(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】航空機用モジュール式胴体アセンブリ、モジュール式胴体アセンブリを含む航空機、及びモジュール式胴体アセンブリの組立方法
(51)【国際特許分類】
B64C 1/08 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
B64C1/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020116120
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エリック グリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ポール ギーシング
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01462533(US,A)
【文献】特表2008-519730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0277994(US,A1)
【文献】米国特許第02323279(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機胴体の長さ方向の一部を構成する航空機用モジュール式胴体アセンブリであって、
当該航空機用モジュール式胴体アセンブリは、他の複数の航空機用モジュール式胴体アセンブリに接続されて、航空機胴体を構成するものであり、
前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びる複数の胴体ローブと、
前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びる複数のロンジロンと、を含み、
前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブは、
(i)複数のフレーム部材、及び
(ii)前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられているとともに、各胴体ローブの外表面を規定するローブ外板を含み、
前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも2つの胴体ローブは、前記複数のロンジロンにおける各ロンジロンに機能的に取り付けられており、
前記複数の胴体ローブ及び前記複数のロンジロンは、前記モジュール式胴体アセンブリ内に画成された貨物室の境界の少なくとも一部を形成する
ものであり、
前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、それぞれ、前記貨物室の境界の少なくとも一部を形成する圧縮部材と、張力部材と、前記圧縮部材と前記張力部材とを機能的に相互接続して、各フレーム部材の剛性を高めるよう構成されたフレーム部材ブレース構造と、を含む、
モジュール式胴体アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の胴体ローブは、上側ローブ、下側ローブ、左側ローブ、及び右側ローブを含み、さらに、前記複数のロンジロンは、
(i)前記上側ローブ及び前記左側ローブに機能的に取り付けられた左上側ロンジロンと、
(ii)前記上側ローブ及び前記右側ローブに機能的に取り付けられた右上側ロンジロンと、
(iii)前記下側ローブ及び前記左側ローブに機能的に取り付けられた左下側ロンジロンと、
(iv)前記下側ローブ及び前記右側ローブに機能的に取り付けられた右下側ロンジロンと、を含む、請求項1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項3】
前記上側ローブは、貨物室領域形状を規定する上側ローブ貨物室領域と、前記貨物室領域形状とは異なる操縦室領域形状を規定する上側ローブ操縦室領域と、を含む、請求項2に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項4】
前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも1つの胴体ローブは、前記航空機の翼に機能的に取り付けられるよう構成された翼受入れ領域をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項5】
前記複数のフレーム部材における各フレーム部材は、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に対して、少なくとも実質的に垂直に延びる、請求項1~4のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項6】
前記圧縮部材は、第1圧縮部材端と第2圧縮部材端を含み、前記張力部材は、前記第1圧縮部材端に機能的に取り付けられた第1張力部材端と、前記第2圧縮部材端に機能的に取り付けられた第2張力部材端を含み、さらに、前記張力部材は、各胴体ローブに凸形状の外表面を規定させる形状を有する弓形張力部材である、請求項
1~5のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項7】
前記張力部材は、前記ローブ外板に直接的且つ機能的に取り付けられている、請求項
1~6のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項8】
前記フレーム部材ブレース構造は、
(i)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた支柱、
(ii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた複数の支柱、
(iii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられたトラス、
(iv)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた三弦トラス、
(v)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられたワーレントラス、のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1~7のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項9】
前記複数のロンジロンは、
(i)ワンピースロンジロン、
(ii)モノリシックロンジロン、
(iii)一体的ロンジロン、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
8のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項10】
前記複数のロンジロンは、複数のロンジロン構成部から成る複合ロンジロンを含む、請求項1~
9のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項11】
前記ローブ外板は、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸の全体に沿って延びる一体的ローブ外板を含む、請求項1~
10のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項12】
前記ローブ外板は、複数の分割外板を含み、前記複数の分割外板における各分割外板は、前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも2つのフレーム部材に機能的に取り付けられている、請求項1~
10のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも2つの胴体ローブは、複数のローブファスナを用いて各ロンジロンに取り付けられている、請求項1~
12のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項14】
前記モジュール式胴体アセンブリは、当該モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸の少なくとも一部に沿って延びる前後方向ブレース構造をさらに含む、請求項1~
13のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項15】
前記前後方向ブレース構造は、前記複数の胴体ローブのうちの所与の胴体ローブにおける前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられている、請求項
14に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【請求項16】
航空機胴体の長さ方向の一部を構成する航空機用モジュール式胴体アセンブリであって、当該航空機用モジュール式胴体アセンブリは、他の複数の航空機用モジュール式胴体アセンブリに接続されて、航空機胴体を構成するものであり、
前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びる複数の胴体ローブと、
前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びる複数のロンジロンと、を含み、
前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブは、
(i)複数のフレーム部材、及び
(ii)前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられているとともに、各胴体ローブの外表面を規定するローブ外板を含み、
前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも2つの胴体ローブは、前記複数のロンジロンにおける各ロンジロンに機能的に取り付けられており、
前記複数の胴体ローブ及び前記複数のロンジロンは、前記モジュール式胴体アセンブリ内に画成された貨物室の境界の少なくとも一部を形成するものであり、
前記複数のロンジロンのうちの選択されたロンジロンは、クレーンレール
が一体的に形成されており、
前記航空機用モジュール式胴体アセンブリは、貨物搬送構造をさらに含み、
前記貨物搬送構造は、前記クレーンレールに機能的に取り付けられているとともに、前記貨物室において貨物を前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って搬送するよう構成されている
、モジュール式胴体アセンブリ。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリの組立方法であって、
前記複数のフレーム部材を用意することと、
前記複数のロンジロンを用意することと、
前記複数のロンジロンが前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びるように、前記複数のフレーム部材における各フレーム部材を、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに機能的に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項18】
請求項1~
16のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリと、
(i)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた翼、
(ii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた尾部、
(iii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた垂直安定板、
(iv)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた水平安定板、及び
(v)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられたエンジン、のうちの少なくとも1つと、を含む、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機用モジュール式胴体アセンブリ、モジュール式胴体アセンブリを含む航空機、及び/又はモジュール式胴体アセンブリの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客輸送は、民間航空機における最大の市場である。よって、民間航空機は、最終的な使用用途に関わらず、旅客機市場のニーズに合わせて設計及び/又は製造されることが一般的である。商用貨物機などの他の用途については、当該設計に変更を加えて対応する。これによれば、航空機製造メーカは、1つの航空機設計に基づいて、複数の機種の航空機を製造することができる。
【0003】
このアプローチは、様々な市場区分のニーズを満たすために有効ではあるが、すべての市場区分で理想的な機能性を発揮するとは限らず、妥協を含む設計になってしまうことが多い。例えば、旅客機においては、客室スペースと手荷物スペースとを別個に設ける必要があるが、このことは、商用貨物機の貨物室が、旅客機では客室スペースになる領域と手荷物スペースになる領域の2つに分かれた構成になってしまうことを意味する。このような構成は、貨物輸送の観点では非効率的であり、商用貨物機で輸送可能な積載貨物量が恣意的に制限されてしまう。
【0004】
他の例を挙げると、特定の型式の航空機の寸法は、すべて統一されていることが一般的であり、これらの寸法は、旅客輸送のニーズに合わせることを最優先に選択されている。この場合も同様に、旅客輸送のニーズに合わせることで、貨物輸送などの他の用途に用いる航空機においては、利便性が恣意的に制限されてしまう可能性がある。したがって、航空機用モジュール式胴体アセンブリ、及び/又はモジュール式胴体アセンブリの組立方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
航空機用のモジュール式胴体アセンブリ、及びモジュール式胴体アセンブリの組立方法が開示されている。モジュール式胴体アセンブリは、当該モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びる複数の胴体ローブを含んでもよい。各胴体ローブは、複数のフレーム部材と、前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられており、当該胴体ローブの外表面を規定するローブ外板と、を含んでもよい。前記モジュール式胴体アセンブリは、さらに、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びる複数のロンジロンをさらに含んでもよい。少なくとも2つの胴体ローブは、各ロンジロンに機能的に取り付けられていてもよく、前記複数の胴体ローブ及び前記複数のロンジロンは、前記モジュール式胴体アセンブリ内に画成された貨物室の境界の少なくとも一部を形成してもよい。
【0006】
前記方法は、前記モジュール式胴体アセンブリを組み立てる方法を含む。前記方法は、前記複数のフレーム部材を用意すること、及び/又は前記複数のロンジロンを用意することを含んでもよい。前記方法は、さらに、前記複数のロンジロンが前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びるように、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに各フレーム部材を機能的に取り付けることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示によるモジュール式胴体アセンブリを含む、及び/又はこれを用いた航空機の実施例を概略的に示す図である。
【
図2】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図2のモジュール式胴体アセンブリを、
図2の線3-3に沿って切り取った概略的横断面図である。
【
図4】
図2~
図3のモジュール式胴体アセンブリを、
図3の線4-4に沿って切り取った概略的縦断面図である。
【
図5】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例をより詳細に示す横断面図である。
【
図6】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例をより詳細に示す横断面図である。
【
図7】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例をより詳細に示す横断面図である。
【
図8】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例をより詳細に示す縦断面図である。
【
図9】本開示のモジュール式胴体アセンブリにクレーンレールを設けた実施例をより詳細に示す横断面図である。
【
図10】
図9に示すモジュール式胴体アセンブリ及びクレーンレールを含む航空機をより詳細に示す部分切り欠き側面図である。
【
図11】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例の一領域をより詳細に示す横断面図である。
【
図12】本開示のモジュール式胴体アセンブリの実施例の一領域をより詳細に示す横断面図である。
【
図13】本開示のモジュール式胴体アセンブリの一部の実施例の概略図であり、上側ローブ操縦室領域と上側ローブ貨物室領域との両方が示されている。
【
図14】本開示のモジュール式胴体アセンブリの一部の他の実施例の概略図であり、上側ローブ操縦室領域、上側ローブ貨物室領域、及び翼受入れ領域が示されている。
【
図15】
図13のモジュール式胴体アセンブリを、
図13の線15-15に沿って切り取った横断面図である。
【
図16】本開示のモジュール式胴体アセンブリの組立方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図16は、本開示の航空機10、モジュール式胴体アセンブリ100、及び/又は方法300の実施例を示しているが、これらの実施例は、他の実施例を排除するものではない。図中、同様又は少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素には、
図1~
図16において同様の参照符号を付している。なお、これらの要素については、本明細書において
図1~
図16を個別に参照して詳しく説明することはしない。また、
図1~
図16の各々において、すべての要素に符号を付しているとは限らないが、その場合でも、説明においては、一貫性を保つために当該要素に関連付けられた参照符号を用いている場合もある。
図1~
図16のうちの1つ以上を参照して説明する要素、コンポーネント、及び/又は特徴は、
図1~
図16のいずれかに含めたり、使用したりしてもよく、そのような場合も、本開示の範囲から逸脱するものではない。
【0009】
概して、所与の(即ち、特定の)実施形態に含まれる可能性が高い要素は、実線で図示しており、所与の実施形態において任意である要素は、破線で図示している。ただし、実線で示した要素が、すべての実施形態において必須であるということではなく、実線で示した要素を特定の実施形態から省くことも可能であり、そのような場合も、本開示の範囲から逸脱するものではない。
【0010】
図1は、本開示によるモジュール式胴体アセンブリ100を含む、及び/又はこれを用いた航空機10の実施例を示す概略図である。モジュール式胴体アセンブリ100の実施例は、
図2~
図14にも示されており、これらの図面を参照してより詳細に説明する。
【0011】
航空機10は、モジュール式胴体アセンブリ100である胴体部20を含む。航空機10は、加えて、胴体部20に機能的に取り付けられているか、及び/又はそこから延出する少なくとも1つの翼30を含み、及び/又は、例えば、翼30を介して胴体部20に機能的に取り付けられた少なくとも1つのエンジン70を含む。航空機10は、胴体部20に機能的に取り付けられ、及び/又は少なくとも部分的には胴体部によって規定された尾部40をさらに含む。尾部40は、少なくとも1つの垂直安定板50、及び/又は少なくとも1つの水平安定板60を含む。
【0012】
図2は、本開示のモジュール式胴体アセンブリ100の実施例を概略的に示す側面図である。
図3は、
図2のモジュール式胴体アセンブリ100を、
図2の線3-3に沿って切り取った概略的横断面図である。
図4は、
図2~
図3のモジュール式胴体アセンブリ100を、
図3の線4-4に沿って切り取った概略的縦断面図である。
図5~
図7は、本開示のモジュール式胴体アセンブリ100の実施例をより詳細に示す横断面図である。
【0013】
図2~
図7で集合的に示すように、モジュール式胴体アセンブリ100は、複数の胴体ローブ110及び複数のロンジロン180を含み、いずれも当該胴体アセンブリの前後軸(longitudinal axis)102に沿って延びるよう配置可能である。各胴体ローブ110は、複数のフレーム部材130及びローブ外板170を含む。ローブ外板170は、フレーム部材130に機能的に取り付けられて、各胴体ローブ110の外表面120を形成及び/又は規定するものである。
図2及び
図5~
図7に最も分かりやすく示すように、各ロンジロン180に対して少なくとも2つの胴体ローブ110が機能的に取り付けられており、当該胴体ローブ110及びロンジロン180は、モジュール式胴体アセンブリ100内に画成される貨物室104の境界の少なくとも一部を形成するか、規定するか、及び/又は囲むように設けられている。
【0014】
本明細書で開示するモジュール式胴体アセンブリ100は、従来の航空機における従来の胴体アセンブリに比べて、いくつかの利点を有する。詳細は後述するが、例えば、モジュール式胴体アセンブリ100は、非円形の横断面形状を有する場合であっても、簡単に、効果的に、及び/又は効率的に形成及び/又は構成することができる。この非円形な横断面は、胴体ローブ110によって規定された、及び/又はロンジロン180で相互接続された複数の弧状領域を含む。このような構成によれば、横断面形状が円形又は少なくとも実質的に円形である従来の胴体部に比べて、モジュール式胴体アセンブリ100の濡れ面積(wetted surface area)を小さくすることができ、当該モジュール式胴体アセンブリが受ける風の抵抗を小さくすることができ、及び/又は当該モジュール式胴体アセンブリを有する航空機10の燃料消費量を少なくすることができる。
【0015】
他の例として、モジュール式胴体アセンブリ100は、モジュール式であるという特性によって、例えば胴体ローブ110及びロンジロン180などの比較的少数のコンポーネントを様々な形態に組み立てて、航空機10の胴体部を様々な形態に形成及び/又は構成することができる。より具体的な例を上げると、胴体ローブ110に含まれるフレーム部材130の数を増やすだけで、モジュール式胴体アセンブリ100の長さを長くすることができる。
【0016】
さらに他の例として、詳細は後述するが、所与の胴体ローブ110に含まれるフレーム部材130の一部を、異なる形状のフレーム部材130に交換するだけで、例えば、操縦室領域を含むような、より複雑な形状の胴体部を形成することができる。さらに他の例として、詳細は後述するが、所与の胴体ローブ110に含まれるフレーム部材130の一部を、異なる機能のフレーム部材130に交換するだけで、モジュール式胴体アセンブリに、翼、尾部、及び/又は降着装置を設けることができる。
【0017】
さらに他の例を挙げると、モジュール式胴体アセンブリ100によれば、航空機の貨物室104の内部に構造を追加することなく、操縦室領域を形成すること、及び/又は翼、尾部、及び/又は降着装置を取り付けることが可能及び/又は容易になる。これにより、貨物輸送用の航空機においても、モジュール式胴体アセンブリ100をより効率的に利用することが可能である。
【0018】
フレーム部材130は、ローブ外板170に機能的に取り付け可能な任意の適当な構造や、ロンジロン180に機能的に取り付け可能な任意の適当な構造や、胴体ローブ110をロンジロン180に機能的に取り付け可能な任意の適当な構造を含むことができ、及び/又は、モジュール式胴体アセンブリ100及び/又は胴体ローブ110の構造的支持手段を提供することができる。
図1~
図7で集合的に示すように、複数のフレーム部材130又は各フレーム部材130は、前後軸102に対して垂直又は実質的に垂直に延在する。これに加えて、或いは、これに代えて、各フレーム部材130は、一対のロンジロン180の間に延在するか、及び/又は一対のロンジロン180を互いに機能的に接続する構成でもよい。
【0019】
フレーム部材130及び/又はそのコンポーネントは、任意の適当な1つの材料及び/又は複数の材料で構成することができる。フレーム部材130及び/又はそのコンポーネントに使用可能な構成材料の例には、アルミニウム、航空機グレードのアルミニウム、及び/又は複合材料が含まれる。
【0020】
図3の点線、及び
図5~
図7の実線で示すように、フレーム部材130、又はこれら複数のフレーム部材130のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、圧縮部材140を含む。圧縮部材140が含まれる場合、当該圧縮部材は、貨物室104の境界の少なくとも一部を形成する。圧縮部材140は、例えば、その長手方向に沿って加えられる圧縮力を受けるよう、及び/又はこれに抵抗するよう構成されている。別の言い方をすれば、圧縮部材140は、モジュール式胴体アセンブリ100の使用中に圧縮される部材、及び/又は圧縮力を受ける部材である。圧縮部材140の例には、線形圧縮部材140が含まれる。圧縮部材140の他の例には、長状の圧縮部材、線形の圧縮部材、及び/又は少なくとも実質的に線形の圧縮部材が含まれる。
【0021】
非円形の横断面を有するモジュール式胴体アセンブリ100は、使用中に、内圧によって、当該モジュール式胴体アセンブリの断面形状が円形に近くなるように、当該モジュール式胴体アセンブリを変形、及び/又は(例えば、ロンジロン180を互いに対して近づけるように)付勢される。フレーム部材130が圧縮部材140を含むことにより、モジュール式胴体アセンブリは、そのような変形に耐えることができる。
【0022】
また、
図3の点線、及び
図5~
図7の実線で示すように、フレーム部材130、又はこれら複数のフレーム部材130のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、張力部材150を含む。張力部材150は、ローブ外板170に機能的に取り付けられ、及び/又はこれを機械的に支持する。これに加えて、或いは、これに代えて、張力部材150は、各胴体ローブ110及び/又はローブ外板170が凸形状の外表面156を有する状態になるような形状を有する。また、
図5~
図7に最も分かりやすく示すように、胴体ローブ110が、全体として非円形及び/又は太鼓胴形(scalloped)の横断面形状を有するモジュール式胴体アセンブリ100を規定する構成も、本開示の範囲に含まれる。
【0023】
張力部材150は、例えば、その両端間にかかる張力に抵抗するよう構成されている。別の言い方をすれば、モジュール式胴体アセンブリ100の使用中に、張力部材150は、引張状態におかれる部材、及び/又は張力を受ける部材である。張力部材150の例には、弓形張力部材(arcuate tension member)150が含まれる。
【0024】
図3~
図7に示すように、圧縮部材140は、第1圧縮部材端142と第2圧縮部材端144を有する。同様に、張力部材150は、第1引張部材端152と第2引張部材端154を有する。第1引張部材端152は、第1圧縮部材端142に機能的に接続される。同様に、第2引張部材端154は、第2圧縮部材端144に機能的に接続される。
【0025】
また、
図3の点線、及び
図5~
図7の実線で示すように、フレーム部材130、又はこれら複数のフレーム部材130のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、フレーム部材ブレース構造(frame member brace structure)160を含む。フレーム部材ブレース構造160が含まれる場合、当該フレーム部材ブレース構造は、圧縮部材140と張力部材150とを機能的に相互接続して、各フレーム部材130の剛性を高めるよう構成されている。フレーム部材ブレース構造160の例には、
図3及び
図6に示すように、1つの支柱(stanchion)162又は複数の支柱162が含まれる。支柱162は、圧縮部材140と張力部材150との間に延在し、及び/又は両部材に機能的に接続される。フレーム部材ブレース構造160の他の例には、
図3、
図5、及び
図7に示すように、1つのトラス164又は複数のトラス164が含まれる。トラス164も、圧縮部材140と張力部材150との間に延在し、及び/又は両部材に機能的に接続される。トラス164の例には、三弦トラス(triangular truss)及び/又はワーレントラス(warren truss)が含まれる。
【0026】
図3の点線、及び
図7の実線で示すように、フレーム部材130、又はこれら複数のフレーム部材130のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、ワンピースに構成された(single-piece)、モノリシックに構成された(monolithic)、及び/又は一体的に構成された(unitary)フレーム部材132が含まれる。これに加えて、或いは、これに代えて、フレーム部材130、又はこれら複数のフレーム部材130のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、シート状の金属材料からプレス成形(stamped)及び/又はロール成形(roll-formed)によって形成及び/又は構成された金属製のフレーム部材を含む。
【0027】
ロンジロン180は、モジュール式胴体アセンブリ100の前後軸102に沿って延びる任意の適当な構造、少なくとも2つの胴体ローブ110に機能的に取り付けられるよう構成された任意の適当な構造、及び/又は貨物室104の境界の少なくとも一部を形成するように構成された任意の適当な構造を含む。ロンジロン180の例としては、ワンピースに構成された、モノリシックに構成された、及び/又は一体的に構成されたロンジロン180が含まれる。別の言い方をすれば、各ロンジロンは、モジュール式胴体アセンブリ100の前後方向の長さ全体に沿って延在する。他の例では、ロンジロン180は、複合ロンジロン(composite longeron)190を含む。これは、例えば、
図2及び
図4に示すように、複数のロンジロンファスナ194によって互いに機能的に接続可能な複数のロンジロン構成部(longeron sub-structure)192で構成される。別の言い方をすれば、各ロンジロン構成部192は、モジュール式胴体アセンブリ100の前後方向の長さの一部に沿って延在する。ロンジロンファスナ194の例には、ボルト、ナット、及び/又はリベットが含まれる。
【0028】
胴体ローブ110は、ロンジロン180に任意の適当な態様で機能的に取り付けられる。
図2~
図4に例として示す様に、各胴体ローブ110は、1つ以上のローブファスナ128によってロンジロン180に機能的に取り付けられる。ローブファスナ128の例には、ボルト、ナット及び/又はリベットが含まれる。
【0029】
図3及び
図4に概略的に示し、
図8により具体的に示す様に、モジュール式胴体アセンブリ100は、前後方向ブレース構造(longitudinal brace structure)210を含む。前後方向ブレース構造210が含まれる場合、当該前後方向ブレース構造は、モジュール式胴体アセンブリ100の前後軸102の一部又は全体に沿って延在する。これに加えて、或いは、これに代えて、前後方向ブレース構造210は、所与の胴体ローブ110に含まれる複数のフレーム部材130か、当該胴体ローブに含まれる複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材か、又は当該胴体ローブに含まれる複数のフレーム部材のすべてに機能的に取り付けられる。前後方向ブレース構造210は、本明細書においては、せん断ウェブとも呼ばれるものであり、フレーム部材130を補強し、モジュール式胴体アセンブリ100の前後方向の長さに沿った荷重の分散を助け、及び/又はモジュール式胴体アセンブリの前後軸102周りのねじり及び/又は前後軸に沿った曲げに抵抗するよう構成されている。
【0030】
いくつかの実施例では、前後方向ブレース構造210は、連続する部材、プレス成形された部材、モノリシックに構成された部材、一体的に構成された部材、ロール成形された部材、及び/又は成形された部材であって、モジュール式胴体アセンブリの前後方向の長さ全体に延びるフレーム部材216を含む。いくつかの実施例では、前後方向ブレース構造210は、複数のブレース材ストリップ(strip of bracing material)212を含む。ブレース材ストリップ212は、
図4及び
図8に示す様に、モジュール式胴体アセンブリ100の前後軸102に対して所定の傾斜角214で延びる。
【0031】
図示のとおり、前後方向ブレース構造210は、貨物室104の境界、又は境界の少なくとも一部を形成する。このような構成により、貨物室104に積載される貨物80からフレーム部材130及び/又はローブ外板170を保護することができる。別の言い方をすれば、前後方向ブレース構造210が設けられることにより、貨物80が接触及び/又は衝突することでフレーム部材130及び/又はローブ外板170が損傷する可能性を低減することができる。
【0032】
図3の点線、及び
図9~
図10の実線で示すように、モジュール式胴体アセンブリ100は、クレーンレール220を含むか、及び/又はこれを形成する。クレーンレール220は、モジュール式胴体アセンブリ100、モジュール式胴体アセンブリにおける少なくとも1つ又は2つのロンジロン180、及び/又は貨物室104の長さに沿って設けられる。
【0033】
図3の点線、及び
図9の実線で示すように、モジュール式胴体アセンブリ100は、貨物搬送構造224をさらに含む。貨物搬送構造224は、クレーンレール220に対して機能的又は回転可能に取り付けられて、貨物室104において、及び/又はモジュール式胴体アセンブリ100の前後軸102に沿って、貨物80を搬送するよう構成されている。
【0034】
上述のとおり、胴体ローブ110は、所与の胴体ローブ110における複数のフレーム部材130に機能的に取り付けられるか、及び/又は各胴体ローブの外表面120を規定するローブ外板170を含む。いくつかの実施例では、ローブ外板170は、前後軸102の全体に沿って、及び/又は各胴体ローブの前後方向の長さ全体に沿って延びるように、一体的に構成された部材、モノリシックに構成された部材、及び/又は連続する部材であるローブ外板170を含む。これに加えて、或いは、これに代えて、いくつかの実施例では、ローブ外板170は、複数の分割外板(sub-skin)172を含む。各分割外板は、
図2に示すように、複数のフレーム部材130のうちの部分集合を構成するフレーム部材に機能的に接続されるか、及び/又は各胴体ローブ110の長さ方向の一部に沿って延在する。複数のフレーム部材130のうちの部分集合を構成するフレーム部材は、例えば、前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも10%、少なくとも25%、及び/又は少なくとも50%のフレーム部材を含む。各胴体ローブの前後方向の長さの一部は、例えば、各胴体ローブの長さの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、及び/又は少なくとも50%の長さを含む。
【0035】
図3の点線、及び
図11の実線で示すように、少なくとも1つのロンジロン180は、ローブ外板170の外板モールド線174の内側に位置する。この構成では、モジュール式胴体アセンブリ100は、少なくとも1つのロンジロン180とローブ外板170との間に延在する断熱部(thermal insulation)200を含んでおり、当該断熱部によって、モジュール式胴体アセンブリの外側表面106における領域108が少なくとも部分的に規定され、及び/又は当該少なくとも1つのロンジロン180が断熱される。これに加えて、或いは、これに代えて、
図3及び
図12の実線で示すように、少なくとも1つのロンジロン180は、モジュール式胴体アセンブリ100の外側表面106における領域108を規定するか、少なくとも部分的に規定する。別の言い方をすれば、当該少なくとも1つのロンジロン180は、ローブ外板170の外板モールド線174上に位置する。
【0036】
いくつかの実施例では、複数の胴体ローブ110は、
図2~
図7で集合的に示すように、上側ローブ112、下側ローブ114、左側ローブ116、及び右側ローブ118を含む。これらの実施例では、複数のロンジロン180は、左上側ロンジロン182、右上側ロンジロン184、左下側ロンジロン186、及び右下側ロンジロン188を含む。図示の通り、左上側ロンジロン182は、上側ローブ112及び左側ローブ116に機能的に取り付けられており、右上側ロンジロン184は、上側ローブ112及び右側ローブ118に機能的に取り付けられている。同様に、左下側ロンジロン186は、下側ローブ114及び左側ローブ116に取り付けられており、右下側ロンジロン188は、下側ローブ114及び右側ローブ118に取り付けられている。
【0037】
本開示の範囲には、本開示のモジュール式胴体アセンブリ100の横断面が、当該モジュール式胴体アセンブリの前後方向の長さに沿って、一様な形状、少なくとも実質的に一様な形状、一定の形状、及び/又は少なくとも実質的に一定の形状を有する構成が含まれる。或いは、
図2~
図4及び
図13~
図15に示すように、モジュール式胴体アセンブリ100は、2つ以上の別個の領域又は異なる領域を含む構成でもよい。本明細書において説明したように、このような別個の領域を形成及び/又は規定するには、所与の胴体ローブ110及び/又はフレーム部材130、及び/又は所与の胴体ローブのローブ外板170の一部又は一領域を、交換及び/又は改造するだけでよい。よって、モジュール式胴体アセンブリ100を迅速に、効率的に、及び/又はコスト効率よく改造することができる。加えて、本明細書において説明したように、所与の胴体ローブ110を交換及び/又は改造することで、貨物室104の形状を変更することなく、また、そのような変更を必要とすることなく、モジュール式胴体アセンブリ100の外表面120、及び/又は所与の胴体ローブの外表面120を改造することができる。
【0038】
例えば、モジュール式胴体アセンブリ100は、
図2~4及び
図13~
図15に示す様に、上側ローブ貨物室領域122及び上側ローブ操縦室領域124を有する上側ローブ112を含む。上側ローブ貨物室領域122は、上側ローブ操縦室領域124の操縦室領域形状とは異なる貨物室領域形状を有する。例えば、上側ローブ操縦室領域124内で測定したモジュール式胴体アセンブリ100の横断面面積は、上側ローブ貨物室領域122内で測定した当該モジュール式胴体アセンブリの横断面面積よりも大きい。他の例では、上側ローブ貨物室領域122の横断面は、その前後軸に沿って一様又は少なくとも実質的に一様である。ただし、図示のように、上側ローブ操縦室領域124の横断面が前後軸に沿って変化する構成も可能である。
【0039】
他の例として、モジュール式胴体アセンブリ100は、
図2、
図4及び
図14に示す様に、翼30が挿入されるよう構成された翼受入れ領域126を含む。翼受入れ領域126は、モジュール式胴体アセンブリ100における少なくとも1つの胴体ローブ110の内部に、及び/又は当該少なくとも1つの胴体ローブによって形成及び/又は規定される。当該少なくとも1つの胴体ローブ110は、上側ローブ112及び/又は下側ローブ114を含んでおり、モジュール式胴体アセンブリ100は、翼受入れ領域126が貨物室104の内部には到達しないように構成されており、及び/又は、貨物室104は、少なくとも部分的には翼受入れ領域126によって規定される領域の横断面が、貨物室の他の領域の断面と同じ形状になるように構成されている。これに加えて、或いは、これに代えて、翼受入れ領域126は、翼30が胴体部ロフト面を貫通するように構成されていてもよく、これにより、ロンジロン180の邪魔になったり、ロンジロンの構成を変更したりすることなく、ドラグを小さくすることができる。このような構成により、モジュール式胴体アセンブリ100の製造が容易になり、及び/又は、胴体部に作用する前後方向の曲げ荷重を、主にロンジロン180によって担う又は支持することができる。
【0040】
図3~
図4の点線、及び
図5~
図7の実線で示すように、モジュール式胴体アセンブリ100は、フロア構造230をさらに含む。フロア構造230は、モジュール式胴体アセンブリ100の下側ローブ114に機能的に取り付けられているか、及び/又は少なくとも部分的には当該下側ローブで規定されているとともに、乗員、乗客、及び/又は貨物80を支持する床面232を形成及び/又は規定する。図示の通り、フロア構造230及び/又は床面232は、貨物室104の境界の少なくとも一部を形成し、及び/又は規定する。
【0041】
図16は、本開示による、
図1~
図15のモジュール式胴体アセンブリ100などのモジュール式胴体アセンブリの組立方法300を示すフローチャートである。方法300は、310において、フレーム部材を用意することを含み、320において、ロンジロンを用意することを含む。方法300は、330において、フレーム部材をロンジロンに機能的に取り付けることをさらに含み、340において、ローブ外板を機能的に取り付けることを含むか、及び/又は350において、追加の構造体を機能的に取り付けることを含む。
【0042】
310においてフレーム部材を用意することは、複数のフレーム部材を用意することを含んでもよい。フレーム部材は、例えば、本明細書において
図2~
図8及び
図11~
図12に示すフレーム部材130を参照して説明したものである。
【0043】
いくつかの実施例では、310でフレーム部材を用意することは、前記複数のフレーム部材を、複数の胴体ローブの一部として、又は複数の胴体ローブの組立体として用意することを含んでもよい。胴体ローブ110は、例えば、本明細書において
図2~
図8及び
図11~
図12を参照して説明したものである。これらの実施例において、各胴体ローブは、前記複数のフレーム部材のうちの部分集合を構成するフレーム部材及びローブ外板を含んでもよい。前記ローブ外板は、前記部分集合を構成するフレーム部材に機能的に取り付けられるとともに、各胴体ローブの外表面に沿って延在するか、当該外表面を形成するか、及び/又は規定するものである。ローブ外板は、例えば、本明細書において
図2~
図7及び
図11~
図12に示すローブ外板170を参照して説明したものである。
【0044】
320においてロンジロンを用意することは、複数のロンジロンを用意することを含んでもよい。ロンジロンは、例えば、本明細書において
図2~8に示すロンジロン180を参照して説明したものである。
【0045】
330においてフレーム部材をロンジロンに機能的に取り付けることは、前記複数のフレーム部材における各フレーム部材を、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに機能的に取り付けることを含む。このことは、前記複数のロンジロンがモジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びるように、及び/又は、前記複数のフレーム部材が前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に対して垂直又は少なくとも実質的に垂直に延びるように、機能的に取り付けることを含む。
【0046】
310においてフレーム部材を用意することが、前記複数のフレーム部材を複数の胴体ローブの一部として用意することを含む場合、330において機能的な取り付けを行うことは、各ロンジロンに対して少なくとも2つの胴体ローブを機能的に取り付けることを含んでもよい。これに加えて、或いは、これに代えて、330において機能的な取り付けを行うことは、各胴体ローブを少なくとも2つのロンジロンに機能的に取り付けることを含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、310においてフレーム部材を用意することは、前記複数のフレーム部材を、前記ローブ外板とは独立して、別個に、及び/又は前記ローブ外板のない状態で用意することを含んでもよい。このような実施例では、方法300は、さらに、340において、ローブ外板を機能的に取り付けることを含む。340においてローブ外板を機能的に取り付けることは、330における機能的な取付けに続いて実行してもよいし、及び/又は、前記ローブ外板を前記複数のフレーム部材の外表面に機能的に取り付けることを含んでもよい。このことは、モジュール式胴体アセンブリの外側表面を形成及び/又は規定するように機能的に取り付けを行うことを含んでもよい。
【0048】
350において追加の構造を機能的に取り付けることは、モジュール式胴体アセンブリに機能的に任意の適当な追加構造を取り付けることを含み、この取付けは、任意の適当な手法及び/又は任意の適当な順序によって実行することができる。例えば、350において機能的に取り付けることは、モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられる構造として、及び/又は当該モジュール式胴体アセンブリを含む航空機の一部を構成する構造として、本明細書に開示、説明、及び/又は図示した1つ以上の任意の適当な構造を、機能的に取り付けることを含んでもよい。このことは、当該1つ以上の適当な構造を、前記複数のフレーム部材、前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つ、前記複数のロンジロン、及び/又は前記複数のロンジロンのうちの少なくとも1つに、機能的に取り付けることを含んでもよい。
【0049】
以下に列挙する付記において、本開示の発明的主題の例示的な実施例を記載するが、これは、すべてを網羅するものではない。
【0050】
A1.航空機用モジュール式胴体アセンブリであって、
前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びる複数の胴体ローブと、
前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びる複数のロンジロンと、を含み、
前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブは、
(i)複数のフレーム部材、及び
(ii)前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられているとともに、各胴体ローブの外表面を規定するローブ外板を含み、
前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも2つの胴体ローブは、前記複数のロンジロンにおける各ロンジロンに、機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられており、
前記複数の胴体ローブ及び前記複数のロンジロンは、前記モジュール式胴体アセンブリ内に画成された貨物室の境界の少なくとも一部を形成する、モジュール式胴体アセンブリ。
【0051】
A2.前記複数の胴体ローブは、上側ローブ、下側ローブ、左側ローブ、及び右側ローブを含む、付記A1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0052】
A3.前記複数のロンジロンは、
(i)前記上側ローブ及び前記左側ローブに、機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた左上側ロンジロンと、
(ii)前記上側ローブ及び前記右側ローブに、機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた右上側ロンジロンと、
(iii)前記下側ローブ及び前記左側ローブに、機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた左下側ロンジロンと、
(iv)前記下側ローブ及び前記右側ローブに、機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた右下側ロンジロンと、を含む、付記A2に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0053】
A4.前記上側ローブは、貨物室領域形状を規定する上側ローブ貨物室領域と、前記貨物室領域形状とは異なる操縦室領域形状を規定する上側ローブ操縦室領域と、を含む、付記A2~A3のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0054】
A5.前記上側ローブ操縦室領域内で測定した前記モジュール式胴体アセンブリの横断面積は、前記上側ローブ貨物室領域内で測定した前記モジュール式胴体アセンブリの横断面面積より大きい、付記A4に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0055】
A6.前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも1つの胴体ローブは、前記航空機の翼に機能的に取り付けられるよう構成された翼受入れ領域をさらに含む、付記A1~A5のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0056】
A7.前記少なくとも1つの胴体ローブは、上側ローブ及び下側ローブのうちの少なくとも1つを含む、付記A6に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0057】
A8.前記複数のフレーム部材における各フレーム部材は、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に対して、垂直又は少なくとも実質的に垂直に延びる、付記A1~A7のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0058】
A9.前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、圧縮部材を含む、付記A1~A8のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0059】
A10.前記圧縮部材は、前記貨物室の境界の少なくとも一部を形成する、付記A9に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0060】
A11.前記圧縮部材は、線形圧縮部材を含む、付記A9~A10のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0061】
A12.前記複数のフレーム部材のうちの前記少なくとも1つの部分集合に含まれる各フレーム部材は、張力部材を含む、付記A9~A11のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0062】
A13.前記圧縮部材は、第1圧縮部材端と第2圧縮部材端を含み、さらに、前記張力部材は、前記第1圧縮部材端に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた第1張力部材端と、前記第2圧縮部材端に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられた第2張力部材端を含む、付記A12に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0063】
A14.前記張力部材は、弓形張力部材である、付記A13に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0064】
A15.前記弓形張力部材は、各胴体ローブに凸形状の外表面を規定させる形状を有する、付記A14に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0065】
A16.前記張力部材は、前記ローブ外板に機能的に、又は直接的且つ機能的に、取り付けられている、付記A13~A15のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0066】
A17.各フレーム部材は、前記圧縮部材と前記張力部材とを機能的に相互接続して、各フレーム部材の剛性を高めるよう構成されたフレーム部材ブレース構造をさらに含む、付記A12~A16のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0067】
A18.前記フレーム部材ブレース構造は、
(i)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられていることを任意の要件とする支柱、
(ii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられていることを任意の要件とする複数の支柱、
(iii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられていることを任意の要件とするトラス、
(iv)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられていることを任意の要件とする三弦トラス、
(v)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的又は直接的且つ機能的に取り付けられていることを任意の要件とするワーレントラス、のうちの少なくとも1つを含む、付記A17に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0068】
A19.前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、
(i)ワンピースフレーム部材、
(ii)モノリシックフレーム部材、
(iii)一体的フレーム部材、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A18のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0069】
A20.前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、
(i)金属板からプレス成形された金属製フレーム部材、
(ii)金属板からロール成形された金属製フレーム部材、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A19のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0070】
A21.前記複数のロンジロンは、
(i)ワンピースロンジロン、
(ii)モノリシックロンジロン、
(iii)一体的ロンジロン、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A20のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0071】
A22.前記複数のロンジロンは、複数のロンジロン構成部から成る複合ロンジロンを含む、付記A1~A21のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0072】
A23.前記複数のロンジロン構成部における各ロンジロン構成部は、前記複数のロンジロン構成部のうちの他のロンジロン構成部に機能的に取り付けられており、この際に、複数のロンジロンファスナを用いて取り付けられていることを任意の要件とする、付記A22に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0073】
A24.前記少なくとも2つの胴体ローブは、複数のローブファスナを用いて各ロンジロンに取り付けられている、付記A1~A23のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0074】
A25.前記モジュール式胴体アセンブリは、当該モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸の少なくとも一部に沿って、また、任意の要件として全体に沿って延びる前後方向ブレース構造をさらに含む、付記A1~A24のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0075】
A26.前記前後方向ブレース構造は、前記複数の胴体ローブのうちの所与の胴体ローブにおける前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられている、付記A25に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0076】
A27.前記前後方向ブレース構造は、複数のブレース材ストリップを含む、付記A25又はA26に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0077】
A28.前記複数のブレース材ストリップは、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に対して所定の傾斜角で延びる、付記A27に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0078】
A29.前記前後方向ブレース構造は、前記貨物室の境界の少なくとも一部を形成する、付記A25~A28のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0079】
A30.前記モジュール式胴体アセンブリは、クレーンレール及び貨物搬送構造をさらに含み、前記貨物搬送構造は、前記クレーンレールに機能的に取り付けられているとともに、前記貨物室において貨物を前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って搬送するよう構成されている、付記A1~A29のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0080】
A31.前記貨物搬送構造は、前記クレーンレールを走行する構成のレール式トロリーを含む、付記A30に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0081】
A32.前記クレーンレールは、
(i)前記複数のロンジロンのうちの少なくとも1つのロンジロンに機能的に取り付けられているか、
(ii)前記複数のロンジロンのうちの少なくとも1つのロンジロンで構成されているか、のうちの少なくともいずれかである、付記A30又はA31に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0082】
A33.前記複数の胴体ローブは、下側ローブを含み、前記モジュール式胴体アセンブリは、前記下側ローブにおける前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられたフロア構造をさらに含む、付記A1~A32のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0083】
A34.前記フロア構造は、前記貨物室の境界の少なくとも一部を形成する、付記A33に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0084】
A35.付記A1~A34のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリと、
(i)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた翼、
(ii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた尾部、
(iii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた垂直安定板、
(iv)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた水平安定板、及び
(v)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられたエンジン、のうちの少なくとも1つと、を含む、航空機。
【0085】
B1.モジュール式胴体アセンブリの組立方法であって、
複数のフレーム部材を用意することと、
複数のロンジロンを用意することと、
前記複数のロンジロンが前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びるように、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに、前記複数のフレーム部材における各フレーム部材を機能的に取り付けることと、を含む、方法。
【0086】
B2.前記複数のフレーム部材を用意することは、前記複数のフレーム部材を、複数の胴体ローブの一部として用意することを含み、その際に、前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブは、
(i)前記複数のフレーム部材のうちの部分集合を構成するフレーム部材と、
(ii)前記部分集合を構成するフレーム部材に機能的に取り付けられているとともに、各胴体ローブの外表面に沿って延びるローブ外板と、を含むものとする、付記B1に記載の方法。
【0087】
B3.前記機能的に取り付けることは、前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも2つの胴体ローブを、前記複数のロンジロンにおける各ロンジロンに機能的に取り付けることを含む、付記B2に記載の方法。
【0088】
B4.前記機能的に取り付けることは、前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブを、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに機能的に取り付けることを含む、付記B2又はB3に記載の方法。
【0089】
B5.前記方法は、前記各フレーム部材を機能的に取り付けることに続き、前記複数のフレーム部材の外表面にローブ外板を機能的に取り付けることをさらに含む、付記B1~B4のいずれかに記載の方法。
【0090】
B6.前記機能的に取り付けることは、前記複数のフレーム部材が前記胴体アセンブリの前記前後軸に対して垂直又は少なくとも実質的に垂直に延びるように、各フレーム部材を取り付けることを含む、付記B1~B5のいずれかに記載の方法。
【0091】
B7.前記モジュール式胴体アセンブリは、付記A1~A35のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリにおける任意の適当な構造を含むものとする、付記B1~B6のいずれかに記載の方法。
【0092】
B8.前記方法は、さらに、付記A1~A35のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリにおける任意の適当な構造を、
(i)前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つのフレーム部材、
(ii)前記複数のフレーム部材、
(iii)前記複数のロンジロンのうちの少なくとも1つのロンジロン、
(iv)前記複数のロンジロン、のうちの少なくとも1つに機能的に取り付けることを含む、付記B1~B7のいずれかに記載の方法。
【0093】
C1.付記B1~B8のいずれかに記載の方法における、付記A1~A35のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリの使用。
【0094】
C2.付記A1~A35のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリを用いる、付記B1~B8のいずれかに記載の方法の使用。
【0095】
C3.モジュール式胴体アセンブリを構成するための、複数の胴体ローブ及び複数のロンジロンの使用。
【0096】
C4.モジュール式胴体アセンブリの胴体ローブを構成するための、ローブ外板及び複数のフレーム部材の使用。
【0097】
D1.航空機用モジュール式胴体アセンブリであって、
前記モジュール式胴体アセンブリの前後軸に沿って延びる複数の胴体ローブと
前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びる複数のロンジロンと、を含み、
前記複数の胴体ローブにおける各胴体ローブは、
(i)複数のフレーム部材、及び
(ii)前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられているとともに、各胴体ローブの外表面を規定するローブ外板を含み、
前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも2つの胴体ローブは、前記複数のロンジロンにおける各ロンジロンに機能的に取り付けられており、
前記複数の胴体ローブ及び前記複数のロンジロンは、前記モジュール式胴体アセンブリ内に画成された貨物室の境界の少なくとも一部を形成する、モジュール式胴体アセンブリ。
【0098】
D2.前記複数の胴体ローブは、上側ローブ、下側ローブ、左側ローブ、及び右側ローブを含み、さらに、前記複数のロンジロンは、
(i)前記上側ローブ及び前記左側ローブに機能的に取り付けられた左上側ロンジロンと、
(ii)前記上側ローブ及び前記右側ローブに機能的に取り付けられた右上側ロンジロンと、
(iii)前記下側ローブ及び前記左側ローブに機能的に取り付けられた左下側ロンジロンと、
(iv)前記下側ローブ及び前記右側ローブに機能的に取り付けられた右下側ロンジロンと、を含む、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0099】
D3.前記上側ローブは、貨物室領域形状を規定する上側ローブ貨物室領域と、前記貨物室領域形状とは異なる操縦室領域形状を規定する上側ローブ操縦室領域と、を含む、付記D2に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0100】
D4.前記複数の胴体ローブのうちの少なくとも1つの胴体ローブは、前記航空機の翼に機能的に取り付けられるよう構成された翼受入れ領域をさらに含む、付記D1~D3のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0101】
D5.前記複数のフレーム部材における各フレーム部材は、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に対して垂直に延びる、付記D1~D4のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0102】
D6.前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも1つの部分集合を構成するフレーム部材は、
(i)前記貨物室の境界の少なくとも一部を形成する圧縮部材と、
(ii)張力部材と、を含む、付記D1~D5のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0103】
D7.前記圧縮部材は、第1圧縮部材端と第2圧縮部材端を含み、前記張力部材は、前記第1圧縮部材端に機能的に取り付けられた第1張力部材端と、前記第2圧縮部材端に機能的に取り付けられた第2張力部材端を含み、さらに、前記張力部材は、各胴体ローブに凸形状の外表面を規定させる形状を有する弓形張力部材である、付記D6に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0104】
D8.前記張力部材は、前記ローブ外板に直接的且つ機能的に取り付けられている、付記D6~D7のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0105】
D9.各フレーム部材は、前記圧縮部材と前記張力部材とを機能的に相互接続して、各フレーム部材の剛性を高めるよう構成されたフレーム部材ブレース構造をさらに含む、付記D6~D8のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0106】
D10.前記フレーム部材ブレース構造は、
(i)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた支柱、
(ii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた複数の支柱、
(iii)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられたトラス、
(iv)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられた三弦トラス、
(v)前記圧縮部材及び前記張力部材の間に延びるとともに、当該2つの部材に機能的に取り付けられたワーレントラス、のうちの少なくとも1つを含む、付記D9に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0107】
D11.前記複数のロンジロンは、
(i)ワンピースロンジロン、
(ii)モノリシックロンジロン、
(iii)一体的ロンジロン、のうちの少なくとも1つを含む、付記D1~D10のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0108】
D12.前記複数のロンジロンは、複数のロンジロン構成部から成る複合ロンジロンを含む、付記D1~D11のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0109】
D13.前記ローブ外板は、前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸の全体に沿って延びる一体的ローブ外板を含む、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0110】
D14.前記ローブ外板は、複数の分割外板を含み、前記複数の分割外板における各分割外板は、前記複数のフレーム部材のうちの少なくとも2つのフレーム部材に機能的に取り付けられている、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0111】
D15.前記少なくとも2つの胴体ローブは、複数のローブファスナを用いて各ロンジロンに取り付けられている、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0112】
D16.前記モジュール式胴体アセンブリは、当該モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸の少なくとも一部に沿って延びる前後方向ブレース構造をさらに含む、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0113】
D17.前記前後方向ブレース構造は、前記複数の胴体ローブのうちの所与の胴体ローブにおける前記複数のフレーム部材に機能的に取り付けられている、付記D16に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0114】
D18.前記モジュール式胴体アセンブリは、クレーンレール及び貨物搬送構造をさらに含み、前記貨物搬送構造は、前記クレーンレールに機能的に取り付けられているとともに、前記貨物室において貨物を前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って搬送するよう構成されている、付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリ。
【0115】
D19.付記D1に記載のモジュール式胴体アセンブリの組立方法であって、
前記複数のフレーム部材を用意することと、
前記複数のロンジロンを用意することと、
前記複数のロンジロンが前記モジュール式胴体アセンブリの前記前後軸に沿って延びるように、前記複数のフレーム部材における各フレーム部材を、前記複数のロンジロンのうちの少なくとも2つのロンジロンに機能的に取り付けることと、を含む、方法。
【0116】
D20.付記D1~D19のいずれかに記載のモジュール式胴体アセンブリと、
(i)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた翼、
(ii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた尾部、
(iii)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた垂直安定板、
(iv)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられた水平安定板、及び
(v)前記モジュール式胴体アセンブリに機能的に取り付けられたエンジン、のうちの少なくとも1つと、を含む、航空機。
【0117】
本明細書において、「選択的」及び「選択的に」なる用語が、装置の1つ以上のコンポーネント又は要素の動作、動き、構成、又は他の作用を修飾するものである場合、そのような特定の動作、動き、構成又は他の作用が、当該装置の態様又は1つ以上のコンポーネントに対するユーザ操作の直接的又は間接的な結果であることを意味する。
【0118】
本明細書において、「適合化されている」及び「構成されている」なる用語は、要素、コンポーネント、又は他の要部が、所定の機能を行うように設計及び/又は意図されていることを意味する。したがって、「適合化されている」及び「構成されている」なる用語の使用は、ある要素、コンポーネント、又は他の要部が、単に所定の機能を行うことが「できる」ということを意味すると解釈されるべきではなく、当該要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、その機能を実行するために、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は設計されていることを意味すると解釈されるべきである。また、特定の機能を実行するように適合化されているとして記載された要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、これに加え、或いはこれに代えて、当該機能を実行するよう構成されたものとして記載されることも、その逆も、本開示の範囲内である。同様に、特定の機能を実行するように構成されたものとして記載された要部が、これに加え、あるいはこれに代えて、当該機能を実行するように動作可能なものとして記載される場合もある。
【0119】
本明細書において、「少なくとも1つの」なる表現が、1つ以上の要素(entity)のリストとともに用いられる場合、当該リストにおける要素のうちの任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味すると解釈されるべきである。ただし、当該リストに具体的に列記されたすべての要素群の要素を少なくとも1つ含むとは限らず、また、当該リストに列記された要素のいかなる組み合わせも排除するものではない。この定義によれば、「少なくとも1つの」なる表現が関連付けられている要素のリストに具体的に列記されていない要素も、これら具体的に列記された要素との関連の有無にかかわらず、任意の要素として含まれていてもよい。したがって、限定するものではないが例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同様の意味合いで、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同様の意味合いで「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)なる表現は、一実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAを含むとともに、Bを含まない(任意でB以外の要素を含む)ことを指す場合がある。また、他の実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBを含むとともに、Aを含まない(任意でA以外の要素を含む)ことを指す場合がある。また、さらに他の実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAを含むとともに、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBを含む(任意でその他の要素を含む)ことを指す場合がある。換言すれば、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、及び「及び/又は」なる表現は、開放型(open-ended)の表現であって、連言的機能と選言的機能の両方を有する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、「A、B、又はCのうちの1つ以上」、「A、B、及び/又はC」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、AとBとCのすべて、そして、任意で、上記のいずれかと少なくとも1つの他の要素との組み合わせ、を意味しうる。
【0120】
本明細書に開示した種々の装置の要素及び方法の工程は、本開示におけるすべての装置及び方法に必須の要件ではなく、本開示は、本明細書で開示した種々の要素及び工程の新規且つ非自明のコンビネーション及びサブコンビネーションをすべて含むものである。また、本明細書に開示した種々の要素及び工程の1つ以上は、開示された装置又は方法の全体とは切り離された独立した発明の要旨を規定する場合がある。したがって、そのような発明の要旨は、本明細書に明示的に開示した特定の装置及び方法と関連付けられている必要はなく、本明細書に明示的に開示されていない装置及び/又は方法において有用な可能性がある。
【0121】
本明細書において、「例えば」なる表現、「例として」なる表現、及び/又は単に「例」なる用語が、本開示の1つ以上のコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して用いられている場合、これらの表現は、説明されているコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示によるコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的且つ非排他的な例であることを示すことを意図している。したがって、説明されているコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定を課すこと、必須であること、又は排他的/包括的であることを意図するものではない。また、構造的及び/又は機能的に類似及び/又は均等であるコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他のコンポーネント、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法も、本開示の範囲に含まれる。
【0122】
本明細書において、「少なくとも実質的に」なる表現が、程度や関係を修飾するときは、当該程度又は関係が記載どおり「実質的」な場合だけでなく、当該程度や関係が完全である場合も含まれる。当該程度又は関係が実質的であるとは、当該程度又は関係の少なくとも75%に相当する場合を含む。例えば、ある物体が実質的に所与の材料から構成される場合、その物体の少なくとも75%が当該材料で構成されることを含み、加えて、その物体が完全にすべて当該材料で構成される場合も含む。他の例を挙げると、第1長さが第2の長さと実質的に同じ長さであるとは、第1長さが、第2長さの75%までである場合を含み、また、第1長さが第2長さと同じである場合も含む。
【0123】
本明細書において、「機能的に取り付けられた/接続された」なる表現は、2つの構造、部材、及び/又はコンポーネントが互いに取り付けられ、及び/又は互いに機械的に連結されていることを意味する。「機能的に取り付けられた/接続された」なる表現が、2つの構造が互いに機械的に連結されており、これら2つの構造が互いに接触し、物理的に接触し、及び/又は直接接触することを意味する場合も、本開示の範囲に含まれる。このような例では、これら2つの構造が互いに「直接的且つ機能的に」取り付けられている、と言う場合がある。また、「機能的に取り付けられた/接続された」なる表現が、2つの構造が1つ以上の構造を間に介して機械的に連結されており、これら2つの構造が互いに接触せず、物理的に接触せず、及び/又は直接接触しないことを意味する場合も、本開示の範囲に含まれる。このような例では、これら2つの構造が互いに「間接的且つ機能的に」取り付けられている、と言う場合がある。