(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】エレクトロクロミック装置のための金属酸化物の光分解
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20190101AFI20240903BHJP
G02F 1/1523 20190101ALI20240903BHJP
G02F 1/155 20060101ALI20240903BHJP
C09K 9/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G02F1/15 505
G02F1/1523
G02F1/155
G02F1/15 508
C09K9/00 B
(21)【出願番号】P 2020524658
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(86)【国際出願番号】 CA2018050885
(87)【国際公開番号】W WO2019014776
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520024968
【氏名又は名称】ミル スマート テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バーリンゲッテ カーティス
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-306144(JP,A)
【文献】国際公開第2011/155635(WO,A1)
【文献】特表2016-509689(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/163
C09K 9/00-9/02
C03C 17/00-17/44
C01G 41/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミック装置において使用されるエレクトロクロミック材料を形成する方法であって、前記方法は、
(a)透明の導電性基板を提供することと、
(b)前記導電性基板を一つ以上の金属前駆体の溶液で被覆することであって、前記金属前駆体は、
塩化物、臭化物、又は硝酸塩から選択されるリガンドを含み、紫外線放射及び/又は、オゾンに暴露したときに金属酸化物に変換される、前記導電性基板を一つ以上の金属前駆体の溶液で被覆することと、
(c)常温かつ大気圧にて、一つ以上の前記金属前駆体を、熱処理を行うことなく、前記導電性基板において前記金属酸化物のフィルムに変換するために、前記被覆された基板を
、紫外線放射及び/又は、有酸素雰囲気においてオゾンに暴露することと、
(d)前記金属酸化物フィルムをアニーリングして、前記エレクトロクロミック材料を形成することと、を備え、
前記エレクトロクロミック装置は、
前記エレクトロクロミック材料を含む第1電極と、
対電極と、
前記第1電極と前記対電極との間でイオンを伝導するためのイオン伝導性層とを備える、方法。
【請求項2】
前記アニーリングする工程は、毎分10℃のランプ速度で、50℃~750℃にて、又は、50℃~500℃にて、又は、100℃、200℃もしくは600℃にて1時間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エレクトロクロミック金属酸化物フィルムは、
NiO
x,WO
x,NbO
x,MoO
x,MnO
x,CoO
x,VO
x,TaO
x,TiO
x,FeO
x及びIrO
x及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物、
LiNiO
x,TiWO
x,及びFeNiO
xから選択される混合された金属酸化物、
又は、
NbをドープされたWO
3もしくはTiをドープされたWO
3から選択されるドープされた金属酸化物、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物フィルムは、WO
3を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性基板は、導電性材料から形成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性基板は、フッ素スズ酸化物(FTO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、もしくはアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)で被覆される透明材料から形成される、又は、前記導電性基板は、インジウムスズ酸化物(ITO)で被覆されたポリエチレンテレフタレート(PET)で形成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)及び前記ステップ(c)は、前記金属酸化物フィルムが所望の厚さを達成されるまで繰り返される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属酸化物フィルムは、非晶質金属酸化物フィルムである、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属酸化物フィルムは、結晶質金属酸化物フィルムである、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記対電極は、裸のFTOである、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記対電極は、請求項1において規定されたステップ(a)~(d)を用いて準備された金属酸化物フィルムで被覆されたFTOである、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記イオン伝導性層は、電解液である請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エレクトロクロミック装置は、固体エレクトロクロミック装置である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン伝導性層は、電解ゲルである、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、エレクトロクロミックフィルムに関する。より具体的には、本発明は、エレクトロクロミック装置において使用されるエレクトロクロミック金属酸化物フィルムを製造する工程に関する。
【0002】
[背景]
建造物の暖房、換気、および空調(HAVC)は、一次エネルギー消費全体の30~40%を占める。窓の光学的および熱的特性を変更することは、最大40%まで建造物のエネルギー欠損を減少させることができる。したがって、太陽光に対する窓不透過度を動的に制御するための能力は、商業ビルにとってエネルギー消費を20%および照明費用を最大50%まで減少させる機会を提供することができるので、建造物のエネルギー消費を減少させるために窓の透過率を動的に調節するための技術を発展させることは必須である。
【0003】
エレクトロクロミック窓(スマート(smart)窓またはダイナミック(dynamic)窓としても知られている)は、適用電圧に応じて光透過率の変化を受け、建造物を通過する日光および太陽熱の動的制御を可能にする。したがって、この技術は、建物入居者にとって屋内の熱的および視覚的快適性を提供することができ、建物エネルギー効率も向上させることができる。この省エネ技術は、産業において、および近年、とてつもなく大きな注目を得ており、いくつかのガラス企業は、商業用エレクトロクロミック技術に10億ドル以上集めている。大資本および努力がこの技術に注がれているけれども、市場における高価格なエレクトロクロミック窓は、建築材料としてその幅広い採用を妨げている。
【0004】
一般的なエレクトロクロミック(EC)装置は、活性エレクトロクロミック層、電解質層、イオン貯蔵層(対電極)、透明導電体、および支持基板からなる複数層構造を有する。これらの層の中で、エレクトロクロミック層およびイオン貯蔵層は、可逆的な色切り替えに貢献する重要な要素である。金属酸化物層は、活性エレクトロクロミック層として、および/またはイオン貯蔵層において採用されてもよい。活性エレクトロクロミック層において使用される最もよく知られているエレクトロクロミック材料被覆は、WO3であり、WO3は、装置の運転中に紺青色状態と無色状態とを可逆的におよび永続的に切り替えることができる。
【0005】
したがって、エレクトロクロミック金属酸化物層を生成することは、エレクトロクロミックセルの製造において重大なステップである。スパッタリングは、これらのエレクトロクロミックフィルムを生成するために今日使用される最も一般的な技術であるが、この方法は、動作するために真空および高温エネルギーを必要する。これらの層を作るために試されている代替的な技術は、蒸発、化学的蒸着、電着、ソル-ゲル技術、レーザー切断、スパッタリング、および熱蒸着を含むが、費用、拡張可能性、および所望の組成物を得ることなどの欠点は、これらの技術が産業標準としてスパッタリングに代わることを抑制している。
【0006】
したがって、現存する、面倒な、および高価なスパッタリング技術に対して代替的な金属-酸化物堆積工程が明らかに必要であり、代替的な金属-酸化物堆積工程はエレクトロクロミックフィルムまたは光吸収フィルムを生産するために一般的には使用される。
【0007】
[発明の要旨]
本発明の目的は、エレクトロクロミック装置において使用される金属酸化物の光堆積用の拡張可能な、溶液に基づく工程を提供することである。本発明の態様にしたがって、エレクトロクロミック装置において使用されるエレクトロクロミック材料が提供され、エレクトロクロミック材料はエレクトロクロミック金属酸化物フィルムで被覆される透明導電性基板を含み、ここで、金属酸化物フィルムは、次のステップ:a)導電性基板を提供すること;b)基板を一つ以上の金属前駆体で被覆すること;およびc)一つ以上の金属前駆体を導電性基板上で金属酸化物フィルムに変換することによりエレクトロクロミック材料を形成するために、被覆された基板を有酸素雰囲気で近赤外線放射、UV放射、および/またはオゾンに暴露すること、を含む工程によって形成される。
【0008】
本発明の他の態様にしたがって:(a)本発明の方法にしたがって調製されるエレクトロクロミック材料を含む第一の電極、(b)対電極、および(c)前記第一の電極から前記対電極の間にイオンを伝導するためのイオン伝導性層、を含むエレクトロクロミック装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、エレクトロクロミックセルおよび当該構成要素の描写図である。
【
図2】
図2は、本発明の方法にしたがって、ニッケル前駆体のニッケル酸化物への分解を監視する赤外線スペクトルを図示する。
【
図3】
図3は、本発明にしたがって、UV光分解およびNIRDD方法によって調製されるニッケル酸化物のサイクリックボルタモグラムを図示する。
【
図4】
図4 aは、本発明にしたがって、FTOガラス上にWCl
6のエタノール性溶液を堆積する溶液による非晶質タングステン酸化物フィルムの形成、続くUV放射の描写図である。
図4b-eは、(b)FTOガラス上のWCl
6の塩素含有量を決定するためのXRF分析、(c)および(d)FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析、および(e)光分解前(フレッシュ(fresh))、UV放射後、およびアニーリングステップ後のFTOガラスのWCl
3フィルムのIRスペクトル、を含む本発明にしたがって調製される非晶質タングステン酸化物フィルムの特徴の結果を図示する。
【
図5】
図5は、本発明にしたがって調製されるa-WO
3フィルムの電子顕微鏡写真を図示する。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態にしたがって調製される徐々に最大600℃までの高温でアニールされるFTOガラス上のWO
3の薄膜におけるXRDディフラクトグラムを図示する。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態にしたがって調製されるタングステン酸化物フィルムの脱色状態および着色状態の透過率データを図示する。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態にしたがって調製される非晶質および結晶質WO
3のエレクトロクロミック特性に関するデータを図示する。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態にしたがって調製されるニッケル酸化物の脱色状態および着色状態の透過率データを図示する。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態にしたがって調製されるニッケル酸化物の電圧サイクルおよび100サイクルにわたる安定性を図示するプロットである。
【
図11】
図11は、水性溶媒(H
2O)および非-水性溶媒(PC-プロピレンカーボネート)での本発明の実施形態にしたがって調製されるニッケル酸化物フィルのサイクリングボルタモグラムを図示する。
【
図12】
図12は、サイクリング事象中に本発明の実施形態にしたがって調製されるニッケル酸化物フィルムおよびリチウムニッケル酸化物フィルムの透過率データを図示する。
【
図13】
図13は、(a)FTOガラス上のVCl
3の塩素含有量を決定するためのXRF分析、(b)および(c)FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析、および(d)光分解前(フレッシュ(fresh))、UV放射後、およびアニーリングステップ後のFTOガラスにおけるVCl
3フィルムのIRスペクトル、を含む本発明の実施形態にしたがって調製される非晶質バナジウム酸化物フィルムの特徴に関するデータを図示する。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態にしたがって調製されるバナジウム酸化物フィルムの脱色状態および着色状態の透過率データを図示する。
【
図15】
図15は、(a)FTOガラス上のNbCl
5の塩素含有量を決定するためのXRF分析、(b)および(c)FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析、および(d)光分解前(フレッシュ(fresh))、UV放射後、およびアニーリングステップ後のFTOガラスにおけるNbCl
5フィルムのIRスペクトル、を含む本発明の実施形態にしたがって調製される非晶質ニオビウム酸化物フィルムの特徴に関するデータを図示する。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態にしたがって調製されるニオビウム酸化物フィルムの脱色状態および着色状態の透過率データを図示する。
【
図17】
図17は、(a)FTOガラス上のMoCl
5の塩素含有量を決定するためのXRF分析、(b)および(c)FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析、および(d)光分解前(フレッシュ(fresh))、UV放射後、およびアニーリングステップ後のFTOガラスにおけるMoCl
5フィルムのIRスペクトル、を含む本発明の実施形態にしたがって調製される非晶質モリブデン酸化物フィルムの特徴に関するデータを図示する。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態にしたがって調製されるモリブデン酸化物フィルムの脱色状態および着色状態の透過率データを図示する。
【
図19】
図19は、(a)調製されたままのWO
3;(b)大気中200℃で1時間アニールされたWO
3;および(c)大気中600℃で1時間アニールされたWO
3で組み立てられた装置のΔT、t
b,90%、およびt
b,90%、並びにCEの決定に関するデータを図示する。
【
図20】
図20aは、示された電位で形成される着色状態および脱色状態における(100℃でそれぞれアニールされた)本発明にしたがって調製されるV
2O
5、Nb
2O
5、またはMoO
3活性層を含むエレクトロクロミック装置の光透過率スペクトルに関するデータを図示する。
図20bは、V
2O
5、Nb
2O
5、またはMoO
3活性層を含み、本発明にしたがって調製されるエレクトロクロミック装置のための、電荷密度の関数としてΔ(OD)の変化に関するデータを図示する。
【
図21】
図21aは、本発明にしたがって、FTOガラス上にNiCl
2のエタノール性溶液を堆積する溶液による非晶質ニッケル酸化物フィルムの形成、続くUV放射の描写図である。
図21b-dは、(b)時間の関数として塩素含有量を決定するためのXRF分析、(c)および(d)FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析、を含む本発明にしたがって調製されるNiO
xフィルムの特徴の結果を図示する。
【
図22】
図22aは、本発明の実施形態にしたがって調製され、イオン貯蔵材料としてFTOガラス対電極上のNiO
xフィルムを用いる半導体EC装置の構造の描写図である。
図22b-dは、(b)FTOガラス対電極上にa-NiO
xを用いる、および用いないで調製されるEC装置の得られた透過率スペクトルの比較、(c)時間の関数として、対電極としてFTO上にa-NiO
xを用いて調製されるEC装置の透過率変化、および(d)FTOガラス対電極上にa-NiO
xを用いて調製される半導体EC装置の電荷密度の関数として663nmでの光学密度の変化、を含む、本発明の実施形態にしたがって調製される対電極上にNiO
xを採用する半導体装置を特徴づける結果を図示する。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態にしたがって調製される、対電極として非晶質ニッケル酸化物および結晶質ニッケル酸化物を用いるEC装置の特徴付け、および性能比較の結果を図示する。
【
図24】
図24aは、本発明の実施形態にしたがって調製される、イオン貯蔵材料としてFTOガラス対電極上にTiO
2フィルムを採用する装置の描写図である。
図24bは、(b)エレクトロクロミック層としてWO
3を有する、および対電極としてFTO上に堆積されるa-TiO
2(薄い灰色)もしくは結晶質c-TiO
2(濃い灰色)を有する、またはTiOxフィルム有さない、EC装置のための1000サイクルにわたる700nmnでの最大および最小透過率を含む、イオン貯蔵材料としてFTOガラス対電極上にTiO
2フィルムを採用するEC装置を特徴付ける、および比較する結果を図示する。
【
図25】
図25は、本発明にしたがって調製される異なる厚さのWO
3フィルムを特徴付ける結果を図示する。
【
図26】
図26は、本発明にしたがって調製される、スズ-をドープされたインジウム酸化物(ITO)被覆ポリエチレンテレフタレート(PET)上のWO
3フィルムの透過率データを図示する。
【
図27】
図27は、本発明にしたがって調製される、FTOガラス上のドープされていないWO
3フィルムおよびNb-ドープされたWO
3フィルムの透過率データを図示する。
【
図28】
図28は、本発明にしたがって調製される、FTOガラス上のドープされていないWO
3フィルムおよびTi-ドープされたWO
3フィルムの透過率データを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[発明の詳細な説明]
[定義]
「非晶質」は、当該原子構造において長距離秩序なしの化学組成物を意味する。
【0011】
「エレクトロクロミックセル」は、着色状態(すなわち、窓を通過する光の透過率が低い)から透明状態(すなわち、窓を通過する光の透過率が高い)へ、および/または透明状態から着色状態へ、適用される電気的バイアスの使用を介して、透明度を変遷することが可能なセルに関する。「透明」状態は、「脱色」状態と称されてもよい。
【0012】
「リガンド」は、金属に対して配位される、化学的に結合される、またはイオン的に結合される任意の化学基を意味する。一般的なリガンドの例は、塩化物、臭化物、硝酸塩、2-エチルヘキサノエート、およびアセチルアセトネートであるが制限されない。
【0013】
「金属酸化物」は、本明細書において金属および酸素を含む任意の単一固体に関してもよく、ここで、金属の酸素に対する比率は定義されないのでMOxとして表される。エレクトロクロミック材料として使用のために適切であり得る単金属酸化物の例は、NiOx、WO3、MoO3、TiO2、Ta2O5、V2O5、Nb2O5、CoO2、MnO2、およびFeOx、を含むが、これに制限されない。
【0014】
「混合金属酸化物」は、フィルムであって少なくとも2つの金属を含むとともに酸化物であるフィルム、に関する。エレクトロクロミック材料として使用のために適切であり得る混合金属酸化物の例は、LiNiOx、TiWOx、およびFeNiOxを含むが、これに制限されない。
【0015】
「金属前駆体」は、基板に堆積され、その後、金属酸化物に変換される金属を含む任意の化学物質を表す。一般的な例は、金属塩化物、金属2-エチルヘキサノエート、および金属アセチルアセトネートを含むが、これに制限されず、ここで金属は、上記で定義された金属のいずれかであってもよい。
【0016】
「還元鉄酸化物」は、化合物FeOに関し、ここで鉄および酸素は、同程度の量で存在する。
【0017】
「スパッタリング」は、純金属が高エネルギーに曝されて、金属原子を、原子を有する中間体に放出し、続いて基板上に堆積されることになる技術に関する。
【0018】
「基板」は、金属酸化物膜を組み立てる材料に関する。基板材料は、本質的に導電性であってもよく、または導電性は、材料の表面への導電性フィルムの適用を介して生じてもよい。適切なフィルムは、例えば、フッ素スズ酸化物(FTO);インジウムスズ酸化物(ITO);アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、および様々な他の物のような透明導電性酸化物(TCO)を一般的に含む。他の適切な支持材料は、関係のある導電性層に対応する任意の透明ガラス、プラスチック、ポリマー(例えば、PET)、またはゴムを含む。
【0019】
本発明は、真空を必要とせず、大気中で、または昇温で行われ得る拡張可能な製造工程を用いて生産されるエレクトロクロミック金属酸化物フィルム、および/または混合金属酸化物フィルムを含むエレクトロクロミック装置に関する。
【0020】
したがって、本発明の目的は、エレクトロクロミック装置において使用される、適切な導電性基板に被覆される金属酸化物または混合金属酸化物の光学的品質フィルムを製造する工程に基づく、低費用で、拡張可能な溶液を提供することである。本発明にしたがって、本発明における工程を用いて形成される金属酸化物、および/または混合金属酸化物は、エレクトロクロミック、すなわち、外部電気的バイアスの導入に対して着色状態から透明状態へ(または透明状態から着色状態へ)当該透明度を変換することができる。
【0021】
本発明はさらに、本発明のエレクトロクロミック装置において使用される、非晶質相または結晶質相において、所望の金属酸化物フィルムおよび混合金属酸化物フィルムの大規模工程および製造のために適切な光化学的方法を提供する。
【0022】
本発明の開示は、エレクトロクロミック装置のための金属酸化物および混合金属酸化物を作るのに適切な2つの方法:近赤外線誘導分解(NIRDD)またはUV光分解について説明する。NIRDDおよびUV光分解は共に、溶液処理可能な前駆体を用いて低温で操作する製造方法であり、現存する最新の技術より正確な組成物制御および低コスト製造を提供する。
【0023】
一つの実施形態において、近赤外線誘導分解(NIRDD)法を提供し、近赤外線誘導分解(NIRDD)法は、空気の存在下で形成される場合、対応する金属酸化物または混合金属酸化物を生成するために金属前駆体を分解する赤外線を使用する。PCT特許公報No.WO2016101067A1は、金属酸化物および混合金属酸化物を調製するためのNIRDD法を開示し、PCT特許公報No.WO2016101067A1の全開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0024】
一つの実施形態において、UV光分解法を提供し、UV光分解法において、金属前駆体は、有酸素雰囲気下で、全てのリガンドを除去し所望の金属酸化物または混合金属酸化物を生産するために、任意にオゾンの存在下で、紫外線放射に曝される。UV光分解は、大気中または昇温のどちらかで動作する。米国特許No.9,433,928は、電解触媒を作る方法において使用される金属酸化物および混合-金属酸化物を生成するUV光分解技術を開示し、米国特許No.9,433,928の全開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0025】
空気の欠損下で金属前駆体において行われる場合、UV光分解およびNIRDDは、対応する金属の、より還元された相をもたらすことができる。
【0026】
本発明の方法を用いて形成されるエレクトロクロミック金属酸化物フィルムおよび/または混合金属酸化物フィルムは、非晶質または結晶質であってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態において、金属酸化物または混合金属酸化物は、透明導電性酸化物層上に形成され、続いてエレクトロクロミックセルに包含され、適用される電気的バイアスの使用を介して、不透明から透明、または透明から不透明に変遷することができる。
【0028】
本発明にしたがって、一つ以上の金属酸化物被覆または混合金属酸化物被覆は、エレクトロクロミックセルにおいて層として採用され、例えば、エレクトロクロミック窓などの「スマートガラス」適用に包含される。
【0029】
エレクトロクロミック装置の一般的構造は、透明導電性基板に支持される陽極および陰極、並びに電極間イオン伝導体(電解
質)を含む。陽極および/または陰極は、エレクトロクロミック材料を含んでもよい。装置全体の各要素の機能は、下記に詳細に記述され、および装置全体の描写図は、
図1に表される。
【0030】
電圧が電極をわたって適用されると、電界が、絶縁エレクトロクロミック材料内で生成され、そのことは、エレクトロクロミック材料へのイオンの移動、またはエレクトロクロミック材料からの移動を引き起こすことができ、エレクトロクロミック材料における色の変化(例えば、一方のエレクトロクロミック状態から他のエレクトロクロミック状態へ変更する場合に脱色から着色へ)を生産する。適用バイアスを逆にすることによって、エレクトロクロミック材料を切り替えることができる(例えば、着色状態から脱色状態へ)。エレクトロクロミック材料は、最初に着色されてもよく、印加電圧を用いて無色/脱色状態に切り替えられ、その後、適用バイアスを逆にすることによって、着色状態にもう一度切り替えられる。例えば、タングステン酸化物に基づくフィルムは、イオン挿入を用いて着色し、一方ニッケル酸化物に基づくフィルムは、イオン抽出を用いて着色する。
【0031】
エレクトロクロミックセルにおける電解質層の役割は、イオンを陽極材料から陰極材料の間に伝達させることである。エレクトロクロミック装置のための一般的な電解質の例は、LiCiO4が溶解しているプロピレンカーボネートである。
【0032】
したがって、一般的なエレクトロクロミック装置は、活性エレクトロクロミック層、電解質層、イオン貯蔵層(対電極)層、透明導電体、および支持基板からなる複数層構造を有する。これらの層の中で、エレクトロクロミック層およびイオン貯蔵層は、可逆的な色変化に貢献する重要な要素である。
【0033】
良いエレクトロクロミック材料は、当該着色状態から脱色状態の間に高い色の対比を示し、着色状態から脱色状態の間に急激な変更を有し、低い印加電圧で着色状態から脱色状態の間を変更することができ、状態間の周期で優れた可逆性、および優れた安定性を示す。
【0034】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、エレクトロクロミック装置において採用される金属酸化物フィルムおよび混合金属酸化物フィルムは、NiOx、WOx、NbOx、MoOx、MnOx、CoOx、VOx、TaOx、TiOx、およびLiNiOx、またはそれらの組み合わせを含む。
【0035】
金属酸化物または混合金属酸化物の他の適用は、窓における被覆を提供することであり、エレクトロクロミック材料酸化物被覆単独で、または組み合わせて、長波長太陽放射の移入が生じないようにする。一実施形態において、光吸収被覆は、還元鉄酸化物フィルムによって提供される。還元鉄酸化物は、例えば、窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気でNIRDDまたはUV光分解のどちらかによって生産されてもよい。全てのこれらの実施形態において、還元鉄酸化物層は、可視光に影響を与えることはなく近赤外線を妨害することによって、可視光を通過させながら近赤外波長を吸収するのに役立つために包含されてもよい。
【0036】
作用電極を含む最もよく知られたエレクトロクロミック材料被覆は、WO3フィルムであり、装置の動作中に、紺青色から無色の間を可逆的に、および永続的に変換する。
【0037】
タングステン三酸化物(「WO3」)は、よく知られた陰極のエレクトロクロミック材料であり、エレクトロクロミック装置において淡黄色(または透明)中性状態から濃青色還元状態の間をサイクルする。透明フィルムは、着色された、還元された状態(「LiWO3」)、および透明状態へ可逆的に再酸化された状態を形成するために、リチウムイオンの存在下で、電気化学的に還元されることができる。本発明の方法は、エレクトロクロミック装置において使用されるWOxフィルムを形成するために使用されることができる。
【0038】
他のエレクトロクロミック陰極材料の例は、MoO3、TiO2、Ta2O5、V2O5、NiOx、およびNb2O5を含むが、これに制限されない。
【0039】
ニッケル酸化物(「NiOx」)は、公知の陽極エレクトロクロミック材料であり、エレクトロクロミックセルにおいて、より良く着色された暗状態を生み出すためにタングステン酸化物を補完して着色する。本発明の方法は、エレクトロクロミック装置において使用されるNiOxフィルムを形成するために使用されることができる。
【0040】
良い陽極エレクトロクロミック材料の他の例は、IrO2である。例えば、CoO2、MnO2、およびFeO2のような材料は、エレクトロクロミック挙動を示すことが明らかになっているが、完全に脱色しないとして理想的ではない。
【0041】
鉄酸化物(「FeO」)は、可視光と比較して近赤外光の高い吸収があることで公知の材料である、鉄酸化物(「FeO」)は、建造物の屋内太陽熱暖房を減少させるために、建築用ガラス上に被覆されるために使用されることができる。FeOの薄いフィルムを、無酸素条件下で、スパッタリング、または化学蒸着によって生成することができる。
【0042】
例えば、スズドープされたインジウム酸化物(ITO)およびフッ素ドープされたスズ酸化物(FTO)などの透明導電体金属酸化物(TCOs)は、独立して、または付加的なイオン貯蔵材料で被覆される、対電極として頻繁に使用される。それらの対電極のために裸のTCOを有する装置は、脱色状態において、通常はより良い透明度を示し、当該装置において、電荷は、2つの電極間で通常は均衡が保たれず、装置安定性に有害であり得る。本発明の方法は、安定な金属酸化物イオン貯蔵層を形成するために使用されることができる。
【0043】
金属前駆体または金属前駆体の組み合わせは、基板上に被覆され、ガラス、プラスチック、複合材料を含むが、これに制限されない。本発明の実施形態において、好ましい基板は、透明であり、ガラスまたはプラスチックのいずれかである。
【0044】
選択された基板を被覆することは、スピン被覆、塗装(painting)、浸漬被覆、吹き付け被覆、超音波吹き付け被覆、または当業者に公知の他の方法、を含む様々な方法を用いて行われることができる。被覆溶液は、金属前駆体または複数の金属前駆体を、相溶性溶媒に溶解し、その後、基板表面に溶液を適用することによって調製される。乾燥すると、所望の前駆体または所望の複数の前駆体の層が基板上に形成される。相溶性溶媒の例は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、アセチルアセトン、およびメチルイソブチルケトンを含むが、これに制限されない。
【0045】
本発明の工程において使用される適切な金属前駆体は、任意の金属誘導体を含み、近赤外線放射、UV放射、および/またはオゾンに曝すと対応する金属酸化物に変換されることができる。適切な前駆体は、金属塩化物、金属2-エチルヘキサノエート、および金属アセチルアセトネートを含むが、これに制限されない。金属前駆体の例となる実施形態は、WCl6、Ni(eh)2、NiCl2、VCl3、NbCl5、MoCl5、Li(eh)、W(O-iPr)6およびTi(eh)4を含む。
【0046】
NIRDDおよび/またはUV光分解のどちらかの方法は、基板上に被覆される金属前駆体を、常温または昇温で、所望の非晶質または結晶質の金属酸化物または混合-金属酸化物に変換するために使用されることができる。スパッタリング技術を用いて混合-金属酸化物を形成することは、比較的より面倒なことである。
【0047】
金属酸化物フィルムの合成における一実施形態において、前駆体溶液は、無水エタノール中に金属前駆体を溶解することによって生産される。前駆体溶液は、その後、FTPガラス上でスピン-被覆され、結果的に生じる前駆体薄膜は、分解が分光法を用いてリガンド損失の監視によって確認されるまで、UV放射またはNIR放射に曝される。複数層薄膜を生産するために、スピン被覆ステップおよび放射ステップを複数回繰り返す。
【0048】
特定の実施形態において、堆積されたフィルムは、オーブンで、空気中で、50℃~750℃の温度範囲で、1時間、10℃/minのランピング速度を用いてアニーリングステップを受ける。一実施形態において、フィルムは、100℃で1時間、アニーリングステップを受ける。一実施形態において、フィルムは、200℃で1時間、アニーリングステップを受ける。一実施形態において、フィルムは、200℃で1時間、アニーリングステップを受ける。一実施形態において、フィルムは、600℃で1時間、アニーリングステップを受ける。
一実施形態において、エレクトロクロミック材料を形成するための方法は、約50℃~約500℃の温度で金属酸化物フィルムをアニーリングするステップを含む。
【0049】
有機リガンドを含む前駆体のために、所望の金属酸化物の形成は、金属前駆体からのリガンドの損失が赤外線スペクトルにおいてリガンドシグナルの損失を生じさせるので、赤外線分光法によって監視されることができる。
図2は、UV光分解およびNIRDD法の両方を用いてのニッケル2-エチルヘキサノエート金属前駆体から非晶質ニッケル酸化物への変化を示す。
【0050】
赤外線分光法によって追跡されることができない前駆体(金属塩化物塩を含むが、これに制限されない)のために、X線蛍光(XRF)分光法を、非晶質金属酸化物への変化を監視するために使用することができる。
【0051】
本発明にしたがって、NIRDD法およびUV光分解法は、同じ最終金属酸化物フィルムを生産するために使用されることができる。
図3は、本発明におけるNIRDD法およびUV光分解法の両方を用いて生産されるニッケル酸化物フィルムのサイクリックボルタンメトリーを示す。両方のボルタンメトリー曲線は、NIRDDおよびUV光分解によって生成される非晶質金属酸化物フィルムが電気化学的に同じであることを示す同じ形および同じ特徴を示す。
【0052】
次の性能基準を、本発明の方法を用いて調製される金属酸化物フィルムを用いて形成される装置のために評価した:(i)最大光変調(ΔT)、完全な着色状態から脱色状態の間の光線透過率の差;(ii)それぞれ完全な着色状態から脱色状態の間に透過率が完全変化の90%に達するために必要とされる着色切り替え時間(tc,90%)および脱色切り替え時間(tb,90%)、および(iii)着色効率(CE)、着色効率(CE)は、単位面積当たりの電荷における変化(ΔQ)に対する光学密度の変化(Δ(OD))に対応する。CE値は、ΔQの関数としてΔ(OD)の線形領域に適合し、Eq.1にしたがって傾きを抽出ことによって得られた(ここで、TbおよびTcは、与えられた波長での脱色状態および着色状態、それぞれでの透過率である)。
【0053】
【0054】
一実施形態において、本発明の方法にしたがって生成される非晶質タングステン酸化物は、エレクトロクロミック装置において使用される適切なエレクトロクロミック特性を示す。
図4aは、本発明の方法にしたがって、FTOガラス上にWCl
6のエタノール性溶液を堆積する溶液によって、続いてUV放射またはNIR放射によって非晶質タングステン酸化物を形成することにおける描写図である。
【0055】
NIRDDまたはUV光分解を用いて形成される非晶質タングステン酸化物は、
図7に示されるように全可視スペクトルにわって脱色状態で広い透過率(35~75%)および着色状態で減少した透過率を示す。非晶質WO
3フィルムは、可視および赤外領域(400~1000nm)にわたって電荷制御された光透過率を示した。タングステン酸化物フィルムの透過性は、適用バイアスを制御することによって正確に操作されることができる。正バイアスを導入すると、脱色状態が生成され透過率は増加する。負バイアスの適用は、着色状態を生成し、光透過率はタングステン酸化物によって減少する(
図7)。
【0056】
一実施形態において、本発明におけるNIRDD法およびUV光分解法を用いて形成される非晶質ニッケル酸化物も、エレクトロクロミック装置において使用のために適切なエレクトロクロミック特性を示す。正バイアスを導入すると、着色状態が生成され透過率は減少する。負バイアスの適用は、脱色状態を生成し、光透過率はニッケル酸化物によって増加する。ニッケル酸化物フィルムの透過性は、適用バイアスを制御することによって正確に操作されることができる。本発明にしたがって調製されるニッケル酸化物フィルムの脱色状態および着色状態の両方の完全な分光透過曲線を
図9に示す。着色条件下で、透過率は15~45%の範囲であり、一方、脱色状態で透過率は40%~70%である。本発明におけるUV光分解法またはNIRDD法のどちらかによって形成される非晶質ニッケル酸化物は、
図10に示されるように着色状態から透明状態の間に長期安定性サイクルを示す。12000秒(100サイクル)の期間にわたってサイクルされる試料は、各個々のサイクル後に、試料の透過率レベルが5%以内に繰り返して戻る。
【0057】
陽極材料から陰極材料の間の電解
質/イオン伝導体は、所望の透明性、伝導性、および耐久性特性を与えるために修正されることができる。本発明の方法を用いて形成される非晶質ニッケル酸化物フィルムは、水性電解
質および有機電解
質の両方において、うまく操作することによってエレクトロクロミック装置設計に付加的な柔軟性を提供する。
図11に示されるサイクリックボルタンメトリー曲線は、水性溶媒および非水性溶媒中で繰り返し可能な、可逆的な酸化および還元ピークを明らかにし、非晶質ニッケル酸化物層の安定性を示す。
【0058】
混合金属酸化物は、個々の金属酸化物に関して優れた性能を達成することが、他の適用(例えば、超伝導体、電解など)において示されている。性能におけるこの向上は、原子状およびナノスケールでの相乗作用効果およびエネルギー効果によって達成される。本発明のために、リチウムは1:3の比率で非晶質ニッケル酸化物フィルムに導入された。混合金属酸化物フィルムLiNi
3O
xは、
図12に示されるように非晶質ニッケル酸化物より速い(秒単位で)定常状態エレクトロクロミズムを達成する。より速い定常状態エレクトロクロミズムは、商業的応用、特にエレクトロクロミックセルにおける不透明から透明へ必要とする急速な変遷に有利である。
【0059】
エレクトロクロミックに活性な酸化物層を作るための現在の方法の一般性は、VCl
3、NbCl
5、およびMoCl
5、それぞれに由来されるV
2O
5、Nb
2O
5、およびMoO
3の非晶質フィルムに拡大される。V
2O
5、Nb
2O
5、およびMoO
3を含むエレクトロクロミック装置は、700nmの波長で、それぞれ~20%、~30%、および~35%の可視領域での光変調を示した(それぞれ、
図14、
図16、
図18)。透過率のより大きな変化を、異なる波長で観察した。調製されたままの酸化物フィルムのそれぞれにおけるXPS分析は、完全に酸化された化学的状態において塩素の欠失、および各金属(バナジウム、ニオビウム、またはモリブデン)の安定性を確認した(
図13a、
図15a、および
図17a、それぞれ)。調製されたままのV
2O
5、Nb
2O
5、およびMoO
3薄膜は、残留水を含み、残留水は1時間、100℃で更なるアニーリングによって効果的に除去された(
図13d、
図15d、および
図17d、それぞれ)。V
2O
5、Nb
2O
5、およびMoO
3をそれぞれ含むエレクトロクロミック装置は、450nm、500nm、および550nmそれぞれの波長において36cm
2/C、22cm
2/C、および57cm
2/Cの着色効率で可視領域における光変調を示した(
図20)。
図20aは、示された電位で形成される着色状態および脱色状態において3つのV
2O
5、5つのNb
2O
5、または5つのMoO
3活性層(それぞれ100℃でアニールされる)を含むエレクトロクロミック装置の光透過率スペクトルを示す。
図20bは、電荷密度の関数として450nmでのV
2O
5のΔ(OD)のプロット、550nmでのNb
2O
5のΔ(OD)のプロット、550nmでのMoO
3のΔ(OD)のプロットを示す。各プロットの線形領域に適合させることによって得られるCE値は、
図20bにも示される。
【0060】
UV分解およびNIRDDによって生成されるFeOフィルムは、可視光を通過させたままで近赤外領域において強い吸収を示す。エレクトロクロミック装置に適用されるFeOフィルムは、装置の状態がオンまたはオフのどちらかに関わらず近赤外光を遮断するだろう。
【0061】
表1は、異なる方法を介して調製される様々なエレクトロクロミック金属酸化物のCEを比較する。全ての場合において、本明細書に記述される方法は、金属酸化物フィルムを提供し、他の方法によって作られるフィルムと同じ、またはより良いものである。
【0062】
【0063】
【0064】
本発明の方法は、対電極上にイオン貯蔵層として金属酸化物フィルムを堆積するために使用されることもできる。TCO基板上に被覆されるイオン貯蔵材料は、装置脱色中にLi-イオンを貯蔵すること、および着色中にWO3に挿入するLi-イオンを放出すること、によって操作中に作用電極(一般的にWO3)によって生成される電荷の平衡を効率的に保つことができる。NiOおよびIrO2は、EC装置において一般的に使用されるイオン貯蔵材料であり、EC装置の補完的な着色を提供することによって、着色強度を向上させることができる。しかしながら、NiOおよびIrO2の本質的な色のために、光変調値は、妥協されてもよい。CaO2のような光学的に不活性なイオン貯蔵材料の使用は、脱色状態における装置の透明性を提供することができるが、当該イオン貯蔵能力は制限される。したがって、極めて優れたイオン貯蔵能力も示す代替的な光学的に不活性な対電極材料を探し求めることは非常に望ましい。TiO2は、リチウムイオン電池の陽極材料として使用される場合、優れたリチウムイオン貯蔵能力を示し、TiO2薄膜を、EC装置の対電極に適用するためのイオン貯蔵材料として使用することができることを示す。
【0065】
一実施形態において、本発明の方法にしたがって調製される非晶質TiO2フィルムは、EC装置において使用される対電極材料として採用される。
【0066】
一実施形態において、イオン貯蔵金属酸化物フィルムは、半導体エレクトロクロミック装置を形成するために、本発明にしたがって調製される光堆積エレクトロクロミックフィルムと結合しており、最先端のエレクトロクロミック性能を示す。半導体エレクトロクロミック装置は、液体電解質を用いる装置に存在する安全性および密封問題を防ぐことができる。
【0067】
本発明は特定の実施例に関して今記述されるだろう。次の実施例は、本発明の実施形態を記述することを目的とし、本発明を多少なりとも制限することを目的としないことは理解されるだろう。
【0068】
[実施例]
[実施例1:NiOx UV光分解]
この実施例において、フッ素ドープされたスズ酸化物(FTO;TEC7;7Ω/sq)基板を~2.5×2.5cm正方形に切断し、エキストラン(Extran)(登録商標)300洗浄剤で15分間、超音波処理して洗浄し、15分間、H2Oを脱イオン化し、15分間アセトンを脱イオン化し、20分間、O3(g)を有するUVライトに曝し、スピン被覆する。前駆体溶液は、光活性ニッケル化合物である。この実施例において、ニッケル(II)2-エチルヘキサノエート(2-エチルヘキサン酸中に78%(w/w)、ストレムケミカルズ社(Strem Chemicals))を使用した。0.2Mのエタノール溶液を調製し、きれいなFTO表面に適用した。試料は、ニッケル(II)2-エチルヘキサノエートの薄膜を生成するためにスピン被覆(3000rpm、60秒)された。被覆基板を、その後、UV放射に曝した。この実施例において、試料を、24時間二波長UVランプ(l=185、254nm)下に置いた。前駆体分解を赤外線(IR)分光法によって監視し、対応するリガンドに対する伸縮が消失すると前駆体分解は完了したと考慮された。
【0069】
[実施例2:NiOx NIRDD]
この実施例において、実施例1と同じ前駆体を、実施例1と同じ手法で、同じ基板に適用し、スピン被覆した。この場合において、試料は、a-NiOxフィルムを形成するために、前駆体分解を誘導するように赤外線ランプ下に置かられる。形成されたフィルムは分解後に透明になる。前駆体分解は、実施例1と同じ手法で追跡されることができる。
【0070】
[実施例3:装置組立]
本発明の方法にしたがって調製されるフィルム(実施例4~実施例15において形成されるものを含む)は、対電極として作用する裸のFTOガラスの頂端に、中心中空円(直径=1.6cm)を有する2×2cm正方形シリコーンゴムシート(20A、厚さ=1mm;マックマスター(McMaster)-CARR社)を置くことによって製造されるエレクトロクロミック装置に組み込まれた。FTOガラスを、その後、クローズドセルを形成するためにシリコーンスペーサの頂端上に置かれるエレクトロクロミック活性金属酸化物フィルム(作用電極)で被覆した。エポキシ接着剤を、セルの3つの側面を密閉するために使用した。A1-M LiClO4プロピレンカーボネート電解質溶液を、未密封側を介してシリンジによってセルに注入した。注入前に、バイアル中の空のセルおよび電解質を、大気中の空気を追い出すために、それぞれ5分間、乾燥N2を用いてパージした。エポキシ接着剤を用いて4つの側面を密封し、最終的なエレクトロクロミック装置を提供した。組立装置は、2.0cm2の活性領域を有した。
【0071】
[実施例4:WO3UV光分解]
この実施例において、透明導電体酸化物を実施例1と同じ手法で調製した。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化タングステン(VI)(WCl6、シグマ-アルドリッチ社)に加えた。この溶液を16時間攪拌し、基板にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成した。基板を、その後、a-WO3を形成する前駆体の分解のためにUVランプ(l=185nm、l=185、254nm)下に置いた。金属酸化物への変化を、X線蛍光によって監視した。エレクトロクロミック装置は、作用電極としてFTOガラス上にWO3の600nmフィルム(タングステン前駆体の5連続堆積物に対応する)と共に実施例3に記述されるように組み立てられた。装置における非晶質WO3フィルム(a-WO3と示される)を、装置に置く前に、基板からの剥離を抑制するために、100℃で1時間アニールした。
【0072】
図4bは、塩化物前駆体がタングステンのUV光分解中に分解するので、FTOガラス上のWCl
6の塩素含有量におけるXRF監視の結果を示し、XRF分析によって、UV放射の3分以内に前駆体の完全な分解を確認する。
図4cおよび
図4dは、FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析が、W
6+と一致するW4f分光的特徴の存在を考慮してWO
3の形成と一致することを示す。
図4eは、3分間のUV放射に曝される前および後にFTOガラス上にエタノールスピン-キャスト(spin-cast)において溶解されるWCl
6のIRスペクトル、および3分間UVライトに曝露後に形成され、100℃で1時間アニールされるWO
3の層において記録されるIRスペクトルを示す。
【0073】
図5は、本発明におけるUV放射法にしたがって調製され、1時間100℃でアニールされる単一のWO
3層のSEM、TEM、およびHRTEM特徴付けを示す。
図5の電子顕微鏡写真は、200nmの厚さを有する、均一な、高い多孔性、非晶質フィルムを示す。断面SEM画像において示されるイリジウムおよびプラチナ層は、フィルム伝導性を増加させることによって帯電効果を減少させるために、および断面を作り出すために使用される集束イオンビームから下層のフィルムを保護するために、堆積された。
【0074】
WO
3薄膜における非晶質性は、XRDディフラクトグラムによって更に支持され、FTO基板以外の結晶質相の証拠はない(
図6)。フィルムを、それぞれ100℃ステップで、100℃~600℃で60分間アニールした。結晶質相の存在、すなわち単斜晶系のWO
3は、フィルムを40℃以上で加熱した場合に検出されただけであった。結晶質WO
3フィルムは、エレクトロクロミック特性も示す。
【0075】
[実施例5:非晶質および結晶質WO3のエレクトロクロミック性能特性の比較]
実施例4において生産され非晶質WO3フィルムにおけるアニーリング効果を調査した。基準結晶質フィルム(c-WO3と示される)を実施例4に記述される同じプロトコルにしたがって調製されたが、さらに1時間400℃でのアニーリングステップを有した。
【0076】
着色バイアスおよび脱色バイアス下の装置の光透過率スペクトルは、非晶質WO
3フィルムの700nmで測定された~70%の透過率値の変化が、結晶質WO
3の測定値より~15%高いことを示す(
図8a)。非晶質フィルムおよび結晶質フィルムを含む装置が着色状態から脱色状態に切り替えられ着色状態に戻る場合、700nmでの透過率変化を
図8bおよび
図8cにそれぞれ示す。切り替え時間を示す。非晶質WO
3のために測定された着色切り替え時間(t
c,90%、透明状態から着色状態への透過率における完全な変化の90%に達するために必要とされる時間によって定義される)(12秒)、および着色状態から透明状態への脱色切り替え時間(t
b,90%)(5秒)(
図8b)は、結晶質WO
3の着色切り替え時間および脱色切り替え時間より著しく速く、結晶質WO
3は、t
c,90%値、およびt
b,90%値がそれぞれ5倍の長さ、および35倍の長さを示す(
図8c)。
図8dは、電荷密度の関数として700nmでの光学密度の変化(Δ(OD))を示す。CE値は、プロットの線形領域に適合することによって決定された。非晶質WO
3の着色効率(CE)は、700nmの波長で133cm
2/Cと計算され、結晶質WO
3の着色効率の約2倍である(
図8d)。
図8eおよび
図8fは、30秒ステップで100サイクルの着色状態から脱色状態の間のエレクトロクロミック変換中の700nmでの透過変化を示す。適用バイアスを30秒間で-3.5Vから30秒間で3.0Vに変換する1000サイクルにわたって非晶質WO
3(UV光分解またはNIRDDのどちらかによって形成される)安定性は、初期透過率変化の90%を保持したことを確認した(
図8e)。初期100サイクルにおいて、非晶質酸化物のほとんどごくわずか分解があるが(
図8e)、しかしながら、結晶質タングステン酸化物の透過率変化は、同じ100サイクルにわたって重大な分解を示した(
図8f)。
【0077】
[実施例6:エレクトロクロミック性能におけるアニーリング温度の影響]
非晶質WO
3フィルムを実施例4に記述される方法にしたがって調製した。調製された状態のフィルムWO
3は、さらに200℃でアニーリングステップおよび600℃でアニーリングステップに曝された(アニーリングは、空気中で1時間行った)。結果的に生じるフィルムを特徴付けし、組み立てられた装置のΔT、t
b,90%、およびt
c,90%、並びにCE値を
図19に与える:(a)調製された状態のWO
3;(b)200℃でアニールされたWO
3;および(c)600℃でアニールされたWO
3。
【0078】
【0079】
[実施例7:エレクトロクロミック性能におけるWO3フィルム厚の影響]
異なる厚さにおけるa-WO3のエレクトロクロミック性能は、性能がフィルムの連続した最大10層までの添加によるフィルム厚に影響を及ぼされるかどうかを決定するために評価した(表3)。700nmでのΔT値は、1~5層でそれぞれ29%~70%増加する。付加的な層はより暗い着色につながるけれども、より厚い層の妥協された透明性のために、光変調に役立たず、700nmでのΔT値は、10層で62%に減少した。さらに、切り替え時間およびCE値は共に、フィルム厚に反比例であることが明らかになった。一層で観察された2秒の着色および脱色時間は、10層で>20秒に増加し、一方、193cm2/Cの着色効果は、10層で117cm2/Cに減少した。
【0080】
【0081】
[実施例8:WO3 NIRDD]
この実施例において、透明導電体酸化物を、実施例1と同じ手法で調製する。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化タングステン(VI)(WCl6、シグマ-アルドリッチ社)に加える。この溶液を16時間攪拌し、基板にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成する。基板を、その後、a-WO3を形成する前駆体の分解のためにIRランプ下に置き、金属酸化物への変化を、X線蛍光によって監視する。非晶質相または結晶質相を、酸化物へ変換後にアニーリングによって得ることができる。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0082】
[実施例9:UV光分解またはNIRDDによるLiNiOx、および他の混合金属組成物]
この実施例において、透明導電体酸化物を、実施例1と同じ手法で調製した。ニッケル(II)2-エチルヘキサノエート(2-エチルヘキサン酸中に78%(w/w)、ストレムケミカルズ社(Strem Chemicals))およびリチウム2-エチルヘキサノエート(ストレムケミカルズ社)の0.2M溶液をヘキサン中で、様々なLi:Ni比率、例えば、25:75、40:60,50:50、75:25で調製した。溶液をTCO基板に適用し、基板上にスピン被覆(3000rpm、60秒)する。前駆体を、a-LiNiOxを形成するためにUVランプ下(l=185、またはl=185、254nm)またはIRランプ下のどちらかで分解する。金属酸化物への変化を実施例1のように観察した。エレクトロクロミック装置を実施例3に記述されるように組み立てた。
【0083】
[実施例10:V2O5 UV光分解]
この実施例において、透明導電体酸化物を実施例1と同じ手法で調製した。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化バナジウム(III)(VCl3、シグマ-アルドリッチ社)に加えた。この溶液を16時間攪拌し、基板にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成した。基板を、その後、a-V2O5を形成する前駆体の分解のためにUVランプ(l=185nm、l=185、254nm)下に置いた。金属酸化物への変化を、実施例4のように監視した。
【0084】
図13aは、XRF分析によって測定されるように、放射時間の関数としてFTOガラス上の塩化バナジウム前駆体の塩素含有量のプロットを示し、10分間の放射後に前駆体の完全な分解を確認した。
図13bおよび
図13cは、FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析が、FTOガラス上に調製された状態のV
2O
5の形成と一致することを示す。
図13cは、V2p
1/2およびV2p
3/2シグナルを、それぞれ525.40eVおよび517.85eVで特徴付ける拡大されたXPSスペクトルであり、V
5+の特徴である。
図13dは、10分間のUV放射に曝される前(フレッシュ(fresh))および後(光分解される)にFTOガラス上にVCl
5スピン-キャスト(spin-cast)におけるエタノール性溶液のIRスペクトルである。100℃で1時間アニールされた調製されたままの状態の酸化物フィルムも、
図13dに示される(アニールされる)。
【0085】
[実施例11:V2O5 NIRDD]
この実施例において、透明導電体酸化物を、実施例1と同じ手法で調製する。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化バナジウム(III)(VCl3、シグマ-アルドリッチ社)に加える。この溶液を16時間攪拌し、基板上にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成する。基板を、その後、a-V2O5を形成する前駆体の分解のためにIRランプ下に置き、金属酸化物への変化を、X線蛍光によって監視する。非晶質相または結晶質相を、酸化物へ変換後にアニーリングによって得ることができる。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0086】
[実施例12:Nb2O5 UV光分解]
この実施例において、透明導電体酸化物を実施例1と同じ手法で調製した。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化ニノビウム(V)(NbCl5、シグマ-アルドリッチ社)に加えた。この溶液を16時間攪拌し、基板上にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成した。基板を、その後、a-Nb2O5を形成する前駆体の分解のために、どちらかのUVランプ(l=185nm、またはl=185、254nm)下に置いた。金属酸化物への変化を、実施例4のように監視した。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0087】
図15aは、XRF分析によって測定されるように、放射時間の関数としてFTOガラス上の塩化ニオビウム前駆体の塩素含有量のプロットを示し、10分間の放射後に前駆体の完全な分解を確認した。
図15bおよび
図15cは、FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析が、FTOガラス上の調製されたままの状態のNb
2O
5の形成と一致することを示す。
図15cは、Nb3d
3/2およびNb3d
5/2シグナルを、それぞれ210.10eVおよび207.40eVで特徴付ける拡大されたXPSスペクトルであり、Nb
5+の特徴である。
図15dは、10分間のUV放射に曝される前(フレッシュ(fresh))および後(光分解される)にFTOガラス上にNbCl
5スピン-キャスト(spin-cast)におけるエタノール性溶液のIRスペクトルである。100℃で1時間アニールされた調製されたままの状態の酸化物フィルムも、
図15dに示される(アニールされる)。
【0088】
[実施例13:Nb2O5 NIRDD]
この実施例において、透明導電体酸化物を、実施例1と同じ手法で調製する。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化ニオビウム(V)(NbCl5、シグマ-アルドリッチ社)に加える。この溶液を16時間攪拌し、基板上にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成する。基板を、その後、a-Nb2O3を形成する前駆体の分解のためにIRランプ下に置き、金属酸化物への変化を、X線蛍光によって監視する。非晶質相または結晶質相を、酸化物へ変換後にアニーリングによって得ることができる。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0089】
[実施例14:MoO3 UV光分解]
この実施例において、透明導電体酸化物を実施例1と同じ手法で調製した。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化モリブデン(V)(MoCl5、シグマ-アルドリッチ社)に加えた。この溶液を16時間攪拌し、基板上にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成した。基板を、その後、a-MoO3を形成する前駆体の分解のために、UVランプ下(l=185nm、またはl=185、254nm)またはIRランプ下のどちらかに置いた。金属酸化物への変化を、実施例4のように監視した。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0090】
図17aは、XRF分析によって測定されるように、放射時間の関数としてFTOガラス上の塩化モリブデン前駆体の塩素含有量のプロットを示し、30分の放射後に前駆体の完全な分解を確認した。
図17bおよび
図17cは、FTOガラス上の金属酸化物フィルムにおけるXPS分析が、FTOガラス上の調製されたままの状態のMoO
3の形成と一致することを示す。
図17cは、Mo3d
3/2およびMo3d
5/2シグナルを、それぞれ236.28eVおよび233.15eVで特徴付ける拡大されたXPSスペクトルであり、Mo
6+の特徴である。
図17dは、30分間のUV放射に曝される前(フレッシュ(fresh))および後(光分解される)にFTOガラス上にMoCl
5スピン-キャスト(spin-cast)におけるエタノール性溶液のIRスペクトルである。100℃で1時間アニールされた調製されたままの状態の酸化物フィルムも、
図17dに示される(アニールされる)。
【0091】
[実施例15:MoO3 NIRDD]
この実施例において、透明導電体酸化物を、実施例1と同じ手法で調製する。無水エタノールを、0.25M溶液を作るために塩化モリブデン(V)(MoCl5、シグマ-アルドリッチ社)に加える。この溶液を16時間攪拌し、基板上にスピン被覆し(3000rpm、60秒)、基板上に紺青色フィルムを生成する。基板を、その後、a-MoO3を形成する前駆体の分解のためにIRランプ下に置き、金属酸化物への変化を、X線蛍光によって監視する。非晶質相または結晶質相を、酸化物へ変換後にアニーリングによって得ることができる。エレクトロクロミック装置は、実施例3に記述されるように組み立てられた。
【0092】
[実施例16:EC装置におけるイオン貯蔵材料として非晶質TiO2の使用]
非晶質TiO2フィルムを、本発明における溶液に基づく光堆積法を用いて生成した。TiO2フィルムを形成するために、155mgのTi(IV)2-エチルヘキサノエートを1mLのHPLC等級イソプロパノール中に溶解し、0.25M溶液を生成した。この溶液をFTO被覆ガラス基板上にピペットし、1分間、3000回転毎分でスピンキャストした(Laurell model WS-650MZ-23NPP-Lite)。結果的に生じる前駆体フィルムを10分間のUV(アトランティック ウルトラバイオレット(Atlantic Ultraviolet)G18T5VH/U;lmax=185)放射に曝した。フィルムを、オーブン(ネイ(Ney)ブルカン(Vulcan)3-550)で、大気中、異なる温度で、1時間、10℃/minのランピング速度を用いてアニールした。WO3フィルムは、0.22M WCl6イソプロパノール溶液を前駆体溶液として使用しUV放射時間は5分であったということを除いて、同じ手順によって生成された。
【0093】
結果的に生じる非晶質TiO2フィルムを、400℃でアナターゼTiO2(JCPDS 02101272)に結晶化することができる。結晶質TiO2フィルムは、約60nmの厚さで、非晶質フィルよりわずかに薄い、非晶質フィルムにほとんど同じ形態を示す。
【0094】
図24aは、イオン貯蔵材料としてTiO
2を用い、およびエレクトロクロミック層としてWO
3を用いるEC装置の描写図である。EC装置は、実施例3に記述されるのと同じ方法を用いて組み立てられた。
【0095】
図24bは、裸のFTO(黒)とさらに比較されるために、エレクトロクロミック層としてWO
3、対電極としてFTO上に堆積されるa-TiO
2(薄灰色)および結晶質c-TiO
2(濃灰色)を有するEC装置の1000サイクルにわたる700nmの波長での最大透過率および最小透過率を示す。各サイクルでは、装置を-3.5Vで30秒間着色し、続いて+3.0Vで他の30秒間脱色した。
図24bに示されるように、対電極としてTiO
2被覆を有するEC装置は、裸のFTOを用いる装置と比較して向上したサイクリング安定性を示した。このことは、FTO上のTiO
2フィルムの薄層によって提供される保護効果に起因してもよく、FTO上のTiO
2フィルムの薄層は、1000回のサイクリング後に、対電極においてa-TiO
2を用いる装置の低い内部抵抗の保持によって示されるように、結晶質FTO基板を分解から保護する(表4)。
【0096】
【0097】
[実施例17:半導体エレクトロクロミック装置の調製]
WO3およびNiOxフィルムは、以前に報告された方法のわずかな変更によって合成された。
【0098】
半導体EC装置において使用されるWO3フィルムを調製するために、4mlの2-プロパノール中に0.4gのWCl6を溶解することによって調製される前駆体溶液を、FTOガラス上に3000rpm、60秒間スピンコートした(Laurell model WS-650MZ-23NPP-Lite)。結果的に生じる前駆体薄膜を、完全な分解がXRF分析を用いて塩素含有量を監視することによって確認されるまで、UV(アトランティック ウルトラバイオレット(Atlantic Ultraviolet)G18T5VH/U;λmax=185)放射に曝した。
【0099】
半導体EC装置においてイオン貯蔵材料として使用するためのNiO
xフィルムを調製するために、NiCl
2水溶液(0.25M)を前駆体溶液として使用し、残る手順は、WO
3フィルムの調製と同じになっている。
図21aは、非晶質NiO
x(a-NiO
x)の形成につながるFTOガラス上のスピンキャストされたNiCl
2前駆体のUV光放射を示す略図である。
【0100】
結果的に生じるa-NiO
xフィルムの分析を、
図21b~
図21dに示す。
図21bは、UV放射時間の関数としてXRF分析装置によって決定される前駆体フィルムにおけるClの塩素のプロットを示し、塩化物イオンがUVランプによって8時間で完全に除去されることを確認する。
図21cは、Cl2pに対応する結合エネルギー範囲においてNiCl
2前駆体および形成されたままの状態のNiO
xのXPSスペクトルである。Cl2pシグナルは、形成されたままの状態のNiO
xに示されず、UV放射によって塩化物イオンの完全な分解を確認する。
図21dは、Ni2pに対応する結合エネルギー範囲におけるNiO
xのXPSスペクトルであり、Ni
2+のXPSスペクトルと十分に一致する。
【0101】
半導体装置において使用される電解質を調製するために、LiClO4およびPMMAを100℃で一晩、オーブンで乾燥した。プロピレンカーボネート(PC)は、モレキュラーシーブタイプ-3Aを20%w/vで添加することによって一晩乾燥した。モレキュラーシーブを、300℃で一晩アニーリングすることによって使用前に活性化した。0.532gのLiClO4を10mlプロピレンカーボネートに溶解し、0.5M溶液を形成した。1.339gのPMMAを、その後、磁気攪拌下でLiClO4-PC溶液に加えた。混合物を攪拌し、一晩、ホットプレートで60℃に加熱し、透明無色ゲル電解質を形成した。
【0102】
装置の組み立てより前に、NiOxフィルムのプレリチオ化を、作用電極としてFTOガラス上にNiOxフィルム、参照電極としてAg/AgCl、および対電極としてプラチナワイヤを有する従来型の3つの電極システムを用いて、1M-LiClO4プロピレンカーボネート中で行った。リチウムイオンは、-1.5V(vs Ag/AgCl)の電圧を10分間適用することによってNiOxに導入された。エレクトロクロミック装置は、FTOガラス上のプレリチオ化NiOxフィルムの頂端に、中心中空円(直径=1.6cm)を有する2×2cm正方形シリコーンゴムシート(50A、厚さ=1mm;マックマスター(McMaster)-CARR社)を置くことによって製造され、対電極としての機能を果たす。LiClO4-PC-PMMAのゲル電解質を、その後、中空円にドロップキャストした。FTOガラスを、その後、クローズドセルを形成するためにシリコーンスペーサの頂端上に置かれるWO3フィルム(作用電極)で被覆した。エポキシ接着剤を、セルを密閉するために使用した。組み立て装置は、2.0cm2の活性領域を有した。組み立て装置を、特性特徴付け前に一晩、オーブンで60℃に加熱した。
【0103】
図22aは、イオン貯蔵材料としてFTOガラス対電極にNiOxフィルムを用いた半導体EC装置の構造の描写図である。
【0104】
図22bは、脱色状態および着色状態でFTOガラス対電極上にa-NiO
xを用いる、および用いないで調製されたEC装置から得られた透過率スペクトルの比較を示す。スペクトルを、着色後-2.1Vで、または脱色後+2.1Vで60秒間記録した。
【0105】
図22cは、時間の関数として対電極としてFTO上にa-NiO-
xを用いて調製されたEC装置の633nmの波長での透過率変化を示す。装置は、+2.1Vで30秒間脱色し、その後、-2.4Vでさらに30秒間着色した。切り替え時間を示す。
【0106】
図22dは、FTOガラス対電極上にa-NiO
xを用いて調製された半導体EC装置のための電荷密度の関数として633nmでの光学密度の変化を示す。
【0107】
[実施例18:対電極として非晶質および結晶質NiOを用いて調製される半導体EC装置の比較]
図23aは、着色状態および脱色状態で対電極として現在する方法を用いて調製されたa-NiO
xおよびc-NiOフィルムを用いて調製されたEC装置の透過率スペクトルの比較を示す。スペクトルを、着色後-2.1Vで、脱色後+2.1Vで、60秒間記録した。
図23bは、時間の関数として、対電極としてFTO上にa-NiO
xおよびc-NiOを有するEC装置のための波長633nmでの透過率変化を示す。装置を、30秒間+2.1Vで脱色し、その後、さらに30秒間-2.1Vで着色した。切り替え時間を示す。
図23cは、対電極としてFTO上にa-NiO
x、およびc-NiOを用いる電荷密度の関数として633nmでの各装置の光学密度の変化を示す。着色効率値を、プロットの線形領域に適合することによって決定した。
【0108】
[実施例19:本発明の半導体装置の先行技術の装置との比較]
表5に示された全ての装置は、エレクトロクロミック層としてWO3フィルム、イオン貯蔵層としてNiOフィルム、およびポリマーに基づく電解質を使用する。本研究は、本発明にしたがって形成される非晶質NiOフィルムが当該結晶質対応物より優れた性能を示し、このことは以前に記録されていない。本発明の方法は、半導体エレクトロクロミック窓において使用のために、金属酸化物フィルムの堆積のための溶液処理法を用いることに関して重大な発展も示す。
【0109】
【0110】
[実施例20:スズドープされたインジウム酸化物(ITO)被覆ポリエチレンテレフタレート(PET)上のエレクトロクロミックフィルムの光堆積]
本発明の方法は、柔軟な基板上への金属酸化物フィルムの堆積に有用であるとして示されてもいる。
【0111】
前駆体溶液は、イソプロパノール中にタングステン(VI)イソプロポキシドを5%w/vで有する溶液の4mlを約2mlに回転蒸発することによって調製された。その後、0.152mlアセチルアセトンをタングステン(VI)イソプロポキシド溶液に加えた。30分後、前駆体溶液を、3000rpmで60秒間ITO-PET上にスピン被覆した(Laurell model WS-650MZ-23NPP-Lite)。結果的に生じる前駆体薄膜を、FTIR分析によって確認される有機リガンドの完全な分解まで、UV(アトランティック ウルトラバイオレット(Atlantic Ultraviolet)G18T5VH/U;λmax=185)放射に曝した。複数層薄膜を生成するために、スピン被覆およびUV光放射ステップを、複数回繰り返した。堆積された状態のフィルムを、オーブン(ネイ(Ney)ブルカン(Vulcan)3-550)で、大気中、100℃で、アニールした。
【0112】
エレクトロクロミック特性は、3つの電極配置を有する分光電気化学セルにおいて測定された。ITO-PET上のWO3フィルムを作用電極として、Ag/AgClを参照電極として、およびプラチナを対電極として使用した。1M-LiClO4プロピレンカーボネートを電解質として使用した。光学特性を、パーキンエルマー(PerkinElmer) ラムダ(Lambda)35 UV-Vis分光光度計によって記録した。電位をCHI660Dポテンシオスタットによって適用した。
【0113】
図26aは、60秒間、-/+0.7V(vs Ag/AgCl)で電位を保持後にITO-被覆PETプラスチック基板上に着色された、および脱色されたWO
3の透過率スペクトルを示す。写真は、脱色状態および着色状態でのITO-PET基板上に光堆積されたWO
3フィルムである。
【0114】
図26bは、時間の関数として700nmでの透過率変化を示す。WO
3フィルムは、+0.7Vの電位で30秒間保持され、続いて、-0.7Vの電位でさらに30秒間保持された。切り替え時間を示す。
【0115】
[実施例21:WO3フィルム性能におけるNbドープの影響]
WO3フィルムの合成のために、0.25M WCl6イソプロパノール前駆体溶液を、2mlの2-プロパノール中に0.200gのWCl6を溶解することによって調製した。10%Nb-ドープされたWO3の前駆体溶液は、0.43mlの0.1M NbCl5エタノール溶液を1.57mlの0.25M WCl6イソプロパノール溶液に添加することによって調製された。前駆体溶液を、その後、3000rpmで60秒間FTO上にスピン被覆した(Laurell model WS-650MZ-23NPP-Lite)。結果的に生じる前駆体薄膜をUV(アトランティック ウルトラバイオレット(Atlantic Ultraviolet)G18T5VH/U;λmax=185)放射に、15分間曝した。複数層薄膜を生成するために、スピン被覆およびUV光放射ステップを、複数回繰り返した。堆積された状態のフィルムを、オーブン(ネイ(Ney)ブルカン(Vulcan)3-550)で、大気中、100℃で、1時間アニールした。
【0116】
エレクトロクロミック特性は、3つの電極配置を有する分光電気化学セルにおいて測定された。FTOガラス上にドープされた、またはドープされていないWO3フィルムを作用電極として、Ag/AgClを参照電極として、およびプラチナを対電極として使用した。1M-LiClO4プロピレンカーボネートを電解質として使用した。光学特性を、パーキンエルマー(PerkinElmer) ラムダ(Lambda)35 UV-Vis分光光度計によって記録した。電位をCHI660Dポテンシオスタットによって適用した。
【0117】
図26aは、60秒間、-0.8V(着色)および-0.8V(脱色)(vs Ag/AgCl)で電位を保持後にFTOガラス上にドープされていないWO
3(黒)およびNb-ドープされたWO
3(灰色)の透過率スペクトルの比較を示す。
図26bは、時間の関数として、10エレクトロクロミックサイクルにわたってドープされていないWO
3(黒)およびNb-ドープされたWO
3(灰色)の透過率変化の比較を示す。各サイクルにおいて、フィルムは、-0.8V(vs Ag/AgCl)で30秒間保持され、続いて、+0.8Vでさらに30秒間保持された。
【0118】
[実施例22:WO3フィルム性能におけるTiドープの影響]
0.25M WCl6イソプロパノール前駆体溶液を、2mlの2-プロパノール中に0.200gのWCl6を溶解することによって調製した。0.25M Ti(IV)2-エチルヘキサノエート前駆体溶液を、2mlの2-プロパノール中に0.282gのTi(IV)2-エチルヘキサノエートを溶解することによって調製した。1%、5%、10%Ti-ドープされたWO3の前駆体溶液は、0.02ml、0.10ml、および0.20mlの0.25M Ti(IV)2-エチルヘキサノエートイソプロパノール溶液を、1.98ml、1.9ml、および1.8mlの0.25M WCl6イソプロパノール溶液と、それぞれ混合することによって調製された。前駆体溶液を、その後、3000rpmで60秒間FTO上にスピン被覆した(Laurell model WS-650MZ-23NPP-Lite)。結果的に生じる前駆体薄膜を、10分間、UV(アトランティック ウルトラバイオレット(Atlantic Ultraviolet)G18T5VH/U;λmax=185)放射に曝した。複数層薄膜を生成するために、スピン被覆およびUV光放射ステップを、複数回繰り返した。堆積された状態のフィルムを、オーブン(ネイ(Ney)ブルカン(Vulcan)3-550)で、大気中、100℃で、1時間アニールした。
【0119】
エレクトロクロミック特性は、3つの電極配置を有する分光電気化学セルにおいて測定された。FTOガラス上にドープされた、またはドープされていないWO3フィルムを作用電極として、Ag/AgClを参照電極として、およびプラチナを対電極として使用した。1M-LiClO4プロピレンカーボネートを電解質として使用した。光学特性を、パーキンエルマー(PerkinElmer) ラムダ(Lambda)35 UV-Vis分光光度計によって記録した。電位をCHI660Dポテンシオスタットによって適用した。
【0120】
図27は、ドープされていない、およびTi-ドープされたWO
3フィルムの1000サイクルにわたる最大および最小透過率を示す。各サイクルにおいて、フィルムは、30秒間、-0.8V(vs Ag/AgCl)で保持され、続いて、さらに30秒間、+0.8Vで保持された。
【0121】
[参照文献]
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