(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】生体モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
(21)【出願番号】P 2020165898
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520089716
【氏名又は名称】株式会社サイエンスエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0067129(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0192259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0000563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0312484(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03318216(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0101231(KR,A)
【文献】特開2020-141789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置に含まれており、患者の医学的な状態を検出する検出処理を実行し、前記検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行するセンサと、
前記センサ装置により実現され、前記検出処理に関する内容を示しており、前記第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを前記第一検出データに基づいて生成する処理を実行する生成部と、
前記センサ装置により実現され、前記第二検出データを前記患者に対応付けられている端末に送信する処理を実行する通信部と、
前記センサ装置により実現され、前記センサ装置が前記患者の体内に存在しているか否かを前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する判定部と、
前記センサ装置により実現され、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していると判定された場合、前記第二検出データを第一周期かつ第一強度の無線信号で前記端末に送信するように前記通信部を制御し、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していないと判定された場合、前記第二検出データを前記第一周期よりも短い第二周期かつ前記第一強度よりも強度が低い第二強度の無線信号で前記端末に送信するように前記通信部を制御する制御部と、
を備える生体モニタリング装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記第二検出データを前記端末に送信する要求を受けること無く前記第二検出データを前記端末に送信する、
請求項1に記載の生体モニタリング装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、
前記制御部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記第二周期を長くする、
請求項
1又は請求項2に記載の生体モニタリング装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを判定
し、
前記生成部は、前記時間が所定の閾値を超えてい
ないと判定された場合、前記センサ装置が前記患者の体内に存在している状態にすることを前記患者に推奨する情報を出力する処理を前記端末に実行させるための推奨データを生成し、
前記通信部は、前記推奨データを前記端末に送信する、
請求項1
から請求項3のいずれか一つに記載の生体モニタリング装置。
【請求項5】
前記第一検出データを記憶する記憶部を更に備える、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の生体モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、患者の体内で使用される医療機器や医療器具に取り付けられたセンサにより患者の医学的な状態を検出し、検出された結果に基づいて患者に医療行為を施す技術の開発が進展している。
【0003】
例えば、特許文献1には、生体センサと、信号処理部と、通信部と、動作機器部とを備える口腔内設置型生体モニター・治療装置が開示されている。生体センサは、床義歯又はマウスピースに脈拍、血中酸素濃度、唾液中の酵素や代謝物質を検出するセンサ及び体姿勢や運動を検出する加速度センサ等である。信号処理部は、該生体センサからのデータを評価して異常値を検出するとともにデータを蓄積する。通信部は、該信号処理部におけるデータをネットワーク接続器を介してホームネットワーク、インターネット等のネットワークに無線方式で送信するとともに管理センターからの指令信号を受信する。動作機器部は、管理センターから前記ネットワークを介して送信される指令信号に基づいて作動する薬剤ポンプ、呼び出し用バイブレータ、口腔内電話装置等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、上述した口腔内設置型生体モニター・治療装置は、管理センターからの指令信号を受信し、動作機器部を作動させる目的で生体センサからのデータをネットワークに無線方式で送信しており、患者に生体センサからのデータを送信しない。また、生体センサからのデータは、患者が容易に理解できる内容を示しているとは限らない。したがって、上述した口腔内設置型生体モニター・治療装置は、患者に自身の治療に関する情報を通知することができず、治療に対する患者の意欲を高めることができないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、患者の医学的な状態を検出する検出処理に対する患者の意欲を高めることができる生体モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る生体モニタリング装置は、センサ装置に含まれており、患者の医学的な状態を検出する検出処理を実行し、前記検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行するセンサと、前記センサ装置により実現され、前記検出処理に関する内容を示しており、前記第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを前記第一検出データに基づいて生成する処理を実行する生成部と、前記センサ装置により実現され、前記第二検出データを前記患者に対応付けられている端末に送信する処理を実行する通信部と、前記センサ装置により実現され、前記センサ装置が前記患者の体内に存在しているか否かを前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する判定部と、前記センサ装置により実現され、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していると判定された場合、前記第二検出データを第一周期かつ第一強度の無線信号で前記端末に送信するように前記通信部を制御し、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していないと判定された場合、前記第二検出データを前記第一周期よりも短い第二周期かつ前記第一強度よりも強度が低い第二強度の無線信号で前記端末に送信するように前記通信部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る生体モニタリング装置において、前記通信部は、前記第二検出データを前記端末に送信する要求を受けること無く前記第二検出データを前記端末に送信する。
【0011】
また、本発明の一態様に係る生体モニタリング装置において、前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、前記制御部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記第二周期を長くする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る生体モニタリング装置において、前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の体内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを判定し、前記生成部は、前記時間が所定の閾値を超えていないと判定された場合、前記センサ装置が前記患者の体内に存在している状態にすることを前記患者に推奨する情報を出力する処理を前記端末に実行させるための推奨データを生成し、前記通信部は、前記推奨データを前記端末に送信する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る生体モニタリング装置は、前記第一検出データを記憶する記憶部を更に備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、患者の医学的な状態を検出する検出処理に対する患者の意欲を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る生体モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る生体モニタリング装置が備えるセンサ装置及び固定部の断面の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るセンサ装置、端末及びデータ取得機器の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る生体モニタリング装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るセンサ装置により生成された第二検出データに基づいて端末に搭載されているディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る生体モニタリング装置が第二検出データを端末に送信する周期を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】他の実施形態に係る生体モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
【
図8】他の実施形態に係る生体モニタリング装置が備えるセンサ装置により測定された嵌合力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
図1から
図5を参照しながら、実施形態に係る生体モニタリング装置、端末及びデータ取得機器の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る生体モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る生体モニタリング装置が備えるセンサ装置及び固定部の断面の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係るセンサ装置、端末及びデータ取得機器の一例を示す図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、生体モニタリング装置1は、センサ装置10と、固定部11とを備える。また、
図3に示すように、センサ装置10は、センサ12と、プロセッサ13と、記憶部14と、通信部15と、電池16とを備える。
【0018】
固定部11は、センサ装置10を患者の体内に固定する部材である。ここで言う患者の体内は、例えば、患者の口腔、鼻腔又は外耳道の内部である。ただし、ここで言う患者の体内には、患者の口腔、鼻腔及び外耳道以外の部位が含まれていてもよい。
【0019】
例えば、
図1及び
図2に示すように、固定部11は、一部が歯列矯正器具700に接続されており、センサ装置10を患者の下顎骨の下顎体の外側に固定する樹脂製の部材である。また、
図2に示すように、固定部11は、センサ装置10に患者の唾液等の水分が付着してしまうことを避ける目的でセンサ装置10を封止していることが好ましい。
【0020】
センサ12は、センサ装置10に含まれており、患者の医学的な状態を検出する検出処理を実行し、検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する。第一検出データは、例えば、検出処理により検出された物理量を示すデータであり、検出処理が正常に実行されたか否かを示していてもよい。また、センサ12は、IC(Integrated Circuit)により制御され、間欠的に、例えば、十秒ごとに動作し続けてもよい。
【0021】
センサ12は、例えば、パルスオキシメータである。パルスオキシメータは、LED(light emitting diode)等の発光素子と、光検出素子とを備える。パルスオキシメータは、発光素子から出力された光を患者の頬の内側に当て、患者の頬で反射された光を光検出素子で検出する。パルスオキシメータは、光検出素子で検出した光に基づいて患者の血中酸素濃度を測定し、患者の血中酸素濃度を示す第一検出データを生成する。
【0022】
ただし、センサ12は、例えば、化学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、圧力センサ、歪みセンサ、脈波センサ、心拍センサ、血流センサであってもよい。
【0023】
化学センサは、患者の体内に存在する特定の化学物質の有無を検出したり、患者の体内に存在する特定の化学物質の濃度を測定したりすることにより、患者の体内に存在する細菌の種類、数等を示す第一検出データを生成するセンサである。
【0024】
加速度センサは、患者の身体の一部の加速度を測定する検出処理を実行し、例えば、歩数、活動量、当該身体の一部の動きを示す第一検出データを生成するセンサである。ジャイロセンサは、患者の身体の一部の角速度を測定する検出処理を実行し、例えば、歩数、活動量、当該身体の一部の動きを計測するセンサである。また、ここで言う患者の身体の一部は、例えば、患者の顎である。生体モニタリング装置1が患者の顎に取り付けられており、センサ12に加速度センサ及びジャイロセンサの少なくとも一方が含まれている場合、センサ12は、例えば、患者の咀嚼回数、患者の嚥下回数、歯ぎしりの回数を示す第一検出データを生成する。
【0025】
圧力センサは、患者の身体の一部に加わる圧力を測定する検出処理を実行し、患者の身体の一部の動きを示す第一検出データを生成するセンサである。歪みセンサは、患者の身体の一部に加わる歪みを測定する検出処理を実行し、患者の身体の一部の動きを示す第一検出データを生成するセンサである。また、ここで言う患者の身体の一部は、例えば、患者の顎である。生体モニタリング装置1が患者の顎に取り付けられており、センサ12に圧力センサ及び歪みセンサの少なくとも一方が含まれている場合、センサ12は、例えば、咀嚼の回数、咀嚼により歯、義歯、歯列矯正器具等に加わる力の大きさを測定することができる。また、このような場合、センサ12は、例えば、嚥下の回数、歯ぎしりの回数、歯ぎしりにより歯、義歯、歯列矯正器具等に加わる力の大きさ、歯列矯正器具が装着されている時間を測定することができる。
【0026】
脈波センサは、光を使用して患者の脈波を測定するセンサであり、患者の脈波を示す第一検出データを生成する。心拍センサは、光を使用して患者の心拍を測定するセンサであり、患者の心拍を示す第一検出データを生成する。血流センサは、レーザを使用して患者の血流を測定するセンサであり、患者の血流を示す第一検出データを生成する。
【0027】
なお、レーザ等の光を使用するセンサがセンサ12に含まれる場合、固定部11の少なくとも一部は、当該光を透過させる材料で作製されている必要がある。例えば、近赤外領域又は可視光領域に属する波長を有する光を使用するセンサがセンサ12に含まれる場合、固定部11の少なくとも一部は、400nmから1000nmの波長を有する光を透過させる材料で作製されている必要がある。
【0028】
プロセッサ13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ13は、記憶部14により記憶されているプログラムを読み出して実行し、センサ12を制御する機能、通信部15を制御する機能その他の機能を実現する。また、プロセッサ13は、記憶部14に格納されているプログラムを読み出して実行し、後述する生成部131、判定部132及び制御部133を実現する。
【0029】
記憶部14は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えている。また、記憶部14に含まれるROMには、例えば、プロセッサ13により読み出されて実行されるプログラムが格納されている。一方、記憶部14に含まれるRAMには、プロセッサ13により読み出されて実行されるプログラムが展開される。さらに、記憶部14は、センサ12により生成された第一検出データを記憶する。
【0030】
通信部15は、
図3に示した端末2、データ取得機器3その他の装置と通信を実行する。例えば、通信部15は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の無線通信を使用して端末2、データ取得機器3その他の装置と通信する。この場合、通信部15は、BLE規格に対応した回路を有している。
【0031】
端末2は、生体モニタリング装置1が装着される患者に対応付けられているスマートフォン、タブレット等の端末である。このような端末としては、例えば、生体モニタリング装置1が装着される患者本人、当該患者の保護者又は当該患者の主治医に対応付けられている端末が挙げられる。また、端末2は、必要に応じて生体モニタリング装置1にスキャンレスポンスを実行し、生体モニタリング装置1に対して追加で第二検出データを送信するよう要求してもよい。
【0032】
データ取得機器3は、生体モニタリング装置1により生成された第一検出データを取得して患者の主治医、歯科衛生士、看護師等が使用するコンピュータに送信する。第一検出データは、当該コンピュータにおいて、例えば、患者に施した治療の効果の検討、今後の治療方針の検討、患者の医学的な状態の解析に使用される。
【0033】
電池16は、センサ装置10の各部、例えば、センサ12、プロセッサ13、記憶部14、通信部15に電力を供給する。
【0034】
図4は、実施形態に係る生体モニタリング装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図4に示すように、生体モニタリング装置1は、生成部131と、判定部132と、制御部133とを備える。生成部131、判定部132及び制御部133は、プロセッサ13が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0035】
生成部131は、センサ12が実行した検出処理に関する内容を示しており、第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを第一検出データに基づいて生成する処理を実行する。また、生成部131は、センサ12が検出処理を実行し続けている限り、第二検出データを生成する処理を実行し続けてもよい。
【0036】
第二検出データは、例えば、第一検出データにより示される内容の一部、第一検出データに基づいて算出された値、電池16がセンサ12に供給可能な電力量を示している。また、第二検出データは、第一検出データと異なり、患者の主治医、歯科衛生士、看護師等が当該患者の治療、医学の研究等に使用するデータではなく、歯列矯正器具700を使用した履歴、患者のこれまでの健康状態等を患者に分かり易く通知する目的で使用されるデータである。したがって、第二検出データは、医学的に正確な内容よりも患者にとって分かり易い内容を示していることが好ましい。
【0037】
第二検出データは、通信部15により端末2に送信される。この場合、通信部15は、第二検出データを端末2に送信する要求を受けること無く第二データを端末2に送信してもよい。例えば、通信部15は、アドバタイジングパケット、ビーコン又はブロードキャストにより端末2に第二検出データを送信してもよい。
【0038】
図5は、実施形態に係るセンサ装置により生成された第二検出データに基づいて端末に搭載されているディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図5に示した画像Pは、表示領域A1、表示領域A2及び表示領域A3を含んでいる。
【0039】
表示領域A1に表示されている横線ハッチングが施されている領域は、健康指標が比較的低い範囲を示している。表示領域A1に表示されているドットハッチングが施されている領域は、健康指標が中程度である範囲を示している。表示領域A1に表示されている縦線ハッチングが施されている領域は、健康指標が比較的高い範囲を示している。
【0040】
表示領域A1に表示されている斜線ハッチングが施されている領域は、患者の現在の健康指標を示すカーソルである。例えば、
図5に示すように、縦線ハッチングが施されている領域内の健康指標を当該カーソルが示している場合、健康指標が「A」であることが表示領域A1に表示される。或いは、ドットハッチングが施されている領域内の健康指標を当該カーソルが示している場合、健康指標が「B」であることが表示領域A1に表示される。或いは、横線ハッチングが施されている領域内の健康指標を当該カーソルが示している場合、健康指標が「C」であることが表示領域A1に表示される。
【0041】
表示領域A2は、センサ12により測定された血中酸素濃度のグラフを表示している。当該グラフは、横軸が時間であり、縦軸が血中酸素濃度である。
図5に示したグラフは、血中酸素濃度が緩やかに減少し続けた後、正常な血中酸素濃度に向かって増加した場合の測定結果の一例を示している。
【0042】
表示領域A3は、患者の現在の体温「36.6℃」、脈拍「112bpm」、血中酸素濃度「99%」を示しており、患者の嵌合力が弱めであることを示している。
【0043】
判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在しているか否かを第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する。例えば、判定部132は、第一検出データにより示される血中酸素濃度及び第二検出データにより示される血中酸素濃度の少なくとも一方が健康なヒトの血中酸素濃度に比較的近い場合、センサ装置10が患者の体内に存在していると判定する。一方、判定部132は、第一検出データにより示される血中酸素濃度及び第二検出データにより示される血中酸素濃度の少なくとも一方が有意な大きさの血中酸素濃度ではない場合、センサ装置10が患者の体内に存在していないと判定する。
【0044】
制御部133は、センサ装置10が患者の体内に存在していると判定された場合、第二検出データを第一周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。第一周期は、任意の長さに設定され得る周期であり、例えば、五分である。一方、制御部133は、センサ装置10が患者の体内に存在していないと判定された場合、第二検出データを第一周期よりも短い第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。第二周期は、任意の長さに設定され得る周期であり、例えば、五秒である。
【0045】
なお、通信部15が端末2に送信する無線信号は、患者の体内、組織内等に存在する水分の影響により大きく減衰する。このため、通信部15は、センサ装置10が患者の体外に存在している場合よりもセンサ装置10が患者の体内に存在している場合の方が第二検出データを体外に送信するために無線信号の強度を上げる必要があり、より多くの電力を消費する。
【0046】
また、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定してもよい。そして、制御部133は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、第二周期を長くしてもよい。なお、この場合、制御部133は、第一周期の長さを越えない範囲で第二周期を長くしてもよいし、第一周期の長さに関わらず第二周期を長くしてもよい。
【0047】
また、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定してもよい。そして、生成部131は、当該時間が所定の閾値を超えていないと判定された場合、センサ装置10が患者の体内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末2に実行させるための推奨データを生成する。推奨データは、通信部15により端末2に送信され、端末2に搭載されているディスプレイ、スピーカ等を使用して当該情報を出力する目的で端末2に使用される。
【0048】
次に、
図6を参照しながら実施形態に係る生体モニタリング装置が第二検出データを端末に送信する周期を決定する処理の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る生体モニタリング装置が第二検出データを端末に送信する周期を決定する処理の一例を示すフローチャートである。また、
図6に示した処理は、センサ12及び生成部131が動作し続けていることを前提としている処理である。
【0049】
ステップS1において、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在しているか否かを判定する。判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していると判定した場合(ステップS1:YES)、処理をステップS2に進める。一方、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していないと判定した場合(ステップS1:NO)、処理をステップS3に進める。
【0050】
ステップS2において、制御部133は、第二検出データを第一周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。
【0051】
ステップS3において、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出する。
【0052】
ステップS4において、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS4:YES)、処理をステップS5に進める。一方、判定部132は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS4:NO)、処理をステップS7に進める。
【0053】
ステップS5において、制御部133は、第二周期を長くする。
【0054】
ステップS6において、制御部133は、第二検出データを第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。
【0055】
ステップS7において、生成部131は、センサ装置10が患者の体内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末2に実行させるための推奨データを生成する。
【0056】
ステップS8において通信部15は、推奨データを端末2に送信する。
【0057】
以上、実施形態に係る生体モニタリング装置1について説明した。生体モニタリング装置1は、センサ12と、生成部131と、通信部15とを備える。センサ12は、センサ装置10に含まれており、患者の医学的な状態を検出する検出処理を実行し、検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する。生成部131は、センサ装置10により実現され、検出処理に関する内容を示しており、第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを第一検出データに基づいて生成する処理を実行する。通信部15は、センサ装置10により実現され、第二検出データを患者に対応付けられている端末2に送信する処理を実行する。
【0058】
これにより、生体モニタリング装置1は、患者に対応付けられている端末2に第二検出データを送信して患者に検出処理の内容を分かり易く通知し、患者の医学的な状態を検出する検出処理に対する患者の意欲を高めることができる。また、生体モニタリング装置1は、第二検出データにより患者の血中酸素濃度、歩数、活動量、体内に存在する細菌の種類や数等が示されている場合、患者に自身の健康状態に関する情報を通知することができる。さらに、生体モニタリング装置1は、第二検出データにより患者の咀嚼回数、患者の咀嚼回数、咀嚼により歯、義歯、歯列矯正器具等に加わる力の大きさ、歯ぎしりの回数、歯ぎしりにより歯、義歯、歯列矯正器具等に加わる力の大きさ等が示されている場合、患者に自身の歯の状態に関する情報を通知することができる。
【0059】
また、生体モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信する要求を受けること無く第二検出データを端末2に送信する。
【0060】
これにより、生体モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信する前に端末2との通信を実行しないため、電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0061】
また、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していると判定された場合、第二検出データを第一周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。一方、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していないと判定された場合、第二検出データを第一周期よりも短い第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。つまり、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していることにより第二検出データを端末2に送信するために多くの電力を消費する必要がある場合、第二検出データを送信する周期として第二周期よりも長い第一周期を採用する。
【0062】
これにより、生体モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信するために多くの電力を消費する必要がある場合、第二周期よりも長い第一周期を採用することにより、電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0063】
また、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。そして、生体モニタリング装置1は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、第二周期を長くする。
【0064】
これにより、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していないため、第二検出データを端末2に送信する必要が無い場合、第二周期を長くして電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0065】
また、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。次に、生体モニタリング装置1は、時間が所定の閾値を超えていないと判定された場合、センサ装置10が患者の体内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末に実行させるための推奨データを生成する。そして、生体モニタリング装置1は、推奨データを端末2に送信する。
【0066】
これにより、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していない場合、患者に生体モニタリング装置1を装着するように促し、生体モニタリング装置1を使用した治療の効果をより確実に引き出すことができる。また、これにより、生体モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の体内に存在していない場合、患者に生体モニタリング装置1を装着するように促し、生体モニタリング装置1を使用した健康状態の把握をより確実に実行することができる。
【0067】
また、生体モニタリング装置1は、第一検出データを記憶する記憶部14を備える。これにより、生体モニタリング装置1は、データ取得機器3から第一検出データを送信する要求を受けない限り、第一検出データを記憶部14に格納するだけでよいため、第一検出データを送信するために電池16に蓄えられている電力を消費する必要がなくなり、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0068】
なお、生体モニタリング装置1が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。
【0069】
また、上述したセンサ装置10は、固定部11により歯列矯正器具700に固定されている必要はない。例えば、センサ装置10は、患者により使用されるスプリントに固定されてもよい。また、この場合でも、生体モニタリング装置は、患者の身体を侵襲すること無く、センサ装置10を患者の体内に固定することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、生体モニタリング装置1が一つの装置である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、生体モニタリング装置1の一部が第一の装置により実現されており、生体モニタリング装置1の他の一部が第一の装置とは別の第二の装置により実現されていてもよい。ただし、これらの装置は、いずれも固定部11により封止されていることが好ましい。
【0071】
また、上述した実施形態では、センサ装置10が固定部11により封止されている場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、固定部11は、センサ装置10の一部を覆っているだけでもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、センサ装置10がCPU、ROM及びRAMを備える場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、センサ装置10は、CPU、ROM及びRAMの代わりに、これら三つの機能を有するマイクロコントローラを備えていてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、センサ装置10が固定部11により歯列矯正器具700に接続されている場合を例に挙げたが、これに限定されない。
【0074】
図7は、他の実施形態に係る生体モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
図7に示すように、生体モニタリング装置1aは、患者の下顎に装着される歯列矯正器具800のうち患者の前歯に被さる部分にセンサ装置10aを備えている。また、センサ装置10aは、患者の嵌合力を測定する圧力センサを備えている。
【0075】
図8は、他の実施形態に係る生体モニタリング装置が備えるセンサ装置により測定された嵌合力の一例を示す図である。
図8は、横軸が時間を示しており、縦軸が嵌合力を示している。
図8に示した期間T1及び期間T3において、圧力センサは、有意な大きさの嵌合力を測定していない。一方、
図8に示した期間T2において、圧力センサは、患者が上顎と下顎とを嵌合させた場合の嵌合力を測定している。期間T2の前半では、患者が上顎と下顎とを嵌合させ始めたことにより嵌合力が増加している。期間T2の後半では、患者が上顎と下顎とを嵌合させ終えたことにより嵌合力が略一定の大きさを示している。
【0076】
また、この場合、判定部132は、例えば、第一検出データにより示される嵌合力及び第二検出データにより示される嵌合力の少なくとも一方が所定の嵌合力を超えた回数が所定の期間中に所定の回数を超えている場合、センサ装置10が患者の体内に存在していると判定する。一方、判定部132は、第一検出データにより示される嵌合力及び第二検出データにより示される嵌合力の少なくとも一方が所定の嵌合力未満である期間が所定の期間を超えて継続している場合、センサ装置10が患者の体内に存在していないと判定する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述した。ただし、本発明の実施形態の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の組み合わせ、変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを上述した実施形態に加えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1a…生体モニタリング装置、2…端末、3…データ取得機器、10,10a…センサ装置、11…固定部、12…センサ、13…プロセッサ、14…記憶部、15…通信部、16…電池、131…生成部、132…判定部、133…制御部、700,800…歯列矯正器具、A1,A2,A3…表示領域、P…画像、G…歯茎