(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】施設管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2020138498
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴彦
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-198717(JP,A)
【文献】特開2019-200503(JP,A)
【文献】特開2017-216015(JP,A)
【文献】特開2017-004165(JP,A)
【文献】特開2012-234347(JP,A)
【文献】特開2012-063037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の管理対象の複数の区画を利用する利用者を識別する利用者情報を、前記複数の区画ごとに記憶するように構成された第1記憶部と、
利用者情報による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の前記複数の区画の各々における所在を管理するように構成された管理部と、
前記管理部が所在を管理した利用者の前記複数の区画の各々における所在の履歴を、利用者情報とともに記憶するように構成された第2記憶部と、
感染者とされた第1利用者を識別する第1利用者情報、および感染した日の情報を含む感染状況を受け付けるように構成された受付部と、
前記受付部が受け付けた
第1利用者情報および感染状況を元に、前記第1利用者が感染した日から現在まで、前記第1利用者が存在した前記複数の区画の第1履歴を第2記憶部から取得するように構成された第1取得部と、
前記第1履歴で特定される第1期間に、前記第1利用者と同じ区画に共存した第2利用者の第2利用者情報を、前記第2利用者が前記第1利用者と共存した区画の情報とともに、前記第2記憶部から取得するように構成された第2取得部と、
前記第2利用者が前記第1利用者と同じ区画に共存した共存時間を求めるように構成された算出部と、
前記第1利用者と共存した区画の情報および前記共存時間を含む共存情報を、前記第2利用者情報とともに記憶するように構成された第3記憶部と、
除外する共存条件を除外条件として記憶するように構成された第4記憶部と、
前記第2利用者情報の中で、前記除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するように構成された選択部と、
前記第3利用者情報を前記第1利用者の接触者として出力するように構成された出力部と
を備える施設管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の施設管理システムにおいて、
前記第4記憶部は、除外指定された区画の情報および除外時間範囲の少なくとも一方を前記除外条件として記憶する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の施設管理システムにおいて、
前記出力部は、前記第3利用者情報に加え、前記第2利用者情報を出力することを特徴とする施設管理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の施設管理システムにおいて、
前記複数の区画の各々に設置され、利用者が所有するICカードに記憶されたカード情報を読み取るように構成されたカードリーダを備え、
前記管理部は、前記カードリーダが読み取ったカード情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の前記複数の区画の各々における所在を管理する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の施設管理システムにおいて、
前記複数の区画の各々に設置され、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部を備え、
前記管理部は、前記生体情報取得部が取得した生体情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の前記複数の区画の各々における所在を管理する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の施設管理システムにおいて、
無線通信により利用者が所有する端末から送信された端末情報を受信するとともに、端末情報を受信した端末の位置を測定するように構成された受信部を備え、
前記管理部は、前記受信部が測定した端末の位置における、前記受信部が受信した端末情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の前記複数の区画の各々における所在を管理する
ことを特徴とする施設管理システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の施設管理システムにおいて、
前記第3記憶部は、前記共存時間の大小に対応する重みをつけて前記共存時間を記憶することを特徴とする施設管理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の施設管理システムにおいて、
区画の広さに対応する重みをつけて前記共存時間を記憶することを特徴とする施設管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の区画を有する施設を管理する施設管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、施設の入出の管理では、個人を識別する情報の認証によりセキュリティ管理を実施しているが、例えば、生化学的な実験室や病院の施設等特定の部屋(区画)においては、入室権限を有しているユーザであっても、インフルエンザなどの病原体に感染している場合には入室を禁止するように制御を行っている(特許文献1)。
【0003】
インフルエンザなどの病原体による感染症の場合、病因となる病原体の潜伏期間がある。従って、感染者の潜伏期間に感染者と接触した者は、既に感染している可能性がある。従来の技術では、感染のおそれがある人を入室制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、広い部屋で感染者と共存していたとしても、実際には距離が十分に離れていて感染のリスクが少ない人や、数秒しか同じ部屋に共存しておらず感染のリスク少ない人であっても、感染のおそれがあると判断される。このため、上述した従来の技術では、施設の利用を過剰に妨げてしまう恐れがある。また、病原体の種類によって、感染の度合い、症状、症状の度合いも違うため、一律感染の恐れありと判断されると人の活動を過剰に抑えてしまう。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、施設の利用を過剰に妨げることなく、感染者の入出を管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る施設管理システムは、施設内の管理対象の複数の区画を利用する利用者を識別する利用者情報を、複数の区画ごとに記憶するように構成された第1記憶部と、利用者情報による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理するように構成された管理部と、管理部が所在を管理した利用者の複数の区画の各々における所在の履歴を、利用者情報とともに記憶するように構成された第2記憶部と、感染者とされた第1利用者を識別する第1利用者情報、および感染した日の情報を含む感染状況を受け付けるように構成された受付部と、受付部が受け付けた第1利用者情報および感染状況を元に、第1利用者が感染した日から現在まで、第1利用者が存在した複数の区画の第1履歴を第2記憶部から取得するように構成された第1取得部と、第1履歴で特定される第1期間に、第1利用者と同じ区画に共存した第2利用者の第2利用者情報を、第2利用者が第1利用者と共存した区画の情報とともに、第2記憶部から取得するように構成された第2取得部と、第2利用者が第1利用者と同じ区画に共存した共存時間を求めるように構成された算出部と、第1利用者と共存した区画の情報および共存時間を含む共存情報を、第2利用者情報とともに記憶するように構成された第3記憶部と、除外する共存条件を除外条件として記憶するように構成された第4記憶部と、第2利用者情報の中で、除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するように構成された選択部と、第3利用者情報を第1利用者の接触者として出力するように構成された出力部とを備える。
【0008】
上記施設管理システムの一構成例において、第4記憶部は、除外指定された区画の情報および除外時間範囲の少なくとも一方を除外条件として記憶する。
【0009】
上記施設管理システムの一構成例において、出力部は、第3利用者情報に加え、第2利用者情報を出力する。
【0010】
上記施設管理システムの一構成例において、複数の区画の各々に設置され、利用者が所有するICカードに記憶されたカード情報を読み取るように構成されたカードリーダを備え、管理部は、カードリーダが読み取ったカード情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。
【0011】
上記施設管理システムの一構成例において、複数の区画の各々に設置され、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部を備え、管理部は、生体情報取得部が取得した生体情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。
【0012】
上記施設管理システムの一構成例において、無線通信により利用者が所有する端末から送信された端末情報を受信するとともに、端末情報を受信した端末の位置を測定するように構成された受信部を備え、管理部は、受信部が測定した端末の位置における、受信部が受信した端末情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。
【0013】
上記施設管理システムの一構成例において、第3記憶部は、共存時間の大小に対応する重みをつけて共存時間を記憶する。
【0014】
上記施設管理システムの一構成例において、区画の広さに対応する重みをつけて共存時間を記憶する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、感染者とされた第1利用者と共存した第2利用者の中より、除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するので、施設の利用を過剰に妨げることなく、感染者の入出が管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る施設管理システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態2に係る施設管理システムの構成を示す構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態3に係る施設管理システムの構成を示す構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る施設管理システムのハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る施設管理システムについて説明する。
【0018】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る施設管理システムについて
図1を参照して説明する。この施設管理システムは、第1記憶部101、管理部102、第2記憶部103、受付部104、第1取得部105、第2取得部106、算出部107、第3記憶部108、第4記憶部109、選択部110、および出力部111を備える。
【0019】
第1記憶部101は、施設内の管理対象の複数の区画を利用する利用者を識別する利用者情報を、複数の区画ごとに記憶する。管理部102は、利用者情報による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。また、管理部102は、よく知られた入退室管理の機能を有している。
【0020】
実施の形態1において、施設管理システムは、利用者が所有するICカードに記憶されたカード情報を読み取るカードリーダ112を備える。カードリーダ112は、複数の区画の各々に設置されている。管理部102は、カードリーダ112が読み取ったカード情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。
【0021】
例えば管理部102は、カードリーダ112が読み取ったカード情報と利用者情報とが一致する場合、該当する区画への入室を許可する。管理部102は、このように許可されて、該当する区画に利用者が入室している状態を記録することで、利用者の区画における所在を管理する。なお、例えばカードリーダ112が読み取ったカード情報と利用者情報とが不一致の場合、管理部102は、該当する区画への入室を制限する。
【0022】
第2記憶部103は、管理部102が所在を管理した利用者の複数の区画の各々における所在の履歴を、利用者情報とともに記憶する。受付部104は、感染者とされた第1利用者を識別する第1利用者情報、および感染した日の情報を含む感染状況を受け付ける。第1取得部105は、受付部104が受け付けた第1利用者情報および感染状況を元に、第1利用者が感染した日から現在まで、第1利用者が存在した複数の区画の履歴(第1履歴)を第2記憶部103から取得する。
【0023】
第2取得部106は、取得された第1履歴で特定される第1期間に、第1利用者と同じ区画に共存した第2利用者の第2利用者情報を、第2利用者が第1利用者と共存した区画の情報とともに、第2記憶部103から取得する。算出部107は、第2利用者が第1利用者と同じ区画に共存した共存時間を求める。
【0024】
第3記憶部108は、第1利用者と共存した区画の情報および共存時間を含む共存情報を、第2利用者情報とともに記憶する。第4記憶部109は、除外する共存条件を除外条件として記憶する。第4記憶部109は、除外指定された区画の情報および除外時間範囲の少なくとも一方を除外条件として記憶する。
【0025】
また、第3記憶部108が記憶する共存時間に重み付けによるランクをつけることもできる。例えば、第3記憶部108は、共存時間の大小に対応する重みをつけて共存時間を記憶することができる。一例として、共存時間が30分以内の場合は重みを50、共存時間が30分以上1時間以内の場合は重みを70,共存時間が1時間以上の場合は重みを100とすることができる。また、第3記憶部108は、区画の広さに対応する重みをつけて、共存時間を記憶することもできる。狭い区画で共存している場合は、接触度合いが高くなるので、狭い区画で共存している場合は、例えば、重みを1.5倍にし、広い区画で共存していた場合は、重みを0.5倍にすることができる。
【0026】
選択部110は、第3記憶部108に記憶されている第2利用者情報の中で、第4記憶部109に記憶されている除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択する。出力部111は、第3利用者情報を第1利用者の接触者として出力する。出力部111は、例えば、表示装置であり、第1利用者情報を感染者として表示し、第3利用者情報を、感染者に接触していた接触者として表示する。また、出力部111は、第3利用者情報に加え、第2利用者情報を出力することもできる。
【0027】
例えば、施設の利用者が、体調が悪くなり、病院に検査に行き、検査の結果、ウィルスに感染しているなど、自身が感染者であることを認知する。また、症状などのヒアリングから、いつから感染していたかを利用者が認知する。この利用者が、例えば、自身が感染者となったこと、およびいつから感染しているかなどの情報を通知する。例えば、利用者が、施設の賃借者である企業の社員の場合、利用者は自信が所属する企業に上述した利用者の感染状況を連絡する。この連絡を受けた企業の担当者は、該当する利用者の利用者情報と、上述した感染状況などの情報を、入力部113に入力する。
【0028】
感染した利用者の利用者情報および感染状況が入力部113に入力されると、これが受付部104で受け付けられる。感染した利用者の利用者情報および感染状況が受付部104で受け付けられると、受け付けられた利用者情報(第1利用者情報)および感染状況を元に、第1取得部105が、感染者となった第1利用者が感染した日から現在まで、第1利用者が、どの区画に存在していたかを示す第1履歴を第2記憶部103から取得する。
【0029】
第1取得部105が、第1履歴を取得すると、第2取得部106が、第1履歴で特定される第1期間に、第1利用者と同じ区画に共存していた第2利用者の第2利用者情報を、第2記憶部103から取得する。第2取得部106は、第2利用者情報を、第2利用者が第1利用者と共存した区画の情報とともに取得する。また、第1取得部105が、第1履歴を取得すると、算出部107が、上述した第1期間の情報を元に、第2利用者が第1利用者と同じ区画に共存した共存時間を求める。
【0030】
第1利用者が感染者となった状態で、いずれかの区画で共存していた第2利用者は、感染者となっている可能性がある。しかしながら、共存していた区画が広く、第1利用者と第2利用者との距離が十分離れている場合、感染のリスクは少ないものと判断することができる。また、第1利用者と第2利用者との共存の時間が、数秒であった場合、やはり感染のリスクは少ないものと判断することができる。従って、広い区画を除外指定し、また、例えば3秒以下を除外時間範囲とし、選択部110で、これら除外条件に一致する共存情報を有する第2利用者を除外し、除外された残りの第2利用者を第3利用者とする。
【0031】
上述したように、選択部110で選択された第3利用者の情報が、感染者の情報とともに、感染者の接触者として表示される。感染者、および感染者と接触していた可能性の利用者については、管理部102が、施設への入場を制限する。また、管理部102は、感染者が発生すると、アラートを出すこともできる。
【0032】
以上に説明したように、実施の形態1によれば、第2利用者の中より除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するので、施設の利用を過剰に妨げることなく、感染者の入出が管理できるようになる。
【0033】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る施設管理システムについて
図2を参照して説明する。この施設管理システムは、第1記憶部101、管理部102、第2記憶部103、受付部104、第1取得部105、第2取得部106、算出部107、第3記憶部108、第4記憶部109、選択部110、出力部111、および入力部113を備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0034】
実施の形態2において、施設管理システムは、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部114を備える。生体情報取得部114は、複数の区画の各々に設置されている。管理部102は、生体情報取得部114が取得した生体情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。
【0035】
例えば管理部102は、生体情報取得部114が取得した生体情報と利用者情報とが一致する場合、該当する区画への入室を許可する。管理部102は、このように許可されて、該当する区画に利用者が入室している状態を記録することで、利用者の区画における所在を管理する。なお、例えば生体情報取得部114が取得した生体情報と利用者情報とが不一致の場合、管理部102は、該当する区画への入室を制限する。
【0036】
生体情報取得部114は、例えば、指紋センサから構成することができる。この場合、生体情報取得部114は、利用者の指紋画像を生体情報として取得する。また、生体情報取得部114は、顔認識装置から構成することができる。この場合、生体情報取得部114は、利用者の顔の画像を生体情報として取得する。また、生体情報取得部114は、静脈の形状を画像として撮影するセンサから構成することができる。この場合、生体情報取得部114は、利用者の指の皮膚下にある静脈形状パターンの画像(静脈画像)を生体情報として取得する。また、生体情報取得部114は、虹彩や網膜のパターンを測定するセンサから構成することができる。この場合、生体情報取得部114は、利用者の目の虹彩や網膜のパターンを、生体情報として取得する。
【0037】
実施の形態2においても、前述した実施の形態1と同様に、第2利用者の中より除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するので、施設の利用を過剰に妨げることなく、感染者の入出が管理できる。
【0038】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る施設管理システムについて、
図3を参照して説明する。この施設管理システムは、第1記憶部101、第2記憶部103、受付部104、第1取得部105、第2取得部106、算出部107、第3記憶部108、第4記憶部109、選択部110、および出力部111を備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0039】
実施の形態3では、無線通信により利用者が所有する端末から送信された端末情報を受信するとともに、端末情報を受信した端末の位置を測定する受信部115を備える。受信部115は、例えば、無線LANにより端末との間で通信を確立している。また、受信部115は、「Bluetooth」(商標)や「ZigBee」(商標)などの近距離無線通信により、端末との間で通信することもできる。
【0040】
実施の形態3では、管理部102aは、受信部115が測定した端末の位置における、受信部115が受信した端末情報と利用者情報との一致不一致による認証情報を元に、利用者情報で特定される利用者の複数の区画の各々における所在を管理する。管理部102aは、よく知られた入退室管理の機能を有している。例えば管理部102aは、受信部115が端末情報を受信した端末の位置情報を元に、利用者が存在している区画を経時的に記録することで、利用者の区画における所在を管理する。
【0041】
実施の形態3では、上述したように、管理部102aが所在を管理した利用者の複数の区画の各々における所在の履歴が、利用者情報とともに第2記憶部103に記憶される。なお、利用者が存在している区画を経時的に記録する場合、記録される情報が多くなり、処理の許容量を超える場合がある。このような場合、端末の側で端末の位置を記録しておき、この情報を、期間を絞って受け付ける構成とすることもできる。
【0042】
実施の形態3においても、前述同様に、感染した利用者の利用者情報および感染状況が入力部113に入力され、受付部104で受け付けられると、第1取得部105が、感染者となった第1利用者が感染した日から現在まで、第1利用者が、どの区画に存在していたかを示す第1履歴を第2記憶部103から取得する。
【0043】
第1取得部105が、第1履歴を取得すると、第2取得部106が、第1履歴で特定される第1期間に、第1利用者と同じ区画に共存していた第2利用者の第2利用者情報を、第2記憶部103から取得する。第2取得部106は、第2利用者情報を、第2利用者が第1利用者と共存した区画の情報とともに取得する。また、第1取得部105が、第1履歴を取得すると、算出部107が、上述した第1期間の情報を元に、第2利用者が第1利用者と同じ区画に共存した共存時間を求める。
【0044】
また、選択部110で、第4記憶部109に記憶されている除外条件に一致する共存情報を有する第2利用者を除外し、除外された残りの第2利用者を第3利用者とする。実施の形態3においても、選択部110で選択された第3利用者の情報が、感染者の情報とともに、感染者の接触者として表示される。感染者、および感染者と接触していた可能性の利用者については、管理部102aが、施設への入場を制限する。また、管理部102aは、感染者が発生すると、アラートを出すこともできる。
【0045】
なお、上述した実施の形態に係る施設管理システムは、
図4に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能が実現されるようにすることもできる。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0046】
以上に説明したように、本発明によれば、感染者とされた第1利用者と共存した第2利用者の中より、除外条件に一致しない共存情報を有する第3利用者情報を選択するので、施設の利用を過剰に妨げることなく、感染者の入出が管理できるようになる。
【0047】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0048】
101…第1記憶部、102…管理部、103…第2記憶部、104…受付部、105…第1取得部、106…第2取得部、107…算出部、108…第3記憶部、109…第4記憶部、110…選択部、111…出力部、112…カードリーダ、113…入力部。