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特許7548711熱交換器用プレート及びそれを具備する熱交換器
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  • 特許-熱交換器用プレート及びそれを具備する熱交換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】熱交換器用プレート及びそれを具備する熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/655 20140101AFI20240903BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240903BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240903BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240903BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240903BHJP
   C22C 21/00 20060101ALN20240903BHJP
   B23K 35/22 20060101ALN20240903BHJP
   B23K 35/28 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
H01M10/655
H01L23/46 Z
H05K7/20 P
H01M10/647
H01M10/613
C22C21/00 D
B23K35/22 310E
B23K35/28 310B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020041844
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144823
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂井 耐事
(72)【発明者】
【氏名】須山 隆行
(72)【発明者】
【氏名】岩本 卓也
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-174482(JP,A)
【文献】特開2015-041418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204488(US,A1)
【文献】特開2018-025319(JP,A)
【文献】特開平01-202393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/655
H01L 23/473
H05K 7/20
H01M 10/647
H01M 10/613
C22C 21/00
B23K 35/22
B23K 35/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金からなる熱交換器用プレート(1)であって
熱交換器用プレート(1)の一方の面(1a)に熱媒体である流体(6)が接触し、
熱交換器用プレート(1)の他方の面(1b)と、熱交換対象物(5)が配置されるホルダー(4)の平坦な底面(4a)とがろう付され、
熱交換器用プレート(1)の他方の面(1b)とホルダー(4)の平坦な底面(4a)との間にZnを含んだろう材層(10)が設けられている
ことを特徴とする熱交換器用プレート(1)
【請求項2】
アルミニウム合金からなり、
その一方の面(1a)に熱媒体である流体(6)が接触し、他方の面(1b)に部品(4)がろう付され、
他方の面(1b)と部品(4)との間にZnを含んだろう材層(10)が設けられている熱交換器用プレート(1)を具備し、
その内部に体(6)が流通し、外部に熱交換対象物(5)が配置され、体(6)と交換対象物(5)との間で熱交換を行う熱交換器において、
方の面(1b)には、品(4)である熱交換対象物(5)のホルダー(4)が設けられ、
ホルダー(4)は平坦な底面(4a)を有し、
方の面(1b)にルダー(4)の平坦な底面(4a)が、Znを含んだろう材層(10)を介して面接触し、それらの間が一体的にろう付固定された熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電池等の熱交換対象物と熱媒体との間で伝熱する熱交換器の熱媒体による耐腐食性の向上及び組立性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池等の熱交換対象物と熱媒体との間で伝熱する熱交換器について下記特許文献1に記載のものが知られている。
この熱交換器は、カッププレートとその開口を閉塞する蓋プレートとがろう付固定され、その蓋プレートの一方の面が内部の冷却水(熱媒体である流体)と接触し、他方の面に部品がろう付されるものである。
現在、熱交換器の蓋プレートにおいて、冷却水(熱媒体である流体)に対するより高い耐腐食性が求められている。
【0003】
また、図6に示す熱交換対象物として電気自動車などに使用するバッテリー5を冷却する熱交換器3は、前述の他方の面1bにホルダー4を設け、そこにバッテリー5を配置する。このホルダー4は、底面4aと、側壁4bと、底面4aに穿設された熱伝導シート9の配置溝8が設けられ、その配置溝8に熱伝導シート9が蓋となるプレート1に直接接触するように配置される。
バッテリー5から生じる熱は熱伝導シート9を介し、冷却水6と熱交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5982102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような熱交換器の場合、蓋プレートの冷却水と接触する面に設定されたろう材層において循環する冷却水がろう材層の全面に絶えず接触しているため、冷却水に対する蓋プレートの耐腐食性を向上させることが困難である。
また、図6のようなホルダー4の場合、熱伝導シート9を準備し、そのシート9をホルダー4の配置溝8に配置する手間がかかる。
そこで、本発明は熱交換器の耐腐食性の向上を課題とし、さらには、熱交換器にそのまま取り付けることができない熱交換対象物に対し、その組み立て性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、アルミニウム合金からなり、
その一方の面1aに熱媒体である流体6が接触し、他方の面1bに部品4がろう付され、
前記他方の面1bと前記部品4との間にZnを含んだろう材層10が設けられていることを特徴とする熱交換器用プレートである。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器用プレートを具備し、
その内部に前記流体6が流通し、外部に熱交換対象物5が配置され、前記流体6と前記熱交換対象物5との間で熱交換を行う熱交換器において、
前記他方の面1bには、前記部品4である熱交換対象物5のホルダーが設けられ、
前記ホルダーは平坦な底面4aを有し、
前記他方の面1bに前記ホルダーの平坦な底面4aが、前記Znを含んだろう材層10を介して面接触し、それらの間が一体的にろう付固定された熱交換器である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、アルミニウム合金からなり、その一方の面1aに熱媒体である流体6が接触し、他方の面1bに部品4がろう付され、その他方の面1bと部品4との間にZnを含んだろう材層10が設けられている熱交換器用プレートである。
この構造により、熱交換器用プレートの熱媒体である流体6による孔食腐食がろう材層10まで達した際に、そのろう材層10にはプレートの孔食腐食の孔部7に浸入した流体(冷却水)6のみが接触する為、前記プレートの前記流体(冷却水)6に対する耐腐食性が向上する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記発明の熱交換器用プレートを具備する熱交換器において、前記他方の面1bに熱交換対象物のホルダーが設けられ、そのホルダーは平坦な底面4aを有し、他方の面1bにホルダーの平坦な底面4aが、Znを含んだろう材層10を介して面接触し、それらの間が一体的にろう付固定されたものである。
この構造により、熱交換器3とは別部品の被熱受容体であるホルダーを熱交換器3とろう付固定し、一体化することにより、熱交換器の組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の熱交換器の分解斜視図(A)および組立て斜視図(B)。
図2図1(B)のII-II矢視断面図。
図3図2のIII部拡大図。
図4図2のIV部拡大図。
図5】本発明の作用を示す要部説明図。
図6】従来型熱交換器の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき説明する。
図1(A)は本発明の熱交換器の分解斜視図であり、図1(B)はその組立て斜視図である。図2図1(B)のII-II矢視断面図であり、図3図2のIII部拡大図、図4図2のIV部拡大図である。図5は本発明の作用を示す要部説明図である。
この例では、プレート1を蓋体1とし、熱媒体である流体6を冷却水6とし、熱交換対象物5をバッテリー5とし、部品4をホルダー4として説明する。
ただし、部品4をカッププレート2側に取り付ける場合、プレート1はカッププレート2に使用するプレートであってもよい。熱媒体である流体6は熱流体であってもよい。また、熱交換対象物は熱流体から吸熱するようなものであってもよい。部品4はプレート1と接触するものであればよいので、ホルダー以外のものであってもよい。
【0012】
本発明の熱交換器3は、図2に示す如く、周縁部2aを除く部分が凹陥した皿状のカッププレート2と、そのカッププレート2の開口を閉塞する蓋体1とからなる。
この熱交換器3の長手方向の一方の端部には、冷却水6の出入り口用の一対のパイプ11が設けられている。その内部は、図2に記載のように、カッププレート2の短手方向の中央位置に仕切部2bが設けられ、冷却水6が熱交換器3の他方の端部でUターンできるように、仕切部2bは熱交換器3の他方の端部までは伸びていない。
【0013】
そして、一方のパイプ11から熱交換器3に流入した冷却水6は、熱交換器3の他方の端部でUターンし、他方のパイプ11から流出する。この例では、熱交換器3の蓋体1の外面(後述する他方の面1b)側にホルダー4が配置されている。このホルダー4は図1に示すように、その外周に側壁4bが形成されている。また、ホルダー4の短手方向の中央位置には、長手方向に伸びる仕切部4cによって2列の平坦な底面4aが形成されている。このホルダー4には、熱伝導シート9を配置するための配置溝8は形成されていない。
図1(B)に記載の如く、このホルダー4に多数のバッテリー5が整列され、これらのバッテリー5から生じた熱を流体6に伝熱し、熱交換が行われる。
【0014】
この実施例では、蓋体1はアルミニウム合金からなり、その一方の面1aに冷却水6が接触し、他方の面1bにホルダー4がろう付される。
この蓋体1の芯材には、予め、他方の面1bのみにZnを含んだろう材が被覆または塗布される。このろう材は、通常、使用されるろう材(Si:6.8重量%~11重量%)に、Znを0.5重量%~5重量%添加したものを使用する。
また、芯材には、JIS規格の3203合金、3003合金等を使用することができるが、芯材の材料はこれに限られるものではない。
【0015】
ホルダー4の材質は、バッテリー5から生じる熱を熱交換器3の蓋体1に伝熱するため、熱交換器3の蓋体1と同じ材質であることが好ましい。また、蓋体1の他方の面1bではなく、ホルダー4の芯材の蓋体1と接する面側に上記Znを含んだろう材を被覆または塗布しておいてもよい。
蓋体1とホルダー4とカッププレート2とが組み立てられて、高温の炉内で一体的にろう付固定される。蓋体1の他方の面1bとホルダー4の外面との間にZnを含んだろう材層10が設定される。
【0016】
このように組み立てられた熱交換器3は、図5に示す如く、熱交換器3の経年劣化により、蓋体1の一方の面1aに熱交換器3内に流通する冷却水6による孔食腐食が生じ、孔部7が形成される。そして、その孔部7が蓋体1の他方の面1bに設定されたろう材層10まで達した際に、そのろう材層10には蓋体1の孔食腐食の孔部7に浸入した冷却水6のみが接触する為、蓋体1の冷却水6に対する耐腐食性が向上することになる。
また、この構造は、特許第5982102号公報に記載のプレートと異なり、冷却水が流通する側の面にはろう材を被覆または塗布しないため、その分、コストや作業の手間を省くことができる。
【0017】
この熱交換器3は、別部品の伝熱性のあるホルダー4を熱交換器3とろう付固定し、一体化されている。
そして、このホルダー4は、図6に記載の熱交換器のホルダーとは異なり、熱伝導シート9を配置するための配置溝8が形成されていない平坦な底面4aを形成しているので、バッテリー5を配置する際、その組立性が向上する。
この例のホルダー4は方形に形成され、その短手方向の中央位置に仕切部4cが形成されているが、バッテリーの形状などにより、ホルダー4の形状は異なるため、それ自体に伝熱性があり、熱伝導シート9を配置するための配置溝8が形成されていない平坦な底面4aを有していれば、その他のホルダー4の形状の変更は可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 蓋体(プレート)
1a 一方の面
1b 他方の面
2 カッププレート
2a 周縁部
2b 仕切部
3 熱交換器
【0019】
4 部品(ホルダー)
4a 底面
4b 側壁
4c 仕切部
5 バッテリー(熱交換対象物)
【0020】
6 熱媒体である流体(冷却水)
7 孔部
8 配置溝
9 熱伝導シート
10 ろう材層
11 パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6