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特許7548699電気機械式ストームブレーキアクチュエータ
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  • 特許-電気機械式ストームブレーキアクチュエータ 図1
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  • 特許-電気機械式ストームブレーキアクチュエータ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電気機械式ストームブレーキアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/104 20060101AFI20240903BHJP
   B66C 9/18 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 49/02 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 49/10 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H02K7/104
B66C9/18
H02K7/102
H02K7/06 A
H02K7/116
H02K49/02 B
H02K49/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019564566
(86)(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 CA2018000026
(87)【国際公開番号】W WO2018145196
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】62/457,168
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517284603
【氏名又は名称】ポータル・クレイン・パーツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】マードック、アラン・ロイ
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204529127(CN,U)
【文献】特開平09-308187(JP,A)
【文献】特公昭46-043491(JP,B1)
【文献】特開昭60-259278(JP,A)
【文献】特開2006-340428(JP,A)
【文献】実開昭61-049780(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0000741(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19714114(DE,A1)
【文献】実開昭61-052493(JP,U)
【文献】特開平07-046790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00
H02K 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械式解除システムと、永久磁石渦電流ブレーキシステムとを備えたストームブレーキアクチュエータであって、前記永久磁石渦電流ブレーキシステムの回転静止ディスクと渦電流ディスクとの軸方向の距離は、ブレーキセット時間を変更するための及びスプリングのエネルギー又は重量のエネルギーを消散させるための調節可能な空隙を、前記回転静止ディスクと前記渦電流ディスクとの間に生じさせるために、調節可能である、ストームブレーキアクチュエータ
【請求項2】
前記渦電流ブレーキシステムがアルミニウム渦電流ディスクを備えた請求項1に記載のストームブレーキアクチュエータ。
【請求項3】
ストームブレーキであって、請求項1又は2に記載のストームブレーキアクチュエータと、前記ストームブレーキの主ブレーキスプリングを圧縮するのに十分な線形力を生成するボールねじアセンブリ及びギア列駆動アセンブリと、主ブレーキスプリングを圧縮するための又は前記ストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げるための電気モータと、を備えたストームブレーキ。
【請求項4】
ストームブレーキであって、請求項1又は2に記載のストームブレーキアクチュエータと、前記ストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げるのに十分な線形力を生成するボールねじアセンブリ及びギア列駆動アセンブリと、主ブレーキスプリングを圧縮するための又は前記ストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げるための電気モータと、を備えたストームブレーキ。
【請求項5】
ストームブレーキであって、請求項1又は2に記載のストームブレーキアクチュエータと、前記ストームブレーキを解除位置に保持し、電力が失われたときに前記ストームブレーキをセットすることを可能とする電動ブレーキ機構と、を備えたストームブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在説明されている対象の実施形態では、ストームブレーキ用の電気機械式アクチュエータ機構が提供される。
【背景技術】
【0002】
ストームブレーキは、風荷重に対してレール搭載機器の大きな部分を制動及び固定するために使用されるデバイスであり、幾つかの一般的なタイプに細分し得る。これらには以下が含まれる。即ち、レールの側面を把持するレールクランプ、レールの上部を押すレールブレーキ、レール上のスチールホイールの側面に適用されるホイールブレーキ、及び様々な種類のホイールチョックである。
【0003】
殆どのストームブレーキは、スプリングが用いられ、その主要な制動力は主ブレーキスプリングの直接的に又は機械的に増倍された動作によって生成される。しかしながら、自己作動ストームブレーキ(ホイールチョックなど)もあり、これはスプリング又は荷重が利用され、主要な制動力はウェッジ効果又はトグル効果によって生成される。何れの場合でも、油圧システムは従来のストームブレーキで一般的に使用され、ブレーキをブレーキがセットされた(かけられた)位置からブレーキが解除された位置に移動するために必要な力と動作を提供する。現在使用されている油圧システムの殆どは、ストームブレーキが解除された位置にあるときにスプリング負荷又は重量を保持するために、油圧オイルが一方向に自由に通過できるようにした逆止弁とともに、何らかのタイプのソレノイドバルブを使用している。
【0004】
現在、産業界では、環境、効率、清潔さ、及び保守性の理由のために、機器から油圧システムを排除しようとする動きがある。その結果、油圧システムとシリンダによって現在提供されている時々必要な大きな力と保持力を提供する、ストームブレーキ用の電気機械式アクチュエータ機構に対する要求がある。
【発明の概要】
【0005】
開示対象の実施形態では、ストームブレーキ用の電気機械式アクチュエータ機構が提供される。このアクチュエータ機構は、おおむね、電気機械式解除システムと、可変のブレーキをセットする時間を変更するための、及びストームブレーキ主スプリング力又は重量のエネルギー消散のための調節可能な空隙を有する永久磁石渦電流ブレーキシステムとを備えている。
【0006】
幾つかの実施形態では、ストームブレーキアクチュエータは、電気モータで駆動されるときに大きな線形力(例えば主ブレーキスプリングを圧縮したりストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げたりするのに必要なことがある)を効率的に生成するためのボールねじを備えている。このボールねじは、ギア列駆動アセンブリを介して回転し、このギア列駆動アセンブリは、モータがボールねじを操作して主ブレーキスプリングを圧縮したり、ストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げたりするのに必要なトルクの増加を与えるように選択された適切な段数を有する。ギア列駆動アセンブリは、瞬間的な過負荷からシャフト及びこのシャフトの他の接続部品を保護するために、従来のトルク過負荷クラッチ(摩擦型又は戻り止め型のどちらでもよい)も備えることが好ましい。
【0007】
電動ブレーキ機構は、ストームブレーキがその解除された位置にあるとき(即ち、レール搭載機器の移動を可能にするためにアクチュエータがストームブレーキを解除したとき)主ブレーキスプリングの荷重又はブレーキ重量を効果的に保持するために、アクチュエータのギア列又は電気モータに動作可能に接続される。ストームブレーキがその解除位置に達したとき、電気モータがオフになり(例えば、リミットスイッチによって)、アクチュエータハウジングに固定されたブレーキコイルが通電されて、強力な磁場を生成し、この磁場は、ギア列又は電気モータにスプライン接続された鋼製アーマチュアプレートをブレーキコイルに向けて大きな力で引く。好ましくは、ブレーキコイルの極に摩擦材料を装着して増大された摩擦を与えるようにする。
【0008】
ストームブレーキ製品の安全性は、信頼できる効率的な方式でそれらのブレーキをセットすること(即ち、ブレーキがセットされた位置へ変化すること)を達成することを必要とする。しかしながら、ストームブレーキ構成要素における大きな慣性力の発生及び作用を防ぐために、また、電気機械式アクチュエータの場合は、電気駆動モータが損傷レベル又は破壊の可能性のあるレベルまで加速するのを防ぐために、ブレーキのセット(及びブレーキ主スプリング又は重量エネルギーの消散)も制御された好ましくは時間調節可能な方式で達成する必要がある。従来の公知の油圧駆動ストームブレーキでは、この消散と制御は、細いニードルバルブ又はオリフィスを通り抜けた油圧シリンダからのオイルを計量することによって達成されるのが通例である。
【0009】
現在説明されている電気機械式アクチュエータでは、永久磁石、調節可能なトルク渦電流ブレーキがそれらの機能を提供するために採用されている。好ましい実施形態では、電気モータのシャフト延長部は、一方向クラッチを介して好ましくはアルミニウム製の渦電流ディスクを回転させ、これにより、電気モータは、ストームブレーキのその解除された位置へ収縮する間に、ブレーキ主スプリングを圧縮するとき又はブレーキ主重量を持ち上げるときに、渦電流ブレーキトルクによって駆動システム全体を荷重から解放(即ち、オーバーランニング)させることができる。
【0010】
しかしながら、ストームブレーキがセットされつつある時、一方向クラッチは渦電流ディスクを最大シャフト速度で回転させる。渦電流ディスクは、たくさんの高強度希土類磁石に面して回転し、高強度希土類磁石(複数)は交互に並ぶN極/S極を持ち、好ましくは対応するポケット内で、回転静止鋼合金ディスクに取り付けられている。この回転静止ディスクは、アクチュエータハウジングのキャップのねじ付き開口を貫通する調節ねじに接続されている。これにより、渦電流ディスクに対する回転静止ディスクの軸方向位置の調節が可能になり、それによってディスク間に調節可能な空隙が与えられる。この空隙を調節すると、渦電流ディスクを貫通する磁場強度が増減する。この配置で生成される渦電流と結果として生じるトルクは、回転速度と磁場強度の差異によって変化し、ゼロ差動速度でゼロトルクが生成される。
【0011】
全ての電源がオフになると、電気モータブレーキが解除され、主動力スプリングの逆駆動又はストームブレーキの重量によって電気モータシャフトが回転する。モータの速度は、渦電流ブレーキに等価のトルクが生成されるまで増加する。空隙を調節することにより、トルク/速度の関係が無限に可変になるので、ストームブレーキをセットする時間を調節可能に変更することが可能になる。ジャムナットを使用して、結果として生じるストームブレーキをセットする時間調節を適切にロックすることができる。
【0012】
渦電流ブレーキは、より集中した磁束とより大きなトルクを提供するために、回転するアルミニウム渦電流ディスクに鋼製裏当てプレートを組み合わせて装着して設計できることが知られている。しかしながら、より高いトルクが必要な実施形態ではこのような構成を採用できるが、鋼製裏当てプレートを追加すると、渦電流ブレーキの高速回転部分に大量の回転慣性が加えられ、その結果、付加的なスラストベアリングで処理しなければならない強い引力が発生する。より一般的な鋼製裏当てを使用したディスクと比べて、アルミニウムのみの渦電流ディスクの更なる利点は、アルミニウムのみのディスクは、力線の反発線と吸引線を打ち消すことである。好ましい実施形態では、(より一般的な鋼製裏当て渦導体と比較して)比較的に長い空隙と低い磁場を備えた比較的厚いアルミニウム渦電流ディスクが、性能がやや低いにもかかわらず、(a)反発/吸引磁力相殺による可動部品の間の推力の低減、(b)慣性質量の低減、及び(c)構造の簡素化向上のために採用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
開示された主題の性質及び利点、並びにその使用の好ましい態様のより完全な理解のために、添付の図面と併せて示された以下の詳細な説明を参照すべきである。図面において、同様な参照番号は、同様又は類似のステップ又は部品を示す。
【0014】
図1図1は、本明細書に記載の主題の一実施形態によるストームブレーキアクチュエータ10の中心線に沿って採った概略断面図である。
図2図2は、代表的なレールクランプ100へ動作可能に接続された図1のストームブレーキアクチュエータの概略断面図である。図2のストームブレーキアクチュエータの向きは、図1のストームブレーキアクチュエータの向きに対して反対(即ち上下逆)である。
図3図3は、ストームブレーキアクチュエータ10の代替構成の実施形態を含む代表的なレールクランプ100の部分断面斜視図であり、代表的なレール200上のレールクランプ100を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特定の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その適用、又は使用を限定することを意図するものではない。本発明のストームブレーキアクチュエータは、作動するストームブレーキの性質、及び取り付けられるレール搭載機器の重量及びサイズなどの使用の特定の要件に応じて、幾つかの異なる実施形態の態様を採ることができる。
【0016】
図1に最もよく見られるように、代表的なストームブレーキアクチュエータ10は、電気モータ14により駆動されるとき(例えば主ブレーキスプリングを圧縮したりストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げたりするために必要な)大きな線形力を効率的に生成するためのボールねじ12を備えている。このボールねじ12は、ギア列駆動アセンブリ16を介して回転され、このギア列駆動アセンブリは、モータ14がボールねじ12を作動させて主ブレーキスプリングを圧縮したり、ストームブレーキのブレーキ重量を持ち上げたりするのに必要なトルク増倍を提供するように選択された適切な段数を有する。
【0017】
出力管18は、ボールねじ12に動作可能に取り付けられた循環ボールナットアセンブリ20に一端が固定され、その反対端には直接又は適切な機械的リンケージを介しての何れかでストームブレーキの主ブレーキスプリング又は重量に接続するためのコネクタ22を含む。出力管18のストームブレーキ主スプリングへのこの接続は、管18及びボールナットアセンブリ20がボールねじ12と共に回転することを防止し、それに応じてボールねじ12の回転は、アクチュエータ10に対する出力管18(及びボールナットアセンブリ20)の長手方向の力及び動作を生成する。電気モータ14の回転方向を逆転させると、出力管18の直線運動が逆転する。使用中にボールねじ12に作用する出力推力及び径方向ギア力は、ボールねじ12とアクチュエータハウジングとの間に配置された適切なベアリング24によって調節される。アクチュエータ10をストームブレーキに堅固に取り付けるために、少なくとも1つのコネクタ26がアクチュエータ10の外部ハウジングに設けられている(これによってベースが提供され、このベースに対して出力管18が長手方向に伸長又は収縮し得る)。
【0018】
ストームブレーキアクチュエータ10のギア列駆動アセンブリ16は、トルク過負荷クラッチを備えており、瞬間的な過負荷からギア列駆動アセンブリのシャフト及びその他の接続部品を保護する。これは、ギア列16内の適切な位置に配置された摩擦型クラッチ又は戻り止め型クラッチの形態を採ることができる。戻り止め型クラッチは通常は潤滑環境でより信頼性が高くなるが、説明のために摩擦型クラッチを示す。図示の実施形態では、摩擦型カップリングはギア列16の出力ギア28に関連付けられ、ボールねじ12に動作可能に接続されたスプリングプレート30を含み、このスプリングプレートは、出力ギア28の摩擦面32に対して事前設定された荷重を加える。
【0019】
電動ブレーキ機構34は、ストームブレーキが解除された位置にあるとき(即ち、レール搭載機器の動作を可能とするためにアクチュエータがストームブレーキを解除したとき)、主ブレーキスプリングの荷重又はブレーキ重量を効果的に保持するために、アクチュエータ10のギア列16又は電気モータ14に動作可能に接続される。図示の実施形態では、電気ブレーキ34は、ギア列駆動アセンブリ16の反対側に位置する電気モータ14の駆動シャフトの延長部36の周りに形成されている。ストームブレーキがその解除位置に達すると、電気モータ14がリミットスイッチによってオフになり、アクチュエータハウジングに固定されたブレーキコイル38が通電され、強力な磁場を生成し、鋼製アーマチュアプレート40を大きな力で引き寄せる。好ましくは、ブレーキコイルの極には、摩擦材料を装着して増大された摩擦を与えるようにする。ブレーキアーマチュアプレート40は、駆動シャフト延長部36とのスプライン接続を有し、それにより、電気ブレーキトルクをモータ14のシャフトに伝達し、それにより、電気ブレーキ34が係合したときにストームブレーキ主スプリング荷重を保持する。
【0020】
ストームブレーキ製品の安全性は、それらのセットする動作(即ち、ブレーキがセットされた状態に移行するとき)を信頼できる効率的な方式で達成することを必要とする。しかしながら、ストームブレーキ構成要素における大きな慣性力の発生及び作用を防ぐために、また電気機械式アクチュエータの場合は、電気駆動モータが損傷レベル又は破壊に至るまで加速し得るので、ブレーキをセットする動作(及びブレーキ主スプリング又は重量エネルギーの消散)も、制御された好ましくは時間調節可能な方式で達成する必要がある。従来の公知の油圧駆動ストームブレーキでは、この消散と制御は、細いニードルバルブ又はオリフィスを通り抜けた油圧シリンダからのオイルを計量することによって達成されるのが通例である。
【0021】
現在説明されている電気機械式アクチュエータ10では、これらの機能を提供するために、永久磁石、調節可能なトルク渦電流ブレーキが採用されている。モータ14のシャフト延長部36は、好ましくは一方向クラッチ44を介してアルミニウム渦電流ディスク42を回転させ、これにより、モータ14は、ストームブレーキのその解除された位置へ収縮する間に、ブレーキ主スプリングを圧縮するか又はブレーキ主重量を持ち上げるときに、渦電流ブレーキトルクによって駆動システム全体を荷重から解放(即ち、オーバーランニングする)させることができる。
【0022】
しかしながら、ストームブレーキがセットされつつある時、一方向クラッチ44は、今度は渦電流ディスク42を最大シャフト速度で回転させる。渦電流ディスク42は、たくさんの高強度希土類磁石46に面して回転し、高強度希土類磁石は交互に並ぶN極/S極を有し、好ましくは対応するポケット内で、回転静止鋼合金ディスク48に取り付けられている。回転静止ディスク48は、アクチュエータハウジングのキャップ52のねじ付き開口を貫通する調節ねじ50に接続されている。これにより、渦電流ディスク42に対する回転静止ディスク48の軸方向位置の調節が可能になり、それによってディスク48と42の間に調節可能な空隙54が与えられる。空隙54を調節すると、渦電流ディスク42を貫通する磁場強度が増減する。この配置で生成される渦電流と結果として生じるトルクは、回転速度と磁場強度の差異によって変化する。ゼロ差動速度ではゼロトルクが生成されることに留意されたい。
【0023】
全ての電源がオフになると、電気モータブレーキ34が解除され、主動力スプリングの逆駆動又はストームブレーキの重量によってモータシャフト14が回転する。モータの速度は、渦電流ブレーキに等価なトルクが生成されるまで増加する。空隙54を調節することにより、トルク/速度の関係は無限に可変になるので、ストームブレーキをセットする時間を調節可能に変更することが可能になる。ジャムナット56を使用して、結果として生じるストームブレーキをセットする時間調節を適切な位置にロックすることができる。
【0024】
渦電流ブレーキは、より集中した磁束とより大きなトルクを提供するために、回転するアルミニウム渦電流ディスクに鋼製裏当てプレートを組み合わせて装着して設計できることが知られている。しかしながら、より高いトルクが必要な実施形態ではこのような構成を採用できるが、鋼製裏当てプレートを追加すると、渦電流ブレーキの高速回転部分に大量の回転慣性が加えられ、その結果、追加のスラストベアリングで処理しなければならない強い引力が発生する。
【0025】
より一般的な鋼製裏当てを使用したディスクと比べて、アルミニウムのみの渦電流ディスク42の更なる利点は、アルミニウムのみのディスクは、力線の反発線と吸引線を打ち消すことである。好ましい実施形態では、(より一般的な鋼製裏当て渦導体と比較して)比較的に長い空隙と低い磁場強度を備えた比較的厚いアルミニウム渦電流ディスク42が、性能がやや低いにもかかわらず、((a)反発/吸引磁力相殺による可動部品の間の推力の低減、(b)慣性質量の低減、及び(c)構造の簡素化の向上のために採用される。
【0026】
本説明は、本明細書に開示される主題を実施する現在考えられる最良の形態に関する。説明は、主題の一般的な原理を説明する目的でなされており、限定的な意味で解釈されるものではない。本発明の根底にある原理の理解から当業者には明らかであるように、記載された主題は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施において有用性を見出すことができる。
図1
図2
図3