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特許7548725マルチコンポーネント溶融電磁効果保護キャップシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】マルチコンポーネント溶融電磁効果保護キャップシステム
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/00 20060101AFI20240903BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B64C1/00 A
F16B37/14 J
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020090159
(22)【出願日】2020-05-23
(65)【公開番号】P2021000981
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】16/420,948
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アフィンガー, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ライリー, テレル
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03287362(EP,A1)
【文献】特開2017-106619(JP,A)
【文献】実開昭63-089416(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03462046(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00
F16B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップアセンブリ(10、10’)であって、当該保護キャップアセンブリ(10、10’)は、
側壁(20)を有するキャップ部材(18)、並びに
突出部材(28)
を備え、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ前記ファスナ(14)の前記端部(12)を受け容れるために、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列している、開口(22)及び内部空間(24)と、
前記構造体(16)に当接するための端面(26)と
を画定し、
前記突出部材(28)が、前記キャップ部材(18)の前記側壁(20)の前記端面(26)に固定され、かつ前記端面(26)から延在しており、
前記側壁(20)の前記端面(26)が、前記開口(22)を画定する前記側壁(20)の内縁(30)から前記側壁(20)の外縁(32)まで延在する幅寸法(W)を有し、
前記突出部材(28)が、前記端面(26)の前記内縁(30)と前記外縁(32)との間に位置付けされる、保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【請求項2】
前記突出部材(28)が、前記端面(26)と直交する方向(D)に延在する、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【請求項3】
前記突出部材(28)が、壁部材(34)を備え、前記壁部材(34)が、前記キャップ部材(18)の中央軸(40)から第1の径方向距離(38)の内壁面(36)、及び前記中央軸(40)から第2の径方向距離(44)の外壁面(42)を有し、前記第2の径方向距離(44)が、前記第1の径方向距離(38)より大きい、請求項1又は2に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記壁部材(34)が、前記キャップ部材(18)の前記中央軸(40)の周りに環状に延在する、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記内壁面(36)と前記外壁面(42)との間の前記壁部材(34)の幅寸法(W1)が、前記構造体(16)において画定された開口(46)内への前記壁部材(34)の位置付けにより、締り嵌めを生じさせる所定の寸法である、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記突出部材(28)が、前記側壁(20)の前記端面(26)から延在するように位置付けされた支柱部材(50)を備えている、請求項1又は2に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【請求項7】
互いから離間された複数の支柱部材(50)をさらに含む、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【請求項8】
前記複数の支柱部材(50)が、前記キャップ部材(18)の中央軸(40)の周りに位置付けされて互いから離間されている、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【請求項9】
前記支柱部材(50)が、所定の直径(D1)を画定し、前記支柱部材(50)が、前記支柱部材(50)の周りに周面(51)を形成することにより、前記支柱部材(50)を前記構造体(16)において画定された孔(54)内に位置付けすると、前記孔(54)の側壁(52)との締り嵌めが生じる、請求項に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【請求項10】
前記突出部材(28)が、熱可塑性材料から構築されている、請求項1からのいずれか一項に記載の保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【請求項11】
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップアセンブリ(10、10’)を設置するための方法(70)であって、当該方法(70)は、
保護キャップアセンブリ(10、10’)を前記構造体(16)上に位置付けして、前記ファスナ(14)の前記端部(12)を囲い込むステップ(72)であって、
前記保護キャップアセンブリ(10、10’)が、側壁(20)を有するキャップ部材(18)を含み、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにおいて、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ前記ファスナ(14)の前記端部(12)を受け容れるために、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列している、開口(22)及び内部空間(24)と、
前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにより、前記構造体(16)に当接する端面(26)
を画定し、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)が、熱可塑性材料から構築された突出部材(28)を含み、前記突出部材(28)が、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにより、前記構造体(16)によって画定された開口(46)に入るように、前記突出部材(28)は、前記キャップ部材(18)の前記端面(26)に固定され、前記端面(26)から延在する、前記ファスナ(14)の前記端部(12)を囲い込むステップ(72)、
熱又は超音波のうちの1つを前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料に加えて、前記熱可塑性材料を溶融するステップ(74)、並びに
前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料が、固化して、前記キャップ部材(18)及び前記構造体(16)に付着し、前記キャップ部材(18)が前記構造体(16)に固定されるように、前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料を冷却するステップ(76)
を含む方法(70)。
【請求項12】
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップシステム(56、56’)を設置するための方法(78)であって、当該方法(78)は、
熱可塑性材料から構築された、前記保護キャップシステム(56、56’)の突出部材(58、58’)を、前記構造体(16)において画定された開口(46)の中に位置付けするステップ(80)、
前記突出部材(58、58’)から分離された、前記保護キャップシステム(56、56’)のキャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けするステップ(82)であって、
当該キャップ部材(18)が、側壁(20)を有し、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記ファスナ(14)の前記端部(12)が、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ延在するように、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列する、開口(22)及び内部空間(24)と、
当該キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記構造体(16)に当接し、前記突出部材(58、58’)の上に横たわる端面(26)
を画定する、キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けするステップ(82)、
熱又は超音波のうちの1つを前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料に加えて、前記熱可塑性材料を溶融するステップ(84)、並びに
前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料が、固化して、前記キャップ部材(18)の前記端面(26)及び前記構造体(16)に付着し、前記キャップ部材(18)が前記構造体(16)に固定されるように、前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料を冷却するステップ(86)
を含む方法(78)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁効果(「EME」:electromagnetic effect)保護キャップに関し、より具体的には、ファスナの端部が貫通する構造体に固定することにより、ファスナの端部を封入するEME保護キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
EME保護キャップは、構造体から延在するファスナの端部を囲い込むように設置される。ファスナが囲い込まれることにより、ファスナの端部は、ファスナが囲い込まれない状況では構造体からファスナの端部が延在する環境から隔離される。構造体の位置に応じて、異なる状況でファスナの端部が延在し得る環境とは、揮発性蒸気、揮発性液体、又は感受性の高い機器を含む。ファスナの端部を覆うように保護キャップを固定し、構造体に固定された保護キャップでファスナの端部を囲い込むことは、落雷やその他の電磁気事象が発生した場合、ファスナの端部からスパークが発生し、異なる状況でファスナの端部が延在する環境と相互作用することを防止という点で有益である。ファスナの端部を囲い込むことにより、スパークが、構造体から延在するファスナの端部の領域に位置する揮発性蒸気、揮発性液体、又は感受性の高い機器と相互作用することが防止される。
【0003】
保護キャップは、様々な材料(例えば、保護キャップの構築に利用される熱硬化性材料、熱可塑性材料、エポキシ材料、又はその他の一般的な材料)から構成される。保護キャップの設置には、密封剤の使用が含まれる。この密封剤は、保護キャップを構造体に接着し、ファスナの端部の周りで保護キャップを構造体に封止し、ファスナの端部を保護キャップの外側に位置する環境から電気的に隔離する。密封剤を使用すると、時間がかかり、保護キャップの設置が失敗する場合があり、そうなると、保護キャップを再度設置する結果となる。密封剤の使用時の保護キャップ設置の失敗は、密封剤の減圧により保護キャップが構造体から剥離した結果として起こり得る。他の設置の失敗例としては、保護キャップが構造体上の定位置に完全に配置される前に、重力が保護キャップに作用し、保護キャップが移動した結果として起こり得るものがある。
【0004】
設置が失敗すると再設置が行われことになり、結果として、製造中の構造体(例えば、航空機)の初期製造又は構造体のメンテナンスに追加コストが発生する。密封剤が関わる初期製造又はメンテナンスのいずれの場合でも、密封剤の硬化に対して時間が消費される。さらに、保護キャップの交換においては、交換用保護キャップの設置を行い得る前に残留密封剤を除去することがさらに必要とされており、航空機などの構造体のメンテナンスには余剰な労力とコストがかかる。結果的に、保護キャップを構造体に固定するために密封剤を使用せず、保護キャップを構造体に固定し、ファスナの端部を囲い込むことが有益であろう。
【0005】
例えば、航空機などの構造体は、数多くの保護キャップを備えることが多いので、設置時間の改善や質の高い設置の比率の改善により、航空機の製造時において保護キャップの設置に価値を与えることができる。密封剤の塗布に労力をかけず、密封剤の硬化に時間をかけずに、保護キャップの設置が可能であれば、保護キャップの設置に関連する時間の改善がさらに促進されるであろう。同様に、設置時間の改善や質の高い設置の比率の改善により、航空機などの構造体をメンテナンスする間に保護キャップを交換する時、価値を付与することができる。
【0006】
保護キャップを熱可塑性構造体(例えば、航空機の燃料タンクの内部)に固定するために、保護キャップの設置にポリサルファイド系密封剤が関わる場合、必要な接着性を達成するために接着促進剤が必要とされる。接着促進剤は、潜在的に有害化学物質であり得る。結果的に、密封剤又は接着促進剤を使用せずに、構造体上の所望の位置に位置付けかつ固定することができる保護キャップがあれば、有益であろう。
【0007】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において単独で実現することが可能であり、又は、さらに別の実施形態において組み合わせることが可能である。これらの実施形態のさらなる詳細は、以下の説明及び添付図面を参照することによって確認することができる。
【発明の概要】
【0008】
一実施例は、航空機の構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップアセンブリを含み、保護キャップアセンブリは、側壁を有するキャップ部材を含む。側壁は、開口、内部空間、及び構造体に当接するための端面を画定し、開口は、開口を通ってかつ内部空間の中へファスナの端部を受け容れるために、内部空間に沿うように整列している。保護キャップアセンブリは、キャップ部材の側壁の端面に固定され、当該端面から延在する突出部材をさらに含む。
【0009】
一実施例は、航空機の構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップアセンブリを含み、保護キャップアセンブリは、側壁を有するキャップ部材を含む。側壁は、開口、内部空間、及び構造体に当接するための端面を画定し、開口は、開口を通ってかつ内部空間の中へファスナの端部を受け容れるために、内部空間に沿うように整列している。保護キャップシステムは、キャップ部材から分離した突出部材をさらに含み、突出部材は、熱可塑性材料から構築され、突出部材が、構造体において画定された開口内に位置付けされた状態で、端面は、突出部材に対して上に横たわるような関係で位置付けされる。
【0010】
一実施例は、航空機の構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップアセンブリを設置するための方法を含み、当該方法は、保護キャップアセンブリを構造体上に位置付けして、ファスナの端部を囲い込むステップを含み、保護キャップアセンブリは、側壁を有するキャップ部材を含み、側壁は、開口及び内部空間であって、保護キャップアセンブリの位置付けにおいて、開口を通ってかつ内部空間の中へファスナの端部を受け容れるために、開口が内部空間に沿うように整列している、開口及び内部空間、並びに保護キャップアセンブリの位置付けにより構造体と当接する端面を画定する。保護キャップアセンブリは、熱可塑性材料から構築された突出部材を含み、突出部材は、キャップ部材の端面に固定されかつ端面から延在し、保護キャップアセンブリの位置付けにより、構造体によって画定された開口に入る。当該方法は、熱又は超音波のうちの1つを突出部材の熱可塑性材料に加えて、熱可塑性材料を溶融するステップをさらに含む。当該方法は、突出部材の熱可塑性材料が、固化して、キャップ部材及び構造体に付着し、キャップ部材が構造体に固定されるように、突出部材の熱可塑性材料を冷却するステップをさらに含む。
【0011】
一実施例は、航空機の構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップシステムを設置するための方法を含み、当該方法は、熱可塑性材料から構築された、保護キャップシステムの突出部材を、構造体において画定された開口の中に位置付けするステップを含む。当該方法は、突出部材から分離された、保護キャップシステムのキャップ部材を構造体上に位置付けするステップを含み、キャップ部材は側壁を有し、側壁は、開口及び内部空間を画定し、開口は、キャップ部材を構造体上に位置付けすることにより、ファスナの端部が、開口を通ってかつ内部空間の中へ延在するように、内部空間に沿うように整列する。側壁は、端面を画定する。端面は、キャップ部材を構造体上に位置付けすることにより、突出部材の上に横たわるように、構造体に当接する。当該方法は、熱又は超音波のうちの1つを突出部材の熱可塑性材料に加えて、熱可塑性材料を溶融するステップ、並びに突出部材の熱可塑性材料が、固化して、キャップ部材の端面及び構造体に付着し、キャップ部材が構造体に固定されるように、突出部材の熱可塑性材料を冷却するステップをさらに含む。
【0012】
一実施例は、航空機の構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップアセンブリを設置するための方法を含み、当該方法は、側壁を有する保護キャップを構造体上に位置付けするステップを含み、側壁は、開口及び内部空間であって、保護キャップを構造体上に位置付けすることにより、ファスナの端部が、開口を通ってかつ内部空間の中へ延在するように、開口が内部空間に沿うように整列する、開口及び内部空間、並びに熱可塑性材料から構築された、キャップ部材の側壁の端部であって、保護キャップを構造体上に位置付けすることにより、構造体に当接する端面を含む、端部を画定する。当該方法は、熱又は超音波のうちの1つをキャップ部材の側壁の端部に加えて、端部の熱可塑性材料を溶融するステップを含み、側壁の端部の熱可塑性材料が、固化して、構造体及びキャップ部材の側壁の残りの部分に付着し、キャップ部材が構造体に固定されるように、キャップ部材の側壁の端部を冷却するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】構造体を通って延在するファスナの端部との保護キャップアセンブリの設置の位置合わせに関連して、傾斜位置にある保護キャップアセンブリの第1の実施例の分解斜視図である。
図2】構造体上に位置付けされ、構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込む保護キャップアセンブリの第1の実施例の図1の線2-2に沿った断面図である。
図3】構造体を通って延在するファスナの端部との保護キャップアセンブリの設置の位置合わせに関連して、傾斜位置にある保護キャップアセンブリの第2の実施例の分解斜視図である。
図4】構造体上に位置付けされ、構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込む保護キャップアセンブリの第2の実施例の図3の線4-4に沿った断面図である。
図5】構造体を通って延在するファスナの端部との保護キャップアセンブリの設置の位置合わせに関連して、保護キャップが傾斜位置にある状態の、保護キャップシステムの第1の実施例の分解斜視図である。
図6】構造体上に位置付けされ、構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込む保護キャップシステムの第1の実施例の図5の線6-6に沿った断面図である。
図7】構造体を通って延在するファスナの端部との保護キャップアセンブリの設置の位置合わせに関連して、保護キャップが傾斜位置にある状態の、保護キャップシステムの第2の実施例の分解斜視図である。
図8】構造体上に位置付けされ、構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込む保護キャップシステムの第2の実施例の図7の線8-8に沿った断面図である。
図9】構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップアセンブリを設置するための方法のフロー図である。
図10】構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップシステムを設置するための方法のフロー図である。
図11】構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込むための保護キャップを設置するための方法のフロー図である。
図12】構造体を通って延在するファスナの端部との保護キャップの設置の位置合わせに関連して、傾斜位置にある保護キャップの分解斜視図である。
図13】構造体上に位置付けされ、構造体を通って延在するファスナの端部を囲い込む保護キャップの図12の線13-13に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図4を参照すると、本実施例では航空機の構造体16を通って延在するファスナ14の端部12を囲い込むために利用される、保護キャップアセンブリ10の第1の実施例及び保護キャップアセンブリ10’の第2の実施例が示される。図1及び図2に示される保護キャップアセンブリ10の第1の実施例は、開口22及び内部空間24を画定する側壁20を有するキャップ部材18を含み、開口22は、開口22を通ってかつ内部空間24の中へファスナ14の端部12を受け容れるために、内部空間24に沿うように整列する。側壁20は、構造体16に当接するための端面26をさらに画定する。保護キャップアセンブリ10は、キャップ部材18の側壁20の端面26に固定され、端面26から延在する突出部材28をさらに含む。
【0015】
キャップ部材18は、1つ又は複数の材料から構築される。1つ又は複数の材料には、EME事象からの保護をもたらす、ファスナの端部を囲い込むために使用されるキャップ部材の構築に使用される、熱硬化性材料、熱可塑性材料、エポキシ材料、及びその他の材料が含まれる。さらに、キャップ部材18は、射出成形技法、3次元プリンティング技法、及びその他の製造技法を利用するなど、様々な方法のうちの1つによって構築することができる。保護キャップアセンブリ10の第1の実施例に関しては、突出部材28は、熱可塑性材料によって構築されたものとなる。突出部材28の構築のために選択される熱可塑性材料は、望ましくは、キャップ部材18の構築に使用される材料の溶融温度より低い溶融温度を有する。キャップ部材18を構築する材料の溶融温度より低い突出部材28を構築する熱可塑性材料の溶融温度により、キャップ部材18を溶融せずに、突出部材28の選択的溶融がもたらされる。キャップ部材18及び構造体16と接触する突出部材28の熱可塑性材料を選択的に溶融することにより、溶融した熱可塑性材料を続けて冷却すると、結果的に、熱可塑性材料が、固化して、キャップ部材18及び構造体16に付着し、固定工程においてキャップ部材18を溶融せずに、キャップ部材18が構造体16に固定される。
【0016】
側壁20の端面26は、開口22を画定する側壁20の内縁30から側壁20の外縁32まで延在する幅寸法Wを有する。本実施例では、突出部材28は、端面26の内縁30と外縁32との間に位置付けされる。本実施例では、突出部材28は、端面26と直交する方向(D)に延在する。突出部材28は、壁部材34を含み、壁部材34は、キャップ部材18の中央軸40から第1の径方向距離38の内壁面36、及び中央軸40から第2の径方向距離44の外壁面42を有し、第2の径方向距離44は、第1の径方向距離38より大きい。
【0017】
図1に示すように、壁部材34は、キャップ部材18の中央軸40の周りに環状に延在する。図1に示すように、内壁面36と外壁面42との間の壁部材34の幅寸法W1は、構造体16において画定された開口46内への壁部材34の位置付けにより締り嵌めを生じさせる所定の寸法であり、壁部材34と開口46との両方がそれぞれ環状構成を有する。本実施例では、開口46は、ファスナ14の端部12の周りに延在するように位置付けされたチャネル47であり、壁部材34を開口46内に挿入すると、壁部材34と開口46又はチャネル47の側壁48との間で摩擦を確立する寸法であるように構成され、それにより、壁部材34と開口46又はチャネル47の側壁48との締まり嵌めが生じる。キャップ部材18の配向に関わらず、キャップ部材18を定位置に保持した状態で、キャップ部材18を構造体16に対して位置付けする際に、壁部材34と開口46又はチャネル47の側壁48との締まり嵌めは、設置者に簡便性をもたらし、以下でさらに説明するように、設置者は、突出部材28の溶融により、キャップ部材18を構造体16にさらに固定することができる。設置者がキャップ部材18を構造体16に対して保持することを必要とせずに、突出部材28の溶融と溶融固定工程の実施を達成することができる。
【0018】
キャップ部材18を構造体16にさらに固定するために、キャップ部材18の配向に関わらず、キャップ部材18は、壁部材34と開口46の側壁48との間の締まり嵌めにより、構造体16に対して所望の位置に保持される。このような配向には、例えば、構造体16を上に位置付け、キャップ部材18を上下反転した位置に位置付ける配向、構造体16が垂直に延在するように位置付け、キャップ部材が構造体16から外側に延在するように位置付ける配向、又は、構造体16が水平に対して傾斜するように位置付ける配向が含まれ得る。これらの様々な配向のいずれかにキャップ部材18が位置付けされている状態では、壁部材34と開口46又は本実施例ではチャネル47の側壁48との間の締まり嵌めにより、重力がキャップ部材18を所望の位置から動かすことが防止される。突出部材28の熱可塑性材料を溶融し、その後、熱可塑性材料を冷却して、キャップ部材18を構造体16に引き続き固定するため、キャップ部材18は締まり嵌めにより所望の位置に保持される。突出部材28の熱可塑性材料の冷却により、熱可塑性材料は、構造体16及びキャップ部材18に付着し、熱可塑性材料の固化により、固化した熱可塑性材料がキャップ部材18を構造体16に固定する。壁部材34と開口46又は(本実施例では)チャネル47の側壁48との締まり嵌めは、キャップ部材18を構造体16にさらに固定するにあたって、保護キャップアセンブリ10のより簡便な設置を促進し、設置者がキャップ部材18を所定位置に保持するあらゆる不便さを軽減する。
【0019】
保護キャップアセンブリ10’の第2の実施例は、図3及び図4に示される。第2の実施例では、突出部材28は、側壁20の端面26から延在するように位置付けされた支柱部材50を含む。本実施例では、複数の支柱部材50は、互いから離間されて位置付けされ、キャップ部材18の中央軸40の周りに位置付けされる。支柱部材50は、所定の直径D1を画定し、支柱部材50は、支柱部材50の周りに周面51を形成することにより、支柱部材50を構造体16において画定された開口46又は(本実施例では)孔54内に位置付けすると、開口46の側壁52との締り嵌めが生じる。
【0020】
本実施例では、複数の支柱部材50は、それぞれ、構造体16において画定された対応する孔54の中に位置付けされる。支柱部材50の周面51と孔54の側壁52との締まり嵌めが生じると、キャップ部材18をさらに構造体16に固定するように、上述のようにキャップ部材18の配向に関わらず、キャップ部材18が構造体16に対して所望の位置に保持され、設置者がキャップ部材18を所定位置に保持するいかなる不便さも取り除かれる。キャップ部材18のさらなる固定は、設置者が支柱部材50構成の熱可塑性材料を溶融することを含む。構造体16及びキャップ部材18と接触している熱可塑性材料を引き続き冷却することにより、熱可塑性材料が構造体及びキャップ部材18に付着し、熱可塑性材料が固化し、キャップ部材18が構造体16に固定される結果となる。
【0021】
上述のように、突出部材28(本実施例では、支柱部材50)の構築のために選択される熱可塑性材料は、望ましくは、キャップ部材18を構築する材料の溶融温度より低い溶融温度を有することになる。キャップ部材18を構築する材料の溶融温度より低い支柱部材50の熱可塑性材料の溶融温度により、固定工程においてキャップ部材18を溶融せずにキャップ部材18を構造体16に固定するために、支柱部材50の選択的溶融がもたらされる。
【0022】
図5から図8を参照すると、本実施例では航空機の構造体16を通って延在するファスナ14の端部12を囲い込むために利用される、保護キャップアセンブリ56の第1の実施例及び保護キャップアセンブリ56’の第2の実施例が示される。図5及び図6に示される保護キャップシステム56の第1の実施例は、開口22及び内部空間24を画定する側壁20を有するキャップ部材18を含み、開口22は、開口22を通ってかつ内部空間24の中へファスナ14の端部12を受け容れるために、内部空間24に沿うように整列する。側壁20は、構造体16に当接するための端面26をさらに画定する。保護キャップシステム56は、キャップ部材18から分離された突出部材58を画定し、突出部材58は、熱可塑性材料から構築される。突出部材58が構造体16において画定された開口46内に位置付けされた状態で、端面26は、突出部材58及び構造体16に対して上に横たわるような関係で位置付けされる。
【0023】
図5及び図6を参照すると、突出部材58は、環状構成に構成されかつ所定の壁厚寸法(T)を有する壁部材60を含む。この所定の壁厚寸法(T)により、壁部材60が開口46(本実施例ではチャネル47)の側壁48に接触する状態で、壁部材60が、構造体16において画定された開口46又はチャネル47内へ位置付けされると、締り嵌めが生じる。開口46又はチャネル47、及び壁部材60は、それぞれ環状構成を有する。壁部材60が直径D2を有することにより、側壁20の端面26が構造体16上に位置付けされた状態で、側壁20の端面26は壁部材60の上に横たわる。
【0024】
保護キャップシステム56の第1の実施例を利用して、設置者は、壁部材60を開口46(本実施例ではチャネル47)内に挿入し、壁部材60と開口46又はチャネル47の側壁48との間の締まり嵌めにより、壁部材60が開口46又はチャネル47の中の所定位置に保持される。図6に示すように、壁部材60が開口46又はチャネル47の中に位置付けされた状態で、キャップ部材18の側壁20の端面26は、構造体16及び壁部材60の上に横たわるように位置付けされる。キャップ部材18が壁部材60の上に横たわるように位置付けされた状態で、壁部材60の熱可塑性材料は、熱又は超音波を利用して溶融される。構造体16、及びキャップ部材18の側壁20の端面26と接触している壁部材60の溶融した熱可塑性材料は、続いて冷却されてから固化し、構造体16及び端面26の両方に付着し、キャップ部材18と構造体16を共に固定させる。上述のように、キャップ部材18を構築する材料より低い溶融温度を有する壁部材60用の熱可塑性材料を選択することにより、キャップ部材18の材料の溶融を引き起こさずに、壁部材60の熱可塑性材料を溶融し、キャップ部材18と構造体16の固定を得ることができる。
【0025】
図7及び図8を参照すると、保護キャップシステム56’の第2の実施例が示される。保護キャップシステム56’は、開口22及び内部空間24を画定する側壁20を有するキャップ部材18を含み、開口22は、開口22を通ってかつ内部空間24の中へファスナ14の端部12を受け容れるために、内部空間24に沿うように整列する。側壁20は、構造体16に当接するための端面26をさらに画定する。保護キャップシステム56’は、キャップ部材18から分離された突出部材58’を画定し、突出部材58’は、熱可塑性材料から構築される。突出部材58’が構造体16において画定された開口46内に位置付けされた状態で、端面26は、突出部材58’及び構造体16に対して上に横たわるような関係で位置付けされる。
【0026】
図7及び図8を参照すると、突出部材58’は、所定の直径D3を画定する支柱部材62を含み、支柱部材62は、支柱部材62の周りに周面64を形成することにより、支柱部材62を構造体16において画定された孔68内に位置付けすると、孔68を含む開口46の側壁66との締り嵌めが生じる。本実施例では、複数の支柱部材62が利用されて、複数の孔68内に位置付けされる。複数の孔68は、構造体16によって画定され、互いから離間されて位置付けされ、それにより、キャップ部材18が構造体16上に位置付けされている状態で、キャップ部材18は複数の支柱部材62の上に横たわる。
【0027】
図7及び図8に示すように、保護キャップアセンブリ56’の第2の実施例が利用され、本実施例では支柱部材62が各孔68に中に位置付けされるように、設置者は、支柱部材62を孔68内に挿入する。各支柱部材62は、支柱部材62が挿入される対応する孔68との締まり嵌めを有する。締まり嵌めにより、支柱部材62が各孔68内で所定位置に保持される。図7及び図8に示すように、キャップ部材18の側壁20の各端面26は、構造体16及び支柱部材62の上に横たわるように位置付けされる。キャップ部材18が支柱部材62の上に横たわるように位置付けされた状態で、支柱部材62の熱可塑性材料は、熱又は超音波を利用して溶融される。構造体16、及びキャップ部材18の側壁20の端面26と接触している支柱部材62の溶融した熱可塑性材料は、続いて冷却されてから固化し、構造体16及び端面26の両方に付着し、キャップ部材18と構造体16を共に固定させる。上述のように、キャップ部材18を構築する材料より低い溶融温度を有する支柱部材62用の熱可塑性材料を選択することにより、キャップ部材18の材料の溶融を引き起こさずに、支柱部材62の熱可塑性材料を溶融し、キャップ部材18と構造体16の固定を得ることができる。
【0028】
図9を参照すると、航空機の構造体16を通って延在するファスナ14の端部12を囲い込むための保護キャップアセンブリ10、10’を設置するための方法70は、図1から図4に示すように、保護キャップアセンブリ10、10’を構造体16上に位置付けして、ファスナ14の端部12を囲い込むステップ72を含む。保護キャップアセンブリ10、10’は、開口22及び内部空間24を画定する側壁20を有するキャップ部材18を含み、開口22は、保護キャップアセンブリ10、10’の位置付けにおいて、開口22を通ってかつ内部空間24の中へファスナ14の端部12を受け容れるために、内部空間24に沿うように整列する。保護キャップアセンブリ10、10’の位置付けにおいて、端面26は構造体16に当接し、キャップ部材18は、熱可塑性材料から構築された突出部材28を含む。突出部材28は、キャップ部材18の端面26に固定され、端面26から延在し、保護キャップアセンブリ10、10’の位置付けにおいて、突出部材28は、構造体16によって画定された開口46内に入る。方法70は、熱又は超音波のうちの1つを突出部材28の熱可塑性材料に加えて、熱可塑性材料を溶融するステップ74をさらに含み、突出部材28の熱可塑性材料が、固化して、キャップ部材18及び構造体16に付着し、キャップ部材18が構造体16に固定されるように、突出部材28の熱可塑性材料を冷却するステップ76を含む。
【0029】
図10を参照すると、航空機の構造体16を通って延在するファスナ14の端部12を囲い込むための保護キャップシステム56、56’を設置するための方法78は、熱可塑性材料から構築された、保護キャップシステム56、56’の突出部材58、58’を、それぞれ、構造体16において画定された開口46の中に位置付けするステップ80を含む。方法78は、突出部材58、58’から分離された、保護キャップシステム56、56’のキャップ部材18を構造体16上に位置付けするステップ82をさらに含み、キャップ部材18は、側壁20を有する。側壁20は、開口22及び内部空間24を画定し、開口22は、キャップ部材18を構造体16上に位置付けすることにより、ファスナ14の端部12が、開口22を通ってかつ内部空間24の中へ延在するように、内部空間24に沿うように整列する。側壁20は、端面26を画定し、端面26は、キャップ部材18の位置付けにより、突出部材58、58’の上に横たわるように、構造体16に当接する。キャップ部材18が位置付けされた状態で、熱又は超音波のうちの1つを突出部材58、58’の熱可塑性材料に加えて、熱可塑性材料を溶融するステップ84が利用される。方法78は、突出部材58、58’の熱可塑性材料が、固化して、キャップ部材18の端面26及び構造体16に付着し、キャップ部材18が構造体16に固定されるように、突出部材58、58’の熱可塑性材料を冷却するステップ86をさらに含む。
【0030】
図11を参照すると、航空機の構造体16を通って延在するファスナ14の端部12を囲い込むための保護キャップ19を設置するための方法88が示され、対応する保護キャップ19の利用例が図12及び図13に示される。方法88は、保護キャップ19を構造体16上に位置付けするステップ90を含み、キャップ部材19は、側壁20を有し、側壁20は、開口22及び内部空間24を画定し、開口22は、保護キャップ19を構造体上に位置付けすることにより、ファスナの端部が、開口22を通ってかつ内部空間24の中へ延在するように、内部空間24に沿うように整列する。側壁20は、熱可塑性材料から構築された、保護キャップ19の側壁20の端部96をさらに画定し、端部96は、保護キャップ19を構造体16上に位置付けすることにより、構造体16に当接する端面26を含む。方法88は、熱又は超音波のうちの1つを保護キャップ19の側壁20の端部96に加えて、端部96の熱可塑性材料を溶融するステップ92をさらに含む。方法88は、側壁20の端部96の熱可塑性材料が、固化して、構造体16及び保護キャップ19の側壁20の残りの部分98に付着し、保護キャップ19が構造体16に固定されるように、保護キャップ19の側壁20の端部96を冷却するステップ94をさらに含む。
【0031】
保護キャップ19の端部96を溶融して、より堅固に保護キャップ19を構造体16に固定する前に、保護キャップ19が構造体16に対してある配向で位置付けされ、重量によって保護キャップ19が構造体16上の所望の位置から移動する場合、接着剤を保護キャップ19と構造体16との間に塗布し、保護キャップ19を構造体16に一時的に固定することができる。保護キャップが構造体16に一時的に固定された状態で、設置者は、次に進んで、端部96の固化が保護キャップ19を構造体16により堅固に固定するように、端部96を溶融する。同様に、上述のように、必要に応じて、キャップ部材18を構造体16に一時的に固定するために、キャップ部材18の一時固定用接着剤を塗布してもよい。このことを利用して、上述のように突出部材(例えば、28、58、又は58’)の熱可塑性材料を溶融して固化する前に、キャップ部材18を構造体16により堅固に固定することができる。
【0032】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0033】
条項1
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップアセンブリ(10、10’)であって、
側壁(20)を有するキャップ部材(18)であって、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ前記ファスナ(14)の前記端部(12)を受け容れるために、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列している、開口(22)及び内部空間(24)、
前記構造体(16)に当接するための端面(26)、並びに
前記キャップ部材(18)の前記側壁(20)の前記端面(26)に固定され、前記端面(26)から延在する突出部材(28)
を画定する、キャップ部材(18)
を備えている保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【0034】
条項2
前記側壁(20)の前記端面(26)が、前記開口(22)を画定する前記側壁(20)の内縁(30)から前記側壁(20)の外縁(32)まで延在する幅寸法(W)を有する、条項1に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【0035】
条項3
前記突出部材(28)が、前記端面(26)の前記内縁(30)と前記外縁(32)との間に位置付けされる、条項2に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【0036】
条項4
前記突出部材(28)が、前記端面(26)と直交する方向(D)に延在する、条項1から3のいずれか一項に記載の保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【0037】
条項5
前記突出部材(28)が、壁部材(34)を備え、前記壁部材(34)が、前記キャップ部材(18)の中央軸(40)から第1の径方向距離(38)の内壁面(36)、及び前記中央軸(40)から第2の径方向距離(44)の外壁面(42)を有し、前記第2の径方向距離(44)が、前記第1の径方向距離(38)より大きい、条項1から4のいずれか一項に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【0038】
条項6
前記壁部材(34)が、前記キャップ部材(18)の前記中央軸(40)の周りに環状に延在する、条項5に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【0039】
条項7
前記内壁面(36)と前記外壁面(42)との間の前記壁部材(34)の幅寸法(W1)が、前記構造体(16)において画定された開口(46)内への前記壁部材(34)の位置付けにより締り嵌めを生じさせる所定の寸法である、条項5又は6に記載の保護キャップアセンブリ(10)。
【0040】
条項8
前記突出部材(28)が、前記側壁(20)の前記端面(26)から延在するように位置付けされた支柱部材(50)を備えている、条項1から4のいずれか一項に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【0041】
条項9
互いから離間された複数の支柱部材(50)をさらに含む、条項8に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【0042】
条項10
前記複数の支柱部材(50)が、前記キャップ部材(18)の中央軸(40)の周りに位置付けされて互いから離間されている、条項9に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【0043】
条項11
前記支柱部材(50)が、所定の直径(D1)を画定し、前記支柱部材(50)が、前記支柱部材(50)の周りに周面(51)を形成することにより、前記支柱部材(50)を前記構造体(16)において画定された孔(54)内に位置付けすると、前記孔(54)の側壁(52)との締り嵌めが生じる、条項8に記載の保護キャップアセンブリ(10’)。
【0044】
条項12
前記突出部材(28)が、熱可塑性材料から構築されている、条項1から11のいずれか一項に記載の保護キャップアセンブリ(10、10’)。
【0045】
条項13
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップシステム(56、56’)であって、
側壁(20)を有するキャップ部材(18)であって、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ前記ファスナ(14)の前記端部(12)を受け容れるために、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列している、開口(22)及び内部空間(24)、
前記構造体(16)に当接するための端面(26)、並びに
前記キャップ部材(18)から分離された前記突出部材(58、58’)
を画定する、キャップ部材(18)を備え、
前記突出部材(58、58’)が、熱可塑性材料から構築され、
前記突出部材(58、58’)が、前記構造体(16)において画定された開口(46)内に位置付けされた状態で、前記端面(26)が、前記突出部材(58、58’)に対して上に横たわるような関係で位置付けされる、保護キャップシステム(56、56’)。
【0046】
条項14
前記突出部材(58)が壁部材(60)を含み、前記壁部材(60)が、環状構成で構成され、前記構造体(16)において画定されたチャネル(47)を含む前記開口(46)内への前記壁部材(60)の位置付けにより締り嵌めを生じさせる所定の壁厚寸法(T)を有する、条項13に記載の保護キャップシステム(56)。
【0047】
条項15前記壁部材(60)は、前記端面(26)が前記構造体(16)上に位置付けされた状態で前記端面(26)が前記壁部材(60)の上に横たわるような直径(D2)を有する、条項14に記載の保護キャップシステム(56)。
【0048】
条項16
前記突出部材(58’)が、所定の直径(D3)を画定する支柱部材(62)を備え、前記支柱部材(60)が、前記支柱部材(60)の周りに周面(64)を形成することにより、前記支柱部材(60)を前記構造体(16)において画定された孔(68)内に位置付けすると、前記孔(68)を含む前記開口(46)の側壁(66)との締り嵌めが生じる、条項13又は14に記載の保護キャップシステム(56’)。
【0049】
条項17
前記キャップ部材(18)が前記構造体(16)上に位置付けされた状態で、前記キャップ部材(18)が前記複数の支柱部材(62)の上に横たわるように、前記構造体(16)において画定された複数の孔(68)内に位置付けされ、かつ互いから離間されて位置付けされた複数の支柱部材(62)をさらに含む、条項16に記載の保護キャップシステム(56’)
【0050】
条項18
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップアセンブリ(10、10’)を設置するための方法(70)であって、
保護キャップアセンブリ(10、10’)を前記構造体(16)上に位置付けして、前記ファスナ(14)の前記端部(12)を囲い込むステップ(72)であって、
前記保護キャップアセンブリ(10、10’)が、側壁(20)を有するキャップ部材(18)を含み、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにおいて、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ前記ファスナ(14)の前記端部(12)を受け容れるために、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列している、開口(22)及び内部空間(24)、並びに
前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにより、前記構造体(16)に当接する端面(26)
を画定し、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)が、熱可塑性材料から構築された突出部材(28)を含み、前記突出部材(28)が、前記保護キャップアセンブリ(10、10’)の位置付けにより、前記構造体(16)によって画定された開口(46)に入るように、前記突出部材(28)は、前記キャップ部材(18)の前記端面(26)に固定され、前記端面(26)から延在する、前記ファスナ(14)の前記端部(12)を囲い込むステップ(72)、
熱又は超音波のうちの1つを前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料に加えて、前記熱可塑性材料を溶融するステップ(74)、並びに
前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料が、固化して、前記キャップ部材(18)及び前記構造体(16)に付着し、前記キャップ部材(18)が前記構造体(16)に固定されるように、前記突出部材(28)の前記熱可塑性材料を冷却するステップ(76)
を含む方法(70)。
【0051】
条項19
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップシステム(56、56’)を設置するための方法(78)であって、
熱可塑性材料から構築された、前記保護キャップシステム(56、56’)の突出部材(58、58’)を、前記構造体(16)において画定された開口(46)の中に位置付けするステップ(80)、
前記突出部材(58、58’)から分離された、前記保護キャップシステム(56、56’)のキャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けすること(82)であって、当該キャップ部材(18)が、側壁(20)を有し、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記ファスナ(14)の前記端部(12)が、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ延在するように、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列する、開口(22)及び内部空間(24)、並びに
当該キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記構造体(16)に当接し、前記突出部材(58、58’)の上に横たわる端面(26)
を画定する、キャップ部材(18)を前記構造体(16)上に位置付けするステップ(82)、
熱又は超音波のうちの1つを前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料に加えて、前記熱可塑性材料を溶融するステップ(84)、並びに
前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料が、固化して、前記キャップ部材(18)の前記端面(26)及び前記構造体(16)に付着し、前記キャップ部材(18)が前記構造体(16)に固定されるように、前記突出部材(58、58’)の前記熱可塑性材料を冷却するステップ(86)
を含む方法(78)。
【0052】
条項20
航空機の構造体(16)を通って延在するファスナ(14)の端部(12)を囲い込むための保護キャップ(19)を設置するための方法(88)であって、
前記保護キャップ(19)を前記構造体(16)上に位置付けすること(90)であって、当該キャップ部材(19)が側壁(20)を有し、前記側壁(20)が、
開口(22)及び内部空間(24)であって、当該保護キャップ(19)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記ファスナ(14)の前記端部(12)が、当該開口(22)を通ってかつ当該内部空間(24)の中へ延在するように、当該開口(22)が当該内部空間(24)に沿うように整列する、開口(22)及び内部空間(24)、並びに
熱可塑性材料から構築された、前記保護キャップ(19)の前記側壁(20)の端部(96)であって、前記保護キャップ(19)を前記構造体(16)上に位置付けすることにより、前記構造体(16)に当接する端面(26)を含む、端部(96)
を画定する、前記保護キャップ(19)を前記構造体(16)上に位置付けするステップ(90)、
熱又は超音波のうちの1つを前記保護キャップ(19)の前記側壁(20)の前記端部(96)に加えて、前記端部(96)の前記熱可塑性材料を溶融するステップ(92)、並びに
前記側壁の前記端部(96)の前記熱可塑性材料が、固化して、前記構造体(16)及び前記保護キャップ(19)の前記側壁(20)の残りの部分(98)に付着し、前記保護キャップ(19)が前記構造体(16)に固定されるように、前記保護キャップ(19)の前記側壁(20)の前記端部(96)を冷却するステップ(94)
を含む方法(88)。
【0053】
様々な実施形態が以上で説明されたが、本開示は、それらに限定されることを意図するものではない。開示されている実施形態に対しては、さらに添付の特許請求の範囲内にある変更を行うことができる。
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