(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】経路提示システム、情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240903BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240903BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240903BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 D
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020029777
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 伸
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081253(JP,A)
【文献】特開2012-063260(JP,A)
【文献】特開2013-011459(JP,A)
【文献】特開2018-206327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/00
G08G 1/0969
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から運行データを収集する収集部と、
出発地、目的地を取得する第1取得部と、
車種を取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において
前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を提示する提示部と、を備えた、
経路提示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路提示システムであって、
前記経路抽出部は、複数の経路が抽出された場合、前記複数の経路毎にコストを算出し
、算出したコストに基づいて前記経路を絞る、
経路提示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の経路提示システムであって、
前記コストは、前記収集部が収集した運行データから求めた走行距離、燃費、走行時間
、渋滞確率、事故発生確率のうち少なくとも1以上である、
経路提示システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の経路提示システムであって、
前記経路抽出部は、ダイクストラ法を用いてコストが最も少ない経路を抽出する、
経路提示システム。
【請求項5】
請求項2~4何れか1項に記載の経路提示システムであって、
前記コストは、複数種類あり、
前記経路抽出部は、コストの種類毎に、当該コストの少ない最善経路を抽出し、
前記提示部は、前記コストの種類毎に最善経路を提示し、
前記コストの種類を選択する選択部と、
前記選択された種類のコストの前記最善経路を確定する経路確定部と、を有する、
経路提示システム。
【請求項6】
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置であって、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において
前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部と、を備えた、
情報処理装置。
【請求項7】
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置が実行する情報処理装置の
プログラムであって、
前記情報処理装置を、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において
前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部と、して機能さ
せる、
情報処理装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に最適な経路を提示する経路提示システム、当該経路提示システムに用いられる情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、過去の走行履歴に基づいて車両に経路を提示する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、長距離運送では、法律上、4時間ごとに30分以上の休憩を取ることが義務づけられている。しかしながら、上述した特許文献1に記載された装置では、休憩地の提示まで行っていないため、ドライバは効率的に休憩を取ることができない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドライバが効率的に休憩を取ることができる経路を提示する経路提示システム、当該経路提示システムに用いられる情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る経路提示システム、情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラムは、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
車両から運行データを収集する収集部と、
出発地、目的地を取得する第1取得部と、
車種を取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を提示する提示部と、を備えた、
経路提示システムであること。
[2]
[1]に記載の経路提示システムであって、
前記経路抽出部は、複数の経路が抽出された場合、前記複数の経路毎にコストを算出し
、算出したコストに基づいて前記経路を絞る、
経路提示システムであること。
[3]
[2]に記載の経路提示システムであって、
前記コストは、前記収集部が収集した運行データから求めた走行距離、燃費、走行時間
、渋滞確率、事故発生確率のうち少なくとも1以上である、
経路提示システムであること。
[4]
[2]又は[3]に記載の経路提示システムであって、
前記経路抽出部は、ダイクストラ法を用いてコストが最も少ない経路を抽出する、
経路提示システムであること。
[5]
[2]~[4]何れか1項に記載の経路提示システムであって、
前記コストは、複数種類あり、
前記経路抽出部は、コストの種類毎に、当該コストの少ない最善経路を抽出し、
前記提示部は、前記コストの種類毎に最善経路を提示し、
前記コストの種類を選択する選択部と、
前記選択された種類のコストの前記最善経路を確定する経路確定部と、を有する、
経路提示システムであること。
[6]
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置であって、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部と、を備えた、
情報処理装置であること。
[7]
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置が実行する情報処理装置の
プログラムであって、
前記情報処理装置を、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部と、
前記収集部が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走
行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部と、
前記抽出した経路において前記取得した車種に対応する前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部と、して機能さ
せる、
情報処理装置のプログラムであること。
【0007】
上記[1]、[6]及び[7]の構成の経路提示システム、情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラムによれば、経路抽出部が、収集部が収集した運行データから取得した車種に対応する車両が過去に走行した出発地から目的地までの経路を抽出し、認識部が、抽出した経路において車両が過去に休憩した休憩地を認識し、提示部が、抽出した経路及び認識した休憩地を提示する。このように、車種に対応した休憩地を提示することができるため、ドライバが効率的に休憩を取ることができる。
【0008】
上記[2]の構成の経路提示システムによれば、経路抽出部は、複数の経路が抽出された場合、複数の経路毎にコストを算出し、算出したコストに基づいて経路を絞る。これにより、コストの良い経路を提示することができる。
【0009】
上記[3]の構成の経路提示システムによれば、コストは、取得部が取得した運行データから求めた走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率のうち少なくとも1以上である。これにより、走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率といったコストの良い経路を提示することができる。
【0010】
上記[4]の構成の経路提示システムによれば、ダイクストラ法を用いて容易にコストが最も少ない経路を抽出することができる。
【0011】
上記[5]の構成の経路提示システムによれば、ドライバが選択した種類のコストが少ない最善経路を確定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車種に対応した休憩地を提示することができるため、ドライバが効率的に休憩を取ることができる経路提示システム、情報処理装置、及び、情報処理装置のプログラムを提供することができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の経路提示システムの一実施形態を示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すデジタルタコグラフの電気構成図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すナビゲーション装置の電気構成図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すサーバ装置を構成する制御部の経路提示処理における処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5のステップS4で抽出した経路の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図4に示すナビゲーション装置の表示部に表示される各項目の最善経路の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
図1は、本発明の経路提示システム1の一実施形態を示すブロック図である。同図に示すように、経路提示システム1は、車両に搭載されたデジタルタコグラフ2及びナビゲーション装置3と、サーバ装置(情報処理装置)4と、を備えている。デジタルタコグラフ2とサーバ装置4、ナビゲーション装置3とサーバ装置4は、インターネット通信網5を介して通信可能である。本実施形態では、デジタルタコグラフ2及びナビゲーション装置3が、トラックなどの商業用の車両に搭載されている例について説明する。
【0017】
デジタルタコグラフ2は、車両の運行データ(本実施形態ではGPSデータ、距離・方位データ、燃費データ、ヒヤリ・ハットデータ、作業内容データ)を収集する。デジタルタコグラフ2は、収集した運行データに、搭載されている車両の車種データ(大型、中型、小型)を付与してサーバ装置4に送信する。デジタルタコグラフ2は、
図2に示すように、入力部21と、通信部22と、GPS受信部23と、制御部24と、操作部25と、を有している。
【0018】
入力部21は、走行センサ7、ジャイロセンサ8、加速度センサ9、燃料センサ10に接続されている。走行センサ7は、車両が単位距離走行する毎に1パルスの走行パルスを入力部21に入力するセンサである。ジャイロセンサ8は、車両の方位データを入力部21に入力するセンサである。加速度センサ9は、車両の加速度データを入力部21に入力するセンサである。燃料センサ10は、車両の残燃料データを入力部21に入力するセンサである。
【0019】
通信部22は、インターネット通信網5に無線接続するための回路やアンテナ等から構成されている。GPS受信部23は、周知のように複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、現在位置を求め、求めた現在位置及び時刻をGPSデータとして後述する制御部24に出力する。操作部25は、ドライバの操作により、ドライバの作業内容(荷積み、荷下ろし、休憩など)を入力するためのものである。
【0020】
制御部24は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成され、デジタルタコグラフ2全体の制御を司る。制御部24は、
図1に示すように、定期的にGPS受信部23からのGPSデータをサーバ装置4に送信する。また、制御部24は、走行センサ7からの走行パルスをカウントして定期的に車両が走行した距離データを求め、サーバ装置4に送信する。また、制御部24は、定期的にジャイロセンサ8からの方位データを取り込み、サーバ装置4に送信する。また、制御部24は、定期的に燃料センサ10からの残燃料データを取り込み、取り込んだ残燃料データと上記距離データとから燃費データを求め、サーバ装置4に送信する。また、制御部24は、加速度センサ9からの加速度データに基づいて急減速、急加速があったか否かを判定し、急減速、急加速があった場合、その地点のGPSデータを含んだヒヤリ・ハットデータをサーバ装置4に送信する。また、制御部24は、操作部25から入力された作業内容に、入力された地点のGPSデータ、入力された時点の時刻を付与してサーバ装置4に送信する。
【0021】
ナビゲーション装置3は、サーバ装置4に対して目的地や経由地までの経路の提示要求を行い、提示要求に応じてサーバ装置4から送信された経路に従って案内を行う装置である。ナビゲーション装置3は、
図3に示すように、通信部31と、GPS受信部32と、操作部33と、表示部34と、制御部35と、を有している。通信部31、GPS受信部32は、上述した通信部22、GPS受信部23と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。操作部33は、ドライバにより目的地などの入力操作やサーバ装置4から受信した経路の選択操作などが行われる。表示部34は、サーバ装置4から受信した経路などの各種情報が表示される。制御部35は、RAMやROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、ナビゲーション装置3全体の制御を司る。
【0022】
サーバ装置4は、ナビゲーション装置3から経路の提示要求を受信すると、運行データを解析して目的地までの経路、経路上の休憩地を求めて、ナビゲーション装置3に送信する装置である。サーバ装置4は、
図1に示すように、地図データベース(以下「DB」)6に接続され、地図データや道路の勾配データが読み出し可能になっている。また、サーバ装置4は、
図4に示すように、通信部41と、データベース(以下、DB)42と、制御部43と、を有している。通信部41は、インターネット通信網5に無線接続するための回路などで構成されている。DB42は、複数の車両に各々搭載されたデジタルタコグラフ2から送信される運行データが記憶される。制御部43は、例えばRAMやROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、サーバ装置4全体の制御を司る。
【0023】
次に、上述した構成の経路提示システム1の動作について
図5を参照して説明する。
図5は、
図4に示すサーバ装置4を構成する制御部43の経路提示処理における処理手順を示すフローチャートである。デジタルタコグラフ2は、上述したように定期的に運行データに車種データを付与してサーバ装置4に送信する。サーバ装置4の制御部43は、収集部として機能し、デジタルタコグラフ2から受信した運行データをDB42に格納する。
【0024】
ドライバが、ナビゲーション装置3の操作部33を操作して目的地、経由地を入力すると、ナビゲーション装置3の制御部35(以下、「ナビゲーション装置3」と略記)は、サーバ装置4に経路提示要求を送信する。サーバ装置4の制御部43(以下、「サーバ装置4」と略記)は、この経路提示要求を受信すると、
図5に示す経路提示処理を実行する。
図5に示す経路提示処理のプログラムは、図示しない記録媒体に記録されている。これらプログラムをサーバ装置4が実行することにより経路提示処理が実現する。
【0025】
まず、経路提示処理においてサーバ装置4は、第2取得部として機能し、ナビゲーション装置3に車種データ、ODO値データの送信を要求して、これらを取得する(ステップS1)。次に、サーバ装置4は、第1取得部として機能し、ナビゲーション装置3に出発地、目的地、経由地の送信を要求して、これらを取得する(ステップS2)。ナビゲーション装置3は、出発地、目的地、経由地の送信要求を受信すると、GPSデータから得た現在位置を出発地として送信し、操作部33から入力された目的地、経由地を送信する。
【0026】
次に、サーバ装置4は、インターネット通信網5を介して道路情報用のサーバ装置(図示せず)、天候情報用のサーバ装置(図示せず)にアクセスして、当日の渋滞情報、通行止め情報、天候情報を取得する(ステップS3)。
【0027】
次に、サーバ装置4は、経路抽出部として機能し、DB42に記憶された運行データから、ステップS1で取得した車種データと同じ車種の車両が過去に走行した出発地から目的地(経由地を取得した場合は出発地から経由地を経由して目的地)までの経路を抽出する(ステップS4)。サーバ装置4は、ステップS1で取得した車種データと同じ車種データが付与された運行データに含まれるGPSデータに基づいて、出発地から目的地までに同じ車種の車両が走行した経路を解析することができる。
【0028】
次に、サーバ装置4は、認識部として機能し、抽出した経路において車両が過去に休憩した休憩地を認識する(ステップS5)。サーバ装置4は、運行データとして収集した作業内容データから休憩地を認識することができる。長距離運送では、法律上、4時間ごとに30以上の休憩をとることが義務付けられている。このため、出発地から目的地までが長距離であれば、抽出した経路を過去に走行したドライバは休憩を取っているはずであり、サーバ装置4はステップS5で休憩地を認識することができる。また、ステップS5で認識された休憩地は、経路提示要求を送信した車両と同じ車種の車両が過去に実際に休憩した場所である。このため、経路提示要求を送信した車両も当然、駐車して休憩することができる。
【0029】
次に、サーバ装置4は、ステップS1で取得した車種データと同じ車種の車両から取得した運行データを解析して、抽出した各経路上のノード間のコストを算出する(ステップS6)。例えば、サーバ装置4が、
図6に示すように、出発地(ノード)aから目的地(ノード)hまでの間に、ノードb~ノードgを通る複数の経路を抽出したとする。ノードb~ノードhは、地図データ上のノード(交差点など)を含んでいてもよいし、複数の経路が交わる地点を含んでいてもよし、ステップS5で認識した休憩地を含んでいてもよい。ステップS6において、サーバ装置4は、これら各ノードa~h間のコストを算出する。
【0030】
本実施形態では、走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率の5つの項目をコストとして、サーバ装置4は、項目毎のコストを算出する。詳しく説明すると、サーバ装置4は、ステップS3で取得した通行止め情報に基づいて、経路によって結ばれるノードa~h間に通行止め箇所があった場合、走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率の何れも高くする(無限大にする)。
【0031】
サーバ装置4は、DB42に格納された距離・方位データ、GPSデータに基づいてノードa~h間の走行距離を算出する。また、サーバ装置4は、DB42に格納された燃費データに基づいてノードa~h間の燃費を算出する。雨が降っていると燃費が悪くなるため、サーバ装置4は、さらにステップS3で取得した天候情報に基づいて雨が降っているノードa~h間の燃費が高くなるように補正する。また、サーバ装置4は、DB42に格納されたGPSデータに付与された時刻に基づいてノードa~h間の走行時間を算出する。
【0032】
また、サーバ装置4は、ステップS3で取得した渋滞情報、DB42に格納された距離・方位データやGPSデータに基づいてノードa~h間の渋滞確率を算出する。具体的には、サーバ装置4は、渋滞情報から渋滞が発生しているノードa~h間の渋滞確率を高くする。また、サーバ装置4は、距離・方位データやGPSデータを解析して、車両が過去に所定速度以下で所定時間以上走行又は停止している地点を渋滞発生個所として検出すると共に、その渋滞発生個所として検出される頻度を算出する。サーバ装置4は、ノードa~h間に渋滞発生個所の検出頻度が高い道路があれば、そのノードa~h間の渋滞確率を高くする。また、下り坂又は平地から登り坂になる道路も渋滞が発生しやすい。サーバ装置4は、地
図DB6から取り込んだ勾配データに基づいて、ノードa~h間に下り坂又は平地から登り坂になる道路があれば、そのノードa~h間の渋滞確率を高くする。
【0033】
また、サーバ装置4は、DB42に格納されたヒヤリ・ハットデータに基づいてノードa~h間の事故発生確率を算出する。具体的には、サーバ装置4は、ヒヤリ・ハットデータの収集頻度が高いノードa~h間の事故発生確率を高くする。
【0034】
その後、サーバ装置4は、ダイクストラ法にて項目(走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率)毎の最善の経路、即ちコストが最も少ない経路を検索する(ステップS7)。
【0035】
次に、サーバ装置4は、提示部、送信部として機能し、ステップS7で検索した各項目の最善経路と、最善経路上の休息地と、各項目の最善経路にかかる各項目のコストと、をナビゲーション装置3に送信して(ステップS8)、処理を終了する。ナビゲーション装置3は、各項目の最善経路を受信すると、例えば、
図7に示すように、項目毎の最善経路と、最善経路上の休息地と、その最善経路にかかる各項目のコストと、を表示する。
図7は、走行距離が最短となる最短経路と、交通事故確率が最小となる安全運転経路と、の表示例を示している。その他の項目(燃費、走行時間、渋滞確率)については、ドライバが画面の切り替え操作を行うと表示されるようになっている。また、本実施形態では、最善経路にかかる各項目のコストを、レーザーグラフで表示しているが、コストが分かる表示であればどんな表示であってもよい。
【0036】
ドライバは、ナビゲーション装置3の操作部33(選択部)を操作して表示された各項目の最善ルートのうち1つを選択する。ナビゲーション装置3は、経路確定部として機能し、最善ルートが選択されると、選択された最善ルートを確定して、ナビゲーションを開始する。
【0037】
上述した実施形態によれば、サーバ装置4が、DB41に収集した運行データから取得した車種に対応する車両が過去に走行した出発地から目的地までの経路を抽出する。また、サーバ装置4が、抽出した経路において車両が過去に休憩した休憩地を認識し、抽出した経路及び認識した休憩地を提示する。このように、車種に対応した休憩地を提示することができるため、例えば、車種が大型であるため、提示された休憩地に駐車できないといった事態が発生することがなく、ドライバが効率的に休憩を取ることができる。
【0038】
上述した実施形態によれば、サーバ装置4は、複数の経路が抽出された場合、複数の経路毎にコストを算出し、算出したコストに基づいて経路を絞る。これにより、コストの良い経路を提示することができる。
【0039】
上述した実施形態によれば、コストは、DB41に収集した運行データから求めた走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率である。これにより、走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率といったコストの良い経路を提示することができる。
【0040】
上述した実施形態によれば、サーバ装置4は、ダイクストラ法を用いて最善経路を抽出している。これにより、容易に最善経路を抽出することができる。
【0041】
上述した実施形態によれば、ナビゲーション装置3は、操作部33の操作によって選択された種類のコストの最善経路を確定して、ナビゲーションを開始する。これにより、ドライバが選択した種類のコストの最善経路を確定して、ナビゲーションを開始することができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
上述した実施形態によれば、サーバ装置4を収集部、第1取得部、第2取得部、経路抽出部、認識部、提示部として機能させていたが、これに限ったものではない。ナビゲーション装置3を収集部、第1取得部、第2取得部、経路抽出部、認識部、提示部として機能させるようにしてもよい。
【0044】
上述した実施形態によれば、走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率の全部をコストとしていたが、これに限ったものではない。走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率のうち少なくとも1つ以上をコストとすればよい。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、ダイクストラ法を用いて各項目の最善経路を求めていたが、これに限ったものではない。出発地から目的地までにかかるコストを経路毎に求めて、求めたコストが最も少ないものを最善経路としてもよい。
【0046】
上述した実施形態によれば、デジタルタコグラフ2とナビゲーション装置3とを別々に設けていたが、これに限ったものではない。1つの車載器にデジタルタコグラフ機能と、ナビゲーション機能と、を持たせるようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、1台の車両にデジタルタコグラフ2と、ナビゲーション装置3と、を搭載していたが、これに限ったものではない。デジタルタコグラフ2しか搭載していない車両があってもよいし、ナビゲーション装置3しか搭載していない車両があってもよい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、サーバ装置4は、作業内容データから休憩地を認識していたが、これに限ったものではない。サーバ装置4は、GPSデータに基づいて所定時間以上継続して停止している時点を休憩地として認識するようにしてもよい。
【0049】
ここで、上述した本発明に係る経路提示システム、情報処理装置及び情報処理プログラムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
車両から運行データを収集する収集部(43)と、
出発地、目的地を取得する第1取得部(43)と、
車種を取得する第2取得部(43)と、
前記収集部(43)が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部(43)と、
前記抽出した経路において前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部(43)と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を提示する提示部(43)と、を備えた、
経路提示システム(1)。
[2]
[1]に記載の経路提示システム(1)であって、
前記経路抽出部(43)は、複数の経路が抽出された場合、前記複数の経路毎にコストを算出し、算出したコストに基づいて前記経路を絞る、
経路提示システム(1)。
[3]
[2]に記載の経路提示システム(1)であって、
前記コストは、前記収集部(43)が収集した運行データから求めた走行距離、燃費、走行時間、渋滞確率、事故発生確率のうち少なくとも1以上である、
経路提示システム(1)。
[4]
[2]又は[3]に記載の経路提示システム(1)であって、
前記経路抽出部(43)は、ダイクストラ法を用いてコストが最も少ない経路を抽出する
経路提示システム(1)。
[5]
[2]~[4]何れか1項に記載の経路提示システム(1)であって、
前記コストは、複数種類あり、
前記経路抽出部(43)は、コストの種類毎、当該コストの少ない経路を抽出し、
前記提示部(43)は、前記コストの種類毎に経路を提示し、
前記コストの種類を選択する選択部(33)と、
前記選択された種類のコストが少ない経路を確定する経路確定部(43)と、を有する、
経路提示システム(1)。
[6]
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置(4)であって、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部(43)と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部(43)と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部(43)と、
前記収集部(43)が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部(43)と、
前記抽出した経路において前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部(43)と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部(43)と、を備えた、
情報処理装置(4)。
[7]
車両と通信を行い、前記車両に経路を送信する情報処理装置が実行する情報処理装置(4)のプログラムであって、
前記情報処理装置を、
車両から運行データを受信し、受信した前記運行データを収集する収集部(43)と、
前記車両から出発地、目的地を受信して、取得する第1取得部(43)と、
前記車両から車種を受信して、取得する第2取得部(43)と、
前記収集部(43)が収集した運行データから前記取得した車種に対応する前記車両が過去に走行した前記出発地から前記目的地までの経路を抽出する経路抽出部(43)と、
前記抽出した経路において前記車両が過去に休憩した休憩地を認識する認識部(43)と、
抽出した前記経路及び認識した前記休憩地を前記車両に送信する送信部(43)と、して機能させる、
情報処理装置(4)のプログラム。
【符号の説明】
【0050】
1 経路提示システム
4 サーバ装置(情報処理装置)
33 操作部(選択部)
35 制御部(経路確定部)
43 制御部(収集部、第1取得部、第2取得部、経路抽出部、認識部、提示部、送信部)