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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】防災支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20240903BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240903BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240903BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240903BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B17/00 C
G08B25/10 D
H04M1/00 R
H04M11/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020176061
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067379
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-08-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省消防庁、消防防災科学技術研究推進制度「G空間情報とICTを活用した大規模防火対象物における防火安全対策の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 知将
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-86641(JP,A)
【文献】特開2014-107830(JP,A)
【文献】特開2014-146071(JP,A)
【文献】特開2007-48156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G08B 17/00,23/00-31/00
H04M 1/00, 3/00, 7/00,11/00,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を備える防災支援システムであって、
前記携帯端末は、
火災感知器が作動したことを通知する情報が受信された後に、動画撮影ボタンを含む撮影画面を表示装置に表示させる表示制御手段と、
前記撮影画面において利用者により動画撮影ボタンが選択されると、動画撮影と計時を開始し、所定の時間が経過すると、前記動画撮影を終了する撮影手段と、
前記撮影された動画のデータを送信する報告手段と
を備えることを特徴とする防災支援システム。
【請求項2】
前記防災支援システムは、防災センタに設置される本部端末と、支援サーバを備え、
前記支援サーバは、前記撮影された動画のデータを受信し、前記撮影された動画を前記本部端末の表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の防災支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時の現場状況の報告を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自衛消防隊の活動を支援するためのシステムが知られている。例えば、特許文献1には、自衛消防隊員が火元を撮影して、撮影した画像を防災センタに送信することができるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-119141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防災センタの要員にとって、火元の様子を動画で確認できると便利である。しかし、上記のシステムでは、動画のデータ量によるシステムへの負荷や動画撮影に係る時間経過の点などを考慮し、火元を撮影した画像として静止画を用いている。一般に動画撮影は、終了するタイミングの判断が難しく、ついつい長くなりがちである。その結果、防災センタへの現地報告が遅れ、ひいては公設消防隊への通報(119番通報)が遅れてしまうことになる。火災発生からの対応として、公設消防への通報が30秒遅れると、例えば5分で到着できる公設消防が5分から30秒遅れることになってしまい、この遅れは、火災の大きさに影響して、火災の拡大につながってしまうこともある。火災への対応では、要点として早期発見、初期消火といわれるように、1分1秒が大切である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、動画撮影に起因する現地報告の遅れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る防災支援システムは、携帯端末を備える防災支援システムであって、前記携帯端末は、火災感知器が作動したことを通知する情報が受信された後に、動画撮影ボタンを含む撮影画面を表示装置に表示させる表示制御手段と、前記撮影画面において利用者により動画撮影ボタンが選択されると、動画撮影と計時を開始し、所定の時間が経過すると、前記動画撮影を終了する撮影手段と、前記撮影された動画のデータを送信する報告手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましい態様において、前記防災支援システムは、防災センタに設置される本部端末と、支援サーバを備え、前記支援サーバは、前記撮影された動画のデータを受信し、前記撮影された動画を前記本部端末の表示装置に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動画撮影に起因する現地報告の遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】防災支援システム1の構成の一例を示すブロック図
図2】支援サーバ7の構成の一例を示すブロック図
図3】携帯端末8の構成の一例を示すブロック図
図4】防災支援システム1の火災発生時の動作の一例を示すシーケンス図
図5】火災発生通知画面の一例を示す図
図6】フロアマップ画面の一例を示す図
図7】配慮情報が重畳表示されたフロアマップ画面の一例を示す図
図8】撮影画面の一例を示す図
図9】報告画面の一例を示す図
図10】動画撮影時の処理フローの一例を示す図
図11】本部端末9の構成の一例を示すブロック図
図12】フロアマップ画面の一例を示す図
図13】在館者一覧画面の一例を示す図
図14】情報監視画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
本発明の一実施形態に係る防災支援システム1について図面を参照して説明する。
図1は、この防災支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す防災支援システム1は、自動火災報知設備2、屋内測位システム3、現場活動支援システム4および自衛消防支援システム5を備える。この防災支援システム1が備える各種の設備およびシステムは、インターネット等の通信回線を介して互いに通信可能に接続される。
【0011】
自動火災報知設備2は、防火対象物である建物Bに設置される。この自動火災報知設備2は、建物Bの各所に設置される煙感知器と、建物Bの防災センタに設置されるR型の火災受信機を備える(いずれも図示略)。煙感知器は、信号線を介して火災受信機と接続され、周囲の煙濃度を測定して、測定した煙濃度を示すアナログ値を火災受信機に送信する。火災受信機は、煙感知器により測定された煙濃度が所定濃度を超え、かつ、その継続時間が所定時間を超えると、感知器発報を検出する。感知器発報を検出すると、感知器発報信号を自衛消防支援システム5に送信する。この感知器発報信号には、発報した煙感知器のアドレスが含まれる。
【0012】
次に、屋内測位システム3は、建物Bの在館者の位置を特定するためのシステムである。この屋内測位システム3は、建物Bの各所に設置されるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)発信機と、在館者の位置を管理するための位置管理サーバを備える(いずれも図示略)。BLE発信機は、自機の発信機IDを定期的に発信する。在館者の携帯端末は、この発信機IDを受信すると、自端末のユーザIDとともに位置管理サーバに送信する。位置管理サーバは、この発信機ID等を受信すると、位置情報として、携帯端末から受信したユーザIDと対応付けてデータベースに記憶する。なお、屋内測位システム3は、自衛消防支援システム5に、例えば、後で詳述する支援サーバ7の位置情報取得部711に一体化されてもよい。
【0013】
なお、ここで言う在館者の携帯端末には、後述する公設消防隊員により携帯される携帯端末6と、後述する自衛消防隊員により携帯される携帯端末8も含まれる。なお、公設消防隊員は、建物Bの直接の関係者ではないが、火災等の発生時に建物Bに駆け付けたときに、建物B内の在館者となる。
【0014】
次に、現場活動支援システム4は、公設消防隊の活動を支援するためのシステムである。この現場活動支援システム4は、公設消防隊員により携帯される携帯端末6を備える。この携帯端末6は、具体的には、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の携帯型の情報処理装置である。
【0015】
次に、自衛消防支援システム5は、建物Bで編成される自動消防隊の活動を支援するためのシステムである。この自衛消防支援システム5は、支援サーバ7と、自衛消防隊員により携帯される携帯端末8と、建物Bの防災センタ等に設置される本部端末9を備える。以下、各装置について詳細に説明する。
【0016】
図2は、支援サーバ7の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す支援サーバ7は、CPU等のプロセッサ71と、DRAM等の揮発性メモリ72と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ73と、ネットワークカード74を備える。
【0017】
不揮発性メモリ73には、自衛消防隊の活動を支援するための情報として、位置情報、在館者情報、フロアマップ情報、イベント情報および報告情報が記憶される。このうち、位置情報は、建物Bの在館者の位置情報である。
【0018】
在館者情報は、建物Bの在館者に関する情報である。具体的には、各在館者のユーザID、氏名、属性、所属部署、隊員情報および配慮情報である。この情報は、ユーザIDに対して設定される情報であって、具体的には属性は、一般在館者、自衛消防隊、公設消防隊および要支援者のうちの少なくともいずれか1つの属性である。なお、ここで言う一般在館者とは、自衛消防隊、公設消防隊および要支援者のいずれにも該当しない在館者のことである。また、自衛消防隊とは、建物Bに編成されている自衛消防組織に属する在館者のことであって、要支援者とは、建物Bから避難するにあたって他者の支援を必要とする在館者のことである。次に、隊員情報は、在館者が自衛消防隊に所属する場合に、その在館者が割り当てられている所属隊、役割および担当エリアを示す情報である。次に、配慮情報は、在館者が要支援者に該当する場合に、支援者がどういった支援をする必要があるかに関する情報として、その在館者を避難させるために必要な人数を示す情報である。具体的には、年齢や性別、障害の種類や重さを示す情報である。
【0019】
なお、障害の属性に関しては、例えば、高齢者、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、知的障害者、精神障害者、寝たきりの人等であるが、支援を必要とするであろう乳幼児・児童、妊産婦、外国人等を含めることができる。また、対象者としては、要介護3以上の人、身体障害者手帳1・2級を所持する人、療育手帳Aを所持する人、精神障害者保健福祉手帳1級を所持する人および70歳以上の人等を基準とすることができ、このほか、建物Bの在館者として、避難支援が必要な人を設定の対象とすればよい。また、支援者が行う支援の方法に関して、高齢者には、状況に応じて付き添うなど、視覚障害者には、杖を持たない方の手で支援者の肘の上などをつかんでもらうなど、聴覚障害者には、聞こえの状態やコミュニケーション方法(手話・筆談など)を確認し、支援の内容や方法を把握、肢体不自由者には、障害の部位や程度に合わせた支援など、知的障害者には、言葉で理解できないとき、手を引くなどして安全な誘導など、精神障害者には、ゆっくりと落ち着いた口調で話しかけて誘導など、寝たきりの人には、担架や車いすなどの移動用具等の必要な用具や複数の支援者による支援など、これら具体的に設定することができる。
【0020】
次に、フロアマップ情報は、建物Bに設置されている防災設備(例えば、屋内消火栓や連結送水管)の配置図の情報である。このフロアマップ情報により表される配置図には、方位と部屋番号が示されている。この方位は、消火活動としてとくに公設消防隊が本格消火を行うに当たり、火点に対してどこからアプローチするかの方向を考慮する際に必要な情報であり、現場に進入した隊員への指示において用いることとなり、重要な情報となる。
【0021】
また、防災設備の配置図の情報としては、建物内での自衛消防活動で使用される発信機、非常電話、消火器、屋内消火栓、防火戸、SPアラーム弁等だけでなく、公設消防隊が使用するような連結送水管の送水口および放水口、連結散水設備の送水口、非常コンセント設備、無線通信補助装置の無線機接続端子、代替進入口(非常用進入口)、非常用エレベータ、消防活動用空地、消防水利等の位置に特定のシンボルを(またはエリアで)表示する。
【0022】
イベント情報は、建物Bで発生する火災関連のイベント情報である。各イベント情報は、発生したイベントの内容と発生日時により構成されている。
【0023】
報告情報は、携帯端末8から支援サーバ7に対して送信される現地(言い換えると、火点)の報告情報である。各報告情報は、受信された報告の内容と、報告場所と、報告日時と、報告者のユーザIDと、画像情報により構成されている。なお、ここで言う画像情報とは、現地を撮影した静止画または動画のデータである。
以上が、不揮発性メモリ73に記憶される支援情報についての説明である。
【0024】
支援サーバ7は、図2に示すように、位置情報取得部711、在館者情報取得部712、同期部713、イベント通知部714、報告受付部715および表示制御部716の各機能を備える。これらの機能は、不揮発性メモリ73に記憶されるプログラムをプロセッサ71が実行することにより実現される。
【0025】
これらの機能のうち、位置情報取得部711は、在館者の位置情報を屋内測位システム3から定期的に取得し、不揮発性メモリ73に格納する。
【0026】
在館者情報取得部712は、本部端末9等により入力された在館者情報を取得して、不揮発性メモリ73に格納する。
【0027】
同期部713は、携帯端末8に記憶されている在館者情報およびフロアマップ情報を、支援サーバ7に記憶されている在館者情報およびフロアマップ情報に同期させる。この同期処理は、支援サーバ7において位置情報等が更新されたことを契機として実行される。同期部713は、位置情報等が更新されると、同期通知を携帯端末8に送信し、これに対する応答を携帯端末8から受信すると、更新された情報を携帯端末8に送信する。
【0028】
イベント通知部714は、自動火災報知設備2から送信される感知器発報信号を取得する。当該信号を取得すると、取得した信号に含まれるアドレスに対応する位置(言い換えると、火点)を特定する。火点を特定すると、特定した火点において火災感知器が作動したことを通知する感知器発報情報を、プッシュ通知として携帯端末8に送信する。
【0029】
報告受付部715は、携帯端末8から送信される現地報告を受け付ける。受け付けた現地報告の情報は、不揮発性メモリ73に記憶される。
【0030】
表示制御部716は、本部端末9から送信される画面送信要求を受けて、要求された画面を生成して本部端末9に送信する。生成される各画面については後述する。
【0031】
加えて、表示制御部716は、公設消防隊員により携帯される携帯端末6から送信される画面送信要求を受けて、フロアマップ画面を生成する。その際、表示制御部716は、不揮発性メモリ73に記憶されている位置情報、在館者情報、フロアマップ情報およびイベント情報に基づいて、そのフロアマップ画面を生成する。生成されるフロアマップ画面には、後で詳述する設備配置図M1が含まれる。表示制御部716は、生成したフロアマップ画面を携帯端末6に送信する。
以上が、支援サーバ7についての説明である。
【0032】
次に、携帯端末8について説明する。
携帯端末8は、具体的には、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の携帯型の情報処理装置である。図3は、この携帯端末8の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す携帯端末8は、CPU等のプロセッサ81と、DRAM等の揮発性メモリ82と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ83と、ネットワークカード84と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ85と、タッチパネル86と、カメラ87を備える。
【0033】
不揮発性メモリ83には、支援サーバ7から受信した、位置情報、在館者情報およびフロアマップ情報が記憶される。
【0034】
この携帯端末8は、図3に示すように、情報更新部811、撮影部812、報告部813および表示制御部814の各機能を備える。これらの機能は、不揮発性メモリ83に記憶されるプログラムをプロセッサ81が実行することにより実現される。
【0035】
撮影部812は、カメラ87を制御して、被写体の画像を撮影する撮影手段である。
【0036】
報告部813は、支援サーバ7に対して現地報告を送信する報告手段である。
【0037】
表示制御部814は、各種の画面を生成して、ディスプレイ85に表示させる表示制御手段である。以下、この表示制御部814が生成する各画面について説明する。
【0038】
表示制御部814は、支援サーバ7から送信された感知器発報情報が携帯端末8により受信されると、火災発生通知画面を生成する。この火災発生通知画面について説明する前に、この画面が生成されるまでの過程について説明する。
【0039】
図4は、防災支援システム1の火災発生時の動作の一例を示すシーケンス図である。同図に示すように、自動火災報知設備2は、建物B内で火災を検出すると(ステップSa1)、支援サーバ7に対して感知器発報信号を送信する(ステップSa2)。支援サーバ7は、この感知器発報信号を受信すると、受信した信号に含まれるアドレスに対応する位置(言い換えると、火点)を特定する(ステップSa3)。そして、特定した火点において火災感知器が作動したことを通知する感知器発報情報を、プッシュ通知として携帯端末8に送信する(ステップSa4)。携帯端末8は、この感知器発報情報を受信すると、不揮発性メモリ83に記憶されている上記のプログラムを実行する(ステップSa5)。このプログラムの実行の結果、表示制御部814は、火災発生通知画面を生成して、ディスプレイ85に表示させる(ステップSa6)。
【0040】
図5は、この火災発生通知画面の一例を示す図である。同図に示す火災発生通知画面には、火災の発生場所と発生日時を示すメッセージが含まれる。加えて、現地確認を指示するメッセージが含まれる。この画面を見た携帯端末8の利用者は、火災の発生場所と発生日時を知ることができる。加えて、火災階にいる利用者は、画面の指示に従って現地確認を行う。
【0041】
この火災発生通知画面において、利用者によりOKボタンB1が押下されると、表示制御部814は、支援サーバ7から受信した位置情報、在館者情報およびフロアマップ情報に基づいて火災階のフロアマップ画面をディスプレイ85に表示させる。なお、フロアマップ画面は、同期処理により携帯端末8が不揮発性メモリ83に記憶されている情報に基づき生成するが、携帯端末6と同様に支援サーバ7の表示制御部716が生成したフロアマップ画面を表示するようにしてもよい。
【0042】
図6は、このフロアマップ画面の一例を示す図である。同図に示すフロアマップ画面には、設備配置図M1が含まれている。この設備配置図M1には、方位と部屋番号が示されている。加えて、火点を示すシンボルS1と、防災設備を示すシンボルS2が配置されている。さらに、属性単位で集計された在館者の人数を示す人型のシンボルが部屋単位で配置されている(すなわち、部屋単位にBLE発信機(図示せず)が配置されていて、各携帯端末8が検出する発信機IDに基づいて部屋の位置に判定される)。ここで言うシンボルとは、具体的には、一般在館者の人数を示すシンボルS3と、自衛消防隊員の人数を示すシンボルS4と、公設消防隊員の人数を示すシンボルS5と、要支援者の人数を示すシンボルS6である。これらのシンボルS3~S6は、それぞれ色が異なっている。
【0043】
ここで、各シンボルS3~S6の人数は、屋内測位システム3から取込んだ携帯端末8のユーザIDに対応した発信機IDの情報を、位置として部屋番号の発信機IDに位置するユーザIDを集計しており、例えば、大きめの部屋では、その部屋の奥と手前に2つのBLE発信機を配置し、部屋を分割して各シンボルS3~S6の人数表示が可能となる。同様に、この実施形態では、フロアマップ画面の廊下部分での各シンボルS3~S6の表示に関して図示していないが、配置するBLE発信機の個数によって、左右2箇所や左右中の3箇所等で各シンボルS3~S6による廊下部分の人数表示が行われる。なお、建物B内の在館者の位置を全員検出することが好ましく、BLE発信機を穴がないように配置しておく必要がある。
【0044】
また、要支援者の人数を示すシンボルS6は、要支援者に関する障害の種別や支援の内容等に関わらず一つに人数を示しているが、例えば、障害の種別や支援の内容等を類型分けして、その類型毎のシンボルを用意して類型毎の人数を表示するようにしてもよい。このとき、ユーザIDに対する属性の設定を要支援者からさらに細分化した各類型に分けた属性で設定し、区別して人数を判定すればよい。
【0045】
図6に示す設備配置図M1では、これらのシンボルS3~S6が、部屋番号「501」の部屋に配置されている。これらのシンボルS3~S6およびその配置は、部屋番号「501」の部屋に、一般在館者、自衛消防隊員、公設消防隊員、要支援者が、それぞれ1人ずつ存在することを示している。携帯端末8の利用者は、これらのシンボルS3~S6を参照することで、各部屋の属性単位の在館者の人数を知ることができる。その結果、当該利用者は、自衛消防だけでなく公設消防を含めた消防活動の状況を把握でき、また、要支援者を含めて適切な順序で救助活動を行うことができる。
【0046】
この設備配置図M1において、要支援者シンボルS6は、利用者により選択可能なように表示されている。この要支援者シンボルS6が利用者により押下されると、表示制御部814は、押下されたシンボルS6に対応する要支援者の配慮情報を表示させる。図7は、この配慮情報が重畳表示されたフロアマップ画面の一例を示す図である。同図に示すフロアマップ画面には、押下されたシンボルS6の近傍に、当該シンボルS6に対応する要支援者の配慮情報D1が配置されている。この配慮情報D1は、部屋番号「501」の部屋にいる要支援者の氏名が「山田太郎」であり、車椅子の利用者であることを示している。携帯端末8の利用者は、この配慮情報D1を参照することで、当該要支援者を救助するために必要な人数を推測することができる。
【0047】
同様に、自衛消防隊シンボルS4も、利用者により選択可能なように表示されていて、利用者により押下されると、表示制御部814は、押下されたシンボルS4に対応する自衛消防隊員の氏名、所属隊、役割および担当エリア等を表示させ、その部屋でどういった役割の隊員が活動しているのかを理解することができる。
【0048】
なお、図7に示すフロアマップ画面には1人分の配慮情報D1しか表示されていないが、これは、部屋番号「501」の部屋に要支援者が1人しかいないからである。当該部屋に複数の要支援者がいる場合には、それら複数の要支援者に対応する複数の配慮情報D1が表示されることになる。
【0049】
図6および図7に示すフロアマップ画面には、さらに、フロアリストL1が含まれている。このフロアリストL1は、表示対象のフロアを選択するためのプルダウンメニューである。表示制御部814は、このフロアリストL1において利用者によりフロアが選択されると、選択されたフロアの設備配置図M1を表示させる。
【0050】
同フロアマップ画面には、さらに、固定的なメニューバーとしてタブT1~T4が含まれている。これらのタブT1~T4のうち、タブT1は、メイン画面への遷移を指示するためのボタンである。このタブT1が利用者により押下されると、表示制御部814はメイン画面をディスプレイ85に表示させる。表示されるメイン画面の機能は、自衛消防活動に必要な機能を集約し、現地状況報告(タブT2と同様)、平面地図表示(タブT3と同様)、行動指示表示、防災センタへの電話等へ移行できるが、本発明に直接関連しないため、その説明を省略する。
【0051】
タブT2は、撮影画面への遷移を指示するためのボタンである。このタブT2が利用者により押下されると、表示制御部814は撮影画面をディスプレイ85に表示させる。表示される撮影画面については後述する。
【0052】
タブT3は、図6に例示したフロアマップ画面への遷移を指示するためのボタンである。このタブT3が利用者により押下されると、表示制御部814はフロアマップ画面をディスプレイ85に表示させる。
【0053】
ただし、平時においては、権限を付与された一部の利用者を除いて、このタブT3は選択不能となる。そのため、その一部の利用者を除いて、フロアマップ画面は閲覧不能となる。これは、位置情報や配慮情報といった在館者の個人情報を保護するためである。なお、ここで言う平時とは、建物B内で火災が発生していない時を指す。反対に有事とは、建物B内で火災が発生している時を指す。
【0054】
次に、タブT4は、行動指示画面への遷移を指示するためのボタンである。ここで言う行動指示とは、役割に沿って送られてきた自衛消防活動の指示のことである。このタブT4が利用者により押下されると、表示制御部814は、行動指示画面を生成して、ディスプレイ85に表示させる。表示される行動指示画面の機能は本発明に直接関連しないため、その説明を省略する。
【0055】
以上説明したタブT1~T4は、後述する撮影画面にも含まれる。
【0056】
次に、タブT2が押下されたときに表示される撮影画面について説明する。図8は、この撮影画面の一例を示す図である。同図に示す撮影画面には、カメラ87により撮影される動画P1と、写真撮影ボタンB2と、動画撮影ボタンB3が含まれている。加えて、現場の撮影を指示するメッセージが含まれている。この撮影画面において、利用者により写真撮影ボタンB2が押下されると、撮影部812は、表示中の被写体の静止画を撮影する。静止画の撮影後、表示制御部814は、報告画面をディスプレイ85に表示させる。
【0057】
図9は、この報告画面の一例を示す図である。同図に示す報告画面には、フロアリストL2、報告ボタンB41~B44および撮り直しボタンB5が含まれている。これらの表示要素のうち、フロアリストL2は、報告場所を選択するためのプルダウンメニューである。報告ボタンB41~B44は、報告内容を選択するためのボタンである。フロアリストL2においてフロアが選択され、その上で報告ボタンB41~B44のいずれかが選択されると、報告部813は支援サーバ7に対して現地報告を送信する。送信される現地報告には、撮影された画像情報と、選択された報告場所と、選択された報告内容と、報告者のユーザIDが含まれる。なお、フロアリストL2は、火災発報信号に基づくフロアが自動的に設定され、必要に応じた報告場所に利用者が選択できる。ここで、自動的に設定されるフロアリストL2は、利用者の担当階であってもよい。また、フロアが広い場合は、フロアを分割し、それぞれを選択できるようにしてもよい。
【0058】
撮り直しボタンB5は、撮影をやり直すためのボタンである。この撮り直すボタンB5が利用者により押下されると、撮影された静止画が破棄されて、表示制御部814は再び撮影画面を表示させる。
【0059】
次に、動画撮影時の処理について説明する。図10は、動画撮影時の処理フローの一例を示す図である。
【0060】
図8に示す撮影画面において利用者により動画撮影ボタンB3が押下されると(ステップSb1)、撮影部812は、表示中の被写体の動画撮影と計時を開始する(ステップSb2)。その後、撮影部812は、5秒経過するまで待機し(ステップSb3のNO)、5秒経過すると(ステップSb3のYES)、動画撮影を終了する(ステップSb4)。ここで、5秒経過後に自動的に動画撮影を終了する理由は、動画撮影が長時間に及んでしまうことを防止するためである。一般に動画撮影は、終了するタイミングの判断が難しく、ついつい長くなりがちである。そこで、本実施形態では、秒数選択や停止操作を不可として、撮影時間を5秒に限定することで、撮影の手間と撮影時間の長期化を防止している。撮影時間の長期化を防止することで、現地報告の遅れを防止することができ、ひいては公設消防隊への通報(いわゆる119番通報)の遅れを防止することができる。なお、操作をシンブルにすることでも、撮影操作に悩むことなく撮影開始まで時間を取ることが無くなる。また、動画の撮影時間が5秒あると、静止画に比べ、炎だけでなくその周辺を含めた見回すような方法等で撮影することができ、報告を受けた防災センタでは、炎の有無だけでなく、その大きさや部屋(場所)の状況について詳細に把握できる。
【0061】
動画撮影が終了すると、表示制御部814は、上述した報告画面をディスプレイ85に自動的に表示させる。そして、この報告画面において、フロアリストL2でフロアが選択され、その上で報告ボタンB41~B44のいずれかが選択されると、報告部813は支援サーバ7に対して現地報告を送信する。送信される現地報告には、撮影された画像情報と、選択された報告場所と、選択された報告内容と、報告者のユーザIDが含まれる。一方、この報告画面において撮り直すボタンB5が利用者により押下されると、撮影された動画が破棄されて、表示制御部814は再び撮影画面を表示させる。
以上が、携帯端末8についての説明である。
【0062】
次に、本部端末9について説明する。
本部端末9は、具体的には、据え置き型PC等の情報処理装置である。図11は、この本部端末9の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す本部端末9は、CPU等のプロセッサ91と、DRAM等の揮発性メモリ92と、HDD等の不揮発性メモリ93と、ネットワークカード94と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ95と、キーボードやマウス等の入力装置96を備える。
【0063】
この本部端末9は、図11に示すように、リモート操作部911という機能を備える。この機能は、不揮発性メモリ93に記憶されるプログラムをプロセッサ91が実行することにより実現される。
【0064】
このリモート操作部911は、支援サーバ7から各種の画面情報を取得してディスプレイ95に表示させるとともに、入力装置96により出力される入力情報を支援サーバ7に送信する表示制御手段である。以下、このリモート操作部911により表示されるフロアマップ画面、在館者一覧画面および情報監視画面について説明する。
【0065】
フロアマップ画面は、支援サーバ7の表示制御部716により生成される。その際、表示制御部716は、不揮発性メモリ73に記憶されている位置情報、在館者情報、フロアマップ情報およびイベント情報に基づいて同画面を生成する。
【0066】
図12は、このフロアマップ画面の一例を示す図である。同図に示すフロアマップ画面には、図6を参照して説明した設備配置図M1が含まれている。本部端末9の利用者は、この設備配置図M1を参照することで、各部屋の属性単位の在館者の人数を知ることができる。加えて、当該利用者は、この設備配置図M1上の要支援者シンボルS6を選択することで、当該シンボルに対応する要支援者の配慮情報を参照することができる。すなわち、当該要支援者を救助するために必要な人数を推測することができる。そのため、当該利用者は、各自衛消防隊員に対して効率的な救助活動を指示することができる。また、当該利用者は、同様に自衛消防隊シンボルS4を選択することで、当該シンボルに対応する自衛消防隊員の情報を参照することができる。すなわち、その部屋でどういった役割の隊員が活動しているのかを理解することができる。そのため、当該利用者は、消防活動の状況を把握できる。
【0067】
図12に示すフロアマップ画面には、図6および図7を参照して説明したフロアリストL1が含まれている。本部端末9の利用者は、このフロアリストL1を操作して、表示対象のフロアを選択することができる。
【0068】
次に、在館者一覧画面について説明する。この在館者一覧画面は、建物B全体の各エリアについて在館者の人数と属性情報を示す一覧画像である。この在館者一覧画面は、支援サーバ7の表示制御部716により生成される。その際、表示制御部716は、不揮発性メモリ73に記憶されている位置情報、在館者情報およびイベント情報に基づいて同画面を生成する。なお、在館者一覧画面についても、支援サーバ7が生成し、それを表示するようにしてもよい。
【0069】
図13は、この在館者一覧画面の一例を示す図である。同図に示す在館者一覧画面には、火点シンボルS1が配置されている。同画面におけるこの火点シンボルS1の配置は、建物Bの5階において火災が発生していることを示している。加えて、同画面には、属性単位で集計された在館者の人数を示す人型のシンボルが部屋単位で配置されている。ここで言うシンボルとは、図6を参照して説明した一般在館者シンボルS3、自衛消防隊シンボルS4、公設消防隊シンボルS5および要支援者シンボルS6である。これらのシンボルS3~S6は、それぞれ色が異なっている。
【0070】
同画面では、これらのシンボルS3~S6が、部屋番号「501」に対応付けて配置されている。これらのシンボルS3~S6およびその配置は、部屋番号「501」の部屋に、一般在館者、自衛消防隊員、公設消防隊員、要支援者が、それぞれ1人ずつ存在することを示している。本部端末9の利用者は、これらのシンボルS3~S6を参照することで、各部屋の属性単位の在館者の人数を知ることができる。その結果、当該利用者は、消防活動の状況を把握でき、また、各自衛消防隊員に対して効率的な救助活動を指示することができる。
【0071】
加えて同画面には、要支援者シンボルS6に対応付けて、当該シンボルに対応する要支援者の配慮情報D1が配置されている。この配慮情報D1およびその配置は、部屋番号「501」の部屋にいる要支援者の氏名が「山田太郎」であり、車椅子の利用者であることを示している。本部端末9の利用者は、この配慮情報D1を参照することで、当該要支援者を救助するために必要な人数を推測することができる。
【0072】
さらに同画面には、自衛消防隊シンボルS4に対応付けて、当該シンボルに対応する自衛消防隊員の属性情報D2が配置されている。この属性情報D2は、配慮情報D1とは背景色が異なっている。この属性情報D2およびその配置は、部屋番号「501」の部屋にいる自衛消防隊員の氏名が「山田次郎」であり、担当エリアが「5階」であり、役割が「隊長」であることを示している。本部端末9の利用者は、この属性情報D2を参照することで、その部屋でどういった役割の隊員が活動しているのかを理解することができる。ただし、この属性情報D2として、担当エリアと役割が提示されるのは有事だけであり、平時にはこれらの情報に代えて、所属部署が提示される。
【0073】
なお、同画面には1人分の配慮情報D1と属性情報D2しか表示されていないが、これは、部屋番号「501」の部屋に要支援者と自衛消防隊員が1人ずつしかいないからである。当該部屋に複数の要支援者と自衛消防隊員がいる場合には、それら複数の要支援者と自衛消防隊員に対応する複数の配慮情報D1と属性情報D2が表示されることになる。
【0074】
また、同画面では、一般在館者シンボルS3に対応付けて、当該シンボルに対応する一般在館者の属性情報が配置されていない。これは、一般在館者の個人情報を表示しても、表示する情報が増えることになってしまい、消防活動として必要のある情報を優先して表示するためである。
【0075】
図13に示す在館者一覧画面には、さらに、シンボルと属性情報の表示の有無を選択するためのボタンB6~B9が含まれている。これらのボタンB6~B9のうち、ボタンB6は、一般在館者シンボルS3の表示の有無を選択するためのボタンであり、ボタンB7は、自衛消防隊シンボルS4と属性情報D2の表示の有無を選択するためのボタンであり、ボタンB8は、公設消防隊シンボルS5の表示の有無を選択するためのボタンであり、ボタンB9は、要支援者シンボルS6と配慮情報D1の表示の有無を選択するためのボタンである。例えば、これらのボタンB6~B9のうち、ボタンB9のみをオンにし、その他のボタンB6~B8をオフにすると、建物B全体の各部屋について要支援者の人数と配慮情報のみを確認することができる。
【0076】
次に、情報監視画面について説明する。この情報監視画面は、建物B内で発生したイベントと、携帯端末8から送信された現地報告の履歴を示す画面である。この情報監視画面は、支援サーバ7の表示制御部716により生成される。その際、表示制御部716は、不揮発性メモリ73に記憶されているイベント情報と報告情報に基づいて同画面を生成する。
【0077】
図14は、この情報監視画面の一例を示す図である。同図に示す情報監視画面には、履歴一覧L3が含まれている。この履歴一覧L3は、建物B内で発生したイベントと、携帯端末8から送信された現地報告を時系列で並べたリストである。加えて同画面には、画像表示領域R1が含まれている。この画像表示領域R1には、履歴一覧L3に含まれる現地報告のうち、利用者により選択された現地報告に対応する画像が表示される。図14に示す画面例では、履歴一覧L3の最上位の現地報告が選択されてハイライトされており、その結果、この現地報告に対応する火点の動画が表示されている。本部端末9の利用者は、この情報監視画面を参照することで、現場の様子を視覚的に知ることができる。その結果、自衛消防隊員に対して的確な指示を送ることができる。
【0078】
2.変形例
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。なお、下記の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0079】
2-1.変形例1
屋内測位システム3は、BLEを用いた屋内測位手法に代えて、その他の周知の屋内測位手法を採用してもよい。例えば、Wi-Fi(登録商標)、IMES(Indoor Messaging System)またはUWB(Ultra Wideband)を用いて在館者の位置を測定してもよい。
【0080】
2-2.変形例2
屋内測位システム3は、建物Bの各所に設置されるBLE受信機と、在館者が所持するBLE発信機と、在館者の位置を管理するための位置管理サーバを備えるようにしてもよい(いずれも図示略)。BLE受信機は、BLE発信機から発信機ID等を受信すると、自端末の受信機IDとともに位置管理サーバに送信する。位置管理サーバは、この受信機ID等を受信すると、位置情報としてBLE発信機から受信した発信機IDと対応付けてデータベースに記憶する。屋内測位システム3は、受信機IDに対応する位置に発信機ID等を発信したBLE発信機を所持する人がいることを特定する。
【0081】
2-3.変形例3
配慮情報は、障害の種類に加えてまたはこれに代えて、要支援者を救助するために必要な具体的な人数、要支援者を救助するために必要な機材、要支援レベルのうちの少なくとも1つを示すものであってもよい。なお、ここで言う要支援レベルとは、要支援者の年齢、障害の種類および程度から判断される、必要とされる支援の度合いのことである。この要支援レベルは、要支援者の年齢、障害の種類および程度を、予め作成された基準と照合することにより特定される。
【0082】
2-4.変形例4
図6に例示するフロアマップ画面では、属性単位で集計された在館者の人数が部屋単位で示されている。これに代えて、属性単位で集計された在館者の人数を、複数の部屋からなる集約した区画単位で示すようにしてもよい。このように集計の単位を変更することで、シンボルS3~S6の表示が過密になってしまう場合など、見やすい表示が可能となり、部屋よりも大きいエリア単位での在館者の人数の把握が容易になる。同様に、部屋を前後や左右に二分割あるいは四分割して、部屋内を詳細な区画で位置表示してもよい(とくに大きな部屋の場合)。このような、発信機ID単位での在館者の人数表示は、位置を特定した発信機IDごとの集計でよいが、部屋一括など、複数の発信機IDの人数を合算した集約した人数表示を一箇所に行う設定も可能である。なお、集計の単位は、設備配置図M1の拡縮に応じて変更されてもよい。例えば、設備配置図M1が縮小されてフロア全体が表示されている場合には、区画単位で集計する一方で、設備配置図M1が拡大されて一部の区画のみが表示されている場合には、部屋単位で集計するようにしてもよい。
【0083】
図13に例示する在館者一覧画面では、属性単位で集計された在館者の人数と属性情報が部屋単位で示されている。これに代えて、属性単位で集計された在館者の人数等をフロア単位で示すようにしてもよい。このように集計の単位を変更することで、フロア単位での在館者の人数の把握が容易になる。また別の例として、防火対象物が複数の棟から構成される場合には、属性単位で集計された在館者の人数等を棟単位で示すようにしてもよい。なお、集計の単位は、利用者がボタン操作により切り替えられるようにしてもよい。
【0084】
2-5.変形例5
携帯端末8は、動画撮影時に、動画撮影が5秒で自動的に終了する旨のメッセージを表示したり、撮影終了までの秒数をカウントダウンする表示を行ったりしてもよい。このような表示を行うことで、撮影者に撮影終了タイミングを意識させることができる。その結果、撮影者は、限られた時間の中で火点周辺を隈なく撮影することができる。
【0085】
2-6.変形例6
図6に例示するフロアマップ画面は、平時においては、権限を付与された一部の利用者を除いて閲覧することができない。これに代えて、権限を付与された一部の利用者以外も閲覧できるようにしてもよい。ただし、その場合に、フロアの一部について閲覧制限を課けられるようにしてもよい。これは、テナントによっては、フロアの躯体を知られたくない場合があるからである。加えて、要支援者の人数表示を省略できるようにしてもよい。これは、要支援者のプライバシーを保護するためである。具体的には、携帯端末8の表示制御部814は、有事においては一般在館者と要支援者を別々に集計する一方で、平時においては一般在館者と要支援者をまとめて集計するようにしてもよい。このように一般在館者と要支援者をまとめて集計することで、要支援者のプライバシーを保護することができる。
【0086】
2-7.変形例7
支援サーバ7の一部又は全部の機能は、携帯端末8または本部端末9により実現されてもよい。逆に、携帯端末8または本部端末9の一部の機能は、支援サーバ7により実現されてもよい。すなわち、自衛消防支援システム5内の機能の配置は、当該システムの提供者の都合に応じて適宜変更されてよい。
【0087】
2-8.変形例8
携帯端末8の動画撮影時間は5秒に設定されている。しかし、この撮影時間はあくまで一例であり、3秒から15秒の間で適宜選択されてよい。
【0088】
2-9.変形例9
図6のフロアマップ画面では、在館者の位置情報として、属性単位で集計された在館者の人数を示す人型のシンボルが部屋単位(発信機ID単位)で配置されるが、ユーザIDごとに1人ずつシンボル表示してもよい。そのシンボルが利用者により選択可能なように表示され、そのシンボルを利用者が押下するときに、押下されたシンボルに対応する要支援者の配慮情報を表示させることができる。そして、要支援者各位の位置は発信機IDの位置に合わせて並列表示でもよいが、屋内測位システム3から取込むユーザIDに対応した位置情報を、複数の発信機IDを基準の電波強度等から算出した座標的な位置情報とすることで、フロアマップ上に要配慮者1人ずつを位置決めして、さらに詳細な位置としてシンボル表示してもよい。なお、属性単位として要支援者とそれ以外の在館者としてもよい。この場合は、避難に支援が必要な要支援者の人数が容易にわかるようになる。
【0089】
2-10.変形例10
携帯端末8は、動画撮影が終了すると、撮影された画像情報を報告者のユーザIDとともに支援サーバ7に送信するようにしてもよい。支援サーバ7は、ユーザIDと建物Bを関連付けた情報を記憶し、受信したユーザIDに基づき、建物Bを特定して、撮影された画像情報を現地報告として記憶するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…防災支援システム、2…自動火災報知設備、3…屋内測位システム、4…現場活動支援システム、5…自衛消防支援システム、6…携帯端末、7…支援サーバ、8…携帯端末、9…本部端末、71…プロセッサ、72…揮発性メモリ、73…不揮発性メモリ、74…ネットワークカード、81…プロセッサ、82…揮発性メモリ、83…不揮発性メモリ、84…ネットワークカード、85…ディスプレイ、86…タッチパネル、87…カメラ、91…プロセッサ、92…揮発性メモリ、93…不揮発性メモリ、94…ネットワークカード、95…ディスプレイ、96…入力装置、711…位置情報取得部、712…在館者情報取得部、713…同期部、714…イベント通知部、715…報告受付部、716…表示制御部、811…情報更新部、812…撮影部、813…報告部、814…表示制御部、911…リモート操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14