(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240903BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20240903BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20240903BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/0432
H01M8/04302
H01M8/04225
H01M8/043
H01M8/04007
(21)【出願番号】P 2020154954
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】小林 和明
(72)【発明者】
【氏名】白石 晋平
(72)【発明者】
【氏名】松井 栄造
(72)【発明者】
【氏名】青野 智剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 道忠
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-76998(JP,A)
【文献】特開2019-203650(JP,A)
【文献】特開2010-211987(JP,A)
【文献】特開2009-272158(JP,A)
【文献】特開2006-32140(JP,A)
【文献】特開2012-221723(JP,A)
【文献】特開2006-71216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統に連系する燃料電池装置であって、
燃料電池と、
前記燃料電池の排熱を熱媒と熱交換させる熱交換器と、
前記熱媒を貯留する熱媒タンクと、
前記熱交換器及び前記熱媒タンクの間で前記熱媒を循環させる循環路と、
前記循環路の近傍に設けられ、前記燃料電池装置が系統から解列する場合に前記燃料電池の発電電力を消費する電力消費器と、
前記燃料電池装置が系統に連系している場合、所定の条件のいずれかを満たすとき、前記電力消費器を稼働させる制御部と、を備え
、
前記所定の条件は、前記燃料電池の起動時期における前記熱媒タンクへの前記熱媒の補充が必要である時の外気温又は前記熱媒の温度が第2の温度閾値以下であることを含む
燃料電池装置。
【請求項2】
系統に連系する燃料電池装置であって、
燃料電池と、
前記燃料電池の排熱を熱媒と熱交換させる熱交換器と、
前記熱媒を貯留する熱媒タンクと、
前記熱交換器及び前記熱媒タンクの間で前記熱媒を循環させる循環路と、
前記循環路の近傍に設けられ、前記燃料電池装置が系統から解列する場合に前記燃料電池の発電電力を消費する電力消費器と、
前記燃料電池装置が系統に連系している場合、所定の条件のいずれかを満たすとき、前記電力消費器を稼働させる制御部と、
前記熱媒タンクの前記熱媒と給水路から供給される水を熱交換させることにより、温水を出水する給湯路と、を備え
、
前記所定の条件は、前記熱媒タンク内の前記熱媒の温度が第3の温度閾値以下であり且つ前記給湯路への出水を優先する出湯優先モードが選択されることを含む
燃料電池装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の燃料電池装置において、
前記所定の条件は、外気温又は前記熱媒の温度が第1の温度閾値以下であることを含む 燃料電池装置。
【請求項4】
請求項
2に従属する請求項3に記載の燃料電池装置において、
前記所定の条件は、前記燃料電池の起動時期における前記熱媒タンクへの前記熱媒の補充が必要である時の外気温又は前記熱媒の温度が第2の温度閾値以下であることを含む
燃料電池装置。
【請求項5】
請求項1
、又は請求項1に従属する請求項3に記載の燃料電池装置において、
前記循環路に前記熱媒を循環させる熱媒ポンプを、さらに備え、
前記所定の条件は、前記熱媒タンクへの前記熱媒の補充後に前記熱媒ポンプを稼働させる所定時間中であることを含む
燃料電池装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料電池装置において、
前記循環路に設けられ、前記熱媒を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを冷却する冷却器とを、さらに備え、
前記制御部は、前記所定の条件の一部を満たすとき、前記冷却器の稼働を停止させる
燃料電池装置。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料電池装置において、
前記冷却器は、ファンである燃料電池装置。
【請求項8】
請求項1から
4、6、7のいずれか1項に記載の燃料電池装置において、
前記循環路に前記熱媒を循環させる熱媒ポンプを、さらに備え、
前記制御部は、前記所定の条件の一部を満たすとき、前記熱媒ポンプの稼働を増大させる
燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素の電気化学反応により電気を発生させる燃料電池装置が知られている。燃料電池装置では、電気化学反応及び水素を製造する改質装置を含む構成においては改質反応において熱を発する。燃料電池装置では、発生する熱を輩出する排熱機構が設けられることが一般的である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池装置の製造コストの低減のために、排熱機構の簡潔化が検討されている。しかし、状況によっては熱媒を加熱する必要があり、簡潔化によっては必要な熱を熱媒に与えることができなくなる可能性があった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、構成を簡潔化させながら熱媒に必要な熱を付与可能な燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による燃料電池装置は、
系統に連系する燃料電池装置であって、
燃料電池と、
前記燃料電池の排熱を熱媒と熱交換させる熱交換器と、
前記熱媒を貯留する熱媒タンクと、
前記熱交換器及び前記熱媒タンクの間で前記熱媒を循環させる循環路と、
前記循環路の近傍に設けられ、前記燃料電池装置が系統から解列する場合に前記燃料電池の発電電力を消費する電力消費器と、
前記燃料電池装置が系統に連係している場合、所定の条件のいずれかを満たすとき、前記電力消費器を稼働させる制御部と、を備え、
前記所定の条件は、前記燃料電池の起動時期における前記熱媒タンクへの前記熱媒の補充が必要である時の外気温又は前記熱媒の温度が第2の温度閾値以下であることを含む。
又、第2の観点による燃料電池装置は、
系統に連系する燃料電池装置であって、
燃料電池と、
前記燃料電池の排熱を熱媒と熱交換させる熱交換器と、
前記熱媒を貯留する熱媒タンクと、
前記熱交換器及び前記熱媒タンクの間で前記熱媒を循環させる循環路と、
前記循環路の近傍に設けられ、前記燃料電池装置が系統から解列する場合に前記燃料電池の発電電力を消費する電力消費器と、
前記燃料電池装置が系統に連系している場合、所定の条件のいずれかを満たすとき、前記電力消費器を稼働させる制御部と、
前記熱媒タンクの前記熱媒と給水路から供給される水を熱交換させることにより、温水を出水する給湯路と、を備え、
前記所定の条件は、前記熱媒タンク内の前記熱媒の温度が第3の温度閾値以下であり且つ前記給湯路への出水を優先する出湯優先モードが選択されることを含む。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本開示に係る燃料電池装置によれば、構成を簡潔化しながら熱媒に必要な熱を付与可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る燃料電池装置の概念構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の制御部が実行する第1の凍結防止処理を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図1の制御部が実行する第2の凍結防止処理を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図1の制御部が実行する残留塩素除去処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図1の制御部が実行する加熱処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した燃料電池装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る燃料電池装置10は、燃料電池11、熱交換器12、熱媒タンク13、循環路14、余剰電力消費器15及び制御部16を含んで構成される。燃料電池装置10は、さらに、熱媒ポンプ17、ファン付きのラジエータ18及び給湯路19を含んでよい。
【0011】
燃料電池装置10は、系統に連系又は解列可能である。燃料電池装置10は、系統に連系した状態で、一般の負荷機器に電力を供給する。燃料電池装置10は、系統から解列した状態で、燃料電池装置10を構成する各補機類等に電力を供給する。
【0012】
燃料電池11は、供給される都市ガス、空気及び改質水を用いて発電する。燃料電池11は、発電に伴い、高熱の排ガスを輩出する。燃料電池11は、排出路を有する。燃料電池11は、排出路を介して熱交換器12に排ガスを送出する。
【0013】
熱交換器12は、燃料電池11が排ガスを介して排出する排熱を、熱媒と熱交換させる。熱交換器12において熱媒との熱交換により排ガスから凝縮した改質水は、改質水タンク20に貯留される。改質水タンク20に貯留される改質水は、改質水ポンプ21により昇圧されて、燃料電池11に供給される。熱交換器12において凝縮されない排ガスは燃料電池装置10から、排気される。
【0014】
熱媒タンク13は、熱媒を貯留する。熱媒は、例えば、水、不凍液などの比熱の大きな流体である。熱媒タンク13には、温度センサ22及び液面センサ23が設けられる。温度センサ22は、熱媒タンク13内の熱媒の温度を検知する。液面センサ23は、熱媒タンク13内の熱媒の液面が、液面センサ23の設置位置に到達しているか否かを検知する。熱媒タンク13から排出路24を介して、熱媒が排出され得る。熱媒タンク13には供給路25を介して、熱媒が供給され得る。
【0015】
循環路14は、熱媒を、熱交換器12及び熱媒タンク13の間に循環させる。循環路14は、例えば、熱媒タンク13から熱交換器12へ熱媒を送出する配管と、熱交換器12から熱媒タンク13へ熱媒を送出する配管とを含む。循環路14には、任意の位置に温度センサ26が設けられていてよい。温度センサ26は、取り付けられた位置における循環路14の温度を検知する。温度センサ26は、例えば、熱媒タンク13から熱交換器12へ熱媒を送出する配管に設けられてよい。
【0016】
余剰電力消費器(電力消費器)15は、循環路14の近傍に設けられる。余剰電力消費器15は、燃料電池11の発電中に系統から解列される場合、燃料電池11が発電して一般の負荷機器に供給できない余剰電力(発電電力)を消費するために設けられる負荷機器である。余剰電力消費器15は、例えば、自立ヒータなどの消費電力の大きな負荷機器である。余剰電力消費器15は、燃料電池11からだけでなく、系統から電力が供給されてよい。なお、電力消費器の一例として余剰電力を消費する余剰電力消費器が挙げられているが、電力消費器は余剰電力消費器に限定されない。
【0017】
熱媒ポンプ17は、循環路14に設けられる。熱媒ポンプ17は、熱媒を昇圧することにより循環路14に循環させる。熱媒ポンプ17は、制御部16により制御されることにより、稼働する。熱媒ポンプ17は、稼働及び停止の切替えだけでなく、稼働強度、言換えると回転数を調整可能であってよい。
【0018】
ラジエータ18は、循環路14に設けられる。ラジエータ18は、熱媒を内部に流動させることにより熱媒の熱を放熱させることにより、熱媒を冷却する。ラジエータ18には、冷却器29が設けられる。冷却器29は、ラジエータ18における冷却効果を増大させる。冷却器29には、ファン、ブロア等、ラジエータ18へ送風などすることにより、ラジエータを冷却できる任意の機器が適用されてよい。
【0019】
給湯路19は、熱媒タンク13内に設けられる内部通路27を介して給水路28に接続される。給湯路19は、内部通路27の通過時に熱媒タンク13中の熱媒と熱交換することにより、給水路28から供給される水が加熱された温水を出水する。
【0020】
制御部16は、1以上のプロセッサ及びメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部16は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。制御部16は、燃料電池装置10の多様な機能を奏するべく、各構成要素を制御する。
【0021】
制御部16は、例えば、電力管理装置などから、燃料電池11を系統に連系したことを情報として取得する。制御部16は、燃料電池11が系統に連系している場合、所定の条件のいずれかを満たすとき、余剰電力消費器15を稼働させる。所定の条件は、後述するように、第1の条件、第2の条件、第3の条件及び第4の条件の複数の条件を含んでよい。所定の条件は、第1の条件から第4の条件以外の条件を含んでよい。制御部16は、後述するように所定の条件の一部を満たすとき、さらに冷却器29の稼働を停止させてよい。なお、制御部16は、後述するように所定の条件の一部を満たすとき、さらに熱媒ポンプ17の稼働を増大させてよい。
【0022】
第1の条件は、燃料電池11の稼働中の外気温又は熱媒の温度が第1の温度閾値以下であることであってよい。燃料電池11の稼働中は、燃料電池11の起動時期から燃料電池11の停止時期までを含む。なお、燃料電池11の起動時期とは、ユーザ等により燃料電池装置10の起動が開始されてから、燃料電池装置10が通常発電できるまでの間の期間を言う。第1の温度閾値は、例えば、熱媒の凝固点又は凝固点よりも少し高い温度である。熱媒が水である構成においては、第1の温度閾値は、0℃以上4℃以下の範囲で定められてよい。制御部16は、燃料電池装置10の筐体の外部に設けられる温度センサ又は電力管理装置などから外気温を情報として取得してよい。制御部16は、温度センサ22から熱媒の温度を情報として取得してよい。さらに具体的には、第1の条件は、燃料電池11の起動時期の外気温又は熱媒の温度が第1の温度閾値以下であってよい。制御部16は、第1の条件を満たす場合、余剰電力消費器15の稼働に加えて、冷却器29の稼働の停止及び熱媒ポンプ17の稼働の増大の少なくとも一方を実行してよい。
【0023】
制御部16は、余剰電力消費器15の稼働中に外気温又は熱媒の温度が第1の温度閾値を超えるとき、余剰電力消費器15の稼働を停止させる。さらに、制御部16は、余剰電力消費器15の稼働中に外気温又は熱媒の温度が第1の温度閾値を超えるとき、冷却器29の稼働及び熱媒ポンプ17の稼働の低減の少なくとも一方を実行してよい。
【0024】
第2の条件は、燃料電池11の起動時期において、熱媒タンク13への熱媒の補充(水張り)が必要である時の外気温又は熱媒の温度が第2の温度閾値以下であることであってよい。制御部16は、液面センサ23から、熱媒が設置位置に到達していないことを情報として取得する場合に、熱媒の補充が必要であると判断する。第2の温度閾値は、第1の温度閾値と同じであっても異なってもよい。第2の温度閾値は、例えば、熱媒の凝固点である。
【0025】
制御部16は、第2の条件を満たす場合、余剰電力消費器15の稼働に加えて、冷却器29の稼働の停止及び熱媒ポンプ17の稼働の増大の少なくとも一方を実行してよい。
【0026】
制御部16は、第2の条件を満たすと判断した後、循環路14の温度が開始閾値以上である場合、熱媒の補充を許可してよい。制御部16は、温度センサ26から循環路14の温度を情報として取得してよい。開始閾値は、熱媒の凍結を防ぎ得る配管の温度であり、例えば、熱媒の凝固点より10℃以上高い温度などのように、適宜定められてよい。熱媒の補充の許可は、例えば、供給路25に設けられる制御弁を開放する指令を制御弁に送信することによって行われてよく、供給路25に設けられる手動弁の開放を操作者に報知することによって行われてよい。さらに、制御部16は、第2の条件を持たすと判断した後、循環路14の温度が開始閾値以上である場合、余剰電力消費器15の稼働を停止させてよい。
【0027】
第3の条件は、熱媒タンク13への熱媒の補充後に熱媒の温度が熱媒タンク13内の熱媒の設計上の通常温度で熱媒ポンプ17を高回転で稼働させる所定時間中であることであってよい。所定時間は、熱媒タンク13内の熱媒の設計上の通常温度で残留塩素を除去するのに必要な時間である。所定時間は、設計上の通常温度が75℃である場合、3日間であってよい。制御部16は、液面センサ23が水位を検知したとき、熱媒の補充が完了していると判断する。制御部16は、熱媒の補充の完了後に、熱媒ポンプ17の稼働を開始させる。制御部16は、第3の条件を満たす場合、余剰電力消費器15の稼働に加えて、冷却器29の稼働の停止及び熱媒ポンプ17の稼働の増大の少なくとも一方を実行してよい。
【0028】
制御部16は、第3の条件に基づいて余剰電力消費器15の稼働後、熱媒ポンプ17を稼働させる所定時間の経過後、余剰電力消費器15の稼働を停止させる。さらに、制御部16は、当該所定時間の経過後、冷却器29の稼働及び熱媒ポンプ17の稼働の低減の少なくとも一方を実行してよい。
【0029】
第4の条件は、熱媒タンク13内の熱媒の温度が第3の温度閾値以下且つ給湯優先モードが燃料電池装置10の運転モードとして選択されていることであってよい。第3の温度閾値は、水道水を、設計上の温水の温度に昇温させ得る最低温度である。本開示において、第3の温度閾値は50℃である。給湯優先モードとは、使用者により選択されるモードであり、直ちに燃料電池装置10からの給湯が要求される場合に使用されるモードである。このモードでは、直ちに熱媒タンク13内の熱媒の温度の昇温が優先される。制御部16は、第4の条件を満たす場合、余剰電力消費器15の稼働に加えて、冷却器29の稼働の停止及び熱媒ポンプ17の稼働の増大の少なくとも一方を実行してよい。
【0030】
制御部16は、第4の条件に基づいて余剰電力消費器15の稼働後、熱媒タンク13内の熱媒の温度が第4の温度閾値以上である場合、余剰電力消費器15の稼働を停止させる。第4の温度閾値は、例えば、燃料電池装置10における熱媒の適正運転の温度範囲の上限値である。本開示において、第4の温度閾値は、75℃である。
【0031】
次に、本実施形態において制御部16が実行する、第1の凍結防止処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
ステップS100において、制御部16は、外気温及び熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS101に進む。
【0033】
ステップS101では、制御部16は、ステップS100において取得した外気温又は熱媒の温度が第1の温度閾値以下であるか否かを判別する。第1の温度閾値以下でない場合、プロセスはステップS100に戻る。第1の温度閾値以下である場合、プロセスはステップS102に進む。
【0034】
ステップS102では、制御部16は、余剰電力消費器15を稼働する。また、制御部16は、熱媒ポンプ17の回転数を増加させる。また、制御部16は、冷却器29の稼働を停止する。余剰電力消費器15の稼働などの実行後、プロセスはステップS103に進む。
【0035】
ステップS103では、制御部16は、外気温及び熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS104に進む。
【0036】
ステップS104では、制御部16は、ステップS103において取得した外気温及び熱媒の温度が第1の温度閾値を超えるか否かを判別する。第1の温度閾値を超えない場合、プロセスはステップS103に戻る。第1の温度閾値を超える場合、プロセスはステップS105に進む。
【0037】
ステップS105では、制御部16は、余剰電力消費器15の稼働を停止する。また、制御部16は、熱媒ポンプ17の回転数を通常運転状態に戻す。また、制御部16は、冷却器29の稼働を通常運転状態に戻す。余剰電力消費器15の稼働停止などの実行後、第1の凍結防止処理は終了する。
【0038】
次に、本実施形態において制御部16が実行する、第2の凍結防止処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。第2の凍結防止処理は、液面センサ23から、熱媒が設置位置に到達していないことを情報として取得する場合に開始する。
【0039】
ステップS200において、制御部16は、外気温及び熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS201に進む。
【0040】
ステップS201では、制御部16は、ステップS200において取得した外気温又は熱媒の温度が第2の温度閾値以下であるか否かを判別する。第2の温度閾値以下でない場合、プロセスはステップS206に進む。第2の温度閾値以下である場合、プロセスはステップS202に進む。
【0041】
ステップS202では、制御部16は、余剰電力消費器15を稼働する。稼働後、プロセスはステップS203に進む。
【0042】
ステップS203では、制御部16は、循環路14の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS204に進む。
【0043】
ステップS204では、制御部16は、ステップS203において取得した循環路14の温度が開始閾値を超えるか否かを判別する。開始閾値を超えない場合、プロセスはステップS203に戻る。開始閾値を超える場合、プロセスはステップS205に進む。
【0044】
ステップS205では、制御部16は、余剰電力消費器15の稼働を停止する。稼働停止後、プロセスはステップS206に進む。
【0045】
ステップS206では、制御部16は、熱媒の補充を許可する。許可後、第2の凍結防止処理は終了する。
【0046】
次に、本実施形態において制御部16が実行する、残留塩素除去処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。残留塩素除去処理は、液面センサ23から、熱媒が設置位置に到達していないことを情報として取得する場合に開始する。
【0047】
ステップS300において、制御部16は、液面センサ23から取得する情報に基づいて、熱媒タンク13の液面が、液面センサ23の設置位置に到達しているか否か、を判別する。到達していない場合、プロセスはステップS300に戻る。到達した場合、プロセスはステップS301に進む。
【0048】
ステップS301では、制御部16は、余剰電力消費器15を稼働する。また、制御部16は、熱媒ポンプ17の回転数を増加させる。また、制御部16は、冷却器29の稼働を停止する。余剰電力消費器15の稼働などの実行後、プロセスはステップS302に進む。
【0049】
ステップS302では、制御部16は、残留塩素除去の時間の計時を開始する。開始後、プロセスはステップS303に進む。
【0050】
ステップS303では、制御部16は、熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS304に進む。
【0051】
ステップS304では、制御部16は、ステップS303において取得した熱媒の温度が通常温度以上であるか否かを判別する。通常温度以上でない場合、プロセスはステップS303に戻る。通常温度以上である場合、プロセスはステップS305に進む。
【0052】
ステップS305では、制御部16は、ステップS302における計時開始後、所定時間が経過しているか否かを判別する。所定時間を経過していない場合、プロセスはステップS305に戻る。所定時間を経過している場合、プロセスはステップS306に進む。
【0053】
ステップS306では、制御部16は、残留塩素除去の時間の計時を停止する。停止後、プロセスはステップS307に進む。
【0054】
ステップS307では、制御部16は、余剰電力消費器15の稼働を停止する。また、制御部16は、熱媒ポンプ17の回転数を通常運転状態に戻す。また、制御部16は、冷却器29の稼働を通常運転状態に戻す。余剰電力消費器15の稼働停止などの実行後、残留塩素除去処理は終了する。
【0055】
次に、本実施形態において制御部16が実行する、加熱処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。加熱処理は、制御部16が出湯要求を取得する場合に開始する。
【0056】
ステップS400において、制御部16は、熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS401に進む。
【0057】
ステップS401では、制御部16は、ステップS400において取得した熱媒の温度が第3の温度閾値以下であるか否かを判別する。第3の温度閾値以下でない場合、加熱処理は終了する。第3の温度閾値以下である場合、プロセスはステップS402に進む。
【0058】
ステップS402では、制御部16は、給湯優先モードが選択されているか否かを判別する。給湯優先モードが選択されていない場合、加熱処理は終了する。給湯優先モードが選択されている場合、プロセスはステップS403に進む。
【0059】
ステップS403では、制御部16は、余剰電力消費器15を稼働する。稼働後、プロセスはステップS404に進む。
【0060】
ステップS404では、制御部16は、熱媒の温度を取得する。取得後、プロセスはステップS405に進む。
【0061】
ステップS405では、制御部16は、ステップS404において取得した熱媒の温度が第4の温度閾値を超えるか否かを判別する。第4の温度閾値を超えない場合、プロセスはステップS404に戻る。第4の温度閾値を超える場合、プロセスはステップS406に進む。
【0062】
ステップS406では、制御部16は、余剰電力消費器15の稼働を停止する。稼働停止後、加熱処理は終了する。
【0063】
以上のような構成の本開示の燃料電池装置10は、循環路14の近傍に設けられ且つ燃料電池11が系統から解列する場合に燃料電池11の電力を消費する余剰電力消費器15と、燃料電池11が系統に連係している場合所定の条件のいずれかを満たすとき余剰電力消費器15を稼働させる制御部16と、を備える。従来の燃料電池装置では、熱媒を上水と熱交換させる熱交換器と、当該熱交換器に熱媒タンク間で熱媒を循環させる与熱ポンプが設けられており、凍結防止などのための熱媒の加熱には、熱媒ポンプ17と与熱ポンプを通常時より高回転で運転させることにより発生する熱が用いられている。このような構成に対して、本実施形態のように、与熱ポンプを設けない構成においては、熱媒ポンプ17の高回転の運転だけでは、熱媒の加熱が不十分であった。一方で、上述の構成を有する燃料電池装置10では、一般的に消費電力が大きいため稼働時に発熱する余剰電力消費器15を稼働させるので、与熱ポンプを設けなくても熱媒を加熱可能である。したがって、本開示の燃料電池装置10は、構成を簡素化しながら熱媒に必要な熱を付与可能である。
【0064】
また、本開示の燃料電池装置10は、所定の条件の一部を満たす場合、冷却器29の稼働を停止する。このような構成により、燃料電池装置10は、熱媒の冷却を停止するので、熱媒の放熱を抑制し、熱媒の昇温に寄与し得る。
【0065】
また、本開示の燃料電池装置10は、所定の条件の一部を満たす場合、熱媒ポンプ17の稼働を増大させる。このような構成により、燃料電池装置10は、熱媒ポンプ17を高負荷で稼働させることにより発生させる熱量を増大させるので、熱媒の昇温に寄与し得る。
【0066】
本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【符号の説明】
【0067】
10 燃料電池装置
11 燃料電池
12 熱交換器
13 熱媒タンク
14 循環路
15 余剰電力消費器
16 制御部
17 熱媒ポンプ
18 ラジエータ
19 給湯路
20 改質水タンク
21 改質水ポンプ
22 温度センサ
23 液面センサ
24 排出路
25 供給路
26 温度センサ
27 内部通路
28 給水路
29 冷却器