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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G08G1/09 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020100778
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021196689
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和輝
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158379(JP,A)
【文献】特開2015-001466(JP,A)
【文献】特開2012-251989(JP,A)
【文献】特開2019-158413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0072626(US,A1)
【文献】特開2014-048086(JP,A)
【文献】特開2014-240757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/10
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載バッテリの蓄電量の目標値を取得する情報取得部と、
車両の走行中に前記車載バッテリへの充電が可能とされ車両の到着予定地点までの走行経路上に経路方向に離隔して設けられた複数の充電レーンのうち、前記車載バッテリへの充電を実施する充電実施レーンを決定する決定処理部と、を備え、
前記決定処理部は、前記蓄電量の目標値に基づいて前記車載バッテリへの充電回数が最も少なくなるように前記充電実施レーンを決定する
運転支援装置。
【請求項2】
前記蓄電量の目標値に基づいて充電実施レーンにおける前記車両の充電実施距離を算出する充電実施距離算出部を備えた
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記決定処理部は、前記充電実施レーンの全長が前記充電実施距離よりも長い場合に充電実施レーンの走行開始地点または走行終了地点の少なくとも一方を決定する
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記決定処理部は、前記充電実施レーンの数が同じとなる充電実施パターンが複数ある場合に当該複数の充電実施パターンのうち前記充電実施レーンの終端が前記到着予定地点に最も近くなる充電実施パターンに基づいて前記充電実施レーンの決定を行う
請求項1から請求項3の何れかに記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者による車両の運転を支援する運転支援装置に関する。具体的には、充電レーンの使用に関する運転支援を行う運転支援装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンなどの燃料を用いずに走行可能な電気自動車や燃料による走行と電気による走行を併用可能なハイブリッド自動車が普及してきている。
そのような車両の増加に伴って、車両に搭載される蓄電装置に対する充電を走行中に行うことが可能な走行レーン(充電レーン)が整備されつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、埋設された電磁誘導方式の給電装置の上を車両が通過することで車両に設置した受電装置に誘導電力が受電される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-073385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、電気自動車やハイブリッド自動車の普及が進むにつれて、このような充電レーンは混雑してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、充電レーンの効率的な使用を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運転支援装置は、車載バッテリの蓄電量の目標値を取得する情報取得部と、車両の走行中に前記車載バッテリへの充電が可能とされ車両の到着予定地点までの走行経路上に経路方向に離隔して設けられた複数の充電レーンのうち、前記車載バッテリへの充電を実施する充電実施レーンを決定する決定処理部と、を備え、前記決定処理部は、前記蓄電量の目標値に基づいて前記車載バッテリへの充電回数が最も少なくなるように前記充電実施レーンを決定するものである。
蓄電量の目標値とは、例えば、運転者や同乗者などのユーザによって入力された車載バッテリに充電する充電量(増加予定蓄電量)や目標とする蓄電レベル(目標蓄電レベル)などである。
【0008】
上記した運転支援装置においては、前記蓄電量の目標値に基づいて充電実施レーンにおける前記車両の充電実施距離を算出する充電実施距離算出部を備えていてもよい。
これにより、蓄電量に関する目的を達成するための充電レーンの走行距離が算出される。
【0009】
上記した運転支援装置における前記決定処理部は、前記決定処理部は、前記充電実施レーンの全長が前記充電実施距離よりも長い場合に前記充電実施レーンの走行開始地点または走行終了地点の少なくとも一方を決定してもよい。
これにより、充電レーンの長さよりも充電実施距離が短い場合に充電レーンの一部を使用するように決定される。
【0010】
上記した運転支援装置における前記決定処理部は、前記充電実施レーンの数が同じとなる充電実施パターンが複数ある場合に当該複数の充電実施パターンのうち前記充電実施レーンの終端が前記到着予定地点に最も近くなる充電実施パターンに基づいて前記充電実施レーンの決定を行ってもよい。
これにより、例えば、複数の充電レーンのうちどれを使用しても目的が達成できる場合に到着予定地点である目的地に最も近い充電レーンを使用することが決定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電レーンの効率的な使用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の車両及び充電レーンについての概略ブロック図である。
図2】制御部の機能構成を示す図である。
図3】第1地点と第2地点の間に二つの充電レーンが敷設されている例を示す図である。
図4】モード指定画面の一例である。
図5】補充蓄電量指定画面の一例である。
図6】料金指定画面の一例である。
図7】制御部が実行するフローチャートの一例である。
図8】制御部が実行するフローチャートの一例である。
図9】制御部が実行するフローチャートの一例である。
図10】第1地点と第2地点の間に三つの充電レーンが敷設されている例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の運転支援装置1を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
なお、説明は次の順序で行う。
<1.車両と充電レーンの構成>
<2.制御部の機能構成>
<3.ユーザインタフェース>
<4.フローチャート>
<5.変形例>
<6.まとめ>
【0015】
<1.車両と充電レーンの構成>
図1は、電気自動車とされた車両100と車両100が走行する充電レーン200の構成例を示す図である。
充電レーン200には、送電部201と送電部201に電力を供給する電源部202を備えている。
送電部201は、送電コイルなどにより形成されている。
電源部202は、高周波の交流電源とされており、交流電流が送電部201に流れることにより送電コイルに磁界が発生する。
【0016】
充電レーン200は、例えば、道路の一部として設けられていてもよい。例えば、A地点とB地点の間に敷設された道路に断続的に設けられている。
また、道路におけるある区間において、充電レーン200と非充電レーンが併設されていてもよい。例えば、片側二車線の道路において一方の車線のみが充電レーン200とされていてもよい。この場合には、充電レーン200を使用するか否かを選択することができる。
【0017】
車両100は、受電部101と整流回路102と車載バッテリ103とPCU(Power Control Unit)104とモータ105と制御部106とを備えている。
【0018】
受電部101は、例えば、受電コイルなどにより形成されている。受電部101が充電レーン200に埋設された送電部201の上方を通過する際に電磁誘導が発生し受電部101に電流が発生する。
【0019】
整流回路102には、受電部101で発生した電流に基づく交流の入力電圧が供給される。整流回路102は、AC(Alternating Current)/DC(Direct Current)変換回路として機能し、交流電圧としての入力電圧を直流電圧に変換して車載バッテリ103へ供給する。
【0020】
車載バッテリ103は、高電圧のバッテリとされている。車載バッテリ103は、車輪の駆動に用いられる電力や車両100の各種の電子機器の駆動に用いられる電力の供給を行う。図1は、車載バッテリ103から車輪の駆動に用いられる電力供給について示したものであり、その他の各部の駆動に用いられる電力供給についての図示は省略している。
【0021】
車載バッテリ103は、整流回路102から供給された直流電圧に基づき充電される。
即ち、充電レーン200の送電部201と車両100の受電部101と整流回路102とによって車載バッテリ103の非接触充電が可能とされている。
【0022】
車載バッテリ103は、PCU104に対してモータ105の駆動のための電源電圧を供給する。
【0023】
PCU104は、モータ105を駆動するためのインバータやDC/DCコンバータ等を備えて構成されている。
PCU104は、上記の電源電圧に基づいてモータ105を駆動するための交流電流を生成し、モータ105に供給する。PCU104は、交流電流の制御によりモータ105のトルク制御を行う。また、PCU104は、回生ブレーキ機能を備えることにより回生エネルギーを利用したエネルギー効率の最適化機能を備えていてもよい。
【0024】
モータ105は、発電機能を備えたモータジェネレータとして構成されており、供給された交流電流に基づいて車輪の駆動を行う。
【0025】
制御部106は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有して構成されており、車両100の統括的な制御を行う。制御部106は、単一のユニットとして設けられていてもよいし、複数のECU(Electronic Control Unit)によって構成されていてもよい。複数のECUとは、例えば、車載バッテリ103の充電制御などを行うバッテリ制御ECU、車両100が備える表示デバイス(メータ等も含む)についての表示制御などを行う表示制御ECU、エアバッグ制御ECU、空調制御ECUなど、各種のものが含まれ得る。
【0026】
また、図1には示していないが、車両100に設けられたコネクタ部を介して車載バッテリ103の充電が可能とされていてもよい。
【0027】
本実施の形態における制御部106は、特に、車載バッテリ103の出力電流値や出力電圧値などの計測値を用いて車載バッテリのSOC(State Of Charge)を算出し管理する。なお、PCU104がSOCの情報を管理し、制御部106はPCU104からSOCを取得可能とされていてもよい。
制御部106はSOCに応じた制御が可能とされている。
【0028】
<2.制御部の機能構成>
車両100が備える制御部106の機能構成について、図2を参照して説明する。なお、制御部106の機能構成は、運転支援装置1が備える機能構成でもある。即ち、運転支援装置1は、制御部106によって構成される各種の機能を有することにより車両100の運転についての各種支援を行うものである。
【0029】
制御部106は、情報取得部10、充電実施距離算出部11、決定処理部12、ルート検索部13を備えて構成されている。
【0030】
情報取得部10は、各部の制御に用いる情報の取得処理を行う。一例を示すと、情報取得部10は、運転者のアクセルペダルの操作に応じたアクセル開度の情報を取得する処理を行う。制御部106は、取得したアクセル開度の情報に基づいてPCU104に対してモータ105の制御値(例えば電流値)の目標値を出力する。PCU104は、受信した制御値の目標値に基づいてモータ105の制御を行う。これらの一連の処理が実行されることにより、運転者のアクセルペダルの操作に応じて車両100の車速が変化する。
【0031】
本実施の形態において、情報取得部10は、車載バッテリ103に関する情報を取得する。
車載バッテリ103に関する情報とは、例えば、車載バッテリ103の蓄電量に関する情報とされ、SOCの情報である。SOCの情報は定期的に最新の情報に更新される。
【0032】
或いは、車載バッテリ103に関する情報とは、ユーザ(運転者や同乗者など)によって入力される情報である。
例えば、車両100で目的地まで移動するために必要な蓄電量(0~100%)に対して現在の蓄電量が30%分不足している場合に、ユーザは道中に設けられた充電レーン200で不足分とされた30%分の蓄電量を補充したいと考える。ユーザによって入力された30%の蓄電量は、車載バッテリ103に関する情報といえる。以降の説明では、指定された補充予定の蓄電量を「増加予定蓄電量」と記載する。
【0033】
車載バッテリ103に関する情報とは、他にも、ユーザによって入力される目標の蓄電レベルの情報とされることが考えられる。例えば、車両100で目的地まで移動する道中のどこかで車載バッテリ103を満充電にしておきたいとユーザが考え、目標の蓄電レベルとして満充電(蓄電率100%)を指定したとする。この指定された目標の蓄電レベルは、車載バッテリ103に関する情報といえる。なお、以降の説明では、目標の蓄電レベルを「目標蓄電レベル」として記載する。また、蓄電率100%を蓄電レベル100%と記載する。
なお、以下の説明においては、「増加予定蓄電量」や「目標蓄電レベル」を区別せずに蓄電量についての目標を指す場合は、「蓄電量の目標値」と記載する。
【0034】
情報取得部10は、車載バッテリ103に関する上述したような情報を取得する。これらの情報についての取得処理は、ユーザの操作によらず自動的に行われてもよいし、車両100の表示部においてユーザに提供したUI(User Interface)を介して取得してもよい。また、スマートフォンなどの携帯端末にインストールした専用のプログラム(アプリケーション)を用いてユーザが入力した車載バッテリ103に関する情報(増加予定蓄電量や目標蓄電レベル)をネットワークを介して、或いは通信ケーブルや無線通信等を介して取得してもよい。
【0035】
例えば、ユーザがスマートフォンを利用して増加予定蓄電量の情報をサーバ装置にアップロードし、情報取得部10はサーバ装置から当該情報をダウンロードすることにより取得するような場合もネットワークを介した取得とされる。
【0036】
このようにして情報取得部10は使用する充電レーン200を決定するための情報として車載バッテリ103に関する情報を取得する。
【0037】
なお、増加予定蓄電量の代わりに料金がユーザによって指定されてもよい。料金は、充電レーン200の使用料金であり、充電実施距離や蓄電量の増加量に応じて課金されることが考えられる。この場合には、指定された使用料金を車載バッテリ103に関する情報としてもよいし、指定された使用料金から算出した増加予定蓄電量を車載バッテリ103に関する情報としてもよい。
【0038】
また、情報取得部10は、車両100の電費情報の取得を行う。電費情報は、走行距離と消費された車載バッテリ103の蓄電量に基づいて算出され、メモリ等の記憶部に記憶されている。電費情報は、例えば、所定の走行距離ごとに更新される。
【0039】
充電実施距離算出部11は、情報取得部10が取得した車載バッテリ103に関する情報に基づいて第1地点から第2地点へと至る経路上に設けられた充電レーン200ごとの充電実施距離を算出する。
【0040】
第1地点とは、出発地点であり例えば現在地である。また、所定の充電スタンドで満充電してから目的地へと移動する場合などには、当該充電スタンドを第1地点としてもよい。
【0041】
第2地点とは、目的地点であり例えば運転者が最終的に移動したい場所(到着予定地点)である。また、最終的に移動したい場所の最寄りの充電スタンドなどを第2地点としてもよい。
【0042】
即ち、充電実施距離算出部11は、第1地点から第2地点へ移動する際に走行可能な充電レーン200それぞれに対して、蓄電量の目標値(「増加予定蓄電量」や「目標蓄電レベル」)を達成するための充電実施距離を算出する。
【0043】
例えば、情報取得部10が取得した車載バッテリ103に関する情報が「増加予定蓄電量」とされ、増加予定蓄電量が30%である場合、蓄電量の増加量が30%となるように走行可能な充電レーン200の何れかを走行すればよい。このとき、充電レーン200の使用を必要最低限にとどめるために、充電実施距離算出部11は充電レーン200の充電実施距離を算出する。
【0044】
充電実施距離算出部11は、充電レーン200を走行した距離と増加蓄電量との関係に基づいて、増加予定蓄電量(30%)から充電レーン200の充電実施距離を算出する。
例えば、充電レーン200を100m走行するごとに蓄電量がX%増加する場合、充電実施距離は増加予定蓄電量30%をX%で除算し100mを乗算することで求めることが可能である。
【0045】
これにより、ある充電レーン200の敷設距離全てを走行するのではなく、その一部の走行にとどめることが可能となり、充電レーン200の混雑を緩和することができる。
【0046】
また、情報取得部10が取得した車載バッテリ103に関する情報が「目標蓄電レベル」とされ、目標蓄電レベルが100%である場合、走行中の何れかのタイミングで蓄電量が「100%」となるように充電レーン200の充電実施距離を算出する。
【0047】
具体的な例について図3に示す。
第1地点と第2地点の間に二つの充電レーン200A,200Bが敷設されているとする。また、車両100が第1地点に近い充電レーン200Aの始点A1に到達するまでの消費蓄電量が5%とされ、車両100が第2地点に近い充電レーン200Bの始点B1に到達するまでの消費蓄電量が20%とされているとする。
【0048】
充電レーン200Aを使用して目標蓄電レベルを達成するためには、(目標蓄電レベル100%-現在の蓄電量)+5%分を充電レーン200Aの走行により補充しなければならない。充電実施距離算出部11は、この補充分を達成するために必要な充電レーン200Aについての走行距離を算出する。
【0049】
また、充電レーン200Bを利用して目標蓄電レベルを達成するためには、(目標蓄電レベル100%-現在の蓄電量)+20%分を充電レーン200Bの走行により補充しなければならない。充電実施距離算出部11は、この補充分を達成するために必要な充電レーン200Bについての走行距離を算出する。
【0050】
なお、充電レーン200Aと充電レーン200Bは、走行距離に対する蓄電量の増加量が異なる場合がある。即ち、充電レーン200Aと充電レーン200Bとで充電効率が異なる場合がある。充電実施距離算出部11は充電レーン200ごとの充電効率を考慮してそれぞれの充電実施距離を求めることが望ましい。
【0051】
なお、充電レーン200Aの始点が遠い場合や現在の蓄電量が少ない場合、或いは、充電レーン200の距離が短い場合などには、充電レーン200の始点から終点の全区間を使用しても目標蓄電レベルを達成できない場合もある。その場合には、充電実施距離の代わりに全区間を使用した場合の増加蓄電量を算出して管理してもよい。
【0052】
決定処理部12は、情報取得部10が取得した車載バッテリ103に関する情報と充電実施距離算出部11が算出した充電レーン200ごとの充電実施距離とに基づいて第1地点から第2地点へと至る経路上に設けられた充電レーン200から使用する充電レーン200を決定する処理を行う。
【0053】
決定処理部12は、充電レーン200の決定処理において、使用する充電レーン200の数を可能な限り少なくするようにする。
【0054】
例えば、第1地点と第2地点の間に三つの充電レーン200A,200B,200Cが施設されているとする。蓄電量の目標値を達成するために充電レーン200Aを使用する場合は充電レーン200Aと充電レーン200B(または充電レーン200C)の使用が必要とされ、充電レーン200Bを使用する場合には充電レーン200Bのみの使用で済むとされ、充電レーン200Cを使用する場合には充電レーン200Cと充電レーン200B(または充電レーン200A)の使用が必要とされているとする。
【0055】
この場合、決定処理部12は、充電レーン200の使用が一回で済むように、充電レーン200Bの使用を決定する。
【0056】
このように、充電レーン200の使用回数が少なくなるように決定処理部12が充電レーン200の使用を決定することにより、充電レーン200の混雑を回避しつつユーザの要求を満たすことができる。
【0057】
決定処理部12は、充電レーン200の使用中に蓄電量が所定値に到達した場合に、走行中の充電レーン200から非充電レーンへ車線変更することを決定する。即ち、充電レーン200のそれ以上の使用について不要と決定する。
【0058】
蓄電量の所定値とは、蓄電量の目標値として設定された「増加予定蓄電量」や「目標蓄電レベル」のような値である。充電レーン200の走行によって得られた蓄電量の増加量は想定よりも多い場合がある。そのような場合には、予定していた充電実施距離よりも短距離の使用であっても充電レーン200を外れることが決定される。
【0059】
ルート検索部13は、第1地点から第2地点へと至る経路(ルート)の検索を行う。また、ルート検索部13は、検索された複数のルートのうち、到達時間や走行距離に応じて所定数(例えば5個)のルートを検出結果としてユーザに提示してもよい。ユーザは提示された複数のルートから一つのルートを選択することができる。
【0060】
充電実施距離算出部11による算出処理や決定処理部12による決定処理は、ルート検索部13により提示された所定数のルートを対象として行ってもよい。この場合には、ユーザに提示する所定数(例えば5個)のルートごとに、算出処理や決定処理が行われる。
また、充電実施距離算出部11による算出処理や決定処理部12による決定処理は、ユーザに提示された所定数のルートの中からユーザが選択したルートを対象として行ってもよい。この場合には、ユーザが選択した一つのルートについて算出処理や決定処理が行われる。
【0061】
<3.ユーザインタフェース>
ユーザ(運転者や同乗者など)に提示されるユーザインタフェースとしての画面の例について図4図5図6を参照して説明する。
なお、各図に示す画面例は、ルート検索部13の検索結果として提示された所定数のルートから一つのルートが選択された場合に提示されるものである。
また、各画面は車両100が備える表示装置に表示されてもよいし、ユーザが使用する携帯端末などの情報処理装置が備える表示部に表示されてもよい。車両100が備える表示装置に画面を表示する場合には、制御部106が表示処理などのユーザインタフェース処理を行う。
【0062】
先ず、図4は、ユーザに提示した複数のルートから一つのルートをユーザが選択した場合に表示される画面であり、モード指定画面20である。
モード指定画面20には、モードの選択を促すための説明文とともに、ユーザの選択の一助とするための各種情報として提示情報30が提示される。
【0063】
提示情報30は、図4に示す情報以外の情報を含んでいてもよい。例えば、現在の蓄電量の情報などである。
【0064】
提示情報30の下方には選択可能な各モードの選択肢が表示されている。
一つ目の選択肢は、目標蓄電レベルを指定する目標値指定モード選択肢31Aである。このモードが選択されると、「目標蓄電レベル」が指定可能となる。
二つ目の選択肢は、任意の蓄電量を補充する補充蓄電量指定モード選択肢31Bである。このモードが選択されると、「増加予定蓄電量」が指定可能となる。
三つ目の選択肢は、蓄電量の補充に使う金額を指定する料金指定モード選択肢31Cである。このモードが選択されると充電レーン200の使用料金が指定可能となる。
四つ目の選択肢は、充電を行わない充電不要モード選択肢31Dである。
【0065】
二つ目の選択肢である補充蓄電量指定モード選択肢31Bが選択された場合に表示される補充蓄電量指定画面21の一例を図5に示す。
補充蓄電量指定画面21には、蓄電量の指定を促す説明文とともに、提示情報30が表示されている。また、提示情報30の下方には、入力操作子としてのテンキー操作子32と補充蓄電量入力欄33が表示されている。
【0066】
ユーザはテンキー操作子32を操作することにより補充蓄電量入力欄33に所望の数値を入力することができる。
【0067】
なお、一つ目の選択肢である目標値指定モード選択肢31Aが選択された場合にも、図5のような画面が表示される。即ち、入力操作子としてのテンキー操作子32と目標値についての入力欄が表示された画面が表示される。
【0068】
三つ目の選択肢である料金指定モード選択肢31Cが選択された場合に表示される料金指定画面22の一例を図6に示す。
料金指定画面22には、充電レーン200の使用に使用する料金の指定を促す説明文とともに、提示情報30が表示されている。また、提示情報30の下方には、入力操作子としてのテンキー操作子32と料金入力欄34が表示されている。
【0069】
ユーザはテンキー操作子32を操作することにより補充蓄電量入力欄33に所望の数値を入力することができる。
ユーザが料金の入力を行うと、指定された料金で補充可能な蓄電量の目安を制御部106が算出する。算出された蓄電量の増加量の目安は目安表示35としてユーザに提示される。
【0070】
ユーザは、目安表示を確認しながら、料金の指定を再度行うことができる。これにより、ユーザが意図しない蓄電量が指定されてしまうことを防止することができ、蓄電量の不足による走行不能状態を回避することができる。
【0071】
<4.フローチャート>
上述した各種の処理を実現するために制御部106が実行するためのフローチャートの一例について図7図8図9に示す。なお、フローチャートに示す処理例は、第1地点と第2地点の間に三つの充電レーン200A,200B,200Cが敷設されていた場合の例である(図10参照)。三つの充電レーン200A,200B,200Cは、第1地点から近い順に充電レーン200A,充電レーン200B,充電レーン200Cとされる。
【0072】
また、図7に示すステップS101の処理を実行する前に、制御部106は充電レーン200の長さや使用した場合に増加する蓄電量の情報などを充電レーン200ごとに取得しておく。後述する各処理は、これらの情報に基づいて制御部106が実行するものである。
【0073】
制御部106はステップS101において、現在の車載バッテリ103の蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行可能であるか否かを判定する。充電レーン200Cまで走行不能である場合は、充電レーン200Cに到達するよりも前に車載バッテリ103の充電を行う必要があるからである。
この判定は、車両100の直近の走行履歴から蓄電量あたりの走行距離の平均値や最悪値に基づいて行う。
【0074】
充電レーン200Cまで走行可能であると判定した場合、制御部106はステップS102において、充電レーン200Cのみを使用することにより蓄電量の目標値(「増加予定蓄電量」や「目標蓄電レベル」)を達成可能であるか否かを判定する。蓄電量の目標値について、以降の説明では単に「充電目標」と記載する。
【0075】
充電レーン200Cのみを使用することにより充電目標を達成可能と判定した場合、制御部106はステップS103において、充電レーン200Cのみ使用することを決定して一連の処理を終える。
【0076】
即ち、充電レーン200Cまで充電レーン200を使用せずに走行し、充電レーン200Cの始点C1に到達時点で充電レーン200Cを使用するように車線変更などを行い(或いは促し)、充電レーン200Cの使用により充電目標を達成するように車両制御や通知を行う。車両制御とは、例えば、車両100が自動運転可能な車両である場合に、所定のレーンを走行するように車線変更制御などを車両100に対して行うものである。
【0077】
なお、ステップS103の後に、充電レーン200Cの一部のみの使用で充電目標を達成可能か否かを判定してもよい。充電レーン200Cの一部のみの使用で充電目標を達成可能と判定した場合は、充電レーン200Cの始点C1から終点C2のうち、何れの部分を使用するかについて決定する処理を行ってもよい。
具体的には,充電レーン200Cにおける走行開始地点と走行終了地点の双方或いは少なくとも一方を決定する処理を実行してもよい。
このような処理を行うことにより、充電レーン200Cの一部を使用しない制御を行うことができるため、充電レーン200の不要な使用を抑制し、充電レーン200の混雑を緩和することができる。また、充電レーン200の使用を最低限にとどめることにより、充電レーン200の老朽化を遅らせることができる。
このような処理は、後述するステップS105,S107,S112,S114,S116,S117,S119の「Yes」判定、S122,S124,S125,S127の「Yes」判定,S128の各処理の後に行うこともできる。
また、充電レーン200の走行開始地点と走行終了地点の少なくとも一方を決定する場合において、使用部分ができるだけ第2地点に近くなるように決定してもよい。即ち、走行開始地点のみを決定し、走行終了地点は充電レーン200の終点となるように設定してもよい。これにより、理由は後述するが、第2地点で最も蓄電量が多くなる可能性を高めることができる。
【0078】
なお、図7図8図9に示す一連の処理は充電レーン200Cを使用する前に行われるものであるが、ステップS103の後に行う充電レーン200Cの全部を使用するか一部を使用するかの判定処理などは、充電レーン200Cを走行中に行ってもよい。
例えば、充電レーン200Cを走行中に目標を達成したと判定した場合に、充電レーン200Cから離脱するように制御してもよい。或いは、充電レーン200Cを一定距離走行した後に蓄電量の増加量を算出し、その算出結果から充電レーン200Cの充電実施距離を算出して充電レーン200Cの離脱予定地点を算出してもよい。
これらの処理の実行を充電レーン200Cの実際の使用まで後回しにすることで、道中に道を間違えた場合など想定外の蓄電量の消費があった場合や、走行状態が良好で想定以上に蓄電量を消費しなかった場合などに、走行前に予め処理を行っておく場合と比較して適切に対応することができる。また、各処理が無駄になってしまうことが防止される。
【0079】
ステップS102における充電レーン200Cの単独で充電目標を達成可能であるか否かの判定処理において、達成不能と判定した場合、制御部106はステップS104の判定処理へと進む。
【0080】
ステップS104では、充電レーン200Bのみを使用することにより充電目標を達成可能であるか否かを判定する。
【0081】
充電レーン200Bのみを使用することにより充電目標を達成可能と判定した場合、制御部106はステップS105で充電レーン200Bのみ使用することを決定して一連の処理を終える。
【0082】
即ち、制御部106は、充電レーン200Aの不使用と充電レーン200Bの使用と充電レーン200Cの不使用を決定する。
【0083】
ステップS104において充電レーン200Bの単独で充電目標を達成可能であるか否かの判定処理において、達成不能と判定した場合、制御部106はステップS106の判定処理へと進む。
【0084】
ステップS106では、充電レーン200Aのみを使用することにより充電目標を達成可能であるか否かを判定する。
【0085】
充電レーン200Aのみを使用することにより充電目標を達成可能と判定した場合、制御部106はステップS107で充電レーン200Aのみ使用することを決定して一連の処理を終える。
【0086】
即ち、制御部106は、充電レーン200Aの使用と充電レーン200B及び充電レーン200Cの不使用を決定する。
【0087】
充電レーン200Aのみを使用しても充電目標を達成不能と判定した場合、充電レーン200A,200B,200Cの何れにおいても単独の使用では不十分であると判定したこととなる。この場合、複数の充電レーン200を使用するために、後述する図8の処理へと進む。
【0088】
ステップS101において、現在の車載バッテリ103の蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行不能であると判定した場合、充電レーン200A,200Bの何れかまで走行可能か否かを判定する。
【0089】
この場合には、制御部106はステップS108において、現在の車載バッテリ103の蓄電量で充電レーン200Bの始点B1まで走行可能であるか否かを判定する。充電レーン200Bまで走行不能である場合は、充電レーン200Aまで走行可能か否かを判定することとなる。
【0090】
ステップS108において、充電レーン200Bまで走行可能であると判定した場合、制御部106はステップS104へと進み、充電レーン200B単独で充電目標を達成可能か否かを判定する。
【0091】
一方、ステップS108において、現在の車載バッテリ103の蓄電量で充電レーン200Bの始点B1まで走行不能と判定した場合、制御部106はステップS109において、現在の車載バッテリ103の蓄電量で充電レーン200Aの始点A1まで走行可能であるか否かを判定する。
【0092】
充電レーン200Aまで走行不能であると判定した場合、車載バッテリ103の充電を行わなければ最初の充電レーン200Aまで到達できないと判定したこととなる。
この場合、制御部106はステップS110において、このままでは充電レーン200を使用した充電が不可能である旨を通知する処理を行う。この通知処理は、ユーザの使用する端末装置に情報を送信することにより行ってもよいし、車両100が備える表示装置に対する表示処理を行ってもよいし、その両方を行ってもよい。
【0093】
一方、充電レーン200Aまで走行可能であると判定した場合、制御部106は図9に示すステップS118の処理へと進む。
先ず、ステップS118において処理部は充電レーン200Aを使用することを決定する。続いて、制御部106はステップS119において、充電レーン200Aのみを使用することにより充電目標を達成可能であるか否かを判定する。
【0094】
充電レーン200Aのみを使用することにより充電目標を達成可能と判定した場合、制御部106は一連の処理を終える。
【0095】
一方、充電レーン200Aのみを使用しても充電目標を達成不能と判定した場合、充電レーン200A以外に充電レーン200B,200Cの何れかの使用が必要である。そこで、充電レーン200B,200Cそれぞれについて使用するか否かを決定するための処理をステップS120以降で行う。
【0096】
先ず、制御部106はステップS120において、充電レーン200Aを使用した後の蓄電量、即ち終点A2に到達した時点における車載バッテリ103の予想蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行可能であるか否かを判定する。充電レーン200Cまで走行不能である場合は、充電レーン200Bを更に使用する必要がある。
【0097】
充電レーン200Aの終点A2から充電レーン200Cの始点C1まで走行可能であると判定した場合、制御部106はステップS121で充電レーン200Cを更に使用することで充電目標を達成できるか否かを判定する。
【0098】
充電レーン200Cを使用することで充電目標を達成可能と判定した場合、制御部106はステップS122で充電レーン200Cの使用を決定し、一連の処理を終える。
【0099】
即ち、制御部106は、充電レーン200Aの使用と充電レーン200Bの不使用と充電レーン200Cの使用を決定する。
【0100】
一方、ステップS121において充電レーン200Cを使用しても充電目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS123において、充電レーン200Bの使用で充電目標を達成できるか否かを判定する。即ち、二つの充電レーン200A,200Bの使用で目標が達成できるか否かを判定する。
【0101】
目標を達成できると判定した場合、制御部106はステップS124において、充電レーン200Bの使用を決定し一連の処理を終える。
【0102】
即ち、制御部106は、充電レーン200A及び充電レーン200Bの使用と充電レーン200Cの不使用を決定する。
【0103】
一方、ステップS123において充電レーン200Bを使用しても目標は達成できないと判定した場合、即ち、充電レーン200B,200Cの二つの使用ではそもそも充電レーン200Bの始点B1まで走行できず、充電レーン200A,200Bの二つの使用及び充電レーン200A,200Cの二つの使用では充電目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS125において充電レーン200B,200Cの使用を決定して一連の処理を終える。
【0104】
即ち、制御部106は全ての充電レーン200A,200B,200Cの使用を決定する。
【0105】
以上、ステップS120で終点A2に到達した時点における車載バッテリ103の予想蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行可能であると判定した場合の処理について説明した。
次に、ステップS120で終点A2に到達した時点における車載バッテリ103の予想蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行不能であると判定した場合の処理について説明する。
【0106】
終点A2時点に到達した時点における車載バッテリ103の予想蓄電量で充電レーン200Cの始点C1まで走行できない場合、充電レーン200Bの使用が必要となる。即ち、制御部106はステップS126において、充電レーン200Bの使用を決定する。
【0107】
続いて、制御部106はステップS127において、充電レーン200Bの使用で充電目標を達成できるか否かを判定する。即ち、二つの充電レーン200A,200Bの使用で目標が達成できるか否かを判定する。
【0108】
目標を達成できると判定した場合、制御部106は一連の処理を終える。
一方、目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS128において充電レーン200Cの使用を決定する。
【0109】
即ち、制御部106は全ての充電レーン200A,200B,200Cの使用を決定する。
【0110】
ここまでの説明は、図7のステップS109で充電レーン200Aの始点A1まで走行が可能と判定した場合、即ち、充電レーン200Bの始点B1までは走行できないが充電レーン200Aの始点A1までは走行できる場合の処理についてである。
【0111】
次に、図7のステップS106において、何れの充電レーン200の単独使用では充電目標を達成できないと判定した場合の処理について図8を参照して説明する。
図8に示す一連の処理を実行する条件をまとめると、現在の車載バッテリ103の蓄電量で少なくとも充電レーン200Bの始点B1までは走行可能であり、且つ、充電目標を達成するために充電レーン200を複数使用する必要がある場合である。
【0112】
制御部106は図8のステップS111において、二つの充電レーン200B,200Cの使用で充電目標を達成できるか否かを判定する。
二つの充電レーン200を使用するには、充電レーン200A,200Bであってもよいし、充電レーン200A,200Cであってもよいし、充電レーン200B,200Cであってもよいはずである。しかし、ステップS111で先ず充電レーン200B,200Cの使用について検討しているのは、第2地点で最も蓄電量が多くなる可能性が高いからである。
【0113】
例えば、充電レーン200A,200Bの使用で充電目標を達成できると考えて実際に走行したが、充電レーン200Bの終点B2から第2地点までに想定以上の蓄電量を消費してしまう可能性がある。しかし、充電レーン200Cを使用しておけば、想定外の蓄電量の消費が起きうる区間(終点C2から第2地点までの区間)が短くされるため、想定通りの蓄電量を残して起きやすい。
また、充電目標が「目標蓄電レベル」である場合、目標蓄電レベルの達成タイミングをできるだけ遅くした方が第2地点で残っている蓄電量が多くなるのは自明である。
【0114】
従って、ステップS111において、充電レーン200B,200Cの使用で充電目標を達成可能か否かを判定する。
【0115】
ステップS111で充電レーン200B,200Cを使用することにより充電目標を達成できると判定した場合、制御部106はステップS112において、充電レーン200B,200Cの使用を決定し一連の処理を終える。
【0116】
即ち、即ち、制御部106は、充電レーン200Aの不使用と充電レーン200B及び充電レーン200Cの使用を決定する。
【0117】
ステップS111で充電レーン200B,200Cを使用しても充電目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS113において、充電レーン200A,200Cを使用することにより充電目標を達成できるか否かを判定する。
【0118】
ステップS113で充電レーン200A,200Cを使用することにより充電目標を達成できると判定した場合、制御部106はステップS114において、充電レーン200A,200Cの使用を決定し一連の処理を終える。
【0119】
即ち、制御部106は、充電レーン200Aの使用と充電レーン200Bの不使用と充電レーン200Cの使用を決定する。
【0120】
ステップS113で充電レーン200A,200Cを使用しても充電目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS115において、充電レーン200A,200Bを使用することにより充電目標を達成できるか否かを判定する。
【0121】
充電目標を達成できると判定した場合、制御部106はステップS116において、充電レーン200A,200Bの使用を決定し一連の処理を終える。
【0122】
即ち、制御部106は、充電レーン200A及び充電レーン200Bの使用と充電レーン200Cの不使用を決定する。
【0123】
一方、ステップS115で充電レーン200A,200Bを使用しても充電目標を達成できないと判定した場合、制御部106はステップS117で全ての充電レーン200A,200B,200Cを使用することを決定し、一連の処理を終える。
【0124】
上述したように、制御部106は、複数の充電レーン200のうち、可能な限り少ない数の充電レーン200を使用するように各種処理を行う。換言すれば、使用しない充電レーン200が可能な限り多くなるように制御を行う。
これにより、充電レーン200の混雑を抑制することができる。
【0125】
また、制御部106は使用する充電レーン200の数を少なくした上で可能な限り第2地点に近い充電レーン200を使用するように制御を行う。
これにより、充電レーン200の使用を先延ばしにし、不要な充電レーン200の使用を抑制することができる。また、第2地点で残された蓄電量を大きくすることができ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0126】
<5.変形例>
上述したフローチャートの一例では、充電レーン200Cの単独の使用で充電目標を達成できないと判定した場合、同様の判定処理を充電レーン200Bについて行った後充電レーン200Aについて行った。
しかし、例えば、充電レーン200Cの使用による増加蓄電量よりも充電レーン200Bの使用による増加蓄電量の方が少ない場合、充電レーン200Bの単独の使用では充電目標を達成できないことは自明である。
そこで、充電レーン200Cの単独の使用で充電目標を達成できないと判定した場合、充電レーン200Cよりも多くの蓄電量を増加させることができる充電レーン200のみを対象としてステップS104やステップS106のような判定処理を行ってもよい。
これにより、制御部106が実行する処理を少なくすることができ、処理負担を軽減することができる。
【0127】
図7図8及び図9に示した一連の処理の前に、到達時間や走行距離に応じて所定数(例えば5個)のルートを検出結果としてユーザに提示してもよい。その場合には、ユーザによって指定されたルートについて図7図8及び図9に示す各処理を実行すればよい。
予めルートを絞っておくことで、例えば充電レーン200を使用するために現実的に選択されないような不必要に遠回りするルートなどについて充電レーン200の使用要否を判定する必要がなくなり、制御部106の処理負担の軽減を図ることができる。
【0128】
充電レーン200は必ず使用可能であるとは限らない。例えば事故や工事等により一部の充電レーン200の使用が不可能である場合がある。
そのような場合に備えて、車両100が通信制御部を備え、事故情報や工事情報などを管理するサーバ装置に対する情報取得要求を実行可能に構成されていてもよい。
例えば、図7図8及び図9に示した一連の処理を実行する前に最新の事故情報や工事情報などを取得する処理を実行し、取得した情報に応じて使用しない充電レーン200を予め設定しておいてもよい。
これにより、車載バッテリ103の蓄電量を予定通りに増加させることができずに第2地点まで到着できなくなってしまうことを防止することができる。
【0129】
また、使用不能ではないが不使用が推奨される充電レーン200をサーバ装置が管理していてもよい。例えば、他の車両の走行データなどから渋滞が予想されている充電レーン200の情報をサーバ装置が管理していてもよい。より好適には、同区間の通常レーン(非充電レーン)と比較して充電レーン200の渋滞が酷い場合に、当該充電レーン200を使用非推奨な充電レーン200として管理してもよい。これにより、充電レーン200を使用することにより第2地点への到着が遅くなってしまうことが防止され、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0130】
なお、事故情報や工事情報や渋滞情報は、適宜更新されることが望ましい。例えば、車両100が図10に示す充電レーン200Aの始点A1に到着した段階でサーバ装置に対して制御部106が各種情報の取得を要求し、車両100が第1地点に位置していたときと状況が変わっている場合には、再度図7図8及び図9に示す一連の処理を実行することにより、充電レーン200の最適な使用がなされるようにしてもよい。
このように、車両100が充電レーン200の始点や終点に到達するごとに各種の処理が実行されてもよい。また、事故や渋滞が発生したことをサーバ装置が検出したタイミングで車両100に対して通知がなされるとともに、車両100の制御部106は当該通知を受信したタイミングで図7図8及び図9に示す一連の処理を実行してもよい。
これにより、突発的な状況変化に柔軟に対応することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0131】
車両100が燃料と車載バッテリ103の双方を用いて走行可能なハイブリッド車両である場合には、適宜燃料を消費して走行することを考慮して各種の処理を行ってもよい。
例えば、制御部106は図7のステップS101で充電レーン200Cまで現在の蓄電量で走行可能か否かを判定する処理を行うが、走行できないと判定した場合に、燃料を消費した走行を併用することにより充電レーン200Cまで走行できるか否かを更に判定してもよい。そして、燃料による走行と車載バッテリ103による走行を併用することにより充電レーン200Cまで走行できると判定した場合は、燃料による走行を併用してもよいか否かをユーザに選択させるなどの処理を実行することが考えられる。このような場合には、電費情報だけでなく燃費情報も用いて上述した各判定処理などを行う。
このような処理を行うことにより、充電レーン200の使用を最低限に抑えることができる。
また、充電レーン200が非充電レーンと比較して混雑している場合に、燃料による走行を併用することを決定してもよい。
これにより、混雑している充電レーン200を走行することにより移動に時間が掛かりすぎてしまうことを防止することができる。また、充電レーン200の混雑を悪化させてしまうことを防止することができる。
【0132】
充電レーン200が片側一車線の道路において敷設されている場合には、充電レーン200を使用しない場合であっても走行しなければならないことがある。その場合には、充電レーン200を走行するが車載バッテリ103の充電を行わないような選択が可能となるように構成されていてもよい。
これにより、車両100が充電レーン200を走行しなければならない状況においてユーザの意図に反して使用料が徴収されてしまうことを防止することができる。
【0133】
上述した各処理や各例は、その組み合わせが不可能でない限り組み合わせることも可能である。また、上述した処理の一部を省略したり一般的な処理を追加したりすることも可能である。
【0134】
<6.まとめ>
上述したように、車両100が備える運転支援装置1は、車載バッテリ103の蓄電量の目標値を取得する情報取得部10と、車両100の走行中に車載バッテリ103への充電が可能とされ車両100の到着予定地点までの走行経路(ルート)上に経路方向に離隔して設けられた(敷設された)複数の充電レーン200のうち、車載バッテリ103への充電を実施する充電レーン200を決定する決定処理部12と、を備えている。
また、決定処理部12は、蓄電量の目標値に基づいて車載バッテリ103への充電回数が最も少なくなるように充電実施レーンを決定する。
蓄電量の目標値とは、運転者や同乗者などのユーザによって入力された車載バッテリ103に充電する充電量(増加予定蓄電量)や目標とする蓄電レベル(目標蓄電レベル)などである。
このような車載バッテリ103に関する情報に基づいて使用する充電レーン200の数がより少なくなるように経路上(ルート上)に設けられた充電レーン200から使用する充電レーン200を決定することにより、ユーザの要求を満たすと共に不要に充電レーン200を走行してしまうことを防止することができる。更に、充電レーン200と非充電レーンを行き来することによる不要な車線変更を抑制することができ、車両運行上の安全性を向上することができる。
【0135】
運転支援装置1は、蓄電量の目標値に基づいて充電実施レーン(使用する充電レーン200)における車両100の充電実施距離を算出する充電実施距離算出部11を備えていてもよい。
これにより、蓄電量に関する目的を達成するための充電レーン200の走行距離が算出される。
従って、複数の充電レーン200のうちどの充電レーン200を使用するかを適切に決定することができる。
【0136】
運転支援装置1における決定処理部12は、充電実施レーンの全長が充電実施距離よりも長い場合に充電実施レーンの走行開始地点または走行終了地点の少なくとも一方を決定してもよい。
これにより、充電レーン200の長さよりも充電実施距離が短い場合に充電レーン200の一部を使用するように決定される。
従って、充電レーン200が混雑してしまうことを防止することができる。
【0137】
運転支援装置1における決定処理部12は、充電実施レーンの数が同じとなる充電実施パターンが複数ある場合に当該複数の充電実施パターンのうち充電実施レーンの終端が到着予定地点に最も近くなる充電実施パターンに基づいて充電実施レーンの決定を行ってもよい。
充電実施レーンの終端とは、例えば、図10に示す状態において充電実施レーンが充電レーン200A,200Bとされた場合では、充電レーン200Bの終点B2である。
これにより、例えば、複数の充電レーン200のうちどれを使用しても目的が達成できる場合に到着予定地点(第2地点)に最も近い充電レーン200を使用することが決定される。
従って、到着予定地点に到達した場合の蓄電量をなるべく多くすることができる。
具体的には、目標蓄電レベルとして80%が指定された場合に、出発地点(第1地点)から最も近い充電レーン200Aを走破した時点で蓄電量80%を達成しその後充電レーン200を使用しなかった場合の到着予定地点における蓄電量(残量)と、出発地点から最も遠い充電レーン200Cを走破した時点で蓄電量80%を達成し到着予定地点に到達した際の蓄電量は、後者の方が多くなる。
【0138】
運転支援装置1において、蓄電量の目標値は充電レーン200の使用により車載バッテリ103において増加させる予定の蓄電量である増加予定蓄電量の情報とされてもよい。
増加予定蓄電量の情報は、例えば、ユーザによって指定される。
決定処理部12は、指定された増加予定蓄電量を達成するための効率的な充電レーン200の使用を決定する。従って、充電レーン200の不必要な使用などを防止することができる。
【0139】
運転支援装置1において、蓄電量の目標値は目標蓄電レベルの情報とされてもよい。
目標蓄電レベルは、例えば、所定の蓄電レベルに達するように車載バッテリ103の充電を行うことを意図したユーザによって設定される。所定の蓄電レベルに達するタイミングは、到着予定地点(第2地点)に最も近い充電レーン200を抜けるタイミングであってもよいし、任意の充電レーン200を走行中のタイミングであってもよい。
決定処理部12は、目標蓄電レベルを達成するための効率的な充電レーン200の使用を決定する。従って、充電レーン200の不必要な使用などを防止することができる。
【0140】
運転支援装置1の決定処理部12は、充電レーン200を走行中に車載バッテリ103の蓄電量が所定値以上となった場合に走行中の充電レーン200のそれ以上の使用について不要と決定してもよい。
これにより、蓄電量の目標値(充電目標)を達成したにも関わらず充電レーン200を走行してしまうことが防止される。
従って、充電レーン200の効率的な使用が促進され、充電レーン200が混み合ってしまうことを防止することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 運転支援装置
10 情報取得部
11 充電実施距離算出部
12 決定処理部
103 車載バッテリ
200,200A,200B,200C 充電レーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10