(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】特典付与システム及び特典付与方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240903BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240903BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240903BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240903BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240903BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240903BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
G06Q50/10
G06Q50/40
B61L23/00 Z
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2020192113
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 夏海
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062533(JP,A)
【文献】特開2013-080308(JP,A)
【文献】特開2007-128253(JP,A)
【文献】特開2010-055583(JP,A)
【文献】特開2020-013409(JP,A)
【文献】特開2003-058610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B61L 23/00
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定手段と、
前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与手段と、
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する表示手段と、を備え
、
前記推奨列車利用判定手段は、前記表示手段に表示された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を前記ユーザが所持する端末から取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする特典付与システム。
【請求項2】
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定手段と、
前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与手段と、を備え
、
前記推奨列車利用判定手段は、前記推奨列車に乗車する乗務員が使用する所定の端末から、前記ユーザの識別情報及び前記推奨列車の識別情報を取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする特典付与システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記推奨列車のうち一部の列車においてのみ、前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することを特徴とする請求項
1に記載の特典付与システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記推奨列車の車内に表示する前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを、所定のタイミングで変更することを特徴とする請求項
1又は3に記載の特典付与システム。
【請求項5】
前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が、特典付与の対象となる区間である特典付与対象区間に該当するかについて判定する特典付与対象区間利用判定手段を備え、
前記特典付与手段は、前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定し、かつ、前記特典付与対象区間利用判定手段が、前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が前記特典付与対象区間に該当すると判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与することを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の特典付与システム。
【請求項6】
前記特典付与対象区間利用判定手段は、前記ユーザによるICカード乗車券の利用履歴に基づいて、前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が、前記特典付与対象区間に該当するかについて判定することを特徴とする請求項
5に記載の特典付与システム。
【請求項7】
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記推奨列車が、前記特典付与対象区間のうち所定の地点以降の区間を走行中にのみ、前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することを特徴とする請求項
5又は
6に記載の特典付与システム。
【請求項8】
特典付与システムが行う特典付与方法において、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定ステップと、
前記推奨列車利用判定ステップにおいて、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与ステップと、
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示手段に表示する表示ステップと、を含
み、
前記推奨列車利用判定ステップは、前記表示手段に表示された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を前記ユーザが所持する端末から取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする特典付与方法。
【請求項9】
特典付与システムが行う特典付与方法において、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定ステップと、
前記推奨列車利用判定ステップにおいて、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与ステップと、を含
み、
前記推奨列車利用判定ステップは、前記推奨列車に乗車する乗務員が使用する所定の端末から、前記ユーザの識別情報及び前記推奨列車の識別情報を取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする特典付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特典付与システム及び特典付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道を用いた移動時には、出発駅及び到着駅が共通であっても、その間には複数の経路が存在する場合がある。
そして、このような複数の経路には、種々の目的から、鉄道事業者が乗客に利用を推奨する経路と、鉄道事業者が乗客に利用を推奨しない経路と、が存在することが想定される。
【0003】
そこで、ユーザが、頻繁に利用する通常経路に代えて、鉄道事業者等の特定の事業者が利用を推奨する経路を利用した場合に、所定の種類のポイント等の特典を付与することで、ユーザに対し、特定の事業者が利用を推奨する経路の利用を促すことを目的としたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同一の経路を走行する列車であっても、例えば、急行列車・普通列車等の列車の種類や、時間帯等の要因によって、列車毎に混雑状況に大きな違いが生じる場合がある。そして、このような場合において、特定の列車に乗客が集中することによって生じる混雑を緩和するためには、乗客に対し、同一の経路を走行する列車の中で、比較的空いている列車の利用を推奨することが必要となる。
この点、特許文献1に記載のシステムにおいては、ユーザに特定の経路の利用を促すことはできても、同一の経路を走行する列車の中で特定の列車の利用を促すことはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、ユーザに特定の列車の利用を促すことができる特典付与システム及び特典付与方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、特典付与システムにおいて、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定手段と、
前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与手段と、
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する表示手段と、を備え、
前記推奨列車利用判定手段は、前記表示手段に表示された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を前記ユーザが所持する端末から取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、特典付与システムにおいて、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定手段と、
前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与手段と、を備え、
前記推奨列車利用判定手段は、前記推奨列車に乗車する乗務員が使用する所定の端末から、前記ユーザの識別情報及び前記推奨列車の識別情報を取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の特典付与システムにおいて、
前記表示手段は、前記推奨列車のうち一部の列車においてのみ、前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は3に記載の特典付与システムにおいて、
前記表示手段は、前記推奨列車の車内に表示する前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを、所定のタイミングで変更することを特徴とする。
像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の特典付与システムにおいて、
前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が、特典付与の対象となる区間である特典付与対象区間に該当するかについて判定する特典付与対象区間利用判定手段を備え、
前記特典付与手段は、前記推奨列車利用判定手段が、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定し、かつ、前記特典付与対象区間利用判定手段が、前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が前記特典付与対象区間に該当すると判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の特典付与システムにおいて、
前記特典付与対象区間利用判定手段は、前記ユーザによるICカード乗車券の利用履歴に基づいて、前記ユーザによる前記推奨列車の利用区間が、前記特典付与対象区間に該当するかについて判定することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の特典付与システムにおいて、
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記推奨列車が、前記特典付与対象区間のうち所定の地点以降の区間を走行中にのみ、前記所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、特典付与システムが行う特典付与方法において、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定ステップと、
前記推奨列車利用判定ステップにおいて、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与ステップと、
前記推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示手段に表示する表示ステップと、を含み、
前記推奨列車利用判定ステップは、前記表示手段に表示された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を前記ユーザが所持する端末から取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、特典付与システムが行う特典付与方法において、
ユーザによる特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車の利用の有無について判定する推奨列車利用判定ステップと、
前記推奨列車利用判定ステップにおいて、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定した場合に、所定の特典を前記ユーザに付与する特典付与ステップと、を含み、
前記推奨列車利用判定ステップは、前記推奨列車に乗車する乗務員が使用する所定の端末から、前記ユーザの識別情報及び前記推奨列車の識別情報を取得した場合に、前記ユーザが前記推奨列車を利用したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザに特定の列車の利用を促すことができる特典付与システム及び特典付与方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る特典付与システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る特典付与システムの動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る特典付与システムの推奨列車利用の有無の判定の際の動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る特典付与システムの利用区間が特典付与対象区間に該当するか否かの判定の際の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1から
図4に基づいて、本発明の実施形態である特典付与システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0019】
[第1 構成の説明]
特典付与システム100は、ユーザが、本システムを管理・運営する特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車を利用した場合に、所定の種類のポイント等の特典を付与するためのシステムであり、
図1に示すように、本システムを管理・運営する特定の鉄道事業者が保有する各種サーバ、すなわち、特典付与対象を決定する特典付与対象決定サーバ1、ICカード乗車券の利用履歴に係る情報を記憶するICカード利用履歴記憶サーバ2及び所定の種類のポイント等の特典の付与を行う特典付与サーバ3と、本システムを管理・運営する特定の鉄道事業者が運営する鉄道路線を走行する各列車内に備えられた列車内表示装置4と、を備えて構成され、各装置の間は、
図1に示すように通信ネットワークNを介して接続されている。また、特典付与システム100は、特典付与対象決定サーバ1が通信ネットワークNを介して、特典付与システム100を利用して特典の付与を受けるユーザが所持するユーザ端末5と接続されている。
【0020】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一のPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしも単一のPC、WS等の情報機器によって実現されることを要せず、複数台のPC、WS等の情報機器が通信ネットワークNを介して接続されることで、複数台の情報機器により、各サーバとしての機能が実現されていてもよい。
【0021】
[1 特典付与対象決定サーバ]
特典付与対象決定サーバ1は、例えば、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、推奨列車利用の有無の判定及び利用区間が特典付与対象区間に該当するか否かの判定を行い、所定の種類のポイント等の特典の付与の対象となるユーザを決定する。
特典付与対象決定サーバ1は、
図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0022】
[(1) 制御部]
制御部11は、特典付与対象決定サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、特典付与対象決定サーバ1の各部を統括制御する。
【0023】
[(2) 記憶部]
記憶部12は、特典付与対象決定サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の特典付与対象決定サーバ1の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0024】
記憶部12は、特典付与対象決定プログラム121と、ユーザ情報記憶部122と、特典付与対象区間情報記憶部123と、を備える。
【0025】
特典付与対象決定プログラム121は、特典付与対象決定サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムであり、後述の動作の説明において述べる特典付与対象決定サーバ1の動作は、特典付与対象決定プログラム121に従ってなされることとなる。
【0026】
ユーザ情報記憶部122には、本システムを利用して特典の付与を受ける各ユーザに係る情報であるユーザデータD1と、各ユーザが登録したICカード乗車券に係る情報であるICカード乗車券データD2と、が紐付けて記憶されている。
【0027】
ユーザデータD1は、例えば、本システムを利用して特典の付与を受ける各ユーザに設定された識別情報であるユーザIDと、氏名、生年月日等の各ユーザの個人情報に係るデータと、が紐付けられたデータである。
【0028】
ICカード乗車券データD2は、ICカード乗車券に係るカード番号やID等の識別情報を含む、本システムを利用して特典の付与を受ける各ユーザが予め登録したICカード乗車券に係るデータである。
なお、ICカード乗車券には、たとえば、SUICA(登録商標)や、PASMO(登録商標)等が該当するが、これらに限られない。
【0029】
特典付与対象区間情報記憶部123には、ユーザによる推奨列車の利用時に特典付与の対象となる区間に係る情報である特典付与対象区間データD3が記憶されている。
【0030】
特典付与対象区間データD3は、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が予め登録した、ユーザによる推奨列車の利用時に特典付与の対象となる特典付与対象区間に係る情報である。
【0031】
特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者は、特典付与対象区間データD3として、特典付与の対象としたい区間を自由に設定することが可能であり、特典付与の目的に応じて適切な区間を特典付与対象区間として登録するようにすればよい。
【0032】
具体的には、鉄道事業者は、特典付与対象区間として、推奨列車以外の列車による移動も可能である区間のみを設定して登録することで、推奨列車以外の列車の利用が可能であるにも関わらず、あえて推奨列車を利用したユーザに対してのみ特典を付与することが可能となる。
例えば、鉄道事業者は、混雑する急行列車に代えて、比較的空いている普通列車(各駅停車)の利用を推奨したい場合であれば、出発駅及び到着駅のいずれも急行列車及び普通列車(各駅停車)が停車する駅である区間のみを特典付与対象区間として登録することとで、急行列車を利用して迅速に移動することが可能であるにもかかわらず、あえて普通列車を利用したユーザに対してのみ特典を付与することが可能となる。
【0033】
[(3) 通信部]
通信部13は、特典付与対象決定サーバ1と他の装置との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0034】
[2 ICカード利用履歴記憶サーバ]
ICカード利用履歴記憶サーバ2は、例えば、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が保有するPC、WS等の情報機器であり、例えば、各駅の改札と通信ネットワークNを介して接続され、各駅で所定の種類のICカード乗車券が利用される度に、当該種類のICカード乗車券の利用履歴に係る情報(例えば、入場駅、出場駅、入場時間、出場時間等の情報と、カード番号やID等の利用されたICカード乗車券に係る識別情報と、が紐付けられた情報)を取得し、記憶する。
【0035】
ICカード利用履歴記憶サーバ2は、
図1に示すように、特典付与対象決定サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0036】
制御部21及び通信部23の構成は、それぞれ特典付与対象決定サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部22は、特典付与対象決定サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、ICカード乗車券の利用履歴に係る情報が記憶される。
【0037】
[3 特典付与サーバ]
特典付与サーバ3は、例えば、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が保有するPC、WS等の情報機器であり、ユーザに付与された所定の種類のポイント等の特典に係る情報を管理し、後述のように、特典付与対象決定サーバ1によって決定された特典付与の対象となるユーザに、所定の種類のポイント等の特典を付与する。
特典付与サーバ3は、
図1に示すように、特典付与対象決定サーバ1と同様、例えば、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えて構成されている。
【0038】
制御部31及び通信部33の構成は、それぞれ特典付与対象決定サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部32は、特典付与対象決定サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、後述のようにユーザに付与された所定の種類のポイント等の特典に係る情報が記憶される。
特典付与サーバ3は、例えば、特典付与対象決定サーバ1によって決定された特典付与の対象となるユーザに係るデータを、ポイントの付与率等の所定の特典の付与条件に従って制御部31が更新した後に、当該更新に係る情報を特典の付与を受けるユーザに通知することにより、当該ユーザに、所定の種類のポイント等の特典を付与する。
【0039】
[4 列車内表示装置]
列車内表示装置4は、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が運営する鉄道路線において運行される各列車の車内に備えられた、画像を表示可能に形成された装置であり、後述のように、設置された列車が上記鉄道事業者が利用を推奨する推奨列車である場合に、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する。
列車内表示装置4は、例えば、制御部41と、表示部42と、を備えて構成されている。
【0040】
制御部41の構成は、特典付与対象決定サーバ1における制御部11と変わるところはない。
【0041】
表示部42は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部41から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0042】
[5 ユーザ端末]
ユーザ端末5は、例えば、特典付与システム100を利用して特典の付与を受けるユーザが所持するスマートフォン、タブレット端末等の情報機器であり、後述のように、ユーザによる列車内表示装置4に表示された合言葉又は画像の内容に係る情報の入力や、列車内表示装置4に表示された一次元又は二次元のコードの撮影が行われた際に、入力された合言葉又は画像の内容に係る情報や、撮影されたコードに係る情報の特典付与対象決定サーバ1への送信等を行う。
ユーザ端末5は、
図1に示すように、例えば、特典付与対象決定サーバ1と同様に、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、を備えると共に、さらに、表示部54と、操作部55と、撮像部56と、を備えて構成されている。
【0043】
制御部51及び通信部53の構成は、それぞれ特典付与対象決定サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。また、表示部54の構成は、列車内表示装置4における表示部42と変わるところはない。
【0044】
記憶部52は、特典付与対象決定サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等のユーザ端末5の運用に必要となるデータを、制御部51から読み書き可能に記憶する。
記憶部52は、ユーザ端末用アプリケーション521を備える。ユーザ端末用アプリケーション521は、ユーザ端末5を動作させるための制御部51への各種命令を含むプログラムであり、後述の動作の説明において述べるユーザ端末5の動作は、ユーザ端末用アプリケーション521に従ってなされることとなる。
【0045】
操作部55は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、ユーザ端末5を使用するユーザからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部51へと出力する。操作部55は、例えば、表示部54と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよく、ユーザからの操作入力を受け付けることができるものであれば特に限定されない。
【0046】
撮像部56は、例えば、レンズ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像素子と、を有し、レンズの光軸方向の画像(動画を含む。)を撮像する。撮像部56は、撮像した画像データを制御部51へと出力する。
【0047】
[6 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、
図1に示すように、特典付与システム100を構成する各装置の間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように各装置間を繋ぎ、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0048】
[第2 動作の説明]
以下、本実施形態に係る特典付与システム100の動作について説明する。
特典付与システム100の動作は、
図2のフローチャートに示すように、推奨列車利用の有無の判定(ステップS1)、利用区間が特典付与対象区間に該当するか否かの判定(ステップS2)及び特典付与(ステップS3)の3つの工程からなる。
【0049】
[1 ステップS1 推奨列車利用の有無の判定]
まず、特典付与システム100において、ユーザが、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車を利用した際に、当該利用に係る情報を取得し、推奨列車の利用の有無につき判定する際の動作について、
図2及び
図3のフローチャートに従って説明する。
【0050】
まず、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者が運営する鉄道路線において運行される各列車の車内に設けられた列車内表示装置4のうち、当該鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車として運行中の列車に設置されたものにおいて、当該列車の運行中の所定のタイミングで、制御部41が、表示部42に、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する(ステップS1-1)。
【0051】
具体的には、例えば、鉄道事業者が急行列車ではなく普通列車の利用を推奨する場合であれば、普通列車として運行中の列車が推奨列車に該当することとなり、この場合、普通列車として運行中の列車の車内に設けられた列車内表示装置4のみが、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する。
また、例えば、鉄道事業者が、混雑する時間帯を避け、空いている時間帯の列車の利用を推奨する場合であれば、統計的に空いていることが予測される特定の時間帯に運行中の列車が推奨列車に該当することとなり、この場合、当該時間帯に運行中の列車の車内に設けられた列車内表示装置4のみが、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する。
【0052】
具体的な合言葉の内容としては、何らかのメッセージやパスワード等、その内容は特に限定されないが、推奨列車に乗車してないユーザが推測できない程度の長さ、内容を有するものであることが好ましい。
また、画像としては、ユーザが種類を識別できる何らかの物品を、所定の個数表示する画像を用いればよい。なお、表示する物品としては、ユーザが種類を識別できるものであれば特に限定されない。
また、一次元又は二次元のコードとしては、所定の情報を、例えば、QRコード(登録商標)に係るフォーマット等の所定の一次元又は二次元コードのフォーマットに従い、コード化したものを用いればよい。
【0053】
所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示するタイミングとしては、推奨列車としての運行中常時表示されるようにしてもよいが、推奨列車からの途中下車を回避するため、特典付与対象区間データD3に係る特典付与対象区間のうち、後半の所定の区間(区間途中の所定の地点から到着駅までの間の区間)においてのみ表示されるようにすることが好ましい。
【0054】
また、合言葉、画像、一次元又は二次元のコードのいずれについても、例えば日毎、週毎等所定のタイミングで新しい合言葉、画像又はコードに更新され、更新前後で異なる内容となるようにすることが好ましい。
また、合言葉、画像、一次元又は二次元のコードのいずれについても、列車毎に異なる内容が表示されるようにすることが好ましい。
【0055】
また、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードは、推奨列車の全てにおいて表示してもよいが、推奨列車のうち一部の列車においてのみ表示するようにして、ユーザが乗車する列車に所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードが表示されているか否かを予測できないようにしてもよい。
この場合、例えば、上記のように、普通列車として運行中の列車が推奨列車に該当する場合においても、全ての普通列車の車内に設けられた列車内表示装置4が所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することなく、普通列車の一部の車内に設けられた列車内表示装置4のみが、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することとなる。
また、例えば、上記のように特定の時間帯に運行中の列車が推奨列車に該当する場合においても、当該時間帯に運行中の全ての列車の車内に設けられた列車内表示装置4が所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することなく、当該時間帯に運行中の列車の一部の車内に設けられた列車内表示装置4のみが、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することとなる。
【0056】
列車内表示装置4が所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する推奨列車に乗車したユーザは、本システムを利用して特典の付与を受けることを希望する場合、合言葉若しくは画像の内容に係る情報の入力又は一次元若しくは二次元のコードの撮影を行う(ステップS1-2)。
【0057】
具体的には、列車内に合言葉が表示されている場合には、ユーザは、表示されている合言葉を、ユーザ端末5の操作部55を用いて入力する。
また、列車内に画像が表示されている場合、ユーザは表示されている画像の内容に係る情報を、ユーザ端末5の操作部55を用いて入力する。具体的には、例えば画像と共に表示される指示に従って、画像内に表示されている物品の種類や数に係る情報を入力する。
また、列車内に一次元又は二次元のコードが表示されている場合には、ユーザは、ユーザ端末5の操作部55を用いた操作により、撮像部56を用いて、表示されている一次元又は二次元のコードを撮影する。
【0058】
ユーザによって合言葉若しくは画像の内容に係る情報の入力又は一次元若しくは二次元のコードの撮影が行われると、ユーザ端末5の制御部51は、入力された合言葉若しくは画像の内容に係る情報又は撮影された一次元若しくは二次元のコードに係る情報を、特典付与対象決定サーバ1へと送信する(ステップS1-3)。
【0059】
具体的には、ユーザによって合言葉又は画像の内容に係る情報が入力された場合には、ユーザ端末5の制御部51は、入力された合言葉又は画像の内容に係る情報を、ユーザデータD1に係るユーザID等の当該ユーザを特定できる識別情報と紐付けて、通信部53から通信ネットワークNを介して、特典付与対象決定サーバ1へと送信する。
また、一次元又は二次元のコードが撮影された場合には、ユーザ端末5の制御部51は、撮像部56によって撮影された一次元又は二次元のコードから、当該コードに記憶された情報を読み取り、読み取った情報を、ユーザデータD1に係るユーザID等の当該ユーザを特定できる識別情報と紐付けて、通信部53から通信ネットワークNを介して、特典付与対象決定サーバ1へと送信する。
【0060】
ユーザ端末5から上記の情報が送信されると、特典付与対象決定サーバ1は、ユーザ端末5から送信された上記の情報を、通信部13によって受信する(ステップS1-4)。
これによって、特典付与対象決定サーバ1は、ユーザが推奨列車を利用したことを示す情報である列車内に表示された合言葉、列車内に表示された画像の内容に係る情報又は列車内に表示された一次元若しくは二次元のコードに記憶された情報と、ユーザデータD1に係るユーザID等の当該ユーザを特定できる識別情報と、が紐付けられた情報を取得することとなる。
【0061】
特典付与対象決定サーバ1において、ユーザ端末5から送信された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を取得すると、制御部11は、当該ユーザ端末5を所持するユーザによる推奨列車の利用があったものと判定して、
図2に示すように、ステップS2へと進むこととなる。
これに対し、特典付与対象決定サーバ1において、ユーザ端末5から送信された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を取得していない場合、制御部11は、ユーザによる推奨列車の利用がなかったものと判定し、
図2に示すように、ステップS2へと進むことはなく特典付与の対象外となる。
【0062】
[2 ステップS2 利用区間が特典付与対象区間に該当するか否かの判定]
続いて、特典付与システム100において、ユーザによる推奨列車の利用区間が、特典付与の対象となる特典付与対象区間に該当するか否かについて判定する際の動作について、
図2及び
図4のフローチャートに従って、説明する。
【0063】
特典付与対象決定サーバ1においては、ユーザ端末5から送信された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を取得し、当該ユーザ端末5を所持するユーザによる推奨列車の利用があったものと判定すると、続いて、当該ユーザ端末5を所持するユーザによる推奨列車の利用区間を特定する(ステップS2-1)。
【0064】
例えば、特典付与対象決定サーバ1の制御部11は、まず、記憶部12のユーザ情報記憶部122につき検索し、ステップS1-4で受信したユーザデータD1と紐付けて記憶されたICカード乗車券データD2を抽出する。続いて、制御部11は、通信部13により通信ネットワークNを介して、ICカード利用履歴記憶サーバ2から、当該ICカード乗車券データD2に係るICカード乗車券の利用履歴、すなわち当該ICカード乗車券による入場駅、出場駅、入場時間、出場時間等に係る情報を取得し、当該利用履歴から、当該ユーザによる推奨列車の利用区間を特定するようにすればよい。
【0065】
なお、ユーザによる推奨列車の利用区間の特定方法は上記のICカード乗車券の利用履歴によるものに限られず、ユーザが推奨列車を利用した区間を特定できるものであれば、その他の方法を用いてもよい。例えば、推奨列車が事前に乗車列車及び乗車区間を指定してチケットを購入することを要する特急列車である場合等には、ユーザが事前に購入したチケットの乗車区間に係る情報から、ユーザによる推奨列車の利用区間につき特定するといった方法を採ることも可能である。
【0066】
続いて、特典付与対象決定サーバ1の制御部11は、ステップS2-1において特定したユーザによる推奨列車の利用区間と、記憶部12の特典付与対象区間情報記憶部123に記憶された特典付与対象区間データD3とを対比し、ステップS2-1において特定した利用区間が、特典付与対象区間データD3に係る特典付与対象区間に該当するか否かにつき判定する(ステップS2-2)。
【0067】
ステップS2-1において特定したユーザによる推奨列車の利用区間が、特典付与対象区間データD3に係る特典付与対象区間に該当する場合、特典付与の対象となることが確認し、
図2に示すように、ステップS3へと進むこととなる。
これに対し、ステップS2-1において特定したユーザによる推奨列車の利用区間が、特典付与対象区間データD3に係る特典付与対象区間に該当しない場合、
図2に示すように、ステップS3へと進むことはなく、特典付与の対象外となる。
【0068】
[3 ステップS3 特典付与]
ステップS2-2において特典の付与の対象となることが確定した場合、特典付与対象決定サーバ1の制御部11は、通信部13から通信ネットワークNを介して、特典付与の対象に係るユーザデータD1等の特典付与の対象となるユーザを識別し得る情報を、特典付与サーバ3へと送信し、通信部33によってこれを受信した特典付与サーバ3において、制御部31が所定の処理を行い、特典付与対象となるユーザに対し、所定の種類のポイント等の特典を付与する。
【0069】
特典付与サーバ3における特典付与の方法は特に限定されず、既存のポイント等の特典付与のためのシステムをそのまま使用すればよい。例えば、制御部31は、ICカード乗車券において電子マネーとして使用できるポイント等の所定の種類のポイントについて、付与するポイント数について算出した後、記憶部32に記憶されたユーザ毎の保持するポイント数に係るデータの更新等の処理を行った後、所定の方法でこれをユーザに通知することで、所定の種類のポイントを付与するようにすればよい。
【0070】
なお、特典付与サーバ3においてユーザに付与される特典は、ポイントに限られず、例えば電子マネーのキャッシュバックや所定の商品の割引クーポン等、ユーザにとって何らかの利益となり、推奨列車の利用を促すことができるものであれば特に限定されない。ただし、ユーザによる推奨列車の利用によって、特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者の収入が増加するわけではないことから、ユーザに付与される特典は、例えば所定のゲーム内で使用できるポイント等、付与するために原資を必要としないものであることが好ましい。
また、特典付与サーバ3は、自ら特典を付与せずに、制御部31が、通信部33から通信ネットワークNを介して、外部の所定のシステムに対し、所定の種類のポイント等の特典の付与を指示するようにしてもよい。この場合も、特典の付与は特典付与サーバ3の制御部31の指示によって行われることから、制御部31が、本発明における特典付与手段として機能することとなる。
【0071】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る特典付与システム100の効果について説明する。
【0072】
本実施形態に係る特典付与システム100によれば、特典付与対象決定サーバ1において、ユーザによる推奨列車の利用の有無について判定し、特典付与対象決定サーバ1においてユーザによる推奨列車の利用があったと判定された場合に、特典付与サーバ3において所定の種類のポイント等の特典を付与することで、ユーザに特定の推奨列車の利用を促すことができる。
【0073】
また、特典付与システム100が、推奨列車の車内において所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示する列車内表示装置4を備え、特典付与対象決定サーバ1において、ユーザ端末5から列車内表示装置4で表示された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を取得した場合に、当該ユーザ端末5を所持するユーザによる推奨列車の利用があった判定することで、ユーザによる推奨列車の利用の有無につき、容易に判定することが可能となる。
【0074】
また、列車内表示装置4が、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを、推奨列車の全てにおいて表示することなく、推奨列車のうち一部の列車においてのみ表示するようにした場合、ユーザが乗車する列車に所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードが表示されているか否かを予測できなくなることから、一種の抽選のような形で、特典の付与にゲーム性を持たせることが可能となる。
【0075】
また、列車内表示装置4が表示する所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに長期間変更がないと、例えばこれを撮影した写真がインターネット上に流通した場合等に、不正に特典の付与を受けるユーザが生じる可能性が高まるが、列車内表示装置4が表示する所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを、所定のタイミングで新しいコードに更新し、変更することで、このようなおそれを低減できる。
【0076】
また、特典付与対象決定サーバ1において、さらにユーザによる推奨列車の利用区間が予め記憶された特典付与対象区間データD3に係る特典付与対象区間に該当するかについて判定の上、ユーザによって推奨列車の利用がなされた場合において、さらに推奨列車の利用区間が特典付与対象区間に該当する場合にのみ所定の種類のポイント等の特典を付与することで、単に推奨列車を利用したのみならず、利用区間も特典付与システム100を管理・運営する特定の鉄道事業者による特典付与の意図に合致するユーザに対してのみ、特典を付与することが可能となる。
【0077】
例えば、上記のように、鉄道事業者が、混雑する急行列車に代えて、比較的空いている普通列車の利用を推奨したい場合であれば、そもそも急行列車が停車せず、普通列車しか停車しない駅で乗車及び/又は降車するユーザに特典を付与しても、特典を付与せずとも普通列車を利用するユーザであった可能性が高いことから、普通列車の利用を推奨する効果を期待できないユーザにも特典を付与することとなる。
この点、特典付与対象区間として、出発駅及び到着駅のいずれも急行列車が停車する駅である区間のみを予め登録し、このような区間において推奨列車を利用したユーザに対してのみ特典を付与することとで、急行列車を利用して迅速な移動が可能であるにもかかわらず、あえて普通列車を利用したユーザに対してのみ特典を付与することで、普通列車の利用を推奨する効果を期待できるユーザに対してのみ、特典を付与することが可能となる。
【0078】
また、特典付与対象決定サーバ1において、ICカード利用履歴記憶サーバ2から取得したICカード乗車券の利用履歴に係る情報に基づいて、ユーザによる推奨列車の利用区間につき特定の上、推奨列車の利用区間が特典付与対象区間に該当するかについて判定することで、ICカード乗車券の利用履歴から一律に判定を行うことができ、判定が容易となる。
【0079】
また、列車内表示装置4が、推奨列車が特典付与対象区間のうち所定の地点以降の区間を走行中にのみ、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することで、不正に特典の付与を受けるユーザが生じるおそれを低減することができる。
すなわち、特典付与対象区間の序盤で所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示してしまうと、例えば、これが表示されてすぐに特典の付与を受けた上で、途中下車して他の列車に乗り換えてしまうユーザが生じるおそれがあるが、推奨列車が所定の地点以降の区間を走行中にのみ、所定の合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードを表示することで、このような不正は困難となる。
【0080】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る特典付与システム100の変形例について説明する。
【0081】
上記実施形態においては、ユーザが、ユーザ端末5を用いて列車内に表示された合言葉若しくは画像の内容に係る情報を入力し、又は列車内に表示された一次元若しくは二次元のコードを撮影した場合に、特典付与対象決定サーバ1において、ユーザ端末5から送信された合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報を取得して、ユーザによる推奨列車利用の有無につき判定する場合について説明したが、特典付与対象決定サーバ1において、推奨列車の利用の有無につき判定する方法はこれに限られない。
【0082】
例えば、ユーザが、特定の鉄道事業者が利用を推奨する列車である推奨列車に乗車した際に、当該列車の乗務員に対し、本システムによる特典の付与を希望する旨を申告するようにし、申告を受けた乗務員が、当該ユーザに係るユーザID等の識別情報を確認の上、当該識別情報を、例えば列車番号等の当該推奨列車を識別し得る情報と共に、乗務員が携帯する所定の端末を用いて特典付与対象決定サーバ1に送信することで、特典付与対象決定サーバ1が、推奨列車の利用に係る情報(推奨列車を利用したユーザ及び利用された推奨列車の識別情報)を取得し、特典付与対象決定サーバ1において、これら情報を取得した際に、取得した識別情報に係るユーザが、取得した識別情報に係る推奨列車を利用したと判定するようにしてもよい。
このように乗務員によって特典付与対象決定サーバ1へと情報を送信する場合、乗務員が行うことを要する作業が増加する点がデメリットとなるが、逐一乗務員によるチェックがなされることから、不正に特典の付与を受けるユーザが生じるおそれは低減できる。
【0083】
また、このような乗務員が携帯する所定の端末から取得した情報に基づく推奨列車利用の有無の判定と、上記実施形態において説明した、ユーザ端末5から取得した合言葉、画像又は一次元若しくは二次元のコードに係る情報に基づく推奨列車利用の有無の判定と、の両者を併用するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態においては、ステップS1において推奨列車を利用したものと判定した場合において、さらにステップS2において推奨列車の利用区間が特典付与対象区間に該当すると判定した場合にのみ特典を付与する場合につき説明したが、推奨列車の利用があったと判定した場合に、直ちに特典を付与するように構成することも一応可能である。
この場合、上記のように特定の鉄道事業者による特典付与の意図に合致するユーザに対してのみ特典を付与することはできず、特典付与の意図に合致しないユーザに対してまで推奨列車を利用した場合に一律に特典を付与してしまうことから好ましくはないものの、より簡易な処理で特典付与対象を決定することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
100 特典付与システム
1 特典付与対象決定サーバ
11 制御部(推奨列車利用判定手段、特典付与対象区間利用判定手段)
12 記憶部
13 通信部
2 ICカード利用履歴記憶サーバ
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
3 特典付与サーバ
31 制御部(特典付与手段)
32 記憶部
33 通信部
4 列車内表示装置(表示手段)
5 ユーザ端末
N 通信ネットワーク