とを有し、前記車両の側面に固定された固定梯子と、
上下に延びる前後の第2支柱と複数の第2踏み桟とを有し、前記第1支柱に沿って摺動可能に前記固定梯子に連結された延長梯子と、
重力によって下方に摺動した前記延長梯子の摺動を停止させるストッパと、
一端が前記車両に連結され、他端が前記ストッパに連結された綱状部材と、を備え、
前記ストッパは、
水平方向に延び、前記前後の第2支柱の間に配置された水平板と、
前記第2踏み桟に平行に延びる軸部と、
前記水平板から下方に延び、前記軸部を支持する支持部と、
第1当接部と、前記第1当接部の下方かつ前記第1当接部よりも前記車両内側に設けられた第2当接部とを有し、回動可能に前記軸部に連結されたストッパ本体と、
前記ストッパ本体を上方向に付勢し、これにより、前記第1当接部を前記水平板に当接させ、前記第2当接部を前記前後の第1支柱の間に突出させる付勢部と、
前記ストッパ本体に固定されるともに前記ストッパ本体から前記車両外側に向かって突出し、前記綱状部材に連結された連結部と、を有し、
前記ストッパは、前記綱状部材がフリーのとき、前記第2当接部を前記第1踏み桟に当接させて前記延長梯子の摺動を停止させ、前記綱状部材が上側に引っ張られることにより、前記ストッパ本体が下方向に回転し前記延長梯子の摺動の停止を解除する、梯子装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記水平板の下方に延び、前記前後の第2支柱の間に配置された縦板をさらに有し、
前記第2当接部は、前記ストッパ本体が下方向へ回転したとき、前記縦板に当接する、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項3】
綱ガードをさらに備え、
前記車両は、鉄道車両であって、前記固定梯子の上方に柵を有し、
前記綱ガードは、上下に延びるとともに断面C字状またはコの字状に形成され、前記柵に固定されており、前記綱状部材を車両限界内に収める、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項4】
プーリーをさらに備え、
前記車両は、前記固定梯子の上方に柵を有し、
プーリーは、前記柵に固定され、前記綱状部材を掛けられる、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項5】
クッションをさらに備え、
前記車両は、下フレームを有し、
前記固定梯子の下部は、前記下フレームに固定されており、
前記クッションは、前記下フレームに固定され、前記固定梯子と前記延長梯子との間に配置されている、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項6】
下限ストッパをさらに備え、
前記車両は、下フレームを有し、
前記固定梯子の下部は、前記下フレームに固定されており、
前記延長梯子は、案内部をさらに有し、
前記案内部は、前記前後の第2支柱の上下方向中央において固定されており、前記延長梯子の摺動を案内し、
前記下限ストッパは、前記延長梯子の前後方向外側において前記下フレームに固定され、前記案内部の前記第2支柱への固定部分に接触することにより前記延長梯子の下限位置を規制する、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項7】
チェーンフックをさらに備え、
前記綱状部材は、チェーンであって、
前記車両は、前記固定梯子の上方に柵を有し、
前記チェーンフックは、前記チェーンを係止可能に構成され、前記柵の内側に固定されている、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項8】
リミットスイッチをさらに備え、
前記車両は、上フレームを有し、
前記固定梯子の上部は、前記上フレームに固定されており、
前記リミットスイッチは、上下方向に揺動可能な検知用レバーを有し、
前記延長梯子は、上端において、上方に突出する検知用プレートをさらに有し、
前記延長梯子が延長していないとき、前記検知用プレートは、前記検知用レバーに接触して前記検知用レバーを上方に揺動させ、前記リミットスイッチを切り替える、請求項1に記載の梯子装置。
【請求項9】
請求項1に記載の梯子装置を備える車両。
【請求項10】
前記車両は、鉄道車両である、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記梯子装置は、収納センサをさらに備え、
前記収納センサは、前記延長梯子が収納されていないことを検知するよう構成されており、
前記車両は、前記延長梯子が収納されていないとき、移動することがないよう構成されている、請求項9または10に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられた車両用梯子装置および車両用梯子装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道は、線路、桁を有し、線路、桁の構造、機能を維持管理する保線作業が日々行われている。線路と、保線に利用される作業車両やプラットホームとの間には大きな段差があり、器具なしで移動することは困難である。そこで、特許文献1および特許文献2に開示の昇降装置が開発されてきた。
【0003】
ところで、図13に示すように、モノレールの桁100の保守作業の場合、モノレールクレーン車200を用いて保守作業が行われている。モノレールクレーン車200は、車体210と、車体210の上面に配置されたクレーン220と、車体210の側面に配置された梯子230と、を備えている。モノレールクレーン車200には、保守作業用の道具が荷積みされており、ユーザーUは、クレーン220を利用して道具を車体210から作業場に降ろし、梯子230を降りて作業場に移動する。
【0004】
しかしながら、作業場によっては、梯子230の下端と作業場の地面との距離が離れており、梯子230を使っても乗降が難しいところがあった。しかも、モノレールの桁100の保守の作業場は狭く、特許文献1に開示の仮設階段を設置することは難しい。また、通常の梯子は、まず、下から上に登ることを想定されており、モノレールクレーン車200の保守作業のように、はじめに車体210から作業場に降車することは想定されていない。また、この保守作業は、頻繁に乗降することが求められていることから、乗降のたびに、梯子を設置することは作業効率の低下につながるため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-106191号公報
【文献】特開2007-170098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両から地面に降りるために使用される梯子であって、車両と地面とが比較的離れていてもユーザーを容易に降車させることができる梯子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る梯子装置は、
車両用梯子装置であって、
上下に延びる前後の第1支柱と複数の第1踏み桟とを有し、車両の側面に固定された固定梯子と、
上下に延びる前後の第2支柱と複数の第2踏み桟とを有し、第1支柱に沿って摺動可能に固定梯子に連結された延長梯子と、
重力によって下方に摺動した延長梯子の摺動を停止させるストッパと、
一端が車両に連結され、他端がストッパに連結された綱状部材と、を備え、
ストッパは、
水平方向に延び、前後の第2支柱の間に配置された水平板と、
第2踏み桟に平行に延びる軸部と、
水平板から下方に延び、軸部を支持する支持部と、
第1当接部と、第1当接部の下方かつ第1当接部よりも車両内側に設けられた第2当接部とを有し、回動可能に軸部に連結されたストッパ本体と、
ストッパ本体を上方向に付勢し、これにより、第1当接部を水平板に当接させ、第2当接部を前後の第1支柱の間に突出させる付勢部と、
ストッパ本体に固定されるともにストッパ本体から車両外側に向かって突出し、綱状部材に連結された連結部と、を有し、
ストッパは、綱状部材がフリーのとき、第2当接部を第1踏み桟に当接させて延長梯子の摺動を停止させ、綱状部材が上側に引っ張られることにより、ストッパ本体が下方向に回転し延長梯子の摺動の停止を解除する、ことを特徴とする。
【0008】
上記梯子装置は、好ましくは、
ストッパが、水平板の下方に延び、前後の第2支柱の間に配置された縦板をさらに有し、
第2当接部は、ストッパ本体が下方向へ回転したとき、縦板に当接する。
【0009】
上記梯子装置は、好ましくは、
綱ガードをさらに備え、
車両は、鉄道車両であって、固定梯子の上方に柵を有し、
綱ガードは、上下に延びるとともに断面C字状またはコの字状に形成され、柵に固定されており、綱状部材を車両限界内に収める。
【0010】
上記梯子装置は、好ましくは、
プーリーをさらに備え、
車両は、固定梯子の上方に柵を有し、
プーリーは、柵に固定され、綱状部材を掛けられる。
【0011】
上記梯子装置は、好ましくは、
クッションをさらに備え、
車両は、下フレームを有し、固定梯子の下部は、下フレームに固定されており、クッションは、下フレームに固定され、固定梯子と延長梯子との間に配置されている。
【0012】
上記梯子装置は、好ましくは、
下限ストッパをさらに備え、
車両は、下フレームを有し、
固定梯子の下部は、下フレームに固定されており、
延長梯子は、案内部をさらに有し、
案内部は、第2支柱の上下方向中央に固定されており、延長梯子の摺動を案内し、
下限ストッパは、延長梯子の前後方向外側において下フレームに固定され、案内部の第2支柱への固定部分に接触することにより延長梯子の下限位置を規制する。
【0013】
上記梯子装置は、好ましくは、
チェーンフックをさらに備え、
綱状部材は、チェーンであって、
車両は、固定梯子の上方に柵を有し、
チェーンフックは、チェーンを係止可能に構成され、柵の内側に固定されている。
【0014】
上記梯子装置は、好ましくは、
リミットスイッチをさらに備え、
車両は、上フレームを有し、
固定梯子の上部は、上フレームに固定されており、
リミットスイッチは、上下方向に揺動可能な検知用レバーを有し、
延長梯子は、上端において、上方に突出する検知用プレートをさらに有し、
検知用プレートは、延長梯子が延長していないとき、検知用レバーに接触して検知用レバーを上方に揺動させ、リミットスイッチを切り替える。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両は、
上記梯子装置を備える、ことを特徴とする。
【0016】
上記車両は、鉄道車両である。
【0017】
上記車両は、好ましくは、
梯子装置が、収納センサをさらに備え、
収納センサは、延長梯子が収納されていないことを検知するよう構成されており、
車両は、延長梯子が収納されていないとき、移動することがないよう構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る梯子装置は、車両と地面とが比較的離れていても、ユーザーを容易に降車させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る梯子装置および車両の概要を示す正面図である。
図2図1に示された車両を示す正面図である。
図3図1に示された車両を示す側面図である。
図4】Aは図1に示された梯子装置の正面図であり、BはAのB部拡大図である。
図5】Aは図1に示された梯子装置の側面図であり、B、CおよびDは、AのB部、C部およびD部の拡大図である。
図6図4のa-a断面図である。
図7図4のb-b断面図である。
図8】ストッパを示し、Aは正面図であり、Bは図4のc-c断面図であり、Cはストッパ本体が上側に付勢された状態を示す側面図である。
図9】ストッパ本体を示し、Aは上から見た斜視図であり、Bは下から見た斜視図である。
図10】プーリー、綱ガードおよびカバーを示し、Aは側面図であり、Bは正面図であり、CはBのC部拡大図である。
図11】AおよびBは収納センサを示す側面図である。
図12】A~Dは、延長梯子の動作を示す側面図である。
図13】従来のモノレールクレーン車を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の車両用梯子装置および車両の一実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る車両1および梯子装置2の概要を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、モノレールクレーン車であるが単なる一例であって、本発明に係る車両1は、これに限定されない。本明細書における前後方向および左右方向は、車両1の進行方向に基づいており、矢印Xは前後方向を示し、矢印Yは左右方向を示し、矢印Zは上下方向を示している。
【0022】
図1に示すように、車両1は、桁100上を走行し、クレーン14によって荷物を作業場に下ろすことができるよう構成されている。ユーザーUは、作業場に到着すると、クレーン14によって荷物を地面に下ろす。梯子装置2は、車上から下方に延長可能に構成されている。これにより、ユーザーUは、車両1と地面との距離が比較的離れていても、梯子装置2を使って容易に地面に降りることができる。
【0023】
以下、図2図11を参照しつつ、車両1および梯子装置2をより詳細に説明する。
【0024】
<車両>
図2および図3に示すように、車両1は、車体10と、走行輪11と、案内輪12と、安定輪13と、駆動部(図示略)と、制御部(図示略)と、クレーン14と、柵15と、2つの梯子装置2と、を備えている。図3における仮想線VLは、車両限界VLを示している。
【0025】
車体10は、上フレーム10aと、下フレーム10bとを有する。上フレーム10aおよび下フレーム10bは、前後方向に延びている。2つの梯子装置2は、車体10の左右側面にそれぞれ配置されている。
【0026】
走行輪11は、車体10の下面において前後左右にそれぞれ設けられている。左右の案内輪12は、走行輪11の下方において桁100を挟むように前後左右にそれぞれ設けられている。安定輪13は、案内輪12の下方において前後左右にそれぞれ設けられている。車両1は、これら車輪によって桁100上を走行する。
【0027】
駆動部は、走行輪11を回転させる。制御部は、駆動部を制御して、走行輪11の回転および停止を制御する。
【0028】
クレーン14は、車体10の上面に設けられている。クレーン14は、前後方向に伸縮可能かつ角度調整可能に構成されている。クレーン14は、フック14aを有し、フック14aによって荷物に掛けられたロープなどを引っ掛け、荷物を地上に下ろす。
【0029】
柵15は、車両1の上面を囲むように設けられている。柵15には、扉15aが設けられており、ユーザーUは、扉15aを開けて車体10上から梯子装置2へと移動する。扉15aは、梯子装置2の直上に配置されていないが単なる一例であって、梯子装置2の直上に配置されてもよい。
【0030】
制御部は、後で説明する収納センサ32によって延長梯子21が収納されていないことを検知されたとき、走行輪11を回転させないよう構成されている。
【0031】
<梯子装置>
図4および図5は、図2に示された梯子装置2の正面および側面をそれぞれ示している。左右の梯子装置2は同様の構成であるので、以下、梯子装置2の説明は、図2に示された梯子装置2に基づいて説明する。
【0032】
図4および図5に示すように、梯子装置2は、固定梯子20と、延長梯子21と、摺動ロック手段22と、左右の下限ストッパ23と、クッション部24と、ストッパ25と、チェーン26と、を備えている。
【0033】
固定梯子20は、左右の支柱20a(第1支柱に相当)と、複数の踏み桟20b(第1踏み桟に相当)と、を有する。左右の支柱20aは、上下に延びており、左右の支柱20aの上端は、上フレーム10aに固定され、左右の支柱20aの下端は、下フレーム10bにそれぞれ固定されている。複数の踏み桟20bは、前後方向に延びるとともに左右の支柱20aの間に上下に間隔をおいて固定されている。
【0034】
延長梯子21は、左右の支柱21a(第2支柱に相当)と、複数の踏み桟21b(第2踏み桟に相当)と、水平プレート21cと、垂直プレート21dと、上下の案内部21e、21fと、を有する。左右の支柱21aは、上下に延びており、複数の踏み桟21bは、前後方向に延びるとともに左右の支柱21aの間に上下に間隔をおいて固定されている。
【0035】
図4Bおよび図5Bに示すように、水平プレート21cは、水平方向に延びるとともに、支柱21aの上面に固定されている。垂直プレート21dは、上下方向に延びるとともに、水平プレート21cの上面の端部に固定されている。垂直プレート21dは、本発明の検知用プレートに相当する。
【0036】
摺動ロック手段22は、前後の丸落しから構成されており、筒状案内部22aと、孔部22bと、丸棒22cと、コイルスプリング(図示略)と、把持部22dと、を有する。筒状案内部22aは、前後方向に延びるとともに上フレーム10aに固定されている。孔部22bは、前後方向に延びるとともに、垂直プレート21dに固定されている。丸棒22cは、筒状案内部22aの筒内を通されており、コイルスプリングは、丸棒22cを前後方向に付勢し、丸棒22cを孔部22bに挿通させる。把持部22dは、丸棒22cに固定されており、丸棒22cを孔部22bに通さない状態で固定することができるよう構成されている。摺動ロック手段22は、丸棒22cが孔部22bを通されていることにより延長梯子21の摺動をロックし、丸棒22cが孔部22bから引き抜かれることにより、摺動のロックを解除する。
【0037】
上側の案内部21eは、前後一対で構成され、延長梯子21の支柱21aの上部に固定されている。下側の案内部21fは、前後一対で構成され、支柱21aの上下方向中央に固定されている。
【0038】
図6は、図4Aのa-a断面図である。また、図5Bおよび図5Cは上下の案内部21f、21eの側面をそれぞれ示している。図6に示すように、案内部21e、21fは、ブラケット21e1、21e2、21f1、21f2と、ガイドシュー21e3、21f3と、を有する。ブラケット21e1(21f1)は、平面視L字状に形成されており、ブラケット21e2(21f2)は、平面視略T状に形成されている。ガイドシュー21e3(21f3)は、板状に形成されている。ブラケット21e1(21f1)は溶接およびボルトによって支柱21aに固定され、ブラケット21e2(21f2)は、溶接によって支柱21aに固定されている。ガイドシュー21e3(21f3)は、ブラケット21e1(21f1)およびブラケット21e2(21f2)に対してボルトによってそれぞれ固定されている。4つの案内部21e(21f)は、各3つのガイドシュー21e3(21f3)によって支柱20aを囲み、延長梯子21が支柱20aに沿って摺動するよう案内する。
【0039】
図7は、図4Aのb-b断面図である。また、図5Dは、下限ストッパ23の側面を示している。図7に示すように、前後の下限ストッパ23は、上板23aと、側板23bと、を有する。側板23bは、平面視L字状に形成され、下フレーム10bに固定されている。上板23aは、支柱21aの外側に配置されている。これにより、延長梯子21が下方に摺動したとき、ボルトによって支柱21aに固定されているブラケット21f1が下限ストッパ23に当接して延長梯子21の摺動を停止させる。なお、下限ストッパ23に当接されるブラケット21f1の部分は、ボルトによって補強していることにより、当該当接によって、ガイドシュー21f3の支柱20aに対する位置関係がずれることを防止されている。このように、下限ストッパ23は、案内部21fの支柱21aへの固定部分に接触することにより延長梯子21の下限位置を規制している。
【0040】
クッション部24は、図5Dおよび図7に示すように、固定部24aと、クッション24bと、を有する。固定部24aは、下フレーム10bに固定されており、クッション24bを固定している。クッション24bは、前後方向かつ上下方向に延び、延長梯子21に向かって張り出している。クッション24bは、ウレタンによって構成されており、車両1の移動の際に延長梯子21の踏み桟21bと接触することにより、延長梯子21の揺れを吸収する。なお、クッション24bの素材は、クッション性を有する素材であればよく、ウレタンに限定されない。
【0041】
図8は、ストッパ25を示し、Aは正面図であり、Bは図4のc-c断面図であり、Cはストッパ本体25fが上側に付勢された状態を示す側面図である。ストッパ25は、図8Aおよび図8Bに示すように、固定部25aと、水平板25bと、縦板25cと、支持部25dと、軸部25eと、ストッパ本体25fと、連結部25gと、付勢部25hと、を有する。
【0042】
固定部25aは、正面板と、側板とを有し、水平プレート21cの下面かつ左右の支柱21aの間に固定されている。正面板は、前後方向中央において下端から上下方向中央に延びる切り欠きを有する。
【0043】
水平板25bは、水平方向に延びるとともに固定部25aの下面に固定されている。縦板25cは、水平板25bの端部から連続して前後方向および下方向に延びる2つの板によって構成され、水平板25bと一体的に構成されている。当該2つの板の間には隙間が設けられている。
【0044】
支持部25dは、水平板25bから上下方向に延びる2つの板から構成されている。当該2つの板は、前後方向に延びる孔を有する。
【0045】
図9は、ストッパ本体25fを示す斜視図である。図9に示すように、ストッパ本体25fは、本体部25f1と、上板25f2(第1当接部に相当)と、下板25f3(第2当接部に相当)と、を有する。本体部25f1は、左右方向に延びる前後の板25f4と、前後の板25f4の間に架け渡された横板25f5と、横板25f5から連続して下方に延びる縦板25f6とを有する。縦板25f6は、前後方向中央において、下端から上下方向に延びる切り欠きを有する。板25f4は、軸部25eを通すための孔を有する。上板25f2は、前後方向に延びるとともに、横板25f5の上面に固定されている。下板25f3は、水平方向に延びるとともに、前後の板25f4に架け渡されている。ストッパ本体25fは、後で説明する軸部25eに固定されることにより上下方向に回動可能に構成されている。
【0046】
連結部25gは、板状に形成されており、本体部25f1に固定されるとともにストッパ本体25fから車体10の外側に向かって突出している。連結部25gは、本体部25f1側に、軸部25eを通すための孔を有する。また、連結部25gは、先端に、チェーン26を通すための孔を有する。
【0047】
軸部25eは、前後方向に延びる軸状部材であって、支持部25dの孔と、本体部25f1の孔と、連結部25gの孔とを通され、本体部25f1および連結部25gに固定されている。
【0048】
付勢部25hは、ねじりコイルばねから構成されており、軸部25eを通され、一端を縦板25cに固定され、他端をストッパ本体25fに固定されている。付勢部25hは、ストッパ本体25fを上方向に付勢し、図8Cに示すように、上板25f2を水平板25bに当接させ、下板25f3を左右の支柱20aの間に突出させる(図12A参照)。
【0049】
図10および図11に示すように、梯子装置2は、プーリー27と、チェーンフック28と、綱ガード29と、カバー31と、収納センサ32と、をさらに備えている。
【0050】
図4図10Aおよび図10Bに示すように、チェーン26は、先端を連結部25gに連結され上下方向に延びるとともに、次に説明するプーリー27を介して、基端を柵15に連結されている。チェーン26は、本発明の綱状部材に相当する。チェーン26は、綱状部材の単なる一例であって、綱状部材は、例えば、ワイヤーや縄であってもよく、特に限定されない。
【0051】
図2および図10Bに示すように、プーリー27は、延長梯子21の上方において、柵15に固定されている。プーリー27は、L字ガイド27aを有し、L字ガイド27aは、プーリー27本体の上方に配置されている。これにより、L字ガイド27aは、チェーン26がプーリー27から外れることを防止する。
【0052】
図10Aに示すように、チェーンフック28は、左右方向に延び、先端が下方に傾斜した板状部材から構成されている。チェーンフック28は、プーリー27の下方において、柵15に固定されている。チェーンフック28は、その先端にチェーン26を係止させることにより、チェーン26を一時的に固定することができる。
【0053】
図10Aおよび図10Bに示すように、綱ガード29は、断面C字状の上下方向に延びる縦長部材から構成されている。綱ガード29は、該U字の開口部が車体10の内側に向けられ、柵15に固定されている。チェーン26は、綱ガード29の内側と柵15の間を通される。これにより、綱ガード29は、チェーン26が車両限界VLを越えることを防止する。綱ガード29は、断面コの字状に形成されていてもよい。
【0054】
カバー31は、前後方向に延びる上カバープレート31aと、下カバープレート31bとを有する。下カバープレート31bは、上フレーム10aの上方において固定されており、上カバープレート31aは、下カバープレート31bにヒンジ31cを介して連結されている。上カバープレート31aは、図10Cに示すように、上端に2つの溝31eを有し、チェーン26を係止可能に構成されている。また、上カバープレート31aは、2つの丸落し31dをさらに有し、丸落し31dのロックを解除することにより、ヒンジ31cを介して折り畳み可能に構成されている。これにより、カバー31は、内側にチェーン26を収納することができる。
【0055】
チェーン26は、図10Bに示すように、溝31eを介してカバー31の内側に折り畳まれ、さらに溝31eを介してプーリー27に係止され綱ガード29の内側を通り連結部25gの先端に連結されている。
【0056】
図11Aに示すように、収納センサ32は、リミットスイッチによって構成されている。収納センサ32は、上下方向に揺動可能な検知用レバー32aを有する。図11Aに示すように、垂直プレート21dは、延長梯子21が延長していないとき、検知用レバー32aに接触して検知用レバー32aを上方に揺動させ、リミットスイッチを切り替え、延長梯子21が収納されていることを検知させる。また、図11Bに示すように、延長梯子21が延長すると検知用レバー32aが原点位置に戻り、リミットスイッチは、延長梯子21が延長していること、すなわち、延長梯子21が収納されていないことを検知する。なお、リミットスイッチは単なる一例であって、収納センサ32はこれに限定されない。例えば、収納センサ32は、光学式のセンサによって構成されてもよい。
【0057】
<延長梯子の動作>
次いで、図12を参照して、延長梯子21の延長時の動作について、説明する。
【0058】
(1)非延長時において、延長梯子21は、摺動ロック手段22によって摺動をロックされている。図12Aに示すように、チェーン26を上側に引っ張っていないときは、ストッパ本体25fの上板25f2は、付勢部25hによって水平板25bに押し当てられている。
【0059】
(2)延長時には、延長梯子21は、ユーザーUによって、摺動ロック手段22のロックを解除され、次いで、図12Bに示すように、チェーン26を上側に引っ張られ、ストッパ本体25fを下側に回転させられた状態で、下方に向かって摺動させられる。このとき、ストッパ本体25fは、下板25f3を縦板25cに押し当てられ、回転を停止している。
【0060】
(3)次いで、延長梯子21は、ユーザーUによって、下限ストッパ23まで下ろされた後、チェーン26の引っ張りを解除される。このとき、図12Cに示すように、ストッパ本体25fは、再び付勢部25hによって上側に付勢されている。
【0061】
(4)また、ユーザーUが摺動ロック手段22のロックを解除した後、誤ってチェーン26を離してしまったとき(すなわち、チェーン26がフリーのとき)、ストッパ25は、付勢部25hによって、ストッパ本体25fを上側に回転させ、下板25f3を前後の支柱20aの間に突き出し固定梯子20の踏み桟20bに当接させることにより、延長梯子21の摺動を停止させることができる。これにより、梯子装置2は、延長梯子21が自然落下によって下限ストッパ23に衝突し、延長梯子21が故障することを防止することができる。
【0062】
(5)なお、ユーザーUは、延長梯子21を任意の長さで延長したいときには、任意の長さで延長させた後、チェーン26から手を離すことにより、図12Dに示すように、下板25f3を踏み桟20bに当接させ、延長梯子21の摺動を停止させてもよい。このとき、上板25f2が水平板25bに当接されていることにより延長梯子21が強固に固定されているので、ユーザーUは、延長梯子21を昇降することができる。
【0063】
上記説明したように、梯子装置2は、車両1と地面とが比較的離れていても、ユーザーUを容易に降車させることができる。しかも、梯子装置2は、延長梯子21が収納されていないことを検知することにより、延長梯子21が収納されていない状態での車両1の移動を阻止することができる。また、梯子装置2は、プーリー27によってチェーン26の重さを軽減させたり、チェーンフック28によってチェーン26を一時的に固定させたりすることにより、チェーン26を容易に操作させることができる。さらに、梯子装置2は、延長梯子21を固定梯子20に沿って摺動させたり、綱ガード29によってチェーン26を収めたりすることにより、チェーン26が車両限界VLから飛び出ることを防止している。加えて、梯子装置2は、クッション部24およびストッパ25により、車両1の移動時および延長時の故障を防止することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態に係る梯子装置2および車両1について説明してきたが、本発明に係る梯子装置および車両は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明に係る梯子装置および車両は、例えば、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0065】
(1)綱状部材は、ロープまたはワイヤーでもよい。また、梯子装置2は、プーリー27を備えていなくてもよい。この場合、梯子装置2は、例えば、ウインチを備え、ウインチによって綱状部材を引っ張り、ストッパ本体25fを回転させてもよい。
【0066】
(2)梯子装置2は、アラームをさらに備え、アラームは、収納センサ32によって延長梯子21の未収納が検知されたとき、鳴動するよう設定されてもよい。
【0067】
(3)本発明に係る第1当接部および第2当接部は、板状部材でなくてもよい。また、連結部25gは、綱上部材に連結、係止可能であれば特に形状を限定されない。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
10 車体
10a 上フレーム
10b 下フレーム
11 走行輪
12 案内輪
13 安定輪
14 クレーン
14a フック
15 柵
15a 扉
2 梯子装置
20 固定梯子
20a 支柱(第1支柱)
20b 踏み桟(第1踏み桟)
21 延長梯子
21a 支柱(第2支柱)
21b 踏み桟(第2踏み桟)
21c 水平プレート
21d 垂直プレート
21e 案内部
21e1 ブラケット
21e2 ブラケット
21e3 ガイドシュー
21f 案内部
21f1 ブラケット
21f2 ブラケット
21f3 ガイドシュー
22 摺動ロック手段
22a 筒状案内部
22b 孔部
22c 丸棒
22d 把持部
23 下限ストッパ
23a 上板
23b 側板
24 クッション部
24a 固定部
24b クッション
25 ストッパ
25a 固定部
25b 水平板
25c 縦板
25d 支持部
25e 軸部
25f ストッパ本体
25f1 本体部
25f2 上板(第1当接部)
25f3 下板(第2当接部)
25g 連結部
25h 付勢部
26 チェーン(綱状部材)
27 プーリー
27a L字ガイド
28 チェーンフック
29 綱ガード
31 カバー
31a 上カバープレート
31b 下カバープレート
31c ヒンジ
31d 丸落し
31e 溝
32 収納センサ(リミットスイッチ)
32a 検知用レバー
100 桁
200 モノレールクレーン車
210 車体
220 クレーン
230 梯子
U ユーザー
VL 車両限界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13