(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、マンモグラフィ装置、プログラム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240903BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240903BHJP
A61B 6/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61B6/00 530Z
A61B6/46 506B
A61B6/02 501D
(21)【出願番号】P 2020199393
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 考宏
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/080082(WO,A1)
【文献】特開2002-065613(JP,A)
【文献】特開2017-042422(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203531(WO,A1)
【文献】特開2017-042558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0023576(US,A1)
【文献】国際公開第2006/100810(WO,A1)
【文献】特開2005-253684(JP,A)
【文献】国際公開第2006/129433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される
前記乳房の
表示位置を変更する変更手段と、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更手段によって変更された前記乳房の
表示位置
の変更情報に基づいて、
前記第2の医用画像により表される乳房の
表示位置を修正する修正手段と、を備える、
医用画像処理装置。
【請求項2】
前記修正手段は、前記乳房の
表示位置の変更に基づく変更情報を取得し、当該変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される乳房の
表示位置を修正する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記第1の医用画像と左右一対となる
前記第3の医用画像との間で乳房の位置が左右対称となるよう、前記第1の医用画像により表される乳房の
表示位置を変更する、
請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記第1の医用画像と前記第3の医用画像との間で予め定められた共通の関心部位が予め定められた位置に表示されるよう、前記第1の医用画像により表される乳房の
表示位置を変更する、
請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記変更手段は、操作者の操作に応じて、前記第1の医用画像により表される乳房の
表示位置を変更する、
請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の医用画像および前記第2の医用画像の少なくとも一方は、互いに同一の配置状態で乳房が撮影された画像を識別する配置識別情報が付帯され、
前記修正手段は、前記配置識別情報に基づいて、前記乳房の配置状態が前記第1の医用画像と同一の第2の医用画像を特定し、当該第2の医用画像により表される乳房の
表示位置を修正する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記修正手段は、前記変更手段によって変更された前記乳房の
表示位置に基づいて、前記第2の医用画像に付与されているアノテーションの位置を修正する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の医用画像と前記第2の医用画像とは、互いに異なる種類の撮影によって得られた乳房画像である、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の医用画像および前記第2の医用画像のうち、一方はマンモグラフィ撮影によって得られた2次元画像であり、他方はトモシンセシス撮影によって得られた投影画像、当該投影画像を再構成して得られた断層画像、および、当該断層画像を合成して得られた合成2次元画像の何れかである、
請求項8に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記第1の医用画像と前記第2の医用画像とは互いに同じ種類の撮影によって得られた乳房画像である、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記第1の医用画像および前記第2の医用画像のうち、一方は、トモシンセシス撮影によって得られた投影画像、当該投影画像を再構成して得られた断層画像、および、当該断層画像を合成して得られた合成2次元画像の何れかであり、他方は、前記投影画像、前記断層画像、および、前記合成2次元画像のうち前記一方の画像とは異なる画像である、
請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記修正手段は、前記第2の医用画像と前記第4の医用画像とを前記表示領域にて左右並列に表示する場合に、前記第2の医用画像により表される前記乳房の表示位置を、前記変更手段によって変更された乳房の表示位置に合わせる、請求項1乃至11の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記変更情報は、前記乳房の表示位置の変更方向と変更量とである、請求項1乃至12の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記第1の医用画像と前記第2の医用画像とは、前記左右の乳房のうち一方の乳房を圧迫板によって圧迫開始してから圧迫終了するまでの期間において撮影された医用画像であり、前記第3の医用画像と前記第4の医用画像とは、前記左右の乳房のうち他方の乳房を圧迫板によって圧迫開始してから圧迫終了するまでの期間において撮影された医用画像である、請求項1乃至13の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記第1の医用画像と前記第3の医用画像とを左右並列に表示させ、操作者の操作に応じて、前記乳房の表示位置が修正された前記第2の医用画像と前記第4の医用画像とを左右並列に表示させる表示制御手段をさらに備える、請求項1乃至14の何れか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
乳房を撮影する乳房撮影部と、
前記乳房撮影部によって撮影された医用画像を処理する医用画像処理部と、を備え、
前記医用画像処理部は、
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される
前記乳房の
表示位置を変更する変更手段と、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更手段によって変更された前記乳房の
表示位置
の変更情報に基づいて、
前記第2の医用画像により表される乳房の
表示位置を修正する修正手段と、を備える、
マンモグラフィ装置。
【請求項17】
コンピュータを、
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される
前記乳房の
表示位置を変更する変更機能、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更機能によって変更された前記乳房の
表示位置
の変更情報に基づいて、
前記第2の医用画像により表される乳房の
表示位置を修正する修正機能、として機能させる、
プログラム。
【請求項18】
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される前記乳房の表示位置を変更し、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、変更された前記乳房の表示位置の変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される乳房の表示位置を修正する、ことを含む、
方法。
【請求項19】
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される前記乳房の表示位置を、操作者の操作に応じて変更する変更手段と、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更手段によって変更された前記乳房の表示位置の変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される前記乳房の表示位置を修正する修正手段と、
を備え、
前記第1の医用画像及び前記第3の医用画像と、前記第2の医用画像及び前記第4の医用画像とのうち、一方はマンモグラフィ撮影によって得られた2次元画像であり、他方はトモシンセシス撮影によって得られた投影画像を再構成して得られた断層画像である、
医用画像処理装置。
【請求項20】
乳房を撮影する乳房撮影部と、
前記乳房撮影部によって撮影された医用画像を処理する医用画像処理部と、を備え、
前記医用画像処理部は、
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される前記乳房の表示位置を、操作者の操作に応じて変更する変更手段と、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更手段によって変更された前記乳房の表示位置の変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される前記乳房の表示位置を修正する修正手段と、
を備え、
前記第1の医用画像及び前記第3の医用画像と、前記第2の医用画像及び前記第4の医用画像とのうち、一方はマンモグラフィ撮影によって得られた2次元画像であり、他方はトモシンセシス撮影によって得られた投影画像を再構成して得られた断層画像である、
マンモグラフィ装置。
【請求項21】
コンピュータを、
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される前記乳房の表示位置を、操作者の操作に応じて変更する変更機能、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、前記変更機能によって変更された前記乳房の表示位置の変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される前記乳房の表示位置を修正する修正機能、として機能させ、
前記第1の医用画像及び前記第3の医用画像と、前記第2の医用画像及び前記第4の医用画像とのうち、一方はマンモグラフィ撮影によって得られた2次元画像であり、他方はトモシンセシス撮影によって得られた投影画像を再構成して得られた断層画像である、
プログラム。
【請求項22】
左右の乳房のいずれか一方を対象として撮影された第1の医用画像と他方の乳房を対象として撮影された第3の医用画像とを左右並列に表示する表示領域において、前記第1の医用画像により表される前記乳房の表示位置を、操作者の操作に応じて変更し、
前記第1の医用画像における前記乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第2の医用画像と前記第3の医用画像における乳房と同一の乳房を対象として同一の配置状態で撮影された第4の医用画像とを左右並列に表示する場合に、変更された前記乳房の表示位置の変更情報に基づいて、前記第2の医用画像により表される前記乳房の表示位置を修正する、
ことを含み、
前記第1の医用画像及び前記第3の医用画像と、前記第2の医用画像及び前記第4の医用画像とのうち、一方はマンモグラフィ撮影によって得られた2次元画像であり、他方はトモシンセシス撮影によって得られた投影画像を再構成して得られた断層画像である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、マンモグラフィ装置、プログラム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィ装置を用いた検査において、ポジショニングされた被検体(乳房)について2次元撮影とトモシンセシス撮影とが連続的に行われることがある。2次元撮影およびトモシンセシス撮影は、左右の乳房に対してそれぞれ行われる。マンモグラフィ装置は、2次元撮影されたX線画像(2次元画像)と、トモシンセシス撮影されたX線画像(トモシンセシス画像)とについて、左右の乳房を比較読影しやすくするため、左右の乳房を対称(例えば、背中合わせ)にしてディスプレイに表示する。
【0003】
しかし、左の乳房を撮影した場合と右の乳房を撮影した場合とで、載置台における乳房の載置位置が異なると、左右対称に乳房を表示できない。2次元撮影とトモシンセシス撮影とが連続的に行われた場合、放射線技師や読影医等の操作者は、2次元画像およびトモシンセシス画像の両方について、左右の乳房のずれを補正する必要があり、煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、比較対象の医用画像により表される乳房の位置を簡単に修正することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理装置は、変更手段および修正手段を備える。変更手段は、第1の医用画像により表される乳房の位置を変更する。修正手段は、変更手段によって変更された乳房の位置に基づいて、当該乳房の配置状態が第1の医用画像と同一の第2の医用画像により表される乳房の位置を修正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したマンモグラフィ装置による処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図1に示したマンモグラフィ装置に表示されるX線画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したマンモグラフィ装置による処理結果の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、医用画像処理装置、マンモグラフィ装置、および、プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、マンモグラフィ装置1は、乳房撮影部10と、医用画像処理部20とを備える。
【0010】
乳房撮影部10は、放射線技師等の操作者によってポジショニングされた乳房Bを圧迫してX線撮影を行う。乳房撮影部10は、左右それぞれの乳房に対してX線撮影を行う。ここでいうX線撮影は、2次元撮影(マンモグラフィ撮影)およびトモシンセシス撮影であり、乳房撮影部10は、乳房の配置状態を維持したまま、2次元撮影とトモシンセシス撮影とを連続的に行う。2次元撮影は、乳房に対してX線を一方向から照射することによって平面的な画像を取得する撮影である。トモシンセシス撮影は、乳房に対して複数の方向から順次X線を照射することによって立体的な画像を取得する撮影である。乳房に対して行われるX線の撮影方向には、頭尾(CC:Cranio-Caudal projection)方向、内外斜位(Medio-Lateral Oblique projection:MLO)方向等がある。
【0011】
医用画像処理部20は、乳房撮影部10によって行われた2次元撮影(マンモグラフィ撮影)に基づくX線画像(2次元画像)およびトモシンセシス撮影に基づくX線画像(トモシンセシス画像)を表示する。2次元画像とトモシンセシス画像とは、互いに異なる種類の撮影によって得られた乳房画像である。医用画像処理部20は、左右それぞれの乳房に対応する2次元画像およびトモシンセシス画像を表示する。
【0012】
乳房撮影部10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、X線絞り器103と、圧迫板104と、載置台105と、X線検出器106と、アーム107と、システム制御回路108と、アーム駆動回路109と、圧迫板駆動回路110とを有する。
【0013】
X線高電圧装置101は、システム制御回路108の制御に応じて高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管102に印加する。X線管102は、X線高電圧装置101によって印加された高電圧に基づいて、載置台105に載置された乳房Bに向けてX線を照射する。X線絞り器103は、例えば、上下、左右にそれぞれ一対ずつ(計4枚)設けられた絞り羽根を備える。絞り羽根は、X線を遮蔽する鉛等の材料によって平板状に形成されている。X線絞り器103は、システム制御回路108の制御に応じて絞り羽根を開閉し、X線管102から照射されたX線の照射範囲(照射野)を形成する。
【0014】
圧迫板104は、例えば、X線が透過する樹脂等の材料によって形成された透明または半透明な板であり、載置台105に載置された乳房Bを圧迫する。圧迫板104は、アーム107によって移動可能に支持され、載置台105との間で接離する方向に移動される。載置台105は、乳房Bを載置する台であり、アーム107によって支持される。載置台105は、X線管102に対向する位置に設けられ、X線検出器106を内部に備える。
【0015】
X線検出器106は、例えば、FPD(Flat Panel Detector)等から構成される。X線検出器106は、X線管102から照射されて乳房Bを透過したX線を検出する。X線検出器106は、検出したX線に対応した検出信号を医用画像処理部20に供給する。
【0016】
アーム107は、例えば、X線管支持機構と載置台支持機構とを有し、アーム駆動回路109によって、それぞれ独立に移動可能に設けられる。X線管支持機構は、X線管102、X線絞り器103を支持する。載置台支持機構は、圧迫板104、載置台105を支持する。
【0017】
システム制御回路108は、例えば、プロセッサから構成される。システム制御回路108は、医用画像処理部20から供給された制御信号を受け取り、当該制御信号に基づき、X線高電圧装置101、X線管102、X線絞り器103、載置台105、X線検出器106、アーム107、アーム駆動回路109、圧迫板駆動回路110を制御する。
【0018】
アーム駆動回路109は、例えば、モータ、アクチュエータ等から構成される。アーム駆動回路109は、システム制御回路108の制御のもと、アーム107を駆動する。乳房Bに対するX線撮影(2次元撮影およびトモシンセシス撮影)の位置は、アーム107の駆動によって変化する。圧迫板駆動回路110は、例えば、モータ、アクチュエータ等から構成される。圧迫板駆動回路110は、システム制御回路108の制御のもと、圧迫板104を駆動する。圧迫板104の駆動によって、載置台105に載置された乳房Bは圧迫される。
【0019】
一方、医用画像処理部20は、処理回路21と、入力インターフェース22と、ディスプレイ23と、記憶回路24とを有する。
【0020】
処理回路21は、例えば、プロセッサから構成される。処理回路21は、医用画像処理部20の各部、および、乳房撮影部10のシステム制御回路108を制御することにより、マンモグラフィ装置1全体を制御する。また、処理回路21は、記憶回路24に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、変更機能211、修正機能212として機能する。変更機能211は、変更手段の一例である。修正機能212は、修正手段の一例である。
【0021】
処理回路21は、システム制御回路108に制御信号を供給し、乳房撮影部10にX線撮影を行わせる。また、処理回路21は、ディスプレイ23にX線画像を表示させる。また、処理回路21は、乳房撮影部10のX線検出器106によって検出されたX線に対応した検出信号を乳房撮影部10から受け取り、X線画像(2次元画像、トモシンセシス画像)を生成する。
【0022】
処理回路21は、X線検出器106から供給された検出信号に対して画像処理を行い、当該画像処理によって得られるX線画像を記憶回路24に記憶する。処理回路21は、例えば、周波数処理、ダイナミックレンジ圧縮処理、階調処理等の各種処理を行う。また、処理回路21は、トモシンセシス撮影によって得られた複数の投影画像に対して、FBP(Filtered Back Projection)やOS―EM等の手法により画像再構成を実施して複数の断層画像を生成する。
【0023】
入力インターフェース22は、操作者からの各種の入力操作を受け付ける入力装置から構成される。入力インターフェース22は、操作者から入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に対応する電気信号を処理回路21に供給する。例えば、入力インターフェース22は、マウスやキーボード、トラックボール、曝射スイッチ等の各種ボタン、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等から構成される。
【0024】
ディスプレイ23は、各種の情報を表示する表示装置から構成される。例えば、ディスプレイ23は、処理回路21の制御のもと、GUI(Graphical User Interface)、X線画像、X線画像の付帯情報等を表示する。
【0025】
記憶回路24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等から構成され、各種情報、各種データ及び各種プログラムが記憶される。記憶回路24は、例えば、GUI(Graphical User Interface)、X線画像、X線画像に関する情報等が記憶される。また、記憶回路24は、処理回路21によって実行され、処理回路21を、変更機能211、修正機能212として機能させるプログラムが記憶される。
【0026】
以上のように構成されたマンモグラフィ装置1によって、医用画像処理部20は、乳房撮影部10によって行われた2次元撮影に基づくX線画像(2次元画像)およびトモシンセシス撮影に基づくX線画像(トモシンセシス画像)をディスプレイ23に表示する。2 次元画像とトモシンセシス画像とは、互いに異なる種類の撮影(2次元撮影、トモシンセシス撮影)によって得られた乳房画像である。
【0027】
ここで、マンモグラフィ検査においては、左右の乳房を片方ずつX線撮影するため、左の乳房を撮影した場合と右の乳房を撮影した場合とで、載置台における乳房の載置位置が異なることがある。このような場合、各X線画像をそのままディスプレイに表示すると、各X線画像により表される左右の乳房の位置は左右対称にならず、比較読影しにくいものとなってしまう。このような場合、操作者は、左右の乳房が対称となるよう、左右の乳房のずれを修正する操作を行う必要があった。また、2次元撮影とトモシンセシス撮影とが連続的に行われるので、左の乳房を撮影した場合と右の乳房を撮影した場合とで、載置台における乳房の載置位置が異なると、2次元画像およびトモシンセシス画像が両方とも比較読影しにくいものとなる。
【0028】
医用画像処理部20は、左右の乳房それぞれに対して取得された2次元画像およびトモシンセシス画像について、左の乳房の位置と右の乳房の位置とをそろえ、左右の乳房を比較読影しやすくする。つまり、医用画像処理部20は、左右の乳房の位置が左右対称となるよう、2次元画像およびトモシンセシス画像を修正する処理を行う。
【0029】
以上のように構成されたマンモグラフィ装置1が実行する処理について、以下、説明する。
【0030】
乳房撮影部10は、放射線技師等の操作者によってポジショニングされた乳房Bを圧迫してX線撮影を行う。具体的には、左右いずれかの乳房Bが載置台105に載置され、圧迫板104によって圧迫された状態でX線撮影が行われる。ここでいうX線撮影は、圧迫板104によって乳房Bが圧迫された状態で(乳房Bの配置状態を維持したまま)、2次元撮影およびトモシンセシス撮影が連続的に行われるものである。
【0031】
乳房撮影部10は、例えば、左の乳房Bに対してCC方向の2次元撮影を行う。アーム駆動回路109は、アーム107の角度が0度(CC方向)となるようにアーム107を配置させる。入力インターフェース22を介した操作者の操作(曝射スイッチをオンする操作)に応じて、X線管102はX線を照射し、X線検出器106は、X線管102から照射されて乳房Bを透過したX線を検出する。処理回路21は、X線検出器106によって供給された検出信号に対して画像処理を行う。これにより、医用画像処理部20は、左の乳房Bに対するCC方向の2次元画像を取得する。
【0032】
左の乳房Bに対してCC方向の2次元撮影が行われた後、乳房撮影部10は、左の乳房Bに対してCC方向のトモシンセシス撮影を行う。アーム駆動回路109は、アーム107の角度がトモシンセシス撮影の開始位置(例えば、-7.5度)となるようにアーム107を配置させる。また、アーム駆動回路109は、トモシンセシス撮影の開始位置から終了位置(例えば、+7.5度)まで所定の速度でアーム107を移動させ、トモシンセシス撮影の終了位置でアーム107を停止させる。
【0033】
一方、X線管102は、アーム107がトモシンセシス撮影の開始位置から終了位置まで移動する間、例えば、1秒間に2回等の所定の間隔でX線を照射する。X線検出器106は、X線管102から照射されて乳房Bを透過したX線を検出する度に、検出したX線に対応した検出信号を医用画像処理部20に供給する。処理回路21は、X線検出器106によって供給された検出信号に対して画像処理を行う。例えば、トモシンセシス撮影においてX線照射が15回行われた場合、処理回路21は、それぞれに対応する15枚分の投影画像を収集し、当該投影画像に基づき、FBPやOS―EM等の手法によって再構成処理を行い、複数の断層画像を取得する。これにより、医用画像処理部20は、左の乳房Bに対するCC方向のトモシンセシス画像(複数の断層画像)を取得する。このようにして、一方の乳房B(ここでは左の乳房B)に対する2次元撮影およびトモシンセシス撮影が、乳房Bの配置状態が維持されたまま連続的に行われる。
【0034】
一方の乳房Bに対する2次元撮影およびトモシンセシス撮影が行われた後、他方の乳房Bに対しても同様の撮影が行われる。つまり、左の乳房Bに対するCC方向の2次元撮影およびトモシンセシス撮影が行われた後、右の乳房Bに対するCC方向の2次元撮影およびトモシンセシス撮影が行われる。そして、処理回路21は、左右の乳房Bに対して取得された2次元画像およびトモシンセシス画像を記憶回路24に記憶する。
【0035】
また、処理回路21は、左右の乳房Bに対する2次元画像およびトモシンセシス画像(複数の断層画像)について、互いに同一の配置状態で撮影された画像であることを識別する配置識別情報を付帯する。例えば、左の乳房Bを表す2次元画像には、左の乳房Bを表すトモシンセシス画像を識別する配置識別情報が付帯される。右の乳房Bを表す2次元画像、左右それぞれに対応するトモシンセシス画像についても同様であり、各画像には、互いに同一の配置状態で撮影された画像であることを識別する配置識別情報が付帯される。処理回路21は、当該配置識別情報を、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)の標準タグまたはプライベートタグに含ませる。同一の配置状態で撮影された2次元画像とトモシンセシス画像とは、当該配置識別情報によって対応付けられる。
【0036】
また、処理回路21は、左右の乳房Bに対する2次元画像およびトモシンセシス画像(複数の断層画像)について、互いに左右一対となる画像であることを識別する対画像識別情報を付帯する。例えば、左の乳房Bを表す2次元画像には、左右一対となる右の乳房Bを表す2次元画像を識別する対画像識別情報が付帯される。右の乳房Bを表す2次元画像、左右それぞれに対応するトモシンセシス画像についても同様であり、各画像には、互いに左右一対となる画像であることを識別する対画像識別情報が付帯される。処理回路21は、当該付帯情報を、例えば、DICOMの標準タグまたはプライベートタグに含ませる。左右一対となる画像は、当該対画像識別情報によって対応付けられる。
【0037】
図2に示すように、処理回路21は、入力インターフェース22を介して受け付けられた操作者の操作に応じて、記憶回路24から読み出すX線画像を選択する(ステップS101)。処理回路21は、選択したX線画像をディスプレイ23に表示する(ステップS102)。左の乳房Bを表す2次元画像が選択された場合、処理回路21は、当該2次元画像に付帯された配置識別情報、対画像識別情報に基づいて、当該2次元画像と対応付けられた左の乳房Bを表すトモシンセシス画像、当該左の乳房Bと左右一対となる、右の乳房Bを表す2次元画像およびトモシンセシス画像をディスプレイ23に表示する。
【0038】
例えば、
図3に示すように、処理回路21は、左右の乳房Bを表す2次元画像およびトモシンセシス画像をディスプレイ23に表示する。ここで、左の乳房Bを撮影した場合と右の乳房Bを撮影した場合とで、載置台105における乳房Bの載置位置が異なると、左右の乳房Bの位置が左右対称とならずに表示される。
【0039】
処理回路21における変更機能211は、ディスプレイ23に表示された4つのX線画像(第1の医用画像)の何れかについて乳房Bの位置を変更する。この場合、入力インターフェース22は、乳房Bの位置を変更する操作を受け付ける(ステップS103)。操作者は、ディスプレイ23に表示された左右の乳房Bを確認し、左右の乳房Bが左右対称となるよう、乳房Bを移動する操作を行う。例えば、
図4の左側に示すように、2次元画像(第1の医用画像)により表される左の乳房Bを右の乳房Bの位置に合わせる操作を行う。変更機能211は、操作者の操作に応じて第1の医用画像により表される乳房Bの位置を変更する。
【0040】
処理回路21における修正機能212は、乳房Bの位置の変更に基づく変更情報を取得する(ステップS104)。具体的には、2次元画像により表される左の乳房Bを上方向に8mm平行移動する操作が行われた場合、修正機能212は、変更方向「上方向」、変更量「8mm」を表す変更情報を取得する。
【0041】
修正機能212は、取得した変更情報に基づいて、2次元画像に対応付けられたトモシンセシス画像(第2の医用画像)に対する乳房Bの位置を修正する(ステップS105)。具体的には、修正機能212は、乳房Bの位置が変更された2次元画像に付帯された配置識別情報に基づいて、当該2次元画像に対応付けられたトモシンセシス画像(第2の医用画像)を特定する。
図4の右側に示すように、修正機能212は、特定したトモシンセシス画像を構成する複数の断層画像について、ステップS104で取得された変更情報(変更方向「上方向」、変更量「8mm」)に基づき、左の乳房Bの位置を修正する。このようにして、修正機能212は、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、トモシンセシス画像(第2の医用画像)により表される乳房Bの位置を修正する。
【0042】
その後、変更機能211は、ディスプレイ23に表示された4つのX線画像(第1の医用画像)の何れかについて、乳房Bの位置を変更する操作が行われるか否かを判別する(ステップS106)。一定時間内に、乳房Bの位置を変更する操作が行われた場合(ステップS106;Yes、S103)、変更機能211および修正機能212は、上記と同様の処理を行う。一方、一定時間内に、乳房Bの位置を変更する操作が行われなかった場合(ステップS106;No)、変更機能211は、乳房Bの位置が変更された第1の医用画像(ここでは、左の乳房Bを表す2次元画像)、第2の医用画像(ここでは、左の乳房Bを表すトモシンセシス画像)およびステップS104で取得した変更情報を、変更前の各X線画像と合わせて記憶回路24に記憶して一連の処理を終了する(エンド)。
【0043】
以上、第1の実施形態によれば、変更機能211は、互いに同一の配置状態で撮影された乳房を表す2次元画像およびトモシンセシス画像のうち、第1の医用画像(例えば2次元画像)により表される乳房Bの位置を変更する。修正機能212は、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、第2の医用画像(例えばトモシンセシス画像)により表される乳房Bの位置を修正する。これにより、同一の配置状態で撮影された2次元画像およびトモシンセシス画像の一方の乳房Bの位置を変更することで、他方の乳房Bの位置を修正できる。そのため、比較対象の医用画像により表される乳房Bの位置を簡単に修正できる。
【0044】
また、第1の実施形態によれば、修正機能215は、乳房の位置の変更に基づく変更情報を取得し、変更情報に基づいて、第2の医用画像により表される乳房の位置を修正するので、比較対象の医用画像により表される乳房の位置を簡単に修正することができる。
【0045】
また、第1の実施形態によれば、変更機能214は、操作者の操作に応じて、第1の医用画像により表される乳房の位置を変更するので、操作者によって所望の位置に乳房を変更できる。
【0046】
また、第1の実施形態によれば、第1の医用画像および第2の医用画像の少なくとも一方は、互いに同一の配置状態で乳房が撮影された画像を識別する配置識別情報が付帯され、修正機能215は、配置識別情報に基づいて、乳房の配置状態が第1の医用画像と同一の第2の医用画像を特定し、当該第2の医用画像により表される乳房の位置を修正する。これにより、互いに異なる種類の撮影によって得られた2次元画像およびトモシンセシス画像により表される乳房の位置を適切に修正できる。
【0047】
なお、第1の実施形態においては、乳房Bに対して行われるX線の撮影方向としてCC方向を例に説明したが、撮影方向は、MLO方向やそれ以外の方向でもよく、各種撮影方向によって2次元撮影およびトモシンセシス撮影が連続的に行われてもよい。
【0048】
また、第1の実施形態においては、乳房Bの位置を変更する対象として2次元画像を例に説明したが、トモシンセシス画像に対して乳房Bの位置を変更してもよい。つまり、この場合、トモシンセシス画像が第1の医用画像、2次元画像が第2の医用画像となる。この場合も第1の実施形態と同様、変更機能211は、トモシンセシス画像(第1の医用画像)に対して乳房Bの位置を変更し、修正機能212は、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、2次元画像(第2の医用画像)により表される乳房Bの位置を修正する。
【0049】
さらに、第1の実施形態においては、左右の乳房Bを表す2次元画像およびトモシンセシス画像(4つのX線画像)をディスプレイ23に表示する例を説明したが、片方の乳房Bに対する2次元画像およびトモシンセシス画像の両方(2つのX線画像)または一方(1つのX線画像)をディスプレイ23に表示してもよい。例えば、左の乳房Bを表す医用画像(第1の医用画像)のみがディスプレイ23に表示された場合、変更機能211は、2次元画像(第1の医用画像)により表される左の乳房Bの位置を変更し、修正機能212は、記憶回路24に記憶された、当該2次元画像に対応付けられたトモシンセシス画像(第2の医用画像)について、ディスプレイ23に表示せずに左の乳房Bの位置を修正してもよい。
【0050】
また、第1の実施形態においては、ディスプレイ23に表示するトモシンセシス画像として断層画像を例に説明したが、トモシンセシス画像は、投影画像、断層画像、および、当該断層画像を合成して得られた合成2次元画像の何れでもよい。 合成2次元画像は、複数の断層画像に対して、MinIP(Minimum intensity projection)等の投影処理を行うことによって得られる1枚の合成画像であり、例えば、処理回路21によって生成される。ディスプレイ23には、投影画像、断層画像、合成2次元画像の何れか1つが表示されてもよいし、これらの画像が複数組み合わされて表示されてもよい。
【0051】
また、第1の実施形態においては、第1の医用画像により表される乳房Bの位置を、操作者の操作に応じて変更する例を説明したが、操作者の操作によらずに自動で行ってもよい。例えば、変更機能211は、第1の医用画像と左右一対となる第3の医用画像との間で乳房の位置が左右対称となるよう、第1の医用画像により表される乳房の位置を変更してもよい。また、変更機能211は、第1の医用画像と第3の医用画像との間で予め定められた共通の関心部位が予め定められた位置に表示されるよう、第1の医用画像により表される乳房の位置を変更してもよい。
【0052】
この場合、変更機能211は、例えば、左右の乳房Bの間で共通する、予め定められた共通の関心部位が予め決められた位置に配置されるように、第1の医用画像により表される乳房Bの位置を変更してもよい。共通する関心部位としては、乳頭や乳房の輪郭線が挙げられ、予め定められた位置は、画像の上下方向中央等である。
【0053】
例えば、変更機能214は、例えば、左の乳房Bを表す2次元画像(第1の医用画像)と左右一対となる右の乳房Bを表す2次元画像(第3の医用画像)との間で、画像の上下方向中央に乳頭が配置されるよう、左の乳房Bの位置を変更する。この場合、修正機能212は、変更機能211によって変更された左の乳房Bの位置に基づいて、当該2次元画像に対応付けられたトモシンセシス画像(第2の医用画像)により表される左の乳房Bの位置を修正する。なお、この場合、変更機能211は、左の乳房Bを表す2次元画像(第1の医用画像)だけでなく、当該2次元画像と左右一対となる2次元画像(第3の医用画像)により表される右の乳房Bの位置を変更し、修正機能212は、右の乳房Bを表す2次元画像(第3の医用画像)と同一の配置状態で撮影されたトモシンセシス画像(第4の医用画像)により表される右の乳房Bの位置を修正してもよい。これにより、操作者の操作によらずに、各種医用画像により表される乳房Bの位置を変更、修正できる。
【0054】
また、第1の医用画像と第2の医用画像とは互いに同じ種類の撮影によって得られた乳房画像であってもよい。つまり、第1の実施形態では、互いに異なる種類の撮影によって得られた2次元画像およびトモシンセシス画像を例に説明したが、同じ種類の撮影であるトモシンセシス撮影によって得られた画像に適用してもよい。具体的には、第1の医用画像および第2の医用画像のうち一方は、トモシンセシス撮影によって得られた投影画像、当該投影画像を再構成して得られた断層画像、および、当該断層画像を合成して得られた合成2次元画像の何れかであり、他方は、投影画像、断層画像、および、合成2次元画像のうち上記一方の画像とは異なる画像としてもよい。例えば、左の乳房Bに対するトモシンセシス撮影に基づく断層画像および合成2次元画像がディスプレイ23に表示された場合、変更機能211は、断層画像および合成2次元画像のうち一方を第1の医用画像として乳房Bの位置を変更する。修正機能212は、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、他方を第2の医用画像として乳房Bの位置を修正する。なお、同じ種類の画像間で第1の医用画像、第2の医用画像を設定してもよい。例えば、各投影画像間、各断層画像間で第1の医用画像、第2の医用画像を設定してもよい。
【0055】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置3の構成の一例を示すブロック図である。つまり、第1の実施形態ではマンモグラフィ装置を例に説明したが、第2の実施形態では医用画像処理装置3を例に説明する。医用画像処理装置3は、例えば、ビューワ、ワークステーション、タブレット端末等の情報処理装置から構成される。
図5に示すように、医用画像処理装置3は、ネットワークNを介して、マンモグラフィ装置1、サーバ2と通信可能に接続される。
【0056】
医用画像処理装置3は、読影医等の操作者によって、マンモグラフィ装置1やサーバ2から取得された各種医用画像について読影、編集が行われる。医用画像処理装置3は、処理回路31と、入力インターフェース32と、ディスプレイ33と、記憶回路34と、通信インターフェース35とを有する。処理回路31、入力インターフェース32、ディスプレイ33、および、記憶回路34は、第1の実施形態で説明したマンモグラフィ装置1の各構成と同様なので重複する説明は省略する。
【0057】
通信インターフェース35は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等の通信装置から構成される。通信インターフェース35は、処理回路31の制御のもと、ネットワークNを介して接続されたマンモグラフィ装置1やサーバ2との間で通信を行う。通信インターフェース35は、マンモグラフィ装置1やサーバ2から各種医用画像を受信する。
【0058】
処理回路31は、通信インターフェース35で受信された各種医用画像を記憶回路34に記憶する。また、処理回路31は、入力インターフェース32を介して行われる読影医等の操作者の操作に応じて、記憶回路34に記憶された医用画像をディスプレイ33に表示する。操作者は、ディスプレイ33に表示された医用画像の読影を行い、医用画像に含まれる関心領域等の部位に、文字や線図を表すアノテーションを付与する等の編集を行う。処理回路31は、編集後の医用画像を記憶回路34に記憶する。
【0059】
処理回路31は、例えば、
図3に示したように、左右の乳房Bを表す2次元画像およびトモシンセシス画像(4つのX線画像)をディスプレイ33に表示する。左の乳房Bを撮影した場合と右の乳房Bを撮影した場合とで、マンモグラフィ装置1における乳房Bの載置位置が異なると、左右の乳房Bの位置が左右対称とならずに表示される。
【0060】
処理回路31における変更機能311は、ディスプレイ33に表示された4つのX線画像(第1の医用画像)の何れかについて乳房Bの位置を変更する。操作者は、ディスプレイ33に表示された左右の乳房Bを確認し、左右の乳房Bが左右対称となるよう、乳房Bを移動する操作を行う。例えば、
図4の左側に示したように、操作者は、ディスプレイ33に表示された左の乳房Bを表す2次元画像(第1の医用画像)に対して、入力インターフェース32を介して、左の乳房Bを右の乳房Bの位置に合わせる変更操作を行う。このとき、変更機能311は、乳房Bの位置の変更に合わせて、当該2次元画像(第1の医用画像)に付与されたアノテーションの位置を修正する。
【0061】
処理回路31における修正機能312は、
図4の右側に示したように、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、2次元画像に対応付けられたトモシンセシス画像(第2の医用画像)により表される左の乳房Bの位置を修正する。具体的には、修正機能312は、2次元画像により表される左の乳房Bの位置の変更に基づく変更情報を取得し、当該変更情報に基づいて、トモシンセシス画像(第2の医用画像)により表される左の乳房Bの位置を修正する。
【0062】
また、修正機能312は、変更機能211によって変更された乳房Bの位置に基づいて、トモシンセシス画像(第2の医用画像)に付与されたアノテーションの位置を修正する。つまり、修正機能312は、乳房Bの位置の修正に合わせてアノテーションの位置も修正する。
【0063】
変更機能311は、乳房Bの位置が変更された第1の医用画像(例えば、左の乳房Bを表す2次元画像)、第2の医用画像(例えば、左の乳房Bを表すトモシンセシス画像)、変更情報および変更後のアノテーションに係る情報を、変更前の各X線画像および変更前のアノテーションに係る情報と合わせて記憶回路34に記憶する。
【0064】
また、処理回路31は、操作者の操作によって、記憶回路34に記憶された各種医用画像のうち、変更機能311および修正機能312によって処理がされた後(乳房Bの位置が変更、修正された後)の医用画像が選択された際は、当該処理がされる前(乳房Bの位置が変更、修正される前)の医用画像を表示する通常表示モードと、当該処理がされた後の医用画像を表示する比較読影モードとを、操作者によって選択可能にディスプレイ33に表示する。これにより、操作者は、乳房Bの位置が修正される前後の各医用画像について確認することができる。
【0065】
以上、第2の実施形態によれば、変更機能311は、互いに同一の配置状態で撮影された乳房を表す2次元画像およびトモシンセシス画像のうち、第1の医用画像(例えば2次元画像)により表される乳房Bの位置を変更する。修正機能312は、変更機能311によって変更された乳房Bの位置に基づいて、第2の医用画像(例えばトモシンセシス画像)により表される乳房Bの位置を修正する。これにより、同一の配置状態で撮影された2次元画像およびトモシンセシス画像の一方の乳房Bの位置を変更するだけで、他方の乳房Bの位置を修正できる。そのため、比較対象の医用画像により表される乳房Bの位置を簡単に修正できる。
【0066】
また、第2の実施形態によれば、修正機能312は、変更機能311によって変更された乳房Bの位置に基づいて、トモシンセシス画像(第2の医用画像)に付与されたアノテーションの位置を修正する。これにより、比較対象の医用画像により表される乳房Bに付与されたアノテーションの位置を適切に修正できる。
【0067】
(その他の実施形態)
第1および第2の実施形態では、乳房Bの位置を変更する例として乳房Bを上方向に平行移動する例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、変更機能211,311は、乳房Bを、上下、左右、斜め等の任意の方向に平行移動、回転、拡大、縮小によって乳房Bの位置を変更してもよい。この場合も、修正機能212,312は、変更機能211,311によって、第1の医用画像において変更された乳房Bの位置に基づいて、乳房の配置状態が第1の医用画像と同一の第2の医用画像により表される乳房Bの位置を修正してもよい。
【0068】
各実施形態において説明したX線診断装置においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路へ記憶されている。処理回路は、記憶回路からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、上記した各実施形態においては、各処理機能が単一の処理回路によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0069】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはストレージ111に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0070】
なお、上述した各実施形態においては、記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、複数の記憶回路を分散して配置し、処理回路は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0071】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0072】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0073】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、比較対象の医用画像により表される乳房の位置を簡単に修正することを可能にする。
【0074】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 マンモグラフィ装置
3 医用画像処理装置
10 乳房撮影部
20 医用画像処理部
21 処理回路
211、311 変更機能
212、312 修正機能