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特許7548705急冷工作物を機械加工するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】急冷工作物を機械加工するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/12 20060101AFI20240903BHJP
   B23Q 15/18 20060101ALI20240903BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240903BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B23Q11/12 A
B23Q15/18
B23Q17/00 A
B23Q3/08 A
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020030052
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2020163560
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】16/289,240
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボロウィッチ, クリフォード ディー.
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0078232(KR,A)
【文献】特開昭55-112761(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0086763(KR,A)
【文献】特開平09-181153(JP,A)
【文献】特開2015-095499(JP,A)
【文献】特開2013-056397(JP,A)
【文献】実開昭59-173541(JP,U)
【文献】実開平04-073441(JP,U)
【文献】特開2013-049117(JP,A)
【文献】特開平08-222530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00、10-14
B23Q 3/08
B23Q 15/18
B23Q 17/00
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工装置(10)であって、
工作物(14)を機械加工するための機械加工ツール(12)であって、数値制御される機械加工ツール(12)と、
前記機械加工ツール(12)による機械加工中に、前記工作物(14)を支持するための支持面(16)と、
前記支持面(16)に動作可能に結合された冷却システム(18)であって、前記工作物(14)に結合された接着剤(24)の機械加工温度が、前記工作物(14)の機械加工中に所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止し、前記工作物(14)の機械加工中に前記接着剤(24)の硬化を防止する冷却システム(18)と
を含み、
前記冷却システム(18)は、前記工作物(14)が前記支持面(16)によって支持される間、前記支持面(16)を介して、前記工作物(14)及び前記接着剤(24)を冷却する冷却流体(26)を含み、前記冷却システム(18)が、前記接着剤(24)の前記機械加工温度を周囲温度未満に維持
前記冷却システム(18)が、互いに独立して前記支持面(16)の複数のそれぞれのゾーン(29)のそれぞれの温度を選択的に制御するように構成される、機械加工装置(10)。
【請求項2】
前記機械加工ツール(12)が極低温の冷却流体切断機構を含む、請求項1に記載の機械加工装置(10)。
【請求項3】
前記冷却システム(18)が、温度を選択的に上昇又は低下させるように構成される、請求項1又は2に記載の機械加工装置(10)。
【請求項4】
前記機械加工ツール(12)が、極低温カッターを含む、請求項1に記載の機械加工装置(10)。
【請求項5】
前記機械加工装置(10)が、前記工作物(14)に動作可能に結合され、かつ前記工作物(14)の機械加工中に温度情報を含むフィードバックを提供するように構成された、1つ又は複数の温度センサ(36)を更に含み、前記機械加工装置(10)は、前記支持面(16)が、前記1つ又は複数の温度センサ(36)からのフィードバックに応じて、温度を選択的に上昇又は低下させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の機械加工装置(10)。
【請求項6】
前記機械加工装置(10)が、前記工作物(14)の機械加工中に、前記工作物(14)を80°F未満の温度に維持するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の機械加工装置(10)。
【請求項7】
前記支持面(16)が複数の貫通孔(40)を含み、前記機械加工装置(10)が真空システム(38)を更に含み、前記真空システム(38)が、前記複数の貫通孔(40)を介して、前記支持面(16)に動作可能に結合され、前記工作物(14)の機械加工中に、前記工作物(14)を前記支持面(16)に固定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の機械加工装置(10)。
【請求項8】
前記工作物(14)の機械加工中に、前記工作物(14)を前記支持面(16)に固定するように構成された機械的クランプ機構(42)を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の機械加工装置(10)。
【請求項9】
請求項1に記載の前記機械加工装置(10)と、
前記工作物(14)と
を含むシステム(11)であって、前記工作物(14)が、第1の表面(20)及び前記第1の表面(20)の反対側の第2の表面(22)を有するシート材料(56)を含み、前記接着剤(24)が、前記シート材料(56)の前記第1の表面(20)に結合され、前記接着剤(24)が感温フィルム接着剤であり、前記工作物(14)が、前記周囲温度未満である温度を有する、システム(11)。
【請求項10】
前記工作物(14)を機械加工する前に、前記接着剤(24)が前記シート材料(56)に予め接着される、請求項9に記載のシステム(11)。
【請求項11】
前記工作物(14)が、前記工作物(14)の外周(50)の周りに位置付けられた複数のタブ(48)を含み、前記複数のタブ(48)の各タブが、前記工作物(14)を機械加工した後に、選択的に除去されるように構成され、前記複数のタブ(48)が、まとめて、機械加工中に、前記機械加工装置(10)に対して前記工作物(14)を固定するように構成される、請求項9又は10に記載のシステム(11)。
【請求項12】
工作物が機械加工装置の支持面によって支持されるように、前記工作物を位置付けること(102)であって、前記工作物が、第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面を有するシート材料を含み、接着剤が前記シート材料の少なくとも前記第1の表面に結合され、前記支持面が、前記機械加工装置の機械加工ツールによる機械加工中に、前記工作物を支持し、前記機械加工装置が、前記支持面に動作可能に結合された冷却システムを含み、前記支持面は、前記接着剤の機械加工温度が、前記工作物の機械加工中に、所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止し、前記冷却システムが、前記工作物の機械加工中に、前記工作物及び前記接着剤を冷却することによって、前記接着剤の硬化を防止するように構成される、前記工作物を位置付けること(102)と、
前記工作物が前記支持面によって支持される間、前記機械加工ツールを介して、前記工作物を機械加工すること(104)であって、前記シート材料と前記接着剤をまとめて機械加工することを含む、前記工作物を機械加工すること(104)と、
前記接着剤の前記機械加工温度が、機械加工中に、前記冷却システムを介して、前記所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止すること(106)と
を含み、
前記冷却システムが、互いに独立して前記支持面の複数のそれぞれのゾーンのそれぞれの温度を選択的に制御するように構成される、方法(100)。
【請求項13】
前記所定の閾値温度が、前記接着剤が硬化するように構成される硬化温度に基づき、前記所定の閾値温度が、前記硬化温度よりも少なくとも20°F低い、請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記接着剤が、華氏160度と180度との間の温度で硬化するように構成されたフィルム接着剤を含む、請求項12又は13に記載の方法(100)。
【請求項15】
前記工作物を機械加工した後に、前記工作物を構造に固定すること(110)を更に含み、前記固定すること(110)が、前記機械加工を行うことと前記固定することとの間に前記工作物を保管することなく、前記工作物を固定することを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記冷却システムが、前記冷却流体を流すための1つ又は複数の流体チャネルを含み、
前記1つ又は複数の流体チャネルは、前記支持面の下に位置付けられ、
前記冷却流体が、前記1つ又は複数の流体チャネルを通って支持面の下を流れる、請求項1に記載の機械加工装置(10)。
【請求項17】
前記接着剤は、硬化性接着剤である、請求項1に記載の機械加工装置(10)。
【請求項18】
前記接着剤は、硬化性接着剤である、請求項12に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、急冷工作物を機械加工するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機翼アセンブリなどの大きなアセンブリを製造するプロセスでは、2つ以上の部品をまとめて組み合わせる多くの場合、部品が完全に係合しない場所に間隙が存在することがある。そのような間隙により、結果的に、製造プロセス全体で小さな誤差が蓄積することがある。これらの間隙に対処し、部品間の正確な嵌合を確実にするために、間隙を充填する材料が使用される。そのような充填材は、「シム」と呼ばれることが多く、シムは、各部品又はアセンブリの特定のニーズを満たす形状に切断されている。これらのシムを製造するための従来の技術の1つでは、成形可能なプラスチックシムがギャップ内に接着されるが、これらの成形可能なプラスチックシムは面倒であり、塗布時間、洗浄時間、及び硬化時間の点で時間がかかる。シムを製造するための他の技術は、フィルム接着剤を使用して、犠牲材料を部品又はアセンブリに接合し、成形可能なプラスチックシムの使用に伴うことが多い面倒なこととクリーンアップを減らすよう試みている。しかしながら、適切なフィルム接着剤は、一般に、急冷された状態に維持されなければならないため、犠牲材料とは別に、あるサイズに切断される。つまり、特定のシムについて、同じプロファイルが2回切断されるが、1回は、フィルム接着剤に正しいサイズと形状を作成するため、もう1回は、犠牲材料に正しいサイズと形状を作成するためである。次に、切断されたフィルム接着剤を使用して、同じサイズと形状の犠牲材料をアセンブリに適用する。このプロセスも時間がかかり、各プロファイルを別々の材料で2回切断する必要があるため、製造時に追加の誤差が発生する傾向がある。
【発明の概要】
【0003】
開示された機械加工装置、システム、及び方法は、フィルム接着剤及び急冷工作物をまとめて(例えば、同時に)切断又は他の方法で機械加工できるようにし、従来の技術と比較して、製造コスト及び時間を削減する。このような方法及び装置は、有利には、機械加工装置及び工作物が配置される環境全体を冷却するためのHVACシステムを必要とせずに、工作物及び接着剤を冷却しうる。そのような方法及び装置は、製造プロセスにおける廃棄物を更に削減し、材料が、アセンブリの構造への適用の直前に、必要に応じて処理されうるため、使用されていない間に材料を保管する必要性が減る。従来の方法では、個々の犠牲材料に接着剤を塗布することが多いのに対し、開示される方法は、自動化され、接着剤がシート又はフィルムとして塗布されるのであって、接着剤を成形して切断し、切断した形状をアセンブリ構造に個別に塗布するのではない。そのような開示された方法及び装置は、充填材が下部構造に接着される任意の製造プロセスに適用されてもよい。特定の例では、開示された方法及び装置は、シムのない翼製造技術、又は予測シミング製造技術などの航空機翼アセンブリの製造に使用されてもよい。
【0004】
例示的に開示された機械加工装置は、急冷工作物を機械加工するための機械加工ツールと、機械加工ツールによる機械加工中に、急冷工作物を支持するための支持面と、支持面に動作可能に結合された冷却システムとを含む。冷却システムは、急冷工作物に結合された接着剤の機械加工温度が、急冷工作物の機械加工中の所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止しするように構成される。冷却システムは、よって、急冷工作物の機械加工中に、接着剤の硬化を防止する。冷却システムは、急冷工作物が支持面によって支持される間、支持面を介して、急冷工作物を放射状に冷却する冷却流体を含みうる。そのような冷却システムは、概して、急冷工作物の機械加工温度を周囲温度未満に維持する。機械加工ツールは、数値制御されうる。開示されたシステムは、そのような機械加工装置及び急冷工作物を含む。いくつかの例では、急冷工作物は、第1の表面及び第2の表面を有するシート材料であるか又はそれを含み、接着剤が、第1の表面及び/又は第2の表面に結合されている。接着剤は、概して、既知の温度で又は既知の温度範囲内で硬化する、感温フィルム接着剤である。急冷工作物は、概して、接着剤の硬化温度未満(又は硬化温度範囲の最低温度未満)の温度まで急冷される。更に、機械加工中に、急冷工作物(接着剤を含む)は、接着剤の硬化温度(又は温度の範囲)未満に維持される。
【0005】
開示された方法は、急冷工作物が機械加工装置の支持面によって支持されるように、急冷工作物を位置付けることと、機械加工装置の機械加工ツールで急冷工作物を機械加工することと、急冷工作物の機械加工中に、急冷工作物の接着剤の機械加工温度が所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止することとを含む。所定の閾値温度は、概して、接着剤の硬化温度によって、少なくとも部分的に決定される(例えば、所定の閾値温度は、接着剤の硬化温度より低い)。そのような方法では、支持面は、機械加工中に急冷工作物を支持し、機械加工装置の冷却システムは、急冷工作物の温度を、機械加工中に、支持面を介して、所定の閾値温度未満に維持する。例えば、冷却システムは、支持面を通して又は支持面の下に冷却流体を流すことによって、支持面及び急冷工作物を放射状に冷却してもよい。冷却システムは、よって、急冷工作物の機械加工中に、接着剤の硬化を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示によるシステム及び機械加工装置の例を図解する概略図である。
図2】本開示による機械加工装置の支持面の概略平面図である。
図3】本開示によるキットの例を図解する概略図である。
図4】本開示による工作物を機械加工する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
工作物を急冷している間に、工作物を機械加工するための装置及び方法が開示される。概して、図では、所与の例に含まれる可能性が高い要素は実線で示されている一方、所与の例でオプションである要素は破線で示されている。しかしながら、実線で示される要素は、本開示のすべての実施例に必須というわけではなく、本開示の範囲を逸脱しなければ、実線で示される要素を特定の実施例から省略してもよい。
【0008】
図1は、本開示による機械加工装置10及びシステム11の例を概略的に図解する。システム11は、概して、機械加工装置10と、機械加工装置10によって機械加工される急冷工作物14とを含む。機械加工装置10は、概して、急冷工作物14を機械加工するための機械加工ツール12と、機械加工中に急冷工作物14を支持するための支持面16と、支持面16に動作可能に結合された冷却システム18とを含む。急冷工作物14は、第1の表面20と第2の表面22とを含み、第2の表面22は、第1の表面20の反対側にある。感温接着剤24は、第1の表面20及び/又は第2の表面22に接着する。いくつかの例では、接着剤24は、第1の表面20の少なくとも一部と第2の表面22の少なくとも一部との両方に存在しうる。いくつかの例では、接着剤24は、実質的に第1の表面20全体の上に存在しうる。更に又は代替的には、接着剤24は、実質的に第2の表面22全体の上に存在しうる。接着剤24は、概して、接着剤24をその硬化温度で硬化させることによって、急冷工作物14を別の構造に接着させるように構成される。本書で使用される際に、「硬化温度(curing temperature)」は、接着剤が硬化するように構成される温度の範囲を含むと理解される。接着剤24を含む第1の表面20及び/又は第2の表面22のいずれかは、急冷工作物14の接着剤側(adhesive side)と呼ばれることがあり、同様に、接着剤24を含まない第1の表面20又は第2の表面22のいずれかは、急冷工作物14の接着剤を含まない側(non-adhesive side)と呼ばれることがある。急冷工作物14の接着剤側が支持面16に面し、かつ支持面16によって支持されるように、急冷工作物14は、支持面16によって支持されてもよい。他の例では、急冷工作物14の接着剤を含まない側が支持面16に面し、かつ支持面16によって支持されるように、急冷工作物14は、支持面16によって支持されてもよい。
【0009】
冷却システム18は、接着剤24の機械加工温度(即ち、機械加工中の急冷工作物14及び/又は接着剤24の温度)が、所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止する。このように、冷却システム18は、急冷工作物14の機械加工中に、接着剤24が硬化するのを防止する。冷却システム18は、急冷工作物14が支持面16によって支持される間、支持面16を介して急冷工作物14及び接着剤24を放射状に冷却する冷却流体26を含む。急冷工作物14は、概して、接着剤24の硬化を防止するために、接着剤24を急冷工作物14に塗布する前に、冷却又は急冷される。冷却システム18は、よって、周囲温度と比べて、急冷工作物14の低下した温度を維持する。要するに、冷却システム18は、急冷工作物14を、機械加工装置10及び急冷工作物14が位置する環境又は場所の周囲温度より低い温度で維持し、更には、急冷工作物14が機械加工装置10によって機械加工される間、急冷工作物14を、接着剤24の硬化温度より低い温度で維持する。いくつかの例では、冷却システム18は、冷蔵などによって以前に冷却された工作物の温度を維持するように構成される。更に又は代替的には、冷却システム18は、急冷工作物14が支持面16に対して位置付けられたときに、急冷工作物14及び接着剤24の温度を、急冷工作物14の温度より低い温度まで低下させるように構成されうる。
【0010】
支持面16は、概して、支持を提供するために、急冷工作物14の下に位置付けられるが、いくつかの例では、急冷工作物14は、他の配向で支持表面16によって装着され又は別の方法で支持されうる。例えば、急冷工作物14は、支持面16に垂直に装着されうる。任意の構成において、支持面16が機械加工装置10によって機械加工中に急冷工作物14を位置付け支持するために、急冷工作物14が支持面16に対して配置されるとき、支持面16は、急冷工作物14を支持すると言えよう。いくつかの例では、急冷工作物14が支持面16によって支持される間に、1つ又は複数の材料の層又は構造が、急冷工作物14と支持面16との間に存在しうる。1つの特定の例では、支持面16は、ミリングマシン(機械加工装置10の例である)のミルテーブルであってもよく、急冷工作物14が、フライス加工中に、ミルテーブル上で静止する及び/又はミルテーブルに対して固定される。
【0011】
機械加工装置10は、急冷工作物14上で任意の所望の動作又は操作を実行するように構成されうる。例えば、機械加工装置10は、急冷工作物14上で、切断、フライス加工、穴あけ、旋削、トリミング、フェーシング、スムージング、研削、ブローチ加工、ホーニング、リーマ加工、成形、ねじ切り、タッピング、ボーリング、プレーニング(planing)、及び/又は任意の他の機械加工動作を実行するように構成されうる。本書で使用される際に、「切断(cutting)」という用語は、工作物の形状、サイズ、プロファイル、及び/又は輪郭を定義するための、スコアリング、プロファイリング、1つの層を完全に切断すること、2つ以上の層を完全に切断すること、1つ又は複数の層を部分的に切断すること、機械加工、フライス加工、又はワークピースからの材料除去を含む。機械加工装置10が、従来「機械加工している」とみなされるそのような動作を実行するように構成されうる一方で、いくつかの例では、そのような装置10は、上記の動作及び操作に加え又はそれらの代替として、他の動作又は操作のために構成されてもよい。本書で使用される際、「機械加工する(machining)」という用語は、急冷工作物14で実行される任意の所望の動作又は操作を含む。例えば、機械加工装置10は、急冷工作物14を保持及び固定するように構成される一方で、冷却システム18は、塗装、ルーティング、サンディング、溶接、組み立て、製造、ビルドアップ、レイアップ、接着、マーキング、テスト、検査、スキャニング、リペアリング、ブラスティング、エンボシング、メタライジング、印刷、はんだ付け、ロボットエンドエフェクタによる操作、及び/又は任意のその他の製造プロセス、動作、又は急冷工作物14上で実行される操作中に、接着剤24が硬化するのを防止する。
【0012】
この目標を達成するために、機械加工ツール12は、機械加工装置10の所望の動作のための任意の適切なツールであってもよい。機械加工ツール12は、例えば、レーザーカッター、ウォータージェットカッター、ブレードカッター、及び/又は液体窒素ジェットカッターなどの切断機構でありうる。機械加工ツール12が切断機構である例では、当該切断機構は、極低温の冷却流体及び/又は極低温カッターを含みうる。他の例示的実施例では、機械加工ツール12は、ブローチ盤、ドリル、ホーン、旋盤、ミル、シェーパー、プレーナー、研削盤、マルチタスク機械加ツール、溶接ヘッド、レーザー溶接機、及び/又は塗料スプレーガンを含みうる。機械加工ツール12は、いくつかの例では、自動化されており及び/又は数値制御される。
【0013】
いくつかの例では、冷却システム18は、機械加工装置10によって温度制御された機械加工動作を可能にする。要するに、冷却システム18は、急冷工作物14及び/又は支持面16の温度を選択的に上昇又は低下させるよう構成されうる。例えば、冷却システム18は、選択された動作中に急冷工作物14の温度を低下させるように、又は所与の機械加工動作中に時間を削減するように構成されてもよく、かつ温度を積極的に上昇させるように、及び/又は機械加工プロセスの他の時間若しくは動作中に温度を受動的に上昇させることができるように構成されてもよい。そのような温度変化は、プログラムされても、又は自動化されてもよく、オペレータ又は技術者からの追加入力がなくても発生する。更に又は代替的には、そのような選択的温度変化は、機械加工動作中に手動で遂行されてもよい。
【0014】
冷却システム18の冷却流体26は、支持面16に対して冷却流体26を配置する及び/又は運動させることによって、支持面16及び急冷工作物14を放射状に冷却してもよい。例えば、冷却流体26は、1つ又は複数の流体チャネル45を通るなど、支持面16を通って又は支持面16の下を流れることがある。当該流体チャネル45は、支持面16に対して位置付けられ、流体チャネル45の冷却流体26が、支持面16、及び支持面16によって支持される任意の急冷工作物14を冷却する。そのような流体チャネル45は、支持面16を冷却するために、支持面16内に埋め込められてもよく、支持面16の下に位置付けられてもよく、及び/又は別の方法で機械加工装置10内に位置付けられてもよい。更に又は代替的には、冷却流体26は、支持面16が静止する又は接触する液浴を形成することがある。特定の例では、冷却流体26は、CNCミルテーブル上に置かれた急冷工作物を冷却するために、CNCミルテーブルを通って流れることがある。冷却流体26は、冷媒、水、液体窒素といった、任意の適した流体でありうる。
【0015】
いくつかの例では、冷却システム18は、互いに独立した支持面16の1つ又は複数の異なるゾーン29又はエリアを制御するように構成される。例示的例として、図2は、支持面16の例である、支持面28の概略平面図を示す。支持面28は、第1のゾーン30、第2のゾーン32、及び第3のゾーン34を含み、これらすべてがゾーン29の例である。支持面28に動作可能に結合された冷却システム18(図1)は、第1のゾーン30、第2のゾーン32、及び第3のゾーン34を独立して制御するように構成されてもよく、冷却システム18が、第1のゾーン30の支持面28の温度を選択的に上昇又は低下させる一方で、第2のゾーン32及び/又は第3のゾーン34の温度を実質的に変化させないまま維持しうる。同様に冷却システム18は、ゾーン30、32、34(当該ゾーン29のサブセットを含む)のいずれかの温度を選択的に上昇又は低下させるように構成されうる。支持面28が3つのこのようなゾーン29と共に図解されているが、支持面16の他の例が含む独立して制御されるゾーン29は、これよりも多くても少なくてもよい。更に、当該独立して制御されるゾーン29は、所与の支持面16内で同じようなサイズ及び形状であってもよく、又は1つ又は複数のゾーン29は、所与の支持面16内で1つ又は複数のゾーン29と異なるサイズ及び/又は形状であってもよい。所与の支持面16内での1つ又は複数の別個のゾーン29の当該独立した制御は、自動化されてもよく、又は機械加工動作中に手動で遂行されてもよい。
【0016】
更に又は代替的には、図1を参照すると、機械加工装置10は、急冷工作物14の機械加工中に温度情報フィードバックを提供するように構成された1つ又は複数の温度センサ36を含みうる。温度センサ36は、熱電対、サーミスタ、温度計、抵抗温度計、半導体ベースのセンサ、及び/又は温度プローブといった、任意の形態の温度センサを含みうる。冷却システム18は、1つ又は複数のそのような温度センサ36からのフィードバックに応じて、支持面16の温度(したがって、急冷工作物14の温度)を選択的に上昇又は低下させるように構成されうる。例えば、冷却システム18は、急冷工作物14の機械加工中に、支持面16及び/又は急冷工作物14を所定の閾値温度(所定範囲の温度も含む)以下に維持するように構成されうる。1つ又は複数の温度センサ36が所定の閾値温度を超えた温度を検出した場合、次いで、冷却システム18は、1つ又は複数の温度センサ36から受信した温度データ(例えば、フィードバック)に応じて、冷却流体26の流れを増加させ及び/又は冷却流体26の温度を低下させることなどによって、支持面16及び急冷工作物14の温度を低下させることがある。同様に、冷却システム18は、1つ又は複数の温度センサ36からのフィードバックに応じて、支持面16及び急冷工作物の温度を選択的に上昇させる(例えば、冷却流体26の流れを低減すること又は冷却流体26の温度を上昇させることによって)ように構成されうる。
【0017】
当該温度センサ36は、支持面16及び/又は急冷工作物14に動作可能に結合される。例えば、1つ又は複数の温度センサ36は、支持面16内に埋め込まれ及び/又は急冷工作物14内に埋め込まれてもよい。更に又は代替的には、1つ又は複数の温度センサ36は、急冷工作物14(及び/又は支持面16)に接触することなどによって、急冷工作物14(及び/又は支持面16)に結合されてもよい。いくつかの例では、温度センサ36は、接触することなく、支持面16及び/又は急冷工作物14の温度を測定するように構成される非接触温度センサでありうる。例えば、1つ又は複数の温度センサ36は、支持面16及び/又は急冷工作物14から離間するように位置付けられうる。いくつかの例では、1つ又は複数の温度センサ36は、冷却システム18の1つ又は複数の流体チャネル45内に位置付けられうる。
【0018】
接着剤24は、いくつかの例では、感温膜接着剤(例えば、熱硬化性又は熱可塑性接着剤)である。接着剤24は、異なる温度で又はその範囲内のいずれかで硬化するように構成されうる。いくつかの例では、接着剤24は、室温で硬化する。いくつかの例では、接着剤24は、室温未満の硬化温度で硬化する。室温未満で硬化する接着剤24を利用する例では、そのような接着剤は、冷蔵用に構成され、よって使用するまで冷蔵で保管されると言えよう。いくつかの例では、接着剤24は、室温を超える硬化温度で硬化する。例えば、接着剤24は、少なくとも80°F、少なくとも90°F、少なくとも100°F、少なくとも110°F、少なくとも120°F、少なくとも130°F、少なくとも140°F、少なくとも150°F、少なくとも160°F、少なくとも170°F、少なくとも180°F、少なくとも190°F、及び/又は少なくとも200°Fに及ぶ硬化温度で、又はその硬化温度の範囲内で硬化しうる。いくつかの例では、接着剤24は、80°F未満の温度又は80°F未満の温度範囲内で、80°Fと100°Fとの間の温度又は範囲で、100°Fと120°Fとの間の温度又は範囲で、120°Fと140°Fとの間の温度又は範囲で、140°Fと160°Fとの間の温度又は範囲で、又は160°Fと180°Fとの間の温度又は範囲で、硬化するように構成される。接着剤24の例は、限定されないが、ポリカーボネートフィルム接着剤、エポキシフィルム接着剤、シアン酸エステルフィルム接着剤、ポリイミドフィルム接着剤、ビスマレイミドフィルム接着剤,及び/又はフェノールフィルム接着剤を含む。適したフィルム接着剤は、例えば、Hexcel(米国コネチカット州スタンフォード)、Renegade Materials Corp.(オハイオ州マイアミズバーグ)、Magnolia Advanced Materials Inc.(米国ジョージア州アトランタ)、又はCytec Solvay Group(ニュージャージー州ウッドランドパーク)から取得されうる。
【0019】
冷却システム18は、急冷工作物14の機械加工中に、急冷工作物14を所定の閾値温度未満に維持するように構成され、当該所定の閾値温度は、概して、周囲温度未満かつ接着剤24の硬化温度未満である。所定の閾値温度は、種々の例では、接着剤の硬化温度よりも少なくとも10度低い、硬化温度よりも少なくとも20度低い、硬化温度よりも少なくとも30度低い、硬化温度よりも少なくとも40度低い、硬化温度よりも少なくとも50度低い、硬化温度よりも少なくとも60度低い、硬化温度よりも少なくとも70度低い、硬化温度よりも少なくとも80度低い、硬化温度よりも少なくとも90度低い、及び/又は硬化温度よりも少なくとも100度低い。更に又は代替的には、機械加工装置10は、急冷工作物14の機械加工中に、急冷工作物14を150°F、140°F、130°F、120°F、110°F、100°F、90°F、80°F、70°F、60°F、50°F、40°F、及び/又は30°F未満の温度に維持するように構成されうる。
【0020】
機械加工装置10のいくかの例は、真空システム38を含む。当該真空システム38は、支持面16に動作可能に結合されてもよく、急冷工作物14が支持面16によって支持されつつ、急冷工作物14の機械加工中に、真空システム38が急冷工作物14を支持面16に対して固定する。例えば、支持面16は、複数の貫通孔40(図2に示される)を含むことがあり、これらの貫通孔40を通り、真空が真空システム38により引かれ、それにより、急冷工作物14が貫通孔40の上に置かれたときに、急冷工作物14が支持面16に向かって引き寄せられる。更に又は代替的には、機械加工装置10のいくつかの例は、急冷工作物14の機械加工中に、支持面16に対して急冷工作物14を固定するための機械的クランプ機構42を含む。
【0021】
いくつかの例では、急冷工作物14は、図2に見られるように、急冷工作物14の外周50の周りに位置付けられた、1つ又は複数のタブ48を含む。当該タブ48は、任意のサイズ又は形状であってもよく、互いから離間している複数のタブ48の形態をとってもよい。他の例では、タブ48は、急冷工作物14の外周50の少なくとも一部の周りに、連続するリッジ又はリム53を形成しうる。タブ48は、急冷工作物14から選択的に除去され、よって急冷工作物14を支持面16に固定するのに役立つことがあり、次いで、急冷工作物14の機械加工後に除去される。例えば、クランプ機構42は、機械加工中に急冷工作物14を固定するために、タブ48に係合しうる。
【0022】
再び図1を参照すると、いくつかの例では、急冷工作物が支持面16の上に直接位置付けられる間に、いくつかの機械加工装置10は、急冷工作物14と支持面16との間に位置付けられた1つ又は複数の構造又は層を含みうる。例えば、急冷工作物14が支持面16によって支持されるときに、熱伝導性犠牲材料44の層が、支持面16と急冷工作物14との間に位置付けられてもよい。そのような熱伝導性犠牲材料44は、熱伝導性となるように構成され、急冷工作物14が熱伝導性犠牲材料44の上に位置付けられるとき、冷却システム18からの冷却効果が、熱伝導性犠牲材料44を通って、急冷工作物14に送信される。加えて、そのような熱伝導性犠牲材料44は、急冷工作物14の機械加工中に、支持面16を保護するように構成されてもよい。例えば、機械加工装置10が急冷工作物14を切断するように構成される例では、熱伝導性犠牲材料44は、機械加工ツール12の、支持面16への接触及び/又は支持面16の損傷を防止するのに十分厚く及び/又は十分強いことなどによって、支持面16を機械加工ツール12から保護しうる。熱伝導性犠牲材料44は、急冷工作物14の第1の表面20又は第2の表面22の一部又はすべての下に存在するようなサイズ及び形状でありうる。要するに、熱伝導性犠牲材料44の表面積は、いくつかの例では、急冷工作物14の表面積(又は設置面積)よりも大きいことがある。他の例では、熱伝導性犠牲材料44の設置面積は、急冷工作物14の設置面積よりも小さくてもよい。いくつかの例では、熱伝導性犠牲材料44の複数の部品は、急冷工作物14と支持面16との間に位置付けられてもよく、これらは、層で積み重ねられてもよく、及び/又は支持表面16の表面にわたって離間していてもよい。
【0023】
真空システム38は、急冷工作物14の機械加工中に、熱伝導性犠牲材料44を支持面16に固定するように構成されうる。いくつかの例では、熱伝導性犠牲材料44は、貫通孔(又は真空ポート)46を含んでもよく、真空システム38が貫通孔46を通して真空を引き、これにより、急冷工作物14が熱伝導性犠牲材料44上に置かれるとき、急冷工作物14を熱伝導性犠牲材料44に固定する。熱伝導性犠牲材料44に加えて又代替的には、急冷工作物14は、急冷工作物14の機械加工中に、機械加工ツール12が支持面16に衝突するのを防止する、1つ又は複数のリリーフ52を含みうる。
【0024】
急冷工作物14は、概して、シート材料56の形態をとるが、急冷工作物14の他の形状及びサイズが本開示の範囲内にもある。急冷工作物14を形成しうるシート材料56の特定の例は、ポリマー強化炭素繊維及び/又はガラス繊維材料などのポリマー強化繊維を含む。特定の例では、急冷工作物14は、パネルを形成するためにまとめて積み重ねられた材料の複数の層(プライ)から形成される航空機用のパネルであってもよい。急冷工作物14は、シート材料に接着され、結合され、又は一体的に形成された犠牲材料を含みうる。
【0025】
接着剤24は、いくつかの例では、急冷工作物14のシート材料56に予め接着されてもよい。他の例では、接着剤24は、機械加工装置10を使用して急冷工作物14を機械加工する直前に、シート材料56に塗布されてもよい。機械加工装置10は、いくつかの例では、モジュール式又は統合型の冷却システム18を備える、独立型の機械加工装置であってもよい。更に又は代替的には、機械加工装置10は、既存の機械に本開示による冷却システム18を後付けすることによって、形成されてもよい。
【0026】
図3は、本開示によるキット54の例を概略的に示す。キット54は、シート材料56と、シート材料56の第1の表面58及び/又は第2の表面60に結合された接着剤24とを含み、工作物62(急冷工作物14の例である)を形成する。工作物62は、接着剤24の硬化温度未満の温度まで急冷される。複数の部品64の各々が、シート材料56に予め形成され、それぞれの部品64が、シート材料56及び/又は接着剤24のセグメントによってまとめて結合され、それぞれの部品64をシート材料56に形成された他の部品64から分解することにより、それぞれの部品64が、キット54から選択的に除去可能である。特定の例では、部品64は、航空機構造のための複数のシムである。部品64は、航空機アセンブリの特定の施工時の間隙に嵌合するように切断されてもよい。
【0027】
図4は、本開示による、急冷工作物(例えば、急冷工作物14)を機械加工する方法100の例示的かつ非限定的な例を示すフローチャートを概略的に提供する。図4では、いくつかのステップが破線ボックスで示されており、そのようなステップがオプションでありうるか、又は本開示による方法のオプションのバージョンに対応しうることを示している。とはいえ、本開示によるすべての方法が、実線のボックスで示されたステップを含む必要があるわけではない。本書の説明から理解されるように、図4に示される方法及びステップは限定的なものではなく、他の方法及びステップは本開示の範囲内であり、例示されるステップより多い又は少ない数のステップを有する方法が含まれる。
【0028】
方法100は、概して、102において、急冷工作物が機械加工装置の支持面(例えば、機械加工装置10の支持面16)によって支持されるように、急冷工作物を位置付けることと、104において、急冷工作物が支持面によって支持される間に、機械加工ツール(例えば、機械加工ツール12)を介して急冷工作物を機械加工することと、106において、急冷工作物の機械加工中に、急冷工作物の接着剤(例えば、接着剤24)の機械加工温度が所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止することとを含む。106での当該防止することが、機械加工装置の冷却システム(例えば、冷却システム18)によって実施される。例えば、106での防止することは、冷却流体が、急冷工作物を冷却する、又は急冷工作物の温度を維持するように、冷却流体(例えば、冷却流体26)を、支持面に対して位置付けられた1つ又は複数の流体チャネル(例えば、流体チャネル45)を通して流すことを含みうる。
【0029】
当該所定の閾値温度は、概して、機械加工装置の冷却システムが、急冷工作物及び接着剤を、接着剤が急冷工作物の機械加工中に硬化し始めない程度に十分に低い温度に維持するように、接着剤の硬化温度に少なくとも部分的に基づいて決定される。所定の閾値温度は、接着剤の硬化温度よりも少なくとも10°F低い、硬化温度よりも少なくとも20°F低い、硬化温度よりも少なくとも30°F低い、硬化温度よりも少なくとも40°F低い、硬化温度よりも少なくとも50°F低い、硬化温度よりも少なくとも60°F低い、硬化温度よりも少なくとも70°F低い、硬化温度よりも少なくとも80°F低い、硬化温度よりも少なくとも90°F低い、及び/又は硬化温度よりも少なくとも100°F低いことがある。
【0030】
104での機械加工は、レーザーカッター、ウォータージェットカッター、極低温カッター、及び/又は液体窒素カッターなどを介して、急冷工作物を切断することを含みうる。104での機械加工が急冷工作物を切断すること含む例では、機械加工ツールは、シート材料全体及び/又は接着剤全体を切断するように構成されうる。いくつかの例では、104で機械加工することは、シート材料を部分的に通って及び/又は接着剤を部分的に通って切断することを含む。例えば、104で機械加工することは、複数のそれぞれの形状又は部品に切り込みを入れて急冷工作物にするためなどに、接着剤及び/又はシート材料に切り込みを入れることを含み、次いで、114で、選択的に除去される又は互いから分離されることがある。特定の例では、104で機械加工することは、必要に応じてリアルタイムで、急冷工作物内の複数の特定の部品をプロファイリングすることを含む。更に又は代替的には、104で機械加工することは、フライス加工、穴あけ、旋削、トリミング、フェーシング、スムージング、研削、ブローチ加工、ホーニング、リーマ加工、成形、ねじ切り、タッピング、ボーリング、プレーニング、及び/又は任意の他の機械加工動作を含みうる。104における機械加工は、シート材料と接着剤との両方でまとめて実行される(例えば、接着剤がシート材料に塗布された後に)。104で機械加工することは、数値制御された機械加工装置などによって、自動化されてもよい。
【0031】
いくつかの方法100は、104での機械加工の前に、接着剤及び/又は急冷工作物を108における冷蔵で保管することを含む。更に又は代替的には、例えば、急冷工作物が別の構造に固定されるまで(例えば、接着剤を硬化させることにより、急冷工作物構造に接着することなどによって)、急冷工作物は、104での機械加工の後に、108における冷蔵で保管されうる。更に、方法100は、104での機械加工の後に、110において、急冷工作物を構造に固定することを含みうる。いくつかの例では、110で急冷工作物を構造(例えば、航空機翼アセンブリといった航空機構造)に固定することは、工作物が構造に固定されている際に、圧力及び/又は熱を急冷工作物に印加することを含む。110で急冷工作物を構造に固定することは、104での機械加工と110での固定との間に、急冷工作物を保管することなく、実行されてもよい。よって、方法100のいくつかの例は、保管要件及び/又は廃棄物を削減するように構成されたLEAN製造方法であってもよい。
【0032】
いくつかの例では、方法100は、112で、接着剤(例えば、フィルム接着剤)を、シート材料の急冷工作物の第1の表面及び/又は第2の表面(例えば、第1の表面20及び/又は第2の表面22)に塗布することを含む。112で接着剤を塗布することは、102で支持面に対して位置付けられる前又は後に実行されうる。102で急冷工作物を位置付けることは、接着剤が支持面の方を向く及び/又は支持面に接触するように、急冷工作物を位置付けること、及び/又は接着剤が支持面から反対方向を向くように、急冷工作物を位置付けることを含みうる。
【0033】
方法100は、104で急冷工作物が、機械加工中の移動を実質的に防止されるように、116で支持面に対して急冷工作物を固定することを含みうる。例えば、116で固定することは、急冷工作物を支持面に対して引く真空システム(例えば、真空システム38)を介して、急冷工作物を固定すること、及び/又は支持面に対して急冷工作物を固定するクランプ機構(例えば、クランプ機構42)を介して、急冷工作物を固定することを含みうる。いくつかの方法100は、118で、急冷工作物の外周から、1つ又は複数のタブ(例えば、タブ48)を除去することを含む。当該タブは、クランプ機構を使用して、タブ上にクランピングすることによって、急冷工作物を固定するために使用されてもよい。118での当該除去することは、104での機械加工の後に実行される。
【0034】
いくつかの例では、方法100は、120で、熱伝導性犠牲材料(例えば、熱伝導性犠牲材料44)を支持面上に位置付ける又は置くこと含み、熱伝導性犠牲材料は、急冷工作物を機械加工する間、支持面を保護するように構成されている。そのような熱伝導性犠牲材料は、機械加工ツールが支持面と接触するのを防止するように、構成され、位置付けられうる。120で犠牲材料を置くことはまた、真空システムを介すなどして、犠牲材料を支持面に固定することを含みうる。更に又は代替的には、方法100は、122で、1つ又は複数のリリーフ(例えば、リリーフ52)を急冷工作物内に形成することを含むことがあり、1つ又は複数のリリーフは、急冷工作物の機械加工中に支持面と接触するのを防止するように、サイズが決定され、形状が決定され、位置付けられる。
【0035】
本開示による発明対象の例示的かつ非限定的な例が、以下に列挙される段落に記載される。
A1. 機械加工装置であって、
急冷工作物を機械加工するための機械加工ツールと、
機械加工ツールによる機械加工中に、急冷工作物を支持するための支持面と、
支持面に動作可能に結合された冷却システムであって、急冷工作物に結合された接着剤の機械加工温度が、急冷工作物の機械加工中に所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止し、急冷工作物の機械加工中に接着剤の硬化を防止する冷却システムと
を含み、
冷却システムは、急冷工作物が支持面によって支持される間、支持面を介して、急冷工作物を放射状に冷却する冷却流体を含み、
冷却システムが、急冷工作物の機械加工温度を周囲温度未満に維持する、機械加工装置。
A1.1 機械加工ツールが、急冷工作物を切断するための切断機構である、段落A1に記載の機械加工装置。
A2. 切断機構がレーザーカッターを含む、段落A1.1に記載の機械加工装置。
A3. 切断機構が数値制御(NC)される、段落A1.1からA2のいずれかに記載の機械加工装置。
A4. 切断機構が自動化される、段落A1.1からA3のいずれかに記載の機械加工装置。
A5. 切断機構がウォータージェットカッターを含む、段落A1.1からA4のいずれかに記載の機械加工装置。
A6. 切断機構が液体窒素ジェットカッターを含む、段落A1.1からA5のいずれかに記載の機械加工装置。
A7. 切断機構が極低温の冷却流体を含む、段落A1.1からA6のいずれかに記載の機械加工装置。
A7.1. 切断機構が極低温カッターを含む、段落A1.1からA7のいずれかに記載の機械加工装置。
A7.2. 切断機構がブレードカッターを含む、段落A1.1からA7.1のいずれかに記載の機械加工装置。
A7.3. 機械加工ツールが、切断機構と、レーザーカッターと、ウォータージェットカッターと、ブレードカッターと、液体窒素ジェットカッターとを含む、段落A1からA7.2のいずれかに記載の機械加工装置。
A7.4 切断機構が、極低温の冷却流体及び/又は極低温カッターを含む、段落A7.3に記載の機械加工装置。
A7.5 機械加工ツールが、ブローチ盤、ドリル、ホーン、旋盤、ミル、シェーパー、プレーナー、研削盤、マルチタスク機械加ツール、溶接ヘッド、レーザー溶接機、及び/又は塗料スプレーガンを含む、段落A1からA7.4のいずれかに記載の機械加工装置。
A8. 冷却システムが、支持面の温度及び/又は急冷工作物の温度を選択的に上昇又は低下させるように構成される、段落A1からA7.5のいずれかに記載の機械加工装置。
A9. 冷却システムが、互いに独立して、支持面の複数のそれぞれのゾーンのそれぞれの温度を選択的に制御するように構成される、段落A1からA8のいずれかに記載の機械加工装置。
A10. 機械加工装置が、急冷工作物の機械加工中に温度情報を含むフィードバックを提供するように構成された1つ又は複数の温度センサを更に含む、段落A1からA9のいずれかに記載の機械加工装置。
A10.1. 1つ又は複数の温度センサのうちの少なくとも1つが熱電対を含む、段落A10に記載の機械加工装置。
A11. 機械加工装置は、支持面が、支持面に及び/又は急冷工作物に動作可能に結合された1つ又は複数の温度センサからのフィードバックに応じて、温度を選択的に上昇又は低下させるように構成される、段落A1からA10.1のいずれかに記載の機械加工装置。
A12. 機械加工装置が、急冷工作物の機械加工中に、急冷工作物を、150°F、140°F、130°F、120°F、110°F、100°F、90°F、80°F、70°F、60°F、50°F、40°F、及び/又は30°Fの温度に維持する、段落A1からA11のいずれかに記載の機械加工装置。
A13. 支持面が、急冷工作物の接着剤側を支持するように構成される、段落A1からA12のいずれかに記載の機械加工装置。
A14. 支持面が、急冷工作物の接着剤を含まない側を支持するように構成される、段落A1からA13のいずれかに記載の機械加工装置。
A15. 冷却システムが液冷却浴(liquid cooling bath)を含む、段落A1からA14のいずれかに記載の機械加工装置。
A16. 冷却システムが、急冷工作物の温度を低下させるように構成される、段落A1からA15のいずれかに記載の機械加工装置。
A17. 冷却システムが、急冷工作物の温度を周囲温度未満に維持するように構成される、段落A1からA16のいずれかに記載の機械加工装置。
A18. 冷却システムが冷却床を含む、段落A1からA17のいずれかに記載の機械加工装置。
A19. 支持面が複数の貫通孔を含み、機械加工装置が真空システムを更に含み、真空システムが、複数の貫通孔を介して支持面に動作可能に結合され、急冷工作物の機械加工中に、急冷工作物を支持面に固定する、段落A18に記載の機械加工装置。
A20. 急冷工作物の機械加工中に、急冷工作物を支持面に固定するように構成された機械的クランプ機構を更に含む、段落A1からA19のいずれかに記載の機械加工装置。
A21. 機械加工装置がCNCミルテーブルを含み、支持面がCNCミルテーブルの一部を形成する、段落A1からA20のいずれかに記載の機械加工装置。
A22. 冷却流体がCNCミルテーブルを通って流れる、段落A21に記載の機械加工装置。
A23. 冷却流体が、水、液体窒素及び/又は冷却剤を含む、段落A1からA22のいずれかに記載の機械加工装置。
A24. 冷却流体が支持面の下を流れる、段落A1からA23のいずれかに記載の機械加工装置。
A25. 冷却システムが、冷却流体を流すための1つ又は複数の流体チャネルを含み、流体チャネルが支持面に対して位置付けられ、急冷工作物が支持面上に位置付けられるとき、冷却流体が支持面及び急冷工作物を冷却する、段落A1からA24のいずれかに記載の機械加工装置。
A26. 急冷工作物が支持面によって支持されるとき、支持面と急冷工作物との間に位置付けられた熱伝導性犠牲材料を更に含む、段落A1からA25のいずれかに記載の機械加工装置。
A27. 熱伝導性犠牲材料が、急冷工作物の機械加工中に支持面を保護するように構成される、段落A26に記載の機械加工装置。
A28. 機械加工装置が、急冷工作物の機械加工中に、熱伝導性犠牲材料を支持面に固定する真空システムを含む、段落A26からA27のいずれかに記載の機械加工装置。
A29. 熱伝導性犠牲材料が、1つ又は複数の真空ポートを含み、真空システムが、1つ又は複数の真空ポートを介して、急冷工作物を熱伝導性犠牲材料に固定する、段落A28に記載の機械加工装置。
【0036】
B1. 段落A1からA29のいずれかに記載の機械加工装置と、
急冷工作物と
を含むシステムであって、急冷工作物が、第1の表面、及び第1の表面の反対側の第2の表面を有するシート材料を含み、接着剤が、シート材料の第1の表面及び/又は第2の表面に結合される、システム。
B2. 接着剤が感温接着剤である、段落B1に記載のシステム。
B3. 接着剤がフィルム接着剤である、段落B1又はB2に記載のシステム。
B4. 接着剤が80°F未満の温度で硬化するように構成され、接着剤が80°Fと100°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が100°Fと120°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が120°Fと140°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が140°Fと160°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が160°Fと180°Fとの間の温度で硬化するように構成される、段落B1からB3のいずれかに記載のシステム。
B5. シート材料が繊維ガラス又は炭素繊維を含む、段落B1からB4のいずれかに記載のシステム。
B6. 接着剤が冷蔵のために構成される、段落B1からB5のいずれかに記載のシステム。
B7. 第1の表面が接着面である、段落B1からB6のいずれかに記載のシステム。
B8. 第1の表面が非接着面である、段落B1からB6のいずれかに記載のシステム。
B9. 第2の表面が接着面である、段落B1からB8のいずれかに記載のシステム。
B10. 第2の表面が非接着面である、段落B1からB9のいずれかに記載のシステム。
B11. 接着剤が、ポリカーボネートフィルム接着剤、エポキシフィルム接着剤、シアン酸エステルフィルム接着剤、ポリイミドフィルム接着剤、ビスマレイミドフィルム接着剤、及び/又はフェノールフィルム接着剤を含む、段落B1からB10のいずれかに記載のシステム。
B12. 急冷工作物が周囲温度未満の急冷温度を有する、段落B1からB11のいずれかに記載のシステム。
B13. 急冷温度が、150°F、140°F、130°F、120°F、110°F、100°F、90°F、80°F、70°F、60°F、50°F、40°F、及び/又は30°F未満である、段落B12に記載のシステム。
B14. シート材料が犠牲材料を含む、段落B1からB13のいずれかに記載のシステム。
B15. 急冷工作物を機械加工する前に、接着剤がシート材料に予め接着される、段落B1からB14のいずれかに記載のシステム。
B16. 急冷工作物が、急冷工作物の外周の周りに位置付けられた複数のタブを含み、複数のタブが、急冷工作物の機械加工後に選択的に除去可能であるように各々構成される、段落B1からB15のいずれかに記載のシステム。
B17. 複数のタブが、機械加工中に、機械加工装置に対して急冷工作物を固定するようまとめて構成される、段落B16に記載のシステム。
B18. 急冷工作物が1つ又は複数のリリーフを含み、1つ又は複数のリリーフは、急冷工作物の機械加工中に、機械加工ツールが支持面に衝突することを防止する、段落B1からB17のいずれかに記載のシステム。
【0037】
C1. 第1の表面、及び第1の表面の反対側の第2の表面を有するシート材料と、
第1の表面及び/又は第2の表面に連結された接着剤と
を含むキットであって、接着剤が、硬化温度で硬化するように構成され、キットが、硬化温度未満になるように急冷され、複数の部品がシート材料内で各々形成され、それぞれの部品が、シート材料及び/又は接着剤によってまとめて結合され、それぞれの部品をシート材料に形成された他の部品から分解することによって、それぞれの部品が各々、キットから選択的に除去可能であるように構成される、キット。
C2. 接着剤がフィルム接着剤である、段落C1に記載のキット。
C3. 接着剤が、ポリカーボネートフィルム接着剤、エポキシフィルム接着剤、シアン酸エステルフィルム接着剤、ポリイミドフィルム接着剤、ビスマレイミドフィルム接着剤,及び/又はフェノールフィルム接着剤を含む、C1又はC2に記載のキット。
C4. 複数の部品が、航空機構造のための複数のシムを含む、段落C1からC3のいずれかに記載のキット。
C5. 複数の部品のそれぞれの部品各々が、航空機翼アセンブリの特定の施工時の間隙に嵌合するように切断される、段落C1からC4のいずれかに記載のキット。
【0038】
D1. 急冷工作物が機械加工装置の支持面によって支持されるように、急冷工作物を位置付けることであって、急冷工作物が、第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面とを有するシート材料を含み、接着剤がシート材料の少なくとも第1の表面及び/又は第2の表面に結合され、支持面が、機械加工装置の機械加工ツールによる機械加工中に、急冷工作物を支持し、機械加工装置が、支持面に動作可能に結合された冷却システムを含み、支持面は、接着剤の機械加工温度が、急冷工作物の機械加工中に、所定の閾値温度を超えて上昇するのを防止し、冷却システムが、急冷工作物の機械加工中に、接着剤の硬化を防止するように構成される、急冷工作物を位置付けることと、
急冷工作物が支持面によって支持される間に、機械加工ツールを介して、急冷工作物を機械加工することと、
接着剤の機械加工温度が、機械加工中に、冷却システムを介して、所定の閾値温度より上昇するのを防止することと
を含む方法。
D2. 機械加工装置が、段落A1からA29のいずれかに記載の機械加工装置である、段落D1に記載の方法。
D3. 所定の閾値温度が、接着剤が硬化するように構成されている硬化温度に基づく、段落D1又はD2に記載の方法。
D4. 所定の閾値温度が硬化温度より少なくとも10°F低く、硬化温度より少なくとも20°F低く、硬化温度より少なくとも30°F低く、硬化温度より少なくとも40°F低く、硬化温度より少なくとも50°F低く、硬化温度より少なくとも60°F低く、硬化温度より少なくとも70°F低く、硬化温度より少なくとも80°F低く、硬化温度より少なくとも90°F低く、及び/又は硬化温度より少なくとも100°F低い、段落D3に記載の方法。
D5. 接着剤がフィルム接着剤を含む、段落D1からD4のいずれかに記載の方法。
D6. 接着剤が、ポリカーボネートフィルム接着剤、エポキシフィルム接着剤、シアン酸エステルフィルム接着剤、ポリイミドフィルム接着剤、ビスマレイミドフィルム接着剤、及び/又はフェノールフィルム接着剤を含む、段落D1からD5のいずれかに記載の方法。
D7. 接着剤が80°F未満の温度で硬化するように構成され、接着剤が80°Fと100°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が100°Fと120°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が120°Fと140°Fとの間の温度で硬化するように構成され、接着剤が140°Fと160°Fとの間の温度で硬化するように構成され、又は接着剤が160°Fと180°Fとの間の温度で硬化するように構成される、段落D1からD6のいずれかに記載の方法。
D8. シート材料が繊維ガラス又は炭素繊維を含む、段落D1からD7のいずれかに記載の方法。
D9. 接着剤が冷蔵のために構成され、当該方法が、急冷工作物を位置付ける前に、接着剤を冷蔵で保管することを更に含む、段落D1からD8のいずれかに記載の方法。
D10. 急冷工作物を機械加工した後に、急冷工作物を冷蔵で保管することを更に含む、段落D1からD9のいずれかに記載の方法。
D11. 急冷工作物を機械加工した後に、急冷工作物を構造に固定することを更に含む、段落D1からD10のいずれかに記載の方法。
D11.1. 固定することが、工作物が構造に固定されている際に、圧力及び/又は熱を急冷工作物に印加することを含む、段落D11に記載の方法。
D11.2. 構造が航空機構造である、段落D11又はD11.1に記載の方法。
D11.3. 固定することが、機械加工することと固定することとの間に、急冷工作物を保管することなく、急冷工作物を固定することを含む、段落D11からD11.2のいずれかに記載の方法。
D11.4. 当該方法がLEAN製造プロセスである、段落D1からD11.3のいずれかに記載の方法。
D12. 急冷工作物を位置付ける前に、急冷工作物を冷蔵で保管することを更に含む、段落D1からD11.4のいずれかに記載の方法。
D13. 接着剤を、シート材料第1の表面及び/又は第2の表面塗布することを更に含む、段落D1からD12のいずれかに記載の方法。
D14. 接着剤を塗布することが、急冷工作物を位置付ける前に実行される、段落D13に記載の方法。
D15. 接着剤を塗布することが、急冷工作物を位置付けた後に実行される、段落D13に記載の方法。
D16. 接着剤を塗布することが、フィルム接着剤のシートを塗布することを含む、段落D13からD15のいずれかに記載の方法。
D17. 機械加工を行うことが自動化される、段落D1からD16のいずれかに記載の方法。
D18. 機械加工することが、急冷工作物を切断することを含む、段落D1からD17のいずれかに記載の方法。
D18.1 機械加工することが、レーザー切断、ウォータージェット切断、及び/又は液体窒素切断を含む、段落D1からD18のいずれかに記載の方法。
D19. 機械加工ツールが数値制御される、段落D1からD18.1のいずれかに記載の方法。
D20. 機械加工することが、シート材料を完全に切断することを含む、段落D1からD19のいずれかに記載の方法。
D21. 機械加工することが、接着剤を完全に切断することを含む、段落D1からD20のいずれかに記載の方法。
D22. 機械加工することが、接着剤を部分的にだけ切断することを含む、段落D1からD20のいずれかに記載の方法。
D23. 機械加工することが、シート材料及び/又は接着剤に切り込みを入れることを含む、段落D1からD22のいずれかに記載の方法。
D24. 機械加工することが、複数のそれぞれの形状を急冷工作物にするよう切り込みを入れることを含む、段落D1からD22のいずれかに記載の方法。
D24.1. 機械加工することが、フライス加工、穴あけ、旋削、トリミング、フェーシング、スムージング、研削、ブローチ加工、ホーニング、リーマ加工、成形、ねじ切り、タッピング、ボーリング、プレーニング、及び/又は任意の他の機械加工動作を含む、段落D1からD22のいずれかに記載の方法。
D25. 複数のそれぞれの形状を互いから分離することを更に含む、段落D24.1に記載の方法。
D26.機械加工することが、シート材料と接着剤をまとめて切断することを含む、段落D1からD25のいずれかに記載の方法。
D27. 機械加工することが、必要に応じて、リアルタイムで複数のそれぞれの部品をプロファイルイングすることを含む、段落D1からD26のいずれかに記載の方法。
D28. 急冷工作物の、機械加工中の移動を防止するように、急冷工作物を支持面に固定することを更に含む、段落D1からD27のいずれかに記載の方法。
D29. 固定することが、急冷工作物を支持面に固定するために、真空を適用することを含む、段落D28に記載の方法。
D30. 固定することが、支持面に対して急冷工作物をクランピングすることを含む、段落D28からD29のいずれかに記載の方法。
D31. 位置付けることが、接着剤が支持面の方を向く及び/又は支持面に接触するように、急冷工作物を位置付けることを含む、段落D1からD30のいずれかに記載の方法。
D32. 位置付けることが、接着剤が支持面から反対側を向くように、急冷工作物を位置付けることを含む、段落D1からD31のいずれかに記載の方法。
D33. 機械加工の後に、急冷工作物の外周から1つ又は複数のタブを除去することを更に含む、段落D1からD32のいずれかに記載の方法。
D34. 防止することが、冷却流体が急冷工作物を冷却する又は急冷工作物の温度を維持するように、支持面に対して位置付けられた1つ又は複数の流体チャネルを通して冷却流体を流すことを含む、段落D1からD33のいずれかに記載の方法。
D35. 熱伝導性犠牲材料を支持面上に置くことを更に含み、熱伝導性犠牲材料が、急冷工作物を機械加工する間、支持面を保護するように構成される、段落D1からD34のいずれかに記載の方法。
D36. 熱伝導性犠牲材料は、機械加工ツールが支持面に接触するのを防止する、段落D35に記載の方法。
D37. 機械加工装置の真空システムを使用して、熱伝導性犠牲材料を支持面に固定することを更に含む、段落D35又はD36に記載の方法。
D38. 急冷工作物に1つ又は複数のリリーフを形成することを更に含み、1つ又は複数のリリーフは、急冷工作物の機械加工中に、機械加工ツールが支持面に接触するのを防止する、段落D1からD37のいずれかに記載の方法。
【0039】
E1. 急冷工作物を切断するための、段落A1からA29のいずれかに記載の機械加工装置及び/又は段落B1からB18のいずれかに記載のシステムの使用。
E2. 航空機の1つ又は複数のシムを機械加工するための、段落A1からA29のいずれかに記載の機械加工装置及び/又は段落B1からB18のいずれかに記載のシステムの使用。
【0040】
本書において、「適合し(adapted)」及び「構成され(configured)」という用語は、要素、構成要素、又はその他の対象が、所与の機能を果たすよう設計され、かつ/又は意図されていることを意味する。ゆえに、「適合し」及び「構成され」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、又は他の対象が、単に所与の機能を果たすことが「可能である(capable of)」ことを意味すると解釈すべきではなく、これらの要素、構成要素、及び/又は他の対象が、その機能を果たすという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラミングされ、かつ/又は設計されていることを意味すると、解釈すべきである。特定の機能を果たすよう適合していると列挙されている要素、構成要素、及び/又は他の列挙対象が、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう構成されていると説明されうること、及びその逆も、本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を実行するよう構成されると記載されている対象は、追加的又は代替的に、その機能を実行するよう動作可能であるとも説明されうる。
【0041】
本書において、「選択的な(selective)」及び「選択的に(selectively)」という用語は、装置の1つ又は複数の構成要素の動作、動き、構成、又は他の作動、或いは、装置の1つ又は複数の特性を改変する場合に、その特定の動作、動き、構成又は他の作動が、装置の一態様或いは1つ又は複数の構成要素をユーザが操作した直接的又は間接的な結果であることを意味する。
【0042】
本書で使用するとき、第1の実在物と第2の実在物との間に置かれる用語「及び/又は(and/or)」は、(1)第1の実在物、(2)第2の実在物、並びに(3)第1の実在物及び第2の実在物のうちの1つを意味する。「及び/又は」で列挙された複数の実在物は、同じように解釈すべきである。すなわち、実在物のうちの「1つ又は複数」はそのように等位接続される(so conjoined)。具体的に識別されるそれらの実在物に関連しているかどうかにかかわらず、「及び/又は」の文節によって具体的に識別される実在物以外の他の実在物が、オプションで存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」といった制限のない言語と併用されるときの「A及び/又はB」への言及は、一例では、Aのみ(オプションでB以外の実在物を含む)を指し、別の例では、Bのみ(オプションでA以外の実在物を含む)を指し、更に別の例では、AとBの両方(オプションで他の実在物を含む)を指すことがある。これらの実在物は、要素、動作、構造、ステップ、工程、値などを指すことがある。
【0043】
本書で使用されているように、1つ又は複数の項目リストに関連する「少なくとも1つの(at least one)」という表現は、項目リスト内の1つ又は複数の項目から選択された少なくとも1つの項目を意味するが、必ずしも項目リスト内に具体的に掲げられた各項目のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、項目リスト内の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つの」という表現が具体的に特定されたこれらの項目に関連する又は関連しないに関わらず、項目リスト内で具体的に特定された項目以外の項目もオプションにより存在しうることを認めている。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(或いは同様に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のAを含み、Bが存在しないこと(及び、オプションによりB以外の項目を含むこと)を意味し、別の実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のBを含み、Aが存在しないこと(及び、オプションによりA以外の項目を含むこと)を意味し、更に別の実施形態では、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のA、並びに、少なくとも1つの、オプションにより2つ以上のBを含むこと(及び、オプションにより他の項目を含むこと)を意味する。言い換えるならば、「少なくとも1つの」、「1つ又は複数の」、並びに「及び/又は」という表現は、その働きにおいて接続的であり、かつ分離的な非限定的表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B又はCのうちの1つ又は複数」、並びに「A、B、及び/又はC」という表現は、Aのみ、B、のみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、A、BとCを共に、また、オプションにより、上述のいずれかと少なくとも1つの他の項目との組み合わせ、を意味しうる。
【0044】
本書で使用されるように、「例えば(for example)」という表現、「1つの例として(as an example)」という表現、及び/又は、単なる「例(example)」という用語は、本開示による1つ又は複数の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して使用される場合、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的で非限定的な例であることを、伝えることを意図している。したがって、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定されること、必要とされること、又は限定的/網羅的であることは意図されない。構造的及び/又は機能的に類似した、かつ/又は同等の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法も、本開示の範囲に含まれる。
【0045】
装置及びシステムの様々な開示されている要素、並びに本書で開示されている方法のステップは、本開示による装置、システム、及び方法の全てに必要というわけではなく、本開示は、本書で開示されている様々な要素及びステップの、新規かつ進歩性のある全ての組み合わせ及び部分組み合わせを含む。更に、本書で開示されている様々な要素及びステップのうちの1つ又は複数は、開示された装置、システム、又は方法の全体とは分けられた別個の、独立した発明対象を規定しうる。従って、かかる発明対象は、本書で明示的に開示されている特定の装置、システム、及び方法と関連付けられる必要はなく、かかる発明対象は、本書で明示的に開示されていない装置、システム、及び/又は方法の有用性を見い出しうる。
図1
図2
図3
図4