IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社丸山製作所の特許一覧

<>
  • 特許-背負式動力噴霧機 図1
  • 特許-背負式動力噴霧機 図2
  • 特許-背負式動力噴霧機 図3
  • 特許-背負式動力噴霧機 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】背負式動力噴霧機
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/08 20060101AFI20240903BHJP
   B05B 7/30 20060101ALI20240903BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B05B9/08
B05B7/30
A01M7/00 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210033
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096827
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-08-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武緒
(72)【発明者】
【氏名】森谷 圭一
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-094110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008473(US,A1)
【文献】実開昭58-091463(JP,U)
【文献】実開昭64-008956(JP,U)
【文献】実公昭49-002526(JP,Y1)
【文献】実公昭49-005590(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/00-9/047
12/16-12/36
14/00-17/08
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源(4)、ファン(5)、ファンケース(6)、薬液タンク(3)を備える作業機本体(1)を作業者が背負い、前記駆動源(4)の駆動により前記ファン(5)を駆動し、前記ファンケース(6)内の前記ファン(5)からの送風を、送風管(2)を介して当該送風管(2)の先端に送ると共に、前記薬液タンク(3)からの薬液を、送液ホース(14)を介して前記送風管(2)内に設置したノズル(11)へ供給し、前記ノズル(11)から吐出される前記薬液を前記送風管(2)の先端から霧状に噴霧する背負式動力噴霧機(100)であって、
前記送風管(2)は、前記ファンケース(6)に接続される蛇管(7)と、前記蛇管(7)に接続される曲り管(8)と、前記曲り管(8)に接続される直噴管(9)と、前記直噴管(9)に接続される噴頭(10)と、を備え、
前記曲り管(8)は、その下流側が上方を向くのが可能とされ、
当該曲り管(8)内に前記ノズル(11)が設けられており、
上方へ薬液を噴霧する際に、前記ノズル(11)の位置が、前記薬液タンク(3)内の薬液面の最下面位置(15)と同等又は最下面位置(15)より低い位置にあることを特徴とする背負式動力噴霧機(100)。
【請求項2】
前記直噴管(9)は複数が直列に接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の背負式動力噴霧機(100)。
【請求項3】
前記曲り管(8)の屈曲方向に沿って前記ノズル(11)が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の背負式動力噴霧機(100)。
【請求項4】
前記蛇管(7)に前記曲り管(8)が回動可能に接続されていることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の背負式動力噴霧機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は背負式動力噴霧機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背負式動力噴霧機として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この背負式動力噴霧機にあっては、作業者が、ファン(送風機)や薬液タンクが搭載された作業機本体を背負いながらファンを駆動し、ファンからの送風を、送風管(蛇管、送気管、噴頭等)を介して、当該送風管の先端に送ると共に、薬液タンクからの薬液を、送液ホース(送液管)を介して、送風管先端の噴頭内に設置したノズル(ミストノズル)へ供給し、作業者が、送風管を持ちながら、ノズルからの薬液を、噴頭から所望の方向へ霧状に噴霧できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5237925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、薬液を吐出するノズルは、送風管の先端の噴頭内に配置されているため、薬液を斜め上方や真上(以下単に上方と呼ぶ)へ噴霧するときに、ノズルの位置が、作業者により背負われる薬液タンクの内部の薬液面の最下面位置より高くなってしまうことが多々ある。すると、薬液タンク内の薬液のヘッド(水頭)がなくなるため、噴霧量が低下してしまうということや、薬液タンク内の薬液を撒ききれず薬液タンク内に薬液が残ってしまうということがあり、改善が求められている。この場合、補助装置として薬液圧送用の補助ポンプを付設するものもあるが、高コスト化してしまう。また、薬液を上方へ噴霧する際に、作業者は、送風管を持つ前側の腕を上方へ大きく持ち上げなければならないため、この点も改善が求められている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、作業者が上方へ薬液を噴霧する際において、補助ポンプが不要で低コスト化を図りつつ、噴霧量が減ることがなく安定した噴霧が可能になると共に、薬液の使い残しをなくすことができ、しかも、送風管を上方へ持ち上げる腕への負担を軽減でき、作業性を向上できる背負式動力噴霧機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による背負式動力噴霧機(100)は、駆動源(4)、ファン(5)、ファンケース(6)、薬液タンク(3)を備える作業機本体(1)を作業者が背負い、駆動源(4)の駆動によりファン(5)を駆動し、ファンケース(6)内のファン(5)からの送風を、送風管(2)を介して当該送風管(2)の先端に送ると共に、薬液タンク(3)からの薬液を、送液ホース(14)を介して送風管(2)内に設置したノズル(11)へ供給し、ノズル(11)から吐出される薬液を前記送風管(2)の先端から霧状に噴霧する背負式動力噴霧機(100)であって、送風管(2)は、ファンケース(6)に接続される蛇管(7)と、蛇管(7)に接続される曲り管(8)と、曲り管(8)に接続される直噴管(9)と、直噴管(9)に接続される噴頭(10)と、を備え、曲り管(8)は、その下流側が上方を向くのが可能とされ、当該曲り管(8)内にノズル(11)が設けられていることを特徴としている。
【0007】
このような背負式動力噴霧機(100)によれば、ノズル(11)は送風管(2)の先端の噴頭(10)ではなく、噴頭(10)及び直噴管(9)より上流で上方へ向くのが可能な曲り管(8)にあるため、作業者が上方へ薬液を噴霧する際に、ノズル(11)の位置を、薬液タンク(3)内の薬液面の最下面位置(15)と同等又は最下面位置(15)より低くすることが可能となり、薬液タンク(3)内の薬液によるヘッドが得られ、補助ポンプが不要で低コスト化を図りつつ、安定した噴霧が可能になると共に、薬液の使い残しをなくすことができる。また、蛇管(7)と直噴管(9)との間に、上方へ向くのが可能な曲り管(8)が介在しているため、作業者が曲り管(8)を持って軽く持ち上げることにより、上方への薬液の噴霧が可能となり、上方へ持ち上げる腕への負担を軽減でき、作業性を向上できる。
【0008】
ここで、上方へ薬液を噴霧する際に、ノズル(11)の位置が、薬液タンク(3)内の薬液面の最下面位置(15)と同等又は最下面位置(15)より低い位置にあると、確実に、安定した噴霧が可能になると共に薬液の使い残しをなくすことができる。
【0009】
また、直噴管(9)は複数が直列に接続可能であると、送液ホース(14)を延ばすことなく、直噴管(9)を継ぎ足し可能であり、噴霧距離を容易に延ばすことができる。
【0010】
また、曲り管(8)の屈曲方向に沿ってノズル(11)が配置されていると、ノズル(11)からの薬液は、真っ直ぐに直噴管(9)を介して噴頭(10)へ向かい効率良い噴霧が可能である。
【0011】
また、蛇管(7)に曲り管(8)が回動可能に接続されているのが好ましい。このような構成によれば、曲り管(8)を蛇管(7)に対して回動することにより、種々の方向への薬液の噴霧が可能となる。例えば、曲り管(8)を180°回転して下向きとし、蛇管(7)の先端を上へ持ち上げれば、曲り管(8)の後端を作業者の胸のあたりの高さまで引き上げた状態で、薬液を水平方向へ噴霧できる。また、曲り管(8)を180°回転して下向きとし、蛇管(7)の略中央あたりを下方へ押し下げ、曲り管(8)の先端を水平方向に向ければ、作業者の膝のあたりで水平方向へ噴霧できる。また、上記のように曲り管(8)を下方へ180°回転することで、曲り管(8)のノズル(11)の位置を、薬液タンク(3)内の薬液面の最下面位置(15)と同等又は最下面位置(15)より低い位置にすることができ、薬液を安定して噴霧をできる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、作業者が上方へ薬液を噴霧する際において、補助ポンプが不要で低コスト化を図りつつ、噴霧量が減ることがなく安定した噴霧が可能になると共に、薬液の使い残しをなくすことができ、しかも、送風管を上方へ持ち上げる腕への負担を軽減でき、作業性を向上できる背負式動力噴霧機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る背負式動力噴霧機を右後方且つ上方から見た斜視図である。
図2図1に示す背負式動力噴霧機の左側面図である。
図3図2中の曲り管を左後方且つ上方から見た斜視図である。
図4図2中の曲り管の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る背負式動力噴霧機の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上下、前後、左右等の方向を表す語は、背負式動力噴霧機を背負った作業者を基準とした方向を表すものとし、作業者にとり前方を「前」と定める。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る背負式動力噴霧機を右後方且つ上方から見た斜視図、図2は、背負式動力噴霧機の左側面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、背負式動力噴霧機100は、作業者が背負いバンドを介して作業機本体1を背負いながら、作業機本体1に接続される送風管2を用いて薬液を噴霧するものである。なお、ここでは、背負いバンドは取り外され、描かれていない。
【0017】
作業機本体1は、薬液を内部に貯留し作業機本体1の上部を構成すると共に前部の背当てを兼用する薬液タンク3と、作業機本体1の後部且つ下部を構成する駆動源としてのエンジン4と、薬液タンク3の下方に配置され、エンジン4の駆動により回転駆動する送風機としてのファン5(図2参照)と、ファン5を収容するファンケース6と、を概略備えている。
【0018】
ファンケース6の送風の出口には、ファン5からの送風を先端側へ送り先端から薬液を噴霧するための送風管2が接続されている。送風管2は、ファンケース6に接続される蛇管7と、蛇管7に接続される曲り管(自在管)8と、曲り管8に接続され真っ直ぐに延びる直噴管(ストレート管)9と、直噴管9に接続される噴頭10と、を備えている。
【0019】
曲り管8は、略45°送風方向が変えられ、蛇管7に対して回動自在に接続されている。従って、曲り管8は、その下流側が上方を向くのが可能とされ、以降上方を向いている状態で説明する。そして、図4に示すように、曲り管8内に、薬液を噴霧するためのノズル11が配置されている。
【0020】
ノズル11は、曲り管8に取り付けられたノズル組立12に設けられており、図3及び図4に示すノズル組立12の薬液導入口13には、図1及び図2に示すように、送液ホース14を介して薬液タンク3の下部の薬液流出口15(図1参照)が接続されている。すなわち、薬液タンク3内の薬液は、送液ホース14、ノズル組立12内の流路を介してノズル11へ供給されるようになっている。
【0021】
図4に示すように、ノズル11は、曲り管8の屈曲方向に沿うように配置されており、曲り管8より先の(下流の)直噴管9を流れる送風方向と、ノズル11からの薬液の吐出方向とが一致するようになっている。
【0022】
また、図3及び図4に示すように、ノズル組立12には、上部に回転式のダイヤル16が設けられており、ダイヤル16を回すことによりノズル11への薬液の流量が調節可能となっている。なお、ノズル11の先端に種々の機能を発揮するアタッチメントを取り付け可能であり、幅広い使用が可能となっている。
【0023】
このように構成された背負式動力噴霧機100によれば、作業機本体1を作業者が背負い、エンジン4を駆動することによりファン5が駆動し、ファンケース6内のファン5からの送風が、送風管2を介して当該送風管2の先端に送られると共に、薬液タンク3からの薬液が、送液ホース14を介してノズル11へ供給され、ノズル11から吐出された薬液が送風管2の先端の噴頭10から霧状に噴霧され、使用に供される。
【0024】
ここで、作業者が上方へ薬液を噴霧する場合には、ノズル11は送風管2の先端の噴頭10ではなく、噴頭10及び直噴管9より上流で上方へ向くのが可能な曲り管8にあるため、ノズル11の位置を、薬液タンク3内の薬液面の最下面位置(ここでは、概ね薬液流出口15(図1参照))と同等又は最下面位置15より低くすることが可能とされている。このため、薬液タンク3内の薬液によるヘッドが得られ、補助ポンプが不要で低コスト化を図りつつ、安定した噴霧が可能になると共に、薬液の使い残しをなくすことができる。また、蛇管7と直噴管9との間に、上方へ向くのが可能な曲り管8が介在しているため、作業者が曲り管8を持って軽く持ち上げることにより、上方への薬液の噴霧が可能となり、上方へ持ち上げる腕への負担を軽減でき、作業性を向上できる。
【0025】
そして、作業者が上方へ薬液を噴霧する際に、ノズル11の位置を、薬液タンク3内の薬液面の最下面位置15と同等又は最下面位置15より低くすることにより、確実に、安定した噴霧が可能になると共に薬液の使い残しをなくすことができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、直噴管9は複数が直列に接続可能となっている。このため、送液ホース14を延ばすことなく、直噴管9を継ぎ足し可能であり、噴霧距離を容易に延ばすことができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、曲り管8の屈曲方向に沿ってノズル11が配置されているため、ノズル11からの薬液は、真っ直ぐに直噴管9を介して噴頭10へ向かい効率良い噴霧が可能である。
【0028】
さらにまた、本実施形態によれば、蛇管7に曲り管8が回動可能に接続されているため、曲り管8を蛇管7に対して回動することにより、種々の方向への薬液の噴霧が可能である。例えば、曲り管8を180°回転して下向きとし、蛇管7の先端を上へ持ち上げれば、曲り管8の後端を作業者の胸のあたりの高さまで引き上げた状態で、薬液を水平方向へ噴霧できる。また、曲り管8を180°回転して下向きとし、蛇管7の略中央あたりを下方へ押し下げ、曲り管8の先端を水平方向に向ければ、作業者の膝のあたりで水平方向へ噴霧できる。また、上記のように曲り管8を下方へ180°回転することで、曲り管8のノズル11の位置を、薬液タンク3内の薬液面の最下面位置15と同等又は最下面位置15より低い位置にすることができ、薬液を安定して噴霧をできる。
【0029】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、駆動源をエンジン4としているが、電動機等であっても良い。
【符号の説明】
【0030】
1…作業機本体、2…送風管、3…薬液タンク、4…駆動源、5…ファン、6…ファンケース、7…蛇管、8…曲り管、9…直噴管、10…噴頭、11…ノズル、14…送液ホース、15…最下面位置、100…背負式動力噴霧機。
図1
図2
図3
図4