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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240903BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240903BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 653C
H01L29/78 656A
H01L29/78 655A
H01L29/78 655G
H01L29/78 655C
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 654Z
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020183559
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073525
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】下條 亮平
(72)【発明者】
【氏名】坂野 竜則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴大
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-320049(JP,A)
【文献】特開2017-054968(JP,A)
【文献】特開2015-023118(JP,A)
【文献】特開2020-053466(JP,A)
【文献】国際公開第02/058160(WO,A1)
【文献】特開2000-200906(JP,A)
【文献】特開2020-047789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第2キャリア濃度は、前記第1キャリア濃度の20倍以上である、半導体装置。
【請求項2】
前記第2不純物濃度は、前記第1不純物濃度の20倍以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第2不純物濃度は、前記第1不純物濃度の20倍以上である、半導体装置。
【請求項4】
前記第2体積比は、前記第1体積比の20倍以上ある、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第2体積比は、前記第1体積比の20倍以上である、半導体装置。
【請求項6】
前記第7半導体領域の前記第1方向に沿う第2厚さは、前記第4半導体領域の前記第1方向の第1厚さよりも厚い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1方向と交差する第2平面における単位面積に対する前記第7半導体領域の第2面積比は、前記第1方向と交差する第1平面における単位面積に対する前記第4半導体領域の第1面積比よりも高い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第1方向と交差する第2平面における単位面積に対する前記第7半導体領域の第2面積比は、前記第1方向と交差する第1平面における単位面積に対する前記第4半導体領域の第1面積比よりも高い、半導体装置。
【請求項9】
前記第7半導体領域の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第4半導体領域の前記第2方向に沿う第1幅よりも大きい、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第7半導体領域の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第4半導体領域の前記第2方向に沿う第1幅よりも大きい、半導体装置。
【請求項11】
前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第4方向に沿う前記第7半導体領域の第2長さは、前記第4方向に沿う前記第4半導体領域の第1長さよりも長い、請求項1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第4方向に沿う前記第7半導体領域の第2長さは、前記第4方向に沿う前記第4半導体領域の第1長さよりも長い、半導体装置。
【請求項13】
前記第2電極と前記第3電極との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第2電極と前記第2半導体領域との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短く、
前記第1電極と前記第4電極との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1電極と前記第5半導体領域との間の前記第1方向に沿う第4距離よりも短い、請求項1~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1キャリア濃度は、前記第2半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度よりも高く、
前記第2キャリア濃度は、前記第5半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度よりも高い、請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
第1電極と、
第2電極であって、前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられた半導体部材であって、前記半導体部材は、
第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有し、前記第4半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域であって、前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有し、前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である、前記第7半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある、前記第3電極と、
第4電極であって、前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差し、前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある、前記第4電極と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある、前記第1絶縁部材と、
第2絶縁部材であって、前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある、前記第2絶縁部材と、
を備え
前記第1キャリア濃度は、前記第2半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度よりも高く、
前記第2キャリア濃度は、前記第5半導体領域における前記第2導電形のキャリア濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項16】
前記第3半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度よりも高く、
前記第6半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の前記キャリア濃度よりも高い、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体部材は、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に設けられた前記第1導電形の第8半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第5半導体領域との間に設けられた前記第1導電形の第9半導体領域と、
をさらに含み、
前記第8半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高く、
前記第9半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の前記不純物濃度よりも高い、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第3半導体領域及び前記第4半導体領域は、前記第1電極と電気的に接続され、
前記第6半導体領域及び前記第7半導体領域は、前記第2電極と電気的に接続された、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1半導体領域の一部は、前記第1方向において、前記第4電極と前記第3電極との間にある、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第3半導体領域から前記第4半導体領域への方向は、前記第1方向と交差し、
前記第6半導体領域から前記第7半導体領域への方向は、前記第1方向と交差した、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間にある、請求項1~20のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間にある、請求項1~21のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項23】
第1導電部材と、
第2導電部材と、
第3絶縁部材と、
第4絶縁部材と、
をさらに備え、
前記第1半導体領域の別の一部の前記第1方向における位置は、前記第2導電部材の前記第1方向における位置と、前記第1導電部材の前記第1方向にける位置と、の間にあり、
前記第3絶縁部材の少なくとも一部は、前記第1導電部材と前記半導体部材との間にあり、
前記第4絶縁部材の少なくとも一部は、前記第2導電部材と前記半導体部材との間にあり、
前記第1導電部材は、前記第1電極と電気的に接続された、または、前記第1電極と電気的に接続されることが可能であり、
前記第2導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第2電極と電気的に接続されることが可能である、請求項1~22のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1つに記載の半導体装置と、
前記第3電極及び前記第4電極と電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第3電極を第1電位から前記第1電位よりも低い第2電位に設定する第1動作の際に、前記第3電極を前記第1電位から前記第2電位にする第1時刻の前の第2時刻に、前記第4電極を第3電位から前記第3電位よりも高い第4電位にする、半導体モジュール。
【請求項25】
前記第1時刻と前記第2時刻との間の時間は、1μs以上200μs以下である、請求項24記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、損失の低減が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4980743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、損失を低減できる半導体装置及び半導体モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、半導体部材、第1絶縁部材及び第2絶縁部材を含む。前記第2電極から前記第1電極への方向は、第1方向に沿う。前記半導体部材は、前記第1方向において前記第2電極と前記第1電極との間に設けられる。前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域と前記第1電極との間に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、前記第2半導体領域と前記第1電極との間に設けられた前記第2導電形の第4半導体領域と、前記第1半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第5半導体領域と、前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第1導電形の第6半導体領域と、前記第5半導体領域と前記第2電極との間に設けられた前記第2導電形の第7半導体領域と、を含む。前記第4半導体領域は、前記第2導電形の第1不純物濃度、前記第2導電形の第1キャリア濃度、及び、前記半導体部材の体積に対する前記第4半導体領域の体積の第1体積比を有する。前記第7半導体領域は、前記第1不純物濃度よりも高い前記第2導電形の第2不純物濃度、前記第1キャリア濃度よりも高い前記第2導電形の第2キャリア濃度、及び、前記第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有する。前記第2体積比は、前記半導体部材の前記体積に対する前記第7半導体領域の体積比である。前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第3半導体領域の少なくとも一部は、前記第2方向において前記第3電極の一部と前記第4半導体領域との間の第1位置、及び、前記第2方向において前記第3電極の前記一部と前記第2半導体領域の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある。前記第4電極の一部から前記第5半導体領域への第3方向は、前記第1方向と交差する。前記第6半導体領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第4電極の一部と前記第7半導体領域との間の第3位置、及び、前記第3方向において前記第4電極の前記一部と前記第5半導体領域の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間にある。前記第2絶縁部材の少なくとも一部は、前記第4電極と前記半導体部材との間にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図4図4は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図6図6(a)~図6(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る半導体モジュールを例示する模式図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、第2実施形態に係る半導体モジュールの動作を例示する模式図である。
図17図17は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~図1(c)、及び、図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、図1(a)のA1-A2線断面図である。図1(c)は、図1(a)のA3-A4線断面図である。図2(b)は、図2(a)のA1-A2線断面図である。図2(c)は、図2(a)のA3-A4線断面図である。
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第4電極54、半導体部材10、第1絶縁部材41、及び、第2絶縁部材42を含む。
【0009】
第2電極52から第1電極51への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。第1方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
半導体部材10は、第1方向(Z軸方向)において、第2電極52と第1電極51との間に設けられる。半導体部材10は、第1導電形の第1半導体領域11と、第2導電形の第2半導体領域12と、第1導電形の第3半導体領域13と、第2導電形の第4半導体領域14と、第2導電形の第5半導体領域15と、第1導電形の第6半導体領域16と、第2導電形の第7半導体領域17と、を含む。
【0011】
例えば、第1導電形はn形であり第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で第2導電形がn形でも良い。以下の例では、第1導電形はn形であり第2導電形はp形である。
【0012】
第1半導体領域11は、第2電極52と第1電極51との間にある。第2半導体領域12は、第1半導体領域11と第1電極51との間に設けられる。第3半導体領域13は、第2半導体領域12と第1電極51との間に設けられる。第4半導体領域14は、第2半導体領域12と第1電極51との間に設けられる。この例では、第3半導体領域13から第4半導体領域14への方向は、Z軸方向と交差する。例えば、第3半導体領域13から第4半導体領域14への方向は、X軸方向に沿う。
【0013】
第5半導体領域15は、第1半導体領域11と第2電極52との間に設けられる。第6半導体領域16は、第5半導体領域15と第2電極52との間に設けられる。第7半導体領域17は、第5半導体領域15と第2電極52との間に設けられる。この例では、第6半導体領域16から第7半導体領域17への方向は、Z軸方向と交差する。例えば、第6半導体領域16から第7半導体領域17への方向は、X軸方向に沿う。
【0014】
この例では、半導体部材10は、第8半導体領域18及び第9半導体領域19を含む。第8半導体領域18は、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間に設けられる。第8半導体領域18は、第1導電形である。第9半導体領域19は、第1半導体領域11と第5半導体領域15との間に設けられる。第9半導体領域19は、第1導電形である。
【0015】
第3電極53の一部から第2半導体領域12への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。この例では、第3半導体領域13の少なくとも一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第3電極53の一部と第4半導体領域14との間にある。
【0016】
第4電極54の一部から第5半導体領域15への第3方向は、第1方向と交差する。この例では、第3方向は、X軸方向に沿っている。第4電極54から第5半導体領域15への方向は、例えば、第3方向(例えばX軸方向)に沿う。この例では、第6半導体領域16の少なくとも一部は、第3方向(例えばX軸方向)において、第4電極54の一部と第7半導体領域17との間にある。この例では、第3方向は、第2方向に沿う。
【0017】
第1半導体領域11の一部11pの第1方向(Z軸方向)における位置は、第4電極54の第1方向における位置と、第3電極53の第1方向に置ける位置と、の間にある。この例では、第3電極53及び第4電極54は、第2電極52と第1電極51との間にある。この例では、第1半導体領域11の一部11pは、第1方向(Z軸方向)において、第4電極54と第3電極53との間にある。
【0018】
第1絶縁部材41の少なくとも一部は、第3電極53と半導体部材10との間にある。第1絶縁部材41の一部は、第3電極53と第1電極51との間に設けられても良い。
【0019】
第2絶縁部材42の少なくとも一部は、第4電極54と半導体部材10との間にある。第2絶縁部材42の一部は、第4電極54と第2電極52との間に設けられても良い。
【0020】
半導体装置110において、以下の第1動作と第2動作とが実施可能である。第1動作において、第1電極51と第2電極5との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準とする電位である。第1動作において、電流は、第2電極52から第1電極51への向きに流れる。第2動作において、第4電極54を高電位にすることで、第1電極51から第電極5への向きに電流が流れる。半導体装置110は、例えば、RC-IGBT(Reverse- Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor)である。第1動作は、例えば、IGBT動作に対応する。第2動作は、例えば、ダイオード動作に対応する。第1電極51は、例えば、エミッタ電極である。第2電極52は、例えば、コレクタ電極である。第3電極53は、例えば、ゲート電極である。第4電極54は、例えば、制御電極である。第1動作及び第2動作が繰り返して実施されて良い。
【0021】
図2(a)に示すように、第2電極52と第3電極53との間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第1距離d1とする。第2電極52と第2半導体領域12との間の第1方向に沿う距離を第2距離d2とする。第1距離d1は、第2距離d2よりも短い。
【0022】
図2(a)に示すように、第1電極51と第4電極54との間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第3距離d3とする。第1電極51と第5半導体領域15との間の第1方向に沿う距離を第4距離d4とする。第3距離d3は、第4距離よりも短い。
【0023】
例えば、第3電極53の下端は、第1半導体領域11の上端よりも下にある。例えば、第4電極54の上端は、第1半導体領域11の下端よりも上にある。
【0024】
この例では、第3半導体領域13から第4半導体領域14への方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第3半導体領域13から第4半導体領域14への方向は、例えば、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。第6半導体領域16から第7半導体領域17への方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第6半導体領域16から第7半導体領域17への方向は、例えば、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0025】
この例では、第3半導体領域13の少なくとも一部は、第3電極53の一部と、第4半導体領域14との間にある。第6半導体領域16の少なくとも一部は、第4電極54の一部と、第7半導体領域17との間にある。
【0026】
第3半導体領域13及び第4半導体領域14は、第1電極51と電気的に接続される。第6半導体領域16及び第7半導体領域17は、第2電極52と電気的に接続される。
【0027】
例えば、第4半導体領域14の第2導電形のキャリア濃度(例えば、第1キャリア濃度)は、第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度よりも高い。これにより、第1電極51との接続の電気抵抗が低くなる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0028】
例えば、第7半導体領域17の第2導電形のキャリア濃度(例えば、第2キャリア濃度)は、第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度よりも高い。これにより、第2電極52との接続の電気抵抗が低くなる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0029】
例えば、第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。これにより、第1電極51との接続の電気抵抗が低くなる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0030】
例えば、第6半導体領域16における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。これにより、第2電極52との接続の電気抵抗が低くなる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0031】
例えば、第8半導体領域18における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域における第1導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第9半導体領域19における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。
【0032】
例えば、第1半導体領域11は、n領域、または、n領域である。第3半導体領域13及び第6半導体領域16は、例えば、n++領域である。第8半導体領域18及び第9半導体領域19は、例えば、n領域である。
【0033】
例えば、第2半導体領域12及び第5半導体領域15は、例えば、p領域である。例えば、第4半導体領域14、例えば、p領域などで良い。第7半導体領域17は、例えば、p++領域などでよい。
【0034】
実施形態の1つの例において、第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度は、第7半導体領域17における第2導電形のキャリア濃度とは異なる。以下に説明するように、実施形態において、第4半導体領域14と第7半導体領域17との間において、導電特性及び形状の少なくとも異なる。
【0035】
例えば、第4半導体領域14は、第2導電形の第1不純物濃度を有する。第4半導体領域14は、第2導電形の第1キャリア濃度を有する。第4半導体領域14は、第1方向に沿う第1厚さz1(図2(a)参照)を有する。第4半導体領域14は、第1面積比を有する。第1面積比は、第1方向と交差する第1平面PL1(図1(a)参照)における単位面積に対する第4半導体領域14の面積の比である。第1平面PL1は、例えば、X-Y平面に沿い、第4半導体領域14を通る。第4半導体領域14は、第1体積比を有する。第1体積比は、半導体部材10の体積に対する第4半導体領域14の体積の比である。
【0036】
例えば、第7半導体領域17は、第2導電形の第2不純物濃度を有する。第7半導体領域17は、第2導電形の第2キャリア濃度を有する。第7半導体領域17は、第1方向に沿う第2厚さz2(図2(a)参照)を有する。第7半導体領域17は、第2面積比を有する。第2面積比は、第1方向と交差する第2平面PL2(図2(a)参照)における単位面積に対する第7半導体領域17の面積の比である。第2平面PL2は、例えば、X-Y平面に沿い、第7半導体領域17を通る。第7半導体領域17は、第2体積比を有する。第2体積比は、半導体部材10の体積に対する第7半導体領域17の体積の比である。
【0037】
例えば、第2不純物濃度は、第1不純物濃度よりも高い。例えば、第2キャリア濃度は、第1キャリア濃度よりも高い。例えば、第2厚さz2は、第1厚さz1よりも厚い。例えば、第2面積比は、第1面積比よりも高い。例えば、第2体積比は、第1体積比よりも高い。
【0038】
これにより、後述するように、ターンオフスイッチング損失Eoffを低減できる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度が低いことで、例えば、逆回復動作時スイッチング損失Errを低減できる。
【0039】
以下、半導体装置の特性の例について説明する。以下では、IGBT動作のオフ時の特性と、第4半導体領域14と第7半導体領域17とにおけるキャリア濃度の差と、の関係について説明する。
【0040】
図3は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図3の横軸は、キャリア濃度の比CRである。比CRは、第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度(第1キャリア濃度C1)に対する第7半導体領域17における第2導電形のキャリア濃度(第2キャリア濃度C2)の比である。比CRは、C2/C1である。図3の縦軸は、ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1である。ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1は、第4電極54が設けられない構成におけるターンオフスイッチング損失Eoffを基準にした低減量である。ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1が大きいことは、ターンオフスイッチング損失Eoffが小さいことに対応する。図3においては、第3電極53の電位がオフ状態になる時刻に、第4電極54の電位はオン状態となる。
【0041】
図3に示すように、比CRが高くなると、ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1が大きくなる。図3から、比CRを高くすることで、ターンオフスイッチング損失Eoffを小さくすることができることが分かる。比CRが高いと、オン状態で蓄積されるキャリアが多くなると考えられる。従って、比CRが高いと、第4電極54をオンすることで排出可能なキャリア総量が多くなる。これにより、ターンオフスイッチング損失Eoffが小さくなると考えられる。
【0042】
図4は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図4においては、第3電極53の電位がオフ状態になる時刻の前に、第4電極54の電位はオン状態となる。図4の例において、第4電極54の電位はオン状態となる時刻と、第3電極53の電位がオフ状態になる時刻と、の差は、60μsである。図4の横軸は、の比CRである。図4の縦軸は、ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1である。図4に示す例においても、比CRが高くなると、ターンオフスイッチング損失Eoffの低減量Eoff_1が大きくなる。
【0043】
図5は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図5の横軸は、の比CRである。図5の縦軸は、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)の低減量VCE(sat)_1である。コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)の低減量VCE(sat)_1は、第4電極54が設けられない構成におけるコレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を基準にした低減量である。図5から分かるように、比CRが高くなると、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)の低減量VCE(sat)_1が大きくなる。比CRが高くすることで、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0044】
図3図5から、第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度(第1キャリア濃度C1)に対する第7半導体領域17における第2導電形のキャリア濃度(第2キャリア濃度C2)の比CRが20以上であることが好ましい。これにより、例えば、ターンオフスイッチング損失Eoffを小さくできる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を低くできる。
【0045】
実施形態においては、例えば、第7半導体領域17における第2導電形のキャリアの量が、第4半導体領域14における第2導電形のキャリアの量よりも多い。例えば、IGBT動作において、第2電極52における正孔の注入効率が高い。例えば、IGBT動作における第2電極52における正孔の注入効率は、ダイオード動作における第1電極51における正孔注入効率よりも高い。ダイオード動作における逆回復動作時スイッチング損失Errを低減し易くなる。一方、IGBT動作のオフ時には、高いキャリア濃度の第2電極52では、ターンオフスイッチング損失Eoffを低減できる。
【0046】
実施形態においては、例えば、ターンオフスイッチング損失Eoffを効果的に低減できる。例えば、コレクタ-エミッタ間飽和電圧VCE(sat)を効果的に低減できる。
【0047】
このように、第7半導体領域17における第2導電形のキャリア濃度(第2キャリア濃度)を第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度(第1キャリア濃度)よりも高くすることで、例えば損失が低減できる。実施形態によれば、損失を低減できる半導体装置が提供できる。
【0048】
実施形態において、第2キャリア濃度は、第1キャリア濃度の20倍以上であることが好ましい。これにより、損失を効果的に低減できる。例えば、第2キャリア濃度は、第1キャリア濃度の2000倍以下で良い。
【0049】
実施形態において、第4半導体領域14及び第7半導体領域17は、第1導電形の領域に第2導電形の不純物を導入することで形成されても良い。この場合、これらの領域における第2導電形の不純物の濃度の差によりキャリア濃度の差が形成されても良い。
【0050】
実施形態において、例えば、第2不純物濃度は、第1不純物濃度の20倍以上であることが好ましい。これにより、損失を効果的に低減できる。例えば、第2不純物濃度は、第1不純物濃度の2000倍以下で良い。
【0051】
図3の例では、第4半導体領域14及び第7半導体領域17における不純物濃度の差と、電気的な特性と、の関係を示している。図3に例示した特性は、第4半導体領域14及び第7半導体領域17における体積の差によっても得られる。
【0052】
例えば、第7半導体領域17の第2厚さz2が第4半導体領域14の第1厚さz1よりも厚いことで、損失が低減できる。これにより、損失を低減できる。
【0053】
例えば、第2平面PL2における単位面積に対する第7半導体領域17の面積の比(第2面積比)が、第1平面PL1における単位面積に対する第4半導体領域14の面積の比(第1面積比)よりも高いことで、損失が低減できる。実施形態において、例えば、第2面積比は、第1面積比の20倍以上である。これにより、損失を効果的に低減できる。例えば、第2面積比は、第1面積比の2000倍以下で良い。
【0054】
例えば、半導体部材10の体積に対する第7半導体領域17の体積の比(第2体積比)が、半導体部材10の体積に対する第4半導体領域14の体積の比(第1体積比)よりも高いいことで、損失が低減できる。実施形態において、例えば、第2体積比は、第1体積比の20倍以上である。これにより、損失を効果的に低減できる。
【0055】
例えば、第4半導体領域14と第7半導体領域17との間で、X軸方向の長さ(第1幅w1及び第2幅w2:図2(c)参照)が変更されることで、体積比が変更されても良い。第4半導体領域14と第7半導体領域17との間で、Y軸方向の長さ(第1長さL1及び第2長さL2:図2(c)参照)が変更されることで、体積比が変更されても良い。
【0056】
以下、実施形態に係る半導体装置のいくつかの例について説明する。以下において、半導体装置110と同様の構成を適用して良い部分については、説明を省略する。
【0057】
図6(a)~図6(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6(b)は、図6(a)のA1-A2線断面図である。図6(c)は、図6(a)のA3-A4線断面図である。
図6(a)に示すように、半導体装置110aにおいては、第7半導体領域17の第2厚さz2が第4半導体領域14の第1厚さz1の厚さよりも厚い。実施形態において、例えば、第2厚さz2は、第1厚さz1の20倍以上である。これにより、損失を効果的に低減できる。第2厚さz2は、第1厚さz1の2000倍以下で良い。
【0058】
図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7(b)は、図7(a)のA1-A2線断面図である。図7(c)は、図7(a)のA3-A4線断面図である。
図7(b)及び図7(c)に示すように、半導体装置110bにおいては、第7半導体領域17の第2方向(X軸方向)に沿う第2幅w2は、第4半導体領域14の第2方向に沿う第1幅w1よりも大きい。実施形態において、例えば、第2幅w2は第1幅w1の20倍以上2000倍以下である。これにより、損失を効果的に低減できる。
【0059】
図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8(b)は、図8(a)のA1-A2線断面図である。図8(c)は、図8(a)のA3-A4線断面図である。
図8(b)及び図8(c)に示すように、半導体装置110cにおいても、第7半導体領域17の第2幅w2は、第1幅w1よりも大きい。半導体装置110cにおいては、第3半導体領域13と第4半導体領域14との間に、第2半導体領域12の一部がある。第6半導体領域16と第4半導体領域17との間に、第5半導体領域15の一部がある。半導体装置110cにおいても、損失を低減できる。
【0060】
図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9(b)は、図9(a)のA1-A2線断面図である。図9(c)は、図9(a)のA3-A4線断面図である。
図9(b)及び図9(c)に示すように、半導体装置110dにおいて、複数の第4半導体領域14、及び、複数の第7半導体領域17が設けられる。複数の第4半導体領域14、及び、複数の第7半導体領域17のそれぞれは、島状である。複数の第4半導体領域14の1つと、複数の第4半導体領域14の別の1つと、の間に第2半導体領域12の一部がある。複数の第7半導体領域17の1つと、複数の第7半導体領域17の別の1つと、の間に第5半導体領域15の一部がある。
【0061】
半導体装置110dにおいては、第4半導体領域14と第7半導体領域17との間で、Y軸方向の長さが異なる。例えば、第1方向(Z軸方向)及び第2方向(例えばX軸方向)を含む平面と交差する方向を第4方向とする。第4方向は、例えば、Y軸方向である。第4方向に沿う第7半導体領域17の第2長さL2は、第4方向に沿う第4半導体領域14の第1長さL1よりも長い。半導体装置110dにおいても、損失を低減できる。実施形態において、例えば、第2長さL2は、第1長さL1の20倍である。これにより、損失を効果的に低減できる。例えば、第2長さL2は、第1長さL1の2000倍以下で良い。
【0062】
図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10(b)は、図10(a)のA1-A2線断面図である。図10(c)は、図10(a)のA3-A4線断面図である。
図10(b)及び図10(c)に示すように、半導体装置110eにおいても、複数の第4半導体領域14、及び、複数の第7半導体領域17が設けられる。半導体装置110eにおいて、複数の第4半導体領域14の間の第2半導体領域12のY軸方向の長さは、複数の第7半導体領域17の間の第5半導体領域15のY軸方向の長さよりも長い。X-Y平面における単位面積に対する第7半導体領域17の面積の比(第2面積比)は、X-Y平面における単位面積に対する第4半導体領域14の面積の比(第1面積比)よりも高い。半導体装置110eにおいても、損失を低減できる。
【0063】
実施形態において、第4半導体領域14及び第7半導体領域17において、幅及び長さの少なくともいずれかを変更することで、面積比を変更できる。面積比を変更することで、体積比が変更できる。第4半導体領域14及び第7半導体領域17において、厚さを変更することで、体積比を変更できる。
【0064】
実施形態において、不純物濃度、キャリア濃度、及び、体積比の少なくともいずれかが変更されても良い。例えば、第7半導体領域17は、第1不純物濃度よりも高い第2導電形の第2不純物濃度、第1キャリア濃度よりも高い第2導電形の第2キャリア濃度、及び、第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有して良い。
【0065】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、半導体装置110fにおいては、第3半導体領域13の少なくとも一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第3電極53の一部と第2半導体領域12の一部と、の間にある。第6半導体領域16の少なくとも一部は、第3方向(例えばX軸方向)において、第4電極54の一部と第5半導体領域15の一部と、の間にある。Z軸方向において、第2半導体領域12と第4半導体領域14との間に第3半導体領域13がある。Z軸方向において、第5半導体領域15と第7半導体領域17との間に第6半導体領域16がある。
【0066】
このように、第3半導体領域13の少なくとも一部は、第2方向(X軸方向)において第3電極53の一部と第4半導体領域14との間の第1位置、及び、第2方向において第3電極53の一部と第2半導体領域12の一部と、の間の第2位置の少なくともいずれかにある。第6半導体領域16の少なくとも一部は、第3方向(X軸方向)において第4電極54の一部と第7半導体領域17との間の第3位置、及び、第3方向において第4電極54の一部と第5半導体領域15の一部と、の間の第4位置の少なくともいずれかにある。
【0067】
図12は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、半導体装置110gにおいては、複数の第3電極53がX軸方向に並ぶ。複数の第4電極54がX軸方向に並ぶ。複数の第3電極53の1つのX軸方向における位置は、複数の第4電極54の1つのX軸方向における位置と、複数の第4電極54の別の1つのX軸方向における位置と、の間にある。複数の第4電極54の1つのX軸方向における位置は、複数の第3電極53の1つのX軸方向における位置と、複数の第3電極53の別の1つのX軸方向における位置と、の間にある。
【0068】
図13は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13に示すように、半導体装置110hは、上記の第1電極51、第2電極52、第3電極53、第4電極54、第1絶縁部材41、及び、第2絶縁部材42に加えて、第1導電部材61と、第2導電部材62と、第3絶縁部材43と、第4絶縁部材44と、をさらに含む。
【0069】
第1半導体領域11の一部11pの第1方向(Z軸方向)における位置は、第2導電部材62の第1方向における位置と、第1導電部材61の第1方向に置ける位置と、の間にある。第3絶縁部材43の少なくとも一部は、第1導電部材61と半導体部材10との間にある。第4絶縁部材44の少なくとも一部は、第2導電部材62と半導体部材10との間にある。第1導電部材61は、第1電極51と電気的に接続される。後述するように、第1導電部材61は、第1電極51と電気的に接続されることが可能でも良い。第2導電部材62は、第2電極52と電気的に接続される。後述するように、第2導電部材62は、第2電極52と電気的に接続されることが可能でも良い。第1導電部材61及び第2導電部材62は、例えば、フィールドプレートとして機能しても良い。例えば、電界の集中が抑制される。例えば、高い耐圧が得られる。
【0070】
図14は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14に示すように、半導体装置110iにおいても、第1導電部材61、第2導電部材62、第3絶縁部材43及び第4絶縁部材44が設けられる。半導体装置110iにおいては、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材51C及び接続部材51Lを介して、第1電極51と電気的に接続される。第1導電部材61と電気的に接続された端子61Tが設けられても良い。第1電極51と電気的に接続された端子51Tが設けられても良い。端子51T及び端子61Tが、接続部材51Lにより電気的に接続されても良い。接続部材51Lは半導体装置110iに含まれなくても良い。このように、第1導電部材61は、第1電極51と電気的に接続されることが可能でも良い。
【0071】
第2導電部材62は、接続部材62C、接続部材52C及び接続部材52Lを介して、第2電極52と電気的に接続される。第2導電部材62と電気的に接続された端子62Tが設けられても良い。第2電極52と電気的に接続された端子52Tが設けられても良い。端子52T及び端子62Tが、接続部材52Lにより電気的に接続されても良い。接続部材52Lは半導体装置110iに含まれなくても良い。このように、第2導電部材62は、第2電極52と電気的に接続されることが可能でも良い。例えば、電界の集中が抑制される。例えば、高い耐圧が得られる。
【0072】
半導体装置110a~110iにおいて、例えば、第7半導体領域17は、第1不純物濃度よりも高い第2導電形の第2不純物濃度、第1キャリア濃度よりも高い第2導電形の第2キャリア濃度、及び、第1体積比よりも高い第2体積比の少なくともいずれかを有して良い。損失が低減できる。
【0073】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体モジュールに係る。
図15は、第2実施形態に係る半導体モジュールを例示する模式図である。
図15に示すように、第2実施形態に係る半導体モジュール210は、第1実施形態に係る半導体装置(この例では、半導体装置110)と、制御部70と、を含む。制御部70は、第1電極51、第2電極52、第3電極53及び第4電極54と電気的に接続される。制御部70は、第3電極53の電位、及び、第4電極54の電位を制御できる。第3電極53の電位、及び、第4電極54の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準にした電位である。
【0074】
図16(a)及び図16(b)は、第2実施形態に係る半導体モジュールの動作を例示する模式図である。
図16(a)及び図16(b)の横軸は、時間tmである。図16(a)の縦軸は、第3電極53の電位E3である。図16(b)の縦軸は、第4電極54の電位E4である。これらの電位は、制御部70により制御される。
【0075】
図16(a)に示すように、制御部70は、第3電極53を第1電位V1から、第1電位V1よりも低い第2電位V2に設定する第1動作を実施可能である。第1動作は、IGBT動作を「ON状態」から「OFF状態」に移行させる「オフ動作」に対応する。制御部70は、第1動作において、第1時刻t1に第3電極53を第1電位V1から第2電位V2にする。第1電位V1は、例えば、+15Vである。第2電位V2は、例えば、-15Vである。制御部70は、このような第1動作の際に、第1時刻t1の前の第2時刻t2に、第4電極54を第3電位V3から第3電位V3よりも高い第4電位V4にする。第3電位V3は、例えば、0Vである。第4電位V4は、例えば、+15Vである。このような動作により、ターンオフスイッチング損失Eoffを低減できる。
【0076】
図16(b)に示すように、第1時刻t1と第2時刻t2との間の時間を時間差tdとする。以下、時間差tdを変えたときのターンオフスイッチング損失Eoffの変化の例について説明する。
【0077】
図17は、半導体装置における特性を例示するグラフ図である。
図17の横軸は、IGBT動作のオフ時における、第3電極53の電位の変化の時刻と、第4電極54の電位の変化の時刻と、の時間差tdである。時間差tdが0のときに、第3電極53の電位がオフ電位になるときに、第4電極54の電位は、オン電位になる。時間差tdが正のときには、第3電極53の電位がオフ電位になった後に、第4電極54の電位は、オン電位になる。時間差tdが負のときには、第3電極53の電位がオフ電位になる前に、第4電極54の電位は、オン電位になる。図17に示すように時間差tdが負のときに、ターンオフスイッチング損失Eoffが低減する。この効果は、オン状態で蓄積されたキャリアがターンオフの直前に排出されることに起因すると考えられる。時間差tdが負で時間差tdの絶対値が1μs以上であることでターンオフスイッチング損失Eoffが低減できる。時間差tdが負で時間差tdの絶対値が5μs以上であることでターンオフスイッチング損失Eoffが低減できる。時間差tdが負で時間差tdの絶対値が10μs以上であることで、ターンオフスイッチング損失Eoffが効果的に低減できる。
【0078】
実施形態において、時間差tdは負で、時間差tdの絶対値は10μs以上であることが好ましい。これにより、ターンオフスイッチング損失Eoffが低減できる。時間差tdが負で、時間差tdの絶対値が20μs以上であることがさらに好ましい。これにより、ターンオフスイッチング損失Eoffが効果的に低減できる。時間差tdが負で、時間差tdの絶対値が200μs以下であることが好ましい。時間差tdが過度に長いと、例えば、IGBT動作における通電損失が大きくなる。時間差tdが負で時間差tdの絶対値が200μs以下であることで、IGBT動作における通電損失が抑制し易くなる。
【0079】
例えば、第3電極53をオフ電位にしてIGBT動作をオフする時刻よりも前に、第4電極54をオン電位に移行させる。このとき、第7半導体領域17における第2導電形のキャリアの量が、第4半導体領域14における第2導電形のキャリアの量よりも多いことで、ターンオフスイッチング損失Eoffの低減の効果が大きくなる。これは、ターンオフの直前により多くのキャリアが排出されることが原因であると考えられる。
【0080】
上記の実施形態において、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度は、1×1012/cm以上1×1014/cm以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度は、1×1016/cm以上1×1018/cm以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、1×1018/cm以上5×1020/cm以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第2導電形のキャリア濃度は、1×1018/cm以上1×1020/cm以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形のキャリア濃度は、1×1016/cm以上1×1018/cm以下であることが好ましい。第6半導体領域16における第1導電形のキャリア濃度は、1×1018/cm以上5×1020/cm以下であることが好ましい。第7半導体領域17における第2導電形のキャリア濃度は、1×1018/cm以上1×1020/cm以下であることが好ましい。第8半導体領域18における第1導電形のキャリア濃度は、1×1015/cm以上1×1017/cm以下であることが好ましい。第9半導体領域19における第1導電形のキャリア濃度は、1×1015/cm以上1×1017/cm以下であることが好ましい。
【0081】
上記の実施形態において、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度は、1×1012/cm以上1×1014/cm以下であることが好ましい。第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度は、1×1016/cm以上1×1018/cm以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、1×1018/cm以上5×1020/cm以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度は、1×1018/cm以上1×1020/cm以下であることが好ましい。第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、1×1016/cm以上1×1018/cm以下であることが好ましい。第6半導体領域16における第1導電形の不純物濃度は、1×1018/cm以上5×1020/cm以下であることが好ましい。第7半導体領域17における第2導電形の不純物濃度は、1×1018/cm以上1×1020/cm以下であることが好ましい。第8半導体領域18における第1導電形の不純物濃度は、1×1015/cm以上1×1017/cm以下であることが好ましい。第9半導体領域19における第1導電形の不純物濃度は、1×1015/cm以上1×1017/cm以下であることが好ましい。
【0082】
半導体部材は、例えば、シリコンを含む。半導体部材は、例えば、化合物半導体などを含んでも良い。第1電極51は、例えば、アルミニウムなどを含む。第2電極52は、例えば、アルミニウムなどを含む。第3電極53、第4電極54、第1導電部材61及び第2導電部材62の少なくともいずれかは、例えば、導電性のシリコンを含む。第1~第4絶縁部材41~44は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、及び、酸化アルミニウムなどを含む。
【0083】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における不純物濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。
【0084】
実施形態によれば、損失を低減できる半導体装置及び半導体モジュールを提供できる。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、半導体部材、半導体領域、導電部材、電極及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0086】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…半導体部材、 11~19…第1~第9半導体領域、 11p…一部、 41~44…第1~第4絶縁部材、 51~54…第1~第4電極、 51C、52C…接続部材、 51L、52L…接続部材、 51T、52T…端子、 61、62…第1、第2導電部材、 61C、62C…接続部材、 61T、62T…端子、 70…制御部、 110、110a~110i…半導体装置、 210…半導体モジュール、 CR…比、 E3、E4…電位、 Eoff…ターンオフスイッチング損失、 Eoff_1…低減量、 L1、L2…第1、第2長さ、 PL1、PL2…第1、第2平面、 V1~V4…第1~第4電位、 VCE(sat)_1…低減量、 d1~d4…第1~第4距離、 t1、t2…第1、第2時刻、 td…時間差、 tm…時間、 w1、w2…第1、第2幅、 z1、z2…第1、第2厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17