(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】体感温度に基づいた自動スイッチオーバーサーモスタットシステム、及び空調された空間の体感温度を判定して自動制御する方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20240903BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20240903BHJP
F24F 11/523 20180101ALI20240903BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240903BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240903BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20240903BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240903BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240903BHJP
F24F 120/20 20180101ALN20240903BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/46
F24F11/523
F24F11/64
F24F11/70
F24F11/80
F24F110:10
F24F110:20
F24F120:20
(21)【出願番号】P 2020542040
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 US2018055514
(87)【国際公開番号】W WO2019075272
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128484
【氏名又は名称】ベチャーラ フィリップ アソウアド
(73)【特許権者】
【識別番号】520128495
【氏名又は名称】ディミトリ エス.チャミエー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ベチャーラ フィリップ アソウアド
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ エス.チャミエー
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】石黒 雄一
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-91443(JP,A)
【文献】特開2017-122529(JP,A)
【文献】特開2003-83586(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024443(WO,A1)
【文献】特開2015-25631(JP,A)
【文献】特開2009-184549(JP,A)
【文献】特開2015-94542(JP,A)
【文献】特開平7-55234(JP,A)
【文献】特開2015-38402(JP,A)
【文献】特開2017-120167(JP,A)
【文献】特開2016-38135(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房ユニット及び冷房ユニットを制御するように構成された環境制御システムであって、
現在の乾球温度を計測するように構成された温度センサと、
現在の相対湿度を計測するように構成された湿度センサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に結合された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサが、
現在の体感温度を、少なくとも前記温度センサによって計測された前記現在の乾球温度及び前記湿度センサによって計測された前記現在の相対湿度の両方の関数として判定し、
所望の体感温度に基づく体感温度の上限閾値及び下限閾値を受け取り、ここで、前記所望の体感温度は、ユーザー選択された所望の体感温度であり、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値未満であるときに、前記暖房ユニットを暖房モードにおいて起動し、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記上限閾値超であるときに、前記冷房ユニットを冷房モードにおいて起動し、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値と前記上限閾値の間の不感帯内にあるときは、前記冷房ユニットと前記暖房ユニットのどちらも起動せず、
前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせる命令を、入力ユニットのユーザー操作により前記入力ユニットから受け取るのに応じて、
前記暖房モードで動作している際には、体感温度の前記下限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせ、
前記冷房モードで動作している際には、体感温度の前記上限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせる、
ソフトウェア命令を内部に有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、
を有し、
前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサが、前記ユーザー選択された所望の体感温度及び前記現在の体感温度に基づいて、前記暖房モードと前記冷房モードの間において自動的に切り替わるように
する、
システム。
【請求項2】
前記ソフトウェア命令は、前記現在の乾球温度及び前記現在の相対湿度によって前記現在の体感温度を定義するルックアップテーブルを参照し、且つ、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサが、前記ルックアップテーブルから前記現在の体感温度を判定するようにする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ソフトウェア命令は、前記現在の体感温度を定義する代数方程式を有し、且つ、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサが、前記代数方程式から前記現在の体感温度を算出するようにする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記代数方程式は、以下のとおりであり、
【数1】
ここで、ρは、以下のとおりであり、
【数2】
ここで、ATは、℃を単位とする前記体感温度であり、Taは、℃を単位とする前記乾球温度であり、ρは、水蒸気圧(hPa)であり、wsは、風速であり、且つ、rhは、前記相対湿度(%)である、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記現在の乾球温度、前記現在の相対湿度、前記現在の体感温度、及び前記ユーザー選択された所望の体感温度のうちの少なくとも1つを表示するように構成されたディスプレイを更に有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、第1ユーザーと関連する第1のユーザー選択された所望の体感温度を保存するように、且つ、第2ユーザーと関連する第2のユーザー選択された所望の体感温度を保存するように、構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
空調された空間の環境を制御する方法であって、
前記空調された空間の現在の乾球温度を判定するステップと、
前記空調された空間の現在の相対湿度を判定するステップと、
現在の体感温度を、少なくとも前記空調された空間の前記現在の相対湿度及び前記現在の乾球温度の両方の関数として算出又は判定するステップと、
前記空調された空間の所望の体感温度に基づく体感温度の上限閾値及び下限閾値を受け取るステップであって、前記所望の体感温度は、ユーザー選択された所望の体感温度である、ステップと、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値未満であるときに、暖房ユニットを暖房モードにおいて起動するステップと、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記上限閾値超であるときに、冷房ユニットを冷房モードにおいて起動するステップと、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値と前記上限閾値の間の不感帯内にあるときは、前記冷房ユニットと前記暖房ユニットのどちらも起動しないステップと、
前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせる命令を、入力ユニットのユーザー操作により前記入力ユニットから受け取るのに応じて、
前記暖房モードで動作している際には、体感温度の前記下限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせ、
前記冷房モードで動作している際には、体感温度の前記上限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせる、ステップと、
前記ユーザー選択された所望の体感温度及び前記現在の体感温度に基づいて、前記暖房モードと前記冷房モードの間において自動的に切り替えるステップと、
を有する方法。
【請求項8】
前記現在の乾球温度を判定するステップは、温度センサによって前記現在の乾球温度を計測するステップを有し、且つ、前記現在の相対湿度を判定するステップは、湿度センサによって前記現在の相対湿度を計測するステップを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記現在の体感温度を算出又は判定するステップは、前記現在の乾球温度及び前記現在の相対湿度によって前記現在の体感温度を定義するルックアップテーブルから前記現在の体感温度を判定するステップを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記体感温度を算出又は判定するステップは、代数方程式によって前記現在の体感温度を算出するステップを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記代数方程式は、以下のとおりであり、
【数3】
この場合に、ρは、以下のとおりであり、
【数4】
ここで、ATは、℃を単位とする前記体感温度であり、Taは、℃を単位とする前記乾球温度であり、ρは、水蒸気圧(hPa)であり、wsは、風速であり、且つ、rhは、前記相対湿度(%)である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記現在の体感温度を算出又は判定するステップは、放射された熱負荷、外気温、季節、活動レベル、衣服、放射、及び風速から構成された群から選択された1以上の更なる要因に基づいている、
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行された際に、前記プロセッサが、
現在の乾球温度を判定し、
現在の相対湿度を判定し、
現在の体感温度を、前記現在の乾球温度及び前記現在の相対湿度の両方の関数として判定し、
所望の体感温度に基づく体感温度の上限閾値及び下限閾値を受け取り、ここで、前記所望の体感温度は、ユーザー選択された所望の体感温度であり、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値未満であるときに、暖房ユニットを暖房モードにおいて起動し、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記上限閾値超であるときに、冷房ユニットを冷房モードにおいて起動し、
前記現在の体感温度が、体感温度の前記下限閾値と前記上限閾値の間の不感帯内にあるときは、前記冷房ユニットと前記暖房ユニットのどちらも起動せず、
前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせる命令を、入力ユニットのユーザー操作により前記入力ユニットから受け取るのに応じて、
前記暖房モードで動作している際には、体感温度の前記下限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせ、
前記冷房モードで動作している際には、体感温度の前記上限閾値が前記現在の体感温度と等しくなるように体感温度の前記上限閾値及び前記下限閾値をシフトさせ、
前記ユーザー選択された所望の体感温度及び前記現在の体感温度に基づいて、前記暖房モードと前記冷房モードの間において自動的に切り替わる、
ようにするソフトウェア命令を内部に有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許商標庁に2017年10月11日付けで出願された米国仮特許出願第62/570,835号の優先権及び利益を主張するものであり、この特許文献の内容は、引用により、その全てが本明細書において包含される。
【0002】
本開示は、一般に、環境制御ユニットと、内部空間の環境を制御する方法と、に関する。
【背景技術】
【0003】
暖房、換気、及び空調(HVAC:Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)システムは、居住又は商業用の建物又は産業用の建物などの内部の部屋などの、内部空間の温度を調節するべく、一般に使用されている。一般に、HVACシステムは、サーモスタットにおいて設定されている温度を維持するように構成されている。但し、従来のHVACシステムは、相対湿度、空間内のその他の人物からの放射熱伝達、及び空間内において稼働している機器などの、空間内の占有者の快適さのレベルに影響を及ぼすその他の要因を考慮するように構成されてはいない。例えば、外気温又は天候状態の変化、室内における人物の有無の変化、及び空間の内側において生成されている熱の変化などの、様々な要因は、空間の内側の相対湿度を変更する場合があり、且つ、従来のサーモスタットを有するHVACシステムは、相対湿度の変化を考慮することなしに、設定された温度を維持することを継続することになり、この結果、空間が、占有者にとって不快な状態となりうる。
【0004】
より複雑なHVACシステムは、内部空間の温度と相対湿度の両方を調節するように構成されている。但し、これらのより複雑なHVACシステムは、通常、加湿器、除湿器、及び再暖房システムを含んでおり、これらは、高価である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、暖房ユニット及び冷房ユニットを制御するように構成された環境制御システムの様々な実施形態を対象としている。一実施形態においては、環境制御システムは、現在の乾球温度を計測するように構成された温度センサと、現在の相対湿度を計測するように構成された湿度センサと、プロセッサと、プロセッサに動作可能に結合された非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、温度センサによって計測された現在の乾球温度及び湿度センサによって計測された現在の相対湿度に少なくとも基づいて、現在の体感温度(apparent temperature)を判定し、ユーザー選択された所望の体感温度を受け取り、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の下限閾値未満であるときに、暖房ユニットを暖房モードにおいて起動し、且つ、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の上限閾値超であるときに、冷房ユニットを冷房モードにおいて起動する、ソフトウェア命令を内部に有する。ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、暖房モードと冷房モードの間において自動的に切り替わるようにする。
【0006】
ソフトウェア命令は、ルックアップテーブルを含むことができると共に、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、ルックアップテーブルから現在の体感温度を判定するようにすることができる。
【0007】
ソフトウェア命令は、現在の体感温度を定義する半経験的な代数方程式を含むことができると共に、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、半経験的な代数方程式から現在の体感温度を算出するようにすることができる。
【0008】
半経験的な代数方程式は、以下のとおりであってもよく、
【数1】
この場合に、ρは、以下のとおりであり、
【数2】
ここで、ATは、℃を単位とする体感温度であり、Taは、℃を単位とする乾球温度であり、ρは、水蒸気圧(hPa)であり、wsは、風速であり、且つ、rhは、相対湿度(%)である。
【0009】
ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、ユーザー選択された所望の(desired)体感温度及び現在の相対湿度に対応するターゲット乾球温度を算出するように、更にすることができる。
【0010】
ソフトウェア命令は、多項式を含むことができると共に、ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、多項式からターゲット乾球温度を算出するようにすることができる。
【0011】
多項式は、-0.002227×AT2+1.06×AT+3.4902×RH2-3.6014×RH-0.33346×AT×RH+4.0937であってもよく、この場合に、ATは、ユーザー選択された所望の体感温度であり、且つ、RHは、現在の相対湿度である。
【0012】
ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、ユーザー選択された所望の体感温度及び現在の乾球温度に対応するターゲット相対湿度を算出するように、更にすることができる。
【0013】
システムは、ユーザー選択された所望の体感温度を入力するように構成された入力ユニットを更に含むことができる。
【0014】
入力ユニットは、プロセッサが、現在の体感温度を算出するようにするべく、且つ、プロセッサが、システムが暖房モードにおいて動作している際には、現在の体感温度に等しい体感温度の下限閾値を設定するように、且つ、システムが冷房モードにおいて動作している際には、現在の体感温度に等しい体感温度の上限閾値を設定するように、するべく構成することができる。
【0015】
システムは、現在の乾球温度、現在の相対湿度、現在の体感温度、及びユーザー選択された所望の体感温度のうちの少なくとも1つを表示するように構成されたディスプレイを含むことができる。
【0016】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、第1ユーザーと関連する第1のユーザー選択された所望の体感温度を保存するように、且つ、第2ユーザーと関連する第2のユーザー選択された所望の体感温度を保存するように、構成することができる。
【0017】
また、本開示は、空調された空間の環境(climate)を制御する様々な方法をも対象としている。一実施形態においては、方法は、空調された空間の現在の乾球温度を判定するステップと、空調された空間の現在の相対湿度を判定するステップと、空調された空間の現在の相対湿度及び現在の乾球温度に少なくとも基づいて、空調された空間の現在の体感温度を算出又は判定するステップと、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の下限閾値未満であるときに、暖房ユニットを暖房モードにおいて起動するステップと、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の上限閾値超であるときに、冷房ユニットを冷房モードにおいて起動するステップと、暖房モードと冷房モードの間において自動的に切り替えるステップと、を含む。
【0018】
現在の乾球温度を判定するステップは、温度センサによって現在の乾球温度を計測するステップを含むことができると共に、現在の相対湿度を判定するステップは、湿度センサによって現在の相対湿度を計測するステップを含むことができる。
【0019】
また、方法は、空調された空間のユーザー選択された所望の体感温度を受け取るステップを含むこともできる。
【0020】
方法は、ユーザー選択された所望の体感温度と空調された空間の現在の体感温度の間の差を判定するステップを含むことができる。
【0021】
方法は、ユーザー選択された所望の体感温度及び空調された空間内の現在の相対湿度に対応するターゲット乾球温度を判定するステップを含むことができる。
【0022】
ターゲット乾球温度を判定するステップは、多項式からターゲット乾球温度を算出するステップを含むことができる。多項式は、以下のとおりであってもよく、
【数3】
この場合に、ATは、ユーザー選択された所望の体感温度であり、且つ、RHは、現在の相対湿度である。
【0023】
方法は、ユーザー選択された所望の体感温度及び空調された空間の現在の乾球温度に対応するターゲット相対湿度を判定するステップを含むことができる。
【0024】
現在の体感温度を算出又は判定するステップは、ルックアップテーブルから現在の体感温度を判定するステップを含むことができる。
【0025】
体感温度を算出又は判定するステップは、半経験的な代数方程式によって現在の体感温度を算出するステップを含むことができる。
【0026】
半経験的な代数方程式は、以下のとおりであってもよく、
【数4】
この場合に、ρは、以下のとおりであり、
【数5】
ここで、ATは、℃を単位とする体感温度であり、Taは、℃を単位とする乾球温度であり、ρは、水蒸気圧(hPa)であり、wsは、風速であり、且つ、rは、相対湿度(%)である。
【0027】
現在の体感温度を算出又は判定するステップは、放射される熱負荷、外気温、季節、活動レベル、衣服、放射、風速などのような、1以上の更なる要因に基づいたものであってよい。
【0028】
また、本開示は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体の様々な実施形態をも対象としている。一実施形態においては、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行された際に、プロセッサが、現在の乾球温度を判定し、現在の相対湿度を判定し、現在の乾球温度及び現在の相対湿度に基づいて現在の体感温度を判定し、ユーザー選択された所望の体感温度を受け取り、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の下限閾値未満であるときに、暖房ユニットを暖房モードにおいて起動し、現在の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて、体感温度の上限閾値超であるときに、冷房ユニットを冷房モードにおいて起動し、且つ、暖房モードと冷房モードの間において自動的に切り替わる、ソフトウェア命令を内部に有する。
【0029】
この概要は、詳細な説明において更に後述する本開示の実施形態の特徴及び概念の一選択を紹介するべく、提供されるものである。この概要は、特許請求されている主題の主要な又は不可欠な特徴を識別することを意図したものではなく、且つ、特許請求されている主題の範囲の限定において使用されることを意図したものでもない。記述されている特徴のうちの1以上は、機能可能な装置を提供するべく、1以上のその他の記述されている特徴と組み合わせることができる。
【0030】
本開示の実施形態のこれらの且つその他の特徴及び利点については、以下の図面との関連における検討の際に以下の詳細な説明を参照することにより、更に明らかとなろう。図面においては、同一の特徴及びコンポーネントを参照するべく、同一の参照符号が図の全体にわたって使用されている。これらの図は、必ずしも、正確な縮尺によって描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】本開示の一実施形態による、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムの空調ユニットを制御するべく接続されたサーモスタットシステムの概略図である。
【
図1B】本開示の一実施形態による、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムの空調ユニットを制御するべく接続されたサーモスタットシステムのブロック図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、乾球温度及び相対湿度の関数として、摂氏度を単位とした体感温度を示す表である。
【
図2B】本開示の一実施形態による、乾球温度及び相対湿度の関数として、華氏度を単位とした体感温度を示す表である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、体感温度及び相対湿度の関数として、摂氏度を単位とした乾球温度を示す表である。
【
図3B】本開示の一実施形態による、体感温度及び相対湿度の関数として、華氏度を単位とした乾球温度を示す表である。
【
図4A】従来のサーモスタット用の温度スイッチオーバー制御方法と不感帯を有する本開示の一実施形態による温度スイッチオーバー制御方法を比較したグラフである。
【
図4B】従来のサーモスタット用の温度スイッチオーバー制御方法と不感帯を有する本開示の一実施形態による温度スイッチオーバー制御方法を比較したグラフである。
【
図4C】従来のサーモスタット用の温度スイッチオーバー制御方法と不感帯を有する本開示の一実施形態による温度スイッチオーバー制御方法を比較したグラフである。
【
図5】従来のサーモスタット用の温度スイッチオーバー制御方法と不感帯を有していない本開示の一実施形態による温度スイッチオーバー制御方法を比較したグラフである。
【
図6】従来のサーモスタット用の温度スイッチオーバー制御方法と最大のエネルギー費用節約のための広いデッドゾーンを有する本開示の一実施形態による温度スイッチオーバー制御方法を比較したグラフである。
【
図7】本開示の一実施形態による管理された空間の体感温度を制御する方法のタスクを示すフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態による暖房及び冷房モードの間のスイッチオーバーを制御するように構成されたアルゴリズムのタスクを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、管理された空間内の乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、管理された空間内の体感温度を維持することにより、居住用の建物又は商業用の建物又は産業用の建物などの内部空間などの、管理又は空調された空間内の一人又は複数の占有者の快適さレベルを制御及び維持するように構成されたシステム及び方法の様々な実施形態を対象としている。これに加えて、様々な実施形態において、本開示のシステム及び方法は、空間の乾球温度のみを計測している従来のサーモスタットとの比較において、特定の条件下において動作した際に、エネルギー費用の節約を提供するように構成されている。
【0033】
まず、
図1A及び
図1Bを参照すれば、本開示の一実施形態による環境制御システム100は、管理された空間(例えば、居住又は商業用の建物又は産業用の建物などの内部空間)の乾球温度を計測するように構成された温度センサ101と、管理された空間の相対湿度を計測するように構成された湿度センサ102(例えば、湿度計)と、プロセッサ103と、メモリ104(即ち、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)と、画像を表示するディスプレイ105と、ユーザーが管理された空間の所望の体感温度を選択できるようにするべく構成されたユーザー入力装置106と、を含む。本明細書において使用されている「乾球温度」という用語は、空気に自由にさらされた、但し、放射及び湿気から遮蔽された、温度計によって計測された空気の温度を意味している。これに加えて、図示の実施形態においては、システム100は、温度センサ101、湿度センサ102、プロセッサ103、メモリ104、ディスプレイ105、及びユーザー入力装置106がその上部において互いに通信しているシステムバス107をも含む。
【0034】
本明細書においては、「プロセッサ」という用語は、データ及びデジタル信号を処理するべく利用されるハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの任意の組合せを含むべく使用されている。プロセッサのハードウェアは、例えば、用途固有の集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、汎用又は特殊目的中央プロセッサ(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、グラフィックスプロセッサ(GPU)、及びフィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などのプログラム可能な論理装置を含むことができる。本明細書において使用されているプロセッサ内においては、それぞれの機能は、その機能を実行するように構成された、即ち、配線接続された、ハードウェアにより、或いは、非一時的記憶媒体内において保存された命令を実行するように構成された、CPUなどの、相対的に汎用的なハードウェアにより、実行されている。プロセッサは、単一の印刷配線基板(PWB:Printed Wiring Board)上において製造されていてもよく、或いは、いくつかの相互接続されたPWB上において分散されていてもよい。プロセッサは、その他のプロセッサを含んでいてもよく、例えば、プロセッサは、PWB上において相互接続された、2つのプロセッサ、即ち、FPGA及びCPU、を含むことができる。
【0035】
入力装置106は、ユーザーが、従来のサーモスタットのように空間の所望の乾球温度ではなく、乾球温度と相対湿度の両方の関数である、管理された空間の所望の体感温度を入力できるようにする任意の適切な装置であってよい。本明細書において使用されている「ユーザー」という用語は、シングルユーザーシステム、デュアルユーザーシステム、又はマルチユーザーシステムのユーザーを意味している。1以上の実施形態においては、入力装置106は、システムのハウジング上において1以上の物理的制御装置(例えば、1以上のプッシュボタン、スライダ、及び/又は1以上のノブ)を含むことができる。1以上の実施形態においては、入力装置106は、ディスプレイ105に接触することによって選択されうる、ディスプレイ105上において表示されたグラフィックであってよい(例えば、ディスプレイ105は、タッチスクリーンであってよい)。1以上の実施形態においては、入力装置106は、リモコンなどの、有線又は無線装置であってよい。1以上の実施形態においては、入力装置106は、セルラー装置(例えば、スマートフォン)又は近距離において無線通信するように構成された装置(例えば、Bluetooth(登録商標)装置)などの、モバイル装置と無線で通信するように構成されたネットワークアダプタを含むことができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、入力装置106は、ユーザーが、特定の所望の体感温度を規定することなしに、管理された空間の現在の体感温度を所望の体感温度として選択することを可能にするように構成されている。例えば、1以上の実施形態においては、入力装置106は、ユーザーによって押下された際に、プロセッサ103が、温度センサ101によって計測された現在の乾球温度及び湿度センサ102によって計測された現在の相対湿度から現在の体感温度を判定又は算出するようにする、且つ、プロセッサ103が、この現在の体感温度をユーザー選択された所望の体感温度としてメモリ104内において保存するようにする、ボタン106-1を含むことができる。1以上の実施形態においては、ボタン106-1は、ユーザーによって押下された際に、プロセッサ103が、空調された空間内の現在の体感温度を判定又は算出し、且つ、システム100が冷房モード又は暖房モードのいずれにおいて動作しているのかに応じて、現在の体感温度に等しくなるように又は実質的に等しくなるように、不感帯の体感温度上限(upper)又は閾値又は体感温度の下限(lower)又は閾値を設定する、ようにすることができる。例えば、1以上の実施形態においては、システム100が冷房モードにおいて稼働しており、且つ、ボタン106-1が押下された際に、システム100は、不感帯の体感温度の上限閾値が、ボタン106-1が押下された際に判定又は算出された現在の体感温度に等しくなる又は実質的に等しくなるように、(例えば、
図6において示されているように)体感温度の上限及び下限閾値をシフトさせることができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、システム100が暖房モードにおいて稼働しており、且つ、ボタン106-1が押下された際には、システム100は、不感帯の体感温度の下限閾値が、ボタン106-1が押下された際に判定又は算出された現在の体感温度と等しくなる又は実質的に等しくなるように、(例えば、
図6において示されているように)体感温度上限及び下限をシフトさせることができる。1以上の実施形態においては、入力装置106は、ユーザーが所望の体感温度を間接的に選択することを許容するように構成されたスライダ106-2を含むことができる。例えば、1以上の実施形態においては、スライダ106-2は、ユーザーが、快適さ(例えば、この場合には、システム100は、所望の体感温度を厳格に維持するように構成されている)と経済性(例えば、この場合には、システム100は、実際の体感温度が、所望の体感温度超又は未満の閾値限度(例えば、不感帯)の外側にある際にのみ、暖房及び/又は冷房ユニットを起動するように構成されている)の間のバランスを選択できるようにする。1以上の実施形態においては、不感帯のサイズ(例えば、閾値限度が、所望の体感温度を上回っている又は下回っている量)は、スライダ106-2が「経済性」設定に向かって運動するのに伴って増大し、且つ、スライダ106-2が「快適さ」設定に向かって運動するのに伴って減少している(例えば、スライダ106-2は、不感帯を広げる又は狭めるように構成されている)。例えば、1以上の実施形態においては、ユーザーは、(例えば、ディスプレイ105上のアイコンを押下することにより、ボタン106-1などの1つ又複数の物理的制御装置を起動することにより、且つ/又は、セルラー電話機などのリモート装置を利用することにより)75°Fという所望の体感温度を入力することができると共に、次いで、ユーザーは、システム100が、狭い不感帯(例えば、+/-0.5°F)を算出することになる、或いは、75°Fという所望の体感温度に関する不感帯を算出しなくなる、「快適さ」設定と、システム100が、75°Fという所望の体感温度に関する最大幅の不感帯(例えば、+/-6.0°F)を算出することになる、「経済性」設定と、の間において、スペクトルに沿った所望の位置に、スライダ106-2を調節することができる。
【0036】
1以上の実施形態においては、メモリ104は、1以上の入力装置106を介して入力されたユーザー設定を保存するべく、NANDフラッシュメモリなどの永続的なメモリを含むことができる。例えば、1以上の実施形態においては、メモリ104は、後から使用するべく呼び出されうる、2人以上の個別のユーザーの個々の好ましい温度設定(例えば、「ユーザー1」:75°Fの体感温度、「ユーザー2」:77°Fの体感温度、「ユーザー3」:68°Fの体感温度)を保存するように構成することができる。従って、1以上の実施形態においては、ユーザーは、メモリ104内において保存されている命令が、プロセッサ103によって実行された際に、管理された空間の体感温度が、そのユーザーと関連する所望の体感温度(例えば、75°F)に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、プロセッサ103が空調ユニットを制御するようにするべく、入力装置106を通じて、個々のユーザー(例えば、「ユーザー1」)を識別するプロファイルを選択することができる。
【0037】
システム100のメモリ104は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、温度センサ101によって計測された乾球温度及び湿度センサ102によって計測された相対湿度に基づいて、管理された空間内の体感温度を算出するようにする命令を保存している。1以上の実施形態においては、温度センサ101及び湿度センサ102は、空調された空間の、それぞれ、乾球温度及び相対湿度を継続的に計測することができる。1以上の実施形態においては、温度センサ101及び湿度センサ102は、別個の時点において(例えば、規則的なインターバルにおいて)、空調された空間の、それぞれ、乾球温度及び相対湿度を計測することができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、メモリ104内に保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、予め定義された期間(例えば、約1分~約15分以上という範囲の期間)にわたる乾球温度の平均値及び相対湿度の平均値を算出又は判定し、且つ、予め定義された期間にわたる平均乾球温度及び平均相対湿度に基づいて、空調された空間の体感温度を算出する、ようにする。
【0038】
1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、所与の乾球温度及び所与の相対湿度に対応する体感温度を列挙したルックアップテーブルを含む。
図2A~
図2Bは、本開示の一実施形態による、乾球温度及び相対湿度の関数として体感温度を示すルックアップテーブルである。従って、1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、温度センサ101によって計測された乾球温度(或いは、予め定義された期間にわたって計測された平均乾球温度)及び湿度センサ102によって計測された相対湿度(或いは、湿度センサによって計測された平均相対湿度)と関連する体感温度を判定するべく、ルックアップテーブル(例えば、
図2A及び
図2Bのルックアップテーブルのうちの1つ)を参照するようにする。例えば、1以上の実施形態においては、乾球温度が20.2℃(68.0°F)であり(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)、且つ、相対湿度が30%である場合には(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測として算出される)、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、
図2A及び
図2Bのルックアップテーブルを参照し、且つ、対応する体感温度が18.1℃(64.6°F)であることを判定する、ようにすることになろう。
【0039】
1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)及び相対湿度(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つの以上の相対湿度計測値として算出される)の関数として体感温度を定義している1以上の半経験的な代数方程式を含む。一実施形態においては、半経験的な代数方程式は、R.G.Steadmanによって開発された以下の式であり、
【数6】
ここで、ATは、℃を単位とする体感温度であり、T
aは、℃を単位とする乾球温度であり、ρは、水蒸気圧(hPa)であり、wsは、風速であり、且つ、rhは、相対湿度(%)である。従って、一実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)及び相対湿度(rh)(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)に基づいて、上述の式2に従って水蒸気圧ρを算出するようにし、且つ、プロセッサ103が、乾球温度、式2に従って判定された水蒸気圧(ρ)、及び風速(ws)に基づいて、上述の式1に従って体感温度(AT)を算出するようにする。1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)及び相対湿度(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)に基づいて体感温度を判定する任意の1以上のその他の適切な経験的な又は半経験的な代数方程式を含むことができる。例えば、1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、任意のその他の体感温度式又は式の組合せ、或いは、例えば、フィールド試験を通じて開発された変更済みの式を含むことができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、乾球温度及び相対湿度から体感温度を判定又は算出するべく、ルックアップテーブル(例えば、
図2A~
図2Bのルックアップテーブルのうちの1つ)又は1以上の半経験的な代数方程式(例えば、上述の式1及び式2)を含むことができる。1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、乾球温度及び相対湿度から体感温度を判定するべく、ルックアップテーブル及び1以上の半経験的な代数方程式の両方により、プログラミングすることができる。
【0040】
一実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、例えば、空気速度、管理された空間内の放射される熱負荷(例えば、管理された空間内の占有者からの放射される熱負荷)、身体表面の単位面積当たりの吸収される正味の放射、外気温(例えば、居住又は商業用の建物又は産業用の建物などの外側の周辺温度)、季節(例えば、秋、冬、春、又は夏)、管理された空間内の一人又は複数の占有者の活動レベル、管理された空間内の一人又は複数の占有者によって着用される衣服のタイプ又は種類、風速などのような、その他の要因又は変数を乾球温度及び相対湿度に加えて考慮した、管理された空間内の体感温度を判定する1以上の代数方程式又はルックアップテーブルを含むことができる。
【0041】
また、メモリ104内に保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、管理された空間内の体感温度と入力装置106によって入力されたユーザー選択された体感温度(即ち、ユーザーが所望している体感温度)の間の差を算出するようにする。
【0042】
また、
図1Bに示されている実施形態を更に参照すれば、システム100は、管理された空間内において所望の体感温度を実現及び維持するべく、空調ユニット200及び/又は暖房ユニット300を制御するように構成されたコントローラ108(例えば、比例-積分-微分(PID:Proportional-Integral-Derivative)マイクロコントローラ)をも含む。これに加えて、1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、コントローラ108が、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)及び相対湿度(湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)に、少なくとも部分的に基づいて判定される、管理された空間内の体感温度が、管理された空間内のユーザー選択された所望の体感温度に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、空調ユニット200及び/又は暖房ユニット300を制御するようにする。コントローラ108は、任意の適切な方式により、空調ユニット200を制御するように構成することができる。例えば、1以上の実施形態においては、コントローラ108は、管理された空間内の乾球温度を増減させるために、空調ユニット200が開始及び停止するようにするべく、リレー201を作動させる(例えば、スイッチを開閉させる)ように、構成することができる。1以上の実施形態においては、コントローラ108は、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、空調ユニット200内のコンプレッサ202の速度を制御する(例えば、変化させる)ように構成することができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、コントローラ108は、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、空調ユニット200の制御弁203を調節するように構成することもできる。1以上の実施形態においては、コントローラ108は、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、暖房装置300の蒸発器301及び/又は加熱炉302を制御するように構成することができる。1以上の実施形態においては、空調ユニット200は、屋外ユニットであってよく、且つ、暖房ユニット300は、屋内ユニットであってよい。1以上の実施形態においては、空調ユニット200及び暖房ユニット300は、いずれも、屋内ユニットであってよい。
【0043】
1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、管理された空間の所望の体感温度及び現在の相対湿度(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)に対応する、管理された空間のターゲット乾球温度を算出又は判定するようにする。
図3A~
図3Bは、本開示の一実施形態による、所与の所望の体感温度及び所与の相対湿度に対応するターゲット乾球温度を列挙したルックアップテーブルである。1以上の実施形態においては、プロセッサ103は、管理された空間内の所望の体感温度及び現在の相対湿度に対応するターゲット乾球温度を判定するべく、管理された空間のユーザー選択された所望の体感温度及び現在の相対湿度をルックアップテーブル(例えば、
図3A~
図3Bに示されているルックアップテーブルのうちの1つ)内に入力するように構成することができる。例えば、1以上の実施形態においては、所望の体感温度が75.0°F(23.9℃)であり、且つ、管理された空間内の現在の相対湿度が70%である場合には、所望の体感温度及び現在の相対湿度に対応する管理された空間のターゲット乾球温度は、71.2°F(21.8℃)である。管理された空間のターゲット乾球温度が判定されたら、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、コントローラ108が、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)が、ターゲット乾球温度にマッチングする又は実質的にマッチングする時点まで、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、空調を制御するようにすることができる。例えば、管理された空間内の現在の相対湿度が70%であり、且つ、所望の体感温度が75.0°F(23.9℃)である、上述の例においては、コントローラ108は、空調された空間内の乾球温度が71.2°F(21.8℃)又はほぼ71.2°F(21.8℃)となる時点まで、空調ユニットを制御することができる。
【0044】
一実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、管理された空間の所望の体感温度及び現在の相対湿度に対応する管理された空間のターゲット乾球温度を定義する多項式を含む。1以上の実施形態においては、ターゲット乾球温度を定義する多項式は、以下のとおりであり、
【数7】
ここで、ATは、所望の体感温度であり、且つ、RHは、管理された空間の現在の相対湿度である(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)。
【0045】
従って、1以上の実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサ103が、管理された空間の所望の体感温度及び現在の相対湿度(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)に対応する管理された空間のターゲット乾球温度を式(例えば、上述の式3)から算出するようにする。ターゲット乾球温度が算出されたら、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)がターゲット乾球温度にマッチングする又は実質的にマッチングする時点まで、管理された空間内の乾球温度を増減させるべく、コントローラ108が空調を制御するようにすることができる。
【0046】
一実施形態においては、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、プロセッサが、管理された空間の所望の体感温度及び現在の乾球温度(これは、温度センサ101によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の温度計測値として算出される)に対応する管理された空間のターゲット相対湿度を算出又は判定するようにする。1以上の実施形態においては、コントローラ108は、管理された空間の所望の体感温度及び現在の乾球温度に対応するターゲット相対湿度を判定するべく、管理された空間のユーザー選択された所望の体感温度及び現在の乾球温度をルックアップテーブル(例えば、
図3A及び
図3Bに示されているルックアップテーブルのうちの1つ)内に入力するように構成することができる。1以上の実施形態において、所望の体感温度が75.0°F(23.9℃)であり、且つ、管理された空間内の現在の乾球温度が70.0°F(21.1℃)である場合には、所望の体感温度及び現在の乾球温度に対応するターゲット相対湿度は、約80%である。管理された空間のターゲット相対湿度が判定されたら、メモリ104内において保存されている命令は、プロセッサ103によって実行された際に、計測される相対湿度(これは、湿度センサ102によって計測されるか、或いは、予め定義された期間にわたる1つの平均値又は2つ以上の相対湿度計測値として算出される)が、ターゲット相対湿度にマッチングする又は実質的にマッチングする時点まで、管理された空間内の相対湿度を増減させるべく、コントローラ108が空調ユニット200を制御するようにすることができる。例えば、管理された空間内の現在の乾球温度が70.0°F(21.1℃)であり、且つ、所望の体感温度が75.0°F(23.9℃)である場合には、1以上の実施形態による、コントローラ108は、空調された空間内の相対湿度が80%又はほぼ80%となる時点まで、空調ユニット200を制御することができる。
【0047】
一実施形態においては、コントローラ108は、空間内の相対湿度を減少させるべく空調ユニット200の冷媒温度を低下させるように構成することができると共に、空間内の相対湿度を増大させるべく空調ユニット200の冷媒温度を増大させるように構成することができる(例えば、コントローラ108は、空間内の所望の体感温度を実現するべく空調ユニット200の冷媒温度を変化させるように、且つ、空間の一定の又は実質的に一定の体感温度を維持するように、構成することができる)。一実施形態においては、コントローラ108は、空調ユニット200の蒸発器204を通じた気流を減少させることにより、且つ/又は、膨張弁容量を低減することにより(空調ユニットが直接膨張蒸発器を含んでいる場合)、或いは、冷媒媒体温度を低減することにより(空調ユニットがファンコイルを含んでいる場合)、空調ユニット200の冷媒温度を低下させるように構成することができる。一実施形態においては、コントローラ108は、空調ユニット200の蒸発器204を通じた気流を増大させることにより、且つ/又は、膨張弁容量を増大させることにより(空調ユニットが直接膨張蒸発器を含んでいる場合)、或いは、冷媒媒体温度を増大させることにより(空調ユニットがファンコイルを含んでいる場合)、空調ユニット200の冷媒温度を増大させるように構成することができる。1以上の実施形態においては、システム100から空調ユニット200への信号は、PID信号及び冷房又は暖房モード信号であってよい。
【0048】
従って、システム100は、空調された空間内の乾球温度及び/又は相対湿度を変化させるべく空調ユニット200を制御することにより、空調された空間内において所望の体感温度を実現及び維持するように構成されている。
【0049】
1以上の実施形態においては、本開示のシステム及び方法は、空間の乾球温度のみを計測している従来のサーモスタットとの比較において、特定の条件下において動作した際に、エネルギー費用の節約を提供するように構成されている。例えば、システム100が暖房モードにおいて動作しており(例えば、コントローラ108が空間の乾球温度を増大させるべく暖房ユニット300を制御している)、且つ、空間の所望の体感温度が、所望の体感温度と関連する乾球温度以上であるときには(
図2A~
図2Bの表中の太い線の右側及び下方)、システム100は、所望の体感温度に到達した際に、空間の暖房を停止することになり、これは、空間の乾球温度未満である。従って、システム100が
図2A~
図2Bの太い線の右側及び下方において示されている温度及び湿度の条件下において、暖房モードにおいて動作している際には、本開示のシステム100は、所望の乾球温度に到達する時点まで空間を暖房するべく暖房ユニットを制御する従来のサーモスタットとの比較において、エネルギー費用の節約を提供している。同様に、システム100が冷房モードにおいて動作しており(例えば、コントローラ108が、空間の乾球温度を減少させるように、空調ユニット200を制御している)、且つ、空間の所望の体感温度が、所望の体感温度と関連する乾球温度未満であるときには、システム100は、所望の体感温度に到達した際に、空間の冷房を停止することになり、これは、空間の乾球温度超であり、この結果、所望の乾球温度に到達する時点まで空間を冷房するように空調を制御している従来のサーモスタットとの比較において、エネルギー費用の節約がもたらされる。
【0050】
図4A~
図4Cは、乾球温度に基づいた従来のサーモスタットの暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーを本開示の1以上の実施形態による体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーと比較している。
【0051】
図4Aは、サーモスタットが、乾球温度が乾球温度の下限閾値(例えば、72.5°F)未満に降下した際にヒーターを起動するように構成されており、且つ、乾球温度が乾球温度の下限閾値(例えば、74.5°F)を超過した際に冷房ユニットを起動するように構成されている、従来のサーモスタットの自動的なスイッチオーバー機能を示している。これに加えて、
図4Aは、乾球温度閾値の上限及び下限間の不感帯(例えば、72.5°Fの乾球温度から74.5°Fの乾球温度までの不感帯)を示しており、この場合に、サーモスタットは、乾球温度がこの範囲に含まれている場合には、暖房ユニット又は冷房ユニットを起動しないように構成されている。
【0052】
図4Bは、システムが、体感温度が体感温度の下限閾値(例えば、72.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)未満に降下した際にヒーターを起動するように構成されており、且つ、体感温度が体感温度の上限閾値(例えば、74.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)を超過した際に冷房ユニットを起動するように構成されている、本開示の1以上の実施形態による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバー機能をしている。これに加えて、
図4Bは、体感温度の上限及び下限閾値の間の不感帯をも示しており、この場合に、システムは、体感温度(これは、計測された乾球温度及び相対湿度から判定される)がこの範囲内に含まれている場合には、暖房ユニット又は冷房ユニットを起動しないように構成されている。
【0053】
図4Cは、(
図4Aに示されている)乾球温度に基づいた従来のサーモスタットの自動的なスイッチオーバー機能と(
図4Bに示されている)本開示の1以上の実施形態による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバー機能の両方を示すグラフである。
図4Cは、従来のサーモスタットの乾球温度に基づいた自動的なスイッチオーバーとの比較において、体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーのエネルギー費用の節約を示している。例えば、領域Iは、乾球温度が乾球温度の下限閾値(例えば、72.5°F)未満であることから、従来のサーモスタットが暖房ユニットを起動することになる一方で、体感温度が不感帯内にある(即ち、体感温度が、体感温度の上限閾値未満であり、且つ、体感温度の下限閾値超である)ことから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニット又は暖房ユニットを起動することにならない、状態を通知している。これに加えて、領域IIは、乾球温度が乾球温度の上限閾値(例えば、74.5°F)を超過していることから、従来のサーモスタットが冷房ユニットを起動することになる一方で、体感温度が不感帯内にある(即ち、体感温度は、体感温度の上限閾値未満であり、且つ、体感温度の下限閾値超である)ことから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニット又は暖房ユニットを起動することにならない、状態を通知している。従って、体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーは、これらの状態において暖房ユニット又は冷房ユニットを無用に起動しないことにより、従来のサーモスタットとの比較において、エネルギーを節約している。
【0054】
また、
図4Cは、本開示の自動的なスイッチオーバー制御方法が、乾球温度にのみ基づいて暖房及び冷房モードの間において切り替わるように構成されている従来のサーモスタットとの比較において、相対的に大きなユーザーの快適さを提供するように構成されていることをも示している。例えば、
図4Cの領域IIIは、乾球温度が乾球温度の下限閾値(例えば、72.5°F)未満に降下したことから、従来のサーモスタットが暖房ユニットを起動することになる一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度の上限閾値を超過したことから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニットを起動することになる、状態を通知している。領域IVは、乾球温度が乾球温度の上限閾値(例えば、72.5°F)を超過したことから、従来のサーモスタットが冷房ユニットを起動することになる一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度の下限閾値未満であることから、本開示による体感温度に基づいた自動スイッチオーバーが暖房ユニットを起動することになる、状態を通知している。従って、体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーは、これらの状態において誤ったユニットを起動しないことにより(例えば、所望のユーザーの快適さを維持するべく、冷房ユニットが起動されるべき際に、暖房ユニットを起動しないことにより、且つ、暖房ユニットが起動されるべき際に、冷房ユニットを起動しないことにより)、従来のサーモスタットとの比較において、相対的に大きなユーザーの快適さを提供している。
【0055】
図5は、乾球温度に基づいた従来のサーモスタットの自動的なスイッチオーバー機能を、不感帯を伴わない本開示の1以上の実施形態による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバー機能と比較したグラフである。
図5は、単一の乾球温度閾値(例えば、73.5°F)を示している。従来のサーモスタットは、乾球温度が乾球閾値温度(例えば、73.5°F)未満に降下した際に、ヒーターを起動するように構成されており、且つ、乾球温度が乾球閾値温度(例えば、73.5°F)を超過した際には、冷房ユニットを起動するように構成されている。また、
図5は、単一の体感温度閾値(例えば、73.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)をも示している。本開示の体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーは、体感温度が体感温度閾値(例えば、73.5度の乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)未満に降下した際に、ヒーターを起動するように構成されており、且つ、体感温度が閾値体感温度(例えば、73.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)を超過した際には、冷房ユニットを起動するように構成されている。
図5の領域Aは、乾球温度が乾球温度閾値(例えば、73.5°F)未満であることから、従来のサーモスタットが暖房ユニットを起動することになる一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度閾値(例えば、73.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)を超過していることから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニットを起動することになる、状態を通知している。領域Bは、乾球温度が乾球温度閾値(例えば、73.5°F)を超過していることから、従来のサーモスタットが冷房ユニットを起動することになる一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度閾値(例えば、73.5°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)未満であることから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが暖房ユニットを起動することになる、状態を通知している。従って、体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーは、これらの状態において誤ったユニットを起動しないことにより、従来のサーモスタットとの比較において、相対的に大きなユーザーの快適さを提供している。これに加えて、
図5に示されているように、不感帯を提供しないことにより、(例えば、
図4A~
図4Cに示されているように)不感帯が提供されている際よりも、乾球温度に基づいた自動的なスイッチオーバーと体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーの間の相対的に大きな衝突のエリアが生成されている。
【0056】
図5に示されている温度閾値は、説明を目的として選択されたものに過ぎず、従って、決して本開示の範囲を限定するものではない。その代わりに、温度閾値は、例えば、所望のユーザーの快適さ及び/又は所望の経済性に応じて、任意の適切な値を有するように選択することができる。従って、本開示のシステム及び方法は、任意の且つ全ての適切な温度閾値をカバーしている。
【0057】
図6は、乾球温度に基づいた従来のサーモスタットの自動的なスイッチオーバー機能を最大エネルギー費用節約のために広いデッドゾーンが提供されている本開示の1以上の実施形態による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバー機能と比較したグラフである。
図6は、それ未満において従来のサーモスタットが暖房ユニットを起動するように構成されている、66°Fという乾球温度の下限閾値と、それ超において従来のサーモスタットが冷房ユニットを起動するように構成されている、79°Fという乾球温度の上限閾値と、を示している(即ち、
図6は、66°F~79°Fの不感帯を示している)。また、
図6は、それ未満において本開示の一実施形態によるシステム及び方法が暖房ユニットを起動するように構成されている、66°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度の下限閾値と、それ超において本開示の一実施形態によるシステム及び方法が冷房ユニットを起動するように構成されている、79°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度の上限閾値と、を示している(即ち、
図6は、66°F及び45%の相対湿度における体感温度~79°F及び45%の相対湿度における体感温度の不感帯を示している)。
図6の領域R1は、乾球温度が乾球温度の下限閾値(例えば、66°F)未満であることから、従来のサーモスタットが暖房ユニットを起動することになる一方で、体感温度が不感帯内にある(即ち、体感温度は、体感温度の上限閾値未満であり、且つ、体感温度の下限閾値超である)ことから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニット又は暖房ユニットを起動することにならない、状態を通知している。これに加えて、
図6の領域R3は、乾球温度が乾球温度の上限閾値(例えば、79°F)を超過していることから、従来のサーモスタットが冷房ユニットを起動させることになる一方で、体感温度が不感帯内にある(即ち、体感温度は、体感温度の上限閾値未満であり、且つ、体感温度の下限閾値超である)ことから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニット又は暖房ユニットを起動することにならない、状態を通知している。従って、体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーは、これらの状態において暖房ユニット又は冷房ユニットを無用に起動しないことにより、従来のサーモスタットとの比較において、エネルギーを節約し、且つ、相対的に大きなユーザーの快適さをも実現している。
【0058】
図6の領域2は、乾球温度が不感帯内にある(即ち、乾球温度は、66°Fの乾球温度の下限閾値超であり、且つ、79°Fの乾球温度の上限閾値未満である)ことから、従来のサーモスタットが暖房ユニット又は冷房ユニットを起動することにならない一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度の下限閾値(例えば、66°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)未満であることから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが暖房ユニットを起動することになる、状態を通知している。領域R4は、乾球温度が不感帯内にある(例えば、乾球温度は、66°Fの乾球温度の下限閾値超であり、且つ、79°Fの乾球温度の上限閾値未満である)ことから、従来のサーモスタットが暖房ユニット又は冷房ユニットを起動することにならない一方で、乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、体感温度が体感温度の上限閾値(例えば、79°Fの乾球温度及び45%の相対湿度における体感温度)を超過していることから、本開示による体感温度に基づいた自動的なスイッチオーバーが冷房ユニットを起動することなる、状態を通知している。従って、体感温度に基づいた暖房及び冷房モードの間の自動的なスイッチオーバーは、これらの状態において暖房又は冷房ユニットを起動することにならない従来のサーモスタットとの比較において、相対的に大きなユーザーの快適さを提供している。
【0059】
図4A~
図4C及び
図6に示されている不感帯の上限及び下限温度閾値は、説明を目的として選択されたものに過ぎず、従って、決して本開示の範囲を限定するものではない。その代わりに、上限及び下限温度閾値は、例えば、所望のユーザーの快適さ及び/又は所望の経済性に応じて、任意の適切な値を有するように選択することができる。これに加えて、本開示のシステム及び方法は、シングル不感帯、デュアル不感帯、及びマルチ不感帯を含む、任意の且つ全ての適切な不感帯をカバーしている。
【0060】
図7は、本開示の一実施形態による、管理された空間の乾球温度及び相対湿度の両方の関数である、管理された空間の体感温度を制御する方法400のタスクを示すフローチャートである。図示の実施形態においては、方法400は、管理された空間の乾球温度を判定するタスク410を含む。一実施形態においては、管理された空間の乾球温度を判定するタスク410は、温度センサによって乾球温度を計測するステップを含む。一実施形態においては、タスク410は、温度センサにより、継続的に又は別個のインターバルにおいて乾球温度を計測するステップを含むことができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、管理された空間の乾球温度を判定するタスク410は、予め定義された期間(例えば、約1分~約15分以上の範囲内の期間)にわたって温度センサによる乾球温度の計測値を平均化するステップを含む。
【0061】
また、図示の実施形態においては、方法400は、空調された空間の相対湿度を判定するタスク420をも含む。一実施形態においては、管理された空間の相対湿度を判定するタスク420は、湿度センサによって相対湿度を計測するステップを含む。一実施形態においては、タスク420は、湿度センサにより、継続的に又は別個のインターバルにおいて相対湿度を計測するステップを含むことができる。これに加えて、1以上の実施形態においては、管理された空間の相対湿度を判定するタスク420は、予め定義された期間(例えば、約1分~約15分以上の範囲内の期間)にわたって湿度センサによる相対湿度の計測値を平均化するステップをも含む。一実施形態においては、相対湿度の計測値及び乾球温度の計測値を平均化するタスク410、420は、同一の予め定義された期間にわたって実行することができる。
【0062】
また、図示の実施形態においては、方法400は、タスク410において判定された空調された空間の乾球温度及びタスク420において判定された空調された空間の相対湿度に基づいて、空調された空間の実際の体感温度を判定するタスク430を含む。一実施形態においては、空調された空間の実際の体感温度を判定するタスク430は、判定された乾球温度及び判定された相対湿度に対応する体感温度を列挙するルックアップテーブル(例えば、
図2A~
図2Bに示されているルックアップテーブル)を参照するステップを含む。一実施形態においては、空調された空間の実際の体感温度を判定するタスク430は、乾球温度及び相対湿度の関数として体感温度を定義する1以上の半経験的な代数方程式から体感温度を算出するステップを含む(例えば、上述の式1及び式2から体感温度を算出する)。
【0063】
また、図示の実施形態においては、方法400は、空調された空間のユーザー選択された所望の体感温度を受け取るタスク440をも含む。1以上の実施形態においては、ユーザー選択された所望の体感温度は、例えば、リモコン、携帯型電子装置(例えば、スマートフォン)上のアプリケーション、1以上の物理的な制御装置(例えば、1以上のボタン、スライダ、及び/又はノブ)、並びに/或いは、タッチスクリーンディスプレイ上に表示されたアイコンなどの、任意の適切な入力装置を通じて入力することができる。1以上の実施形態においては、ユーザー選択された所望の体感温度は、(例えば、ユーザーが、特定の所望の体感温度を規定することなしに、空調された空間内の現在の体感温度を維持することを所望している際には)空調された空間内の現在の体感温度であってよい。
【0064】
また、図示の実施形態においては、方法400は、タスク440において受け取られたユーザー選択された所望の体感温度とタスク430において判定された空間の実際の体感温度の間の差を算出するタスク450をも含む。
【0065】
また、1以上の実施形態においては、方法400は、所望の体感温度及び管理された空間内の現在の相対湿度に対応するターゲット乾球温度を判定する(例えば、算出する)、且つ/又は、所望の体感温度及び管理された空間内の現在の乾球温度に対応するターゲット相対湿度を判定する(例えば、算出する)、タスク460をも含む。一実施形態においては、タスク460は、ユーザー選択された所望の体感温度及び相対湿度の関数として乾球温度を列挙するルックアップテーブル(例えば、
図3A~
図3Bのルックアップテーブル)を参照することにより、ターゲット乾球温度を判定するステップを含む。一実施形態においては、タスク460は、所望の体感温度及び相対湿度の関数として乾球温度を定義する等式からターゲット乾球温度を算出する(例えば、上述の式3から乾球温度を算出する)ステップを含む。一実施形態においては、タスク460は、所望の体感温度及び乾球温度の関数として相対湿度を列挙するルックアップテーブルを参照することにより、ターゲット相対湿度を判定するステップを含む。一実施形態においては、タスク460は、所望の体感温度及び乾球温度の関数として相対湿度を定義する等式からターゲット相対湿度を算出するステップを含む。
【0066】
また、一実施形態においては、方法400は、空調された空間内の体感温度が、タスク440において受け取られたユーザー選択された所望の体感温度に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、空調された空間内の乾球温度及び/又は相対湿度を変更するべく、空調ユニット及び/又は暖房ユニットを制御するタスク470を含む。空調ユニットを制御するタスク470は、空調ユニットが開始し且つ停止するようにするべくリレー(例えば、スイッチ)を制御するステップ、空調ユニット内のコンプレッサの速度を制御する(例えば、変化させる)ステップ、及び/又は空調ユニットの制御弁を調節するステップを含むことができる。一実施形態においては、タスク470は、温度センサによって計測された乾球温度が、タスク460において判定されたターゲット乾球温度に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、空調された空間内の乾球温度を増減させるべく、空調ユニット及び/又は暖房ユニットを制御するステップを含む。一実施形態においては、タスク470は、湿度センサによって計測された相対湿度が、タスク460において判定されたターゲット相対湿度に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、空調された空間内の相対湿度を増減させるべく、空調ユニットを制御するステップを含む。1以上の実施形態においては、タスク470は、空調された空間内の相対湿度を変更するべく、空調ユニットの冷媒温度を変更するステップ(例えば、空間内の相対湿度を減少させるべく空調ユニットの冷媒温度を低下させるステップ又は空間内の相対湿度を増大させるべく空調ユニットの冷媒温度を増大させるステップ)を含むことができる。空調の冷媒温度を低下させるタスクは、空調ユニットの蒸発器を通じた気流を減少させるステップ及び/又は膨張弁容量を低減するステップ(空調ユニットが直接膨張蒸発器を含んでいる場合)又は冷媒媒体温度を低減するステップ(空調ユニットがファンコイルを含んでいる場合)を含むことができる。空調ユニットの冷媒温度を増大させるステップは、空調ユニットの蒸発器を通じた気流を増大させることにより、且つ/又は、膨張弁容量を増大させることにより(空調ユニットが直接膨張蒸発器を含んでいる場合)、或いは、冷媒媒体温度を増大させることにより(空調ユニットがファンコイルを含んでいる場合)、実行することができる。1以上の実施形態においては、タスク470は、管理された空間内において所望の体感温度を実現するために、空調された空間内の乾球温度及び相対湿度の両方を変化させるべく、空調ユニット及び/又は暖房ユニットを制御するステップを含むことができる。
【0067】
1以上の実施形態においては、体感温度を判定する、ユーザー選択された所望の体感温度を受け取る、ユーザー選択された所望の体感温度及び空間の実際の体感温度の差を算出する、ターゲット乾球温度及び/又はターゲット相対湿度を判定する(例えば、算出する)、且つ、空調された空間内の体感温度が、ユーザー選択された所望の体感温度に等しくなる又は実質的に等しくなる時点まで、空調された空間内の乾球温度及び/又は湿度を変更するべく、空調ユニット及び/又は暖房ユニットを制御する、タスク430、440、450、460、470は、外気温、天候状態、部屋における人間の有無、及び放射熱負荷などの、管理された空間内の相対湿度及び/又は乾球温度に影響を及ぼす要因又は変数が変化した場合にも、空調された空間内においてユーザー選択された所望の体感温度を維持するべく、反復的に(例えば、継続的に又は予め定義されたインターバルにおいて)実行することができる。
【0068】
図8は、本開示の一実施形態による、暖房及び冷房モードの間のスイッチオーバーを制御するように構成されたアルゴリズムのタスクを示すフローチャートである。フローチャートの左手側は、暖房モードにおける動作と関連するタスクを示しており、且つ、フローチャートの右手側は、冷房モードにおける動作と関連するタスクを示している。
図8に示されているように、アルゴリズムは、空調された空間の乾球温度に基づいた空調された空間の実際の体感温度(これは、例えば、温度センサによって計測される)及び空調された空間の相対湿度(これは、例えば、湿度センサによって計測される)を判定するタスク501を含む。一実施形態においては、空調された空間の実際の体感温度を判定するタスク501は、判定された乾球温度及び判定された相対湿度に対応する体感温度を列挙するルックアップテーブル(例えば、
図2A及び
図2Bに示されているルックアップテーブル)を参照するステップを含む。一実施形態においては、空調された空間の実際の体感温度を判定するタスク501は、乾球温度及び相対湿度の関数として体感温度を定義する1以上の半経験的な代数方程式から体感温度を算出する(例えば、上述の式1及び式2から体感温度を算出する)ステップを含む。
【0069】
また、アルゴリズムは、タスク501において判定された空調された空間の実際の体感温度を体感温度上限又は閾値(例えば、設定された夏の体感温度限度)と比較するタスク502を含む。体感温度上限は、ユーザーによって入力されてもよく、或いは、ユーザー選択された所望の体感温度に基づいて算出された不感帯エリアから判定されてもよい。タスク501において判定された実際の体感温度が体感温度上限超ではない(例えば、実際の体感温度が体感温度上限未満である)場合に、アルゴリズムは、タスク501において判定された実際の体感温度を体感温度の下限又は閾値(例えば、設定された冬の体感温度限度)と比較するタスク503を含む。タスク503において判定された結果、タスク501において判定された実際の体感温度が、体感温度の下限閾値超である場合には、アルゴリズムは、実際の体感温度が体感温度の上限及び下限閾値の間の不感帯内にあることから、実際の体感温度を体感温度の上限及び下限閾値に照らして比較するループを反復する。
【0070】
タスク501において判定された実際の体感温度が、体感温度の下限超ではない(例えば、実際の体感温度が体感温度の下限未満である)場合には、アルゴリズムは、システムが動作した最後のモードが冷房モードであった(例えば、最後のモード==冷房「C」)かどうかを判定するタスク504を含む。アルゴリズムが、タスク504において、最後のモードが冷房モードあったと判定した場合には、アルゴリズムは、冷房モードから暖房モードに変化する前に、既定の期間(例えば、10分)の遅延を実行するタスク505を含む。これに加えて、図示の実施形態においては、アルゴリズムは、タスク501において判定された実際の体感温度が、体感温度上限超であるかどうかを判定するタスク506を含み、これは、真である場合には、空調された空間が、内部熱源により、或いは、外側の天候により、暖房されている、或いは、温度の以前の降下が、冷房モードからのアンダーシュートに起因したものであった、ことの通知であり、これは、システムが冷房モードに戻るべきであることを通知することになろう。従って、アルゴリズムのタスク506は、不要な暖房モードのトリガを防止するように構成されている。
【0071】
時間遅延を実行するタスク505に後続して、アルゴリズムは、空調された空間の体感温度が、依然として、体感温度の下限閾値超でない(例えば、体感温度の下限閾値未満である)かどうかを判定するタスク507を含む。空調された空間の体感温度が、依然として、体感温度の下限閾値超ではない(例えば、体感温度の下限閾値未満である)場合には、アルゴリズムは、暖房ユニットを起動するタスク508を含む。ヒーターを起動するタスク508に後続して、アルゴリズムは、体感温度が体感温度の下限閾値超であるかどうかを判定するべく、タスク507を反復することになる。タスク507において、暖房ユニットを起動するタスク508に後続して、体感温度が体感温度の下限閾値超であると判定された場合には、アルゴリズムは、暖房ユニットを停止するタスク509を含む。1以上の実施形態においては、アルゴリズムは、設定された期間(例えば、5分)だけ、任意の動作を遅延させるように構成されたアンチショートサイクルタイマを含む。
【0072】
タスク502において判定された結果、体感温度が体感温度の上限閾値超である場合には、アルゴリズムは、最後のモードが暖房モードであった(例えば、最後のモード==暖房「H」)かどうかを判定するタスク510を含む。アルゴリズムが、タスク510において、最後のモードが暖房モードであったと判定した場合には、アルゴリズムは、暖房モードから冷房モードに変化する前に、既定の期間(例えば、10分)の遅延を実行するタスク511を含む。これに加えて、図示の実施形態においては、アルゴリズムは、タスク501において判定された実際の体感温度が、体感温度の下限未満であるかどうかを判定するタスク512を含み、これは、真である場合に、空調された空間が外側の天候によって冷房されている、或いは、温度における以前の増大が、暖房モードからのオーバーシュートに起因したものであった、ことの通知であり、これは、システムが暖房モードに戻るべきであることを通知することになろう。アルゴリズムのこのタスク512は、不要な冷房モードのトリガを防止するように構成されている。
【0073】
時間遅延を実行するタスク511に後続して、アルゴリズムは、空調された空間の体感温度が、依然として、体感温度の上限閾値超であるかどうかを判定するタスク513を含む。空調された空間の体感温度が、依然として、体感温度の上限閾値超である場合には、アルゴリズムは、冷房ユニットを起動するタスク514を含む。冷房ユニットを起動するタスク514に後続して、アルゴリズムは、体感温度が体感温度の上限閾値超であるかどうかを判定するべくタスク513を反復することになる。タスク513において、冷房ユニットを起動するタスク514に後続して、体感温度が体感温度の上限閾値超ではない(例えば、体感温度が体感温度の上限閾値未満である)と判定された場合には、アルゴリズムは、冷房ユニットを停止するタスク515を含む。1以上の実施形態においては、アルゴリズムは、設定された期間(例えば、5分)だけ、任意の動作を遅延させるように構成されたアンチショートサイクルタイマを含む。上述のタスクは、ユーザー選択された所望の体感温度を維持するべく、或いは、ユーザー選択された所望の体感温度の周辺の不感帯内において体感温度を維持するべく、反復的に(例えば、継続的に又は規則的なインターバルにおいて)実行することができる。
【0074】
以上、本発明の特定の実施形態について図示及び説明したが、当業者は、添付の請求項及びその均等物によって定義されている本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、記述された実施形態に対して特定の変更及び変形が実施されうることを理解するであろう。本明細書において使用されている「実質的に(substantially)」、「約(about)」という用語、並びに、類似の用語は、程度の用語としてではなく、近似の用語として使用されており、且つ、当業者によって認識されることになる、計測又は算出された値の本質的な逸脱を考慮するべく意図されている。更には、上述のタスクは、記述されている順序において、或いは、任意のその他のシーケンスにおいて、実行することができる。これに加えて、上述の方法は、記述されているタスクに限定されるものではない。その代わりに、それぞれの実施形態ごとに、上述のタスクのうちの1以上が欠如していてもよく、且つ/又は、更なるタスクが実行されてもよい。更には、本明細書における使用において、コンポーネントが、別のコンポーネントに「結合」されるものとして、参照されている際には、そのコンポーネントは、その他のコンポーネントに対して直接的に装着することも可能であり、或いは、介在するコンポーネントがその間に存在することもできる。