(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 14/00 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
F24C14/00 C
(21)【出願番号】P 2020093905
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 拓也
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138618(JP,A)
【文献】特開2005-146542(JP,A)
【文献】実開平02-053107(JP,U)
【文献】特開平11-255301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理する調理庫と、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に介装されて洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプとを備え、
前記ポンプを作動させることによって洗浄水を前記洗浄水通路を通して前記洗浄ノズルに送出し、送出した洗浄水を前記洗浄ノズルから前記調理庫内に噴射させ、噴射させた洗浄水を前記排水口から前記洗浄水通路を通して再び前記洗浄ノズルに送出し、循環する洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器であって、
前記排水口には前記洗浄水通路に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる
網材を用いたフィルタ部を有した排水目皿を着脱可能に設け、
前記排水目皿は、前記排水口より大きな径の外周を有する枠部と、前記枠部の内側で前記排水口に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる
前記網材を用いたフィルタ部と、前記枠部の上側に設けられて前記排水目皿の持ち手となる持手部とを備え、
前記
網材を用いたフィルタ部は、径方向の中央部が上側に突出する通水及び通気のための突出部と、前記突出部の外縁に下側に凹み食材のような固形物の侵入を防ぐための凹部とを備えるようにし、
前記持手部は前記枠部より上側に突出する部分の外径を前記排水口の径よりも大きくしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記持手部は、前記枠部の周方向の互いに離間する位置で起立する複数の起立部と、前記複数の起立部の上端部を連結する連結部とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記持手部は、前記枠部の径方向に対向する位置で前記起立部を一対で備え、前記連結部はこの一対の起立部の上端部を連結するようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関し、特に、調理庫の洗浄機能付きの加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータと対流ファンと蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備えている。この加熱調理器の制御装置は食材を加熱調理する調理プログラムを備えており、制御装置により調理プログラムを実行したときには、調理庫内の空気はヒータと対流ファンとの作動によって熱風となって対流するとともに、対流する熱風には蒸気発生装置の作動によって蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
調理庫内で食材を加熱調理すると、食材に含まれる油分が対流する熱風とともに調理庫内を飛散し、油分が調理庫の周壁に付着することになる。この種の加熱調理器では調理庫内を常に清浄に管理する必要があり、調理庫を例えば使用した日毎に洗浄することが衛生的に好ましい。この加熱調理器は、調理庫内を自動で洗浄することができるように、調理庫の天井部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、調理庫の底部に設けた排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を一時的に溜めるタンクと、タンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプとを備えている。
【0004】
この加熱調理器の制御装置は洗浄プログラムを有しており、制御装置により洗浄プログラムを実行したときには、タンク内の洗浄水はポンプの作動によって洗浄ノズルに送出され、送出された洗浄水は洗浄ノズルから調理庫内に噴射され、噴射された洗浄水はヒータと対流ファンとの作動によって対流する熱風によって高温の洗浄水に加熱された状態で調理庫内に飛散し、飛散した洗浄水は排水口からタンクに戻り、調理庫内はタンクとの間を循環する高温の洗浄水によって洗浄される。
【0005】
調理庫の底部の排水口には排水目皿が着脱可能に設けられており、排水目皿は調理過程で落下した食材等の固形物を洗浄水通路に流入するのを防いでいる。排水目皿は、排水口より大きな径を有した環状の枠部と、環状枠部の内側に設けられて下側に凹むように形成されたフィルタ部と、枠部の上側で低い円柱形をしたタブレット形の固形洗剤を起立させるスタンド部とを備えている。スタンド部は、金属製の線材を屈曲加工したものであり、枠部の中央部に軸方向の両側となる上面及び下面が水平方向を向くように起立させた低い円柱形をした固形洗剤の軸方向の両側を支持する一対の支持部を備え、支持部は枠部の径方向の両側から中央側に水平方向に延びながら中央部で略円弧形で上側に膨らむように屈曲形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の加熱調理器は排水口に排水目皿が着脱可能に設けられており、食材等の固形物が排水口から洗浄水通路に流入するのが防がれている。排水目皿のスタンド部の固形洗剤が倒れないように支える支持部は枠部の径方向の両側から中央側に水平方向に延びながら上側に略円弧形に屈曲形成されている。この排水目皿のスタンド部の支持部は枠部の内側で円弧形に形成されていて排水口の径より小さく形成されているので、排水目皿を上下を逆としたときに、スタンド部が排水口から洗浄水通路内に入ってしまい、排水目皿を誤って上下を逆として取り付けることができる。しかし、上下を逆とした排水目皿を排水口に取り付けると、排水目皿が外れやすくなるとともに、排水目皿と排水口との間に隙間が生じ、食材等の固形物が排水口から洗浄水通路に流入するおそれがあった。食材等の固形物が排水口から洗浄水通路に流入して詰まると、洗浄水通路が食材等の固形物により洗浄水を通水できなくなるおそれがあった。本発明は、加熱調理器において、調理庫の排水口を通水可能に塞ぐ排水目皿が上下を逆に取り付けられないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプとを備え、ポンプを作動させることによって洗浄水を洗浄水通路を通して洗浄ノズルに送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズルから調理庫内に噴射させ、噴射させた洗浄水を排水口から洗浄水通路を通して再び洗浄ノズルに送出し、循環する洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器であって、排水口には洗浄水通路に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる網材を用いたフィルタ部を有した排水目皿を着脱可能に設け、排水目皿は、排水口より大きな径の外周を有する枠部と、枠部の内側で排水口に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる網材を用いたフィルタ部と、枠部の上側に設けられて排水目皿の持ち手となる持手部とを備え、網材を用いたフィルタ部は、径方向の中央部が上側に突出する通水及び通気のための突出部と、突出部の外縁に下側に凹み食材のような固形物の侵入を防ぐための凹部とを備えるようにし、持手部は枠部より上側に突出する部分の外径を排水口の径よりも大きくしたことを特徴とする加熱調理を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、排水口には洗浄水通路に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる網材を用いたフィルタ部を有した排水目皿を着脱可能に設け、排水目皿は、排水口より大きな径の外周を有する枠部と、枠部の内側で排水口に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる網材を用いたフィルタ部と、枠部の上側に設けられて排水目皿の持ち手となる持手部とを備え、網材を用いたフィルタ部は、径方向の中央部が上側に突出する通水及び通気のための突出部と、突出部の外縁に下側に凹み食材のような固形物の侵入を防ぐための凹部とを備えるようにし、持手部は枠部より上側に突出する部分の外径を排水口の径よりも大きくしている。排水目皿の上下を逆にしたときに、持手部が排水口に入らないので、枠部が排水口の上側で持手部の高さで離間するようになり、排水目皿の上下が逆となっていることに気付きやすくなる。これによって、排水目皿は上下が逆となって排水口に取り付けられないようにすることができる。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、枠部の周方向の互いに離間する位置で起立する複数の起立部と、複数の起立部の上端部を連結する連結部とを備えるようにしてもよい。この場合に、持手部は、枠部の径方向に対向する位置で起立部を一対で備え、連結部はこの一対の起立部の上端部を連結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
【
図3】
図1の底面図(a)と、ハウジングの底壁の開口部からカバーとフィルタとを取り外した状態の底面図(b)である。
【
図4】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
【
図5】A-A断面斜視図(a)と、ハウジングの底壁の開口部からカバーとフィルタとを取り外した状態の断面斜視図(b)である。
【
図8】仕切板と支持フレームとを取り外したときのB-B断面図である。
【
図9】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
【
図11】排水目皿の斜視図(a)であり、C-C断面図(b)である。
【
図13】第1洗浄プログラムの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。また、この加熱調理器は調理庫内を洗浄する調理庫の洗浄機能付きの加熱調理器である。
図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。
図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0013】
図3に示したように、ハウジング11の底壁には開口部11aが形成されており、開口部11aは底壁の左右方向の中央より左側にてハウジング11の底壁の前端部から後部まで延びる縦長の矩形状の開口となっている。この開口部11aは、機械室12内を冷却するための外気を吸い込む吸込口であるとともに、機械室12内の機械部品(特に後述する洗浄水の配管等の部品)をメンテナンスするときに機械室12内にアクセスするための開口として機能している。
図3及び
図4に示したように、ハウジング11の底壁下面には開口部11aの左右方向の両側に一対のレール11bが設けられており、レール11bには開口部11aの後部を開閉自在に塞ぐカバー11cと、開口部11aの後部を除く部分を通風可能に塞ぐエアフィルタ11dとが前後にスライド移動可能に取り付けられている。
【0014】
図5に示したように、カバー11cには後端部に切欠き部11c1が形成されており、切欠き部11c1はハウジング11の開口部11aの直ぐ後側に設けられたピン11a1(
図3及び
図4に示した)に係合可能となっている。切欠き部11c1が開口部11aの直ぐ後側に設けられたピン11a1に係合することにより、カバー11cはレール11bの間でがたつきが防止されている。
図5(b)に示したように、カバー11cの前端部には下側に折り曲げた折曲部11c2が形成されており、折曲部11c2はエアフィルタ11dの後端を当接させることで、エアフィルタ11dの後端位置を位置決めしている。すなわち、エアフィルタ11dをカバー11cの折曲部11c2に当接する位置までレール11bに沿って差し込むことで、エアフィルタ11dは開口部11aを通風可能に塞ぐ位置で位置決めされる。
【0015】
図4に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23は熱風生成室22に配設された対流ファン26の吸込口側を覆うファンカバーの機能を有している。
図6に示したように、仕切板23には多数の吸込口23aが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられることで、仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路23bが形成されており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0016】
図2、
図4及び
図6に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。
図7に示したように、支持フレーム24は、トレイを上下に10段で支持するものであり、金属製線材(金属製ワイヤ材)を曲げ加工したものである。支持フレーム24は、前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
図7に示したように、前側の支柱24aは3本の金属製線材を並列して配置したものであるので、横荷重に対して強い構造となっている。また、前後の支柱24aの間には6本の間柱24cが設けられており、6本の間柱24cを前側に多く配設することで、間柱24cの数を過剰に増やすことなく、支持フレーム24の補強をすることができる。
【0017】
図4及び
図8に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23aを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。
【0018】
図8に示したように、調理庫20の熱風生成室22には温度センサ27が設けられている。温度センサ27は、調理庫20内の温度を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ25の外側に配設されている。
【0019】
図9に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けたタンク14の上側に立設している。なお、タンク14は、蒸気発生装置30から排水を流すのに用いられるだけでなく、調理庫20から排水を流すのに用いられ、調理庫20から排出される空気の温度を検出することで調理庫20の蒸気量を測定するにも用いられるとともに、後述する洗浄プログラムを実行するときに洗浄水を貯えるのに用いられている。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は
図8に示した調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0020】
図4及び
図9に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に外気を導入する外気導入管34が設けられている。外気導入管34は、主として調理庫20内で加熱調理をする際に、調理庫20内に外気を導入するようにして、調理庫20内の温度及び湿度を調節するものである。
図4及び
図8に示したように、調理庫20の左側壁には対流ファン26の背面側(左側)に外気導入口20cが形成されており、外気導入管34はこの外気導入口20cに接続されている。調理庫20の左側壁と対流ファン26との間は対流ファン26を作動させたときに負圧化され、調理庫20には外気導入管34を通って外気が導入可能となる。また、外気導入管34には外気導入弁35が介装されており、外気は外気導入弁35の開度に応じた量で外気導入管34を通って調理庫20内に導入される。
【0021】
図10に示したように、調理庫20の底壁(底部)には円形の排水口20dが形成されており、調理庫20の天井部には洗浄ノズル40が設けられており、排水口20dと洗浄ノズル40とは洗浄水通路(第1排水管16、タンク14及び洗浄水送出管41)によって接続されている。排水口20dには食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させる排水目皿15が着脱可能に設けられており、調理庫20の洗浄水等の液体は排水目皿15によって洗浄水通路を通過可能となっている。
【0022】
図11に示したように、排水目皿15は、排水口20dより大きな径の外周を有する枠部15aと、枠部15aの内側で排水口20dに食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させるフィルタ部15bと、枠部15aの下側に設けられた脚部15cと、枠部15aの上側に設けられた持手部15fとを備えている。枠部15aは排水口20dの径より大きな内径及び外径を有する円環形をしている。枠部15aの内側には網材を用いたフィルタ部15bが設けられており、フィルタ部15bは調理過程で落下した食材のような固形物が排水口20dから洗浄水通路に侵入するのを阻止するとともに洗浄水のような液体を通過可能としている。フィルタ部15bは径方向の中央部が上側に突出する突出部15b1と、突出部15b1の外縁に下側に凹む平面視で円環形の凹部15b2とを備えている。フィルタ部15bの凹部15b2に小さな食材等の残渣が溜まると、フィルタ部15bは凹部15b2の部分で通水及び通気しにくくなるが、突出部15b1には食材等の残渣がたまりにくくなっているので、フィルタ部15bは突出部15b1の部分で通水及び通気可能な状態が維持される。
【0023】
枠部15aの下側に設けた脚部15cは排水目皿15が排水口20dから水平方向にずれないようにするためのものである。脚部15cは、2本の金属製線材を曲げ加工したものであり、第1脚部15dと第2脚部15eとを備えている。第1脚部15dは排水口20dの径より少し小さな幅の略U字形の係止部15d1と、係止部15d1の上端から外側に延びて枠部15aの下面に固定される固定部15d2とを備えている。第2脚部15eも第1脚部15dと同様に、排水口20dの径より少し小さな幅の略U字形の係止部15e1と、係止部15e1の上端から外側に延びて枠部15aの下面に固定される固定部15e2とを備えている。第2脚部15eの固定部15e2は第1脚部15dの固定部15d2に対して90°異なる位置で枠部15aの下面に固定されている。
【0024】
枠部15aの上側に設けた持手部15fは排水口20dから排水目皿15を着脱する持ち手として用いられるものである。持手部15fは、この実施形態では1本の金属製線材を曲げ加工したものであり、枠部15aの周方向の互いに離間する位置として径方向に対向する位置で枠部15aの上面から鉛直方向に延びる一対の起立部15f1と、一対の起立部15f1の上端部を連結する連結部15f2とを備えている。枠部15aは排水口20dの外側に配置されているので、持手部15fの一対の起立部15f1と連結部15f2の長手方向の両端部も排水口20dの外側に配置され、排水目皿15の上下を逆にしたときに、持手部15fの一対の起立部15f1と連結部15f2の両端部が排水口20dの周縁部に係止することになる。このように、排水目皿15を上下が逆となるように排水口20dに取り付けようとしても、枠部15aが排水口20dから起立部15f1の高さで離間することで、排水目皿15は上下が逆となって排水口20dに取り付けられたことがわかりやすくなる。
【0025】
図10に示したように、排水口20dは第1排水管16によってタンク14に接続されており、調理庫20内の洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に送られる。タンク14と洗浄ノズル40とは洗浄水送出管41によって接続されており、タンク14内の洗浄水は洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。洗浄水送出管41にはポンプ42が介装されており、調理庫20からタンク14内に送られた洗浄水はポンプ42によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。この実施形態の洗浄水通路は、第1排水管16と、タンク14と、洗浄水送出管41とにより構成されているが、これに限られるものではなく、調理庫20の排水口20dと洗浄ノズル40とを接続するものであればよい。
【0026】
図10に示したように、タンク14には水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管43が接続されており、給水管43には給水弁44と流量計45が介装されている。給水源の水は給水弁44を開放させることによって給水管43を通ってタンク14内に供給される。給水弁44を開放したときに給水管43を通過する水の流量は流量計45によって計測される。
【0027】
洗浄水送出管41にはポンプ42より洗浄水が流れる方向の上流側に第2排水管17が接続されており、第2排水管17には排水弁18が介装されている。タンク14内の洗浄水を含めた水は排水弁18を開放することによって排出される。また、洗浄水をタンク14と調理庫20とを循環させるときには、排水弁18を閉止させた状態で給水弁44を流量計45の検出流量に応じた開放時間で開放させると、タンク14には所定量の洗浄水が貯えられる。タンク14に貯えれた洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られ、送られた洗浄水は洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射される。調理庫20内に噴射された洗浄水は調理庫20の底壁の排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に戻される。このように、洗浄水はポンプ42の作動によってタンク14と調理庫20とを循環する。
【0028】
図12に示したように、加熱調理器10は制御装置50を備えており、制御装置50は、排水弁18、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置30、外気導入弁35、ポンプ42、給水弁44及び流量計45に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。また、制御装置50は、対流ファン26のモータに駆動電流を供給するためのインバータ回路を備え、インバータ回路の駆動制御をすることで対流ファン26の回転方向を正転と逆転とで変更可能としている。
【0029】
制御装置50は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0030】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0031】
制御装置50は、ROMに調理庫20内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄プログラムを備えている。洗浄プログラムは調理庫20内を蒸気によって予め洗浄する蒸気予洗浄運転と、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転とを有した第1洗浄プログラムと、蒸気予洗浄運転を有さずに調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転を有した第2洗浄プログラムを備え、第1及び第2洗浄プログラムを選択可能としている。
【0032】
次に、第1洗浄プログラムの制御を
図13を参照して説明する。調理庫20内を洗浄するときには、調理庫20の排水口20dに設けた排水目皿15の上側にタブレット形(高さの低い円柱形)の洗剤を置いた状態で洗浄プログラムを実行させる。食材の加熱調理後に洗浄プログラムを実行させるときがあり、食材の加熱調理後に調理庫20内に洗浄水を飛散させると、調理庫20を構成する周壁が洗浄水によって急激に冷やされ、調理庫20の周壁が変形するおそれがある。このため、制御装置50は、ステップ101にて、調理庫20内の温度を検出する温度センサ27の検出温度が洗浄好適温度である50℃より高いか否かを判定する。
【0033】
調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃以下であれば、制御装置50はステップ101にてNOと判定して後述するステップ103に進める。これに対し、調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃より高ければ、制御装置50はステップ101にてYESと判定して、ステップ102にて洗浄好適温度として50℃以下となるまで冷却運転を実行する。制御装置50は、この冷却運転では、対流ファン26を作動させるとともに外気導入弁35を開放させることで、調理庫20内に外気を導入して冷却し、調理庫20内を洗浄に適した洗浄好適温度である50℃以下まで低下させる。
【0034】
制御装置50は、ステップ101によって調理庫20内が50℃以下であると判定された後、または、ステップ102の冷却運転によって調理庫20内を洗浄好適温度である50℃以下に低下させた後で、ステップ103にて蒸気予洗浄運転を実行する。蒸気予洗浄運転は調理庫20内を洗剤を含んだ洗浄運転を実行する前に、調理庫20内に蒸気を供給するようにして主として油汚れを浮かすことを目的としたものである。制御装置50は、調理庫20内の温度が油分の汚れを浮かすことのできる蒸気洗浄温度の一例として100℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいて蒸気発生装置30の作動を制御している。調理庫20内に付着している油汚れは蒸気発生装置30から供給される蒸気によって浮くようになり、油汚れは蒸気予洗浄運転後の洗浄運転を実行したときに洗浄水によって洗い流されやすくなる。この実施形態ではステップ103の蒸気予洗浄運転を30分間実行するように制御している。なお、蒸気予洗浄運転の実行時間は例えば14~40分の間で設定可能である。
【0035】
制御装置は、ステップ103の蒸気予洗浄運転を実行した後で、ステップ104にて洗浄運転を実行する。この実施形態では、制御装置50は、洗浄運転を4回実行するように制御しており、1回目の洗浄運転は、調理庫20内に入れた洗剤が洗浄水に溶けるので、洗剤を含んだ洗浄水により調理庫20内を洗浄することを目的とするものであり、2回目以後の洗浄運転は、1回目の洗浄運転によって調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎの洗浄をすることを目的とするものである。
【0036】
制御装置50は、洗浄運転を実行したときに、流量計45により計測される流量に応じた開放時間で給水弁44を開放させ、タンク14に洗浄運転で必要となる量の洗浄水を貯えるようにする。タンク14に洗浄水が貯えられた後で、制御装置50は、ポンプ42と対流ファン26とを作動させており、タンク14内の洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送出され、洗浄ノズル40に送出された洗浄水は調理庫20内に噴射され、調理庫20内に噴射された洗浄水は対流ファン26の作動によって調理庫20内を飛散し、調理庫20内は飛散する洗浄水によって洗浄される。洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に戻り、調理庫20内はタンク14とを循環する洗浄水により洗浄される。
【0037】
また、ポンプ42と対流ファン26とを作動させることで、タンク14との間で循環する洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄しているときに、制御装置50は、調理庫20内の温度が洗浄に適した温度の一例として90℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25の作動を制御している。このように、タンク14との間で循環する洗浄水は調理庫20内に飛散する過程で加熱されて高温の洗浄水となり、調理庫20内は高温の洗浄水が飛散することによって洗浄される。この実施形態では洗浄運転を30分間実行するように制御しており、洗浄運転を開始してから45分(45分は一例であり例えば45分~100分の間で設定可能である)経過すると、制御装置50は、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42の作動を停止させ、排水弁18を所定時間として2.5分間開放させて、タンク14内の洗浄水を第2排水管17から排出させて洗浄運転を終了する。
【0038】
制御装置50は、ステップ104の洗浄運転を実行した後で、ステップ105にて洗浄運転を4回実行したか否かを判定する。洗浄運転を4回実行していなければ、制御装置50は、ステップ105にてNOと判定してステップ104に戻す。2回目以後の洗浄運転は、1回目の洗浄運転によって調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎの洗浄をするものであり、上述したステップ104の洗浄運転を再び実行する。なお、2回目以後の洗浄運転は濯ぎを目的としているため、洗浄時間を一例として8分間としている。洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転後に濯ぎの洗浄運転を3回実行し、洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転と濯ぎの洗浄運転とを合わせて4回実行すると、制御装置50はステップ105にてYESと判定して、ステップ106の乾燥運転に進める。
【0039】
乾燥運転は、調理庫20内に残る洗浄水を蒸発させて、調理庫20内を乾燥させることを目的としたものである。制御装置50は、対流ファン26を作動させるとともに、調理庫20内を乾燥させることができる乾燥温度の一例として140℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25の作動を制御している。調理庫20内はヒータ25により加熱されながら対流ファン26によって対流する熱風によって乾燥する。この実施形態ではステップ106の乾燥運転を40分間実行するように制御しており、この乾燥運転を40分実行した後で第1洗浄プログラムを終了する。なお、第2洗浄プログラムは、第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転を実行しない洗浄プログラムであり、蒸気予洗浄運転を実行しない以外は第1洗浄プログラムと同じ洗浄プログラムであるので、第2洗浄プログラムの詳細な説明は省略する。また、第1洗浄プログラムと第2洗浄プログラムの一方だけを備えたものであってもよい。さらに、蒸気予洗浄運転、洗浄運転及び乾燥運転の温度や時間等については、上述したものに限られるものではなく、調理庫20の大きさや汚れの具合等により任意に設定するようにしたものであってもよい。
【0040】
上記のように構成した加熱調理器10は、ポンプ42を作動させることによって洗浄水を洗浄水通路を通して洗浄ノズル40に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水を排水口20dから洗浄水通路を通して再び洗浄ノズル40に送出し、循環する洗浄水によって調理庫20内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器である。この加熱調理器10においては、排水口20dには洗浄水通路に食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させるフィルタ部15bを有した排水目皿15が着脱可能に設けられている。
【0041】
排水目皿15は、排水口20dより大きな径の外周を有する枠部15aと、枠部15aの内側で排水口20dに食材のような固形物の進入を防いだ状態で洗浄水のような液体を通過させるフィルタ部15bと、枠部15aの下側で排水口20d内に挿通可能な外径を有して排水目皿15が排水口20dから水平方向への移動するのを規制する脚部15cと、枠部15aの上側に設けられて排水目皿15の持ち手となる持手部15fとを備えている。排水目皿15の持手部15fは枠部15aより上側に突出する部分の外径を排水口20dの径よりも大きくしている。具体的には、排水口20dより径の大きな枠部15aの周方向の互いに離間する位置として、枠部15aの径方向に対向する位置で起立する一対(複数)の起立部15f1と、一対の起立部15f1の上端部を連結する連結部15f2とを備えている。
【0042】
排水目皿15の上下を逆にしたときに、枠部15aから起立する2つの起立部15f1と2つの起立部15f1を連結する連結部15f2とが排水口20dの周縁部に係止して、枠部15aが排水口20dの上側で起立部15f1の高さで離間するようになり、排水目皿15の上下が逆となっていることに気付きやすくなる。これによって、排水目皿15は上下が逆となって取り付けられにくくすることができる。
【0043】
この実施形態の排水目皿15においては、持手部15fは枠部15aの径方向に対向する位置で一対の起立部15f1を備えているが、これに限られるものではなく、持手部15fは枠部15aの周方向の互いに離間する位置で起立する2つ以上の起立部15f1と、2つ以上の起立部15f1の上端部を連結する連結部15f2とを備えるようにしたものであってもよい。この場合に、起立部15f1が3つ以上であるときには、互いに隣り合う起立部15f1の上端部を連結部15f2により連結させてもよいし、枠部15aの径方向の中心部から放射状に延びる連結部15f2によって3つ以上の起立部15f1の各々の上端部を連結させてもよい。さらに、4つ以上の偶数の起立部15f1を周方向に等間隔に配置したときには、互いに対向する起立部15f1の上端部を連結部15f2によって連結させてもよい。また、持手部15fの起立部15f1は鉛直に起立しているが、これに限られるものではなく、起立部15f1を径方向の外側に傾斜させたものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…加熱調理器、15…排水目皿、15a…枠部、15b…フィルタ部、15f…持手部、15f1…起立部、15f2…連結部、20…調理庫、20d…排水口、40…洗浄ノズル、42…ポンプ、14,16,41…洗浄水通路。