(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】片側主導による圧接のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/04 20060101AFI20240903BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20240903BHJP
B64F 5/10 20170101ALI20240903BHJP
【FI】
B23P19/04 F
B23P19/04 E
B23P21/00 303Z
B23P19/04 H
B64F5/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019221216
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ハリンダー エス. オベロイ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン マリオン バリック
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ユアンシン フ
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-019098(JP,A)
【文献】特開2017-205802(JP,A)
【文献】特開2001-269823(JP,A)
【文献】特開2013-035118(JP,A)
【文献】特公昭48-010754(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0115894(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0203189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00 - 21/00
B64F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)及び第2パーツ(310)の圧接体(341)の第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)における第1孔(343)及び前記第2パーツ(310)における第2孔(345)によって形成されたファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を形成すること(1902)を含み、
前記吸引中、第1機械力(342)は、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)によって加えられ、第2機械力(344)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)における第2ツール(336)によって加えられ、
吸引(1902)は、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップすることにより、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含み、
前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立される、方法。
【請求項2】
圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)及び第2パーツ(310)の圧接体(341)の第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)における第1孔(343)及び前記第2パーツ(310)における第2孔(345)によって形成されたファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を形成すること(1902)を含み、
前記吸引中、第1機械力(342)は、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)によって加えられ、第2機械力(344)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)における第2ツール(336)によって加えられ、
少なくとも、前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における前記第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立されるまで、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が加えられる、方法。
【請求項3】
前記力の静的均衡が確立された後、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去すること(1904)をさらに含み、前記吸引力(802)及び前記反力(804)により、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を用いることなく前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)が維持される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を維持しつつ、前記ファスナ孔(346)にファスナ(348)を挿入すること(1906)をさらに含み、吸引は、少なくとも前記ファスナ(348)が完全に取り付けられるまで実行される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1902)は、
前記圧接体(341)の第2サイド(312)に形成された前記第2孔(345)の開口端における吸引損失量を補いつつ前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップするのに十分な体積流量で、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して前記第1パーツ(308)へ向かう方向に空気を吸引することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記吸引(1902)により生成された吸引力(802)は、ファスナ(348)が、前記圧接体(341)の第2サイド(312)から前記ファスナ孔(346)に挿入される間及び挿入後に前記圧接体(341)を維持するのに十分なものである、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1パーツ(308)における第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における第2孔(345)とを位置合わせして、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含み、
前記吸引(1902)は、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持すること(1804)を含む、請求項5又は6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)における第1孔(343)を介しての吸引により、第2パーツ(310)における第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップして、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含み、
前記第1パーツ(308)に対して第1機械力(342)を加えるとともに、前記第2パーツ(310)に対して第2機械力(344)を加えることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との圧接体(341)を形成する(2002)こと、をさらに含み、前記第1パーツ(308)は、前記圧接体(341)の第1サイド(311)を形成し、前記第2パーツ(310)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)を形成する、方法。
【請求項9】
前記
吸引は、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)の前記壁(347)に作用する圧力差を形成して、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記
吸引は、前記第1パーツ(308)に対して配置された吸引装置(330)によって、前記第1孔(343)及び前記第2孔(345)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)を介しての波及作用により前記壁(347)をグリップする前に、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)をさらに含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)に配置された穿孔ツール(338)を用いて前記圧接体(341)に穿孔して、前記第2パーツ(310)に前記第2孔(345)を形成し、前記第1パーツ(308)に前記第1孔(343)を形成すること(1604)をさらに含む、請求項8~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記
吸引により前記第2孔(345)の前記壁(347)がグリップされた後に、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去することをさらに含み、前記壁(347)のグリップにより、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が除去された後に前記圧接体(341)が維持される、請求項8~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第1パーツ(308)及び前記第2パーツ(310)は、パネル接合部(400)を形成するスキンパネルである、請求項8~13のいずれかのいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、パーツの組み立てに関し、より具体的には、吸引力を用いて、パーツの片側主導による圧接体の形成、パーツの片側主導による圧接体の維持、或いは、この両方を行うための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の組み立てにおけるいくつかの工程を自動化することにより、組立精度を向上させ、組立効率を向上させ、さらに、全体の組立作業量を軽減することができる。例えば、2つのパーツの接合に関するいくつかの作業を自動化することができる。これらの作業は、2つのパーツの圧接、2つのパーツの穿孔、穿孔穴の検査、及び、穿孔穴へのファスナの挿入を含みうる。
【0003】
現在のところ、いくつかのファスナ取付工程は、多機能エンドエフェクタを有するロボットにより自動化されている。多機能エンドエフェクタは、例えば、圧接、穿孔、検査、及び、ファスナ挿入などの、ファスナの取り付けに関連する様々な作業を実行するために協働する複数の可動部を有するマシンであってもよい。これらの作業のうちの1つ又は複数においては、複数のパーツにファスナを取り付けるために、これらのパーツを定位置でまとめて保持(例えば、圧接)しなければならない。パーツの圧接状態を維持するための既存のシステムは、特定の種類の取付工程を実行するには複雑で非効率なため好ましくないものも存在する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態においては、ファスナを取り付けるための方法が提供される。第1パーツに対して第1機械力が加えられるとともに、第2パーツに対して第2機械力が加えられて、第1パーツと第2パーツとの圧接体が形成される。第1パーツにおける第1孔、及び、これに位置合わせされた第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介して空気が吸引され、第1パーツへ向かって第2パーツが引き付けられ、これによって、第1パーツと第2パーツとの圧接体が維持される。
【0005】
さらに他の実施形態においては、第1パネルにおける第1孔と、第2パネルにおける第2孔とを位置合わせして、貫通孔を形成するための方法が提供される。第2孔を画定する壁が貫通孔内からグリップされて、第1パネルへ向かって第2パネルが引き付けられ、これによって、第1パネルと第2パネルとの圧接体が形成される。
【0006】
他の例示的な実施形態においては、圧接体を維持するための方法が提供される。第1パーツ及び第2パーツに対してそれぞれ第1機械力及び第2機械力が加えられて、圧接体が形成される。第1パーツは、圧接体の第1サイドを形成し、第2パーツは、圧接体の第2サイドを形成している。圧接体の第1サイドから、第1パーツ及び第2パーツを貫通するファスナ孔を介して空気が吸引され、第1パーツへ向かって第2パーツが引き付けられる。第1機械力及び第2機械力を除去した後であっても吸引により独立して圧接体が維持されるように、吸引を継続しつつ、第1機械力及び第2機械力が同時に除去される。
【0007】
上述した特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態によって個別に達成することができ、また、さらに他の実施形態と組み合わせることも可能である。そのさらなる詳細は、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになるものである。
【0008】
本開示は以下の付記も含む。
【0009】
付記1.ファスナを取り付けるための方法であって、
第1パーツ(308)に対して第1機械力(342)を加えるとともに、第2パーツ(310)に対して第2機械力(344)を加えることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との圧接体(341)を形成し、その際、前記第1パーツ(308)は、前記圧接体(341)の第1サイド(311)を形成し、前記第2パーツ(310)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)を形成し(1602)、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)及び前記第2パーツ(310)を貫通するファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持する(1606)、方法。
【0010】
付記2.前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が除去された後であっても前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)が維持されるように、前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を継続しつつ、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去すること(1608)をさらに含む、付記1に記載の方法。
【0011】
付記3.前記第1パーツ(308)における第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における第2孔(345)とを位置合わせすることにより、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含む、付記1に記載の方法。
【0012】
付記4.位置合わせは、前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とが同心状に並ぶように前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)を含む、付記3に記載の方法。
【0013】
付記5.位置合わせは、前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とが同軸上に並ぶように前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)を含む、付記3に記載の方法。
【0014】
付記6.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップすることにより、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、付記3に記載の方法。
【0015】
付記7.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)における吸引損失量を補いつつ前記第2孔(345)を画定する壁(347)のグリップを維持するのに十分な体積流量で、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して前記第1パーツ(308)へ向かう方向に空気を吸引することをさらに含む、付記3に記載の方法。
【0016】
付記8.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)における吸引損失に関わらず、前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップするのに十分な強さの部分真空を維持することにより、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、付記3に記載の方法。
【0017】
付記9.前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)をそれぞれ用いて、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を形成した後、前記第2サイド(312)に配置された穿孔ツール(338)により、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1604)をさらに含み、前記ファスナ孔(346)は、前記第1パーツ(308)における第1孔(343)、及び、前記第2パーツ(310)における第2孔(345)により形成されている、付記1に記載の方法。
【0018】
付記10.前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を継続しつつ、前記ファスナ孔(346)にファスナ(348)を挿入することにより、前記ファスナ(348)の挿入中、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持すること(1610)をさらに含む、付記9に記載の方法。
【0019】
付記11.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記ファスナ孔(346)の穿孔作業の少なくとも一部において、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引することを含む、付記9に記載の方法。
【0020】
付記12.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記ファスナ孔(346)が形成された後、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引することを含む、付記9に記載の方法。
【0021】
付記13.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記第2機械力(344)を用いる必要なく、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を相互に維持するのに十分な体積流量で、前記ファスナ孔(346)から空気を吸引することを含む、付記1に記載の方法。
【0022】
付記14.前記第1パーツ(308)に対して前記第1機械力(342)を加えるとともに、前記第2パーツ(310)に対して前記第2機械力(344)を加えること(1602)は、
第1エンドエフェクタ(324)に接続された第1ツール(332)を用いて、前記第1パーツ(308)に対して前記第1機械力(342)を加えることと、
第2エンドエフェクタ(326)に接続された第2ツール(336)を用いて、前記第2パーツ(310)に対して前記第2機械力(344)を加えることと、を含み、前記第2機械力(344)は、最初に前記圧接体(341)が形成されるまで前記第1機械力(342)に等しく且つ反対の力である、付記1に記載の方法。
【0023】
付記15.前記第1ツール(332)は、前記第1エンドエフェクタ(324)の吸引装置(330)に接続されたノズル(332)である、付記14に記載の方法。
【0024】
付記16.前記第1パーツ(308)に第1孔(343)を形成するとともに、第2パーツ(310)に第2孔(345)を形成することにより、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1604)をさらに含み、前記第1孔(343)及び前記第2孔(345)は、同軸上又は同心状に位置合わせされており、前記第2機械力(344)は、少なくとも前記ファスナ孔(346)の形成後まで継続して加えられる、付記14に記載の方法。
【0025】
付記17.前記ファスナ孔(346)が形成され、且つ、前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引が開始された後に、前記第2機械力(344)を除去することをさらに含む、付記1に記載の方法。
【0026】
付記18.前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)に対して配置された第1エンドエフェクタ(324)の穿孔ツール(338)を用いて、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1604)をさらに含み、前記ファスナ孔(346)は、前記第1パーツ(308)を貫通する第1孔(343)、及び、前記第2パーツ(310)を貫通する第2孔(345)によって形成された同軸孔である、付記1に記載の方法。
【0027】
付記19.前記圧接体(341)から前記第1エンドエフェクタ(324)を離すことと、
前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)に対して第2エンドエフェクタ(326)を配置することと、
前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との相対的な配置を維持するために前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を継続しつつ、前記第2エンドエフェクタ(326)を用いて、前記ファスナ孔(346)にファスナ(348)を取り付けることと(1610)、をさらに含む、付記18に記載の方法。
【0028】
付記20.前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1606)は、
前記ファスナ孔(346)を介して、且つ、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)において前記第1パーツ(308)に対して配置されたノズル(332)を介して部分真空を引くことにより、前記圧接体(341)を維持することを含む、付記1に記載の方法。
【0029】
付記21.付記1に記載の方法を用いて組み立てられた航空機(314)の部分。
【0030】
付記22.ファスナを取り付けるための方法であって、
第1パネル(402)における第1孔(343)と、第2パネル(404)における第2孔(345)とを位置合わせして、貫通孔を形成することと(1802)、
前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記貫通孔内からグリップして、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付けることにより、前記第1パネル(402)と前記第2パネル(404)との圧接体(341)を形成することと(1804)、を含む、方法。
【0031】
付記23.前記壁(347)をグリップすること(1804)は、
吸引により、前記第2孔(345)の前記壁(347)を前記貫通孔内からグリップして、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付けることにより、前記第1パネル(402)と前記第2パネル(404)との前記圧接体(341)を形成することを含む、付記22に記載の方法。
【0032】
付記24.圧接体(341)を維持するための方法であって、
第1パーツ(308)及び第2パーツ(310)に対してそれぞれ第1機械力(342)及び第2機械力(344)を加えて、前記圧接体(341)を形成し(1702)、その際、前記第1パーツ(308)は、前記圧接体(341)の第1サイド(311)を形成し、前記第2パーツ(310)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)を形成し、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)及び前記第2パーツ(310)を貫通するファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付け(1704)、
前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去した後であっても吸引により独立して前記圧接体(341)が維持されるように、吸引を維持しつつ、第1機械力(342)及び第2機械力(344)を同時に除去する(1706)、方法。
【0033】
付記25.前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を加えること(1702)は、
第1エンドエフェクタ(324)に接続された第1ツール(332)を用いて、前記第1パーツ(308)に対して前記第1機械力(342)を加えることと、
第2エンドエフェクタ(326)に接続された第2ツール(336)を用いて、前記第2パーツ(310)に対して前記第2機械力(344)を加えることと、を含み、
前記第2機械力(344)は、最初に前記圧接体(341)が形成されるまで、前記第1機械力(342)に等しく且つ反対の力である、付記24に記載の方法。
【0034】
付記26.前記吸引(1704)は、前記ファスナ孔(346)のうちの前記第2パーツ(310)に形成された部分の孔壁をグリップするために部分真空を引いて、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、付記24に記載の方法。
【0035】
付記27.圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)及び第2パーツ(310)の圧接体(341)の第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)における第1孔(343)及び前記第2パーツ(310)における第2孔(345)によって形成されたファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を形成すること(1902)を含む、方法。
【0036】
付記28.吸引(1902)は、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップすることにより、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含み、
前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立される、付記27に記載の方法。
【0037】
付記29.前記吸引中、第1機械力(342)は、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)によって加えられ、第2機械力(344)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)における第2ツール(336)によって加えられる、付記28に記載の方法。
【0038】
付記30.少なくとも、前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における前記第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立されるまで、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が加えられる、付記29に記載の方法。
【0039】
付記31.前記力の静的均衡が確立された後、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去すること(1904)をさらに含み、前記吸引力(802)及び前記反力(804)により、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を用いることなく前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)が維持される、付記30に記載の方法。
【0040】
付記32.前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を維持しつつ、前記ファスナ孔(346)にファスナ(348)を挿入すること(1906)をさらに含み、吸引は、少なくとも前記ファスナ(348)が完全に取り付けられるまで実行される、付記27に記載の方法。
【0041】
付記33.前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1902)は、
前記圧接体(341)の第2サイド(312)に形成された前記第2孔(345)の開口端における吸引損失量を補いつつ前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップするのに十分な体積流量で、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して前記第1パーツ(308)へ向かう方向に空気を吸引することを含む、付記27に記載の方法。
【0042】
付記34.前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)とを位置合わせすることにより、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含む、付記27に記載の方法。
【0043】
付記35.位置合わせは、前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とが同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で並ぶように前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)を含む、付記34に記載の方法。
【0044】
付記36.前記吸引(1902)により生成された吸引力(802)は、ファスナ(348)が、前記圧接体(341)の第2サイド(312)から前記ファスナ孔(346)に挿入される間及び挿入後に前記圧接体(341)を維持するのに十分なものである、付記27に記載の方法。
【0045】
付記37.前記第1パーツ(308)における第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における第2孔(345)とを位置合わせして、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含み、
前記吸引(1902)は、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持すること(1804)を含む、付記27に記載の方法。
【0046】
付記38.付記27に記載の方法を用いて組み立てられた航空機(314)の部分。
【0047】
付記39.圧接体(341)を維持するための方法であって、
パネル接合部(400)の第1サイド(311)における第1エンドエフェクタ(324)により、前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)との接触により、第1の力(342)を加え(2102)、
前記パネル接合部(400)の第2サイド(312)における第2エンドエフェクタ(326)により、前記パネル接合部(400)の前記第2サイド(312)との接触により、前記第1の力(342)に等しく且つ反対の第2の力(344)を加えることにより、圧接体(341)を形成し(2104)、
前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)における前記第1エンドエフェクタ(324)により、前記第2エンドエフェクタ(326)が前記第2サイド(312)から離された後においても、前記圧接体(341)を維持する(2106)、方法。
【0048】
付記40.前記圧接体(341)を維持すること(2106)は、
前記パネル接合部(400)にファスナ孔(346)を貫通させることと、
前記ファスナ孔(346)を介して部分真空を引くことと、を含む、付記39に記載の方法。
【0049】
付記41.前記パネル接合部(400)は、2つのスキンパネル(402,404)を含む重ね接合部(400)である、付記39に記載の方法。
【0050】
付記42.前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)における第1孔(343)と、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)における第2孔(345)とを位置合わせして、ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含み、
前記圧接体(341)を維持することは、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付けることにより、前記第1パネル(402)と前記第2パネル(404)との前記圧接体(341)を維持すること(1804)を含む、付記39に記載の方法。
【0051】
付記43.前記圧接体(341)を維持すること(2106)は、
前記パネル接合部(400)の前記第2サイド(312)を形成する、前記パネル接合部(400)の一部に対して吸引力(802)を加えることと、
前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)を形成する、前記パネル接合部(400)の他の部分に対して反力(804)を加えることと、を含み、前記吸引力(802)及び前記反力(804)は力の静的均衡を確立する、付記39に記載の方法。
【0052】
付記44.片側主導による圧接体(341)を形成するための方法であって、
パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置された単一機能エンドエフェクタ(324)により、前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)に対して第1の力(802)を加え(2202)、
前記単一機能エンドエフェクタ(324)により、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)に対して、前記第1の力(802)に等しく且つ反対の第2の力(804)を加えることにより、前記第1パネル(402)と前記第2パネル(804)との前記片側主導による圧接体(341)を形成する(2204)、方法。
【0053】
付記45.前記パネル接合部(400)は、重ね接合部(400)であり、前記第1パネル(402)及び前記第2パネル(404)は、スキンパネルである、付記44に記載の方法。
【0054】
付記46.前記第2の力(804)を加えること(2204)は、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付ける吸引力(802)を加えることを含む、付記44に記載の方法。
【0055】
付記47.前記第1の力(802)を加えること(2202)は、前記第1パネル(402)と接触するツール(332)の表面を介して、前記吸引力(802)に応じた反力(804)を加えることにより、前記片側主導による圧接体(341)を形成することを含む、付記46に記載の方法。
【0056】
付記48.圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)における第1孔(343)を介しての波及作用(2304)により、第2パーツ(310)における第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップして、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、方法。
【0057】
付記49.前記波及作用(2304)は、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)の前記壁(347)に作用する圧力差を形成して、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、付記48に記載の方法。
【0058】
付記50.前記波及作用(2304)は、前記第1パーツ(308)に対して配置された吸引装置(330)によって、前記第1孔(343)及び前記第2孔(345)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、付記48に記載の方法。
【0059】
付記51.前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)を介しての波及作用により前記壁(347)をグリップする前に、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)をさらに含む、付記48に記載の方法。
【0060】
付記52.前記第1パーツ(308)に対して第1機械力(342)を加えるとともに、前記第2パーツ(310)に対して第2機械力(344)を加えることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との圧接体(341)を形成すること(2002)をさらに含み、前記第1パーツ(308)は、前記圧接体(341)の第1サイド(311)を形成し、前記第2パーツ(310)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)を形成する、付記48に記載の方法。
【0061】
付記53.前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)に配置された穿孔ツール(338)を用いて前記圧接体(341)に穿孔して、前記第2パーツ(310)に前記第2孔(345)を形成し、前記第1パーツ(308)に前記第1孔(343)を形成すること(1604)をさらに含む、付記52に記載の方法。
【0062】
付記54.前記波及作用により前記第2孔(345)の前記壁(347)がグリップされた後に、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去することをさらに含み、前記壁(347)のグリップにより、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が除去された後に前記圧接体(341)が維持される、付記53に記載の方法。
【0063】
付記55.前記第1パーツ(308)及び前記第2パーツ(310)は、パネル接合部(400)を形成するスキンパネルである、付記48に記載の方法。
【0064】
付記56.圧接体(341)を維持するための装置であって、
第1パーツ(308)における第1孔(343)の孔径よりも大きいノズル(332)直径を有するとともに、前記第1パーツ(308)と係合したときに前記圧接体(341)の第1サイド(311)に対して第1機械力(342)を加えるために使用されるノズル(332)と、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)、及び、第2パーツ(310)における第2孔(345)によって形成されたファスナ孔(346)を介し、且つ、前記ノズル(332)を介して空気を吸引するための吸引装置(330)と、を含み、前記空気の吸引は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)における追加の力を必要とせずに、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持するのに十分な体積流量で、前記第1サイド(311)から実行される、装置。
【0065】
付記57.前記圧接体(341)の第1サイド(311)へ向かって第1ツール(332)を移動させて、前記第1パーツ(308)に対して力(342)を加えるための延出システムをさらに含む、付記56に記載の装置。
【0066】
付記58.前記第1ツール(332)は、前記ノズル(332)である、付記57に記載の装置。
【0067】
付記59.前記延出システム、前記ノズル(332)、及び、前記吸引装置(330)は、同じエンドエフェクタ(324)の一部である、付記57に記載の装置。
【0068】
付記60.前記圧接体(341)の第1サイド(311)へ向かって第1ツール(332)を移動させて、前記第1パーツ(308)に対して前記第1機械力(342)を加えるための第1延出システムと、
前記圧接体(341)の第2サイド(312)へ向かって第2ツール(336)を移動させて、前記第2パーツ(310)に対して第2機械力(344)を加えるための第2延出システムと、をさらに含み、前記第2機械力(344)は、前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引が開始された後に除去される、付記56に記載の装置。
【0069】
付記61.自動誘導ビークルと、
前記自動誘導ビークルに接続されたエンドエフェクタ(324)と、をさらに含み、前記エンドエフェクタは、前記ノズル(332)と前記吸引装置(330)とを含む、付記56に記載の装置。
【0070】
付記62.付記56に記載の装置を用いて、胴体アセンブリ(313)の前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持するための方法。
【0071】
付記63.圧接体(341)を形成するための装置であって、
パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置されたエンドエフェクタ(324)を含み、当該エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第1パネル(402)に対して第1圧接力(802)を加え、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)に対して等しく且つ反対の第2圧接力(804)を加えて、前記圧接体(341)を形成する、装置。
【0072】
付記64.前記エンドエフェクタ(324)は、前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)との接触を介して前記第1圧接力(802)を加え、前記エンドエフェクタは、前記パネル接合部(400)の第2サイド(312)との接触を介して前記第2圧接力(804)を加える、付記63に記載の装置。
【0073】
付記65.前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)における第1孔(343)が、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)における第2孔(345)と位置合わせされてファスナ孔(346)を形成しており、前記エンドエフェクタ(324)は、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付けることにより、前記圧接体(341)を形成する、付記63に記載の装置。
【0074】
付記66.前記パネル接合部(400)は、スキンパネルを含む重ね接合部(400)である、付記63に記載の装置。
【0075】
付記67.前記エンドエフェクタ(324)は、吸引装置(330)を含み、当該吸引装置は、前記パネル接合部(400)を貫通するファスナ孔(346)を介して部分真空を引くことにより前記第1圧接力を付与する、付記63に記載の装置。
【0076】
付記68.前記エンドエフェクタ(324)は、前記パネル接合部(400)の前記第1パネル(402)に接触して、等しく且つ反対の前記第2圧接力を付与する表面を含む、付記67に記載の装置。
【0077】
付記69.付記63に記載の装置を用いて、胴体アセンブリ(313)のための2つのスキンパネルの前記圧接体(341)を維持するための方法。
【0078】
付記70.圧接体(341)を形成するための装置であって、
第1圧接用エンドエフェクタ(324)と、第2圧接用エンドエフェクタ(326)と、貫通孔掴み装置(332,330)と、を含み、
前記第1圧接用エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置されており、
前記第2圧接用エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第2サイド(312)に配置されており、前記第1圧接用エンドエフェクタ(324)は、前記第2圧接用エンドエフェクタ(326)と通信し、
前記貫通孔掴み装置は、前記第1圧接用エンドエフェクタ(324)に組み込まれている、装置。
【0079】
付記71.前記貫通孔掴み装置は、
孔壁グリップ装置(330)と、
前記孔壁グリップ装置(330)に接続された接触装置(332)と、を含み、前記接触装置(332)は、前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)と接触している、付記70に記載の装置。
【0080】
付記72.前記孔壁グリップ装置(330)は、吸引装置(330)である、付記71に記載の装置。
【0081】
付記73.前記接触装置(332)は、ノズル(332)であって、当該ノズルは、
前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)に接触するための表面と、
前記吸引装置(330)が空気を吸引する通路(334)と、を含む、付記72に記載の装置。
【0082】
付記74.前記貫通孔掴み装置(324)は、
孔壁グリップ装置(330)を含み、当該孔壁グリップ装置は、前記第2圧接用エンドエフェクタ(326)を用いることなく、前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)と第2パネル(404)との片側主導による圧接体(341)を独立して形成する、付記70に記載の装置。
【0083】
付記75.前記貫通孔掴み装置(332,330)は、前記パネル接合部(400)を貫通するファスナ孔(346)を介して部分真空を引く吸引装置(330)を含む、付記70に記載の装置。
【0084】
付記76.付記70に記載の装置を用いて、胴体アセンブリ(313)のための2つのスキンパネル(402,404)の前記圧接体(341)を維持するための方法。
【0085】
本開示は、以下の項も含む。
【0086】
項1.圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)及び第2パーツ(310)の圧接体(341)の第1サイド(311)から、前記第1パーツ(308)における第1孔(343)及び前記第2パーツ(310)における第2孔(345)によって形成されたファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を形成すること(1902)を含む、方法。
【0087】
項2.吸引(1902)は、
前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引して、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップすることにより、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含み、
前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立される、項1に記載の方法。
【0088】
項3.前記吸引中、第1機械力(342)は、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における第1ツール(332)によって加えられ、第2機械力(344)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)における第2ツール(336)によって加えられる、項1又は2に記載の方法。
【0089】
項4.少なくとも、前記吸引により生成される吸引力(802)、及び、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)における前記第1ツール(332)の接触面で生成される反力(804)により力の静的均衡が確立されるまで、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が加えられる、項3に記載の方法。
【0090】
項5.前記力の静的均衡が確立された後、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去すること(1904)をさらに含み、前記吸引力(802)及び前記反力(804)により、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を用いることなく前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)が維持される、項3又は4に記載の方法。
【0091】
項6.前記ファスナ孔(346)を介した空気の吸引を維持しつつ、前記ファスナ孔(346)にファスナ(348)を挿入すること(1906)をさらに含み、吸引は、少なくとも前記ファスナ(348)が完全に取り付けられるまで実行される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0092】
項7.前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して空気を吸引すること(1902)は、
前記圧接体(341)の第2サイド(312)に形成された前記第2孔(345)の開口端における吸引損失量を補いつつ前記第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップするのに十分な体積流量で、前記圧接体(341)の前記第1サイド(311)から、前記ファスナ孔(346)を介して前記第1パーツ(308)へ向かう方向に空気を吸引することを含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0093】
項8.前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)とを位置合わせすることにより、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0094】
項9.位置合わせは、前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とが同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で並ぶように前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)を含む、項8に記載の方法。
【0095】
項10.前記吸引(1902)により生成された吸引力(802)は、ファスナ(348)が、前記圧接体(341)の第2サイド(312)から前記ファスナ孔(346)に挿入される間及び挿入後に前記圧接体(341)を維持するのに十分なものである、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0096】
項11.前記第1パーツ(308)における第1孔(343)と、前記第2パーツ(310)における第2孔(345)とを位置合わせして、前記ファスナ孔(346)を形成すること(1802)をさらに含み、
前記吸引(1902)は、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との前記圧接体(341)を維持すること(1804)を含む、項1~7のいずれかに記載の方法。
【0097】
項12.片側主導による圧接体(341)を形成するための方法であって、
パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置された単一機能エンドエフェクタ(324)により、前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)に対して第1の力(802)を加え(2202)、
前記単一機能エンドエフェクタ(324)により、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)に対して、前記第1の力(802)に等しく且つ反対の第2の力(804)を加えることにより、前記第1パネル(402)と前記第2パネル(804)との前記片側主導による圧接体(341)を形成する(2204)、方法。
【0098】
項13.前記パネル接合部(400)は、重ね接合部(400)であり、前記第1パネル(402)及び前記第2パネル(404)は、スキンパネルである、項12に記載の方法。
【0099】
項14.前記第2の力(804)を加えること(2204)は、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付ける吸引力(802)を加えることを含む、項12又は13に記載の方法。
【0100】
項15.前記第1の力(802)を加えること(2202)は、前記第1パネル(402)と接触するツール(332)の表面を介して、前記吸引力(802)に応じた反力(804)を加えることにより、前記片側主導による圧接体(341)を形成することを含む、項12~14のいずれかに記載の方法。
【0101】
項16.圧接体(341)を形成するための方法であって、
第1パーツ(308)における第1孔(343)を介しての波及作用(2304)により、第2パーツ(310)における第2孔(345)を画定する壁(347)をグリップして、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、方法。
【0102】
項17.前記波及作用(2304)は、前記第2パーツ(310)における前記第2孔(345)の前記壁(347)に作用する圧力差を形成して、前記第1パーツ(308)に対して前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、項16に記載の方法。
【0103】
項18.前記波及作用(2304)は、前記第1パーツ(308)に対して配置された吸引装置(330)によって、前記第1孔(343)及び前記第2孔(345)を介して空気を吸引して、前記第1パーツ(308)へ向かって前記第2パーツ(310)を引き付けることを含む、項16又は17に記載の方法。
【0104】
項19.前記第1パーツ(308)における前記第1孔(343)を介しての波及作用により前記壁(347)をグリップする前に、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で前記第1孔(343)と前記第2孔(345)とを位置合わせすること(2302)をさらに含む、項16~18のいずれかに記載の方法。
【0105】
項20.前記第1パーツ(308)に対して第1機械力(342)を加えるとともに、前記第2パーツ(310)に対して第2機械力(344)を加えることにより、前記第1パーツ(308)と前記第2パーツ(310)との圧接体(341)を形成すること(2002)をさらに含み、前記第1パーツ(308)は、前記圧接体(341)の第1サイド(311)を形成し、前記第2パーツ(310)は、前記圧接体(341)の第2サイド(312)を形成する、項16~19のいずれかに記載の方法。
【0106】
項21.前記圧接体(341)の前記第2サイド(312)に配置された穿孔ツール(338)を用いて前記圧接体(341)に穿孔して、前記第2パーツ(310)に前記第2孔(345)を形成し、前記第1パーツ(308)に前記第1孔(343)を形成すること(1604)をさらに含む、項20に記載の方法。
【0107】
項23.前記波及作用により前記第2孔(345)の前記壁(347)がグリップされた後に、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)を除去することをさらに含み、前記壁(347)のグリップにより、前記第1機械力(342)及び前記第2機械力(344)が除去された後に前記圧接体(341)が維持される、項20又は21に記載の方法。
【0108】
項24.前記第1パーツ(308)及び前記第2パーツ(310)は、パネル接合部(400)を形成するスキンパネルである、項16~23のいずれかに記載の方法。
【0109】
項25.圧接体(341)を形成するための装置であって、
パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置されたエンドエフェクタ(324)を含み、当該エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第1パネル(402)に対して第1圧接力(802)を加え、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)に対して等しく且つ反対の第2圧接力(804)を加えて、前記圧接体(341)を形成する、装置。
【0110】
項26.前記エンドエフェクタ(324)は、前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)との接触を介して前記第1圧接力(802)を加え、前記エンドエフェクタは、前記パネル接合部(400)の第2サイド(312)との接触を介して前記第2圧接力(804)を加える、項25に記載の装置。
【0111】
項27.前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)における第1孔(343)が、前記パネル接合部(400)の第2パネル(404)における第2孔(345)と位置合わせされてファスナ孔(346)を形成しており、前記エンドエフェクタ(324)は、前記第2孔(345)を画定する壁(347)を前記ファスナ孔(346)内からグリップして、前記第1パネル(402)へ向かって前記第2パネル(404)を引き付けることにより、前記圧接体(341)を形成する、項25又は26に記載の装置。
【0112】
項28.前記パネル接合部(400)は、スキンパネルを含む重ね接合部(400)である、項25~27のいずれかに記載の装置。
【0113】
項29.前記エンドエフェクタ(324)は、吸引装置(330)を含み、当該吸引装置は、前記パネル接合部(400)を貫通するファスナ孔(346)を介して部分真空を引くことにより前記第1圧接力を付与する、項25~28のいずれかに記載の装置。
【0114】
項30.前記エンドエフェクタ(324)は、前記パネル接合部(400)の前記第1パネル(402)に接触して、等しく且つ反対の前記第2圧接力を付与する表面を含む、項25~29のいずれかに記載の装置。
【0115】
項31.項25~30のいずれかに記載の装置を用いて、胴体アセンブリ(313)のための2つのスキンパネルの前記圧接体(341)を維持するための方法。
【0116】
項32.圧接体(341)を形成するための装置であって、
第1圧接用エンドエフェクタ(324)と、第2圧接用エンドエフェクタ(326)と、貫通孔掴み装置(332,330)と、を含み、
前記第1圧接用エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第1サイド(311)に配置されており、
前記第2圧接用エンドエフェクタは、パネル接合部(400)の第2サイド(312)に配置されており、前記第1圧接用エンドエフェクタ(324)は、前記第2圧接用エンドエフェクタ(326)と通信し、
前記貫通孔掴み装置は、前記第1圧接用エンドエフェクタ(324)に組み込まれている、装置。
【0117】
項33.前記貫通孔掴み装置は、
孔壁グリップ装置(330)と、
前記孔壁グリップ装置(330)に接続された接触装置(332)と、を含み、前記接触装置(332)は、前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)と接触している、項32に記載の装置。
【0118】
項34.前記孔壁グリップ装置(330)は、吸引装置(330)である、項33に記載の装置。
【0119】
項35.前記接触装置(332)は、ノズル(332)であって、当該ノズルは、
前記パネル接合部(400)の前記第1サイド(311)に接触するための表面と、
前記吸引装置(330)が空気を吸引する通路(334)と、を含む、項33又は34に記載の装置。
【0120】
項36.前記貫通孔掴み装置(324)は、
孔壁グリップ装置(330)を含み、当該孔壁グリップ装置は、前記第2圧接用エンドエフェクタ(326)を用いることなく、前記パネル接合部(400)の第1パネル(402)と第2パネル(404)との片側主導による圧接体(341)を独立して形成する、項32~35のいずれかに記載の装置。
【0121】
項37.前記貫通孔掴み装置(332,330)は、前記パネル接合部(400)を貫通するファスナ孔(346)を介して部分真空を引く吸引装置(330)を含む、項32~36のいずれかに記載の装置。
【0122】
項38.項32~37のいずれかに記載の装置を用いて、胴体アセンブリ(313)のための2つのスキンパネル(402,404)の前記圧接体(341)を維持するための方法。
【図面の簡単な説明】
【0123】
例示的な実施形態に特有のものと考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な実施形態、並びに、好ましい使用形態、さらにその目的及び内容は、添付の図面と共に本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解されるであろう。
【0124】
【
図1】例示的な実施形態による、製造環境100を示す斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態に従って
図1に示す胴体アセンブリが構築されている様子を示す端面図である。
【
図3】例示的な実施形態による、製造環境を示すブロック図である。
【
図4】例示的な実施形態による、アセンブリに対して配置された単一機能エンドエフェクタを有するロボット装置を示す側面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、
図4の重ね接合部に対して配置された
図4のエンドエフェクタを示す拡大側面図である。
【
図6】例示的な実施形態による、
図4の重ね接合部に力を加える
図4のエンドエフェクタを示す側面図である。
【
図7】例示的な実施形態による、穿孔作業を示す側面図である。
【
図8】例示的な実施形態による、吸引作業を示す側面図である。
【
図9】例示的な実施形態による、
図8のパーツを示す拡大断面側面図である。
【
図10】例示的な実施形態による、片側主導の圧接体を示す拡大側面図である。
【
図11】例示的な実施形態による、
図10の片側主導の圧接体を示す別の側面図である。
【
図12】例示的な実施形態による、
図11の重ね接合部の第2サイドに対して配置されたエンドエフェクタを示す斜視図である。
【
図13】例示的な実施形態による、ファスナ孔(
図11に示す)にファスナ(
図11及び12に示す)を挿入するために用いられるファスナ挿入ツールを示す側面図である。
【
図14】例示的な実施形態による、重ね接合部に取り付けられたファスナを示す断面図である。
【
図15】例示的な実施形態による、ファスナ取付作業が完了した様子を示す図である。
【
図16】例示的な実施形態による、ファスナの取り付けを行うための方法を示すフローチャートである。
【
図17】例示的な実施形態による、圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図18】例示的な実施形態による、圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図19】例示的な実施形態による、片側主導による圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図20】例示的な実施形態による、片側主導による圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図21】例示的な実施形態による、片側主導による圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図22】例示的な実施形態による、片側主導による圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
【
図23】例示的な実施形態による、圧接体を形成するための処理を示すフローチャートである。
【
図24】例示的な実施形態による、データ処理システムを示すブロック図である。
【
図25】例示的な実施形態による、航空機の製造及び保守方法を示す図である。
【
図26】例示的な実施形態による、航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0125】
以下に示す例示的な実施形態においては、パーツを接合する際の効率及び容易性を向上させるための方法及び装置が提供される。例えば、以下に示す方法及び装置は、パーツを接合するためにファスナを挿入する際の効率を向上させるとともに、その複雑性を軽減することができる。例示的な実施形態においては、複数の単一機能エンドエフェクタにより、ファスナ取付作業における様々な処理(例えば、穿孔、検査、ファスナ挿入)を分離できることが認識及び考慮されている。異なる処理に対して異なる単一機能エンドエフェクタを用いることにより、これらのエンドエフェクタを、多機能エンドエフェクタと比較して小型化、軽量化、及び、単純化することができる。
【0126】
単一機能エンドエフェクタの単純性により、ファスナ取付作業を自動化するためのエンドエフェクタの使用における全体的な効率及び信頼性を向上させることができる。さらに、単一機能エンドエフェクタの単純性により、必要なメンテナンスの量、支援ロボット及び関連する構造体の全体的な寸法、又は、これら両方を低減することができる。
【0127】
具体的には、例示的な実施形態においては、様々な処理を実行するために単一機能エンドエフェクタを取り換える間、ファスナを挿入するアセンブリのパーツをまとめて(すなわち、一緒に圧接して)定位置で保持する必要があることが認識及び考慮されている。例示的な実施形態においては、アセンブリの片側からこれらのパーツをまとめて保持することにより当該アセンブリの他方側において単一機能エンドエフェクタの取り換えを可能にするための方法及び装置が提供される。
【0128】
ある例示的な実施形態においては、ファスナの取り付けを自動化するための方法が提供される。第1パーツに対して第1機械力が加えられるとともに、第2パーツに対して第2機械力が加えられて、第1パーツと第2パーツとの圧接体が形成される。第1パーツにおける第1孔、及び、これに位置合わせされた第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介して空気が吸引され、第1パーツへ向かって第2パーツが引き付けられ、これによって、第2機械力が除去された後であっても第1パーツと第2パーツとの圧接体が維持される。
【0129】
他の実施形態においては、第1パネルにおける第1孔と、第2パネルにおける第2孔とを位置合わせして、貫通孔を形成するための方法が提供される。第2孔を画定する壁が貫通孔内からグリップされて、第1パネルへ向かって第2パネルが引き付けられ、これによって、第1パネルと第2パネルとの圧接体が形成される。
【0130】
さらに他の例示的な実施形態においては、単一機能エンドエフェクタを用いて圧接体を維持するための方法が提供される。単一機能エンドエフェクタがパネル接合部の片側に配置され、パネル接合部の第1パネルに第1の力を加えるとともに、パネル接合部の第2パネルに第2の力を加えて、圧接体を維持する。第1の力は、例えば、吸引力であってもよく、第2の力は、例えば、吸引力に応答して発生する反力であってもよい。このようにして、片側主導の圧接体が形成される。
【0131】
したがって、例示的な実施形態においては、第1パネルと第2パネルとの圧接体の形成、圧接体の維持、又は、その両方を実現するための方法及びシステムが提供される。これらの方法及びシステムは、第1パネルにおける孔内から、第2パネルにおける孔を画定する壁をグリップして、第1パネルへ向かって第2パネルを引き付けることを含む。第1孔及び第2孔は、第1パネル及び第2パネルを貫通する貫通孔を形成している。
【0132】
このグリップは、例えば、ファスナ孔(例えば、貫通孔)を介して、第2パネルから第1パネルへ向かう方向に部分真空を引く(例えば、吸引する)ことにより、実行される。このグリップ力は、第1パネルと接触して配置された単一機能エンドエフェクタによって生成される反対の力(例えば、反力)と組み合わされる。このようにして、片側主導による圧接体が形成される。この圧接体は、第1パネル側から形成されるため、第2パネル側において、ツールや装置を移動させることが可能であり、任意の処理を行うための空間を提供することができる。
【0133】
場合によっては、第1パネルと第2パネルとの間に1つ以上のパネルを配置してもよい。ファスナ孔は、第1パネル、第2パネル、及び、第1パネルと第2パネルとの間の任意の数のパネルを貫通している。他の場合においては、第1パネル及び第2パネルのうちの一方又は両方の接合面にシーラントが塗布されている。
【0134】
ここで図面を参照すると、
図1には、例示的な実施形態による製造環境100が斜視図で示されている。製造環境100においては、胴体アセンブリ102が構築される。この例においては、胴体アセンブリ102に対して複数の組立システム104が配置されている。
【0135】
組立システム106は、複数の組立システム104のうちの1つの例である。組立システム106は、胴体アセンブリ102の外側110に対して配置されたロボット装置108と、胴体アセンブリ102の内側114に対して配置されたロボット装置112とを含む。ロボット装置108及びロボット装置112は協働して、胴体アセンブリ102を構築するためのファスナ取付作業を行う。
【0136】
図2は、例示的な実施形態に従って胴体アセンブリ102が構築されている様子を示す端面図である。図示のように、ロボット装置108は、プラットフォーム200に支持されており、ロボット装置112は、プラットフォーム202に支持されている。ロボット装置108及びロボット装置112は、協働して、胴体アセンブリ102を構築するために胴体パネルを接合するファスナを取り付ける。
【0137】
この例においては、ロボット装置108は、穿孔、検査、及びファスナを挿入する作業を行うためのエンドエフェクタに接続される。これらのエンドエフェクタは、単一機能エンドエフェクタであって、個々の作業を行うために、例えば、ファスナ取付位置113に対して移動することにより取り替えが可能である。単一機能エンドエフェクタは、各ファスナ取付位置のロボット装置毎に単一の機能を実行するために使用されるエンドエフェクタである。場合によっては、ロボット装置108は、特定の作業のためのエンドエフェクタをファスナ取付位置113に対して位置決めするために、プラットフォーム200上で移動する。また、場合によっては、ロボット装置108は、プラットフォーム200上で静止した状態を維持する。ただし、この場合、これらのロボット装置は、ある作業に適したエンドエフェクタをファスナ取付位置113に対して位置決めするために、自身のエンドエフェクタを動かすのに使用される。
【0138】
各ロボット装置112は、ロボット装置108に接続された単一機能エンドエフェクタの取り替え中、胴体アセンブリ102の内側から複数の胴体パネルを一緒に保持するためのエンドエフェクタに接続されている。例えば、複数のロボット装置108のうちの1つの装置のエンドエフェクタが、指定された作業を実行するために使用されると、その後、当該エンドエフェクタは、異なるエンドエフェクタのためのスペースを作るために、ファスナ取付位置113から移動する。複数のロボット装置112のうちの1つに接続されたエンドエフェクタは、胴体アセンブリ102の内側のみから胴体パネルの圧接体を維持するために使用される。一方で、胴体アセンブリ102の外側において、複数のエンドエフェクタが取り替えられる。
【0139】
図3には、例示的な実施形態による、製造環境300のブロック図が示されている。
図1に示す製造環境100は、製造環境300の一実施例である。製造環境300においては、組立システム302を用いてアセンブリ304が構築される。
【0140】
アセンブリ304は、パーツ308とパーツ310とを含む。パーツ308及びパーツ310は、互いに接合して、アセンブリ304における接合部(図示略)を形成している。パーツ308のサイド311は、接合部の第1サイドを形成しており、パーツ310とは反対側を向いている。パーツ310のサイド312は、接合部の第2サイドを形成しており、パーツ308とは反対側を向いている。
【0141】
これらの例示的な実施形態においては、アセンブリ304は2つのパーツのみを有するものとして説明されているが、他の場合においては、アセンブリ304は、3つ以上のパーツを含んでもよい。一例においては、アセンブリ304は、航空機314の胴体アセンブリ313の形態をとる。一例においては、パーツ308及びパーツ310は、胴体パネルの形態をとる。他の例においては、パーツ308及びパーツ310は、翼パネルなどの他の種類の航空機用パーツの形態をとる。パーツ308及びパーツ310がパネルの形態をとる場合、これらのパネルは1つのパネル接合部を形成する。
【0142】
図1に示す組立システム106は、組立システム302の一実施例である。組立システム302は、制御システム315と、複数のロボット装置316とを含む。制御システム315は、ロボット装置316の動作を制御する。制御システム315は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又は、これらの組合せにより実現される。
【0143】
ソフトウェアを用いる場合、制御システム315が実行する動作は、例えば限定するものではないが、プロセッサユニットで動作するように構成されたプログラムコードを用いて実現可能である。ファームウェアを用いる場合、制御システム315が実行する動作は、例えば限定するものではないが、永続性メモリに格納され、プロセッサユニットで実行されるプログラムコード及びデータを用いて実現可能である。
【0144】
ハードウェアを用いる場合、制御システム315の機能を実行するように動作する1つ以上の複数の回路を含むハードウェアを用いることができる。実施態様によっては、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、又は、1つ以上の動作を実行するように構成された適切な種類のその他のハードウェアの形態をとりうる。プログラマブルロジックデバイスは、特定の動作を実行するように構成可能である。このデバイスは、これらの動作を実行するよう永続的に構築されたものでもよいし、再構成可能なものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば限定するものではないが、プログラマブルロジックアレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は、その他の種類のプログラム可能なハードウェアデバイスの形態をとりうる。
【0145】
これらの例においては、制御システム315は、コンピュータシステムを用いて実現することができる。コンピュータシステムは、1つのコンピュータ、又は、互いに通信する複数のコンピュータを含みうる。
【0146】
複数のロボット装置316は、例えば限定するものではないが、ロボット装置318と、ロボット装置320と、ロボット装置322とを含む。ロボット装置318、ロボット装置320、及び、ロボット装置322は、それぞれ、エンドエフェクタ324、エンドエフェクタ326、及び、エンドエフェクタ328に接続されている。これらのエンドエフェクタの各々は、単一機能エンドエフェクタとみなすことができる。いくつかの例においては、エンドエフェクタ324、エンドエフェクタ326、及び、エンドエフェクタ328は、それぞれ、ロボット装置318の一部、ロボット装置320の一部、及び、ロボット装置322の一部であるとみなすことができる。他の例においては、エンドエフェクタ324、エンドエフェクタ326、及び、エンドエフェクタ328は、ロボット装置318、ロボット装置320、及び、ロボット装置322とは別個であるが、これらに対して着脱可能であるとみなすことができる。
【0147】
ある例示的な実施形態においては、エンドエフェクタ324は、吸引装置330と、当該吸引装置330に接続されたノズル332などのツールとを含む。ノズル332は、吸引装置330に直接的又は間接的に接続されている。これらの例においては、ノズル332は、当該ノズル332を貫通する通路334を有する長状部材であってもよい。吸引装置330は、十分なパワーでノズル332内の通路334に空気を吸い込む吸引力を生成する。
【0148】
エンドエフェクタ326は、ツール336と、穿孔ツール338とを含む。いくつかの例においては、ツール336は、穿孔ツール338を囲む円筒部材である。エンドエフェクタ328は、ファスナ挿入ツール340を含む。
【0149】
ファスナの取り付けを行うために、エンドエフェクタ324及びエンドエフェクタ326は、アセンブリ304の両側に配置されている。これらのエンドエフェクタを使用して、相互に等しく且つ反対の力(例えば、パーツ308及びパーツ310のそれぞれに対する第1の力342及び第2の力344)を加えることにより、圧接体(clamp-up)341が形成される。具体的には、エンドエフェクタ324及びエンドエフェクタ326を操作して、パーツ308のサイド311及びパーツ310のサイド312に対して相互に等しく且つ反対の力を加えることにより、圧接体341が形成される。
【0150】
例えば、ノズル332を用いてパーツ308のサイド311に対して第1の力342を加えるために、ロボット装置318又はエンドエフェクタ324のうちの少なくとも一方が操作される。第1の力342は、第1機械力であり、場合によっては圧接力とも呼ばれる。いくつかの場合においては、エンドエフェクタ324は、パーツ308に対して第1の力342を加えるために、サイド311へ向かってノズル332を移動させるための延出システムを含む。さらに、ツール336を用いてアセンブリ304の他方のサイドに対して第2の力344を加えるために、ロボット装置320又はエンドエフェクタ326のうちの少なくとも一方を操作してもよい。第2の力344は、第2機械力であり、場合によっては圧接力とも呼ばれる。いくつかの場合においては、エンドエフェクタ326は、パーツ310に対して第2の力344を加えるために、サイド312へ向かってツール336を移動させるための延出システムを含む。
【0151】
一例においては、ノズル332及びツール336は、それぞれ、パーツ308に対して第1の力342を加え、パーツ310に対して第2の力344を加えるために、パーツ308及びパーツ310へ向かって同時に延出されてこれらのパーツに押し付けられる。ノズル332及びツール336は、第1の力342と第2の力344との間に所望の力の静的平衡が確立するまで、パーツ308及びパーツ310に押し付けられる。すなわち、ノズル332及びツール336は、互いに等しく且つ反対の力である第1の力342及び第2の力344が、パーツ308とパーツ310との圧接体341を実現するのに十分な力に到達するまで、パーツ308及びパーツ310に対して押し付けられる。
【0152】
圧接体341が形成されると、ノズル332及びツール336は、基準座標系に対して固定位置に保持される。したがって、圧接体341は、基準座標系に対するノズル332及びツール336の配置により生じる力の静的均衡によって、基準座標系に対して固定位置に維持される。
【0153】
いくつかの例においては、圧接体341は、パーツ308及びパーツ310を含み、これらのパーツの接合面にはそれぞれシーラントが塗布されている。すなわち、圧接体は、これらのパーツを一体的に封止するシーラントを含みうる。パーツ308とパーツ310とのこの種の圧接体341は、「ワンランク上の(one-up)」アセンブリに使用することができる。
【0154】
いくつかの例においては、穿孔ツール338を使用して、パーツ308を通る孔343、及び、パーツ310を通る孔345を形成し、その際、吸引力349によりこれらのパーツの圧接体341を維持する。穿孔ツール338は、孔343及び孔345の両方の形成をサイド312から行うように、サイド312に配置される。このようにすると、孔343よりも先に孔345が形成される。1つ以上の例においては、穿孔ツール338は、穿孔中に形成されるパーツの切削片や切削屑を除去し易くするために、吸引装置や他の清掃装置を含む。
【0155】
穿孔中にこれらのパーツの圧接体341を維持することにより、ファスナ孔346を形成するために、穿孔中及び穿孔後において孔343と孔345とを確実に位置合わせすることができる。さらに、穿孔中にこれらのパーツの圧接体341を維持することにより、パーツ308とパーツ310との間のシーラント(図示略)の圧接体を維持すること、パーツ308とパーツ310との間の隙間を防ぐこと、穿孔による切削粉、切削片、又は切削屑が、パーツ308とパーツ310との間の1つ以上の隙間に落下又は侵入するのを防ぐこと、穿孔後に孔343及び孔345の縁のバリを除去する必要性を低減又は排除すること、又は、これらの組合せを容易に行うことができる。
【0156】
パーツ308における孔343、及び、パーツ310における孔345は、同心同軸上に形成される。ファスナ孔346は、通路又は貫通孔とも呼ばれる。本明細書において、貫通孔は、2つ以上のパーツを貫通する孔であって、これら2つ以上のパーツを通過する複数の同軸の孔によって形成されている。
【0157】
ファスナ孔346にファスナ348を挿入する前、エンドエフェクタ326を、ファスナ挿入ツール340を有するエンドエフェクタ328に取り替える必要がある。しかしながら、圧接体341を維持するためにエンドエフェクタ326のツール336が使用されているため、エンドエフェクタ328への取り換えを行う前に、圧接体341を維持するための異なる機構が必要である。例えば、圧接体341を維持するための追加の機構を使用せずに、パーツ310からツール336を遠ざけたり、パーツ308からノズル332を遠ざけたりすると、圧接体341が崩れてしまう可能性がある。したがって、圧接体341を維持する一方で、エンドエフェクタ326をエンドエフェクタ328に取り替えることが可能な機構が必要である。
【0158】
エンドエフェクタ324の吸引装置330を使用してサイド311のみから圧接体341を維持することにより、サイド312におけるエンドエフェクタ326をエンドエフェクタ328に取り替えることができる。具体的には、吸引装置330は、サイド311からファスナ孔346を通して空気を吸引するための吸引力349を生成する。吸引は、第1の力342と第2の力344との間の力の静的平衡が維持されている状態で行われる。
【0159】
吸引の体積流量は、パーツ310をパーツ308へ向かって引き付けて圧接体341を維持するのに十分な量である。具体的には、上記体積流量は、パーツ310をパーツ308に向かって引き付けるために、孔345を画定する壁347をグリップするグリップ力を付与するのに十分な量である。他の例においては、壁347は、孔壁とも呼ばれる。この吸引は、パーツ308とパーツ310との圧接体341を互いに独立して維持するのに十分なものである。
【0160】
パーツ310における孔345を画定する壁347をグリップするための吸引を利用することにより、吸引装置330は、パーツ310に対して吸引力を付与する。この吸引力により、パーツ310が、パーツ308へ向かって引き付けられ、最終的に、エンドエフェクタ324へと引き付けられる。パーツ308に対して、且つ、基準座標系に対して、エンドエフェクタ324のノズル332を位置決めすることにより、吸引力に応答して反力が形成される。この反力は、吸引力に等しく且つ反対の力である。
【0161】
吸引は、吸引力と反力との間に所望の力の静的均衡が確立するまで実行される。所望の力の静的均衡に到達すると、圧接体341からツール336を遠ざけた場合においても、吸引を利用して圧接体341を独立して維持することができる。
【0162】
このようにして、吸引装置330は、第2の力344が除去された後(例えば、ツール336を離して、エンドエフェクタ326を他のエンドエフェクタに取り替えた場合)であっても、パーツ308及びパーツ310を互いに対して所定の位置に保持するのに十分な吸引力349を生成する。すなわち、ツール336がパーツ310から離れて当該パーツに接触しておらず、第2の力344が除去された状態においては、ファスナ孔346を通ってノズル332の通路334へと空気を吸引することにより、パーツ308とパーツ310との圧接体341を維持することができる。
【0163】
1つ以上の例においては、エンドエフェクタ324、エンドエフェクタ326、及び、エンドエフェクタ328の動作を制御するために、制御システム315が用いられる。制御システム315は、上述した所望の力の静的均衡を確立させることにより、穿孔用のエンドエフェクタ326がファスナ取付用のエンドエフェクタ328に取り替えられたときに、圧接体341を維持するとともに、パーツ310に対するパーツ308の位置ずれを防止することができる。
【0164】
具体的には、例えば、穿孔ツール338を有するエンドエフェクタ326が、ファスナ挿入ツール340を有するエンドエフェクタ328に取り替えられる。吸引装置330が、アセンブリ304の反対側のサイド311からファスナ孔346を介して空気の吸引を継続している状態において、ファスナ挿入ツール340によりファスナ孔346にファスナ348が挿入される。このようにして、組立システム302は、シンプル、簡単、且つ、効率的にファスナ348を取り付けることができる。
【0165】
吸引装置330は、圧接体341のサイド312において追加的な力を必要とせずに、ノズル332により付与される反力と組み合わせて圧接体341を維持するのに十分な吸引力を付与する。すなわち、吸引装置330及びノズル332は、共に、圧接体341が、当該圧接体341の片側において独立して確実に維持されるようにする。
【0166】
圧接体341が吸引力349で維持されている間に、ファスナ348が取り付けられる。これらの例においては、ファスナ348がファスナ孔346内に完全に取り付けられるまで吸引が継続される。場合によっては、ファスナ348とファスナ孔346との間に所望の締り嵌めが形成されると、ファスナ348が完全に取り付けられたとみなされる。他の例においては、ファスナ348がファスナ孔346内に挿入されるとともに、ファスナ保持用ハードウエアがファスナ348に取り付けられた後にのみファスナ348が完全に取り付けられたとみなされる。ファスナ保持用ハードウエアは、例えば、カラー、ナット、他の種類の金具、又は、その組み合わせを含みうる。他の例においては、1つ以上の他の操作が実行された後に、ファスナ348が完全に取り付けられたとみなされる。
【0167】
ファスナ348が完全に取り付けられると、圧接体を維持するための吸引力349は不要になる。すなわち、吸引を停止した後は、ファスナ348により圧接体341が維持される。
【0168】
図1に示す製造環境100の説明は、例示的な実施形態を実施する態様に対して物理的又は構造的な限定を加えることを意図したものではない。図示されたコンポーネントに加えて、又は、これらのコンポーネントに代えて、他のコンポーネントを用いることもできる。いくつかのコンポーネントは、任意であってもよい。また、図中のブロックは、機能コンポーネントを示す。これらのブロックのうちの1つ又は複数は、例示的な実施形態において実施する際には、組み合わせたり、分割したり、組み合わせてから異なるブロックに分割したりすることができる。
【0169】
例えば、いくつかの場合においては、ファスナ孔346の形成は、パーツ308とパーツ310とを合わせて圧接体341を形成する前の異なるプロセスの一部であってもよい。例えば、パーツ308に第1孔343を形成し、パーツ310に孔345を形成する作業は、これらのパーツを圧接する前に行ってもよい。
【0170】
その後、パーツ308とパーツ310とを相対的に配置してもよい。これらの例においては、パーツ308及びパーツ310の配置は、孔343と孔345とが同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で並ぶように、行われる。孔343及び孔345は、これらの孔343及び孔345が互いに並んで整列したときにファスナ孔346を形成するような寸法に設定してもよい。他の例においては、孔343及び孔345は、確認用アセンブリ(determinate assembly: DA)孔であってもよい。孔343及び孔345が確認アセンブリ孔であって、且つ、同軸上に位置合わせされている場合、これらの孔は、インデックス孔(index hole)(図示略)を形成している。パーツ308及びパーツ310は、例えば、インデックス孔を通って取り付けられた仮ファスナを用いて一時的に連結される。インデックス孔は、基準孔、ガイド孔、ツール孔(tooling hole)、又は、貫通孔とも呼ばれる。
【0171】
1つ以上の例においては、孔343と孔345とを同軸上に位置合わせした後、吸引力349を用いて、パーツ308とパーツ310との圧接体341が形成及び維持される。この吸引は、圧接体341が片側主導による圧接体となるように、サイド311において形成される。場合によっては、仮ファスナを用いてパーツ308とパーツ310とを合わせる場合、仮ファスナの取り外しと同時に吸引力349を付与することにより、圧接体341を形成及び維持する。
【0172】
図4~15を参照すると、例示的な実施形態による、ファスナの取付作業を行うためのアセンブリシステムが示されている。いくつかの例においては、アセンブリシステムは、ファスナ取付システムとも呼ばれる。
【0173】
図4には、例示的な実施形態による、重ね接合部(lap splice)に対して配置された単一機能エンドエフェクタの端面図が示されている。重ね接合部400は、
図3に示すアセンブリ304、又は、アセンブリ304におけるパネル接合部の一実施例である。例示的な実施形態は、重ね接合部400に加えて、図示していない他の種類の接合部にも適用可能である。
【0174】
重ね接合部400は、
図3に示すパーツ308及びパーツ310の一実施例である、第1パーツ402と第2パーツ404とを含む。他の例においては、重ね接合部400は、第3パーツ(不図示)又は他のいくつかのパーツを含みうる。一例においては、第1パーツ402及び第2パーツ404は、胴体パネルの形態をとる。
図4~15に示す第1パーツ402及び第2パーツ404の寸法及び縮尺は、例示のみを目的として示されている。他の例においては、第1パーツ402及び第2パーツ404の寸法は、
図4~15に示す寸法よりも小さくてもよいし、これよりも遥かに大きくてもよい。
【0175】
重ね接合部400は、第1サイド406と第2サイド408とを有する。この例においては、第1サイド406は、第1パーツ402の表面410により形成され、第2サイド408は、第2パーツ404の表面412により形成されている。第1パーツ402及び第2パーツ404が、胴体アセンブリの胴体パネルの形態をとる場合、第1パーツ402の表面410は、胴体の内側を向いていてもよく、第2パーツ404の表面412は、胴体アセンブリの外側を向いていてもよい(処理が完了したときにファスナの頭部が外側の表面412に取り付けられることになる)。
【0176】
この例においては、アセンブリ409に対して組立システム413が配置される。組立システム413は、エンドエフェクタ414と、エンドエフェクタ416と、ロボット装置418と、ロボット装置419と、を含む。
【0177】
エンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416は、それぞれ、ロボット装置418及びロボット装置419に接続されている。エンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416は、それぞれ、
図3に示すエンドエフェクタ324及びエンドエフェクタ326の実施例である。エンドエフェクタ414は、重ね接合部400の第1サイド406に対して配置されており、エンドエフェクタ416は、重ね接合部400の第2サイド408に対して配置されている。
【0178】
エンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416は、単一機能エンドエフェクタであってもよい。エンドエフェクタ414は、
図3に示すノズル332及び吸引装置330の実施例である、ノズル420と吸引装置422とを少なくとも含む。エンドエフェクタ416は、ツール424と、穿孔ツール426とを含む。
図4において、ツール424は、例示のみを目的として透明に描かれている。ツール424及び穿孔ツール426は、
図3に示すツール336及び穿孔ツール338の実施例である。
【0179】
この例においては、ツール424は、要素428と要素430とを含む。要素428は、例えば限定するものではないが、穿孔ツール426を囲む第1円筒部材の形態をとる。要素430は、例えば限定するものではないが、第2円筒部材を有し、その直径は、第1円筒部材の直径よりも小さいが、穿孔ツール426のドリルビット432が当該第2円筒部材を貫通できる程度に大きい。いくつかの例においては、要素430は、穿孔作業中に切削屑や切削片を収集できる程度に大きい。
【0180】
図5は、例示的な実施形態による、重ね接合部400に対して配置されたエンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416を示す拡大側面図である。この例においては、エンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416は、重ね接合部400を通る基準軸500に並んで配置されている。基準軸500は、重ね接合部400に実質的に直交する軸であり、この軸は、穿孔してファスナを取り付ける位置で重ね接合部400を通過している。
【0181】
図6は、例示的な実施形態による、重ね接合部400に力を加えるエンドエフェクタ414及びエンドエフェクタ416を示す側面図である。図示のように、エンドエフェクタ414又はロボット装置418のうちの少なくとも一方を用いて、重ね接合部400の第1サイド406に接触するようにノズル420を移動させる。その際、第1サイド406に第1の力600を加えるために、第1サイド406にノズル420が押し付けられる。第1の力600は、
図3に示す第1の力342の例である。第1の力600は、機械力である。
【0182】
同様に、エンドエフェクタ416又はロボット装置419のうちの少なくとも一方を用いて、重ね接合部400の第2サイド408に接触するように要素430を移動させる。具体的には、第2サイド408に第2の力602を加えるために、第2サイド408に要素430が押し付けられる。
【0183】
ノズル420及び要素430は、重ね接合部400に加えられる第1の力600と第2の力602との間に所望の力の静的均衡が確立するまで、それぞれ第1パーツ402及び第2パーツ404に押し付けられる。この所望の力の静的均衡が確立すると、第1パーツ402と第2パーツ404との圧接体604が形成される。すなわち、第1パーツ402及び第2パーツ404は、これらのパーツの各々が他方のパーツに対して特定の位置で保持されるように、定位置で保持される。
【0184】
第1パーツ402及び第2パーツ404のそれぞれに対するノズル420及び要素430の押し付けが停止された状態において、これらのノズル及び要素は、所望の力の静的均衡が確立されて圧接体604を維持できる位置で固定される。場合によっては、第1パーツ402と第2パーツ404との間にはシーラントが塗布されている。
【0185】
図7は、例示的な実施形態による、穿孔作業を示す側面図である。第1パーツ402及び第2パーツ404の圧接体604が形成されると、重ね接合部400を貫通するファスナ孔700を形成するために、エンドエフェクタ416の穿孔ツール426が操作される。ファスナ孔700は、第2パーツ404の第2サイド408から第1パーツ402の第1サイド406に至るまで延びていてもよい。場合によっては、ファスナ孔700は、皿もみ加工されていてもよい。ファスナ孔700は、
図3に示すファスナ孔346の一実施例である。
【0186】
図8は、例示的な実施形態による、吸引作業を示す側面図である。ファスナ孔700が形成された後、第2パーツ404からドリルビット432を離す。例えば、ドリルビット432を、要素428内に後退させる。
【0187】
エンドエフェクタ414の吸引装置422を動作させて、重ね接合部400の第1サイド406からファスナ孔700を通して空気を吸引する。空気は、ファスナ孔700を通って矢印800の方向に吸引され、重ね接合部400の第2サイド408から重ね接合部400の第1サイド406へと向かう。空気は、ファスナ孔700を通ってノズル420内へ吸引される。
【0188】
この吸引により、例えば吸引力802などの力が形成され、この力が第2パーツ404に加えられる。吸引力802により、第2パーツ404が第1パーツ402へ向かって引き付けられる。ノズル420を第1パーツ402に接触させて配置することにより、吸引力802に応じた反力804が形成される。吸引は、吸引力802と反力804との間に所望の力の静的均衡が確立するまで実行される。例えば、所望の力の静的均衡が確立されるとともに、第1の力600及び第2の力602とは独立して吸引により圧接体604を維持するのに十分な吸引力が生成されるまで、吸引力を増大させてもよい。
【0189】
これらの例においては、ファスナ取付作業が完了するまでファスナ孔700を介して空気の吸引を継続するために、吸引装置422を動作させる。いくつかの例においては、要素430及びノズル420の各々、或いは、これらの両方が、空気の出入りを可能にするための切欠き部、溝、ポート、開口、又は、他の何らかのタイプの通気口のうちの少なくとも1つを有しうる。この通気により、吸引力が必要以上に大きくなるのを防止することができる。例えば、要素430は、第2パーツ404に接触する要素430の縁に沿って1つ以上の切欠き部を有することにより、吸引力が作用している間でも、要素430を第2パーツ404から離すことを容易にする。
【0190】
図9は、例示的な実施形態による、第1パーツ402及び第2パーツ404を示す拡大断面側面図である。同図においては、ファスナ孔700、及び、当該ファスナ孔700のうちの第2パーツ404内に形成された部分を画定する壁900をより明確に見ることができる。この壁900は、孔壁とも呼ばれる。
【0191】
図示のように、吸引力802は、ファスナ孔700のうちの第2パーツ404内に形成された部分を画定する壁900をグリップするグリップ力であり、この力により、第2パーツ404が第1パーツ402へ、最終的にはノズル420へ向かって引き付けられる。ノズル420は、第1パーツ402に対して反力804を加える。
【0192】
吸引力802及び反力804を共に利用することにより、要素430が第2パーツ404から離された後であっても、圧接体604を独立して維持することができる。第1の力600及び第2の力602とは独立して圧接体604を維持することにより、エンドエフェクタ416を異なるエンドエフェクタに取り替えることができる。例えば、エンドエフェクタ416又はロボット装置419のうちの少なくとも一方を操作して、重ね接合部400からツール424の要素430を離すことができる。その後、ロボット装置419を異なるロボット装置と取り替えて、重ね接合部400に対して異なるエフェクタを配置することができる。
【0193】
図10は、例示的な実施形態による、片側主導の圧接体を示す拡大側面図である。図示のように、前の図面で示した要素430は、第1パーツ402から離された状態にある。ただし、第1の力600及び第2の力602がなくても、吸引力802及び反力804により圧接体を独立して維持することができる。
【0194】
したがって、片側主導による圧接体を実現することができる。このような重ね接合部400の第1サイド406における片側主導の圧接体により、重ね接合部400の第2サイド408におけるファスナ孔700の周囲に自由な空間を作ることができるため、より簡単且つ容易にエンドエフェクタを取り替えることができる。なお、重ね接合部400の第2サイド408において圧接体604を維持するために、特別なツールは必要ない。
【0195】
図11は、例示的な実施形態による、
図10の片側主導による圧接体を示す別の側面図である。図示のように、
図4~9に示すエンドエフェクタ416が、ロボット装置1102に接続されたエンドエフェクタ1100に取り替えられている。エンドエフェクタ1100及びロボット装置1102は、組立システム413の一部である。
【0196】
この図示例においては、エンドエフェクタ416を有するロボット装置419を移動させて、エンドエフェクタ1100を有するロボット装置1102を重ね接合部400の第2サイド408に対して移動させることができる。他の例においては、エンドエフェクタ416をエンドエフェクタ1100と取り替えて、当該エンドエフェクタ1100をロボット装置419に接続させてもよい。図示のように、エンドエフェクタの取り替えは、重ね接合部400を貫通するファスナ孔700を形成し、片側主導の圧接体を形成した後に実行される。
【0197】
この例においては、エンドエフェクタ1100は、ファスナ挿入ツール1104を含む。エンドエフェクタ1100又はロボット装置1102のうちの少なくとも一方を用いて、重ね接合部400に形成されたファスナ孔700に対してファスナ挿入ツール1104を移動及び配置することができる。ファスナ挿入ツール1104は、ファスナ孔700にファスナ1106を挿入するために用いられる。1つ以上の例においては、ファスナ挿入ツール1104は、ファスナ1106とファスナ孔700との間に所望の締り嵌めを形成することにより、ファスナ1106を取り付ける。
【0198】
図12は、例示的な実施形態による、重ね接合部400の第2サイド408に対して配置されたエンドエフェクタ1100を示す斜視図である。図示のように、ファスナ孔700は、ファスナ1200が取り付けられた重ね接合部400を貫通する複数のファスナ孔のうちの1つである。
【0199】
図13は、例示的な実施形態による、ファスナ孔700(
図11に示す)にファスナ1106(
図11及び12に示す)を挿入するために用いられるファスナ挿入ツール1104を示す側面図である。吸引装置422がファスナ孔700を介した空気の吸引を継続している間、ファスナ挿入ツール1104は、ファスナ孔700にファスナ1106を挿入する。
【0200】
図14は、例示的な実施形態による、重ね接合部400に取り付けられたファスナ1106を示す断面図である。この特定の例においては、ファスナ1106は、皿頭ファスナであり、ファスナ孔700は、皿孔である。
【0201】
図15は、例示的な実施形態による、ファスナ取付作業が完了した様子を示す図である。図示のように、重ね接合部400にファスナ1106が取り付けられている。ファスナ1106が取り付けられると、前のいくつかの図面に示した圧接体604を維持する必要はなくなる。ファスナ1106は、当該ファスナ1106が取り付けられた重ね接合部400の部分に対して、圧接体604を独立して維持することができる。
【0202】
1つ以上の例においては、ファスナ1106の取り付けは、当該ファスナ1106とファスナ孔700との間に所望の締り嵌めが形成されたときに完了する。この締り嵌めが形成されると、吸引が停止される。他の例においては、ファスナ保持用取付具がファスナ1106に取り付けられたときに、ファスナ1106の取り付けが完了したとみなされる。ファスナの取り付けが確実に要件を満たすように、ファスナ1106の取り付けを完了するために必要な全ての作業が完了するまで、吸引が継続される。
【0203】
ファスナ1106が完全に取り付けられた後、エンドエフェクタ414は、重ね接合部400から離されて、重ね接合部400における次のファスナ取付位置に再配置される。さらに、
図11~13に示すエンドエフェクタ1100は、エンドエフェクタ416に取り替えられて、当該エンドエフェクタ416が、重ね接合部400において、新たなファスナを取り付ける次の位置に再配置される。
【0204】
図4~15に示すエンドエフェクタ、ツール、装置、及び、他のコンポーネントは、例示的な実施形態を実施する態様に対して物理的又は構造的な限定を加えることを意図したものではない。図示されたコンポーネントに加えて、又は、これらのコンポーネントに代えて、他のコンポーネントを用いることもできる。いくつかのコンポーネントは、任意であってもよい。
図4~15に示す様々なコンポーネントは、
図3のブロック図に示すコンポーネントが、物理的構造体としてどのように実現されるかを示す具体例である。さらに、
図4~15に示すいくつかのコンポーネントは、
図3に示すコンポーネントと組み合わせてもよいし、
図3に示すコンポーネントと共に用いてもよいし、その両方でもよい。
【0205】
図16は、例示的な実施形態による、ファスナの取り付けを行うための方法を示すフローチャートである。
図16に示す処理1600は、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0206】
上記処理は、第1パーツに対して第1機械力を加えるとともに、第2パーツに対して第2機械力を加えて、第1パーツと第2パーツとの圧接体を形成することにより開始することができる(工程1602)。アセンブリは、互いに接触して配置された第1パーツ及び第2パーツを含む。第1パーツは、圧接体の第1サイドを形成し、第2パーツは、圧接体の第2サイドを形成している。
【0207】
任意ではあるが、第1パーツと第2パーツとの圧接体の第2サイドから当該圧接体を貫通するようにファスナ孔を形成する(工程1604)。ファスナ孔は、アセンブリの第2サイドから第1サイドに延びている。ファスナ孔は、第1パーツを貫通する第1孔、及び、第2パーツを貫通する第2孔によって形成されてもよい。これらの例においては、第1孔及び第2孔は同軸上にある。
【0208】
圧接体の第1サイドから、第1パーツ及び第2パーツを貫通するファスナ孔を介して空気を吸引して、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付けることによって、第2機械力が除去された後であっても第1パーツと第2パーツとの圧接体を維持する(工程1606)。すなわち、ファスナ孔を介して空気を吸引することによって、圧接体の第2サイドにおける第2機械力を用いる必要なく、第1パーツ及び第2パーツの「圧接状態」を維持することができる。
【0209】
具体的には、工程1606においては、圧接体の第2サイドにおいて追加の力を用いる必要なく、圧接体の第1サイドのみから圧接体を維持するのに十分な体積流量で吸引が実行される。ファスナ孔を介して空気を吸引して、第2パーツにおける第2孔の壁をグリップすることによって、第1パーツへ向かって第2パーツが引き付けられる。
【0210】
これらの例においては、圧接体の第2サイドにおける吸引損失量を補いつつ第2孔の壁のグリップを維持するのに十分な体積流量で、圧接体の第1サイドからファスナ孔を介して第1パーツへ向かう方向に空気が吸引される。例えば、第2サイドにおけるファスナ孔の開口端により、吸引量又は吸引力の一部が失われる可能性がある。
【0211】
いくつかの例においては、工程1606は、実施形態に応じて、工程1604が完了した後、又は、工程1604の実行中に開始してもよい。すなわち、吸引は、ファスナ孔が形成された直後、又は、ファスナ孔の形成中に実行することができる。
【0212】
次いで、第1機械力及び第2機械力を除去する(工程1608)。工程1608は、例えば、工程1604の穿孔を実行したエンドエフェクタを新たなエンドエフェクタに取り替えることを含む。エンドエフェクタの取り替え中、第1パーツと第2パーツとの圧接体を維持するために、工程1606における吸引を継続する。
【0213】
その後、第1パーツと第2パーツとの圧接体を維持するためにファスナ孔を介した空気の吸引を継続しつつ、ファスナ孔にファスナを取り付ける(工程1610)。1つ以上の例においては、工程1610は、ファスナ孔にファスナを挿入して、所望の締り嵌めを形成することを含む。他の例においては、工程1610は、ファスナ孔にファスナを挿入して、ファスナ孔を貫通するファスナの長状軸部の周りにファスナ保持用取付具を取り付けることを含む。
【0214】
工程1610の実行中に、工程1606における空気の吸引を継続することによって、ファスナの挿入作業の全体に亘って第1パーツと第2パーツとの圧接体を確実に維持することができる。孔を介した空気の吸引は、ファスナ取付作業の全体が完了するまで継続してもよい。例えば、ファスナとファスナ孔との間に所望の締り嵌めが形成されるまで圧接体を維持するために、吸引を継続してもよい。
【0215】
図17は、例示的な実施形態による、圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
図17に示す処理1700は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0216】
処理1700は、第1パネルに対して第1機械力を加えるとともに、第2パネルに対して第2機械力を加えて、第1パネルと第2パネルとの圧接体を形成することにより開始することができる(工程1702)。第1パネル及び第2パネルは、胴体パネルである。
【0217】
工程1702は、
図4に示すエンドエフェクタ414などの第1エンドエフェクタに接続されたツールを用いて、第1の力を加えることにより実行される。このツールは、例えば、
図4に示すノズル420などのノズルであってもよい。しかしながら、他の例においては、ツールは、他のタイプの部材、要素、又は、構造コンポーネントであってもよい。第2の力は、
図4に示すエンドエフェクタ416などの、第2エンドエフェクタに接続されたツールを用いて加えられる。
【0218】
第1パネル及び第2パネルを貫通するファスナ孔を介して、圧接体の第1サイドから空気を吸引して、ファスナ孔のうちの第2パーツに形成された部分を画定する壁をグリップするグリップ力を付与することにより、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付ける(工程1704)。工程1704においては、ファスナ孔を介して、且つ、圧接体の第1サイドにおいて第1パネルに対して配置されたノズルを介して引かれる部分真空により、圧接体を維持する。
【0219】
いくつかの例においては、処理1700の一部としてファスナ孔を形成することができる。例えば、工程1702と工程1704とを実行する間に孔を形成してもよい。他の例においては、ファスナ孔の形成は、異なる処理の一部であるか、或いは、処理1700の前に実行される。例えば、第1パネルに第1孔を形成し、第2パネルに第2孔を形成する作業は、これらのパネルを「圧接」する前に行ってもよい。そして、工程1702の前に、第1パネルと第2パネルとを互いに相対配置して、これらのパネルの孔が1つの同軸ファスナ孔を形成するように位置合わせしてもよい。その後、工程1702を実行して、処理1700を開始することができる。
【0220】
再度、工程1704を参照すると、第2機械力を必要とせずに第1パネルと第2パネルとの圧接体を維持するのに十分な吸引力(例えば、十分な体積流量)で、空気の吸引が実行される。吸引により付与されるグリップ力が、加えられる第1機械力に対して反対且つ等しいとき、この吸引により圧接体が維持される。第2パネルが第1パネルへ向かって引き付けられると、第1機械力により、第1パネルが第2パネルに対して等しい反力を及ぼし、これによって圧接体が維持される。
【0221】
その後、圧接体を維持するためにファスナ孔を介して空気の吸引を継続しつつ、第2機械力を除去する(工程1706)。いくつかの例においては、処理1700は終了する。他の例においては、処理1700は、ファスナの取り付けにおいて圧接体を維持するために、第1サイドからファスナ孔を介して空気の吸引を継続しつつ、圧接体の第2サイドからファスナ孔を介してファスナを取り付けることを含む。
【0222】
図18は、例示的な実施形態による、圧接体を形成するための処理を示すフローチャートである。
図18に示す処理1800は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0223】
処理1800は、第1パネルにおける第1孔と、第2パネルにおける第2孔とを位置合わせして、貫通孔を形成することにより開始する(工程1802)。これらの例においては、工程1802は、第1孔と第2孔とが同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で並ぶように位置合わせして貫通孔を形成するように行われる。一例として、第1パネル及び第2パネルは、第1孔と第2孔とを同軸上に並べるように、相対的に配置する。
【0224】
いくつかの例においては、貫通孔は、
図3に示すファスナ孔346などの、ファスナ孔の形態をとる。他の例においては、貫通孔は、インデックス孔の形態をとる。例えば、工程1802において位置合わせされる第1孔及び第2孔は、確認用アセンブリ孔(determinate assembly holes)であってもよい。第1孔及び第2孔は、工程1802で同軸上に位置合わせされて、インデックス孔を形成してもよい。1つ以上の例においては、工程1802における第1パネル及び第2パネルは、胴体パネル、翼パネル、又は、他のタイプのパネルであってもよい。
【0225】
さらに他の例においては、工程1802における第1パネルの第1孔と第2パネルの第2孔との位置合わせは、第1パネルに第1孔を形成し、第2パネルに第2孔を形成し、その際、これらの孔を同軸上に位置合わせして、第1パネル及び第2孔を貫通する貫通孔を形成することを含む。
【0226】
その後、第2孔を画定する孔壁を貫通孔内からグリップして、第1パネルへ向かって第2パネルを引き付けることにより、第1パネルと第2パネルとの圧接体を形成する(工程1804)。工程1804において形成される圧接体は、片側主導による圧接体である。工程1804は、例えば、第2孔の壁をグリップする吸引力を用いて実行される。空気は、吸引力により第2孔の壁をグリップするグリップ力が付与されるように、貫通孔を介して吸引される。具体的には、貫通孔を介して部分真空を引くことにより、第2孔の壁をグリップするグリップ力が付与される。部分真空は、第2孔の外向きの端が開口端であるのに関わらず、生成される。
【0227】
工程1804において形成される圧接体は、貫通孔に対して1つ以上の工程が実行されるまで維持される。例えば、圧接体を維持するために仮ファスナが取り付けられるまで、或いは、貫通孔を拡大してファスナ孔を形成するための穿孔作業が実行されるまで、圧接体が維持される。場合によっては、貫通孔にファスナを取り付けるためにファスナ取付作業が実行されるまで、圧接体が維持され、その際、孔径は、ファスナ取り付けの公差の範囲内である。場合によっては、穿孔作業及びファスナ取付作業が実行されるまで、圧接体が維持される。さらに他の例においては、貫通孔にファスナを挿入することと、ファスナにナット又はカラーを固定することとを含むファスナ取付作業が実行されるまで、圧接体が維持される。
【0228】
片側主導の圧接体により、部分真空を引く位置の反対側から、貫通孔の位置に対して様々なツールや装置を移動させることができる。片側主導の圧接体により、組み立て処理の効率を向上させることができる。
【0229】
図19は、例示的な実施形態による、片側主導の圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
図19に示す処理1900は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。具体的には、処理1900は、
図3に示すエンドエフェクタ324、又は、
図4~15に示すエンドエフェクタ414を用いて実行することができる。
【0230】
処理1900は、第1パーツと第2パーツとの圧接体の第1サイドから、第1パーツにおける第1孔及び第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介して空気を吸引して、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付けることにより、第1パーツと第2パーツとの圧接体を維持することを含む(工程1902)。1つ以上の例においては、工程1902は、圧接体の第1サイドからファスナ孔を介して空気を吸引して、第2パーツにおける第2孔を画定する壁をグリップすることにより、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付けることを含む。
【0231】
任意ではあるが、処理1900はまた、吸引により生成される吸引力、及び、圧接体の第1サイドにおける第1ツールの接触面で生成される反力により、力の静的均衡が確立された後、第1機械力及び第2機械力を除去することを含み(工程1904)、その後、この処理は終了する。第1機械力は、圧接体の第1サイドにおいて第1ツールにより加えられたものであってもよい。第2機械力は、吸引中、圧接体の第2サイドにおいて第2ツールにより加えられたものであってもよい。
【0232】
吸引力及び反力により、第1機械力及び第2機械力を用いることなく、第1パーツと第2パーツとの圧接体を維持することができる。これらの例においては、少なくとも、吸引によって生成される吸引力、及び、圧接体の第1サイドにおいて第1ツールの接触面により生成される反力によって力の静的均衡が確立されるまで、第1機械力及び第2機械力が加えられる。
【0233】
任意ではあるが、処理1900は、ファスナ孔を介した空気の吸引を継続しつつ、ファスナ孔にファスナを取り付けることを、さらに含む(工程1906)。工程1906においては、少なくともファスナが完全に取り付けられるまで、吸引を実行してもよい。
【0234】
図20は、例示的な実施形態において、片側主導により圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
図20に示す処理2000は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0235】
処理2000は、第1パーツ及び第2パーツに対してそれぞれ第1機械力及び第2機械力を加えて、圧接体を形成することにより開始する(工程2002)。第1パーツは、圧接体の第1サイドを形成し、第2パーツは、圧接体の第2サイドを形成している。次に、圧接体の第1サイドから、第1パーツ及び第2パーツを貫通するファスナ孔を介して空気を吸引して、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付ける(工程2004)。第1機械力及び第2機械力を除去した後であっても吸引により独立して圧接体が維持されるように、吸引を継続しつつ、第1機械力及び第2機械力を同時に除去し(工程2006)、その後、処理は終了する。
【0236】
図21は、例示的な実施形態において、片側主導により圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
図21に示す処理2100は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0237】
処理2100は、パネル接合部の第1サイドにおける第1エンドエフェクタにより、パネル接合部の第1サイドとの接触を介して、第1の力を加えることを含む(工程2102)。処理2100は、パネル接合部の第2サイドにおける第2エンドエフェクタにより、パネル接合部の第2サイドとの接触を介して、第1の力に等しく且つ反対の第2の力を加えることにより、圧接体を形成することを含む(工程2104)。さらに、処理2100は、パネル接合部の第1サイドにおける第1エンドエフェクタにより、第2エンドエフェクタが第2サイドから離された後においても圧接体を維持することを含み(工程2106)、その後、この処理は終了する。
【0238】
図22は、例示的な実施形態による、片側主導の圧接体を維持するための処理を示すフローチャートである。
図22に示す処理2200は、例えば、
図3に示す組立システム302、又は、
図4~15に示す組立システム413を用いて実施することができる。
【0239】
処理2200は、パネル接合部の第1サイドに配置された単一機能エンドエフェクタにより、パネル接合部の第1サイドに対して第1の力を加えることを含む(工程2202)。処理2200は、当該単一機能エンドエフェクタにより、パネル接合部の第2サイドに対して、第1の力に等しく且つ反対の第2の力を加えることにより、第1パネルと第2パネルとの片側主導による圧接体を形成することをさらに含み(工程2204)、その後、この処理は終了する。
【0240】
いくつかの例においては、1つ以上の工程は、工程2202の前に実行される。例えば、場合によっては、工程2202の前に、第1パネル及び第2パネルに孔が形成される。これらの孔は、ドリル穿孔、パネルの打ち抜き、又は、他の孔あけ処理によって形成される。これらの孔は、パネル同士が最初に圧接されたときに形成することによって、これらの孔が、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で位置合わせされて貫通孔(ファスナ孔)を形成するようにしてもよい。他の例においては、個々のパネルに確認用アセンブリ孔を形成し、その後これらのパネルを合わせて孔同士を位置合わせしてもよい。
【0241】
図23は、例示的な実施形態による、片側主導の圧接体を形成するための処理を示すフローチャートである。
図23に示す処理2300は、
図3に示すエンドエフェクタ324、又は、
図4~15で説明したエンドエフェクタ414などの、単一機能エンドエフェクタを用いて実行することができる。
【0242】
処理2300は、任意ではあるが、第1パーツにおける第1孔と、第2パーツにおける第2孔とを、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で位置合わせすることを含む(工程2302)。いくつかの例においては、工程2302は、第1パーツ及び第2パーツによって形成された圧接体に穿孔して、同心状又は同軸上の少なくとも一方の状態で位置合わせされた第1孔及び第2孔を形成することを含む。1つ以上の例においては、工程2302は、既に第1孔が形成された第1パーツと、既に第2孔が形成された第2パーツと(例えば、確認用アセンブリ孔)を単に位置合わせすることにより、第1孔と第2孔とを位置合わせすることを含む。
【0243】
次に、処理2300は、第1パーツにおける第1孔を介しての波及作用にて、第2パーツにおける第2孔を画定する壁をグリップすることにより、第1パーツに対して第2パーツを引き付けることを含み(工程2304)、その後、この処理は、終了する。いくつかの例においては、工程2304は、第2パーツにおける第2孔の壁に作用する圧力差を形成して、第1パーツに対して第2パーツを引き付けることを含む。1つ以上の例においては、工程2304は、第1パーツに対して配置された吸引装置により、第1孔及び第2孔を介して空気を吸引して、第1パーツへ向かって第2パーツを引き付けることを含む。
【0244】
このようにして、処理2300により、圧接体を形成及び維持するための方法が提供される。具体的には、片側主導の圧接体が形成される。
【0245】
次に
図24を参照すると、例示的な実施形態による、データ処理システムのブロック図が示されている。データ処理システム2400は、
図3に示す制御システム315を実現するために用いられる。図示のように、データ処理システム2400は、通信フレームワーク2402を含み、当該通信フレームワークは、プロセッサユニット2404と、記憶装置2406と、通信ユニット2408と、入出力ユニット2410と、表示部2412との間の通信を実現する。場合によっては、通信フレームワーク2402は、バスシステムとして実現される。
【0246】
プロセッサユニット2404は、ソフトウェアが複数の処理を行うための命令を、実行するように構成されている。プロセッサユニット2404は、実施形態に応じて、複数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/又は、他のタイプのプロセッサを含んでもよい。場合によっては、プロセッサユニット2404は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス等のハードウェアユニット、又は、他の適切な種類のハードウェアユニットの形態をとりうる。
【0247】
プロセッサユニット2404によって実行されるオペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又は、プログラムのための命令は、記憶装置2406に保存されている。記憶装置2406は、通信フレームワーク2402を介してプロセッサユニット2404と通信することができる。本明細書において、コンピュータ可読記憶装置とも呼ばれる記憶装置は、一時的及び/又は永久に情報を保存することが可能な任意のハードウェアである。この情報は、限定するものではないが、データ、プログラムコード、及び/又は、他の情報を含みうる。
【0248】
メモリ2414及び永続記憶装置2416は、記憶装置2406の例である。メモリ2414は、例えば、ランダムアクセスメモリ、又は、任意の揮発性又は不揮発性の記憶装置の形態をとりうる。永続記憶装置2416は、任意の数のコンポーネント又は装置を含みうる。例えば、永続記憶装置2416は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換可能な光ディスク、書換可能な磁気テープ、又は、これらの組み合わせを含みうる。永続記憶装置2416によって用いられる媒体は、着脱型であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0249】
通信ユニット2408により、データ処理システム2400は、他のデータ処理システム及び/又は装置と通信することができる。通信ユニット2408は、物理的通信リンク及び/又は無線通信リンクを用いた通信を実現することができる。
【0250】
入出力ユニット2410により、データ処理システム2400に接続された他の装置から入力を受信したり、これらの装置に対して出力を送信したりすることができる。例えば、入出力ユニット2410により、キーボード、マウス、及び/又は、他の種類の入力装置を介してユーザ入力を受信することができる。他の例として、入出力ユニット2410により、データ処理システム2400に接続されたプリンタに出力を送信することができる。
【0251】
表示部2412は、ユーザに対して情報を表示するように構成されている。表示部2412は、例えば、限定するものではないが、モニタ、タッチスクリーン、レーザディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、仮想ディスプレイデバイス、及び/又は、他の種類のディスプレイ装置を含む。
【0252】
この例において、様々な例示的な実施形態における処理は、プロセッサユニット2404によって、コンピュータ実行可能命令を用いて実行することができる。これらの命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又は、コンピュータ読取可能プログラムコードと呼ばれ、プロセッサユニット2404における1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行される。
【0253】
これらの例においては、プログラムコード2418は、選択的に取り外し可能なコンピュータ可読媒体2420に関数形式で保存されており、プロセッサユニット2404によって実行されるために、データ処理システム2400に読み込むことも、そこに転送することも可能である。プログラムコード2418及びコンピュータ可読媒体2420は、コンピュータプログラム製品2422を形成している。この例においては、コンピュータ可読媒体2420は、コンピュータ可読記憶媒体2424又はコンピュータ可読信号媒体2426であってもよい。
【0254】
コンピュータ可読記憶媒体2424は、プログラムコード2418の伝播又は伝達を行う媒体ではなく、プログラムコード2418の保存に使用される物理的又は有形の記憶装置である。コンピュータ可読記憶媒体2424は、例えば、限定するものではないが、光ディスク若しくは磁気ディスク、又は、データ処理システム2400に接続された永続記憶装置であってもよい。
【0255】
これに代えて、プログラムコード2418は、コンピュータ可読信号媒体2426を用いてデータ処理システム2400に転送することも可能である。コンピュータ可読信号媒体2426は、例えば、プログラムコード2418を含む伝播データ信号であってもよい。このデータ信号は、物理的通信リンク及び/又は無線通信リンクを介して送信される電磁信号、光信号、及び/又は、他の種類の信号であってもよい。
【0256】
図24に示すデータ処理システム2400の説明は、例示的な実施形態を実施する態様に対して構造的な限定を加えることを意図したものではない。データ処理システム2400について例示したコンポーネントに対する追加のコンポーネント、又は、これらに代わるコンポーネントを含むデータ処理システムにおいても、様々な例示的な実施形態を実施することができる。また、
図24に示すコンポーネントは、図示例から変更してもよい。
【0257】
本開示の例示的な実施形態を
図25においては、航空機の製造及び保守方法2500に関連させ、
図26においては航空機2600に関連させて説明する。まず、
図25を参照すると、例示的な実施形態による、航空機の製造及び保守方法が示されている。生産開始前において、航空機の製造及び保守方法2500は、
図26に示した航空機2600の仕様決定及び設計2502と、材料調達2504とを含む。
【0258】
生産中には、
図26に示す航空機2600の部品及び小組立品の製造2506、並びに、システムインテグレーション2508が行われる。その後、
図26に示す航空機2600は、認証及び納品2510の工程を経て、就航2512に入る。顧客による就航2512中、
図26に示す航空機2600は、定例の整備及び保守2514に組み込まれる。これは、改良、再構成、改修、及び、他の整備又は保守を含みうる。
【0259】
航空機の製造及び保守方法2500の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータによって実行又は実施することができる。これらの例において、オペレータは顧客であってもよい。なお、システムインテグレータは、航空機の製造業者及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0260】
次に
図26を参照すると、例示的な実施形態を実施可能な航空機が示されている。この例において、航空機2600は、
図25に示した航空機の製造及び保守方法2500によって生産され、複数のシステム2604及び内装2606を備えた機体2602を含みうる。システム2604の例としては、1つ以上の推進系2608、電気系2610、油圧系2612、及び、環境系2614が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として示しているが、種々の例示的な実施形態を、例えば自動車産業等の他の産業に適用してもよい。
【0261】
本明細書において具現化される装置及び方法は、
図25に示す航空機の製造及び保守方法2500における、少なくとも1つの段階において、採用することができる。具体的には、
図3に示すアセンブリ304、又は、
図1に示す胴体アセンブリ102は、航空機の製造及び保守方法2500における何れの段階においても製造することができる。例えば、限定するものではないが、部品及び小組立品の製造2506、システムインテグレーション2508、定例の整備及び保守2514、又は、航空機の製造及び保守方法2500の他の段階において、
図3に示す組立システム302、又は、
図4に示す組立システム413を用いて、
図3に示すアセンブリ304のパーツ、又は、
図4に示す重ね接合部400のパーツを接合することができる。さらに、アセンブリ304、又は、重ね接合部400を用いて、航空機2600の機体2602、又は、内装2606のうちの少なくとも1つを形成することができる。
【0262】
一例において、
図25に示す部品及び小組立品の製造2506において製造される部品及び小組立品は、
図25に示す航空機2600の就航2512中に製造される部品及び小組立品と同様に作製又は製造されてもよい。さらに別の例として、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又は、これらの組合せは、
図25に示す部品及び小組立品の製造2506、及び、システムインテグレーション2508などの生産段階において用いることができる。1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又は、これらの組み合わせは、
図25に示す航空機2600の就航2512中、及び/又は、整備及び保守2514において用いることができる。様々な例示的な実施形態を用いることによって、実質的に、航空機2600の組み立て速度を速めること、及び/又は、航空機2600のコストを削減することができる。
【0263】
したがって、例示的な実施形態により、容易且つ効率的に自動ファスナ取付作業を行うための方法及び装置を提供することができる。例示的な実施形態においては、単一機能エンドエフェクタが開示される。この単一機能エンドエフェクタは、パーツの圧接体の反対側で他の単一機能エンドエフェクタが取り替えられる際、当該パーツの圧接体を維持するための解決策として、片側(一方側)主導により圧接を行う。
【0264】
個々の専門的な作業を実行する単一機能エンドエフェクタを使用することにより、小型で軽量、且つ、複雑性の低いエンドエフェクタを提供することができる。これらの単一機能エンドエフェクタの単純性により、これらのエンドエフェクタの効率及び信頼性を向上させるとともに、メンテンナンス要求を満たすことができ、また、これらのエンドエフェクタが接続された支援ロボット装置の全体的な寸法を縮小することができる。
【0265】
一実施形態においては、ファスナを取り付けるための方法が提供される。第1パーツに対して第1機械力が加えられるとともに、第2パーツに対して第2機械力が加えられて、前記第1パーツと前記第2パーツとの圧接体が形成される。前記第1パーツにおける第1孔、及び、これに位置合わせされた前記第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介して空気が吸引され、前記第1パーツへ向かって前記第2パーツが引き付けられ、これによって、前記第1パーツと前記第2パーツとの圧接体が維持される。
【0266】
さらに他の実施形態においては、第1パネルにおける第1孔と、第2パネルにおける第2孔とを位置合わせして、貫通孔を形成するための方法が提供される。前記第2孔を画定する壁が前記貫通孔内からグリップされて、前記第1パネルへ向かって前記第2パネルが引き付けられ、これによって、前記第1パネルと前記第2パネルとの圧接体が形成される。
【0267】
他の例示的な実施形態においては、圧接体を維持するための方法が提供される。第1パーツ及び第2パーツに対してそれぞれ第1機械力及び第2機械力が加えられて、前記圧接体が形成される。前記第1パーツは、前記圧接体の第1サイドを形成し、前記第2パーツは、前記圧接体の第2サイドを形成している。前記圧接体の第1サイドから、前記第1パーツ及び前記第2パーツを貫通するファスナ孔を介して空気が吸引され、前記第1パーツへ向かって前記第2パーツが引き付けられる。前記第1機械力及び前記第2機械力を除去した後であっても吸引により独立して前記圧接体が維持されるように、吸引を継続しつつ、前記第1機械力及び前記第2機械力が同時に除去される。
【0268】
他の例示的な実施形態においては、圧接体を維持するための方法が提供される。第1パーツと第2パーツとの圧接体の第1サイドから、前記第1パーツにおける第1孔及び前記第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介して空気が吸引され、前記第1パーツへ向かって前記第2パーツを引き付けることにより、前記第1パーツと前記第2パーツとの圧接体が形成される。
【0269】
さらに他の例示的な実施形態においては、圧接体を維持するための方法が提供される。パネル接合部の第1サイドにおける第1エンドエフェクタにより、前記パネル接合部の第1サイドとの接触を介して、第1の力が加えられる。前記パネル接合部の第2サイドにおける第2エンドエフェクタにより、前記パネル接合部の第2サイドとの接触を介して、前記第1の力に等しく且つ反対の第2の力が加えられて、前記圧接体が形成される。前記パネル接合部の第1サイドにおける前記第1エンドエフェクタにより、前記第2エンドエフェクタが前記第2サイドから離された後においても、前記圧接体が維持される。
【0270】
さらに他の例示的な実施形態においては、片側主導の圧接体のための方法が提供される。パネル接合部の第1サイドに配置された単一機能エンドエフェクタにより、前記パネル接合部の第1サイドに対して第1の力が加えられる。前記単一機能エンドエフェクタにより、前記パネル接合部の第2パネルに対して、前記第1の力に等しく且つ反対の第2の力が加えられ、これによって、前記第1パネルと前記第2パネルとの片側主導の圧接体が形成される。
【0271】
他の例示的な実施形態においては、圧接体を形成するための方法が提供される。この方法は、第1パーツにおける第1孔を介した波及作用にて、第2パーツにおける第2孔を画定する壁をグリップすることにより、前記第1パーツに対して前記第2パーツを引き付けることを含む。
【0272】
例示的な実施形態においては、圧接体を維持するための装置が、ノズルと吸引装置とを含む。前記ノズルは、第1パーツにおける第1孔の孔径よりも大きいノズル直径を有する。前記ノズルは、前記第1パーツと係合したときに前記圧接体の第1サイドに対して第1機械力を加えるために使用される。前記吸引装置は、前記圧接体の前記第1サイドから、前記第1パーツにおける前記第1孔、及び、第2パーツにおける第2孔によって形成されたファスナ孔を介し、且つ、前記ノズルを介して、空気を吸引するための装置である。前記空気の吸引は、前記圧接体の第2サイドにおける追加の力を必要とせずに、前記第1パーツと前記第2パーツとの前記圧接体を維持するのに十分な体積流量で、前記第1サイドから実行される。
【0273】
他の実施形態においては、圧接体を形成するための装置がエンドエフェクタを含む。前記エンドエフェクタは、パネル接合部の第1サイドに配置されており、前記パネル接合部の第1パネルに対して第1圧接力を加え、前記パネル接合部の第2パネルに対して等しく且つ反対の第2圧接力を加えて、前記圧接体を形成する。
【0274】
図示された様々な実施形態のフローチャート及びブロック図は、例示的な実施形態における装置及び方法のいくつかの考えられる実施形態の構造、機能、及び、動作を示すものである。この点では、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/又は、動作若しくはステップの一部を表す。
【0275】
例示的な実施形態のいくつかの代替の態様において、ブロックで述べられている1つ又は複数の機能は、図で述べられている順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、いくつかのケースにおいては、関連する機能に応じて、連続して示されている2つのブロックは実質的に同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。また、フローチャート又はブロック図に示されたブロックに対して、さらに他のブロックを追加してもよい。
【0276】
本明細書において、「少なくとも1つの」なる語句がアイテムの列挙と共に用いられる場合、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数のアイテムの様々な組み合わせを使用しうることを意味し、また、列挙されたアイテムの1つだけを必要とする場合もあることを意味する。アイテムは、ある特定の対象、物、ステップ、動作、処理、又は、カテゴリであってもよい。すなわち、「少なくとも1つの」は、列挙されたアイテムのうち任意の組み合わせ又は数のアイテムを使用してもよいが、列挙されたアイテムの必ずしも全てが必須ではないことを意味する。非限定的な例をあげると、「アイテムA、アイテムB、又は、アイテムCのうちの少なくとも1つ」或いは「アイテムA、アイテムB、及び、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムAを意味する場合、アイテムA及びアイテムBを意味する場合、アイテムBを意味する場合、アイテムA、アイテムB、及び、アイテムCを意味する場合、アイテムB及びアイテムCを意味する場合、或いは、アイテムA及びアイテムCを意味する場合がある。場合によっては、「アイテムA、アイテムB、又は、アイテムCのうちの少なくとも1つ」或いは「アイテムA、アイテムB、及び、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、2つのアイテムA、1つのアイテムB、及び、10のアイテムCを意味する場合、4つのアイテムB及び7つのアイテムCを意味する場合、或いは、他の適当な組み合わせを意味する場合がある。
【0277】
様々な例示的な実施形態の説明は、例示及び説明のために提示したものであり、全てを網羅することや、開示した形態での実施に限定することを意図するものではない。多くの変更又は変形が当業者には明らかであろう。また、様々な例示的な実施形態は、他の好適な実施形態とは異なる特徴をもたらしうる。選択した実施形態は、実施形態の原理及び実際の用途を最も的確に説明するために、且つ、当業者が、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態のための開示を理解できるようにするために、選択且つ記載したものである。