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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】キャップを備えたボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/58 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
B65D41/58
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020166093
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057703
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119460(JP,A)
【文献】特開2005-022695(JP,A)
【文献】特開昭55-116560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル口部(4)を有し、このボトル口部(4)の外周面(5)に被係止凹部(6)を形成させたボトル本体(2)と、
前記ボトル口部を閉塞する栓部(P)、及び、前記ボトル口部の外周面へ装着されるとともに前記栓部(P)による前記ボトル口部の閉塞状態を保持できるように前記栓部(P)へ連係された装着筒(12)を有するキャップ(10)と、を具備し、
このキャップ(10)には、前記ボトル口部からの前記装着筒(12)の抜出し防止のために、前記被係止凹部(6)内へ嵌着可能な凸状係止部(15)を設けており、
前記凸状係止部(15)は、
前記装着筒(12)の内周面(13)から内方へ膨出された、前記被係止凹部(6)への挿入用の凸部本体(16)と、
前記凸部本体(16)の下側で前記装着筒(12)に一体に連結された、可撓性を有するフラップ(20)とからなり、
このフラップ(20)を前記被係止凹部(6)内に嵌入させるとともに、前記凸部本体(16)の突出長(a)を前記被係止凹部(6)の深さ(d)より小としており、
前記フラップ(20)は、上方への押し込み操作により、前記被係止凹部(6)の内面に沿って屈曲させて、前記凸部本体(16)を被覆することが可能に形成されており、
前記フラップ(20)は、前記押し込み操作により、前記凸部本体(16)の表面(17)の上半部(17b)まで達する長さを有しており、前記被係止凹部(6)内へ前記凸状係止部(15)が嵌着されたときに、前記被係止凹部(6)と前記凸部本体(16)の表面(17)の上半部(17b)との間に前記フラップ(20)の先端側を挟持させるように設けたことを特徴とする、キャップを備えたボトル。
【請求項2】
前記フラップ(20)は、前記装着筒(12)の内周面(13)から内方へヒンジ(18)を介して回動可能に突設されており、前記栓部(P)が前記ボトル口部内に嵌入されることにより、前記ボトル口部により突き上げられて上方へ回動し、前記凸部本体(16)を被覆するように形成したことを特徴とする、請求項1に記載のキャップを備えたボトル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップを備えたボトル(例えばガラス瓶)に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル用キャップとして、ボトル本体の口部を閉塞させた栓部と、この栓部と連設させて、前記口部の外周面へ装着された装着筒とを含むものが知られている(特許文献1)。
具体的には、装着筒の上端に環状の破断部を介して有頂筒状の頂部を付設しており、この頂部の頂壁から栓部を垂設している。
また前記装着筒の内周面の適所には、複数の係止凸部が付設されており、これら係止凸部を、ボトル口部の外周面に形成した被係止凹部内に嵌着させることにより、ボトル口部からの装着筒の抜け出しを防止している。
このような構造とする理由は、この種のボトルにおいては、例えば、飲料などの内容物を充填してキャップで閉鎖した後に、比較的高温のシャワーをかけて殺菌処理をする場合があり、このときに内圧の上昇によってキャップが外れてしまうことを防ぐためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-119460
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構造では、係止凸部の内方への突出長(凸量)は被係止凹部の深さに対応させて設計する必要がある。
ところが、合成樹脂などを用いて前記キャップを金型で成形するときには、係止凸部の形成箇所を金型から無理抜きするため、当該箇所が捲れてしまい、設計した通りの凸量を実現できない場合がある。
なお、“捲れ”とは、成形品が金型なら抜ける際に摩擦により変形してしまう現象を指す。この捲れは、抜き勾配が足りないことなどが原因で発生する。
そうすると、係止凸部が前記被係止凹部内に精度良く嵌合させることができず、キャップが外れてしまう可能性がある。
特に、ボトル本体をガラスのように成形誤差の大きい材料で成形するときには、キャップが外れ易い。
【0005】
本発明目的は、ボトル本体に対する係止力を向上させた、ボトル口部から外れにくいキャップを備えたボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、ボトル口部4を有し、このボトル口部4の外周面5に被係止凹部6を形成させたボトル本体2と、
前記ボトル口部を閉塞する栓部P、及び、前記ボトル口部の外周面へ装着されるとともに前記栓部Pによる前記ボトル口部の閉塞状態を保持できるように前記栓部Pへ連係された装着筒12を有するキャップ10と、を具備し、
このキャップ10には、前記ボトル口部からの前記装着筒12の抜出し防止のために、前記被係止凹部6内へ嵌着可能な凸状係止部15を設けており、
前記凸状係止部15は、
前記装着筒12の内周面13から内方へ膨出された、前記被係止凹部6への挿入用の凸部本体16と、
前記凸部本体16の下側で前記装着筒12に一体に連結された、可撓性を有するフラップ20とからなり、
このフラップ20を前記被係止凹部6内に嵌入させるとともに、前記凸部本体16の突出長aを前記被係止凹部6の深さdより小としており、
前記フラップ20は、上方への押し込み操作により、前記被係止凹部6の内面に沿って屈曲させて前記凸部本体16を被覆することが可能に形成されており、
前記フラップ20は、前記押し込み操作により、前記凸部本体16の表面17の上半部17bまで達する長さを有しており、前記被係止凹部6内へ前記凸状係止部15が嵌着されたときに、前記被係止凹部6と前記凸部本体16の表面17の上半部17bとの間に前記フラップ20の先端側を挟持させるように設けた。
【0007】
本手段では、ボトル口部からの装着筒12の抜出し防止のために、ボトル口部の外周面に形成する被係止凹部内へ嵌着可能な凸状係止部15を設けたボトル用キャップを対象としている(図1図4及び図5参照)。
前記凸状係止部15は、図2に示す如く、前記装着筒12の内周面13から内方へ膨出された、被係止凹部への挿入用の凸部本体16と、前記凸部本体16の下側で前記装着筒12に連結された、可撓性を有するフラップ20とからなる。
このフラップ20は、図1(B)に示す如く、上方への押し込み操作により、凸部本体16を被覆することが可能に形成している。
この構造によれば、前記被係止凹部6に対してフラップ20と当該フラップ20によって被覆される凸部本体16とが2重に嵌挿されている状態(2重嵌合状態という)でかみ合わせることができるので、十分な係止力を発揮できる。
また本手段では、図1(B)に示す如く、前記フラップ20は、前記押し込み操作により、前記凸部本体16の表面17の上半部17bまで達する長さを有している。
この構造によれば、前記被係止凹部6に対して凸部本体16及びフラップ20の2重嵌合状態を確実なものとすることができる。故に、ボトル口部4に対する強固な係合が実現でき、内圧上昇時の栓部Pへの押し上げ力に十分に対抗することができる
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記フラップ20は、前記装着筒12の内周面13から内方へヒンジ18を介して回動可能に突設されており、前記栓部Pが前記ボトル口部内に嵌入されることにより、前記ボトル口部により突き上げられて上方へ回動し、前記凸部本体16を被覆するように形成した。
【0009】
本手段では、図2に示す如く、前記フラップ20は、前記装着筒12の内周面13から内方へヒンジ18を介して回動可能に突設されている。
この構造によれば、図1(A)に示す如く、前記装着筒12内にボトル口部を挿入するだけで、フラップ20はボトル口部によって突き上げられて上方へ回動し、前記凸部本体16を被覆するように形成することができる。故に、前記被係止凹部6に対して凸部本体16及びフラップ20を2重嵌合させることが容易である。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、ボトル口部の外周面に形成する被係止凹部内へ嵌着可能な凸状係止部15を設け、凸状係止部15は、装着筒12の内周面13から内方へ膨出された、被係止凹部への挿入用の凸部本体16と、凸部本体16の下側で前記装着筒12に連結された可撓性を有するフラップ20とからなり、このフラップは、上方への押し込みにより凸部本体16を被覆することが可能であるから、被係止凹部に対する係止手段Cの係止力を向上させることができる。
また第1の手段に係る発明によれば、フラップ20は、前記押し込み操作により、凸部本体16の表面の上半部17bまで達する長さを有するから、ボトル口部4に対する強固な係合を実現できる。
第2の手段に係る発明によれば、フラップ20は、前記装着筒12の内周面13から内方へヒンジ18を介して突設したから、装着筒12内にボトル口部4を挿入するだけで、フラップ20がボトル口部によって突き上げられ、凸部本体16を被覆するので、前記被係止凹部6に対して凸部本体16及びフラップ20を2重嵌合させることが容易である
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャップを備えたボトルの構成を示す図であり、同図(A)は、当該ボトルの主要部(ボトル口部及びキャップ)の半断面図であり、かつ同図(B)は、そのキャップの要部の拡大図である。
図2図1のボトルに用いられるボトル用キャップの成形状態での正面図である。
図3図2に示すボトル用キャップの取付け作業の説明図であり、同図(A)は取付け作業の第1段階を、同図(B)は取付け作業の第2段階をそれぞれ示している。
図4】本発明の第2実施形態に係るキャップを備えたボトルの構成を示す図であり、同図(A)は、当該ボトルの主要部(ボトル口部及びキャップ)の半断面図であり、かつ同図(B)は、そのキャップの要部の拡大図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るキャップを備えたボトルの構成を示す図であり、同図(A)は、当該ボトルの主要部(ボトル口部及びキャップ)の半断面図であり、かつ同図(B)は、そのキャップの要部の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図3は、本発明の第1実施形態に係るキャップを備えたボトルを示している。
このボトルは、ボトル本体2と、ボトル用キャップ10とで構成されている。説明の都合上から、まず前記ボトルの基本的構造を説明し、特徴的な事項については後で解説する。
【0017】
ボトル本体2は、胴部(図示せず)から起立する上端開口のボトル口部4を有する。
このボトル口部4の外周面5の上部には、環状の被係止凹部6が周設されている。もっとも被係止凹部6の構造は適宜変更することができる。
また前記ボトル口部4の外周面5の下部には、環状リブ7が形成されている。
ボトル本体2は、本実施形態では、ガラス瓶に形成されている。もっともボトル本体2の材質は合成樹脂製等でもよく、適宜変更することができる。
【0018】
ボトル用キャップ10は、前記ボトル口部4の外周面に装着された装着筒12を有し、かつ、この装着筒12に連係させて、前記ボトル口部4内に嵌入された栓部(閉塞部)Pを含む。
なお、“連係させて”とは、前記栓部Pによるボトル口部4の閉塞状態を保持できる程度に栓部Pを装着筒12に対して固定できれば、どのような構造でも構わない。
前記装着筒12の内周面13には、前記被係止凹部6内に嵌着させるための凸状係止部15が設けられている。
これら凸状係止部15と被係止凹部6とで、前記ボトル口部4からの装着筒12の抜出し防止のための係止手段Cが形成されている。
【0019】
本実施形態では、前記ボトル用キャップ10は、図1(A)に示す如く、前述の栓部Pである栓体30と、栓体とは別部材であるキャップ本体11とからなる。もっとも栓体30とキャップ本体11とを一体に成形しても構わない。
前記栓体30は、ボトル口部4を閉塞できれば、どのような構造でも構わない。図示例の栓体30は、大径の上半部30aから、下向きの段差部32を介して、小径の下半部30bを垂設している。そしてこの下半部30bを前記ボトル口部4内に固嵌めするとともに、前記段差部32を前記ボトル口部4の上端面に当接させている。
前記キャップ本体11は、本実施形態では、装着筒12の上端側に、栓体30の抜け出しを防止するための頂部22を連設している。
図示例の頂部22は、装着筒12の上端から環状の第1破断部B1を介して上方へ連結筒部23を延出するとともに、この連結筒部23の上端に頂板24を付設している。当該頂板24は前記栓体30の上面に当接させている。
ボトル口部4を開封するときには、例えば一方の手で装着筒12を、他方の手で前記連結筒部23をそれぞれ把持し、装着筒12に対して連結筒部23を回転させて第1破断部B1を破断させる。そうしてボトル口部4からキャップ本体11を除去し、次にボトル口部4内から栓体30を引き抜けば良い。
前記装着筒12の内面の上端部には、前記栓体30の上半部30aの抜け落ちを防止するための抜止め用凸部nが周設されている。
なお、図示はしないが、凸状係止部15の形成箇所を避けて、前記環状の第1破断部B1から装着筒12の下端まで補助破断線を形成しても良い。この場合には、補助破断線の下端付近で、装着筒12の下端部を摘み、外側に引っ張ることで、装着筒を除去することができる。
また、補助破断線と摘みについては、装着筒12上に設けてあればよく、第1破断部B1に繋がる構造になっていればよい。
【0020】
本発明では、前記凸状係止部15は、凸部本体16と、フラップ20とからなる。
好適な図示例では、装着筒12の内面に一本の凸部本体16を周設するとともに、周方向の複数箇所に適数(例えば4個又は6個)フラップ20を付設している。
そして、各フラップ20が後述のヒンジ18を中心として上側へ折り返され、凸部本体16の表面17に重ねることにより、それぞれの重なり箇所に凸状係止部15が形成されるようにしている。また、上側へ折り返されたフラップ20は、凸部本体16の一部の表面と重なっていればよい。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0021】
前記凸部本体16は、前記装着筒12の内周面13から内方へ膨出された、被係止凹部への挿入用の突部である。
図示例の凸部本体16は、装着筒12の内周面に形成した環状の内リブであるが、その形状は適宜変更することができる。
例えば前述のように第1補助破断線B1から装着筒12の下端まで補助破断線を形成するときには、補助破断線が通過する箇所については、凸部本体の形成を省略するとよい。
図1(B)に示すように、凸部本体16の内方への突出長(凸量)aは、前記被係止凹部6の深さdより小さい。
こうすることで、前記装着筒12の筒軸を通る縦断面で見たときに、前記凸部本体16の表面17の輪郭と、前記被係止凹部6の輪郭との間には、フラップを挟み込ませるための空間(挟み代)が形成される。
もっとも、図示例とは逆に凸部本体16の突出長が被係止凹部6の深さより大きく、被係止凹部6内へ、フラップ20で被覆した凸部本体16が強制的に圧入されるような構造も、本発明の技術的範囲に入る。
【0022】
前記フラップ20は、図2に示すように、前記凸部本体16の下側で前記装着筒12にヒンジ18を介して一体に連結されており、前記ヒンジ18を中心として回動(縦方向の揺動)が可能に形成されている。
なお、本明細書で“フラップ”とは、或る物(本発明では装着筒)に対して片持ち状で支持された可動板部という程度の意味に用いられる。
また前記フラップ20は、可撓性を有し、下方から押し上げられたときに、前記凸部本体16の表面17に沿って変形できるように形成されている。
前記フラップ20は、前記ヒンジ18から内方(図示例では下内方)へ延びており、前記栓部Pをボトル口部4内へ嵌入(打栓)させたときに、ボトル口部4の上端面により突き上げられるように形成されている。
このように構成することで、前記嵌入操作に伴って、前記フラップ20が上方へ折り返され、凸部本体16の表面17がフラップ20で覆われる(被覆される)ことになる。
そして、被係止凹部6内に凸状係止部15が嵌合するときには、前記凸部本体16とともに凸部本体16を覆うフラップ20が被係止凹部6内に圧入され、被係止凹部6の内面に嵌着する。
換言すれば、被係止凹部6内には、前記凸部本体16のみならず、凸部本体16の表面17に重ねたフラップ20も嵌入される状態(2重嵌合状態)となる。
換言すれば、被係止凹部6の内面に沿ってフラップ20を屈曲状態で嵌着させ、このフラップの内側へ凸部本体16を嵌挿させた2重の嵌合構造としており、これにより、ボトル口部4に対する凸状係止部15の高い係合力が実現している。
なお、図示例のフラップ20は、図2に点線で示すように、装着筒12の筒径方向から見て、ほぼ矩形であるが、その形状は適宜変更することができる。
なお、前述のように、フラップ20を凸部本体16に重ねることで、実質的な凸量を増加できる。従って、ボトル本体の被係止凹部に対応して係止手段を設計する際に、型抜きの際の捲れの問題を気にすることなく、係止手段の凸量を自由に設定することができ、これにより、十分な係止力を実現することができる。
【0023】
また本実施形態では、前記フラップ20は、図1(A)に示す如く上方へ折り返され、前記凸部本体16の表面17を覆っている状態で、この表面17の上半部17bに到達することが可能な長さに形成されている。
こうすることにより、ボトル本体2の内圧が上昇したときに、図1(B)に示す如く、フラップ20の先端部が凸部本体16と被係止凹部6との間に挟持される。
故に、内圧上昇に伴い、凸部本体16に作用する上向きの応力f1に対して、被係止凹部6側からの反作用f2で対抗できるから、十分な係合力が発揮できる。
【0024】
本実施形態の構成では、凸部本体16の突出長(凸量)aを、少なくとも図2に示すフラップ20の厚みtの分だけ小さくすることができる。
故に、フラップ20の厚みtを適当に選択することにより、凸部本体16の突出長aを小さく設計することができる。
これにより、凸部本体16の突出長aを金型の無理抜きが可能な程度に小さくすることが可能となる。故に、金型で成形する際に凸部本体16の形成箇所に捲りが生ずることを回避して、被係止凹部6に対する係止手段Cの係止力を向上させることができる。
【0025】
また本実施形態では、前記ヒンジ18は、図1(B)に示すように、前記凸部本体16との間に間隔iを存して配置されている。
この形態では、上方へ折り返された状態でのフラップ20の外面(成形時の形態での下面に相当する)は、前記被係止凹部6の内面に密着している。他方、折り返し状態でのフラップ20の内面(成形時の形態での上面に相当する)と、前記凸部本体16の表面17の下半部17aとの間には、空隙gが形成されている。
この構造によれば、ボトル本体2の側での成形誤差により、被係止凹部6の上下方向の幅が、設計値に対して若干ズレていても、被係止凹部6へ凸状係止部15を嵌着させることができる。
この態様は、ガラス瓶のように比較的成形誤差が大きいボトルに対して有利である。
【0026】
なお、本明細書において、“被覆”とは、被覆対象である凸部本体16の表面17におおよそ沿って配置された被覆材(フラップ20)により、前記表面が覆われている状態を指す。故に、図1(B)に示すように、凸部本体16とフラップ20との間に多少の空隙gがある場合も該当する。
また、図示例では、前記装着筒12の内側に、前記ヒンジ18と装着筒12の下端部との間に浅い凹みrが形成されている。
【0027】
前記キャップ本体12は、図2に示す状態から栓体30を除いた態様で、金型成形することができる。キャップ本体12の内面の輪郭は、図示しない複数の分割金型を用いて成形すると良い。
例えばフラップ20の下面とフラップ20の下方の装着筒部分の内面を画成する第1の金型と、キャップ10の内面の残りの部分(フラップ20の上面及び凸部本体16の表面17を含む)を画成する第2の金型とを使用する。
第2の金型を抜き出すときには、凸部本体16から無理抜きすれば良い。
ある深さの被係止凹部6に嵌合する凸状係止部15を設計するときに、単一の凸部として設計する場合と比較して、本発明の構成では、フラップ20の厚みtの分だけ、凸部本体16の突出長aを小さくすることができる。
【0028】
前記構成において、図2に示す状態から、前記ボトル口部4をボトル用キャップの装着筒12に挿入させて、装着筒12を下方へ押し込むと、図3(A)に示す如く、フラップ20の先端部20aが前記ボトル口部4の上面に当たり、次に図3(B)に示す如く、フラップ20がヒンジ18を中心として上方へ折り返される。
さらに装着筒12を下方へ押し込むと、フラップ20及び凸部本体16が、被係止凹部6より上方のボトル口部分を乗り越えて、被係止凹部6内に嵌入される。
そして、前記装着筒12がボトル口部4の外周面5に嵌合され、かつ前記栓部Pが前記ボトル口部4内へ嵌入される。
【0029】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0030】
図4は、本発明の第2実施形態に係るキャップを備えたボトルを示している。
本実施形態は、栓部Pをキャップ本体11に組み込むとともに、このキャップ本体11に別体である上蓋40を取り付けたものである。
【0031】
前記キャップ本体11は、図4(A)に示す如く、装着筒12の上端に頂板24を連設しており、この頂板から垂下する栓筒25を、前記ボトル口部4内に液密に嵌合させている。
図示の頂板24は、栓筒25より外側の周辺板部24aを、栓筒25以内の中心板部24bより肉厚に形成している。
本実施形態では、この中心板部24bと栓筒25とで前述の栓部Pが形成されている。
前記周辺板部24aからは注出筒27が起立されている。注出筒27の外面には、雄ネジ28が形成されている。
前記中心板部24bには、栓筒25から一定の間隔を存して環状の第2破断部B2を穿設しており、その内側を抜栓部26に形成している。この抜栓部からはプルリング29を立設している。
【0032】
前記装着筒12は、図示例では、図4(A)に示すように、上半部である小内径部12aから、下向き段部Uを介して、下半部である大外径部12bを垂下している。
前記凸部本体16及びフラップ20は、前記小内径部12aの内面に形成されている。
図示例では、小内径部12aの内面下端と下向き段部Uとの間に在る角部にヒンジ18が形成されている。そして成形時の状態において、図4(A)に想像線で示すように、前記ヒンジから下内方へフラップ20が突設されている。
そして凸部本体16は、前記フラップ20の直上に配置されている。本実施形態の凸部本体16の表面17は、略三角形状を有するが、その形状は適宜変更することができる。
【0033】
前記上蓋40は、天板42の周端部から外周壁44を、その内側から内周壁46をそれぞれ垂設している。
前記外周壁44は、前記注出筒27の外面に嵌合されている。図示例では、前記外周壁44の下部には、前記雄ネジ28に対応する雌ネジ45が形成されている。
前記内周壁46は、前記注出筒27の内面に密嵌されている。
【0034】
本実施形態では、係止手段Cは、被係止凹部6の内面に沿ってフラップ20を屈曲状態で嵌着させるように構成されている。これにより、高い係止力を実現できる。
【0035】
図5は、本発明の第3実施形態に係るキャップを備えたボトルを示している。
本実施形態では、第2実施形態のキャップ本体11と上蓋40とを一体的に連結したものである。
前記キャップ本体11は、装着筒12と連設させて、この装着筒12を囲む囲成筒14を有し、この囲成筒14の上端がヒンジ機構48を介して上蓋40に連結されている。
前記装着筒12は、筒軸方向にほぼ一定の厚みを有し、その内面と下面との間の角部に形成されたヒンジ18から、図5(A)に想像線で示すように、下内方へフラップ20を突出した形態として成形されている。
そして、このフラップ20の直上に前記凸部本体16が形成されている。
前記囲成筒14は、前記装着筒12の下端から外方へ突設された連結壁部Jを介して、装着筒12に連設されている。囲成筒14は連結壁部Jよりさらに下方へ延びている。
前記連結壁部Jと囲成筒14との間には、ヒンジ機構48寄りの一部(非破断部)を除くほぼ全周に亘って第3破断部B3が形成されている。また前記囲成筒14には、第3破断部B3と連続させて、図示しない縦方向破断線が形成されている。そして、開蓋状態で、上蓋40を側外方へ引っ張ると、縦方向破断線及び第3破断部B3が順次破断し、引き上げると、前記非破断部を介して栓部Pがボトル口部4内から引き抜かれる。このようにして、ボトル用キャップ10とボトル本体2とを分別して廃棄することができる。
前記頂板24は、周辺板部24aの内端から、縦筒部24cを垂設するとともに、この縦筒部24cの下端に中心板部24bを連設している。
本実施形態では、図5(A)に示すように、これら縦筒部24cと中心板部24bとで前述の栓部Pが形成されている。
中心板部24bには、第2実施形態と同様に第2破断部B2で囲まれた抜栓部Pが形成され、この抜栓部からプルリング29が起立されている。
前記上蓋40は、第2実施形態と同様に、天板42から垂設された外周壁44及び内周壁46を有し、この内周壁46は、周辺板部24aから起立する注出筒27内に密嵌されている。前記外周壁44の下端は前記ヒンジ機構48を介して前記囲成筒14に連結されている。
図示例では、前記周辺板部24aからは、環状の係合突部s1が上方へ突設されている。
そして前記外周壁44の下部内面には、前記係合突部s1と密に嵌合する被係合凹部s2が周設されている。
これら係合突部s1と被係合凹部s2とでシール手段Sが形成されている。

【符号の説明】
【0036】
2…ボトル本体 4…ボトル口部 5…外周面 6…被係止凹部 7…環状リブ
10…ボトル用キャップ 11…キャップ本体
12…装着筒 12a…小内径部 12b…大内径部
13…内周面 14…囲成筒
15…凸状係止部 16…凸部本体 17…(凸部本体)表面 17a…表面下半部
17b…表面上半部 18…ヒンジ 20…フラップ 20a…先端部
22…頂部 23…連結筒部 24…頂板 24a…周辺板部 24b…中心板部
24c…縦筒部(栓筒部)
25…栓筒 26…抜栓部 27…注出筒 28…雄ネジ 29…プルリング
30…栓体 30a…上半部 30b…下半部 32…段差部
40…上蓋 42…天板 44…外周壁 45…雌ネジ 46…内周壁
48…ヒンジ機構
a…(凸部本体の)突出長
B1…第1破断部 B2…第2破断部 B3…第3破断部
C…係止手段 d…(被係止凹部の)深さ g…空隙 i…間隔 J…連結壁部
n…抜止め用凸部 P…栓部 r…凹み
S…シール手段 s1…係合突部 s2…被係合凹部 t…(フラップの)厚み
U…下向き段部





図1
図2
図3
図4
図5