(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】クリップカートリッジ、クリップと線状物の連結方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61B17/122 100
(21)【出願番号】P 2020213949
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前久保 尚武
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123137(WO,A1)
【文献】特開2017-148182(JP,A)
【文献】特開2017-217206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ―17/94
A61B 50/00 ―50/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジであって、
クリップケースと、
前記クリップケース内に配置され、前記クリップが挿入される内腔を有するリングと、
前記クリップケース内に配置され、前記リングによって開閉するクリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、前記線状物の前記連結部に連結される基端とを有するクリップと、を有し、
前記クリップケースはその外側表面に、前記線状物の前記連結部が挿入される挿入口を有し、
前記クリップケースはその内部に、前記リングが載置される第1載置面と、前記クリップが載置される第2載置面と、前記挿入口に連通し、前記線状物が挿通される挿通路とを有し、
前記第1載置面は、前記リングの中心軸の方向が前記挿通路の延在方向に平行になるように前記リングが載置される面であり、
前記第2載置面は、前記第1載置面とは異なる面であり、
前記クリップケース内で、前記第1載置面は前記挿通路よりも前記挿入口から遠い側に位置しており、前記第2載置面は、前記第1載置面よりも前記挿入口から遠い側に位置しており、
前記第1載置面上に前記リングを載置し、前記第2載置面上に前記クリップを載置した載置状態において、前記クリップの最下端が前記リングの最下端よりも低い位置にあるクリップカートリッジ。
【請求項2】
前記載置状態において、前記第2載置面の最下端が前記第1載置面の最下端よりも低い位置にある請求項1に記載のクリップカートリッジ。
【請求項3】
前記載置状態において、前記リングの中心軸は前記クリップの前記基端の最上端よりも高い位置にある請求項1または2に記載のクリップカートリッジ。
【請求項4】
前記載置状態において、前記クリップの最上端が前記第1載置面の最下端よりも低い位置にある請求項1~3のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項5】
前記載置状態において、前記クリップの最上端が前記第1載置面の最下端よりも高い位置にあり、かつ前記第2載置面の最上端が前記第1載置面の最下端よりも低い位置にある請求項1~3のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項6】
前記載置状態において、前記第2載置面が水平面と平行である請求項1~5のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項7】
前記載置状態において、前記第2載置面が前記クリップの前記先端側に向かって低くなるように傾斜している請求項1~6のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項8】
前記載置状態において、前記挿通路の延在方向が水平面と平行である請求項1~7のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項9】
前記載置状態において、前記挿通路が前記クリップの前記先端側に向かって低くなるように傾斜している請求項1~8のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項10】
前記載置状態において、前記クリップケース内に前記線状物の前記連結部を挿入したときに、前記線状物の前記連結部の最上端が前記クリップの最上端よりも高い位置にある請求項1~
9のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項11】
前記クリップは、前記先端から前記基端に向かう方向および前記
クリップの開閉方向に垂直な幅方向を有し、前記クリップは前記幅方向に第1端と第2端を有し、前記幅方向の前記第1端側に前記第1腕部と前記第2腕部が互いに接続されている接続部を有し、
前記第2載置面上にある前記クリップの前記第1腕部と前記第2腕部の間に、前記線状物の前記連結部を前記幅方向の前記第2端側から嵌めることで前記クリップと前記線状物が連結される請求項1~
10のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項12】
前記クリップケースは、前記第1載置面と前記第2載置面を有する第1ケース体と、前記第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、
前記クリップの前記幅方向の前記第1端側が前記第2載置面側を向き、前記第2端側が前記第2ケース体側を向くように、前記第2載置面上に前記クリップが載置されている請求項
11に記載のクリップカートリッジ。
【請求項13】
前記クリップケースは、前記第1載置面と前記第2載置面を有する第1ケース体と、前記第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、
前記第2載置面上の前記クリップの前記基端側に対応する位置に、前記第2ケース体側に向かって突出している突出部が設けられており、
前記載置状態において前記突出部の最上端が前記第1載置面の最下端よりも高い位置にある請求項1~
11のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項14】
前記突出部は前記挿通路の延長線上にある請求項
13に記載のクリップカートリッジ。
【請求項15】
前記クリップケースは、前記第1載置面と前記第2載置面を有する第1ケース体と、前記第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、
前記第2ケース体に前記挿入口が設けられている請求項1~11のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項16】
互いに連結されている前記クリップと前記線状物を、前記挿入口を介して前記クリップケースから引き出し可能な請求項1~15のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項17】
医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結する方法であって、
クリップケースと、
前記クリップケース内に配置され、前記クリップが挿入される内腔を有するリングと、
前記クリップケース内に配置され、互いに対向している第1腕部および第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の前記連結部に連結される基端とを有するクリップであって、前記第1腕部および前記第2腕部が前記リングによって開閉し、前記クリップは、前記先端から前記基端に向かう方向および前記クリップの開閉方向に垂直な幅方向を有し、前記幅方向に第1端と第2端を有し、前記第1端側に前記第1腕部および前記第2腕部が互いに接続されている接続部を有するクリップと、を有し、
前記クリップケースはその外側表面に、前記線状物の前記連結部が挿入される挿入口を有し、前記クリップケースはその内部に、前記リングが載置される第1載置面と、前記クリップが載置される第2載置面と、前記挿入口に連通し、前記線状物が挿通される挿通路とを有し、前記第1載置面は、前記リングの中心軸の方向が前記挿通路の延在方向に平行になるように前記リングが載置される面であり、前記第2載置面は前記第1載置面とは異なる面であり、前記クリップケース内で、前記第2載置面は前記第1載置面よりも前記挿入口から遠い側に位置しており、前記第1載置面は前記挿通路よりも前記挿入口から遠い側に位置しており、前記第1載置面上に前記リングを載置し、前記第2載置面上に前記クリップを載置した載置状態において、前記クリップの最下端が前記リングの最下端よりも低い位置にあるクリップカートリッジを準備するステップと;
前記挿入口から前記クリップケース内に前記線状物の前記連結部を挿入するステップと;
前記第1載置面上にある前記リングに前記連結部を通すステップと;
前記第2載置面上にある前記クリップの前記第1腕部と前記第2腕部の間に、前記連結部を前記幅方向の前記第2端側から嵌めるステップと;を有するクリップと線状物の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を利用した処置では、患部等の処置対象組織を挟持するために医療用のクリップが用いられる。医療用のクリップは、ワイヤ等の線状物の先端側に取り付けられて、患者の体内に運ばれる。線状物と、線状物の先端側に取り付けられたクリップを備えたクリップ装置が内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネルに挿入されて、クリップが処置対象組織まで搬送されることによって、患者の体内でクリップによる施術が可能となる。クリップは1回の施術で複数個用いられることが多く、クリッピング操作の度にクリップ装置に新たなクリップを取り付ける必要がある。そこで、クリップの取り付けを効率よく行うために連結補助具としてクリップカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/121401号
【文献】特開2017-217206号公報
【文献】特開2017-148182号公報
【文献】特開2009-11769号公報
【文献】国際公開第2017/94455号
【文献】国際公開第2018/123137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手技時間の短縮による術者や患者の負担軽減のため、更に効率よく取り付けが可能なクリップカートリッジを提供することは有益である。そこで、本発明は、クリップの取り付けの効率化に資するクリップカートリッジと、クリップと線状物の連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成し得た本発明のクリップカートリッジの一実施態様は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジであって、クリップケースと、クリップケース内に配置され、クリップが挿入される内腔を有するリングと、クリップケース内に配置され、リングによって開閉するクリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の連結部に連結される基端とを有するクリップと、を有し、クリップケースはその外側表面に、線状物の連結部が挿入される挿入口を有し、クリップケースはその内部に、リングが載置される第1載置面と、クリップが載置される第2載置面と、挿入口に連通し、線状物が挿通される挿通路とを有し、第1載置面は、リングの中心軸の方向が挿通路の延在方向に平行になるようにリングが載置される面であり、第2載置面は、第1載置面とは異なる面であり、クリップケース内で、第1載置面は挿通路よりも挿入口から遠い側に位置しており、第2載置面は第1載置面よりも挿入口から遠い側に位置しており、第1載置面上にリングを載置し、第2載置面上にクリップを載置した載置状態において、クリップの最下端がリングの最下端よりも低い位置にある点に要旨を有する。このようにクリップとリングの高さを設定することによって、クリップケース内に線状物を挿入したときにリングの内腔を通る線状物の連結部がクリップの上に位置する。この状態で線状物をクリップ側に押し込むとクリップの第1腕部と第2腕部の幅方向の一方側から第1腕部と第2腕部の間に線状物を嵌めることができる。したがって、上記クリップカートリッジによればクリップと線状物の連結を効率よく行うことができる。
【0006】
上記載置状態において、第2載置面の最下端が第1載置面の最下端よりも低い位置にあることが好ましい。上記載置状態において、リングの中心軸はクリップの基端の最上端よりも高い位置にあることが好ましい。上記載置状態において、クリップの最上端が第1載置面の最下端よりも低い位置にあることが好ましい。上記載置状態において、クリップの最上端が第1載置面の最下端よりも高い位置にあり、かつ第2載置面の最上端が第1載置面の最下端よりも低い位置にあってもよい。
【0007】
上記載置状態において、第2載置面が水平面と平行であることが好ましい。上記載置状態において、第2載置面がクリップの先端側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。上記載置状態において、挿通路の延在方向が水平面と平行であることが好ましい。上記載置状態において、挿通路がクリップの先端側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。
【0008】
クリップケースは、第1載置面と第2載置面を有する第1ケース体と、第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、第2載置面上のクリップの基端側に対応する位置に、第2ケース体側に向かって突出している突出部が設けられており、載置状態において突出部の最上端が第1載置面の最下端よりも高い位置にあることが好ましい。突出部は、挿通路の延長線上にあることが好ましい。クリップケースは、第1載置面と第2載置面を有する第1ケース体と、第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、第2ケース体に挿入口が設けられていてもよい。
【0009】
上記載置状態において、クリップケース内に線状物の連結部を挿入したときに、線状物の連結部の最上端がクリップの最上端よりも高い位置にあることが好ましい。クリップは、先端から基端に向かう方向および開閉方向に垂直な幅方向を有し、クリップは幅方向に第1端と第2端を有し、幅方向の第1端側に第1腕部と第2腕部が互いに接続されている接続部を有し、第2載置面上にあるクリップの第1腕部と第2腕部の間に、線状物の連結部を幅方向の第2端側から嵌めることでクリップと線状物が連結されることが好ましい。クリップケースは、第1載置面と第2載置面を有する第1ケース体と、第1ケース体を覆っている第2ケース体と、を有し、クリップの幅方向の第1端側が第2載置面側を向き、第2端側が第2ケース体側を向くように、第2載置面上にクリップが載置されていることが好ましい。上記クリップカートリッジにおいて、互いに連結されているクリップと線状物を、挿入口を介してクリップケースから引き出し可能であることが好ましい。
【0010】
本発明は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結する方法も提供する。上記方法の一実施態様は、クリップケースと、クリップケース内に配置され、クリップが挿入される内腔を有するリングと、クリップケース内に配置され、互いに対向している第1腕部および第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の連結部に連結される基端とを有するクリップであって、第1腕部および第2腕部がリングによって開閉し、クリップは先端から基端に向かう方向およびクリップの開閉方向に垂直な幅方向を有し、幅方向に第1端と第2端を有し、第1端側に第1腕部および第2腕部が互いに接続されている接続部を有するクリップと、を有し、クリップケースはその内部に、リングが載置される第1載置面と、クリップが載置される第2載置面と、挿入口に連通し、線状物が挿通される挿通路とを有し、第1載置面はリングの中心軸の方向が挿通路の延在方向に平行になるようにリングが載置される面であり、第2載置面は第1載置面とは異なる面であり、クリップケース内で、第2載置面は第1載置面よりも挿入口から遠い側に位置しており、第1載置面は挿通路よりも挿入口から遠い側に位置しており、第1載置面上にリングを載置し、第2載置面上にクリップを載置した載置状態において、クリップの最下端がリングの最下端よりも低い位置にあるクリップカートリッジを準備するステップと;挿入口からクリップケース内に線状物の連結部を挿入するステップと;第1載置面上にあるリングに連結部を通すステップと;第2載置面上にあるクリップの第1腕部と第2腕部の間に、連結部を幅方向の第2端側から嵌めるステップと;を有する点に要旨を有する。上記の方法によればクリップの第1腕部と第2腕部の間に線状物の連結部を嵌めやすくなるため、クリップと線状物の連結を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
上記クリップカートリッジ、上記クリップと線状物の連結方法によれば、クリップと線状物の連結を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクリップカートリッジの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示したクリップカートリッジの挿通路の延在方向に沿った断面図(一部側面図)である。
【
図3】
図2に示したクリップカートリッジのIII-III断面図である。
【
図4】本発明の一実施態様に係るクリップの側面図である。
【
図5】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図10】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図11】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図12】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図13】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図14】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図15】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図16】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図17】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図18】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図19】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【
図20】
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の変形例を示す斜視図である。
【
図21】
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のクリップカートリッジの一実施態様は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジに関するものである。クリップカートリッジは、内視鏡下でクリップ装置を利用した処置を行う際に用いられる。詳細には、クリップを取り付けたクリップ装置を内視鏡の鉗子チャンネル内を通じてクリップを処置対象組織まで搬送することにより、患者の体内でクリップによる施術を行うことができる。
【0014】
クリップカートリッジは、クリップケースと、クリップケース内に配置され、クリップが挿入される内腔を有するリングと、クリップケース内に配置され、リングによって開閉するクリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の連結部に連結される基端とを有するクリップと、を有する。クリップケースはその外側表面に、線状物の連結部が挿入される挿入口を有し、クリップケースはその内部に、リングが載置される第1載置面と、クリップが載置される第2載置面と、挿入口に連通し、線状物が挿通される挿通路とを有する。第1載置面は、リングの中心軸の方向が挿通路の延在方向に平行になるようにリングが載置される面であり、第2載置面は第1載置面とは異なる面である。クリップケース内で、第1載置面は挿通路よりも挿入口から遠い側に位置しており、第2載置面は第1載置面よりも挿入口から遠い側に位置している。第1載置面上にリングを載置し、第2載置面上にクリップを載置した載置状態において、クリップの最下端がリングの最下端よりも低い位置にある点に要旨を有する。このようにクリップとリングの高さを設定することによって、クリップケース内に線状物を挿入したときにリングの内腔を通る線状物の連結部がクリップの上に位置する。この状態で線状物をクリップ側に押し込むとクリップの第1腕部と第2腕部の幅方向の一方側から第1腕部と第2腕部の間に線状物を嵌めることができる。したがって、上記クリップカートリッジによればクリップと線状物の連結を効率よく行うことができる。
【0015】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
図1~
図21を参照して、クリップカートリッジ、クリップ装置およびクリップシステムの構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るクリップカートリッジの分解斜視図である。
図2は
図1に示したクリップカートリッジの挿通路の延在方向に沿った断面図(一部側面図)である。
図3は
図2に示したクリップカートリッジのIII-III断面図である。
図4は本発明の一実施態様に係るクリップの側面図である。
図5~
図9は本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
図10~
図19、
図21は
図2に示したクリップカートリッジの変形例を示す模式図であり、
図20は
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の変形例を示す斜視図である。なお、
図1では、第2ケース体26に複数の接続ピン26Jが設けられ、接続ピン26Jがそれぞれ挿入される穴25Kが第1ケース体25に複数設けられていることを示した。
図1以外の図面では接続ピン26Jおよび穴25Kを省略して記載している。
【0017】
クリップカートリッジ1は、リング2と、クリップ5と、クリップケース10を有する。以下では、クリップカートリッジをカートリッジ、クリップケースをケースと称することがある。カートリッジ1について詳しく説明する前にクリップ装置およびクリップシステムについて説明する。クリップ装置は、少なくともクリップ5とリング2と線状物30とを含む。
図5に示すように、線状物30は線状に形成されており、長手軸方向に先端30Aと基端(図示せず)を有している。線状物30はその先端30A側にクリップ5と連結される連結部32を有している。線状物30の先端30A側がカートリッジ1に挿入される。クリップシステムは、少なくともケース10と;クリップ5とリング2と線状物30を有するクリップ装置と;を含むものである。詳細は後述するがケース10の内部にクリップ5とリング2が収容される。例えば、
図5に示すようにケース10内にクリップ装置の線状物30の先端30A側を挿入し、
図6に示すように線状物30をリング2の内腔4に通した後、
図7~
図8に示すように線状物30の連結部32にクリップ5を取り付けることができる。このような操作により、クリップ装置が使用可能になる。
【0018】
線状物30は一または複数の部材から構成することができる。連結部32は、線状物30と一体的に形成されていてもよい。
図5に示すように線状物30は、長尺な線状物本体31と、線状物本体31の先端側に取り付けられている連結部32と、を有していてもよい。
【0019】
線状物本体31は中実状であっても中空状であってもよい。線状物本体31は単線であっても、単線を撚り合わせた撚り線であってもよい。線状物本体31としては、例えばステンレス鋼、炭素鋼等の金属線材や、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂から形成された糸条を用いることができる。線状物本体31の表面はフッ素樹脂等の樹脂でコーティングされていてもよい。
【0020】
連結部32はクリップ5の基端5B側に連結できる限り、その形状は特に限定されない。連結部32は、球形状、長円球形状、半円球形状、半長円球形状、涙滴形状、多角形状、錐形状、錐台形状、柱形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。連結部32は線状物本体31よりも外径が大きくてもよい。連結部32が、クリップ5の基端5B側に好ましく設けられる被連結部9に連結することで、クリップ5と線状物30を固定することができる。クリップ5と、線状物30の連結形態は特に限定されず、
図4に示すクリップ5の被連結部9を、線状物30の先端側に配置した2つの連結用の部材によって挟んで連結する形態や、
図4に示すクリップ5の基端5B側の第1腕部6と第2腕部7が平行になっている部分で、線状物30の先端側の連結部32を挟んで連結する形態などが挙げられる。クリップカートリッジ1においてクリップ5と線状物30の連結には、クリップ5の幅方向zから線状物30がアプローチする形態を好ましく用いることができる。
【0021】
連結部32は、生体適合性を有する材料から構成されていればよく、例えばステンレス鋼、炭素鋼等の金属や、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂から構成することができる。
【0022】
線状物30はその少なくとも一部が内筒35内に配置されていることが好ましい。すなわち、クリップ装置はさらに内筒35を有し、内筒35の内腔に線状物30が配置されることが好ましい。線状物30にクリップ5を連結して使用する際、線状物30を内筒35の長手軸方向に対して近位側または遠位側に移動させることでクリップ5の開度を調整することができる。例えば、線状物30を内筒35に対して近位側に移動させるとリング2と内筒35とが接触し、リング2をクリップ5の先端5A側に移動させることでクリップ5を閉じることができる。
【0023】
内筒35は、体腔内の形状に沿って屈曲する可撓性と、処置対象組織まで確実に到達する剛性の両方を兼ね備えていることが望ましい。内筒35は、金属や合成樹脂によって形成されたコイル体、短筒状の関節駒を軸方向に複数連結して回動可能にした筒体、合成樹脂から形成された筒体、またはこれらの組み合わせから構成することができる。
【0024】
クリップ装置はさらに外筒36を有していてもよい。その場合、内筒35が外筒36の内腔に配置される。線状物30にクリップ5を連結した状態で、クリップ5は外筒36から出し入れ自在に構成されていることが好ましい。外筒36内にクリップ5を収めることでクリップ5が外に露出せずに済む。また、クリップ5を対象組織の近くまで搬送する間には、外筒36内にクリップ5を収めることでクリップ5が鉗子チャンネルや病変以外の体内組織を傷付けることを抑制する。なお、処置の際には、外筒36からクリップ5とリング2を露出させて使用する。
【0025】
外筒36は、内筒35と同様に可撓性と剛性を備えていることが望ましい。外筒36は、合成樹脂から形成された筒体や、金属や合成樹脂によって形成されたコイル体、短筒状の関節駒を軸方向に複数連結して回動可能にした筒体、またはこれらの組み合わせから構成することができる。中でも、外筒36には合成樹脂から形成された筒体が好ましく用いられる。外筒36と内筒35との位置関係を確認しやすくするために、外筒36は透明または半透明な材料から構成してもよい。
【0026】
クリップ5は医療用であり、例えば内視鏡下の処置で病変部等の対象物の封止、カウンタートラクション、止血、縫縮、マーキングのために用いられる。クリップ5はケース10内に配置され、リング2によって開閉される。クリップ5は、対象物を挟持する先端5Aと、線状物30の連結部32に連結される基端5Bとを有する。クリップ5は基端5B側を支点として、リング2によって先端5A側が開閉可能に構成される。
【0027】
図4に示すように、クリップ5は互いに対向している第1腕部6と第2腕部7を有する。第1腕部6と第2腕部7はそれぞれ基端5Bから先端5Aに延びている。第1腕部6と第2腕部7は、先端5A側に向かって互いに離れるように延びている部分を有している。第1腕部6と第2腕部7は互いに基端5B側で接続されている。
図3に第1腕部6と第2腕部7を互いに接続している接続部8が示されている。U字状やY字状に折り曲げられた1枚の細長い板の長手方向の第1側部が第1腕部6であり、長手方向の第2側部が第2腕部7でもよい。また、互いに対向配置されている2枚の細長い板の一方が第1腕部6であり、他方が第2腕部7でもよい。
【0028】
クリップ5は、先端5Aから基端5Bに向かう方向xおよび開閉方向yに垂直な幅方向zを有していることが好ましい。クリップ5は幅方向zに第1端5Cと第2端5Dを有していることが好ましい。開閉方向yは、方向xに垂直な方向であり、
図4に示す矢印yの方向である。第1腕部6と第2腕部7の開閉の軌跡は、例えば円弧など、方向y以外の方向成分を含んでいてもよい。なお、接続部8はクリップ5の幅方向zの第1端5C側に好ましく設けられる。
【0029】
クリップ5の基端5B側には被連結部9が設けられていることが好ましい。被連結部9が線状物30の連結部32に連結される。被連結部9の構造は特に限定されないが、例えば
図4のように第1腕部6がその基端5B側に第2腕部7側に向かって突出している第1爪9Aを有し、第2腕部7がその基端5B側に第1腕部6側に向かって突出している第2爪9Bを有している構造とすることができる。第1爪9Aと第2爪9Bが連結部32に引っかかることでクリップ5と線状物30の連結後に線状物30がクリップ5から外れにくくなる。被連結部9の他の態様として、
図4に示すクリップ5の基端5B側で第1腕部6と第2腕部7が平行になっている部分で線状物30の先端側の連結部32を挟んで連結する態様などが挙げられる。
【0030】
図2に示すように、リング2はケース10内に配置され、クリップ5が挿入される内腔4を有するものである。ケース10内ではリング2とクリップ5は離れて配置されている。クリップ5と線状物30との連結後に線状物30を手元側に引き出すと、リング2はクリップ5の周囲を囲むように配置される。リング2の外径は外筒36の内径よりも小さくなっている。これにより、外筒36内にクリップ5とリング2が収められる。
【0031】
リング2の中心軸3に垂直な断面の形状は特に限定されないが、例えば円形状、長円形状、多角形状であってもよい。リング2は切れ込みが入った断面C字の形状であってもよく、線材がらせん状に巻回されて形成されたコイル形状であってもよい。
【0032】
クリップ5やリング2は、高弾性と生体適合性を有する材料から構成することが好ましい。クリップ5やリング2は、例えばSUS301、SUS303、SUS304、SUS631等のステンレス鋼、Ni-Ti合金等から構成することができる。
【0033】
ケース10は、リング2とクリップ5を内部に収容するものである。ケース10はその外側表面に、線状物30の連結部32が挿入される挿入口11を有している。ケース10はその内部に、リング2が載置される第1載置面14と、クリップ5が載置される第2載置面16と、挿入口11に連通し、線状物30が挿通される挿通路12とを有している。第1載置面14は、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるようにリング2が載置される面である。第2載置面16は、第1載置面14とは異なる面である。ケース10内で、第1載置面14は挿通路12よりも挿入口11から遠い側に位置しており、第2載置面16は、第1載置面14よりも挿入口11から遠い側に位置している。第1載置面14上にリング2を載置し、第2載置面16上にクリップ5を載置した載置状態において、
図2~
図3に示すようにクリップ5の最下端5Lがリング2の最下端2Lよりも低い位置にある。このようにクリップ5とリング2の高さを設定することによって、ケース10内に線状物30を挿入したときに、リング2の内腔4を通る線状物30の連結部32がクリップ5の上に位置する。この状態で線状物30をクリップ5側に押し込むとクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の幅方向zの一方側から、クリップ5の基端5B側の第1腕部6と第2腕部7の間に線状物30を嵌めることができる。したがって、カートリッジ1によればクリップ5と線状物30の連結を効率よく行うことができる。
【0034】
カートリッジ1を用いたクリップ5と線状物30の連結方法について説明する。
図2~
図3に示すように第1載置面14上にリング2を載置し、第2載置面16上にクリップ5を載置する。この載置状態で、
図5に示すように線状物30の先端30Aを挿入口11から挿通路12に挿入する。線状物30を奥側(
図5の矢印A側)に挿入していくと、線状物30が第1載置面14上に載置されたリング2の内腔4に通される。さらに線状物30を奥に挿入すると、線状物30の先端30Aが第2載置面16の位置に到達する。上記載置状態でクリップ5の最下端5Lがリング2の最下端2Lよりも低い位置にあるため、線状物30の先端30Aが第2載置面16の位置まで到達したときに線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配される。線状物30をクリップ5側(
図6の矢印B側)へ押し込むことで、
図6~
図8に示すようにクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の幅方向zの一方側から第1腕部6と第2腕部7の間に線状物30を嵌めることができる。
図5~
図7では、ケース10は、第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26と、を有し、第2ケース体26は、第1ケース体25側へ移動し且つ線状物30を押圧する押圧部40を有している例を示している。押圧部40を線状物30に接触させた状態で押圧部40を第1ケース体25側へ移動させることで、線状物30にクリップ5を取り付けることができる。なお、
図5~
図7、
図9以外では押圧部40が示されていないが、その他の態様においても第2ケース体26に押圧部40を設けることができる。カートリッジ1によれば、クリップ5と線状物30を連結する際に、クリップ5の基端5Bから先端5Aに向かう方向に線状物30を動かしてクリップ5の被連結部9に連結部32を差し込む操作を行わなくてもよい。このことはクリップ5と線状物30の連結不良発生の抑制やクリップ5の基端5B側の変形の抑制に寄与する。なお、
図2においてクリップ5の幅方向zの一方側とは、第2載置面16に接している側と反対側であり、図面では第2端5D側である。
【0035】
ケース10内でクリップ5と線状物30を連結した後は、
図9に示すように線状物30を手元側に引くと、リング2はクリップ5の周囲を囲むように配置される。さらに線状物30を手元側に引くと外筒36内にクリップ5とリング2を収めることができる。外筒36と線状物30を手元側に引くことで、外筒36内にクリップ5とリング2が収められた状態でクリップ装置をケース10から抜き取ることができる。処置の際には、外筒36からクリップ5とリング2を露出させて使用する。
【0036】
図6に示すように、第2ケース体26が外側から押圧されると押圧部40が線状物30に接触してもよい。第2ケース体26の外側に操作者が押圧するための操作部としてボタン45が設けられていてもよい。ボタン45は押圧部40と重なる位置にあり、ボタン45の移動操作に連動して押圧部40が移動するようになっていてもよい。
図7では第2ケース体26の押圧が解除されて押圧部40が矢印C側(押圧方向と反対の方向)に移動している状態が示されている。
【0037】
第2ケース体26の内側に第1ケース体25側に向かって突出している突出部50が設けられ、押圧部40が突出部50の先端部51に設けられていてもよい。第2ケース体26に弾性片27が設けられ、弾性片27の第1端が第2ケース体26に固定され、弾性片27の第2端が第1端側を支点として弾性変形するものであり、押圧部40が弾性片27の第2端側に設けられていてもよい。
【0038】
図9に示すように、互いに連結されているクリップ5と線状物30を、挿入口11を介してケース10から引き出し可能であることが好ましい。クリップ5をケース10から取り外す際にケース10を分解する必要がなくなるため、クリップ5を線状物30に連結した後すぐに手技を行うことができる。
【0039】
ケース10はその内部にリング2とクリップ5を収容できる容器形状をしていればよい。ケース10の外形は例えば多面体であってもよい。多面体としては直方体形状が挙げられる。
図1ではケース10の外形が偏平な直方体形状である例を示している。ケース10は一または複数の部材から構成することができる。
【0040】
ケース10は、第1載置面14と第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26とを有していることが好ましい。クリップ5が第2載置面16から脱落しないように、ケース10は第1ケース体25から第2ケース体26に向かう方向に延びている壁25Aを有していることが好ましい。
図1~
図3から理解できるように第1ケース体25と第2ケース体26がそれぞれ凹形状を有する部分を有しており、これらケース体の凹形状部分が対向するように配置されることで、クリップ5を収容するクリップ収容部17が形成されていてもよい。また、第1ケース体25が板状に形成されており、第2ケース体26が板状の第1ケース体25を覆うように逆凹状に形成されていてもよい。第1ケース体25が凹状に形成され、第2ケース体26が板状に形成されていてもよい。
【0041】
挿入口11は挿通路12に連通している限り、ケース10の外側表面のどの部分に設けられていてもよい。ケース10が上面部10Aと下面部10Bと4つの側面部10C~10Fを有する直方体形状である場合、上面部10Aまたは4つの側面部10C~10Fのいずれかに挿入口11を設けることができる。挿入口11は挿通路12の入り口に相当してもよい。
【0042】
ケース10が、第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26とを有している場合、
図2に示すように挿入口11は第1ケース体25と第2ケース体26に跨がって設けられていてもよい。
【0043】
挿入口11が第1ケース体25と第2ケース体26のいずれか一方に設けられていてもよい。
図10では、ケース10は、第1載置面14と第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26と、を有し、第2ケース体26に挿入口11が設けられている。これにより、ケース1内に線状物30を挿入したときに線状物30をクリップ5の幅方向zの一方側に近づけやすくなる。
図10では、挿通口11は第2ケース体26の上面(ケース10の上面部10A)に設けられている。
【0044】
挿通路12は線状物30を挿入する通路であり、挿入口11と、第1載置面14を有するリング収容部15を繋ぐように形成される。挿通路12は、通常、挿入口11からリング収容部15まで真っ直ぐ延びるように形成される。後述するように挿通路12は傾斜していてもよい。挿通路12の延在方向uは、挿入口11から第1載置面14を有するリング収容部15に至る方向に相当する。挿入口11と挿通路12は、外筒36を挿通可能な大きさを有していることが好ましい。
【0045】
第1載置面14は、リング2の少なくとも一部と接する部分を有する面である。第1載置面14では、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるように配置されている。挿通路12の延在方向uは、例えば挿通路12の長手軸中心の延在方向によって規定することができる。リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるとは、リング2の中心軸3の方向と挿通路12の延在方向uが実質的に平行になるものも含まれる。例えば、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに対して±5度以内に傾斜しているものも含まれる。なお、カートリッジ1をリング2の中心軸3の方向から見たときに、リング2の中心軸3の方向と挿通路12の長手軸中心の延在方向が重ならなくてもよい。
【0046】
第1載置面14は単一の面から構成されていてもよく、複数の面から構成されていてもよい。第1載置面14は平面のみから構成されていてもよく、曲面のみから構成されていてもよく、平面と曲面の組み合わせによって構成されていてもよい。第1載置面14は、リング2の外周面に沿った形状を有していてもよい。
【0047】
ケース10が、第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26とを有している場合、第1ケース体25は、第1載置面14を有していることが好ましい。第1載置面14は第1ケース体25の内側表面の一部であってもよい。例えば、
図1のように第1ケース体25の内側表面に設けられている凸部25Bの表面の一部であってもよい。別の態様として、第1ケース体25がその内側にリング2を保持する保持部材(図示せず)を有しており、保持部材の表面の一部が第1載置面14であってもよい。
【0048】
第1載置面14よりも奥側にはクリップを収容するクリップ収容部17が設けられている。クリップ収容部17は第2載置面16を有している。第2載置面16は、クリップ5の少なくとも一部と接する部分を有する面である。第2載置面16では、クリップ5の第1腕部6と第2腕部7が開いた状態でクリップ5が載置される。クリップ5は、クリップ5の基端5B側が挿通路12側を向くように配置される。第2載置面16はクリップ5の基端5Bと接していてもよく、クリップ5の先端5Aと接していてもよく、先端5Aと基端5Bの両方と接していてもよい。
【0049】
第2載置面16は単一の面から構成されていてもよく、複数の面から構成されていてもよい。第2載置面16は平面のみから構成されていてもよく、曲面のみから構成されていてもよく、平面と曲面の組み合わせによって構成されていてもよい。第2載置面16はクリップ5の第1腕部6および第2腕部7の幅方向zの端縁に沿った形状を有していてもよい。
【0050】
第2載置面16は第1載置面14とは異なる面である。これは載置状態で、第1載置面14と第2載置面16の高さが少なくとも一部で異なることを示している。第1載置面14と第2載置面16とは、
図2に示すように段差などによって区切られた互いに異なる面であってもよく、
図11に示すように少なくとも一部で高さが異なる第1載置面14と第2載置面16とがつながれて連続的な形状をなしていてもよい。
【0051】
図2~
図3に示すような載置状態では、第1載置面14にリング2が載置されてリング2の少なくとも一部が第1載置面14と接しており、かつ、第2載置面16にクリップ5が載置されてクリップ5の少なくとも一部が第2載置面16と接している。なお、リング2とクリップ5のいずれかが載置面と接していない状態は載置状態には含まれない。上記載置状態にするためには、第1ケース体25を第2ケース体26よりも鉛直方向の下側に配置すればよい。
【0052】
ケース10が、第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26とを有している場合、第2載置面16は第1ケース体25の内側表面の一部であってもよい。別の態様として、第1ケース体25がその内側にクリップ5を支持する支持部材(図示せず)を有しており、支持部材の表面の一部が第2載置面16であってもよい。
【0053】
図2、
図10~
図13では、クリップ5の第1腕部6と第2腕部7が先端5Aから基端5Bに向かって一定の幅を有している例を挙げて説明するが、クリップ5の形状はこの態様に限定されない。
【0054】
図2に示すように、上記載置状態において第2載置面16が水平面と平行であってもよい。これによりクリップ5を安定して配置しやすくなる。水平面とは重力方向nに垂直な水平方向mを含む面である。
【0055】
図11~
図12に示すように、上記載置状態において、第2載置面16がクリップ5の先端5A側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。これにより、クリップ5のうち線状物30と連結される基端5B側が高くなるように載置される。その結果、線状物30の連結部32をクリップ5に近づけやすくなり、連結が行いやすくなる。
【0056】
図13に示すように、上記載置状態において、第2載置面16がクリップ5の基端5B側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。第2載置面16がクリップ5の先端5A側に向かって低くなるように傾斜している場合に比べて、線状物30はクリップ5の基端5B側に対して高い位置からアクセスすることができる。なお、
図10ではリング2の中心軸3の方向が第2載置面16と平行であるが、
図11~
図13のようにリング2の中心軸3の方向に対して第2載置面16が傾斜していてもよい。
【0057】
図2、
図10、
図12~
図13に示すようにクリップ5の全体がリング2の最下端2Lよりも低い位置にあってもよく、
図11に示すようにクリップ5の少なくとも一部がリング2の最下端2Lより高い位置にあってもよい。
【0058】
クリップ5の第1腕部6と第2腕部7の幅が一定であってもよいが、先端5Aから基端5Bに向かう方向の位置によって異なっていてもよい。例えば、
図14のように先端5A側の幅が基端5B側の幅よりも広くてもよい。
図15では、基端5Bから先端5Aに向かって徐々に第1腕部6と第2腕部7の幅が広くなっている。
図16では、第1腕部6は幅狭部6Aと幅広部6Bを有している。図示されていないが第2腕部7も幅狭部と幅広部を有している。幅広部6Bは幅狭部6Aよりも先端5A側に位置し、幅狭部6Aよりも幅が広く、かつ先端5Aから基端5Bに向かう方向の長さが幅狭部6Aよりも長い。第2腕部7も同様の構成を有している。このようにクリップ5の幅を変えることで、クリップ5の把持力を調節したり、リング2とクリップ5の位置関係を調整することができる。
【0059】
図2~
図3に示すように、上記載置状態において、第2載置面16の最下端5Lが第1載置面14の最下端14Lよりも低い位置にあることが好ましい。ケース10内に線状物30を挿入したときに、線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配されやすくなる。
【0060】
図2に示すように、上記載置状態において、リング2の中心軸3はクリップ5の基端5Bの最上端5Nよりも高い位置にあることが好ましい。リング2の内腔4を線状物30が通るため、ケース10内に線状物30を挿入したときに線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配されやすくなる。
【0061】
図3に示すように、上記載置状態において、クリップ5の最上端5Mが第1載置面14の最下端14Lよりも低い位置にあることが好ましい。これにより、ケース10内に線状物30を挿入したときに線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配されやすくなる。
【0062】
図2、
図12~
図16では、第2載置面16が単一の面部から構成されている例を挙げた。他方、
図17に示すように、第2載置面16が複数の面から構成されていてもよい。
図17は、第2載置面16が、第1平面部16Aと、第1平面部16Aよりも高い位置にある第2平面部16Bとを有している例を示している。第1平面部16Aは、第2平面部16Bよりも挿入口11から遠い側に位置している。第1平面部Aはクリップ5の先端5A側にある幅広部6Bと接しており、第2平面部16Bはクリップ5の基端5B側にある幅狭部6Aと接している。このように第2載置面16がクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の形状に沿っていてもよい。第2載置面16でクリップ5を支持しやすくなるため、クリップ5の位置ズレを抑制することができる。
【0063】
図14および
図16に示すように、クリップ5の一部が第2載置面16と接していなくてもよい。
図14では、クリップ5の先端5Aと基端5Bの間の一部の区間が第2載置面16と接していない。これはクリップ5の先端5A側と基端5B側で腕部の幅が異なっており、かつ第2載置面16が単一の面部から構成されているためである。
図16では、クリップ5の基端5B側の一部の区間が第2載置面16から浮いている。これは、クリップ5の腕部の幅広部が幅狭部よりも長く形成されており、かつ第2載置面16が単一の面部から構成されているためである。
【0064】
図18に示すように、上記載置状態において、クリップ5の最上端5Mが第1載置面14の最下端14Lよりも高い位置にあり、かつ第2載置面16の最上端16Mが第1載置面14の最下端14Lよりも低い位置にあってもよい。このようにクリップ5を配置しても、線状物30の少なくとも一部をクリップ5よりも高い位置に配することができる。なお、この態様であっても、クリップ5と線状物30を連結しやすくするために、クリップ5の基端5Bの最上端5Nは、第1載置面14の最下端14Lよりも低い位置にあることが好ましい。
【0065】
図2に示すように、上記載置状態において、挿通路12の延在方向uが水平面と平行であることが好ましい。このように挿通路12を延在させることにより、線状物30の挿入が行いやすくなる。
【0066】
図19に示すように、上記載置状態において、挿通路12がクリップ5の先端5A側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。このように挿通路12を延在させることによって、線状物30の先端30Aが第2載置面16まで到達したときに線状物30をクリップ5に近づけやすくなる。
【0067】
図20に示すように、第1載置面14よりも挿入口11から遠い側にはリング2の動きを制止するための第1当接部18が設けられていてもよい。第1当接部18がリング2に接触してリング2の動きを制止することができるため、クリップ5と線状物30の連結が行いやすくなる。詳細には、連結中にリング2がクリップ5側に移動してリング2の内腔4にクリップ5の基端5Bが入ることを抑制することができる。
【0068】
図20に示すように、第1載置面14よりも挿入口11に近い側にリング2の動きを制止するための第2当接部19が設けられていてもよい。第2当接部19がリング2に接触してリング2の動きを制止することができるため、リング2が挿入口11側に移動しにくくなるため、第1載置面14やケース10からリング2が脱落しにくくなる。
【0069】
第1当接部18や第2当接部19は、第1ケース体25に固定されていてもよく、第1ケース体25や第2ケース体26とは異なる部材に設けられていてもよい。
【0070】
図20~
図21に示すように第2載置面16には、線状物30の動きを制止するための突出部20が設けられていてもよい。ケース10が、第1載置面14と第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26と、を有している場合、第2載置面16上のクリップ5の基端5B側に対応する位置に、第2ケース体26側に向かって突出している突出部20が設けられていることが好ましい。線状物30を突出部20に当接させることによって、線状物30の過度な挿入を抑制することができ、クリップ5と線状物30を連結しやすくなる。
【0071】
線状物30の連結部32の先端30Aが、突出部20に接することにより、線状物30のケース10への侵入が停止させられる構成であることが好ましい。クリップ5の基端5B側に、線状物30の連結部32を嵌めることによって、クリップ5と線状物30とを連結する構成である場合、ケース10内でのクリップ5の基端5B側の位置と線状物30の先端30A側の位置が適切であることが重要である。これらの位置がケース10によって調節されることが好ましい。ケース10内の適切な位置に突出部20を設けることで、ケース10の挿入口11から線状物30を差し込むだけで、クリップ5と線状物30とを連結するのに適切な配置にすることができる。
【0072】
突出部20の形状は、例えば、柱体、錐体、錐台体、球体、楕円球体、またはこれらを組み合わせた形状にすることができる。
【0073】
図21に示すように、突出部20は挿通路12の延長線上にあることが好ましい。挿通路12の延長線上とは、上記載置状態において、挿通路12に線状物30を挿通した場合に、線状物30が接する部分を延長した線をいう。突出部20はリング2の中心軸3の延長線上にあってもよい。線状物30をケース10内に挿入していったときに線状物30の先端30Aが突出部20に突き当たるため、線状物30の過度な挿入を抑制することができる。
【0074】
上記載置状態において、突出部20の最上端20Mは、リング2の中心軸3よりも高い位置にあることが好ましい。これにより、線状物30をケース10内に挿入していったときに線状物30の先端30Aが突出部20に確実に突き当たるため、線状物30の過度な挿入を抑制することができる。
【0075】
突出部20は、第2ケース体26側に向かって突出した柱状であり、突出部20の挿入口11側には切り欠き部21が設けられていることが好ましい。切り欠き部21では、クリップ5の先端5A側に向かって狭くなったV字形状に切り欠かれていることが好ましい。これによりV字部分に線状物30の先端30Aが突き当たりやすくなる。
【0076】
次にカートリッジ1と線状物30の好ましい位置関係について説明する。
図5に示すように、上記載置状態において、ケース10内に線状物30の連結部32を挿入したときに、線状物30の連結部32の最上端32Mがクリップ5の最上端5Mよりも高い位置にあることが好ましい。線状物30の先端30Aが第2載置面16まで到達したときに線状物30の少なくとも一部をクリップ5の上に位置させることができる。
【0077】
クリップ5は、先端5Aから基端5Bに向かう方向xおよび開閉方向yに垂直な幅方向zを有し、クリップ5は幅方向zに第1端5Cと第2端5Dを有し、幅方向zの第1端5C側に第1腕部6と第2腕部7が互いに接続されている接続部8を有することが好ましい。その場合、
図6~
図7に示すように第2載置面16上にあるクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の間に、線状物30の連結部32を幅方向zの第2端5D側から嵌めることでクリップ5と線状物30が連結されることが好ましい。クリップ5と線状物30を連結する際に、クリップ5の基端5Bから先端5Aに向かう方向に線状物30を動かしてクリップ5の被連結部9に連結部32を差し込む操作を行わなくてもよいため、連結不良を防ぐことができる。第1腕部6と第2腕部7とは、クリップ5の基端5B側で互いに接続されている。ここで、クリップ5の基端5B側とは、クリップ5は先端5Aから基端5Bに向かう方向xにおいて、中央より基端5Bに近い部分である。リング2によるクリップ5の閉操作を円滑にするために、クリップ5の両腕が広がっていない部分で、第1腕部6と第2腕部7とが接続されていることが好ましい。また、
図4に示すように、クリップ5の第1腕部6と第2腕部7とは、接続部8によって接続されていることが好ましい。接続部8のような第1腕部6と第2腕部7とが接続される部分は、クリップ5の腕部の間の橋となるような形状であることが好ましい。
【0078】
ケース10は、第1載置面14と第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26と、を有している場合、クリップ5の幅方向zの第1端5C側が第2載置面16側を向き、第2端5D側が第2ケース体26側を向くように、第2載置面上16にクリップ5が載置されていることが好ましい。これにより、第2載置面16上にあるクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の間に、線状物30の連結部32を幅方向zの第2端5D側から嵌めやすくなる。
【0079】
ケース10の一部を外側から押圧することで、線状物30がケース10によって押されて第2載置面16上にあるクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の間に、線状物30の連結部32を幅方向zの第2端5D側から嵌めることができる。ケース10が線状物30に接触しやすくするために、ケース10の一部が弾性変形可能であってもよい。このほか、手元側で線状物30を幅方向zの一方側に動かすことで、連結部32をクリップ5に連結してもよい。
【0080】
ケース10の構成材料は特に限定されないが、精密加工が容易となり、中に収容するクリップ5とリング2を衛生的に保ち、クリップ5の損傷を防ぐ点から、合成樹脂から構成されることが好ましい。ケース10が第1載置面14と第2載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26と、を有している場合、第1ケース体25と第2ケース体26の少なくともいずれか一方が透明または半透明な材料から形成されていることが好ましい。操作者が目視で確認しながらクリップ5と線状物30の連結作業を行いやすくなる。
【0081】
上記のようなカートリッジ1を用いれば、医療用のクリップ5と、先端側に連結部32を有する線状物30とを連結することができる。クリップ5と線状物30の連結方法の一実施態様は、ケース10内に配置され、クリップ5が挿入される内腔を有するリング2と、ケース10内に配置され、互いに対向している第1腕部6および第2腕部7を有し、対象物を挟持する先端と、線状物30の連結部32に連結される基端とを有するクリップ5であって、第1腕部6および第2腕部7がリング2によって開閉し、クリップ5は先端5Aから基端5Bに向かう方向xおよびクリップ5の開閉方向yに垂直な幅方向zを有し、幅方向zに第1端5Cと第2端5Dを有し、第1端5C側に第1腕部6および第2腕部7が互いに接続されている接続部8を有するクリップ5と、を有し、ケース10はその内部に、リング2が載置される第1載置面14と、クリップ5が載置される第2載置面16と、挿入口11に連通し、線状物30が挿通される挿通路12とを有し、第1載置面14は、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるようにリング2が載置される面であり、第2載置面16は第1載置面14とは異なる面であり、ケース10内で、第2載置面16は第1載置面14よりも挿入口11から遠い側に位置しており、第1載置面14は挿通路12よりも挿入口11から遠い側に位置しており、第1載置面14上にリング2を載置し、第2載置面16上にクリップ5を載置した載置状態において、クリップ5の最下端5Lがリング2の最下端2Lよりも低い位置にあるカートリッジ1を準備するステップS1と;挿入口11からケース10内に線状物30の連結部32を挿入するステップS2と;第1載置面14上にあるリング2に連結部32を通すステップS3と;第2載置面16上にあるクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の間に、連結部32を幅方向zの第2端5D側から嵌めるステップS4と;を有している。ステップS1は
図1~
図3に示されており、ステップS2は
図5に示されており、ステップS3は
図6に示されており、ステップS4は
図7~
図8に示されている。この方法によればクリップ5の第1腕部6と第2腕部7の間に線状物30の連結部32を嵌めやすくなるため、クリップ5と線状物30の連結を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1:クリップカートリッジ
2:リング、2L:リングの最下端、3:中心軸、4:内腔
5:クリップ、5A:先端、5B:基端、5C:幅方向の第1端、5D:幅方向の第2端、5L:クリップの最下端、5M:クリップの最上端。5N:クリップの基端の最上端、6:第1腕部、7:第2腕部、8:接続部、9:被連結部
10:クリップケース、11:挿入口、12:挿通路
14:第1載置面、14L:第1載置面の最下端
16:第2載置面、16L:第2載置面の最下端
20:突出部
25:第1ケース体、26:第2ケース体
30:線状物、31:線状物本体、32:連結部
35:内筒、36:外筒
m:水平方向、n:重力方向、u:挿通路の延在方向
x:先端から基端へ向かう方向、y:開閉方向、z:幅方向