(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】アクチュエータ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240903BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20240903BHJP
F16F 1/387 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
H02K33/16 A
F16F1/387 A
(21)【出願番号】P 2020135670
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】日向 章二
(72)【発明者】
【氏名】小林 優帆
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045996(JP,A)
【文献】特開昭61-268756(JP,A)
【文献】特開平04-013766(JP,A)
【文献】特開2006-117793(JP,A)
【文献】特開2020-029535(JP,A)
【文献】特開2008-291148(JP,A)
【文献】特開2008-169935(JP,A)
【文献】特開昭52-066885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H02K 33/16
F16F 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および可動体と、
前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、
前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記ゲル状部材は
第1の添加物および第2の添加物を含有し、
前記第1の添加物は、その含有量に応じて、前記可動体が振動するときの共振周波数が変化し、且つ、振動の強度が変化しないものであり、
前記第2の添加物は、その含有量に応じて、前記可動体が振動するときの共振周波数、および、振動の強度が変化するものであることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の添加物は、フィラーであり、
前記第2の添加物は、弾性樹脂からなる微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ゲル状部材は、シリコーンゲルであり、
前記第1の添加物は、シリカフィラーであり、
前記第2の添加物は、シリコーン樹脂からなるシリコーンボールであることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の添加物は、その含有量に応じて、前記ゲル状部材の破壊強度が増大するものであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ゲル状部材は、ゲル材料を熱硬化させて製造され、
前記添加物は、耐熱性であることを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、
前記ゲル状部材を製造するゲル状部材製造工程と、
前記支持体および前記可動体を前記ゲル状部材を介して接続する組立工程と、を行い、
前記ゲル状部材製造工程では、
第1の添加物および第2の添加物を添加したゲル材料を型に充填して硬化させた後に離型し、
前記第1の添加物は、その含有量に応じて、前記可動体が振動するときの共振周波数が変化し、且つ、振動の強度が変化しないものであり、
前記第2の添加物は、その含有量に応じて、前記可動体が振動するときの共振周波数、および、振動の強度が変化するものであり、
前記可動体が振動するときの
共振周波数および振動の強度のそれぞれの目標値に基づき、
前記第1の添加物および前記第2の添加物の種類および添加量を決定することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
【請求項7】
前記第1の添加物は、その含有量に応じて、前記ゲル状部材の破壊強度が変化するものであり、
前記ゲル状部材の破壊強度の目標値に基づき、前記
第1の添加物の種類および添加量を決定することを特徴とする請求項
6に記載のアクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を固定体に対して相対移動させるアクチュエータおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータとして、固定体および可動体と、固定体に対して可動体を振動させる磁気駆動機構を備えるとともに、可動体と固定体とを弾性および粘弾性を備えたゲル状部材によって接続したものがある。特許文献1には、直方体状のカバーの内部に可動体を配置し、可動体をカバーの長手方向に振動させるアクチュエータが開示される。可動体は、磁石が固定されたヨークを備えており、固定体は、コイルを保持するホルダと、可動体を収容するカバーを備える。ゲル状部材は、厚さ方向の一方の面がヨークに接着され、他方の面がカバーに接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動体と固定体とを接続する接続体として用いられるゲル状部材は、複数の原料を配合したゲル材料を硬化させることによって製造することができる。アクチュエータの振動特性は、ゲル状部材のばね定数や周波数特性によって決まる。
【0005】
アクチュエータの新規設計時や設計変更時に、従来とは異なる特性を持つゲル状部材が必要となることがある。しかしながら、アクチュエータの振動特性が目標値を達成するようにゲル状部材の特性を調整することは容易ではない。そのため、アクチュエータの新規設計や設計変更は容易ではない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、可動体と固定体とをゲル状部材によって接続するアクチュエータにおいて、ゲル状部材の特性を容易に調整可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記ゲル状部材は添加物を含有し、前記添加物の含有量に応じて、前記可動体が振動するときの振動特性が変化することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ゲル状部材が添加物を含有し、添加物の含有量により、可動体が振動するときの振動特性が変化する。従って、ゲル材料の原料を変更することなく、添加物によってゲル状部材の特性を変化させることができるので、ゲル状部材の特性を容易に調整できる。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できるので、アクチュエータの新規設計や設計変更が容易である。
【0009】
本発明において、前記添加物は、弾性樹脂からなる微粒子を含む。ゲルとは異なる特性の弾性樹脂を添加することにより、ゲル状部材の特性を調節できる。例えば、ゲルとは異なる硬さの弾性樹脂を添加することにより、ゲル状部材の硬さを調節でき、ばね定数を調節できる。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できる。
【0010】
本発明において、前記ゲル状部材は、シリコーンゲルであり、前記弾性樹脂は、シリコーン微粒子である。ゲル材料と添加物がいずれもシリコーン系であれば、熱膨張率や耐熱性などの性質を大きく変えることなく、ゲル状部材の特性を調整することができる。
【0011】
本発明において、前記添加物は、フィラーを含む。例えば、フィラーは、シリカフィラーであることが好ましい。フィラーを添加することにより、ゲル状部材の破壊強度を向上させることができるので、アクチュエータの耐久性を高めることができる。また、フィラーを添加することにより、可動体が振動するときの振動特性を調整することができる。
【0012】
本発明において、前記ゲル状部材は、ゲル材料を熱硬化させて製造され、前記添加物は、耐熱性であることが好ましい。このようにすると、ゲル材料を熱硬化させることによって添加物の効果が損なわれることがない。従って、添加物により、ゲル状部材の特性を調整することができる。
【0013】
次に、本発明は、支持体および可動体と、前記支持体および前記可動体に接続されるゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、前記ゲル状部材を製造するゲル状部材製造工程と、前記支持体および前記可動体を前記ゲル状部材を介して接続する組立工程と、を行い、前記ゲル状部材製造工程では、添加物を添加したゲル材料を型に充填して硬化させた後に離型し、前記可動体が振動するときの振動特性の目標値に基づき、前記添加物の種類および添加量を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ゲル材料に添加する添加物の添加量により、可動体が振動するときの振動特性を調整する。従って、ゲル材料の原料を変更することなく、添加物によってゲル状部材の特性を変化させることができるので、ゲル状部材の特性を容易に調整できる。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できるので、アクチュエータの新規設計や設計変更が容易である。
【0015】
本発明において、前記ゲル状部材の破壊強度の目標値に基づき、前記添加物の種類および添加量を決定する。例えば、添加物としてフィラーを用いる場合には、フィラーの添加量によってゲル状部材の破壊強度を調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲル状部材が添加物を含有し、添加物の含有量により、可動体が振動するときの振動特性が変化する。従って、ゲル材料の原料を変更することなく、添加物によってゲル状部材の特性を変化させることができるので、ゲル状部材の特性を容易に調整できる。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できるので、アクチュエータの新規設計や設計変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すアクチュエータの断面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図4】内枠部材および外枠部材が固定されたゲル状部材の断面図である。
【
図7】添加物によるアクチュエータの振動特性の変化を示すグラフである。
【
図8】添加物によるゲル状部材のばね定数の変化を示すグラフである。
【
図9】添加物による破壊強度の変化を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、可動体3の中心軸線が延在する方向を軸線L方向とし、軸線L方向の一方側をL1とし、軸線L方向の他方側をL2とする。本発明を適用したアクチュエータ1は、可動体3が支持体2に対して軸線L方向に振動する。
【0019】
以下に説明する実施形態では、可動体3は、支持体2の内周側に配置されるが、本発明では、可動体3が支持体2の外周側に配置される態様を採用してもよい。また、以下に説明する実施形態では、可動体3を支持体2に対して振動させる磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えているが、本発明では、磁石61とコイル62の配置を逆にした態様を採用してもよい。すなわち、磁気駆動機構6は、可動体3に配置されるコイル62と、支持体2に配置される磁石61とを備えている態様であってもよい。また、以下に説明する実施形態は、可動体3と、可動体3の外周側を囲む支持体2とを円筒状の接続体10によって接続する構成であるが、本発明は、直方体状のケースの内側に可動体3を配置し、ケースの上板と可動体3との間、および、ケースの底板と可動体3との間に接続体を配置して可動体3と支持体2とを接続する態様を採用してもよい。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
図3は、
図1に示すアクチュエータ1の断面図であり、
図1のA-A位置で切断した断面図である。アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2および可動体3に接続された接続体10と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6とを備える。接続体10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えており、支持体2に対して可動体3を軸線L方向に相対移動させる。
図3に示すように、可動体3は、軸線L方向の一方側L1の端部、および軸線L方向の他方側L2の端部の各位置において、接続体10を介して支持体2と接続される。
【0021】
(支持体)
支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線L方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内周側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に配置されるコイルホルダ4を有する。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。また、支持体2は、コイルホルダ4の内周側に嵌まる第1外枠部材51と、第1外枠部材51に対して軸線L方向の他方側L2に離間した位置でケース20の内周側に嵌まる第2外枠部材52を有する。第1外枠部材51と第2外枠部材52とは同一形状であり、軸線L方向で逆向きに配置される。
【0022】
(接続体)
接続体10は、第1外枠部材51の内周面に接合された環状の第1接続体11と、第2外枠部材52の内周面に接合された環状の第2接続体12を備える。可動体3の軸線L方向(すなわち、可動体の振動方向)の一端側に第1接続体11が配置され、可動体3の軸線L方向の他端側に第2接続体12が配置される。第1接続体11と第2接続体12は同一形状であり、軸線L方向で逆向きに配置される。
【0023】
第1接続体11および第2接続体12はゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1外枠部材51および第2外枠部材52に接合される。第1接続体11および
第2接続体12は、例えば、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。本形態では、第1外枠部材51をコイルホルダ4に圧入して固定することにより、第1接続体11が支持体2に接続される。また、第2外枠部材52をケース20に圧入して固定することにより、第2接続体12が支持体2に接続される。
【0024】
(コイルホルダ)
図2に示すように、コイルホルダ4は、環状の第1外枠部材固定部41と、第1外枠部材固定部41から軸線L方向の他方側L2へ突出する胴部42とを備えており、胴部42の周りにコイル62が配置される。コイル62から引き出されたコイル線63の端部は、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41から径方向外側へ突出する2本の端子ピン64に絡げられている。
図1に示すように、端子ピン64はケース20の外部へ突出しており、配線基板7に接続される。
【0025】
図3に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材51を軸線L方向に位置決めする第1段部44を備える。第1外枠部材固定部41は第1外枠部材51の外周側を囲んでいる。第1外枠部材固定部41の内周面には、軸線L方向の他方側L2に凹む第1凹部43が設けられ、第1外枠部材51は、第1凹部43に圧入される。第1段部44は、第1凹部43の軸線L方向の他方側L2の端部に設けられている。本形態では、第1外枠部材51の外周面に形成された環状段部511が第1段部44に対して軸線L方向に当接する。
【0026】
(ケース)
ケース20は、円筒状のケース本体24と、ケース本体24の内周側に配置される第2外枠部材固定部25を備える。
図2に示すように、第2外枠部材固定部25は、ケース本体24の内周面から内周側に突出しており、ケース本体24と一体に成形される。
図3に示すように、第2外枠部材固定部25は、コイルホルダ4に対して軸線L方向の他方側L2に離間した位置に配置される。
【0027】
ケース20は、第2外枠部材52を軸線L方向に位置決めする第2段部45を備える。
図3に示すように、第2外枠部材固定部25の内周面には、軸線L方向の一方側L1に凹む第2凹部46が設けられ、第2外枠部材52は、第2凹部46に圧入される。第2段部45は、第2凹部46の軸線L方向の一方側L1の端部に設けられている。本形態では、第2外枠部材52の外周面に形成された環状段部521が第2段部45に対して軸線L方向に当接する。
【0028】
また、ケース20は、コイルホルダ4を軸線L方向に位置決めする第3段部47を備える。
図3に示すように、第3段部47は、ケース本体24の内周面に形成される。ケース本体24の内周面には、軸線L方向に延びる複数の溝部29が形成され、各溝部29の軸線L方向の他方側L2の端部に第3段部47が形成されている。一方、
図2、
図3に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材固定部41の外周面から突出する複数の凸部49を備える。支持体2を組み立てる際、コイルホルダ4の各凸部49は、ケース本体24の各溝部29に軸線L方向の一方側L1から嵌め込まれ、第3段部47に対して軸線L方向に当接する。これにより、コイルホルダ4がケース本体24に圧入されて固定されるとともに、コイルホルダ4が軸線L方向に位置決めされる。
【0029】
(蓋部材)
図3に示すように、第1蓋部材21は、コイルホルダ4に設けられた第1外枠部材固定部41の軸線L方向の一方側L1からケース本体24に固定されている。また、第2蓋部材22は、第2外枠部材固定部25の軸線L方向の他方側L2からケース本体24に固定されている。
図2に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、軸線L方向から見て円形の蓋部26と、蓋部26の外周縁に等間隔で配置された複数の係止
部27を備える。本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3個所の係止部27を備える。係止部27は、蓋部26から外周側へ拡がる方向に傾斜して延びる爪部である。
【0030】
係止部27は、径方向に弾性変形して蓋部26と共にケース本体24の内周側に押し込まれる。ケース20は、係止部27がケース20の内側から外れることを規制する規制部28を備える。規制部28は、ケース本体24の端部から内周側に突出する凸部である。
図1、
図2に示すように、規制部28は、ケース本体24の軸線L方向の一方側L1および他方側L2の端部に、それぞれ、3個所ずつ等間隔で配置される。規制部28は、係止部27の先端に対して軸線L方向に当接する。
【0031】
第1蓋部材21は、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と、溶着とを併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の一方側L1の端部と第1蓋部材21との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第1蓋部材21とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0032】
第1蓋部材21は、溶着によってコイルホルダ4に固定され、コイルホルダ4を介してケース20に固定される。
図2、
図3に示すように、第1蓋部材21は、蓋部26から軸線L方向の他方側L2に突出する複数の溶着用凸部210を備える。一方、
図3に示すように、コイルホルダ4は、蓋部26と軸線L方向に対向する複数の溶着用凹部410を備える。本形態では、溶着用凸部210および溶着用凹部410は、周方向に等間隔で3個所に配置される。第1蓋部材21をケース20に固定する際には、
図3に示すように、各溶着用凸部210がコイルホルダの溶着用凹部410に溶着される。
【0033】
第2蓋部材22は、第1蓋部材21と同様に、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と、溶着とを併用してケース20に固定される。接着剤は、硬化後にケース20の他方側L2の端部と第2蓋部材22との隙間を封止する封止材となるように塗布される。従って、組立後の支持体2では、第2蓋部材22とケース20との隙間は、接着剤(図示せず)によって封止される。
【0034】
第2蓋部材22は、溶着によってケース20の第2外枠部材固定部25に固定される。
図2、
図3に示すように、第2蓋部材22は、蓋部26から軸線L方向の一方側L1に突出する複数の溶着用凸部220を備える。一方、第2外枠部材固定部25は、蓋部26と軸線L方向に対向する複数の溶着穴250を備える。本形態では、溶着用凸部220および溶着穴250は、周方向に等間隔で3個所に配置される。第2蓋部材22をケース20に固定する際には、
図3に示すように、各溶着用凸部220が第2外枠部材固定部25の溶着穴250に溶着される。
【0035】
図2に示すように、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41は、ケース本体24に設けられた3個所の規制部28と軸線L方向で重なる部分を内周側に切り欠いた溝部48を備える。従って、コイルホルダ4をケース本体24の内部に挿入する際に、第1外枠部材固定部41と規制部28とが干渉することが回避される。
【0036】
(配線引き出し部)
図1に示すように、支持体2は、磁気駆動機構6のコイル62から引き出したコイル線63を絡げた端子ピン64を外部に引き出すための配線引き出し部60を備える。配線引き出し部60は、ケース20の軸線L方向の一方側L1の縁を軸線L方向の他方側L2に切り欠いた切欠き部65と、第1蓋部材21の外周縁の周方向の一部から軸線L方向の他方側L2に延びるカバー66との間に設けられた隙間である。
【0037】
切欠き部65の内周側には、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41が配置される。本形態では、第1外枠部材固定部41から外周側に延びる2本の端子ピン64が配線引き出し部60に配置される。各端子ピン64の根本には、コイル62から引き出されたコイル線63が絡げられている。
【0038】
ケース20は、切欠き部65の他方側L2に形成された基板固定部69を備える。配線引き出し部60には、基板固定部69に固定される配線基板7の端部が配置される。端子ピン64は、配線基板7の縁に設けられた保持溝71に位置決めされ、保持溝71の縁に形成されたランドと電気的に接続される。配線基板7には、コイル62に対する給電用のリード線8が接続される。
【0039】
(可動体)
図2、
図3に示すように、可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線L方向に延びる支軸30を有する。支軸30には、筒状の第1内枠部材36、および筒状の第2内枠部材37によって、磁石61および第3ヨーク35が固定される。支軸30は金属製の丸棒である。第1内枠部材36および第2内枠部材37は、金属製の円筒体であり、第1内枠部材36および第2内枠部材37には円形の貫通穴が設けられている。第1内枠部材36および第2内枠部材37は同一形状であり、軸線L方向に逆向きに配置される。
【0040】
第1内枠部材36は第1外枠部材51と径方向に対向しており、第1内枠部材36と第1外枠部材51の間に第1接続体11が配置される。また、第2内枠部材37は第2外枠部材52と径方向に対向しており、第2内枠部材37と第2外枠部材52の間に第2接続体12が配置される。上記のように、第1接続体11および第2接続体12はゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1接続体11が第1内枠部材36に接合され、第2接続体12が第2内枠部材37に接合されている。第1内枠部材36および第2内枠部材37に支軸30を圧入して固定することにより、第1接続体11および第2接続体12が可動体3に接続される。
【0041】
図3に示すように、第1内枠部材36の内周面には、軸線L方向の他方側L2の端部に径方向内側に突出した環状突部361が形成されている。第1内枠部材36を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部361に圧入される。また、第2内枠部材37の内周面には、軸線L方向の一方側L1の端部に径方向内側に突出した環状突部371が形成されている。第2内枠部材37を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部371に圧入される。
【0042】
磁石61は、支軸30が貫通する軸穴610が設けられており、支軸30の軸線L方向の略中央に固定される。第3ヨーク35は、磁石61に軸線L方向の一方側L1で重なる第1ヨーク31と、磁石61に軸線L方向の他方側L2で重なる第2ヨーク32を備える。第1ヨーク31は、支軸30が貫通する軸穴310が設けられた円板状であり、磁石61と第1ヨーク31とは外径が等しい。第2ヨーク32は、カップ状の第1磁性部材33と、円板状の第2磁性部材34の2つの部材からなる。第1磁性部材33は、支軸30が貫通する軸穴330が設けられた円形の端板部331と、端板部331の外縁から軸線L方向の一方側L1に延びる円筒部332とを有する。本形態では、第1磁性部材33の端板部331が磁石61の軸線L方向の他方側L2の端面に固定される。第2磁性部材34は、支軸30が貫通する軸穴340を備えており、第1磁性部材33の端板部331に対して磁石61とは反対側から固定される。
【0043】
可動体3は、磁石61および第3ヨーク35を構成する各部材の軸穴310、610、330、340に支軸30を貫通させた状態で、磁石61および第3ヨーク35の軸線L方向の両側で第1内枠部材36および第2内枠部材37を支軸30に固定する。その結果、第1内枠部材36が軸線L方向の一方側L1から磁石61および第3ヨーク35を支持し、第2内枠部材37が軸線L方向の他方側L2から磁石61および第3ヨーク35を支持する結果、磁石61および第3ヨーク35は、支軸30に固定される。
【0044】
(接続体の製造方法)
図4は、内枠部材および外枠部材が固定されたゲル状部材の断面図である。
図4(a)は、第1内枠部材36および第1外枠部材51が固定された第1接続体11の断面図であり、
図4(b)は、第2内枠部材37および第2外枠部材52が固定された第2接続体12の断面図である。
図4(a)、
図4(b)において、LAは、第1内枠部材36、第1外枠部材51、第2内枠部材37、および第2外枠部材52の中心軸線である。
【0045】
第1内枠部材36は、中心軸線LA方向の長さ(高さ)が第1外枠部材51よりも大きく、第1外枠部材51から中心軸線LA方向の一方側LA1へ突出する。同様に、第2内枠部材37は、中心軸線LA方向の長さ(高さ)が第2外枠部材52よりも大きく、第2外枠部材52から中心軸線LA方向の一方側LA1へ突出する。アクチュエータ1を組み立てると、中心軸線LAと可動体3の軸線Lとが一致する。また、第1内枠部材36および第1外枠部材51は、中心軸線LA方向の一方側LA1と軸線L方向の他方側L2とが同一方向を向くように組み立てられ、第2内枠部材37および第2外枠部材52は、中心軸線LA方向の一方側LA1と軸線L方向の一方側L1とが同一方向を向くように組み立てられる。
【0046】
第1接続体11および第2接続体12は、ゲル材料を成形したゲル状部材であり、注型により製造される。
図4(a)に示すように、第1接続体11は、成形される際に第1外枠部材51および第1内枠部材36が接合されて部品化されている。また、
図4(b)に示すように、第2接続体12は、成形される際に第2外枠部材52および第2内枠部材37が接合されて部品化されている。従って、アクチュエータ1を組み立てる際には、ゲル状部材を接着する工程を行わずに、支持体2と可動体3とを接続することができる。
【0047】
図5は、接続体10の製造方法の説明図である。以下、
図5を参照して第1接続体11の製造方法を説明する。第2接続体12の製造方法は、第1接続体11の製造方法と同一であるため、説明を省略する。
図5に示すように、第1工程では、製造用治具90に設けられた円形凹部91の中央から突出するピン92を第1内枠部材36に挿入し、円形凹部91の底面94に第1内枠部材36を当接させる。また、円形凹部91の内周面に第1外枠部材51を内接させ、円形凹部91の底面94に第1外枠部材51を当接させる。これにより、第1内枠部材36と第1外枠部材51が位置決めされ、第1内枠部材36と第1外枠部材51の間に環状の隙間Sが形成される。
【0048】
本形態では、第1内枠部材36は、支軸30を固定するための環状突部361を備えている。製造用治具90に第1内枠部材36を位置決めする際、環状突部361が配置される側とは反対側からピン92を挿入し、環状突部361が配置される側とは反対側の端面を円形凹部91の底面94に当接させる。
【0049】
第2工程では、第1内枠部材36と第1外枠部材51との隙間Sにディスペンサー93からゲル材料Gを充填する。なお、隙間Sにゲル材料Gを入れる前に、第1内枠部材36の外周面360および第1外枠部材51の内周面510にプライマーなどの接着補助剤13を塗布しておく。接着補助剤13の塗布は、第1内枠部材36と第1外枠部材51を製造用治具90に位置決めする前に行ってもよいし、位置決めした後に行ってもよい。
【0050】
本形態では、2種類の原料(第1材料と第2材料)を所定の配合比で混合した2液性の
ゲル材料Gを用いる。第1材料は主剤であり、第2材料は硬化剤である。第2工程を行う前に、第1材料と第2材料を計量し、ミキサーにて第1材料と第2材料を攪拌して混合させる。そして、攪拌後のゲル材料Gをシリンジへ入れて脱泡し、シリンジをディスペンサー93にセットして一定量ずつ隙間Sに吐出して充填する。
【0051】
第3工程では、ゲル材料Gを製造用治具90ごと加熱し、規定の温度で規定の時間維持することにより硬化させる。これにより、隙間Sにはゲル状部材である第1接続体11が形成される。ゲル材料Gは、加熱硬化する際に、接着補助剤13に接する部分が接着補助剤13と反応して、第1内枠部材36の外周面360および第1外枠部材51の内周面510に固定される。従って、第1接続体11は、第1接続体11自体の接着力によって第1内枠部材36および第1外枠部材51に固定される。
【0052】
第4工程では、完成した第1接続体11を第1内枠部材36および第1外枠部材51と共に製造用治具90から取り外す。例えば、円形凹部91の底面94に突き出しピンを配置するための貫通孔(図示せず)を設けておき、突き出しピンを用いて、第1内枠部材36および第1外枠部材51と共に第1接続体11を製造用治具90から取り外す。
【0053】
図4(a)に示すように、第1接続体11は、中心軸線LA方向の他方側LA2を向く第1ゲル端面111と、中心軸線LA方向の一方側LA1を向く第2ゲル端面112を備える。
図4(b)に示すように、第2接続体12は、中心軸線LA方向の他方側LA2を向く第1ゲル端面121と、中心軸線LA方向の一方側LA1を向く第2ゲル端面122を備える。アクチュエータ1を組み立てると、第1接続体11と第2接続体12は軸線L方向で逆向きに配置されるため、第1接続体11の第2ゲル端面112と第2接続体12の第2ゲル端面122とが対向する。
【0054】
第1ゲル端面111、121は、円形凹部91の底面94によって成形される。従って、第1ゲル端面111、121は平坦面である。一方、第2ゲル端面112、122は凹面である。第2ゲル端面112、122は、成形時にゲル材料Gの表面張力によって凹んだ形状に成形される。
【0055】
図4(a)、
図4(b)は、アクチュエータ1を組み立てる前の、部品の状態の第1接続体11および第2接続体12を示す。部品の状態では、第1接続体11および第2接続体12はせん断変形していない。本形態では、アクチュエータ1を組み立てたとき、第1接続体11と第2接続体12が軸線L方向で逆向きにせん断変形した状態となるように構成されている(
図2参照)。これにより、可動体3が軸線L方向に振動した際に、第1接続体11および第2接続体12の内周部に加わる応力が緩和されるので、アクチュエータ1の耐久性を高めることができる。
【0056】
(添加物)
第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)は、添加物を含有する。アクチュエータ1は、添加物の種類および含有量に応じて、振動特性や耐久性が変化する。本形態では、ゲル材料Gを準備する際、第1材料と第2材料の混合物に添加物を入れて攪拌することにより、ゲル材料Gに添加物を分散させる。
【0057】
第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)は、2種類の添加物を含有する。第2の添加物は、弾性樹脂からなる微粒子である。本形態では、直径数μmのシリコーンゴムからなる微粒子(シリコーンボール)を第2の添加物として用いる。なお、弾性樹脂は、アクリルゴムであってもよいし、他のゴムであってもよい。本形態では、長さ数μmの鱗片状のシリカフィラーを第1の添加物として用いる。なお、フィラーとしては、カーボンブラックや各種のファイバーを用いてもよい。
【0058】
本発明者らは、上記の2種類の添加物を含有するゲル状部材の試験体を製造し、製造した試験体(ゲル状部材)を用いて、アクチュエータ1の振動特性およびゲル状部材の破壊強度を検証した。
図6は、試験体の一覧表である。6種類の試験体(ゲル1~ゲル6)において、第1材料と第2材料の混合比はいずれも1対1である。ゲル1は、添加物を含有しない従来品の試験体である。ゲル2およびゲル3は、シリカフィラーを含有する試験体である。ゲル2は、シリカフィラーの含有量が1重量パーセントであり、ゲル3は、シリカフィラーの含有量が3重量パーセントである。ゲル4~6は、シリコーンボールを含有する試験体である。ゲル4、5、6は、それぞれ、第1材料と第2材料の混合物(すなわち、添加物なしのゲル材料G)とシリコーンボールとの配合比が5:1、5:2、5:3である。
【0059】
図7は、添加物によるアクチュエータの振動特性の変化を示すグラフである。いずれの添加物を添加した場合も、アクチュエータ1の共振周波数は高い側にシフトする。第1の添加物(シリカフィラー)を添加すると、共振周波数はシフトするが、可動体3の加速度は変化せず、振動の強度は変化しない。第2の添加物(シリコーンボール)を添加すると、共振周波数がシフトするとともに、可動体3の加速度が増大し、振動の強度が増大する。第2の添加物(シリコーンボール)の添加量が増加するにしたがって、共振周波数のシフト量、および、加速度の増大量は大きくなる。
【0060】
図8は、添加物によるゲル状部材のばね定数の変化を示すグラフである。横軸はゲル状部材の変形量(距離)であり、縦軸は力である。第1の添加物(シリカフィラー)を添加することにより、グラフの傾きが大きくなり、ばね定数が増大する。また、第1の添加物(シリカフィラー)の添加量が増加するにしたがって、ばね定数の増大量は大きくなる。第2の添加物(シリコーンボール)を添加することにより、グラフの傾きが大きくなり、ばね定数が増大する。また、第2の添加物(シリコーンボール)の含有量が増加するにしたがって、ばね定数の増大量は大きくなる。
【0061】
図9は、添加物による破壊強度の変化を示す一覧表である。第1の添加物(シリカフィラー)を添加すると、ゲル状部材の破壊強度は増大する。また、第1の添加物(シリカフィラー)の含有量が増加するのに従って、ゲル状部材の破壊強度は増大する。
【0062】
以上のデータより、アクチュエータ1は、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)に対する添加物の種類および添加量(含有量)を調整することにより、振動特性を調整可能である。例えば、シリカフィラーの含有量を調整することにより、可動体3の共振周波数を調整可能であり、アクチュエータ1の振動特性を調整可能である。また、シリカフィラーの含有量を調整することにより、ゲル状部材の破壊強度を調整可能であり、アクチュエータ1の耐久性を調整可能である。さらに、シリコーンボールの含有量を調整することにより、可動体3の共振周波数および振動の強度を調整可能であり、アクチュエータ1の振動特性を調整可能である。
【0063】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、支持体2および可動体3と、支持体2および可動体3に接続される第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6を有する。第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)は添加物を含有する。添加物として、その含有量に応じて可動体3が振動するときの振動特性が変化するものを用いる。
【0064】
本形態のアクチュエータ1の製造方法は、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)を製造するゲル状部材製造工程と、支持体2および可動体3を第1接続体11お
よび第2接続体12(ゲル状部材)を介して接続する組立工程と、を行う。ゲル状部材製造工程では、注型によりゲル状部材を製造する。すなわち、添加物を添加したゲル材料Gを型に充填して硬化させた後に離型する。このとき、可動体3が振動するときの振動特性の目標値に基づき、添加物の種類および添加量を決定する。あるいは、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)の破壊強度の目標値に基づき、添加物の種類および添加量を決定する。
【0065】
このように、本形態では、ゲル材料Gの原料を変更することなく、添加物によって第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)の特性を変化させるので、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)の特性を容易に調整できる。従って、必要な特性の第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)を容易に製造できるので、アクチュエータ1の新規設計や設計変更が容易である。
【0066】
本形態では、添加物が第1の添加物および第2の添加物を含む。第1の添加物は、フィラーであり、第2の添加物は、弾性樹脂からなる微粒子である。このように、フィラーを添加することにより、ゲル状部材の破壊強度を向上させることができるので、アクチュエータ1の耐久性を高めることができる。また、フィラーを添加することにより、可動体3が振動するときの振動特性を調整することができる。また、ゲルとは異なる特性の弾性樹脂の粒子を添加することにより、ゲル状部材の特性を調節できる。例えば、ゲルとは異なる硬さの弾性樹脂を添加することにより、ゲル状部材の硬さを調節でき、ばね定数を調節できる。従って、必要な特性のゲル状部材を容易に製造できる。なお、第1の添加物および第2の添加物とは異なる別の添加物を添加してもよい。また、第1の添加物および第2の添加物のいずれか一方のみを添加してもよい。
【0067】
本形態では、第1接続体11および第2接続体12(ゲル状部材)がシリコーンゲルであるため、第2の添加物として用いる弾性樹脂は、シリコーン樹脂である。また、第1の添加物としてシリカフィラーを用いる。このように、ゲル材料Gと添加物がいずれもシリコーン系であれば、熱膨張率や耐熱性などの性質を大きく変えることなく、ゲル状部材の特性を調整することができる。
【0068】
本形態では、第1の添加物および第2の添加物はいずれも耐熱性の添加物である。従って、ゲル材料Gを熱硬化させることによって添加物の効果が損なわれることがないので、添加物により、ゲル状部材の特性を調整することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、7…配線基板、8…リード線、10…接続体、11…第1接続体、12…第2接続体、13…接着補助剤、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第2蓋部材、24…ケース本体、25…第2外枠部材固定部、26…蓋部、27…係止部、28…規制部、29…溝部、30…支軸、31…第1ヨーク、32…第2ヨーク、33…第1磁性部材、34…第2磁性部材、35…第3ヨーク、36…第1内枠部材、37…第2内枠部材、41…第1外枠部材固定部、42…胴部、43…第1凹部、44…第1段部、45…第2段部、46…第2凹部、47…第3段部、48…溝部、49…凸部、51…第1外枠部材、52…第2外枠部材、60…配線引き出し部、61…磁石、62…コイル、63…コイル線、64…端子ピン、65…切欠き部、66…カバー、67…溝部、68…係止部、69…基板固定部、71…保持溝、90…製造用治具、91…円形凹部、92…ピン、93…ディスペンサー、94…底面、111、121…第1ゲル端面、112、122…第2ゲル端面、210、220…溶着用凸部、250…溶着穴、310、330、340…軸穴、331…端板部、332…円筒部、360…外周面、361…環状突部、370…外周面、371…環状突部、410…溶着用凹部、510…内周面、511、521…環状段部、610
…軸穴、G…ゲル材料、L…軸線、L1…軸線方向の一方側、L2…軸線方向の他方側、LA…中心軸線、LA1…中心軸線方向の一方側、LA2…中心軸線方向の他方側、S…隙間