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特許7548689タングステン用の化学機械研磨組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】タングステン用の化学機械研磨組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240903BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240903BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240903BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240903BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
B24B37/24 A
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184409
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2020068378
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】16/166,085
(32)【優先日】2018-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】デュポン・エレクトロニック・マテリアルズ・ホールディング・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DuPont Electronic Materials Holding, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジア・デ・ペン
(72)【発明者】
【氏名】リン-チェン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン・ポ-シアン・チー
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235481(JP,A)
【文献】特開2016-167580(JP,A)
【文献】特開2018-164075(JP,A)
【文献】特表2017-502945(JP,A)
【文献】米国特許第06083838(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0237315(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/24
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期成分として:水;酸化剤;
一般式(II)
【化10】

[式中m+nの合計は3~15の範囲である]を有するオレイルアミンエトキシレート;
コロイド状シリカ砥粒;
ジカルボン酸;
鉄(III)イオン源;
任意選択的に、pH調整剤;及び
任意選択的に、殺生物剤
を含む化学機械研磨組成物。
【請求項2】
(II)を有するオレイルアミンエトキシレートが、少なくとも10ppmの量である、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
【請求項3】
m+nの合計が3~の範囲である、請求項1記載の化学機械研磨組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンの腐蝕(corrosion)を少なくとも抑制するためのタングステンの化学機械研磨の分野に関する。更に具体的には、本発明は、タングステンの腐蝕を少なくとも抑制するためのタングステンの化学機械研磨用の組成物及び方法であって、タングステンを含有する基板を提供し;初期成分として、水;酸化剤;タングステンの腐蝕を少なくとも抑制するのに十分な量の選択された脂肪族アミンエトキシレート;ジカルボン酸;鉄イオン源;コロイド状シリカ砥粒;及び任意選択的にpH調整剤;及び任意選択的に殺生物剤を含有する研磨組成物を提供し;研磨表面を有する化学機械研磨パッドを提供し;研磨パッドと基板の界面で動的接触を作り出し;そして、研磨パッドと基板の界面又はその近傍の研磨表面上に研磨組成物を分注することによって、一部のタングステンが研磨されて基板から除かれ、タングステンの腐蝕を少なくとも抑制する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電性材料、半導体材料及び誘電体材料の複数の層が半導体ウェーハの表面上に堆積されるか、又はそこから除去される。導電性材料、半導体材料、及び誘電体材料の薄層は、幾つかの堆積手法によって堆積され得る。最新加工技術における一般的な堆積手法は、スパッタリングとしても知られている物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、及び電気化学的めっき法(ECP)を含む。
【0003】
材料の層が順次堆積され除去されるにつれ、ウェーハの最上面は平坦でなくなる。後続の半導体加工(例えば、金属被覆)はウェーハが平らな表面を有することを要求するため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、望ましくない表面形状及び表面欠陥(粗面、凝集物質、結晶格子損傷、掻ききず、及び混入層又は物質など)を除去するのに有用である。
【0004】
化学機械平坦化、又は化学機械研磨(CMP)は、半導体ウェーハのような基板を平坦化するために使用される一般的な手法である。従来のCMPにおいて、ウェーハはキャリアアセンブリに取り付けられ、CMP装置内に研磨パッドと接触して配置される。キャリアアセンブリは、ウェーハに調節可能な圧力を提供し、ウェーハを研磨パッドに押し付ける。パッドを、外部駆動力によってウェーハに対して移動(例えば、回転)させる。それと同時に、研磨組成物(「スラリー」)又は他の研磨溶液がウェーハと研磨パッドとの間に提供される。よって、パッド表面及びスラリーの化学的及び機械的作用によって、ウェーハ表面が研磨されて、平坦化される。しかしながら、CMPにはかなりの複雑さを伴う。各タイプの材料には、固有の研磨組成物、適切に設計された研磨パッド、研磨とCMP後洗浄の両方に最適化されたプロセス設定、及び特定の材料の研磨用途に個別に合わせる必要があるその他の因子が必要とされる。
【0005】
化学機械研磨は、集積回路設計におけるタングステン配線及びコンタクトプラグの形成中にタングステンを研磨するための好ましい方法となっている。タングステンは、コンタクト/ビアプラグの集積回路設計において頻繁に使用されている。典型的には、基板上の誘電体層を貫通してコンタクト又はビアホールが形成され、下層の構成要素(例えば、第1レベルの金属被覆又は配線)の領域が露出される。タングステンは硬質金属であり、タングステンCMPは比較的苛酷な設定で動作し、そしてこのことが、タングステンCMPに特有の課題をもたらす。残念ながら、タングステンの研磨に使用される多くのCMPスラリーは、その苛酷な性質のため、タングステンの腐蝕を引き起こす。タングステンの腐蝕は、CMPの一般的な副作用である。CMPプロセス中、基板の表面に残っている金属研磨スラリーは、CMPの効果を超えてタングステンを腐蝕し続ける。時には腐蝕が望まれるが、ほとんどの半導体プロセスでは、腐蝕を減少させるか、又は好ましくは完全に抑制する必要がある。
【0006】
CMPタングステンに関連する別の問題は、残念ながら、タングステンの研磨に使用される多くのCMPスラリーが過剰研磨及びディッシングの問題を引き起こし、その結果、不均一又は平坦でない表面が生じることである。「ディッシング」という用語は、CMP中の半導体上の金属配線前駆体及び他の形体からの、タングステンのような金属の過剰な(望ましくない)除去のことをいい、それによってタングステンに望ましくない窪みが生じることをいう。ディッシングは、平坦でない表面をもたらすことに加えて、半導体の電気的性能に悪影響を及ぼすため、望ましくない。ディッシングの深刻度は様々であるが、典型的には、二酸化ケイ素(TEOS)のような下層の誘電体材料の浸蝕(erosion)を引き起こすほどに深刻である。半導体の最適な電気的性能を持続するには、誘電体層は理想的には完璧であり、窪みがあってはならないため、浸蝕は望ましくない。CMP配合物はタングステン研磨中のディッシング及び浸蝕の両方の問題に同時に対処するのが理想的であるが、CMP配合物は、浸蝕に対処できない一方でディッシングを抑制したり、又は浸蝕を防ぐためにディッシングの抑制を犠牲にすることがある。
【0007】
このようなディッシング及び浸蝕から生じ得る表面形状欠陥は更に、導電性材料又は誘電体材料の下に配置されたバリア層材料のような、追加の材料の基板表面からの除去を不均一にし、半導体の集積回路の性能に悪影響を与える可能性がある、望ましい品質に達しない基板表面を生成する。更に、半導体の表面上の形体がますます小型化されるにつれて、半導体の表面をうまく研磨することが次第に困難になっている。
【0008】
したがって、タングステンの腐蝕を少なくとも抑制するが、好ましくは更にディッシング及び浸蝕を同時に減少させる、タングステンのためのCMP方法及び組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、タングステンの化学機械研磨組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0010】
【化1】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する脂肪族アミンエトキシレート;コロイド状シリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、任意選択的に、pH調整剤;及び、任意選択的に、殺生物剤
を含む組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、タングステンの化学機械研磨組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0012】
【化2】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する少なくとも10ppmの脂肪族アミンエトキシレート;コロイド状シリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、任意選択的に、pH調整剤;及び、任意選択的に、殺生物剤
を含む組成物であって、pHが1~7である、化学機械研磨組成物を提供する。
【0013】
本発明は更に、タングステンの化学機械研磨組成物であって、初期成分として:水;0.01~10重量%の酸化剤;一般式(I):
【0014】
【化3】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する10~500ppmの脂肪族アミンエトキシレート;0.01~15重量%のコロイド状シリカ砥粒;1~2,600ppmのジカルボン酸又はその塩;1~250ppmの鉄(III)イオン源;及び、任意選択的に、pH調整剤;及び、任意選択的に、殺生物剤
を含む組成物であって、pHが1.5~4.5である、化学機械研磨組成物を提供する。
【0015】
本発明は、タングステンの化学機械研磨方法であって:
タングステン及び誘電体を含む基板を提供する工程;
化学機械研磨組成物を提供する工程であって、該組成物が、
初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0016】
【化4】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する脂肪族アミンエトキシレート;
コロイド状シリカ砥粒;
ジカルボン酸又はその塩;
鉄イオン源;任意選択的にpH調整剤;及び
任意選択的に殺生物剤
を含む工程;
研磨表面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;
化学機械研磨パッドと基板の界面で動的接触を作り出す工程;そして、
化学機械研磨パッドと基板の界面又はその近傍の化学機械研磨パッドの研磨表面上に化学機械研磨組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去する工程
を含む方法に関する。
【0017】
本発明はまた、タングステンの化学機械研磨方法であって:
タングステン及び誘電体を含む基板を提供する工程;
化学機械研磨組成物を提供する工程であって、該組成物が、
初期成分として:水;酸化剤;一般式(I):
【0018】
【化5】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する少なくとも10ppmの脂肪族アミンエトキシレート;
コロイド状シリカ砥粒;
ジカルボン酸又はその塩;
鉄イオン源;任意選択的にpH調整剤;及び
任意選択的に殺生物剤
を含み、pHが1~7である工程;
研磨表面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;
化学機械研磨パッドと基板の界面で動的接触を作り出す工程;そして、
化学機械研磨パッドと基板の界面又はその近傍の化学機械研磨パッドの研磨表面上に化学機械研磨組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去する工程
を含む方法であって、提供される化学機械研磨組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、化学機械研磨組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaで、タングステン除去速度≧1000Å/分を有しており;そして化学機械研磨パッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、方法に関する。
【0019】
本発明は更に、タングステンの化学機械研磨の方法であって:
タングステン及び誘電体を含む基板を提供する工程;
化学機械研磨組成物を提供する工程であって、該組成物が、
初期成分として:水;0.01~10重量%の酸化剤;一般式(I):
【0020】
【化6】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する10~500ppmの脂肪族アミンエトキシレート;
0.01~15重量%のコロイド状シリカ砥粒;
1~2,600ppmのジカルボン酸又はその塩;
1~250ppmの鉄イオン源;任意選択的にpH調整剤;及び
任意選択的に殺生物剤
を含み、前記化学機械研磨組成物のpHが1.5~4.5である、工程;
研磨表面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;
化学機械研磨パッドと基板の界面で動的接触を作り出す工程;そして、
化学機械研磨パッドと基板の界面又はその近傍の化学機械研磨パッドの研磨表面上に化学機械研磨組成物を分注して、少なくとも一部のタングステンを除去する工程
を含む方法であって、提供される化学機械研磨組成物が、200mm研磨機でプラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、化学機械研磨組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kPaで、タングステン除去速度≧1000Å/分を有しており;そして化学機械研磨パッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む、方法に関する。
【0021】
本発明の前記の化学機械研磨組成物及び方法は、タングステンを研磨し、そして望ましくないタングステンの腐蝕を少なくとも抑制するが、本発明の前記の化学機械研磨組成物及び方法は更に、ディッシング及び浸蝕を同時に抑制することができる。
【0022】
発明の詳細な説明
本明細書の全体を通して使用される、以下の略語は、文脈上特に明記されない限り、以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;μ=μm=ミクロン;kPa=キロパスカル;Å=オングストローム;mV=ミリボルト;DI=脱イオン;ppm=百万分率=mg/L;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;min=分;rpm=毎分回転数;lb=ポンド;kg=キログラム;W=タングステン;PO=プロピレンオキシド;EO=エチレンオキシド;ICP-OES=誘導結合プラズマ発光分光分析法;DLS=動的光散乱;重量%=重量パーセント;及びRR=除去速度。
【0023】
「化学機械研磨(chemical mechanical polishing」又は「CMP」という用語は、化学的力及び機械的力のみによって基板を研磨するプロセスのことをいい、電気バイアスが基板に印加される電気化学機械研磨(ECMP)とは区別される。「TEOS」という用語は、オルトケイ酸テトラエチル[Si(OC]の分解により形成される二酸化ケイ素を意味する。「平坦な」という用語は、長さと幅の2つの寸法を有する実質的に平らな表面又は平らな表面形状を意味する。「寸法」という用語は、線幅のことをいう。「アルキル」という用語は、置換基を有するものとして本明細書中に特に断りない限り、炭素と水素のみからなり(ヒドロカルビル)、そして一般式:C2n+1を有する有機化学基を意味する。「アルケニル」という用語は、水素がアルキレン基(アルカンジイル)から脱離された有機化学基、例えば、HC=CH-又はHRC=CH-[ここで、Rは有機炭化水素(ヒドロカルビル)基である]を意味する。「a」及び「an」という用語は、単数形及び複数形の両方を指す。特に断りない限り、全ての百分率は重量による。全ての数値範囲は両端を含み、任意の順序で組合せることができるが、そのような数値範囲が合計して最大100%になるよう制約されていることが論理的である場合を除く。
【0024】
本発明のタングステンを含有する基板の研磨方法は、化学機械研磨組成物であって、初期成分として:水;酸化剤;式(I):
【0025】
【化7】

[式中、Rは、8~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、m及びnは、0より大きい整数(1以上の整数)であって、m及びnは同じでも異なっていてもよく、そしてm+nの合計は2~20の範囲であってよい]を有する脂肪族アミンエトキシレート;コロイド状シリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオン源;及び、任意選択的にpH調整剤;及び、任意選択的に殺生物剤を含む(好ましくは、これらからなる)化学機械研磨組成物を含むことによって、タングステンを基板表面から除去し、一方、タングステンの腐蝕を少なくとも抑制するが、更にディッシング及び浸蝕の両方を同時に抑制することができる。
【0026】
好ましくは、本発明の脂肪族アミンエトキシレートのRは、8~18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、そしてここで、m+nの合計は3~20の範囲であり、更に好ましくは、Rは、18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、あるいは直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、そしてここで、m+nの合計は3~20の範囲であり、更により好ましくは、Rは、18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、そしてm+nの合計は3~15の範囲であり、更になお好ましくは、Rは、18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、そしてm+nの合計は3~5の範囲であり、最も好ましくは、Rは、18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニル基であり、そしてm+nの合計は3である。
【0027】
直鎖アルケニル基を有する、本発明の好ましい脂肪族アミンエトキシレートの一例は、一般式(II):
【0028】
【化8】

[式中、m+nの合計は、上記のとおりであり、そしてここで、更により好ましくはm+nは、3~15であり、更になお好ましくはm+nの合計は、3~5の範囲であり、そして最も好ましくはm+n=3である]を有するオレイルアミンエトキシレートである。
【0029】
直鎖アルキル基を有する、本発明の好ましい脂肪族アミンエトキシレートの一例は、一般式(III):
【0030】
【化9】

[式中、m+nの合計は、上記のとおりであり、そしてここで、好ましくはm+n=20である]を有するステアリルアミンエトキシレートである。
【0031】
本発明の方法及び化学機械研磨組成物は、初期成分として、脂肪族アミンエトキシレートであって、Rが、炭化水素基の混合物であるココアミンであるか、Rが、8~18個の炭素原子を有する炭化水素基であって、C12及びC14基が優勢であり、かつRが、主として直鎖である炭化水素基である、脂肪族アミンエトキシレートを更に含む。m+nの合計は、上記のとおりであり、好ましくは、m+nの合計は、8~20の範囲であり、最も好ましくは、m+nの合計は20である。
【0032】
好ましくは、本発明のタングステンの化学機械研磨方法において、本発明の化学機械研磨組成物は、初期成分として、好ましくは少なくとも10ppm、更に好ましくは10ppm~500ppm、更により好ましくは50ppm~300ppm、更になお好ましくは50ppm~200ppm、最も好ましくは50~100ppmの本発明の脂肪族アミンエトキシレートを含む。
【0033】
好ましくは、本発明のタングステンを含む基板を化学機械研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物に、初期成分として含有される水は、偶発的不純物を制限するために、脱イオン化及び蒸留の少なくとも一方が行われている。
【0034】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、酸化剤であって、過酸化水素(H)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硫酸塩、過酢酸、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩及びこれらの混合物からなる群より選択される酸化剤を含有する。更に好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩及び過酢酸からなる群より選択される。最も好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。
【0035】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、0.01~10重量%、更に好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは1~3重量%の酸化剤を含有する。
【0036】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。更に好ましくは、本発明の方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源であって、鉄(III)塩からなる群より選択される鉄(III)イオン源を含有する。最も好ましくは、本発明の方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源であって、硝酸第二鉄[Fe(NO]である鉄(III)イオン源を含有する。
【0037】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、化学機械研磨組成物に1~250ppm、好ましくは5~200ppm、更に好ましくは7.5~150ppm、最も好ましくは10~100ppmの鉄(III)イオンを導入するのに十分な鉄(III)イオン源を含有する。
【0038】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、鉄(III)イオン源を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,100ppm、好ましくは125~1000ppm、更に好ましくは150~850ppm、そして最も好ましくは175~700ppmの鉄(III)イオン源を含有する。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,100ppm、好ましくは150~1000ppm、更に好ましくは150~850ppm、最も好ましくは175~700ppmの鉄(III)イオン源であって、硝酸第二鉄[Fe(NO]である鉄(III)イオン源を含有する。
【0039】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、負のゼータ電位を有するコロイド状シリカ砥粒を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、永続的な負のゼータ電位を有するコロイド状シリカ砥粒を含有し、そしてここで、化学機械研磨組成物は、1~7、好ましくは1.5~4.5;更に好ましくは1.5~3.5;更により好ましくは2~3;最も好ましくは2~2.5のpHを有する。更により好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、永続的な負のゼータ電位を有するコロイド状シリカ砥粒を含有し、そしてここで、永続的な組成物は、-0.1mV~-20mVのゼータ電位により示されるとき、1~7、好ましくは1.5~4.5;更に好ましくは1.5~3.5;更により好ましくは2~3;最も好ましくは2~2.5のpHを有する。
【0040】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される提供される永続的な組成物は、初期成分として、コロイド状シリカ砥粒を含有し、該コロイド状シリカ砥粒は動的光散乱法(DLS)により測定されるとき、≦100nm;好ましくは5~100nm;更に好ましくは10~90nm;最も好ましくは20~80nmの平均粒径を有する。
【0041】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、0.01~15重量%、好ましくは0.05~10重量%、更に好ましくは0.1~7.5重量%、更により好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.2~2重量%のコロイド状シリカ砥粒を含有する。好ましくは、コロイド状シリカ砥粒は負のゼータ電位を有する。
【0042】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、ジカルボン酸を含有し、該ジカルボン酸はマロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、これらの塩又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であって、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、これらの塩及びこれらの混合物からなる群より選択されるジカルボン酸を含有する。更により好ましくは、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、ジカルボン酸を含有し、該ジカルボン酸はマロン酸、シュウ酸、コハク酸、これらの塩及びこれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、ジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0043】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、1~2,600ppm、好ましくは100~1,400ppm、更に好ましくは120~1,350ppm、更になお好ましくは130~1,100ppmのジカルボン酸を含有し、該カルボン酸はマロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、これらの塩又はこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、1~2,600ppmのマロン酸、その塩又はその混合物を含有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,400ppm、更により好ましくは120~1,350ppm、更になお好ましくは130~1,350ppmのジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0044】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、1~7のpHを有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、1.5~4.5のpHを有する。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、1.5~3.5のpHを有する。更になお一層好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、2~3のpH;そして最も好ましくは2~2.5のpHを有する。
【0045】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、任意選択的に、pH調整剤を含有する。好ましくは、pH調整剤は、無機及び有機pH調整剤からなる群より選択される。好ましくは、pH調整剤は、無機酸及び無機塩基からなる群より選択される。更に好ましくは、pH調整剤は、硝酸及び水酸化カリウムからなる群より選択される。最も好ましくは、pH調整剤は、水酸化カリウムである。
【0046】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、第4級化合物を除外する。このような第4級化合物は、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物及び第4級アンチモニウム化合物を含むが、これらに限定されない。
【0047】
任意選択的に、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、界面活性剤を含有する。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、PO又はEO又はPO/EO含有界面活性剤である。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、アニオン性官能基を含有するPO又はEO又はPO/EO界面活性剤である。更により好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、界面活性剤は、式(I):
2a+1O-PO-EO-SO
[式中、aは、12、15、18、20、22、25、28、30、35、38、40、42又は44であってよく;bは、0、2、5、8、10、12、14、16、18、20、30、40又は50であってよく;そしてdは、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90又は100であってよいが、ただし、b及びdは、同時に0ではあり得ず、そして対イオンは、好ましくはナトリウムカチオン若しくはカリウムカチオンのようなアルカリ金属イオン;又はアンモニウムカチオンであってよい]を有するアニオン性エーテル硫酸塩である。好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、アニオン性エーテル硫酸塩は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0048】
本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、50ppm~1000ppm、好ましくは100ppm~900ppm、更に好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは140ppm~250ppmのアニオン性エーテル硫酸塩を含有することができる。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、50~1000ppm、更に好ましくは100ppm~900ppm、更により好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは、140ppm~250ppmのアニオン性エーテル硫酸アルカリ金属塩の界面活性剤を含有する。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、50ppm~1000ppm、好ましくは100ppm~900ppm、更に好ましくは120ppm~600ppm、更になお好ましくは、140ppm~250ppmのラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する。
【0049】
任意選択的に、研磨組成物は殺生物剤を含有することができ、該殺生物剤としては、それぞれThe Dow Chemical Companyによって製造される、KORDEX(商標)MLX(9.5~9.9% メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、89.1~89.5%水及び≦1.0%関連反応生成物)、又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンという活性成分を含有するKATHON(商標)ICP IIIを例示できる〔KATHON(商標)及びKORDEX(商標)はThe Dow Chemical Companyの商標である〕。このような殺生物剤は、本発明の化学機械研磨組成物に当業者には公知の従来量で含まれ得る。
【0050】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、アゾール化合物を除外する。このようなアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、トリルトリアゾール及びイミダゾールを含むが、これらに限定されない。
【0051】
好ましくは、提供される基板は、タングステン及びTEOSのような誘電体を含む、半導体基板である。
【0052】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨パッドは、当技術分野において公知の任意の適切な研磨パッドであってよい。当業者であれば、本発明の方法において使用するための適切な化学機械研磨パッドを選択することを知っている。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨パッドは、織物及び不織研磨パッドから選択される。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨パッドは、ポリウレタン研磨層を含む。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨パッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む。好ましくは、提供される化学機械研磨パッドは、研磨表面上に少なくとも1つの溝を有する。
【0053】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、化学機械研磨パッドと基板の界面又はその近傍に提供される化学機械研磨パッドの研磨表面上に分注される。
【0054】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、動的接触は、提供される化学機械研磨パッドと基板の界面で、研磨される基板の表面に垂直な0.69~34.5kPaのダウンフォースにより作り出される。
【0055】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、タングステン除去速度≧1,000Å/分;好ましくは≧1,500Å/分;更に好ましくは≧1,700Å/分を有する。更に好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、提供される化学機械研磨組成物は、タングステン除去速度≧1,000Å/分;好ましくは≧1,500Å/分;更に好ましくは≧1,700Å/分;及びW/TEOS選択比≧12を有する。更になお好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、タングステンは、タングステン除去速度≧1,000Å/分;好ましくは≧1,500Å/分;更に好ましくは≧1,700Å/分;及びW/TEOS選択比12.5~22で基板から除去される。最も好ましくは、本発明の基板を研磨する方法において、タングステンは、タングステン除去速度≧1,500Å/分;好ましくは≧1,700Å/分;及びW/TEOS選択比12.8~21.5で基板から除去されるが、このとき200mm研磨機上で、プラテン速度80回転/分、キャリア速度81回転/分、化学機械研磨組成物流量125mL/分、公称ダウンフォース21.4kgであり;そしてここで、化学機械研磨パッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む。
【0056】
以下の実施例は、タングステンにおける本発明の化学機械研磨組成物の腐蝕抑制性能、ディッシング及び浸蝕の同時抑制、並びに本発明の1つ以上の実施態様のW/TEOS選択比を説明することを目的としているが、以下の実施例は、発明の範囲を限定するものではない。
【0057】
[実施例1]
スラリー配合物
本実施例の化学機械研磨組成物は、表1に記載された量の成分をDI水である残りと合わせ、そして45重量%水酸化カリウムを用いて組成物のpHを表1に記載された最終pHに調整することによって調製された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
[実施例2]
オレイルアミンエトキシレートCMPスラリーの腐蝕速度抑制性能
腐蝕試験は、W膜付きウェーハ(1cm×4cm)を15gのスラリー試料に浸漬することによって実施された。Wウェーハは、10分後に試験スラリーから除去された。続いて、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP-OESで分析して、重量によるタングステンの量を決定した。腐蝕速度(Å/分)は、エッチングウェーハの表面積が4cmであると仮定して、W質量から変換された。腐蝕試験の結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
腐蝕速度試験の結果は、3、5、10及び15のエトキシル化数(m+n)を有するオレイルアミンエトキシレートを含有する化学機械研磨スラリーが、オレイルアミンエトキシレートを除外した対照とは大いに異なって、ウェーハ上のWの腐蝕を有意に減少させることを示した。
【0063】
[実施例3]
スラリー配合物
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
[実施例4]
ココアミンエトキシレート20及びステアリルアミンエトキシレート20 CMPスラリーの腐蝕速度抑制性能
腐蝕試験は、W膜付きウェーハ(1cm×4cm)を15gのスラリー試料に浸漬することによって実施された。Wウェーハは、10分後に試験スラリーから除去された。続いて、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP-OESで分析して、重量によるタングステンの量を決定した。腐蝕速度(Å/分)は、エッチングウェーハの表面積が4cmであると仮定して、W質量から変換された。腐蝕試験の結果を表6に示す。
【0067】
【表6】
【0068】
腐蝕速度試験の結果は、20のエトキシル化数(m+n)を有する、ココアミンエトキシレート又はステアリルアミンエトキシレートのいずれかを含有する化学機械研磨スラリーが、エトキシレートを除外した対照とは大いに異なって、ウェーハ上のWの腐蝕を有意に減少させることを示した。
【0069】
[実施例5]
化学機械研磨-脂肪族アミンエトキシレートCMPスラリーのディッシング及び腐蝕性能
研磨実験は、Applied Materialsの200mm MIRRA(登録商標)研磨機に取り付けられた200mm膜付きウェーハで行われた。研磨除去速度実験は、Novellsからの200mm膜付き15kÅ厚さのTEOSシートウェーハ、並びにWaferNet Inc.、Silicon Valley Microelectronics又はSKW Associates, Inc.から入手可能なW、Ti、及びTiN膜付きウェーハで行われた。全ての研磨実験は、SP2310サブパッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販されている)と対になったIC1010(商標)ポリウレタン研磨パッドを、特に断りない限り、典型的なダウン圧力21.4kPa(3.1psi)、化学機械研磨組成物流量125mL/分、テーブル回転速度80rpm及びキャリア回転速度81rpmで使用して行われた。Kinik PDA33A-3ダイヤモンドパッドコンディショナー(Kinik Companyから市販されている)を使用して研磨パッドを下準備(dress)した。80rpm(プラテン)/36rpm(コンディショナー)で9.0lb(4.1kg)で15分間及び7.0lb(3.2kg)で15分間のダウンフォースを用いて、コンディショナーで研磨パッドをブレークイン調整した。7lb(3.2kg)で24秒間のダウンフォースを用いて、研磨する前に研磨パッドを本来の位置を離れて(ex-situ)更にコンディショニング調整した。Wディッシング速度は、KLA-Tencor RS100C計測ツールを用いて決定された。ウェーハには、表7に示されるとおり様々な標準線幅形体があった。
【0070】
【表7】
【0071】
全体として、オレイルアミンエトキシレート(3 EO)、ステアリルアミンエトキシレート(20 EO)及びココアミンエトキシレート(20 EO)を含む本発明の化学機械研磨スラリーは、対照よりもディッシング及び浸蝕が改善された。
【0072】
[実施例8]
W、TEOS除去速度及びW、TEOS最大研磨温度
W及びTEOS除去速度に関する研磨実験は、同じ装置及びパラメータを使用して、実質的に実施例5に記載されているとおり実施された。TEOS除去速度は、KLA-Tencor FX200計測ツールを使用する研磨の前後に膜厚を測定することにより決定された。W除去速度は、KLA-Tencor RS100C計測ツールを使用して決定された。ウェーハは、WaferNet Inc.又はSilicon Valley Microelectronics製であった。結果を表8に示す。
【0073】
【表8】
【0074】
オレイルアミンエトキシレート(3 EO)、ステアリルアミンエトキシレート(20 EO)及びココアミンエトキシレート(20 EO)を含む本発明の化学機械研磨スラリーは、1700Å/分を超える良好なW RR、80Å/分を超えるTEOS RR及び12~22の良好なW/TEOS選択比を示した。
【0075】
[実施例9]
スラリー配合物
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
[実施例10]
オレイルアミンエトキシレート3、ココアミンエトキシレート20及びステアリルアミンエトキシレート20 CMPスラリーの腐蝕速度抑制性能
腐蝕試験は、W膜付きウェーハ(1cm×4cm)を15gのスラリー試料に浸漬することによって実施された。Wウェーハは、10分後に試験スラリーから除去された。続いて、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離して、スラリー粒子を除去した。上清をICP-OESで分析して、重量によるタングステンの量を決定した。腐蝕速度(Å/分)は、エッチングウェーハの表面積が4cmであると仮定して、W質量から変換された。腐蝕試験の結果を表11に示す。
【0079】
【表11】
【0080】
腐蝕速度試験の結果は、3のエトキシル化数(m+n)を有するオレイルアミンエトキシレート並びに20のエトキシル化数(m+n)を有するココアミンエトキシレート及びステアリルアミンエトキシレートを含有する化学機械研磨スラリーが、エトキシレート除外品とは対照的に、ウェーハ上のWの腐蝕を有意に減少させることを示した。
【0081】
[実施例11]
化学機械研磨-脂肪族アミンエトキシレートCMPスラリーのディッシング性能
本実施例の化学機械研磨設定は以下のとおりとした:
ツール:Titan SP Headを有するAMAT Mirra。
スラリー:PS-15、PS-16、PS-18、PS-19、PS-20、PS-21及びPS-23。
パッド:SP2310サブパッドを有するIC1000、1010溝。
ディスク:Kinik PDA33A-3(AD3CI-171040-3)。
レシピ:
パッドブレークイン調整:80rpm/36rpm、9.0lbf CDF-15分+7.0lbf CDF-15分。
研磨:80rpm/81rpm、3.1psi、60秒間、125ml/分。
コンディショニング調整:ex-situ:80rpm/36rpm、7.5lbf CDF、24秒間。
方法/研磨手順:
パッドブレークイン調整 30分間。
【0082】
【表12】
【0083】
オレイルアミンエトキシレート(3 EO)、ステアリルアミンエトキシレート(20 EO)及びココアミンエトキシレート(20 EO)を含む本発明の化学機械研磨スラリーは、対照よりもディッシング性能が改善された。