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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】円弧状ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/02 20060101AFI20240903BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240903BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E05F5/02 B
E06B3/46
E05D15/06 125A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020157771
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051344
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 京嗣
(72)【発明者】
【氏名】松原 可菜子
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-094490(JP,U)
【文献】実開昭63-173481(JP,U)
【文献】実公昭55-011411(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0287027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状のドア体と、
室内への出入りをする出入り口部にパネル面が左右面一となる状態で設けられる戸先側、戸尻側の前面パネル体と、
出入り口部の開閉をするためドア体を、該ドア体が閉鎖状態で、ドア体の左右方向中央部が面一状の前面パネル体よりも室外側に膨出し、ドア体の戸先側、戸尻側端縁部が出入り口部の間口内側で前面パネル体の室外側パネル面を越えて室内側に至る状態の円弧軌跡に沿って案内する吊りレールと、
ドア体の戸先側端縁部に設けられる端部材と、
前面パネル体に設けられ、ドア体が閉鎖したとき前記端部材に当接してドア体を受け止める戸当り材と、を備えて構成される円弧状ドア装置において、
端部材は、ドア体の戸先側端縁部に取り付けられる本体部と、該本体部からドア体円弧軌跡の外周縁よりも室外側に向けて突出する突出部とを備え、
戸当り材は、前面パネル体の出入り口側端縁部に取り付けられる基部と、該基部よりも出入り口部の間口内側に位置する先端部とを備えて構成され、
該先端部には、ドア体が閉鎖したときドア体外周縁よりも室外側位置で端部材突出部に当接してドア体を受け止める受け止め片部が形成された構成とするにあたり、
前記端部材に形成の突出部は、端部材の室外側部位からドア体の円弧軌跡に対して直角状態で室外側に向けて突出形成されたものであって、突出長さが、ドア体の閉鎖過程で戸当り材の先端部を室外側から間口側で越えて室内側に至る長さに設定され、
戸当り材に形成の受け止め片部は、前記戸当り材の先端部を越えて室内側に至ろうとする突出部に当接してドア体を受け止めるべく先端部の室内側部位からドア体の円弧軌跡に対して直角状になるよう室内側に向けて突出形成されたものであって、突出長さが、ドア体の室外側ドア面の円弧軌跡には至らない長さに設定されていることを特徴とする円弧状ドア装置。
【請求項2】
戸当り材の受け止め片部には、間口内側が開口し、室内外の溝側片部を備えた凹溝状の凹溝状部が形成され、室内側溝側片部が受け止め片部を構成していることを特徴とする請求項1記載の円弧状ドア装置。
【請求項3】
室外側溝側片部は、閉鎖したドア体を円弧軌跡とは異なった室外側方向に押しやったとき、前記端部材突出部が当接してドア体の室外側方向の移動を規制する規制片部に構成されることを特徴とする請求項2記載の円弧状ドア装置。
【請求項4】
室外側溝側片部は、円弧軌跡方向に向けて位置調整自在に設けられることを特徴とする請求項3記載の円弧状ドア装置。
【請求項5】
端部材は、本体部が硬質、突出部が軟質の素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の円弧状ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース(小部屋)の出入り口に設けられる円弧状ドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、トイレブース等のブースの出入り口に建て付けられるドア装置として、円弧状のドア体(戸体)を円弧軌跡に沿って左右方向にスライド移動させることで出入り口の開閉をするようにした所謂円弧状ドア装置が提唱されている。このような円弧状ドア装置は、出入り口を開放したときにドア体を室内(ブース内)に引き入れた(引き込んだ)状態にできることから、ドア体が左右方向直線状に移動する通常のスライド式のドア装置の場合に比して、出入り口の左右幅(間口幅)を広く確保しながらブースとしての左右幅を小さいものにできる、という利点がある。
このように円弧状ドア装置とした場合、ドア体が開閉移動する円弧軌跡は、ブースを仕切り形成する前面パネル体の出入り口部側の端縁部位置に対応する部位については、該端縁部位置よりも室内側に配されるように構成されることになり、この結果、ドア体は、閉鎖したときに、前面パネル体の出入り口部側の端縁部位置よりも室内側位置で受け止め支持する必要があり、このため前面パネル体の端縁部に、前記端縁部よりも室内側位置が閉鎖位置となってドア体を受け止めるよう戸当り材を室内側に突出した状態で設けたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-148136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のようにすることで、円弧軌跡に沿って閉鎖するドア体を、前面パネル体よりも室内側で受け止めることができるようになるが、この場合、ドア体を可及的に直角状態で当接することで安定した受け止めができるようにすることが要求され、このため、戸当り材は、出入り口部の室内側で、かつ出入り口部の間口内側に向けて突出する構造となり、この結果、戸当り材が出入り口部の開口幅(間口幅)および室内側空間を狭めたものとなってしまうという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、円弧状のドア体と、室内への出入りをする出入り口部にパネル面が左右面一となる状態で設けられる戸先側、戸尻側の前面パネル体と、出入り口部の開閉をするためドア体を、該ドア体が閉鎖状態で、ドア体の左右方向中央部が面一状の前面パネル体よりも室外側に膨出し、ドア体の戸先側、戸尻側端縁部が出入り口部の間口内側で前面パネル体の室外側パネル面を越えて室内側に至る状態の円弧軌跡に沿って案内する吊りレールと、ドア体の戸先側端縁部に設けられる端部材と、前面パネル体に設けられ、ドア体が閉鎖したとき前記端部材に当接してドア体を受け止める戸当り材と、を備えて構成される円弧状ドア装置において、端部材は、ドア体の戸先側端縁部に取り付けられる本体部と、該本体部からドア体円弧軌跡の外周縁よりも室外側に向けて突出する突出部とを備え、戸当り材は、前面パネル体の出入り口側端縁部に取り付けられる基部と、該基部よりも出入り口部の間口内側に位置する先端部とを備えて構成され、該先端部には、ドア体が閉鎖したときドア体外周縁よりも室外側位置で端部材突出部に当接してドア体を受け止める受け止め片部が形成された構成とするにあたり、前記端部材に形成の突出部は、端部材の室外側部位からドア体の円弧軌跡に対して直角状態で室外側に向けて突出形成されたものであって、突出長さが、ドア体の閉鎖過程で戸当り材の先端部を室外側から間口側で越えて室内側に至る長さに設定され、戸当り材に形成の受け止め片部は、前記戸当り材の先端部を越えて室内側に至ろうとする突出部に当接してドア体を受け止めるべく先端部の室内側部位からドア体の円弧軌跡に対して直角状になるよう室内側に向けて突出形成されたものであって、突出長さが、ドア体の室外側ドア面の円弧軌跡には至らない長さに設定されていることを特徴とする円弧状ドア装置である。
請求項2の発明は、戸当り材の受け止め片部には、間口内側が開口し、室内外の溝側片部を備えた凹溝状の凹溝状部が形成され、室内側溝側片部が受け止め片部を構成していることを特徴とする請求項1記載の円弧状ドア装置である。
請求項3の発明は、室外側溝側片部は、閉鎖したドア体を円弧軌跡とは異なった室外側方向に押しやったとき、前記端部材突出部が当接してドア体の室外側方向の移動を規制する規制片部に構成されることを特徴とする請求項2記載の円弧状ドア装置である。
請求項4の発明は、室外側溝側片部は、円弧軌跡方向に向けて位置調整自在に設けられることを特徴とする請求項3記載の円弧状ドア装置である。
請求項5の発明は、端部材は、本体部が硬質、突出部が軟質の素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の円弧状ドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ドア体が閉鎖したとき、該ドア体の戸先側端縁部に設けた端部材が前面パネル体に設けられた戸当り材に当接して受け止められることになるが、この場合に、端部材にドア体外周縁よりも室外側に突出するように設けた設けた突出部が、戸当り材に設けた受け止め片部に、ドア体外周縁よりも室外側位置で当接して受け止められることになる結果、戸当り材を、ドア体の円弧軌跡部位にまで延出する幅広のものにする必要がなくなってコンパクト化することができ、出入り口部の開口幅および室内側空間を狭めることを回避できることになる。
請求項2の発明とすることにより、戸当り材に設けた凹溝状部の室内側溝側片部が、端部材に設けた突出部に当接してドア体を受け止める受け止め片部になる結果、該受け止め片部が目隠しとなって室外側から室内側を覗かれること、ドア体を室内側に押しやったときに該ドア体が室内側に不用意に移動してしまうことを防止することになって優れた防犯性を発揮できることになる。
請求項3の発明とすることにより、閉鎖したドア体を室外側に押しやったときに突出部が凹溝状部の室外側溝側片部に当接することになって、該室外側溝側片部がドア体が室外側に不用意に移動してしまうことを規制する規制片部となって優れた防犯性を発揮できることになる。
請求項4の発明とすることにより、室外側溝側片部が円弧軌跡方向に向けて位置調整できることになり、この結果、突出部と室外側溝側片部とのあいだが不揃いであった場合に、その調整が簡単にできることになって外観が損なわれることを簡単に回避できることになる。
請求項5の発明とすることにより、端部材は、本体部が硬質、突出部が軟質の素材で形成されているため、端部材のドア体への取り付けが硬質の本体部を介して確実にできながら、ドア体の閉鎖過程で突出部に人が当たった場合に該突出部が緩衝材として機能することになって好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレブースの正面図である。
図2】トイレブースのドア体を図示した平面図である。
図3】トイレブースの吊りレールを図示した平面図である。
図4】(A)(B)はドア体が閉鎖する前の状態、閉鎖した状態を示す戸先側部位の要部平面図である。
図5】(A)(B)は閉鎖したドア体が室内側に押された状態、室外側に押された状態を示す戸先側部位の要部平面図である。
図6】第二の実施の形態を示すドア体の戸先側部位を示す要部平面図である。
図7】(A)(B)は戸当り材の室外側溝側片部が移動調整した状態を示す戸先側部位の要部平面図である。
図8】第三の実施の形態を示すドア体の戸先側部位の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は、左右に複数が隣接する状態で設けられたものであり、出入り口(開口)Eを構成すべく前面(正面)に左右間隙を存し、パネル面が左右面一となる状態で設けられる戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3と、これら前面パネル体2、3が先端部(前端部)に設けられていてこれら前面パネル体2、3とトイレブース奥端の壁等の躯体面Wとのあいだを仕切る側面パネル体4とを備えることで平面視で矩形状に仕切り形成されていること等は何れも従来通りである。
尚、本実施の形態ではトイレブース1が左右に隣接されるものでありこの場合、隣接するトイレブース1間を仕切る側面パネル体4の先端部に設けられる中間の戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3同士は左右に連続した一体もので構成され、端側の前面パネル体2、3は各別なもので構成されており、これらの構成については必要において適宜実施できるものであることは言うまでもない。
【0009】
5は平面視で円弧形状をしたドア体(戸体)であって、該ドア体5は、ドア体5の左右上端縁部に設けたブラケット6aから上方に突出する状態でハンガーローラ(吊りローラ)6が設けられるが、該ハンガーローラ6が転動することで移動案内される吊りレール(ハンガーレール、案内レール)7は、前記ドア体5の円弧形状と同心の円弧形状をし、戸先側、戸尻側前面パネル体2、3の出入り口部E側の端縁部に対応する部位は、前後方向室内側に入り込む位置に配され、そして吊りレール7の戸先側端縁部は、戸先側前面パネル体2に室内側で対向する部位までとし、戸尻側端縁部は、トイレブース1内に深く入り込む状態となるよう配設されている。
そしてこのように吊りレール7が構成されることで、ドア体5は、図2、3から明らかなように、ドア体5が閉鎖した状態では、ドア体5の左右方向中央部が、面一状の前面パネル体2、3よりも室外側に膨出し、ドア体の戸先側、戸尻側端縁部が、出入り口部の間口内側で前面パネル体2、3の室外側パネル面を越えて室内側に至る状態で開閉移動するように構成されている。
そしてドア体5は、ハンガーローラ6が吊りレール7に案内されることで、戸先側端縁部が戸先側前面パネル体2の端縁部位置に位置する閉鎖姿勢と、戸尻側前面パネル体3に対向する部位に位置する開放姿勢とのあいだを円弧軌跡(ドア体5の厚さ方向の中心が描く軌跡)Xに沿って左右開閉移動できるようになっていること等は何れも従来通りである。
因みに吊りレール7は、ブラケット7aを介して前面パネル体2、3および側面パネル体4に支持されており、またドア体5の戸先側部位には把手8と施錠用操作具9とが設けられている。
【0010】
前記ドア体5の戸先側および戸尻側の端縁部には同じ端部材10が設けられるが、該端部材10は、ドア体5の端縁部にビス等の固定部材(図示せず)を介して取り付けられる本体部10aと、該本体部10aに着脱自在に設けられる先端部10bとを備えて構成されるが、本体部10aはアルミニウム等の金属または硬質樹脂材等の硬質素材を用いて形成され、先端部10bは、本実施の形態では、本体部10aに取り付けられる内側部10cは硬質、これを覆う外側部10dは軟質になるよう樹脂材を二色成形したものとなっている。
そして前記端部材先端部10bの外側部10dには、ドア体5の外周縁5aよりもブース外(室外)側に向く状態で、⊂字形状をした中空状の突出部10eが、前記円弧軌跡Xに対して直交する方向(径方向)に突出形成されている。
そして突出部10eは、図4から明らかなように、端部材の室外側部位から突出したものであって、該突出部10eの突出長さは、端部材10に形成の突出部10eが、ドア体の閉鎖過程で戸当り材11の先端部11bを室外側から間口側で越えて室内側に至る長さに設定されている。
【0011】
一方、戸先側前面パネル体2の出入り口部位側の端縁部には戸当り材11が設けられるが、該戸当り材11は、アルミニウム等の金属または硬質樹脂材等の硬質素材を用いて形成されたものであって、戸先側前面パネル体2に当接する基部11aと、該基部11aから間口内側(出入り口部E側)に突出された先端部11bとを備えて形成されている。該先端部11bは、戸先側前面パネル体2の厚さ方向(前後方向(室内外方向))中央部11c部位が最も出入り口部E側に突出し、そして該中央部11c部位から室外側端部11dに至る部位は円弧を描く状態で基部11aに至る形状になっている。これに対し、先端部11bの中央部11c部位から室内側端部11hに至る部位には間口側が凹溝状に開口した凹溝状部11eが形成された状態で基部11aに至る形状になっている。
【0012】
そしてドア体5が閉鎖した状態では、該ドア体5に設けた端部材10の突出部10eが凹溝状部11eに対して左右方向に向けて内嵌する状態になるが、この場合に、前記凹溝状部11eの室内側溝側片部11fに対し、前記ドア体5に設けた端部材10の突出部10eが、ドア体5の外周面5aよりも室外側に偏倚した位置、換言すればドア体外周面5aが描く円弧軌跡Yよりも室外側に偏倚した位置において、円弧軌跡X方向に対して直角状態で当接することになってドア体5を受け止めることになり、これによって該室内側溝側片部11fがドア体5を受け止めるための受け止め片部11fを構成している。
そしてこの場合に、閉鎖したドア体5を室内側に押し込んだ場合に、該ドア体5は、突出部10eが室内側溝側片部11fに当接した状態に維持されることになってこれ以上室内側に偏倚することがなく、この結果、室外側から室内側が覗かれることがないものとなるが、受け止め片部11fの突出長さは、図4から明らかなように、ドア体の室外側ドア面の円弧軌跡Yには至らない長さに設定されている。
【0013】
これに対し凹溝状部11eの室外側溝側片部11gは、前記ドア体5が閉鎖していて突出部10eが室内側溝側片部(受け止め片部)11fに当接した状態では、突出部10eが間隙Sを存して前後方向にオーバーラップする(重合する)状態で対向している。そしてこれによって、閉鎖状態のドア体5を、前記円弧軌跡Xとは異なった室外方向に押しやったとき、突出部10eが室外側溝側片部11gに当接することになって、該室外側溝側片部11gがドア体5の室外方向の移動を規制する規制片部11gを構成しており、これによってドア体5を室外側に押しやったときも、室外から室内を覗くことができないよう配慮されたものになっている。
【0014】
叙述の如く構成された本実施の形態において、トイレブース1の出入り口部Eは、円弧状をしたドア体5が円弧状の吊りレール7に案内されることで円弧軌跡に沿って左右移動することで開閉されることになるが、この場合に、ドア体5が閉鎖したとき、該ドア体5の戸先側端縁部に設けた端部材10が戸先側前面パネル体2に設けた戸当り材11に当接して受け止められることになる。このとき、端部材10に設けた、ドア体5の外周縁よりも室外側に突出する突出部10eが、戸当り材11に設けた受け止め片部11fに、ドア体5の外周縁よりも室外側位置で当接して受け止められることになる結果、戸当り材11は、ドア体5の円弧軌跡X部位にまで延出する幅広のものにする必要がなくなってコンパクト化することができ、出入り口部Eの開口幅および室内側空間を狭めることを回避できることになる。
【0015】
しかもこの場合に、前記受け止め片部11fは、戸当り材11の先端部11bに凹溝状に形成されることにより、屋内外側の両溝側片部11f、11gを存した凹溝状部11eの室内側溝側片部11fによって形成されることになるため、該受け止め片部11fが目隠しとなって室外側から室内側を覗かれることや、閉鎖したドア体5を室内側に押しやったときに該ドア体5が室内側に不用意に偏倚して室内が覗かれてしまうことを防止できることになって優れた防犯性を発揮することになる。
一方、室外側溝側片部11gは、閉鎖したドア体5を円弧軌跡とは異なった室外側方向に押しやったとき、端部材10の突出部10eが当接することになって、ドア体5が室外側方向に不用意に移動することを規制する規制片部11gを構成することになって優れた防犯性を発揮できることになる。
【0016】
そのうえこのものでは、ドア体5に設けられる端部材10は、ドア体5に取り付けられる本体部10aが硬質、突出部10eが軟質の素材で形成されているため、端部材10のドア体5への取り付けが硬質の本体部10aを介して確実にできながら、ドア体の閉鎖過程で突出部10eに人が当たったような場合に該突出部10eが緩衝材として機能することになって好適なものとなる。
【0017】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、例えば図6図8に示す第二の実施の形態のもの、図9に示す第三の実施の形態のもののようにしても実施することができる。
第二の実施の形態のものは、前記第一の実施の形態と同様、戸当り材12は、本体部12aが前面パネル体2に取り付けられ、先端部12bに凹溝状部12eが形成されたものとなっているが、該凹溝状部12eは、V字溝形をしたものとなっていて、室内側溝側片部12fがドア体5が閉鎖したときに端部材10に設けた突出部10eが当接してドア体5を受け止める受け止め片部となり、室外側溝側片部12gが閉鎖したドア体5を室外側に押した場合に、突出部10eが当接してドア体5の移動を規制する規制片部となっている。
そしてこのものでは、前記室外側溝側片部12gが、ビス12iによって円弧軌跡X方向に向けて位置調整される可動片部12hに設けられたものとなったものである。そしてこのようにすることで、突出部10eと室外側溝側片部12gとのあいだ(間隔)が不揃いであったような場合に、その調整がビス12iの調節によってできることになって外観が損なわれることを簡単に回避できることになる。
【0018】
さらに第三の実施の形態のものは、戸当り材13が、ドア体5が閉鎖した場合に端部材10の突出部10eが当接する室内側溝側片部13fが設けられたものだけになっており、このようにしても本発明を実施できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース(小部屋)の出入り口に設けられる円弧状ドア装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 トイレブース
2 戸先側前面パネル体
5 ドア体
7 吊りレール
10 端部材
10a 本体部
10b 先端部
10e 突出部
11 戸当り材
11a 基部
11b 先端部
11f 室内側溝側片部
11g 室外側溝側片部
E 出入り口部
X 円弧軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8