IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20240903BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240903BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240903BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
G03B5/00 J
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019122760
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021009217
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082821
【弁理士】
【氏名又は名称】村社 厚夫
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭介
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235093(JP,A)
【文献】特開2009-265652(JP,A)
【文献】特開2013-160935(JP,A)
【文献】特開2014-228811(JP,A)
【文献】特開2013-117667(JP,A)
【文献】特開2013-174758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、及び1つ以上のレンズ群を有する全体で正のGr群とからなり、
前記第1レンズ群は凹レンズを有し
前記Gr群は、物体側から順にGrf群、単レンズからなる負のGrm群、及びGrr群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群が物体側に移動し、
変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔が変化し、
合焦時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び、前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔、及び、Grf群の内部は変化せず、
変倍時と合焦時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記Grm群、及び前記Grr群の内部は変化せず、
変倍時において、前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔が変化し、
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有し、
以下の条件式を満たすズームレンズ。
1.70 < ndGrfp < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (1)
1.90 < ndGrfn < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)
10.0 < vdGrfp < 30.0 ・ ・ ・ ・ ・ (4)
ここで
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
vdGrfp :前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数
【請求項2】
物体側より順に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、及び1つ以上のレンズ群を有する全体で正のGr群とからなり、
前記第1レンズ群は凹レンズを有し
前記Gr群は、物体側から順にGrf群、合焦群であり単レンズからなる負のGrm群、及びGrr群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群が物体側に移動し、
変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔が変化し、かつ、前記Grf群と前記Grm群の間隔、及び前記Grm群と前記Grr群の間隔は変化せず、
変倍時と合焦時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記Grf群、前記Grm群、及び前記Grr群の内部は変化せず、
合焦時において、前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔が変化し、
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有し、
以下の条件式を満たすズームレンズ。
1.70 < ndGrfp < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (1)
1.90 < ndGrfn < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)
10.0 < vdGrfp < 30.0 ・ ・ ・ ・ ・ (4)
ここで
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
vdGrfp :前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数
【請求項3】
前記Grf凹レンズが、以下の条件式を満たす請求項1又は2に記載のズームレンズ。
10.0 < vdGrfn < 40.0 ・ ・ ・ ・ ・ (5)
ここで
vdGrfn :前記Grf凹レンズのd線におけるアッベ数
【請求項4】
前記Grm群が、合焦群である請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記Grm群が、以下の条件式を満たす請求項1~4のうちの一項に記載のズームレンズ。
-5 < fGrm/fw < -0.1 ・ ・ ・ ・ ・ (6)
ここで
fGrm :前記Grm群の焦点距離
fw :当該ズームレンズの広角端における焦点距離
【請求項6】
開口絞りを有し、以下の条件式を満たす請求項1~5のうちの一項に記載のズームレンズ。
0.01 < Tsfw/fw < 5.0 ・ ・ ・ ・ ・ (7)
ここで
Tsfw :広角端における前記開口絞りと前記Grm群との間隔
fw :当該ズームレンズの広角端における焦点距離
【請求項7】
前記Grf群が、前記Grf凹レンズを少なくとも2枚有する請求項1~6のうちの一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記Grf凹レンズが、像側に凹面を有する請求項1~7のうちの一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記Grf凹レンズが、接合レンズである請求項1~8のうちの一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
以下の条件式を満たす請求項1~9のうちの一項に記載のズームレンズ。
42 < vdGrmn < 100 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (3)
ここで
vdGrmn :前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数
【請求項11】
前記Gr群が、光軸に対して垂直方向に移動して結像位置を変化させる防振レンズ系を有する請求項1~10のうちの一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記防振レンズ系が、少なくとも1面に非球面を有するレンズを有する請求項11に記載のズームレンズ。
【請求項13】
以下の条件式を満たす請求項11又は12に記載のズームレンズ。
-10 < (1-β vc)× β vcr < -0.10 ・ ・ ・ (8)
ここで
β vc :望遠端における前記防振レンズ系の横倍率
β vcr :望遠端における前記防振レンズ系より像側に配置される全てのレンズの合成横倍率
【請求項14】
前記防振レンズ系は、単レンズからなる請求項11~13のうちの一項に記載のズームレンズ。
【請求項15】
物体側より順に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、及び1つ以上のレンズ群を有する全体で正のGr群とからなり、
前記第1レンズ群は凹レンズを有し、
前記Gr群は、物体側から順にGrf群、負のGrm群、及びGrr群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群が物体側に移動し、
変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔が変化し、
合焦時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び、前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔、及び、Grf群の内部は変化せず、
変倍時と合焦時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記Grm群、及び前記Grr群の内部は変化せず、
変倍時において、前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔が変化し、
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有し、
以下の条件式を満たすズームレンズ。
1.70 < ndGrfp < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (1)
1.90 < ndGrfn < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)
58.12 ≦ vdGrmn < 100 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (3)
10.0 < vdGrfp < 30.0 ・ ・ ・ ・ ・ (4)
ここで、
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
vdGrmn :前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数
vdGrfp :前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数
【請求項16】
物体側より順に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、及び1つ以上のレンズ群を有する全体で正のGr群とからなり、
前記第1レンズ群は凹レンズを有し、
前記Gr群は、物体側から順にGrf群、負のGrm群、及びGrr群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群が物体側に移動し、
変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔が変化し、かつ、前記Grf群と前記Grm群の間隔、及び前記Grm群と前記Grr群の間隔は変化せず、
変倍時と合焦時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記Grf群、前記Grm群、及び前記Grr群の内部は変化せず、
合焦時において、前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔が変化し、
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有し、
以下の条件式を満たすズームレンズ。
1.70 < ndGrfp < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (1)
1.90 < ndGrfn < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)
58.12 ≦ vdGrmn < 100 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (3)
10.0 < vdGrfp < 30.0 ・ ・ ・ ・ ・ (4)
ここで、
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
vdGrmn :前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数
vdGrfp :前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数
【請求項17】
請求項1から16のうちの一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ及びそれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置において、固体撮像素子の高画素化が進み、結像光学系は以前に比べ更なる高性能化が求められている。また、撮像装置の小型化に伴い、結像光学系にも小型化の要求が高まっている。
【0003】
このような状況において、公知文献には以下のズームレンズが開示されている。
特許文献1においては、いわゆるデジタル一眼レフカメラ、ビデオカメラ用のズームレンズが開示されている。特許文献1のズームレンズにおいては、フォーカス時、第2レンズ群全体が光軸上を移動する。しかし、第2レンズ群の径が大きく、かつ第2レンズ群を構成するレンズ枚数が多いため、フォーカスレンズ群の駆動機構が大きくなり、撮像装置の小型化を十分に実現することができていない。
【0004】
特許文献2においては、いわゆるミラーレスカメラ用のズームレンズが開示されている。特許文献2のズームレンズにおいては、フォーカス時、第4レンズ群が光軸上を移動する。しかし、第4レンズ群を構成するレンズ枚数が多く、フォーカスレンズ群の駆動機構が大きくなり、撮像装置の小型化を十分に実現することができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-003195号公報
【文献】特開2016-109719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術においては、小型かつ光学性能が良好なズームレンズ及びそれを備えた撮像装置が実現されていない。特に、フォーカスレンズ群の駆動機構が大きく、小型化の要望を十分に実現していない。
【0007】
本発明は、従来のズームレンズ及びそれを備えた撮像装置の上述した問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、小型かつ光学性能が良好なズームレンズ及びそれを備えた撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るズームレンズは、物体側より順に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、及び全体で正のGr群とからなり、
前記第1レンズ群は凹レンズを有し、
前記Gr群は、物体側から順にGrf群、単レンズからなる負のGrm群、及びGrr群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔が変化し、
変倍時と合焦時の少なくとも一方において、前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔が変化し、
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有し、
以下の条件式を満たすズームレンズである。
1.70 < ndGrfp < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (1)
1.82 < ndGrfn < 2.50 ・ ・ ・ ・ ・ ・ (2)
ここで、
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
【0009】
本明細書において、前記Grf群と前記Grm群との間隔とは、前記Grf群の最像側面と前記Grm群の最物体側面の間隔を示す。前記Grm群と前記Grr群との間隔とは、前記Grm群の最像側面と前記Grr群の最物体側面との間隔を示す。
【0010】
本発明の一態様に係る撮像装置は、上述したズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このような本発明によれば、小型かつ光学性能が良好なズームレンズ及びそれを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の数値実施例1のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図2】本発明の数値実施例1のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図3】本発明の数値実施例1のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図4】本発明の数値実施例1のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図5】本発明の数値実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図6】本発明の数値実施例2のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図7】本発明の数値実施例2のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図8】本発明の数値実施例2のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図9】本発明の数値実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図10】本発明の数値実施例3のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図11】本発明の数値実施例3のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図12】本発明の数値実施例3のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図13】本発明の数値実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図14】本発明の数値実施例4のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図15】本発明の数値実施例4のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図16】本発明の数値実施例4のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図17】本発明の数値実施例5のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図18】本発明の数値実施例5のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図19】本発明の数値実施例5のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図20】本発明の数値実施例5のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図21】本発明の数値実施例6のズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
図22】本発明の数値実施例6のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図23】本発明の数値実施例6のズームレンズの中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図24】本発明の数値実施例6のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図25】本発明の実施例の撮像装置の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。
(ズームレンズの構成)
本発明に係るズームレンズは、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、全体で正のGr群からなる。前記Gr群は、物体側から順にGrf群、負のGrm群、及びGrr群とからなる。前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、及び前記第2レンズ群と前記Gr群との間隔を変えることにより、変倍を行う。前記Grf群と前記Grm群との間隔、及び前記Grm群と前記Grr群との間隔を変えることにより、変倍又は合焦の少なくとも一方を行う。
【0014】
第1レンズ群は、当該ズームレンズを構成するレンズ群において、最も物体側に配置されるレンズ群である。第1レンズ群は正の屈折力を有する限り、具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。例えば、収差補正を良好に行い、高性能なズームレンズを得るうえで、第1レンズ群は、凹レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。さらに、最も物体側に凹レンズを有することがより好ましい。
【0015】
第1レンズ群は、変倍の際に第2レンズ群との間隔が変化する。より好ましくは、広角端から望遠端への変倍の際に、第1レンズ群が物体側に移動することによって、広角端における当該ズームレンズの全長を小さくすることが可能となる。
【0016】
第2レンズ群は、第1レンズ群の像側に配置され、変倍に際して隣り合うレンズ群との間隔が変化する。第2レンズ群は負の屈折力を有する限り、具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。例えば、収差補正を良好に行い、高性能なズームレンズを得るうえで、第2レンズ群は少なくとも1枚の凸レンズを有することが好ましい。
【0017】
Gr群は、変倍の際に隣り合うレンズ群との間隔が変化するレンズ群を少なくともひとつ含み、当該ズームレンズにおいて第2レンズ群より像側に配置されるレンズの総称である。Gr群は、変倍時に間隔を変化させることで変倍を行うレンズ群が2つ以上含まれていても良く、全体で正の屈折力を有し、以下で説明するGrf群、Grm群、Grr群から構成される限り、具体的なレンズ構成、含まれるレンズ群の数について特に限定されるものではない。
【0018】
Gr群は、Grf群、負のGrm群、Grr群から構成される。Grf群とGrm群との間隔及びGrm群とGrr群との間隔は、変倍又は合焦のいずれか一方又は両方において変化する。Grf群は、Gr群において、負のGrm群の変倍又は合焦の少なくとも一方において変化する該Grm群の物体側の間隔より物体側に配置された全てのレンズを指し、Grr群は、Gr群において、負のGrm群の変倍又は合焦の少なくとも一方において変化する該Grm群の像側の間隔より像側に配置された全てのレンズを指す。Grf群及びGrr群は、変倍時に間隔を変化させることで変倍を行うレンズ群が2つ以上含まれていても良く、具体的なレンズ構成、含まれる群の数について特に限定されるものではない。
【0019】
前記Grf群は、前記Grf群の最も物体側に配置されたGrf凸レンズ、及び少なくとも一枚のGrf凹レンズを有することが好ましい。
前記Grf群の最も物体側に前記Grf凸レンズを配置することにより、その像側のレンズを小径化でき、ズームレンズの小型化に効果がある。
また、前記Grf群内に前記Grf凹レンズを配置することは、球面収差、コマ収差、像面湾曲の補正に効果を発揮し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることを可能にする。
【0020】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(1))
1.60 < ndGrfp < 2.50 ・・・・・・(1)
ここで、
ndGrfp :前記Grf凸レンズのd線における屈折率
【0021】
条件式(1)は、当該ズームレンズが有するGrf凸レンズのd線における屈折率を規定する。条件式(1)の規定する範囲を満たすことにより、ズームレンズの小型化を達成することができる。
条件式(1)の下限を超えると、Grf凸レンズのd線における屈折率が適正値より小さくなり、必要な屈折力が得られず、像側に配置されるレンズを小径化することが困難になり望ましくない。
条件式(1)の上限を超えると、面クセや偏心による性能劣化が大きくなり、製造誤差の影響によりズーム全域での良好な光学性能を確保することが困難となり望ましくない。
【0022】
上記効果を得るため、条件式(1)において、その下限値は1.70であることが好ましく、1.80であることがより好ましく、1.85であることがさらに好ましい。上限値は、2.10であることが好ましく、2.00であることがより好ましく、1.94であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(2))
1.82 < ndGrfn < 2.50 ・・・・・・(2)
ここで、
ndGrfn :前記Grf凹レンズのd線における屈折率
【0024】
条件式(2)は、前記Grf群に含まれる前記Grf凹レンズのd線における屈折率を規定する。条件式(2)の規定する範囲を満たすことにより、正の屈折力で発生する球面収差、コマ収差、像面湾曲の補正に効果を発揮し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
条件式(2)の下限を超えると、前記Grf凹レンズのd線における屈折率が適正値より小さくなり、正の屈折力成分で発生する球面収差やコマ収差、像面湾曲に対し補正不足となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
条件式(2)の上限を超えると、前記Grf凹レンズのd線における屈折率が適正値より大きくなり、正の屈折力成分で発生する球面収差、コマ収差、像面湾曲に対し過補正となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0025】
上記効果を得るため、条件式(2)において、その下限値は1.85であることが好ましく、1.90であることがより好ましい。上限値は、2.10であることが好ましく、2.00であることがより好ましく、1.94であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(3))
42 < vdGrmn < 100 ・・・・・・(3)
ここで、
vdGrmn :前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数
【0027】
条件式(3)は、Grm群が有する凹レンズのうち、d線におけるアッベ数が最も小さいものを規定する。条件式(3)の規定する範囲を満たすことにより、変倍時または合焦時に発生する軸上色収差の変動を抑制することができ、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
条件式(3)の下限を超えると、前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数が適正値より小さくなり、前記Grm群に含まれる凹レンズとして適正なものに比べ高分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の正の屈折力で発生するアンダーの軸上色収差に対し過補正となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0028】
条件式(3)の上限を超えると、前記Grm群に含まれる凹レンズのd線における最小アッベ数が適正値より大きくなり、前記Grm群に含まれる凹レンズとして適正なものに比べ低分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の正の屈折力成分で発生するアンダーの軸上色収差に対し補正不足となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0029】
上記効果を得るため、条件式(3)において、上限値は80.0であることが好ましく、70.0であることがより好ましく、60.0であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(4))
10.0 < vdGrfp < 35.0 ・・・・・(4)
ここで
vdGrfp :前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数
【0031】
条件式(4)は、前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数を規定する。条件式(4)の規定する範囲を満たすことにより、望遠端にて負の屈折力成分で発生するオーバーの軸上色収差をアンダーに補正することができ、2次スペクトルを最小化し、ズーム全域で良好な色収差性能を得ることができる。
条件式(4)の下限を超えると、前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数は適正値より小さくなり、前記Grf凸レンズとして適正に選択した硝子に比べ高分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の負の屈折力成分で発生するオーバーの軸上色収差に対し過補正となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
条件式(4)の上限を超えると、前記Grf凸レンズのd線におけるアッベ数は適正値より大きくなり、前記Grf凸レンズとして適正に選択した硝子に比べ低分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の負の屈折力成分で発生するオーバーの軸上色収差に対し補正不足となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0032】
上記効果を得るため、条件式(4)において、その下限値は、15.0であることが好ましく、17.5であることがより好ましい。上限値は、33.0であることが好ましく、30.0であることがより好ましく、25.0であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(5))
10.0 < vdGrfn < 40.0 ・・・・・(5)
ここで
vdGrfn :前記Grf凹レンズのd線におけるアッベ数
【0034】
条件式(5)は、前記Grf凹レンズのd線におけるアッベ数を規定する。条件式(5)の規定する範囲を満たすことにより、望遠端にて正の屈折力成分で発生するアンダーの軸上色収差をオーバーに補正することができ、2次スペクトルを最小化し、ズーム全域で良好な色収差性能を得ることができる。
条件式(5)の下限を超えると、前記Grf凹レンズのd線におけるアッベ数は適正値より小さくなり、前記Grf凹レンズとして適正に選択した硝子に比べ高分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の正の屈折力成分で発生するアンダーの軸上色収差に対し過補正となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0035】
条件式(5)の上限を超えると、前記Grf凹レンズのd線におけるアッベ数は適正値より大きくなり、前記Grf凹レンズとして適正に選択した硝子に比べ低分散な硝子となり、当該ズームレンズ中の正の屈折力成分で発生するアンダーの軸上色収差に対し補正不足となる。結果として、光学全系で収差補正が困難となり望ましくない。
【0036】
上記効果を得るため、条件式(5)において、その下限値は、15.0であることが好ましく、17.5であることがより好ましい。上限値は、35.0であることが好ましく、32.0であることがより好ましく、25.0であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Grm群が、合焦レンズ群であることが好ましい。
【0038】
前記Grm群を合焦レンズ群とすることにより、前記第1レンズ群や前記第2レンズ群を合焦レンズ群としたときに比べ、駆動機構を小型化することができる。また、条件式(1)、条件式(2)、及び条件式(3)を満足することにより、有限距離の物体に合焦した際の収差変動を抑制することができため、良好な光学性能を得ることができる。
【0039】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(6))
-5 < fGrm/fw < -0.1 ・・・・・(6)
ここで
fGrm :前記Grm群の焦点距離
fw :当該ズームレンズの広角端における焦点距離
【0040】
条件式(6)は、前記Grm群の焦点距離と当該ズームレンズの広角端における焦点距離の比を規定する。条件式(6)の規定する範囲を満たすことにより、前記Grm群で発生する球面収差やコマ収差を適正な量に抑えることができる。また、所定のズーム倍率を得ようとした場合に前記Grm群の移動量を適正な量とすることができ、ズームレンズ全体として小型化を達成することができる。
【0041】
条件式(6)の下限を超えると、前記Grm群の焦点距離は適正値に比べ長くなり、つまり前記Grm群の屈折力は適正値より弱くなり、所定のズーム倍率を得ようとした場合の前記Grm群の移動量が、適正な量に比べ大きくなり、ズームレンズが大型化するため好ましくない。
条件式(6)の上限を超えると、前記Grm群の焦点距離は適正値に比べ短くなり、つまり前記Grm群の屈折力が適正値より強くなり、前記Grm群で発生する球面収差やコマ収差が適正な量に比べ大きくなり、ズームレンズ全体での収差補正が困難になるため好ましくない。
【0042】
上記効果を得るため、条件式(6)について、下限値は-4.0であることが好ましく、-3.0であることがより好ましい。上限値は、-0.5であることが好ましく、-0.6であることがより好ましく、-0.7であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、開口絞りを有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
(条件式(7))
0.01 < Tsfw/fw < 5.0 ・・・・・(7)
ここで
Tsfw :当該ズームレンズの広角端における前記開口絞りと前記Grm群との間隔
fw :当該ズームレンズの広角端における焦点距離
【0044】
条件式(7)は、当該ズームレンズの広角端における前記開口絞りと前記Grm群との間隔と、広角端におけるズームレンズの焦点距離の比を規定する。条件式(7)の規定する範囲を満たすことにより、前記Grm群を通過する軸外光線の主光線の高さを低くすることができ、前記Grm群の径小化及びズーム時または合焦時に発生する像面湾曲の変動を抑制することができる。
条件式(7)の下限を超えると、広角端における前記開口絞りと前記Grm群との間隔が適正値に比べ小さくなり、レンズの保持部品等の配置が困難になるため好ましくない。
条件式(7)の上限を超えると、広角端における開口絞りと前記Grm群との間隔が適正値に比べ大きくなり、前記Grm群を通過する主光線高さを高くなり、前記Grm群の径大化及びズーム時または合焦時に発生する像面湾曲の変動が大きくなり、ズームレンズの小型化及び光学全系での収差補正が困難になることから好ましくない。
【0045】
上記効果を得るため、条件式(7)について、下限値は0.1であることが好ましく、0.2であることがより好ましく、0.5であることがさらに好ましい。上限値は、3.0であることが好ましく、2.5であることがより好ましく、2.0であることがさらに好ましい。
【0046】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Grf凹レンズを少なくとも2枚有することが好ましい。
【0047】
この構成によって、正の屈折力成分で発生する球面収差、コマ収差、像面湾曲等の補正に効果を発揮し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
【0048】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Grf凹レンズが、像側に凹面を有することが好ましい。
【0049】
この構成によって、像面湾曲をオーバーに補正し、光学全系で収差補正を良好に行うことができる。上記効果を得るため、少なくとも2枚の前記Grf凹レンズが像側に凹面を有することがより好ましい。
【0050】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Grf凹レンズが、接合レンズを形成することが好ましい。
【0051】
この構成において、前記Grf凹レンズの接合面の作用により、球面収差及び像面湾曲を良好に補正することができる。また前記Grf凹レンズを単レンズで構成する場合に比べ、組み立て時の偏心に伴う軸上コマ収差の発生を抑制できる。
【0052】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Grm群が、単レンズからなることが好ましい。
【0053】
この構成によって、Grm群の重量を削減することができ、変倍駆動機構の簡素化を容易にし、ズームレンズを小型化することができる。
【0054】
ここで、単レンズとは、光学面を物体側と像側とにそれぞれ1つ備えた1枚のレンズ(光学素子)を指し、その光学面に反射防止膜や保護膜等の各種コーティングが行われたものも当該単レンズに含まれる。単レンズの光学面の形状等は特に限定されるものではなく、球面及び非球面のいずれであってもよい。その片面が平面であってもよい。また、当該単レンズの製造方法は、特に限定されるものではなく、研磨、モールド成型、或いは射出成型等により製造された各種レンズを含む。一方で、単レンズとは、1枚のレンズで構成されることを指し、正レンズ及び負レンズ等の複数のレンズをその光学面において互いに空気層を介在させずに接着又は密着させた接合レンズは除かれ、さらに、複数枚のレンズの光学面間に空気層を介在させた状態で一体化させたものも除かれる。
【0055】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記Gr群が、光軸に対して垂直方向に移動して結像位置を変化させる防振レンズ系を有することが好ましい。
【0056】
前記Gr群が、光軸に対して垂直方向に移動して結像位置を変化させる防振レンズ系を有することにより、前記第1レンズ群や前記第2レンズ群に防振レンズ系を配置したときに比べ、駆動機構を大型化することなく、撮影者の手ブレを良好に補正することができる。
【0057】
上記効果を得るため、防振レンズ系はGrf群中に配置されることが好ましい。
【0058】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記防振レンズ系が、少なくとも一面に非球面を有するレンズを有することが好ましい。
【0059】
前記防振レンズ系が少なくとも一面に非球面を有するレンズを有することにより、手ブレ補正時の軸上コマ収差および像面湾曲の発生を抑制し、良好な光学性能を得ることができる。
【0060】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
-10 < (1-βvc)×βvcr < -0.10 ・・・(8)
ここで
βvc :望遠端における前記防振レンズ系の横倍率
βvcr :望遠端における前記防振レンズ系より像側に配置される全てのレンズの合成横倍率
【0061】
条件式(8)は、前記防振レンズ系の垂直方向の移動量と、像面上での像点移動量との比、すなわち手ブレ補正係数を規定した式である。条件式(8)の規定する範囲を満たすことにより、手ブレ補正係数を適正な範囲とすることができ、手ブレ補正時の軸上コマ収差及び像面湾曲の発生を抑制し、手ブレ補正時においても優れた光学性能を有する大口径レンズを実現することができる。
条件式(8)の下限を超えると、手ブレ補正係数は適正値に比べ大きくなる。その結果、防振レンズ系及び防振レンズ系より像側に配置された全てのレンズの合成屈折力を適正値より強くすることが必要であるが、手ブレ補正時の軸上コマ収差と像面湾曲の発生量が増加するため好ましくない。
条件式(8)の上限を超えると、手ブレ補正係数は適正値に比べ小さくなり、手ブレ補正時の防振レンズ系の垂直方向の移動量が適正値に比べ大きくなり、駆動機構が大型化し、ズームレンズの大型化につながるため好ましくない。
【0062】
上記効果を得るため、条件式(8)において、その下限値は、-5.0であることが好ましく、-4.0であることがより好ましい。その上限値は、-0.55であることが好ましく、-1.0であることがより好ましい。
【0063】
本発明の一実施形態に係るズームレンズは、前記防振レンズ系が、単レンズであることが好ましい。
【0064】
この構成によって、前記防振レンズ系の重量を削減することができ、防振レンズ系の駆動機構の簡素化を容易にし、ズームレンズを小型化することができる。
【0065】
本発明の一実施形態に係る撮像装置は、上述したズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えた撮像装置であることが好ましい。ここで、撮像素子等について特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサの固体撮像素子等も用いることかできる。すなわち、本発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置であることが好ましい。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよく、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいことは勿論である。
【0066】
<実施例>
次に、本発明の数値実施例を数値表及び図に基づいて説明する。但し、本発明は以下の数値実施例に限定されるものではない。
以下に挙げる各数値実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に好適に用いられる撮影ズームレンズである。
【0067】
各数値実施例に関し、共通して、レンズ断面図(図1図5図9図13図17図21)において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。レンズ断面図の下部に記載された矢印は、上から下へ広角端(W)から望遠端(T)への変倍の各レンズ群の移動の軌跡を表す。
【0068】
(数値実施例1)
図1は、数値実施例1の構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grから構成される。Grレンズ群Grは、正の屈折力を有するGrf群すなわち第3レンズ群G3、負の屈折力を有するGrm群すなわち第4レンズ群G4、正の屈折力を有するGrr群すなわち第5レンズ群G5から構成される。
【0069】
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動する。第3レンズ群G3は物体側へ移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は光軸上に固定される。
第4レンズ群G4を光軸に沿って移動させることにより、合焦を行う。
第3レンズ群G3内のGvc凹レンズGvcを光軸に垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレ補正を行う。
図1において、「S」は開口絞りであり、ズームレンズの像側に示す「I」は像面である。像面には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の受光面、銀塩フィルムのフィルム面等が配置される。以下の実施例においても同様である。
【0070】
数値実施例1のレンズデータを示す表1において、面番号No.は物体側から数えたレンズ面の順番、Rはレンズ面の曲率半径、Dはレンズ面の光軸上の間隔、Ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、ABVはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、開口絞りSは、面番号にSTOPを付して示している。さらに、レンズ面が非球面である場合には、面番号にASPHを付して示し、また曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
表2に、当該ズームレンズの各焦点距離におけるFナンバー、半画角、可動レンズ群とその像側の隣接レンズ群との間隔を示す。
表3に、非球面の形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。非球面は次式で定義されるものとする。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10+A12h12
(但し、c は曲率(1/r)、h は光軸からの高さ、k は円錐係数、A4、A6、A8、A10、A1は各次数の非球面係数)
なお、これらは数値実施例2~数値実施例6に関する表3から表19においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0071】
図2図4に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。それぞれの縦収差図は、左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。
球面収差を示す図において、実線は d 線(587.6nm)を表している。非点収差を示す図において、実線はd線のサジタル方向、破線はd線のメリディオナル方向を表している。
なお、これらの収差を表示する順序、並び、各図において実線、波線等が示すものは実施例2~実施例6で示す図6図8図10図12図14図16図18図20図22図24においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0072】
[表1]
No. R D Nd ABV
1 2000.000 1.200 1.92286 20.88
2 251.498 4.474 1.77250 49.62
3 -334.651 0.200
4 41.925 5.956 1.59319 67.90
5 75.902 D(5)
6ASPH 84.620 0.200 1.51460 49.96
7 50.864 1.000 1.87070 40.73
8 14.151 8.695
9 -26.471 0.800 1.61997 63.88
10 20.069 6.749 1.85026 32.35
11 -33.310 0.953
12 -23.718 1.866 1.90366 31.31
13 -46.358 D(13)
14 33.006 3.063 1.80518 25.46
15 -368.354 1.471
16STOP 0.000 1.000
17 616.656 6.909 1.55032 75.50
18 -25.902 0.800 1.92119 23.96
19 151.063 1.000
20 21.429 0.800 2.00100 29.13
21 15.058 7.670 1.59319 67.90
22 -37.466 1.000
23ASPH -61.153 1.000 1.69350 53.20
24ASPH 34.627 0.800
25ASPH 20.773 4.788 1.77377 47.17
26ASPH -84.058 D(26)
27 -197.049 1.000 1.62299 58.12
28 19.516 0.150 1.51460 49.96
29ASPH 19.516 D(29)
30 53.015 6.000 1.77250 49.62
31 -115.535 18.080
32 inf. 2.500 1.51680 64.20
33 inf. 1.000
【0073】
[表2]
F 16.477 29.656 53.349
Fno 2.903 2.904 2.902
W 42.054 25.047 14.489
D(5) 1.000 18.718 35.468
D(13) 24.375 7.962 1.000
D(26) 1.098 4.854 5.544
D(29) 6.405 7.808 21.553
【0074】
[表3]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
6 0.00 1.78265E-05 -3.80659E-08 2.10074E-10 -8.52242E-13 1.58686E-15
23 0.00 -2.36708E-06 -2.68549E-07 2.80258E-09 5.81858E-12 -1.25057E-13
24 0.00 -1.39621E-05 1.45229E-08 -7.53754E-09 1.52158E-10 -8.35097E-13
25 0.00 -1.64474E-05 5.20674E-07 -6.41791E-09 8.49591E-11 -1.75638E-13
26 0.00 3.26460E-05 4.13941E-07 1.91471E-09 -4.60396E-11 6.77568E-13
29 0.00 4.13276E-06 -3.80651E-07 6.12980E-09 -6.18723E-11 2.69244E-13
【0075】
数値実施例1の第1レンズ群G1の焦点距離は111.357、第2レンズ群G2の焦点距離は-19.444、第3レンズ群G3の焦点距離は23.316、第4レンズ群G4の焦点距離は-28.434、第5レンズ群G5の焦点距離は47.783である。
【0076】
(数値実施例2)
図5は、本件発明に係る数値実施例2のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。数値実施例2のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grから構成される。Gr群Grは、正の屈折力のGrf群Grfすなわち第3レンズ群G3、負の屈折力を有するGrm群Grmすなわち第4レンズ群G4、正の屈折力を有するGrr群Grrすなわち第5レンズ群G5から構成される。
【0077】
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動する。第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は光軸上に固定される。
第4レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって合焦を行う。
第3レンズ群G3内のGrf凹レンズGvcを光軸に垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレ補正を良好に行う。
【0078】
数値実施例2のレンズデータ等は、以下の通りである。
[表4]
No. R D Nd ABV
1 688.383 1.200 1.92286 20.88
2 164.125 3.817 1.75500 52.34
3 1017.671 0.200
4 56.238 6.772 1.75500 52.34
5 186.744 D(5)
6ASPH 83.374 0.200 1.51460 49.96
7 51.042 1.000 1.87070 40.73
8 15.031 9.752
9 -29.021 0.800 1.61997 63.88
10 21.625 6.654 1.85026 32.35
11 -31.540 0.676
12 -25.319 1.000 1.80000 29.84
13 -63.814 D(13)
14 27.791 2.786 1.92286 20.88
15 189.515 1.816
16STOP 0.000 1.000
17 61.474 2.751 1.59319 67.90
18 -44.949 0.800 1.96300 24.11
19 28.024 0.200
20 17.999 0.800 2.00100 29.13
21 12.925 6.025 1.59319 67.90
22 -42.097 1.025
23ASPH -44.824 1.000 1.69350 53.20
24ASPH 36.345 0.808
25ASPH 22.574 6.088 1.77250 49.50
26ASPH -48.210 D(26)
27 -120.204 1.000 1.59349 67.00
28 25.406 0.150 1.51460 49.96
29ASPH 25.406 D(29)
30 69.162 6.500 1.61997 63.88
31 -113.620 29.120
32 inf. 2.500 1.51680 64.20
33 inf. 1.000
【0079】
[表5]
F 24.714 40.968 67.899
Fno 4.100 4.100 4.100
W 42.458 27.220 17.161
D(5) 1.000 15.139 30.522
D(13) 20.628 7.362 1.000
D(26) 1.010 4.761 5.697
D(29) 8.241 11.662 26.544
【0080】
[表6]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
6 0.00 1.29752E-05 -3.14572E-08 1.62959E-10 -5.19631E-13 7.57582E-16
23 0.00 2.86692E-06 -2.30537E-07 3.22374E-09 -7.11810E-12 -6.17076E-14
24 0.00 -1.52890E-05 6.83680E-08 -4.22634E-09 8.33663E-11 -4.83401E-13
25 0.00 -1.93044E-05 4.39178E-07 -4.47022E-09 5.78013E-11 -1.72393E-13
26 0.00 3.16204E-05 2.34438E-07 2.44475E-09 -2.93199E-11 3.42601E-13
29 0.00 2.77133E-06 -1.26974E-07 1.12597E-09 -6.58648E-12 1.10279E-14
【0081】
数値実施例2の第1レンズ群G1の焦点距離は109.300、第2レンズ群G2の焦点距離は-21.888、第3レンズ群G3の焦点距離は24.886、第4レンズ群G4の焦点距離は-35.228、第5レンズ群G5の焦点距離は70.303である。
【0082】
(数値実施例3)
図9は、数値実施例3のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。数値実施例3のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grから構成される。Gr群Grは、正の屈折力を有するGrf群Grfすなわち第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、正の屈折力を有するGrr群Grrすなわち第5レンズ群G5から構成される。
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動する。また、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動する。
第4レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって合焦を行う。
第3レンズ群内のGvc凹レンズGvcを光軸に光軸に垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレを補正する。
【0083】
数値実施例3のレンズデータ等は、以下の通りである。
[表7]
No. R D Nd ABV
1 182.146 1.200 1.92286 20.88
2 109.764 2.687 1.75500 52.34
3 168.071 0.200
4 76.975 5.053 1.75500 52.34
5 370.296 D(5)
6ASPH 82.805 0.200 1.51460 49.96
7 57.642 1.000 1.87070 40.73
8 16.704 10.803
9 -30.171 1.701 1.61997 63.88
10 24.307 6.761 1.85026 32.27
11 -42.477 1.809
12 -25.079 1.000 1.85478 24.80
13 -37.871 D(13)
14 24.331 3.420 1.85478 24.80
15 94.297 2.263
16STOP 0.000 1.002
17 56.891 2.971 1.59319 67.90
18 -68.385 0.800 1.95540 26.44
19 33.635 0.200
20 18.683 1.079 2.00100 29.13
21 11.766 6.488 1.59319 67.90
22 -46.883 1.000
23ASPH -50.612 1.000 1.77250 49.50
24ASPH 31.611 1.100
25ASPH 22.125 6.105 1.77250 49.50
26ASPH -69.424 0.382
27 -70.415 1.702 1.74077 27.76
28 -54.161 D(28)
29ASPH 132.494 0.800 1.59349 67.00
30ASPH 23.566 D(30)
31 44.723 2.124 1.66695 35.37
32 69.948 D(32)
33 inf. 2.500 1.51680 64.20
34 inf. 1.000
【0084】
[表8]
F 24.725 40.963 67.911
Fno 4.100 4.100 4.100
W 42.496 27.174 17.167
D(5) 1.000 16.908 33.196
D(13) 24.936 9.908 1.000
D(28) 2.764 3.672 2.393
D(30) 14.606 13.698 14.976
D(32) 18.347 28.368 44.586
【0085】
[表9]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
6 0.00 9.98914E-06 -1.65026E-08 9.10887E-11 -2.78176E-13 3.99209E-16
23 0.00 -6.23788E-07 -2.62926E-07 6.37575E-09 -5.26054E-11 1.56101E-13
24 0.00 -1.19424E-05 -2.30539E-07 3.25711E-09 2.05167E-12 -1.31972E-13
25 0.00 -1.96508E-05 1.80923E-07 -2.43809E-09 3.96828E-11 -1.13302E-13
26 0.00 2.33283E-05 1.85050E-07 -1.03998E-09 6.70391E-12 1.06493E-13
29 0.00 -5.68298E-06 -3.67418E-08 3.42188E-10 1.19122E-11 -1.08488E-13
30 0.00 -6.63961E-06 -1.24517E-07 2.15708E-09 -7.18969E-12 -2.82251E-14
【0086】
数値実施例3の第1レンズ群G1の焦点距離は146.101、第2レンズ群G2の焦点距離は-25.334、第3レンズ群G3の焦点距離は27.737、第4レンズ群G4の焦点距離は-48.429、第5レンズ群G5の焦点距離は179.878である。
【0087】
(数値実施例4)
(ズームレンズの構成)
図13は、数値実施例4のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。数値実施例4のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grから構成される。Gr群Grは、正の屈折力を有するGrf群すなわち第3レンズ群G3、負の屈折力を有するGrm群すなわち第4レンズ群G4、正の屈折力を有するGrr群すなわち第5レンズ群G5から構成される。
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動する。第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は光軸上に固定される。
第4レンズ群G4を光軸に沿って移動させることによって合焦を行う。
第3レンズ群G3内のGvc凹レンズGvcを光軸に垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレを補正する。
【0088】
数値実施例4のレンズデータ等は、以下の通りである。
[表10]
No. R D Nd ABV
1 996.724 1.200 1.92286 20.88
2 203.034 4.724 1.77250 49.62
3 -416.040 0.200
4 49.543 6.521 1.61997 63.88
5 115.082 D(5)
6ASPH 155.318 0.200 1.51460 49.96
7 65.339 1.190 1.87070 40.73
8 15.890 9.678
9 -24.547 0.800 1.61997 63.88
10 24.248 6.563 1.85026 32.35
11 -31.607 1.099
12 -23.095 1.199 1.90366 31.34
13 -37.985 D(13)
14 28.698 2.785 1.92286 20.88
15 75.762 2.392
16STOP 0.000 1.690
17 29.254 3.969 1.59319 67.90
18 -68.399 0.800 1.96300 24.11
19 30.865 1.000
20 21.086 1.748 2.00100 29.13
21 13.365 6.843 1.59319 67.90
22 -57.527 1.000
23ASPH -62.180 1.000 1.69350 53.20
24ASPH 41.625 0.800
25ASPH 21.055 7.114 1.77377 47.17
26ASPH -72.558 D(26)
27 -135.045 1.000 1.59349 67.00
28 20.826 0.150 1.51460 49.96
29ASPH 20.826 D(29)
30 49.638 5.324 1.75500 52.34
31 -128.013 18.763
32 inf. 2.500 1.51680 64.20
33 inf. 1.000
【0089】
[表11]
F 17.507 34.486 67.899
Fno 2.900 2.900 2.900
W 40.339 21.809 11.484
D(5) 1.000 20.389 40.352
D(13) 28.449 8.314 1.000
D(26) 1.369 5.838 5.451
D(29) 5.930 7.909 23.950
【0090】
[表12]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
6 0.00 1.54091E-05 -2.95342E-08 1.42901E-10 -5.18027E-13 9.09923E-16
23 0.00 -5.62744E-06 1.71245E-07 -7.89939E-09 1.11898E-10 -4.89966E-13
24 0.00 -1.59116E-05 4.43181E-07 -1.45801E-08 1.83238E-10 -7.72093E-13
25 0.00 -1.26537E-05 3.56484E-07 -3.60385E-09 3.97646E-11 -9.90564E-14
26 0.00 3.08427E-05 1.97745E-07 2.35779E-09 -2.95500E-11 2.82052E-13
29 0.00 9.23625E-07 -2.51901E-07 3.69382E-09 -3.41158E-11 1.36937E-13
【0091】
数値実施例4の第1レンズ群G1の焦点距離は105.576、第2レンズ群G2の焦点距離は-21.226、第3レンズ群G3の焦点距離は25.471、第4レンズ群G4の焦点距離は-30.311、第5レンズ群G5の焦点距離は47.994である。
【0092】
(数値実施例5)
図17は、数値実施例5のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。数値実施例5のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grから構成される。Gr群は、正の屈折力を有するGrf群すなわち正の屈折力を有する第3レンズ群G3及び正の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有するGrm群すなわち第5レンズ群G5、正の屈折力を有するGrr群すなわち第6レンズ群G6から構成される。
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動する。また、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は物体側に移動する。
第5レンズ群G5を光軸に沿って移動させることによって合焦を行う。
第4レンズ群内のGvc凹レンズGvcを光軸に垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレを補正する。
【0093】
数値実施例5のレンズデータ等は、以下の通りである。
[表13]
No. R D Nd ABV
1 82.044 1.200 1.92286 20.88
2 64.694 6.488 1.75500 52.34
3 387.277 D(3)
4ASPH 87.363 0.200 1.51460 49.96
5 56.476 1.000 1.87070 40.73
6 16.888 11.178
7 -30.598 1.904 1.61997 63.88
8 25.618 6.832 1.85026 32.27
9 -41.264 1.278
10 -25.947 1.000 1.85478 24.80
11 -41.195 D(11)
12 24.680 3.508 1.85478 24.80
13 116.941 2.737
14STOP 0.000 1.000
15 58.461 2.853 1.59319 67.90
16 -71.228 0.800 1.95816 26.30
17 30.485 0.200
18 17.962 0.800 2.00100 29.13
19 11.698 7.151 1.59319 67.90
20 -40.302 D(20)
21ASPH -46.170 1.000 1.77250 49.50
22ASPH 30.047 1.015
23ASPH 20.282 7.579 1.77250 49.50
24ASPH -68.827 D(24)
25ASPH 130.453 0.800 1.59349 67.00
26ASPH 23.296 D(26)
27 45.401 2.113 1.78795 24.53
28 71.269 D(28)
29 inf. 2.500 1.51680 64.20
30 inf. 1.000
【0094】
[表14]
F 24.723 40.962 67.903
Fno 4.110 4.112 4.109
W 42.482 27.164 17.165
D(3) 1.000 16.692 33.898
D(11) 24.662 9.853 1.000
D(20) 0.568 0.819 1.000
D(24) 3.248 3.757 2.505
D(26) 14.047 13.702 15.799
D(28) 18.475 28.496 43.307
【0095】
[表15]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
4 0.00 9.34445E-06 -1.48253E-08 7.21196E-11 -2.04831E-13 2.80677E-16
21 0.00 5.96329E-07 -3.88332E-07 7.63596E-09 -5.63489E-11 1.56101E-13
22 0.00 -1.17460E-05 -3.87541E-07 5.12724E-09 -5.02839E-12 -1.37730E-13
23 0.00 -2.26569E-05 1.26991E-07 -1.54165E-09 3.35046E-11 -1.22928E-13
24 0.00 2.73118E-05 1.50401E-07 -2.11620E-10 1.51568E-12 1.07210E-13
25 0.00 -1.00968E-05 -6.52017E-09 7.57102E-10 2.83635E-12 -5.91493E-14
26 0.00 -1.35319E-05 -6.29236E-08 2.18641E-09 -1.38061E-11 1.13791E-14
【0096】
数値実施例5の第1レンズ群G1の焦点距離は147.089、第2レンズ群G2の焦点距離は-25.354、第3レンズ群G3の焦点距離は29.303、第4レンズ群G4の焦点距離は106.916、第5レンズ群G5の焦点距離は-47.918、第6レンズ群G6の焦点距離は153.227である。
【0097】
(数値実施例6)
図21は、数値実施例6のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。数値実施例6のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有するGr群Grすなわち第3レンズ群G3から構成される。第3レンズ群G3は、Grf群Grf、Grm群Grm,正メニスカスレンズのGrr群Grrから構成される。
広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側に凸の軌跡を描くように一旦像側に移動した後、物体側に移動し、Gr群Grは物体側に移動する。
負の屈折力のGrm群Grmを光軸に沿って移動させることによって合焦を行う。
Grf群Grf内のGvc凹レンズGvcを光軸に対し垂直方向に移動させて、撮影時の手ブレを良好に補正することができる。
【0098】
数値実施例6のレンズデータ等は、以下の通りである。
[表16]
No. R D Nd ABV
1 103.235 1.200 1.92286 20.88
2 76.710 6.556 1.75500 52.34
3 3002.806 D(3)
4ASPH 103.048 0.200 1.51460 49.96
5 64.366 1.408 1.87070 40.73
6 18.409 10.221
7 -29.200 1.014 1.61997 63.88
8 25.410 5.945 1.85026 32.27
9 -48.133 2.183
10 -22.633 1.000 1.85478 24.80
11 -30.852 D(11)
12 23.704 3.790 1.85478 24.80
13 95.620 2.903
14STOP 0.000 1.000
15 60.390 2.994 1.59319 67.90
16 -65.131 0.800 1.95104 25.84
17 33.219 0.200
18 17.897 0.800 2.00100 29.13
19 11.429 8.294 1.59319 67.90
20 -71.986 1.352
21ASPH -44.888 1.000 1.77250 49.50
22ASPH 35.316 1.047
23ASPH 22.008 6.342 1.77250 49.50
24ASPH -42.598 3.152
25ASPH 306.708 0.800 1.59349 67.00
26ASPH 26.242 13.910
27 48.153 4.302 1.92286 20.88
28 60.270 D(28)
29 inf. 2.500 1.51680 64.20
30 inf. 1.000
【0099】
[表17]
F 27.799 43.457 67.905
Fno 4.100 4.100 4.100
W 39.167 25.803 17.162
D(3) 3.897 17.308 26.394
D(11) 21.230 9.864 1.000
D(28) 18.961 29.875 46.649
【0100】
[表18]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
4 0.00 6.85022E-06 -9.01762E-09 5.33929E-11 -1.67759E-13 3.03955E-16
21 0.00 6.82104E-06 -3.99441E-07 7.90040E-09 -4.26423E-11 1.72015E-14
22 0.00 3.16978E-06 -5.15549E-07 5.87720E-09 1.37952E-11 -3.10812E-13
23 0.00 -2.50998E-05 -2.86707E-08 -1.11929E-09 2.83851E-11 -8.15037E-14
24 0.00 1.61800E-05 7.59569E-08 -9.24577E-10 -1.82886E-12 1.16079E-13
25 0.00 3.97589E-06 7.16355E-08 -1.06256E-10 -4.38988E-12 4.00442E-14
26 0.00 3.84251E-06 4.53217E-08 6.78497E-10 -1.11994E-11 5.67154E-14
【0101】
数値実施例6の第1レンズ群G1の焦点距離は153.381、第2レンズ群G2の焦点距離は-25.072、第3レンズ群G3の焦点距離は27.957である。
【0102】
(撮像装置)
撮影装置100の実施例は、図25に示すように、撮影レンズ110が、撮影装置ハウジング102にレンズマウント104によって装着されたレンズ鏡筒106によって支持されている。被写体像が撮影レンズ110及びカバーガラスCを介して結像面Iに結像され、被写体像はデイスプレー112に表示される。
【0103】
(条件式に係る数値)
各数値実施例に係る条件式の値は、以下の通りである。
[表19]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6
(1)ndpH 1.80518 1.92286 1.92286 1.92286 1.85500 1.85500
(2)ndnH 2.00100 2.00100 2.00100 2.00100 2.00100 2.00100
(3)vdGrmn 58.12 67.00 67.00 67.00 67.00 67.00
(4)vdGrfp 25.45 20.88 20.88 20.88 26.29 26.29
(5)vdGrfn 29.13 29.13 29.13 29.13 29.13 29.13
(6)fGrm/fw -1.726 -1.425 -1.959 -1.731 -1.938 -1.741
(7)Tsfw/fw 1.630 0.870 1.076 1.561 0.541 0.971
(8)(1-βvc)×βvcr -1.532 -2.170 -2.750 -1.417 -2.883 -2.802
【符号の説明】
【0104】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
100 撮影装置
102 撮影装置ハウジング
104 レンズマウント
106 レンズ鏡筒
110 撮影レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25