(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】自動クレーンシステム、及び自動クレーンシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240903BHJP
B66C 13/22 20060101ALI20240903BHJP
B66C 19/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C13/22 Y
B66C19/00 B
(21)【出願番号】P 2020129713
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】宮田 紀明
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-146579(JP,A)
【文献】特開平07-315763(JP,A)
【文献】特表2002-527317(JP,A)
【文献】特開2006-062765(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121973(WO,A1)
【文献】特開2002-205891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
B66C 13/22
B66C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うクレーンと、
荷役対象である荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、前記コンテナの長手方向において前記荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群におけるコンテナとの位置関係を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、搬送経路を設定し、前記クレーンのスプレッダが設定された搬送経路に従って移動すると共に、搬送台車へコンテナを移載するように、前記クレーンを制御する制御装置と、を備え
、
前記検出部は、複数の長さのコンテナに対応して、前記荷役対象コンテナ群におけるコンテナと前記隣接コンテナ群におけるコンテナとの間の隙間を検出するように複数段階の検出範囲を設定可能である、自動クレーンシステム。
【請求項2】
前記検出部は、搬送台車に載置されたコンテナの上面よりも高い位置に配置される、請求項1に記載の自動クレーンシステム。
【請求項3】
前記検出部は、三次元スキャナを有する、請求項1
又は2に記載の自動クレーンシステム。
【請求項4】
前記検出部は、三次元カメラを有する、請求項1
又は2に記載の自動クレーンシステム。
【請求項5】
前記検出部によって、前記荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、前記隣接コンテナ群におけるコンテナとの近接が検出された場合、
前記制御装置は、前記隣接コンテナ群における前記コンテナとの衝突を回避するように、前記コンテナの搬送経路を設定する、請求項1~
4の何れか一項に記載の自動クレーンシステム。
【請求項6】
前記検出部によって、前記荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、前記隣接コンテナ群におけるコンテナとの近接が検出された場合、
前記制御装置は、前記コンテナが前記荷役対象コンテナ群または前記隣接コンテナ群におけるコンテナの最大高さよりも高い所定の最大高さを移動するように定められた安全経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、請求項1~
5の何れか一項に記載の自動クレーンシステム。
【請求項7】
コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナをクレーンで搬送する自動クレーンシステムの制御方法であって、
荷役対象である荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、前記コンテナの長手方向において前記荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群におけるコンテナとの位置関係を、
複数の長さのコンテナに対応して、前記荷役対象コンテナ群におけるコンテナと前記隣接コンテナ群におけるコンテナとの間の隙間を検出するように複数段階の検出範囲を設定して検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づいて、搬送経路を設定し、前記クレーンのスプレッダが設定された搬送経路に従って移動すると共に、搬送台車へコンテナを移載するように、前記クレーンを制御する制御工程と、を備える自動クレーンシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動クレーンシステム、及び自動クレーンシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテナヤードにおけるコンテナの搬送作業の一部を自動化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転においては、搬送するコンテナが荷役対象のコンテナ以外のものに干渉することを確実に回避することが求められる。
【0005】
本開示は、コンテナの搬送の安全性を高めることができる自動クレーンシステム、及び自動クレーンシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る自動クレーンシステムは、コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うクレーンと、荷役対象である荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群におけるコンテナとの位置関係を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、クレーンを制御する制御装置と、を備える。
【0007】
例えば隣接コンテナ群の中に、ずれなどによって、荷役対象コンテナ群側に突出するようなコンテナが存在している場合、クレーンが荷役対象コンテナ群のコンテナを搬送する時に、当該突出したコンテナと衝突する可能性がある。これに対し、検出部は、荷役対象である荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群におけるコンテナとの位置関係を検出する。従って、検出部は、隣接コンテナ群において、荷役対象コンテナ群のコンテナを搬送するときに、衝突の可能性があるコンテナを検出することができる。制御装置は、検出部の検出結果に応じてクレーンを制御することで、搬送経路を調整したり、警告を出力するなどして、コンテナ同士の衝突を回避することができる。以上より、コンテナの搬送の安全性を高めることができる。
【0008】
検出部は、搬送台車に載置されたコンテナの上面よりも高い位置に配置されてよい。この場合、検出部の検出が、搬送台車に載置されたコンテナによって遮断されることを抑制できる。
【0009】
検出部は、複数の長さのコンテナに対応して、複数段階の検出範囲を設定可能であってよい。この場合、コンテナの長さが変更された場合であっても、検出部は、変更後の長さのコンテナについても、検出を行うことができる。
【0010】
検出部は、三次元スキャナを有してよい。この場合、検出部の検出範囲を広くすることができる。
【0011】
検出部は、三次元カメラを有してよい。この場合、検出部は、検出範囲内のコンテナの奥行きの位置を取得することができる。
【0012】
検出部によって、荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、隣接コンテナ群におけるコンテナとの近接が検出された場合、制御装置は、隣接コンテナ群におけるコンテナとの衝突を回避するように、コンテナの搬送経路を設定してよい。この場合、クレーンは、衝突を回避して安全性を確保しながらコンテナを搬送することができる。
【0013】
検出部によって、荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、隣接コンテナ群におけるコンテナとの近接が検出された場合、制御装置は、コンテナが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路をコンテナの搬送経路として設定してよい。この場合、衝突の可能性のあるコンテナがどの位置に存在していたとしても、クレーンは、最大高さでコンテナを移動させることで、衝突を回避した状態でコンテナを搬送することができる。
【0014】
本開示の一側面に係る自動クレーンシステムの制御方法は、コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナをクレーンで搬送する自動クレーンシステムの制御方法であって、荷役対象である荷役対象コンテナ群におけるコンテナと、荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群におけるコンテナとの位置関係を検出する検出工程と、検出工程での検出結果に基づいて、クレーンを制御する制御工程と、を備える。
【0015】
この自動クレーンシステムの制御方法によれば、上述の自動クレーンシステムと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、コンテナの搬送の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る自動クレーンシステム及び自動クレーンシステムの制御方法が適用される例示的なコンテナターミナルを示す平面図である。
【
図2】搬送台車の走行方向に沿って並ぶ荷役対象コンテナ群及び隣接コンテナ群の例を示す斜視図である。
【
図4】コンテナヤードをY方向から見た側面図である。
【
図5】コンテナヤードを上方から見た平面図である。
【
図6】本実施形態に係る自動クレーンシステムの構成及び機能を示すブロック図である。
【
図9】実施形態に係る自動クレーンシステムの制御方法の各工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本発明を実施する形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
図1は、本発明が適用される例示的なコンテナターミナル1を示す平面図である。
図1に示されるように、コンテナターミナル1には、コンテナCが配置されるコンテナヤード2と、接岸したコンテナ船に対してコンテナCの移載を行う複数のガントリクレーン3と、コンテナヤード2に配置されてコンテナCの荷役を行う複数のクレーン10と、複数のクレーン10の遠隔操作が可能な遠隔操作室5とが設けられる。
【0020】
図2は、コンテナヤード2のコンテナC及び例示的な搬送台車20を示す斜視図である。搬送台車20は、例えばトラック、貨車、トレーラ又はAGV(Automated Guide Vehicle:自動搬送台車)等である。
図1及び
図2に示されるように、コンテナヤード2には、複数のコンテナが蔵置される蔵置エリアと、搬送台車20の走行路(トラックレーン)が敷設されている。クレーン10は、所定の位置に停止した搬送台車20からコンテナCを取得してコンテナCをコンテナヤード2の所定の番地に載置する。また、クレーン10は、コンテナヤード2に配置されているコンテナCを取得してコンテナCを搬送台車20に移載し、搬送台車20はコンテナCを搬出する。
【0021】
一例として、コンテナCは、ISO規格のコンテナである。コンテナCは、長尺の直方体状を呈し、例えば、コンテナCの長手方向の長さは20フィート以上且つ45フィート以下である。コンテナCの高さは、例えば、8.5フィート以上且つ9.5フィート以下である。コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられる。コンテナCが配置されている段数は、ティアとよばれることがある。
【0022】
図1に示すように、コンテナヤード2は、コンテナCが配置される複数のレーンLを備え、複数のクレーン10が配置される。クレーン10は、例えば、レーンLごとにクレーン10が配置されている。レーンLに配置されるクレーン10の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0023】
図2に示すように、コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられて複数のロウRを形成している。ロウRの数は、一例として、6である。各ロウRは、当該ロウRを構成するコンテナC(すなわち、当該ロウRに載置されるコンテナC)の長手方向が他のロウRを構成するコンテナCの長手方向に対して平行となるように、整列されている。
【0024】
コンテナヤード2に整列配置されたコンテナCの長手方向をX方向、コンテナCの短手方向をY方向、コンテナCの高さ方向をZ方向、とすると、コンテナヤード2はXY平面上に延在しており、コンテナCは、例えば、当該XY平面上のいずれかの位置においてZ方向に積み上げられる。X方向はレーンLにおけるクレーン10の走行方向に一致する。Y方向は、レーンLにおけるクレーン10の横行方向に一致する。
【0025】
コンテナCは、Y方向に沿って並ぶと共にZ方向に沿って積み上げられる複数のコンテナ群であるベイBを構成する。コンテナヤード2には、X方向に沿って並ぶ複数のベイBが設けられる。ベイBは、例えば、コンテナCの荷役対象とされる荷役対象ベイである荷役対象コンテナ群B1、及び荷役対象コンテナ群B1のX方向の両側のそれぞれに位置する隣接コンテナ群B2を含んでいる。
【0026】
コンテナヤード2においては、コンテナCを積み付ける位置が三次元空間に仮想的に設定されており、このコンテナCの仮想的な積み付け位置は番地(X,Y,Z)として定義される。すなわち、コンテナヤード2は、コンテナCを載置可能な領域として予め定められた複数の番地(X,Y,Z)を有する。番地(X,Y,Z)のうち、「X」はベイ番号、「Y」はロウ番号、「Z」はティア番号を示している。
【0027】
図3は、コンテナヤード2に配置された例示的なクレーン10を示す斜視図である。
図3に示されるように、クレーン10は、コンテナCを荷役するコンテナ取り扱いクレーンである。本実施形態では、クレーン10として、タイヤ式ガントリークレーン(RTG;Rubber Tired Gantry Crane)が例示されている。クレーン10は、例えば、コンテナターミナル1においてコンテナヤード2に配置されたコンテナCの荷役を自動で行う。
【0028】
クレーン10は、例えば、一対の脚部11と、一対の脚部11の上端同士を繋ぐクレーンガーダ12と、クレーンガーダ12上を横行可能なトロリ13と、コンテナCを荷役するスプレッダ14と、車輪を有する走行装置15とを備える。一対の脚部11及びクレーンガーダ12は、門形を呈する。クレーン10は、例えば、門形を呈する一対の脚部11及びクレーンガーダ12の組を2つ備え、2つの当該組がX方向に沿って並ぶように配置される。
【0029】
トロリ13は、例えば、横行モータの駆動によってY方向に沿って横行する。本実施形態において、Y方向はトロリ13の横行方向に一致する。一例として、トロリ13は、ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムを含む巻駆動部16を有し、ワイヤを含む吊部材18を介してスプレッダ14を吊り下げている。トロリ13からは、X方向に並ぶ2箇所の位置から吊部材18が延びており、スプレッダ14はX方向に並ぶ2箇所の位置において吊部材18に吊られている。
【0030】
スプレッダ14は、コンテナCを吊り下げる吊具である。スプレッダ14は、例えば、X方向に延びる矩形状を呈する。スプレッダ14は、コンテナCを上方から係止可能であり、コンテナCを係止して吊り上げることによってコンテナCの荷役を行う。例えば、スプレッダ14の動作は、前述した横行モータ及びドラム駆動モータの駆動によって制御され、当該横行モータ及びドラム駆動モータの駆動は本実施形態に係る自動クレーンシステム100によって制御される。
【0031】
クレーン10には、検出部120の構成要素である一対の検出器25が設けられている。検出器25は、Y方向における一方側の脚部11に設けられる。一対の検出器25は、一対の脚部11のそれぞれに設けられた支持部21に取り付けられている。各支持部21は、各脚部11からX方向における外側へ向かって平行に延びている。各検出器25は、支持部21の先端部に設けられる。
【0032】
次に、
図4及び
図5を参照して、検出器25の検出範囲について説明する。
図4は、コンテナヤード2をY方向から見た側面図である。
図4は、検出器25が設けられる側の脚部11が紙面の表面側に示される。
図5は、コンテナヤード2を上方から見た平面図である。なお、以降の説明において、「左」「右」を用いて説明を行う場合があるが、
図4の状態を基準としたときの「左」「右」を意味するものとする。
【0033】
荷役対象コンテナ群B1の左右には、隣接コンテナ群B2が配置されている。コンテナCは、左側の端部Cbと、右側の端部Caと、を有する。左側の隣接コンテナ群B2と荷役対象コンテナ群B1との間には隙間GP1が形成される。隙間GP1は、左側の隣接コンテナ群B2の複数のコンテナCの右側の端部Caと、荷役対象コンテナ群B1の複数のコンテナCの左側の端部Cbとの間に形成される。右側の隣接コンテナ群B2と荷役対象コンテナ群B1との間には隙間GP2が形成される。隙間GP2は、右側の隣接コンテナ群B2の複数のコンテナCの左側の端部Cbと、荷役対象コンテナ群B1の複数のコンテナCの右側の端部Caとの間に形成される。なお、
図5に示すように、各コンテナ群のY軸方向の両側には、クレーン10が走行するための走行路26が設定される、検出器25側では、走行路26と各コンテナ群との間には、搬送台車20(
図4参照)の走行路27が形成される。
【0034】
検出器25は、センシングエリアS1,S2内の物体を検出する。本実施形態では、検出器25は、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を検出するための情報を検出結果として取得する。なお、当該位置関係がどのように検出されるかについては、後述する。左側の検出器25のセンシングエリアS1は、少なくとも隙間GP1のXZ方向における全域(
図4参照)、Y方向における全域(
図5参照)を含む位置に設定される。右側の検出器25のセンシングエリアS2は、少なくとも隙間GP2のXZ方向における全域(
図4参照)、Y方向における全域(
図5参照)を含む位置に設定される。すなわち、センシングエリアS1,S2は、下側では地面の位置まで及んでおり、上側では最上段のコンテナCの上面よりも高い位置まで及んでいる(
図4参照)。センシングエリアS1,S2は、検出器25からY方向において最も遠い位置のコンテナCまで及んでいる(
図5参照)。
【0035】
検出器25は、搬送台車20に載置されたコンテナCの上面Cc(
図4参照)よりも高い位置に配置される。そのため、センシングエリアS1,S2は、搬送台車20のコンテナCに遮断されることなく、Y方向へ広がることができる。
【0036】
検出器25は、どのような種類の機器によって構成されてもよい。例えば、検出器25は、三次元スキャナによって構成されてよい。三次元スキャナは、物体の表面形状を座標に基づいてデータ化して、三次元モデルに変換することができる検出器である。あるいは、検出器25は、三次元カメラによって構成されてよい。三次元カメラは、撮影した画像中の物体の平面上の位置のみならず奥行きの位置まで取得できるカメラである。これらの機器を用いた場合、検出器25は、支持部21の先端部から移動することなく、必要な広さのセンシングエリアS1,S2を確保することができる。なお、検出器25は、支持部21の先端部で向きを変更可能であってもよいし、向きを変えなくともよい。また、支持部21自体が移動することによって、検出器25がXZ平面内で移動するような機構を設けてもよい。
【0037】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る自動クレーンシステム100のブロック構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る自動クレーンシステム100の構成及び機能を示すブロック図である。
図6に示すように、自動クレーンシステム100は、制御装置110を備える。制御装置110は、前述の検出器25からの検出結果を受信する。制御装置110は、クレーン100の駆動部30、及び出力部31へ制御信号を出力する。なお、制御装置110が配置される場所は得に限定されず、クレーン10の何れかの位置に設けられてもよいし、クレーン10から離れた位置に設けられてもよい。
【0038】
駆動部30は、スプレッダ14を設定した搬送経路に従って移動させるための駆動力を発生する機器である。駆動部30は、例えばスプレッダ14の巻上げ装置やトロリ13の横行用のモータなどを含んでいる。出力部31は、各種情報を出力する機器である。出力部31は、例えば、モニタ、スピーカ、警告灯などによって構成される。
【0039】
制御装置110は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを備え、コンピュータ(機上自動制御PCとも称される)として構成されていてもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の演算器である。メモリは、ROM(ReadOnly Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(記憶媒体)である。通信インタフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを制御し、後述する制御装置110としての機能を実現する。制御装置110では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。制御装置110を構成するコンピュータの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0040】
制御装置110は、情報処理部111と、経路設定部112と、駆動制御部113と、警告制御部114と、を備える。
【0041】
情報処理部111は、検出器25で検出された検出結果に関する情報を取得すると共に、当該演算結果に基づいて、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を演算によって検出する。これにより、検出器25、及び情報処理部111によって、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を検出する検出部120が構成される。また、情報処理部111は、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係に基づいて、安全対応処理を行うべきか否かを判定する。例えば
図2に示されるように、隣接コンテナ群B2に蔵置されているコンテナCにおいてX方向へのずれEが生じていた場合、荷役対象コンテナ群B1からコンテナCを搬送する際に、隣接コンテナ群B2のずれEの部分にコンテナCが干渉し、搬送台車20の上にコンテナCが落下する可能性が生じる。そのため、情報処理部111は、前述のずれEなどを検出するために、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとのX軸方向における近接度合いを演算することができる。情報処理部111が、当該近接度合いをどのようにして演算し、どのように判定するかは得に限定されない。
【0042】
例えば、情報処理部111は、隣接コンテナ群B2の複数のコンテナCの中で、他のコンテナCよりも荷役対象コンテナ群B1側に大きく突出しているコンテナCの存在を検出してよい。具体的に、情報処理部111は、センシングエリアS1のうち、隣接コンテナ群B2の各コンテナCの右側の端部Caの位置を取得する。情報処理部111は、他のコンテナCの端部Caに比して、右側へ大きく突出する端部Caが存在する場合、当該端部Caを有するコンテナCを検出する。情報処理部111は、検出したコンテナCの右側への突出量が所定の閾値以上であるか否かを判定する。あるいは、情報処理部111は、隙間GP1のうち、隣接コンテナ群B2のうち最も右側に位置する端部Caと、荷役対象コンテナ群B1のうち最も左側に位置する端部Cbとの間のX軸方向の離間距離を演算する。情報処理部111は、当該離間距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。なお、センシングエリアS2では、左右が逆であること以外は、センシングエリアS1と同様な演算が行われる。
【0043】
経路設定部112は、クレーン10のスプレッダ14によるコンテナCの移送経路を設定する。
図7(a)に示すH1は、通常時(安全対応処理を行わなくてよい時)において、搬送台車20に搭載されたコンテナCを蔵置エリアに移載する際の搬送経路を示している。
図7(b)に示すH2は、通常時において、蔵置エリアのコンテナCを搬送台車20に移載する際の搬送経路を示している。
【0044】
図7(a)に示されるように、経路設定部112は、搬送台車20から離れる方向に向かってコンテナCを搬送する場合には、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの蔵置状況に応じて搬送経路H1を設定する。
図7(a)は、搬送台車20上のコンテナCを蔵置エリアに搬送する例である。荷役対象コンテナ群B1における複数のロウRのそれぞれに蔵置されたコンテナCの高さのうち最も高い高さから所定距離高い位置を移送する搬送経路H1(以下では、最適経路と称することもある)を経路設定部112が設定する。経路設定部112は、荷役対象コンテナ群B1からコンテナを搬送して搬送台車20へ移載する場合にも、最適経路である搬送経路H2を設定してよい。なお、経路設定部112は、最適経路を設定する場合、コンテナCの上下方向への搬送経路と、水平方向への搬送経路との間のコーナー部分を、蔵置されたコンテナCと衝突しない範囲で湾曲させてよい。
【0045】
一方、検出部120によって、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの近接が検出された場合、経路設定部112は、安全対応処理として、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの衝突を回避するように、コンテナCの搬送経路を設定する。例えば、経路設定部112は、コンテナCが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路をコンテナCの搬送経路として設定してよい。具体的に、
図8に示されるように、実際の荷役対象コンテナ群B1の蔵置状況にかかわらず、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの最大高さMを超えるように搬送経路H3を設定してもよい。すなわち、搬送台車20側へコンテナCを搬送するときに、経路設定部112は、実際の荷役対象コンテナ群B1のコンテナCよりも高い搬送経路H3を設定する。このような経路にすることで、上述の搬送台車20の上にコンテナCが落下する可能性を回避することができる。荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの最大高さMを超えるような搬送経路H3を安全経路と呼ぶことがある。
【0046】
なお、安全対応処理の場合であっても、荷役対象コンテナ群B1側に突出しているコンテナCが、搬送経路から離れた位置に存在してる場合、経路設定部112は、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの衝突を回避するための搬送経路として、最適経路を設定してよい。例えば、
図7(b)において、「CX」で示すコンテナCと対応する位置にて、隣接コンテナ群B2のコンテナCが突出している場合、当該突出したコンテナCは、搬送に係るコンテナCが移動する方向とは逆側に存在することになる。この場合、両者の衝突は起こらないため、経路設定部112は、最適経路に係る搬送経路H2を設定してよい。
【0047】
駆動制御部113は、経路設定部112により設定された搬送経路に従いスプレッダ14が移動するように駆動部30を制御する。駆動制御部113は、駆動部30を構成するモータ等の各機器に対して、制御信号を送信することで、スプレッダ14が、予め定めた搬送経路に従って移動するように制御する。
【0048】
警告制御部114は、安全対応処理を行う必要がある場合に、出力部31を制御して、ユーザーに対して警告を行う。例えば、警告制御部114は、隣接コンテナ群B2において荷役対象コンテナ群B1側に突出しているコンテナCが存在している場合、当該コンテナCが存在していること(隣接コンテナ群B2にてずれが存在している事)を出力部31にて警告する。なお、
図8のような安全経路での搬送を行うと同時に出力部31で警告を行ってもよいし、出力部31で警告を行った場合はスプレッダ14の移動を停止し、ずれを修正するような動作を行うようにスプレッダ14の制御がなされてもよい。
【0049】
次に、本実施形態に係る自動クレーンシステムの制御方法の例について説明する。
図9は、本実施形態に係る自動クレーンシステムの制御方法の例示的な各工程を示すフローチャートである。一例として、本実施形態に係る自動クレーンシステムの制御方法は、自動クレーンシステム100を用いて行われる。
図9に示す処理は、荷役対象コンテナ群B1からあるコンテナCを搬送しようとする場合に実行される。
【0050】
まず、情報処理部111は、検出器25からの検出結果を取得する(ステップS1:検出工程)。次に、情報処理部111は、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を演算することで検出する(ステップS2:検出工程)。次に、情報処理部111は、ステップS2での演算結果に基づいて、隣接コンテナ群B2に荷役対象コンテナ群B1側に突出するコンテナCの存在を判定して、安全対応処理の要否を判定する(ステップS3)。
【0051】
情報処理部111が、安全対応処理は不要と判定した場合(ステップS3でYES)、経路設定部112は、最適経路(
図7参照)を搬送経路として設定する(ステップS4)。一方、情報処理部111が、安全対応処理が必要と判定した場合(ステップS3でNO)、経路設定部112は、安全経路(
図8参照)を搬送経路として設定する(ステップS5)。ステップS4,S5の何れかの処理が終了すると、スプレッダ14が設定された搬送経路に従って移動すると共に、搬送台車20へコンテナCを移載する。そして、次のコンテナCを搬送するときに、再びステップS1から処理が再開される。なお、ステップS1~S3の処理は、コンテナCを搬送する時に、毎回実行されてもよいし、新たな荷役対象コンテナ群B1からコンテナCを搬送する時に、初回のみ実行されてよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る自動クレーンシステム100、及び自動クレーンシステム100の制御方法の作用・効果について説明する。
【0053】
例えば隣接コンテナ群B2の中に、ずれEによって、荷役対象コンテナ群B1側に突出するようなコンテナCが存在している場合(
図2参照)、クレーン10が荷役対象コンテナ群B1のコンテナCを搬送する時に、当該突出したコンテナCと衝突する可能性がある。これに対し、検出部120は、荷役対象である荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、荷役対象コンテナ群B1に隣接する隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を検出する。従って、検出部120は、隣接コンテナ群B2において、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCを搬送するときに、衝突の可能性があるコンテナCを検出することができる。制御装置110は、検出部120の検出結果に応じてクレーン10を制御することで、搬送経路を調整したり、警告を出力するなどして、コンテナC同士の衝突を回避することができる。以上より、コンテナCの搬送の安全性を高めることができる。
【0054】
検出部120の検出器25は、搬送台車20に載置されたコンテナCの上面Ccよりも高い位置に配置されてよい。この場合、検出器25の検出が、搬送台車20に載置されたコンテナCによって遮断されることを抑制できる。
【0055】
検出部120は、検出器25として三次元スキャナを有してよい。この場合、検出部120の検出範囲(センシングエリアS1,S2)を広くすることができる。
【0056】
検出部120は、検出器25として三次元カメラを有してよい。この場合、検出部120は、検出範囲内のコンテナの奥行きの位置を取得することができる。
【0057】
検出部120によって、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの近接が検出された場合、制御装置110は、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの衝突を回避するように、コンテナCの搬送経路を設定してよい。この場合、クレーン10は、衝突を回避して安全性を確保しながらコンテナCを搬送することができる。
【0058】
検出部120によって、荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの近接が検出された場合、制御装置110は、コンテナCが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路をコンテナCの搬送経路として設定してよい。この場合、衝突の可能性のあるコンテナCがどの位置に存在していたとしても、クレーン10は、最大高さでコンテナCを移動させることで、衝突を回避した状態でコンテナCを搬送することができる。
【0059】
本実施形態に係る自動クレーンシステム100の制御方法は、コンテナヤード2に並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナCをクレーン10で搬送する自動クレーンシステム100の制御方法であって、荷役対象である荷役対象コンテナ群B1におけるコンテナCと、荷役対象コンテナ群B1に隣接する隣接コンテナ群B2におけるコンテナCとの位置関係を検出する検出工程と、検出工程での検出結果に基づいて、クレーンを制御する制御工程と、を備える。
【0060】
この自動クレーンシステム100の制御方法によれば、上述の自動クレーンシステム100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0061】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0062】
例えば、上述の実施形態に係る自動クレーンシステム100では、検出器25が、単一の長さのコンテナCにしか対応できない構成となっていた。これに変えて、検出部120は、複数の長さのコンテナCに対応して、複数段階の検出範囲を設定可能であってよい。この場合、コンテナCの長さが変更された場合であっても、検出部120は、変更後の長さのコンテナCについても、検出を行うことができる。例えば、
図4において、二点鎖線で示すように、支持部21の付根部の位置に、一対の検出器125を更に設けてもよい。例えば、40フィートのコンテナCを取り扱う場合には、支持部21の先端の検出器25によって、コンテナ間の隙間GP1,GP2の様子を検出し、20フィートのコンテナCを取り扱う場合には、支持部の付根部の検出器125によって、コンテナ間の隙間の様子を検出してよい。なお、検出部120は、複数の長さのコンテナCに対応して、複数段階の検出範囲を設定する方法は、検出器の数を増やす方法に限定されない。例えば、検出部120は、検出器25をX方向に移動させて、センシングエリアS1,S2の位置を、長さの異なるコンテナCに合わせて調整してよい。
【0063】
なお、クレーン10の種類は、RTGクレーンに限定されず、RMGCなどの種類のクレーンが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2…コンテナヤード、10…クレーン、20…搬送台車、25,125…検出器、100…自動クレーンシステム、110…制御装置、120…検出部、B1…荷役対象コンテナ群、B2…隣接コンテナ群、C…コンテナ。