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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】排出ガス触媒コンバータ
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20240903BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240903BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F01N3/28 F
F01N3/24 C ZAB
F01N3/28 311S
B01D53/94 300
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019169469
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2020060182
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】10 2018 124 468.1
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】メフメト・コスクン・ベイダック
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ハウザー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュリヒト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィアン・レック
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・リーパート
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-191381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0265597(US,A1)
【文献】米国特許第08984834(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0178263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174060(US,A1)
【文献】特開2014-188471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
F01N 3/24
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶のディーゼルエンジンのための排出ガス触媒コンバータであって、
排出ガス触媒コンバータハウジング(11)と、
前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の内部に受容されている複数の触媒モジュール(14)であって、前記触媒モジュール(14)それぞれが、排出ガスが貫流する触媒本体と、前記触媒本体のためのハウジングとを備えており、前記触媒本体それぞれが、前記ハウジングそれぞれに受容されており、且つ、前記ハウジングによって部分的に囲まれている、複数の前記触媒モジュール(14)と、
サポートグリッド(15)、及び、互いに対して平行に延在している複数のカウンターサポート留め具(16)を具備するカウンターサポート(17)であって、前記触媒モジュール(14)が、前記サポートグリッド(15)と前記カウンターサポート(17)との間に締め付けられており、前記触媒モジュール(14)が、前記サポートグリッド(15)に当接している第1の貫流端部と、前記カウンターサポート(17)の反対側に配置されている第2の貫流端部とを備えている、前記カウンターサポート(17)と、
前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)のハウジング構造体(19)に作用すると共に、前記カウンターサポート(17)の前記カウンターサポート留め具(16)を前記触媒モジュール(14)の前記第2の貫流端部に押圧する、複数の押さえ部(18)と、
を備えている前記排出ガス触媒コンバータにおいて、
前記押さえ部(18)が、前記カウンターサポート留め具(16)の領域において、前記カウンターサポート留め具(16)それぞれの互いに反対側に配置された端部に作用し、
前記カウンターサポート留め具(16)を押圧している第1の部分(20)と、前記カウンターサポート留め具(16)の凹所(22)の内部に突入している第2の部分(21)と、前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の前記ハウジング構造体(19)を貫通して延在している第3の部分(23)と、を備えている複数の前記押さえ部(18)と、
前記押さえ部(18)それぞれが、前記押さえ部(18)を前記押さえ部(18)の前記第1の部分(20)及び前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の前記ハウジング構造体(19)に支えるためのバネ要素(25)を備えていることを特徴とする排出ガス触媒コンバータ。
【請求項2】
前記押さえ部(18)それぞれが、前記第3の部分(23)において、前記カウンターサポート留め具(16)に対して横方向に延在している前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の前記ハウジング構造体(19)を貫通して延在しており、第4の部分(24)において、前記ハウジング構造体(19)に関して前記カウンターサポート留め具(16)の反対側に面している前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の前記ハウジング構造体(19)の側面に突出していることを特徴とする請求項1に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項3】
前記バネ要素(25)のバネ力が、前記第1の部分(20)を前記カウンターサポート留め具(16)及び前記第2の部分(21)に抗して前記カウンターサポート留め具(16)の前記凹所(22)の内部に向かって押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項4】
前記バネ要素(25)のバネ力の反対方向に向いた前記バネ要素(25)のバネ力より大きい力を前記押さえ部(18)それぞれの前記第4の部分(24)に作用させることによって、前記押さえ部(18)それぞれの前記第1の部分(20)が、前記カウンターサポート留め具(16)それぞれから離昇され、
前記押さえ部(18)それぞれの前記第2の部分(21)が、前記カウンターサポート留め具(16)の前記凹所(22)から離隔するように移動されることを特徴とする請求項2を引用する請求項3に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項5】
前記押さえ部(18)それぞれが突入している前記カウンターサポート留め具(16)それぞれの前記凹所(22)が、前記第2の部分(21)より大きく、これにより、前記第2の部分(21)が、前記カウンターサポート留め具(16)の長手方向において遊嵌を有した状態で前記凹所(22)の内部に突入していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項6】
前記バネ要素(25)のバネ力の反対方向のバネ行程を制限するためのバネ行程制限部(27)が、前記押さえ部(18)それぞれの前記第1の部分(20)に、具体的には前記カウンターサポート留め具(16)の反対側に面しており且つ前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)の前記ハウジング構造体(19)に面している前記第1の部分(20)の側部に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項7】
前記バネ行程制限部(27)が、少なくとも1つの突起(29)を具備するディスク(28)として形成されており、
前記ディスク(28)が、バネ行程に対して横方向に延在しており、前記突起(29)が、バネ行程の方向に突出していることを特徴とする請求項6に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項8】
前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)と前記触媒モジュール(14)とが動作温度に至るまで加熱された場合に、前記バネ要素(25)が一の前記触媒モジュール(14)当たり50N~200Nの力を前記触媒モジュール(14)に作用させるように、前記押さえ部(18)のバネ要素(25)が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【請求項9】
前記排出ガス触媒コンバータハウジング(11)及び前記触媒モジュール(14)が周囲温度に至るまで冷却される場合に、前記押さえ部(18)それぞれを解放するために作用させるのに必要な力が、前記バネ要素(25)それぞれのバネ力より少なくとも25%大きいように、前記押さえ部(18)が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の排出ガス触媒コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きにおける排出ガス触媒コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2に開示されるように、船舶向けディーゼルエンジン及び定置式ディーゼルエンジンのための排出ガス触媒コンバータ、特にSCR排出ガス触媒コンバータが知られている。
【0003】
特許文献1は、排出ガス触媒コンバータハウジングと当該排出ガス触媒コンバータハウジングに受容された複数の触媒モジュールとを具備する排出ガス触媒コンバータであって、触媒モジュールが1つ以上の排出ガス触媒コンバータユニットを形成している、排出ガス触媒コンバータを開示している。触媒モジュールそれぞれが、排出ガスが貫流する触媒本体とハウジングとを備えている。触媒本体それぞれが、ハウジングそれぞれに受容されており、ハウジングによって部分的に囲まれている。さらに、排出ガス触媒コンバータは、サポートグリッドと、互いに対して並行に延在している複数のカウンターサポート留め具を具備するカウンターサポートとを備えている。触媒モジュールは、触媒モジュールが第1の貫流端部を具備するサポートグリッドと第2の貫流端部を具備するカウンターサポートとに当接するように、サポートグリッドとカウンターサポートのカウンターサポート留め具との間に固定されている。さらに、排出ガス触媒コンバータは、複数の締め具を備えている。排出ガス触媒コンバータのハウジング構造体に自信を支持する締め具によって、カウンターサポート留め具は、触媒モジュールの第2の貫流端部に対して押圧される。留め具が、第1の貫流端部でハウジング構造体に且つ第2の貫流端部で押さえ留め具に留め具自体をサポートする。押さえ留め具は、触媒モジュールの第2の貫流端部に抗してカウンターサポート留め具を押圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102015004006号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015219827号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容易に組立分解可能される一方、動作状態において熱サイクルを経過する場合であっても一定の力が触媒モジュールに作用する排出ガス触媒コンバータに対してニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を端緒として、本発明は、新しいタイプの排出ガス触媒コンバータを創造するという目的に基づくものである。当該目的は、請求項1における排出ガス触媒コンバータによって達成される。
【0007】
本発明では、押さえ部それぞれが、カウンターサポート留め具それぞれの領域においてカウンターサポート留め具の端部それぞれに作用し、第1の部分において、カウンターサポート留め具それぞれを押圧し、第3の端部において、カウンターサポート留め具に対して横方向に延在している排出ガス触媒コンバータハウジングのハウジング構造体を貫通して延在している。
【0008】
押さえ部それぞれが、押さえ部の第1の部分に支えられている一方、排出ガス触媒コンバータハウジングのハウジング構造体に支えられている。バネ要素のバネ力が、第1の部分をカウンターサポート留め具及び第2の部分に抗してカウンターサポート留め具の凹所の内部に向かって押圧する。
【0009】
このような排出ガス触媒コンバータは、容易に組立及び分解可能とされる。さらに、所定の一様な力を、具体的には熱温度サイクルを経過する場合に、このような排出ガス触媒コンバータを介して触媒モジュールに作用させることができる。
【0010】
本発明における排出ガス触媒コンバータの優位なさらなる発展形態では、押さえ部(18)それぞれが、第3の部分(23)において、カウンターサポート留め具(16)に対して横方向に延在している排出ガス触媒コンバータハウジング(11)のハウジング構造体(19)を貫通して延在しており、第4の部分(24)において、ハウジング構造体(19)に関してカウンターサポート留め具(16)の反対側に面している排出ガス触媒コンバータハウジング(11)のハウジング構造体(19)の側面に突出している。バネ要素(25)のバネ力の反対方向においてバネ要素(25)のバネ力より大きい力を押さえ部(18)それぞれの第4の部分(24)に作用させることによって、押さえ部(18)それぞれの第1の部分(20)が、カウンターサポート留め具(16)それぞれから離昇され、押さえ部(18)それぞれの第2の部分(21)が、カウンターサポート留め具(16)の凹所(22)から離隔するように移動される。当該具体的な事項は、排出ガス触媒コンバータの組立及び分解を容易にするために利用される。さらに、当該具体的な事項は、所定の一様な力を触媒モジュールに作用させるために利用される。
【0011】
本発明における排出ガス触媒コンバータのさらなる優位なさらなる発展形態では、バネ要素のバネ力の反対方向のバネ行程を制限するためのバネ行程制限部が、押さえ部それぞれの第1の部分に、具体的にはカウンターサポート留め具の反対側に面しており且つ排出ガス触媒コンバータハウジングのハウジング構造体に面している第1の部分の側部に配置されている。これにより、排出ガス触媒コンバータの組立及び分解の際に、バネ要素の損傷を防止することができる。
【0012】
本発明における排出ガス触媒コンバータのさらなる優位なさらなる発展形態では、押さえ部それぞれが突入しているカウンターサポート留め具それぞれの凹所が、第2の部分(21)より大きく、これにより、第2の部分が、カウンターサポート留め具の長手方向において遊嵌を有した状態で凹所の内部に突入している。これにより、カウンターサポート留め具の熱に起因する長手方向の伸長が補償される。
【0013】
好ましくは、特に排出ガス触媒コンバータハウジングと触媒モジュールとが動作温度に至るまで加熱された場合に、バネ要素が一の触媒モジュール当たり50N~200Nの力を、特に一の触媒モジュール当たり75N~150Nの力を触媒モジュールに作用させるように、押さえ部のバネ要素が形成されている。特に排出ガス触媒コンバータハウジング及び触媒モジュールが周囲温度に至るまで冷却される場合に、押さえ部それぞれを解放するために作用させるのに必要な力が、バネ要素それぞれのバネ力より少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%大きいように、押さえ部が形成されている。このようにバネ要素及び押さえ部を形成することによって、排出ガス触媒コンバータの組立及び分解が容易となり、温度サイクルを経過する場合であっても不慮に除荷されないように、所定の力を触媒モジュールに作用させることができるようになる。
【0014】
本発明の好ましい発展形態については、従属請求項及び発明の詳細な説明から理解することができる。本発明の典型的な実施例は、図面によって、当該図面に限定されることなく詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における排出ガス触媒コンバータの概略的な側面図である。
図2】本発明における排出ガス触媒コンバータの概略的な上面図である。
図3図1及び図2に表わす排出ガス触媒コンバータの、第1の状態の詳細図である。
図4図1及び図2に表わす排出ガス触媒コンバータの押さえ部を表わす。
図5図1及び図2に表わす排出ガス触媒コンバータの、第2の状態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、船舶用途又は海上用途のための内燃機関の排出ガス触媒コンバータに関する。
【0017】
特に、本発明における排出ガス触媒コンバータは、船舶のディーゼルエンジンのSCR排出ガス触媒コンバータとして構成されている。
【0018】
本発明における排出ガス触媒コンバータ10は、排出ガス触媒コンバータハウジング11を備えている。図示の典型的な実施例では、排出ガス触媒コンバータハウジング11は、複数の側壁12と底壁13とを備えている。
【0019】
さらに、排出ガス触媒コンバータ10は、排出ガス触媒コンバータハウジング11に受容されている複数の触媒モジュール14を備えている。触媒モジュール14それぞれは、好ましくは金属製のハウジングとセラミック触媒本体とを備えており、触媒モジュール14それぞれの触媒本体は、ハウジングに受容されていると共に、当該ハウジングによって部分的に囲まれている。簡単に表わすために、触媒モジュール14それぞれの触媒本体及びハウジングは、別々に図示されていないが、ユニットとして概略的に表わされている。
【0020】
排出ガス触媒コンバータ10は、図示の典型的な実施例では排出ガス触媒コンバータハウジング11の底壁13を形成しているサポートグリッド15を備えており、カウンターサポート17は、互いに対して並行に延在している複数のカウンターサポート留め具16を備えている。触媒モジュール14が、カウンターサポート17に当接した状態で、第1の貫流端部を具備するサポートグリッド15に、具体的には対応して配置された第2の流入端部を具備するカウンターサポート留め具16に載置されるように、触媒モジュール14は、サポートグリッド13とカウンターサポート17との間に固定されている。
【0021】
図示の典型的な実施例では、触媒モジュール14は、矩形状の断面を有する直方体状の外形を有している。排出ガス触媒コンバータハウジング11に位置決めされている触媒モジュール14は、複数の行と複数の列とから成る態様で、すなわち配列の態様で互いに隣り合って且つ重なり合って配置されている。カウンターサポート17のカウンターサポート留め具16は、触媒モジュール14の配列についての行の方向において又は列の方向において延在している。特にカウンターサポート留め具16が例えば触媒モジュール14の行の方向に延在している場合には、少なくとも幾つかのカウンターサポート留め具16が、すなわち中間のカウンターサポート留め具16が、触媒モジュール14の隣り合う行の触媒モジュール14の縁部を覆うように延在している。
【0022】
排出ガス触媒コンバータ10は、複数の押さえ部18を備えている。押さえ部18が、押さえ部18を排出ガス触媒コンバータハウジング11のハウジング構造体19に支持することによって、カウンターサポート17のカウンターサポート留め具16が、触媒モジュール14の第2の端部に対して押圧される。カウンターサポート17のカウンターサポート留め具16それぞれの領域において、押さえ部18それぞれが、カウンターサポート留め具16それぞれの互いに対して反対側に配置された端部に作用する。押さえ部18それぞれは、カウンターサポート留め具16を押圧するための第1の部分20を備えている。押さえ部18の第2の部分21は、カウンターサポート留め具16に面している第1の部分20の側において、第1の部分20に対して突出しており、且つ、カウンターサポート留め具16の凹所22に突入している。さらに、押さえ部18は、排出ガス触媒コンバータハウジング11のハウジング構造体19を貫通して延在している第3の部分23を備えており、ハウジング構造体19は、カウンターサポート留め具16に対して横方向に延在している。押さえ部18の第3の部分23は、カウンターサポート留め具16に対して横方向に延在している排出ガス触媒コンバータハウジング11のハウジング構造体19を完全に貫通して延在しており、ハウジング構造体19の側に突出している一方、第4の部分24は、排出ガス触媒コンバータハウジング11のハウジング構造体19に関してカウンターサポート留め具16の反対側に面している。
【0023】
図示の典型的な実施例では、第1の部分20、第2の部分21、第3の部分23、及び第4の部分24を具備する押さえ部18は、ナットを具備するボルトとされる。当該ナットは、押さえ部18の第1の部分20を提供し、ボルトのネジ無軸部は、押さえ部18の第3の部分23を提供し、ボルト頭は、押さえ部18の第4の部分24を提供し、ナットに対して突出しているネジ付軸部の領域は、押さえ部18の第2の部分21を提供する。
【0024】
さらに、押さえ部18は、バネ要素25を備えている。圧縮バネとして形成されている。バネ要素25は、押さえ部18の第1の部分20に、すなわちカウンターサポート留め具16の反対側に面している第1の部分20の側に自身を支持している一方、排出ガス触媒コンバータハウジング11のハウジング構造体19に、すなわち押さえ部18の第1の部分20に面しているハウジング構造体19の側に自身を支持している。ハウジング構造体19は、カウンターサポート留め具16に対する横梁として構成されている。押さえ部18のバネ要素25は、押さえ部18の第1の部分20をカウンターサポート17のカウンターサポート留め具16ひいては押さえ部18の第2の部分21に当接するようにカウンターサポート留め具16の対応する凹所22に押し込むためのバネ力を発揮させることができる。
【0025】
押さえ部18のバネ要素25のバネ力より大きく且つ押さえ部18の反対側に向かう力を押さえ部18の第4の部分24に作用させることによって、押さえ部18の第1の部分20はカウンターサポート留め具16から離昇され、押さえ部18の第2の部分21がカウンターサポート留め具16の凹所22から脱離するように移動されるので、触媒モジュール14の組立及び分解が容易になる。
【0026】
図5は、バネ要素25のバネ力を相殺する力を押さえ部18に働かせるようにカウンターサポート留め具16の第4の部分24に作用する、著しく概略化された対応するツール26を表わす。
【0027】
上述のように、押さえ部18の第2の部分21は、カウンターサポート留め具16の対応する凹所22に係合する。カウンターサポート留め具16の凹所22は、凹所22が第2の部分21より大きいように寸法づけられている。これにより、第2の部分21が、カウンターサポート留め具16の長手方向において遊隙を有した状態で、凹所22の内部に突出する。その結果として、動作中に、特にカウンターサポート留め具16の伝熱による長手方向寸法の変化が補償される。
【0028】
バネ行程制限部27が、カウンターサポート留め具16の反対側に面しており且つハウジング構造体19に面している側において、押さえ部18の第1の部分20に配置されている。図5を参照すると、特にバネ要素25のバネ力を相殺する力が、ツール26を介して押さえ部18に作用された場合に、バネ行程制限部27は、バネ要素25のバネ力の反対方向に向かうバネ要素25のバネ行程を制限するので、バネ要素25の損傷を防止することができる。
【0029】
図示の典型的な実施例では、バネ行程制限部27は、少なくとも1つの突出部29を具備するディスク28として形成されている。ディスク28は、バネ要素25のバネ行程に対して横向きに延在しており、突出部29又は突出部29それぞれが、バネ要素25のバネ行程の方向において延在している。突出部29は、例えばディスク28の縁部を中心とする円筒状又はスリーブ状に延在している。
【0030】
図3及び図5はそれぞれ、寸法Yのバネ要素25を表わす。当該寸法Yは、押さえ部18の第1の部分20とハウジング構造体19との間の現在の距離に相当する。押さえ部18は、第3の部分23においてハウジング構造体19を貫通して延在している。寸法Xは、触媒モジュール14の第1の流通端部と触媒モジュール14の反対側に面しているカウンターサポート留め具16の側部との間の距離に相当する。
【0031】
動作の際に、排出ガス触媒コンバータ10のハウジング11と触媒モジュール14とも、熱に起因する伸長又は寸法変化を受ける。排出ガス触媒コンバータが動作しておらず、且つ、排出ガス触媒コンバータハウジング11と触媒モジュール14とが周囲温度まで冷却されている場合に、押さえ部18が、特に押さえ部18の第2の部分21の長さが、ツール26を介して押さえ部18を解放するために作用させるのに必要な力が、第2の部分21を凹所22に押し込むバネ要素25の力より少なくとも25%大きくなるように、好ましくは少なくとも50%大きくなるような寸法とされることが望ましい。押さえ部18のバネ要素25は、特に排出ガス触媒コンバータの動作の際に排出ガス触媒コンバータハウジング11と触媒モジュール14とがそれぞれ動作温度に至るまで加熱された場合に、すべての押さえ部18のバネ要素25が全体として一の触媒モジュール14当たり約50N~約200Nのバネ力を、特に一の触媒モジュール14当たり約75N~約150Nのバネ力を触媒モジュール14に作用させるような寸法とされることが望ましい。これにより、特に触媒モジュール14と排出ガス触媒コンバータハウジング11とが周囲温度に至るまで冷却されている場合に、触媒モジュール14の組み込み及び取り外しを容易に実施可能である一方、動作の際には、すなわち排出ガス触媒コンバータハウジング11と触媒モジュール14とが動作温度に至るまで加熱されている場合には、触媒モジュール14をサポートグリッド15とカウンターサポート17との間に固定状態で挟み込むことができる。
【符号の説明】
【0032】
10 排出ガス触媒コンバータ
11 排出ガス触媒コンバータハウジング
12 (排出ガス触媒コンバータハウジング11の)側壁
13 (排出ガス触媒コンバータハウジング11の)底壁
14 触媒モジュール
15 サポートグリッド
16 カウンターサポート留め具
17 カウンターサポート
18 押さえ部
19 (排出ガス触媒コンバータハウジング11の)ハウジング構造体
20 (押さえ部18の)第1の部分
21 (押さえ部18の)第2の部分
22 凹所
23 (押さえ部18の)第3の部分
24 (押さえ部18の)第4の部分
25 バネ要素
26 ツール
27 バネ行程制限部
28 ディスク
29 突出部
図1
図2
図3
図4
図5