(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電極ユニットおよび内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020559676
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2018046175
(87)【国際公開番号】W WO2020121531
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生熊 聡一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠次
(72)【発明者】
【氏名】林田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】塚越 貴之
(72)【発明者】
【氏名】久保 圭
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】近藤 利充
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3939839(US,A)
【文献】特開2000-201945(JP,A)
【文献】特開平5-220172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0053908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、
前記電極ユニットを挿通するシースの長手軸に沿う方向を長手方向とする柱状の形状を有し、それぞれの表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と
、
前記一対の先端硬質部のそれぞれの基端側に設けられ前記一対の先端硬質部のそれぞれよりも曲げ剛性の低い弾性領域部と
、
を備える電極支持部と、
前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の
軸のうち水平軸を第1
軸と、垂直軸を第2軸と定め
、前記第2軸に対して前記被検体がある方向を下
方とした場合、
前記一対の先端硬質部が前記第1軸に沿う方向について互いに対向する各対向面に配置される一対の基部と
、
前記一対の基部と前記一対の先端硬質部とを接続するとともに前記一対の基部のそれぞれから前記第2軸に沿う方向に突出する凸形
状を有し、前記凸形状の頂部は、前記先端硬質
部の前記第2軸に沿う方向
の下端面より
も下方に突出している架設部
と、
を有する電極と、
を
含んで構成され、
前記電極支持部は、
前記第1軸に沿う方向に離間して配置され、前記第1軸に沿う方向から見たときに、前記一対の先端硬質部の側面のそれぞれは、重なり合う部分が存在するように、配置されており、
前記電極の外部に露出する部位は、
前記第2軸に沿う方向から見たときに、前記一対の先端硬質部と重ならないように配置されている
ことを特徴とする電極ユニット。
【請求項2】
前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、
前記基端硬質部に設けられ、前記電極に電気的に接続された電気的接続部と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項3】
前記一対の基部は、前記一対の先端硬質部のそれぞれによって支持され、前記一対の先端硬質部の先端と基端との間から突出することを特徴とする請求項2に記載の電極ユニット。
【請求項4】
前記一対の先端硬質部は、前記基部の突出方向とは異なる方向に突出する凸部を含むことを特徴とする請求項2に記載の電極ユニット。
【請求項5】
前記一対の基部は、前記一対の先端硬質部の互いに対向する各対向面から、互いに近づく方向に突出していることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項6】
前記架設部は、前記一対の基部から前記第2軸に沿う下方向に突出する凸形状からなることを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項7】
前記基端硬質部の外周を囲う管状の電極シースと、
前記電極シースを前記弾性領域部の外周を囲う位置まで移動させる操作部と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の電極ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の電極ユニットを含むことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項9】
前記電極ユニットが挿通される前記シースと、
前記シース内に挿通されるテレスコープと、
前記シースの基端側において、前記テレスコープを前記シースの長手軸に沿う方向に移動可能に保持するスライダと、
前記シースの基端側において、前記電極ユニットを、前記テレスコープとは独立して前記シースの長手軸に沿う方向に移動可能に保持する電極ユニット保持部と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットおよび内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体等の被検体の組織を切除または凝固する技術として電気メスが知られている。例えば、日本国特許3730796号公報には、内視鏡による観察下において、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する装置が開示されている。日本国特許3730796号公報に開示の技術では、ループ形状に形成された電極に高周波電流を流すことにより、組織の切除または凝固を行う。
【0003】
日本国特許3730796号公報に開示されているような、ループ形状に形成された電極は、例えば膀胱等の臓器内の組織を切除するために用いられる。ここで、電極が臓器の壁面に入り込む深さは、使用者が電極を壁面に押しつける力の強さに応じて変化する。このため、従来のループ形状に形成された電極を用いて組織を切除する場合、使用者が加える力加減によって切除される組織の厚さにばらつきが生じてしまう。例えば、切除した組織を生検に用いる場合、所定の厚さの組織が必要となるため、切除される組織の厚さは使用者によらず一定であることが好ましい。
【0004】
本発明は、上述した点を解決するものであって、切除する組織の厚さの制御が容易な電極ユニットおよび内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による電極ユニットは、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、前記電極ユニットを挿通するシースの長手軸に沿う方向を長手方向とする柱状の形状を有し、それぞれの表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と、前記一対の先端硬質部のそれぞれの基端側に設けられ前記一対の先端硬質部のそれぞれよりも曲げ剛性の低い弾性領域部と、を備える電極支持部と、前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の軸のうち水平軸を第1軸と、垂直軸を第2軸と定め、前記第2軸に対して前記被検体がある方向を下方とした場合、前記一対の先端硬質部が前記第1軸に沿う方向について互いに対向する各対向面に配置される一対の基部と、前記一対の基部と前記一対の先端硬質部とを接続するとともに前記一対の基部のそれぞれから前記第2軸に沿う方向に突出する凸形状を有し、前記凸形状の頂部は、前記先端硬質部の前記第2軸に沿う方向の下端面よりも下方に突出している架設部と、を有する電極と、を含んで構成され、前記電極支持部は、前記第1軸に沿う方向に離間して配置され、前記第1軸に沿う方向から見たときに、前記一対の先端硬質部の側面のそれぞれは、重なり合う部分が存在するように、配置されており、前記電極の外部に露出する部位は、前記第2軸に沿う方向から見たときに、前記一対の先端硬質部と重ならないように配置されている。
また、本発明の一態様による内視鏡システムは、前記電極ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の内視鏡システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の電極ユニットを第1軸に沿って見た図である。
【
図3】第1の実施形態の電極ユニットを第2軸に沿って見た図である。
【
図4】第1の実施形態の電極ユニットを長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図7】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第1の方法を示す図である。
【
図8】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第1の方法を示す図である。
【
図9】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第1の方法を示す図である。
【
図10】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第2の方法を示す図である。
【
図11】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第2の方法を示す図である。
【
図12】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する第2の方法を示す図である。
【
図13】第1の実施形態の電極ユニットの第1の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図14】第1の実施形態の電極ユニットの第1の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図15】第1の実施形態の電極ユニットの第1の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図16】第1の実施形態の電極ユニットの第2の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図17】第1の実施形態の電極ユニットの第2の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図18】第1の実施形態の電極ユニットの第2の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図19】第1の実施形態の電極ユニットの第3の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図20】第1の実施形態の電極ユニットの第3の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図21】第1の実施形態の電極ユニットの第3の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図22】第1の実施形態の電極ユニットの第4の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図23】第1の実施形態の電極ユニットの第4の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図24】第1の実施形態の電極ユニットの第4の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図25】第1の実施形態の電極ユニットの第5の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図26】第1の実施形態の電極ユニットの第5の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図27】第1の実施形態の電極ユニットの第5の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図28】第1の実施形態の電極ユニットの第6の変形例を第1軸に沿って見た図である。
【
図29】第1の実施形態の電極ユニットの第6の変形例を第2軸に沿ってみた図である。
【
図30】第1の実施形態の電極ユニットの第6の変形例を長手軸に沿って先端側から見た図である。
【
図31】第2の実施形態の内視鏡システムの概略的な構成を示す図である。
【
図32】第3の実施形態の内視鏡システムの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態内視鏡システム1の概略的な構成を示す図である。内視鏡システム1は、被検体内において、内視鏡による観察下で組織を切除または凝固する装置である。
【0009】
本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡であるレゼクトスコープ10、電極ユニット30および外部装置50を含む。本実施形態では一例として、被検体は人体である。また、本実施形態では一例として、内視鏡は一般にレゼクトスコープと称される形態のものであるが、内視鏡は軟性内視鏡であってもよい。
【0010】
レゼクトスコープ10は、シース11、スライダ20およびテレスコープ21を含む。
【0011】
シース11は、直線状の長手軸Lに沿う管状の部位を有する。シース11は、レゼクトスコープ10の使用時において、被検体外から被検体内に挿入される部位である。シース11は、長手軸Lに沿う方向の両端が開口している。レゼクトスコープ10の使用時においては、シース11内に、後述するテレスコープ21および電極ユニット30が挿入される。
【0012】
なお、シース11の外周には、潅流液を被検体内に導入するためのアウターシースが配置される。アウターシース等の潅流液を被検体内に導入するための構成は公知であるため説明を省略する。本実施形態では、潅流液は、例えば生理食塩水等の電解質溶液であり、導電性を有する。
【0013】
シース11の長手軸Lに沿う方向の両端のうち、被検体内に挿入される側の端を先端11aと称し、先端11aとは反対側の端を基端11bと称する。シース11の基端11bは、レゼクトスコープ10の使用時において被検体外に露出する。
【0014】
以下では説明のため、長手軸Lに直交し、かつ互いに直交する一対の軸である、第1軸Xおよび第2軸Yを定める。また、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を右方向とし、他方を左方向とする。第2軸Yに沿う方向のうちの一方を上方向とし、他方を下方向とする。本実施形態では一例として、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における水平方向が第1軸Xと略平行であり、垂直方向が第2軸Yと略平行である。また、上方向および右方向は、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における上および右である。
【0015】
シース11の少なくとも先端11a近傍の表面には、導電性の材料からなる回収電極11cが露出している。なお、シース11全体が金属等の導電性の材料からなり、シース11の表面全体が回収電極11cとなる構成であってもよい。
【0016】
また、シース11の基端11b近傍には、シースコネクタ11dが設けられている。シースコネクタ11dは、回収電極11cに電気的に接続されている。シースコネクタ11dには、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、シースコネクタ11dと、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。
【0017】
スライダ20は、シース11の基端11b側に配置される。スライダ20は、シース11に対して長手軸Lに沿う方向に相対的に移動する。スライダ20には、ハンドル20aが設けられている。使用者が手指によりハンドル20aに力を加えることにより、スライダ20は、シース11に対して長手軸Lに沿う方向に相対的に移動する。なお、シース11に対してスライダ20を相対的に移動可能に案内する機構は、従来のレゼクトスコープ10と同様であるため、図示および説明を省略する。
【0018】
スライダ20は、スコープ保持部22、電極ユニット保持部23および電極コネクタ24を含む。スコープ保持部22は、テレスコープ21を保持する。
【0019】
テレスコープ21は、被検体内を光学的に観察するための部位である。テレスコープ21は、細長の挿入部21a、接眼部21bおよび光源接続部21cを備える。挿入部21aは、テレスコープ21がスコープ保持部22に固定された状態において、シース11内に挿入される。
【0020】
挿入部21aの先端部21a1には、観察窓および照明光出射窓が配設されている。また、挿入部21aの基端部21a2には、接眼部21bおよび光源接続部21cが配設されている。
【0021】
接眼部21bには、撮像ユニット52が装着される。撮像ユニット52は、外部装置50のビデオプロセッサ51に電気的に接続されている。ビデオプロセッサ51には画像表示装置53が電気的に接続されている。また、光源接続部21cには、光ファイバケーブル54aの一端が接続される。光ファイバケーブル54aの他端は、外部装置50の光源装置54に接続される。
【0022】
挿入部21aの先端部21a1に設けられた観察窓からの視界が、撮像ユニット52により撮像され、画像表示装置53に表示される。また、光源装置54から出射された照明光が、挿入部21aの先端部21a1に設けられた照明光出射窓から出射される。テレスコープ21およびテレスコープ21に接続される外部装置50の構成は、従来のレゼクトスコープ10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0023】
電極ユニット保持部23は、後述する電極ユニット30を保持する。電極コネクタ24は、電極ユニット保持部23に保持された電極ユニット30に電気的に接続される。電極コネクタ24には、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、電極コネクタ24と、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。なお、電極コネクタ24は、シースコネクタ11dと一体に形成されていてもよい。
【0024】
電極ユニット30は、電極ユニット保持部23に固定された状態において、シース11内に挿通される部位を有する。スライダ20は、テレスコープ21および電極ユニット30と共に、シース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動する。電極ユニット30の一部は、シース11の先端11aから突出することができる。後述するが、電極ユニット30の、シース11の先端11aから突出する部位には、電極35が配設されている。
【0025】
電極ユニット30、回収電極11cおよび高周波電源制御装置55は、いわゆるバイポーラ式の電気手術装置を構成する。高周波電源制御装置55は、スイッチ55aを備える。スイッチ55aは、例えば使用者が足により操作するフットスイッチである。高周波電源制御装置55は、スイッチ55aの操作に応じて、高周波電流の出力の有無を切り替える。
【0026】
高周波電源制御装置55から出力される高周波電流は、被検体内において、電極35、潅流液および回収電極11cの間で流れる。高周波電源制御装置55が高周波電流を出力している状態において、電極35に接触する被検体の組織が発熱し、組織の切除または凝固が行われる。
【0027】
図2は、電極ユニット30を、第1軸Xに沿って左から見た図である。
図2において、図中の上が上方向である。
図3は、電極ユニット30を、第2軸Yに沿って下から見た図である。
図3において、図中の上が左方向である。
図4は、電極ユニット30を、長手軸Lに沿って先端側から見た図である。
図5は、
図3のV-V断面図である。
図4および
図5において、図中の上が上方向であり、図中の右が左方向である。
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図6において、図中の上が右方向である。
【0028】
図2および
図3に示すように、電極ユニット30は、長手軸Lに沿う方向を長手方向とした細長の形状を有する。電極ユニット30は、基端硬質部31、電極支持部32および電極35を含む。
【0029】
基端硬質部31は、レゼクトスコープ10の電極ユニット保持部23に固定される部位である。基端硬質部31の先端31aには、後述する電極支持部32が結合されている。基端硬質部31の基端31bには、電気的接続部31cが設けられている。電気的接続部31cは、基端硬質部31が電極ユニット保持部23に固定された状態において、レゼクトスコープ10の電極コネクタ24と電気的に接続される。また、電気的接続部31cは、電極ユニット30内に挿通されている導電性のワイヤ33を介して、電極35に電気的に接続されている。
【0030】
電極支持部32は、電極35を支持する。電極支持部32は、レゼクトスコープ10の使用時において、シース11の先端11aから突出する部位である。電極支持部32は、1つまたは2つの先端硬質部36および1つまたは2つの弾性領域37を含む。先端硬質部36には、電極35が固定される。
【0031】
弾性領域37は、先端硬質部36の基端と、基端硬質部31の先端とを連結する。弾性領域37の曲げ剛性は、先端硬質部36および基端硬質部31の曲げ剛性よりも低い。
【0032】
電極35は、金属ワイヤ等の導電性を有する線状の部材からなる。電極35は、先端硬質部36の表面から突出している。
【0033】
電極35は、先端硬質部36の表面の一点から先端硬質部36の外側に突出し、異なる点において先端硬質部36の内側に入り込むループ形状を有している。具体的には、電極35は、先端硬質部36の表面の互いに離間した2点において、先端硬質部36によって支持された一対の基部35aと、先端硬質部36の表面から離間した状態で一対の基部35aを接続する架設部35bと、を含む。
【0034】
図4および
図5に示すように、架設部35bは、長手軸Lに沿う方向から見た場合に略コ字状または略U字状である。第1軸Xに沿う方向から見た場合に、架設部35bの頂部35cは、基部35aから長手軸Lに交差する方向に向かって突出している。
【0035】
一対の基部35aは、先端硬質
部36内において、ワイヤ33と電気的に接続されている。
図5および
図6に示すように、本実施形態では一例として、ワイヤ33および電極35は、同一の金属製の線状部材からなる。
【0036】
より具体的に、本実施形態の電極支持部32は、2つの先端硬質部36を備える。個々の先端硬質部36は、長手軸Lに沿う方向を長手方向とした柱状の外形を有する。なお、図示する本実施形態では、先端硬質部36の断面は略円形であるが、先端硬質部36の断面は平行四辺形であってもよいし、他の多角形であってもよい。
【0037】
2つの先端硬質部36は、長手軸Lに沿う方向についてはほぼ同じ位置に配置されており、かつ第1軸Xに沿う方向(左右方向)に離間して配置されている。すなわち、2つの先端硬質部36は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、重なり合う部分が存在する様に配置されている。したがって、2つの先端硬質部36のそれぞれは、第1軸Xに沿う方向について互いに対向する面である対向面36aを有する。
【0038】
なお、ここで「互いに対向する面」とは、右側に配置された先端硬質部36の概ね左方向に向く表面と、左側に配置された先端硬質部36の概ね右方向に向く表面と、のことを指す。すなわち、対向面36aとは、2つの先端硬質部36に挟まれた空間に面する部位である。したがって、2つの先端硬質部36の対向面36aは、互いに平行となる部位を有していなくともよい。
【0039】
電極35の一対の基部35aは、2つの先端硬質部36のそれぞれに配置されている。すなわち、電極35は、2つの先端硬質部36の間に架け渡された金属製のワイヤ33である。
【0040】
一対の基部35aは、2つの先端硬質部36の対向面36aから、第1軸Xに沿って突出するように配置されている。また、一対の基部35aは、長手軸Lに沿う方向についてほぼ同じ位置に配置されている。すなわち、一対の基部35aは、一対の対向面36から第1軸Xに沿って互いに近づくように突出している。
【0041】
架設部35bは、一対の基部35aの先端部の間を接続している。架設部35bは、長手軸Lに沿う方向から見た場合において、一対の基部35aから下方に向かって凸形状となるように湾曲している。そして、
図4および
図5に示すように、架設部35bの頂部35cは、2つの先端硬質部36の下方に面する下端面36bよりも下方に位置している。
【0042】
以上に説明した構成を有する電極35は、
図3に示すように、第2軸Yに沿う方向から見た場合に、2つの先端硬質部36に挟まれた空間S内のみにおいて外部に露出している。言い換えれば、電極35の外部に露出する部位は、第2軸Yに沿う方向から見た場合に、2つの先端硬質部36と重ならないように配置されている。また、
図4に示すように、長手軸Lに沿って先端側から見た場合に、電極35は、2つの先端硬質部36に挟まれた空間S内のみにおいて外部に露出している。すなわち、電極35の外部に露出する部位は、2つの先端硬質部36の先端面36eと重ならないように配置されている。
【0043】
図5および
図6に示すように、個々の先端硬質部36は、セラミックパイプ32aと被覆部38により構成されている。セラミックパイプ32aおよび被覆部38は、電気絶縁性を有する。セラミックパイプ32aは、内側にワイヤ33が挿通される中空の部材である。被覆部38は、樹脂製のチューブであり、セラミックパイプ32aを被覆している。セラミックパイプ32aおよび被覆部38の側面には、電極35の基部35aを保持する貫通孔32cが形成されている。
【0044】
本実施形態の電極支持部32は、一例として2つの弾性領域37を有する。2つの弾性領域37は、2つの先端硬質部36のそれぞれの基端に接続されている。なお、電極支持部32は、2つの先端硬質部36の双方の基端に接続される1つの弾性領域37を備える形態であってもよい。
【0045】
本実施形態の弾性領域37は、樹脂製のチューブである被覆部38により構成されている。本実施形態では一例として、先端硬質部36の被覆部38と、弾性領域37の被覆部38とは、長手軸Lに沿う方向に連続した同一の部材である。弾性領域37の被覆部38内には、ワイヤ33が挿通される。すなわち、本実施形態では、被覆部38内に挿入されているセラミックパイプ32aが、先端硬質部36の曲げ剛性を弾性領域37よりも高める役割を有している。
【0046】
そして、本実施形態の基端硬質部31は、樹脂製のチューブである被覆部38および金属パイプ31dにより構成されている。本実施形態では一例として、基端硬質部31の被覆部38と、弾性領域37の被覆部38とは、長手軸Lに沿う方向に連続した同一の部材である。基端硬質部31の被覆部38内には、ワイヤ33が挿通される。金属パイプ31dは、被覆部38の外周を被覆している。すなわち、本実施形態では、金属パイプ31dが、基端硬質部31の曲げ剛性を弾性領域37よりも高める役割を有している。
【0047】
なお、弾性領域37の曲げ剛性を先端硬質部36および基端硬質部31よりも低くする方法は、本実施形態のように構成する部材の材料を異ならせる方法に限られない。例えば、弾性領域37の外径を先端硬質部36および基端硬質部31よりも細くすることでも、弾性領域37の曲げ剛性を先端硬質部36および基端硬質部31よりも低くすることができる。
【0048】
図7、
図8および
図9を参照して、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1を用いて被検体の臓器100内の組織を切除する第1の方法を説明する。
図7、
図8および
図9は、臓器100内を模式的に示す図である。
【0049】
電極ユニット30を用いて臓器100内の組織を切除する場合には、使用者は、まず臓器100内において、電極支持部32を、先端硬質部36の下端面36bが組織に対向する姿勢とする。そして、
図7に示すように、使用者は、先端硬質部36の下端面36bから突出する電極35が組織に接するように、電極支持部32を臓器100の壁面に当接させる。なお、電極ユニット100およびレゼクトスコープ10のシース11を臓器100内に挿入する方法や、臓器100内を潅流液で満たす方法は従来の電極ユニットと同様であるため、説明を省略する。
【0050】
次に、使用者は、スイッチ55aを操作し、高周波電源制御装置55からの高周波電流の出力を開始する。これにより、高周波電流が、電極35から潅流液を通って回収電極11cへ向かって流れるため、電極35に接触する組織が発熱し、組織が切断される。高周波電流の出力開始によって組織が切除されると、
図8に示すように、電極35は組織内に入り込む。
【0051】
ここで、前述のように、電極35は、第2軸Yに沿う方向(下方)から見た場合に、先端硬質部36と重ならないように配置されている。したがって、電極35が組織内に所定の深さまで入り込むと、先端硬質部36が電極35により切断されていない組織に当接する。すなわち、先端硬質部36の下端面36bは、電極35が組織内に入り込む深さを規制するストッパーとして機能する。
【0052】
もし本実施形態とは異なり、下方から見た場合に、電極35が先端硬質部36の下端面36bと重なるように配置されているとすれば、下端面36bは電極35により切断された組織に押し付けられる。この場合、下端面36bが電極35の組織内への進行を規制する力が本実施形態よりも弱くなってしまう可能性がある。本実施形態では、このような状態を避けることができ、電極35が組織内に入り込む深さを確実に規制することができる。
【0053】
よって、本実施形態では、使用者が電極支持部32を臓器100の壁面に押し当てる力が変化したとしても、先端硬質部36が組織に当接した状態からさらに電極35が組織内に入り込むことが防止される。
【0054】
そして、
図9に示すように、使用者は、レゼクトスコープ10を移動させて、電極支持部32を臓器100の壁面に沿って移動させる。すると、組織内において壁面に沿う方向に電極35が移動するため、所定の厚さの組織片が切除される。
【0055】
ここで、前述のように、使用者が電極支持部32を臓器100の壁面に押し当てる力が変化したとしても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保たれる。また、使用者によるレゼクトスコープ10を組織方向に押し付ける力が変化する場合であっても、弾性部37が曲がることにより、電極35が組織の方向に押し付けられる力の変化が略一定に保たれる。これにより、先端硬質部36が組織を変形させる量もほぼ一定に保たれ、電極35が組織内に入り込む深さもほぼ一定に保たれる。また、使用者によるレゼクトスコープ10の移動が臓器100の壁面の形状に沿っておらず、臓器100の壁面とシース11の先端11aとの距離が変化する場合であっても、本実施形態では弾性領域37が弾性変形することにより、先端硬質部36が組織に当接した状態が保たれる。そして、先端硬質部36が組織に当接した状態であれば、前述のように、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保たれる。
【0056】
次に、
図10、
図11および
図12を参照して、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1を用いて被検体の臓器100内の組織を切除する第2の方法について説明する。
【0057】
第2の方法では、
図10に示すように、使用者は、臓器100内において、電極支持部32を、先端硬質部36の先端面36eが切除する予定の組織に対向する姿勢とする。この時点では、電極ユニット30は、切除する予定の組織およびその近傍に接していない。次に、使用者は、電極ユニット30が切除する予定の組織およびその近傍に接していない状態において、スイッチ55aを操作し、高周波電源制御装置55からの高周波電流の出力を開始する。
【0058】
次に、使用者は、
図11に示すように、電極ユニット30を先端方向に移動させ、先端硬質部36の先端面36eを臓器100の壁面に当接させる。前述のように、電極35は、長手軸Lに沿う方向から見た場合に、先端面36eと重ならない位置に配置されている。したがって、この操作においては、先端面36eが臓器100の壁面に当接することにより、電極ユニット30の先端方向への移動が止まる。すなわち、先端硬質部36の先端面36eは、電極35が組織内に入り込む深さを規制するストッパーとして機能する。
【0059】
また、
図11に示す段階において、電極35が組織に接触する場合には、電極35は、先端面36eが接触している組織とは異なる箇所の組織に接触する。よって、
図11に示す段階において、電極35によって組織が切断される場合であっても、先端硬質部36が電極により切断されていない組織に当接するため、先端硬質部36の先端面36eがストッパーとして機能する。
【0060】
次に、使用者は、
図12に示すように、先端面36eを臓器100の壁面に当接させながら電極支持部32を下方に移動させることにより、先端硬質部36の下端面36bを組織に当接させる。この操作により、弾性領域37が湾曲する。
図12に示す段階では、第1の方法と同様に、先端硬質部36の下端面36bは、電極35が組織内に入り込む深さを規制するストッパーとして機能する。よって、第2の方法を用いる場合であっても、第1の方法と同様に、電極35が組織内に入り込む深さを一定に保つことができる。
【0061】
次に、使用者は、第1の方法と同様に、
図9に示すように、レゼクトスコープ10を移動させて、電極支持部32を臓器100の壁面に沿って移動させる。すると、組織内において壁面に沿う方向にループ電極35が移動するため、所定の厚さの組織片が切除される。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、使用者が電極35を移動させる軌跡にふらつきがある場合や、使用者が電極35に加える力に変動がある場合であっても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保つことができる。よって、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1によれば、切除する組織の厚さの制御が容易である。
【0063】
なお、電極ユニット30が備える電極支持部32および電極35の構成は、本実施形態に限られるものではない。
【0064】
図13、
図14および
図15に、電極ユニット30の第1の変形例を示す。第1の変形例の電極ユニット30は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、先端硬質部36の下端面36bが湾曲した形状を有している。
【0065】
第1の変形例の先端硬質部36の下端面36bには、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、先端側に向かうにつれて上方に向かうように湾曲した曲面部36b1が形成されている。また、電極35は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、曲面部36b1に略直交する方向に向かって突出している。具体的には、電極35は、先端硬質部36から、下方および先端方向に向かって突出している。
【0066】
第1の変形例の電極ユニット30は、臓器100の壁面が、長手軸Lに対して略直交している場合において、電極35を組織に接触させる操作が容易となる。
【0067】
図16、
図17および
図18に、電極ユニット30の第2の変形例を示す。第2の変形例の電極ユニット30は、電極35の頂部35cが、先端硬質部36の下端面36bよりも下方に突出し、かつ先端硬質部36の先端面36eよりも先端側に突出している。
【0068】
第1の変形例の電極ユニット30は、下端面36bおよび先端面36eのいずれかを臓器100の壁面に押し当てることにより、電極35を組織に接触させ、組織を切除することができる。
【0069】
また、第2の変形例の先端硬質部36は、凸部36fを備える。凸部36fは、電極35とは異なる方向に突出している。具体的には、凸部36fは、先端硬質部36の先端から、第2軸Yに沿って上方に向かって突出している。凸部36fの先端側の面は、先端面36eと同一の面である。先端硬質部36の先端に凸部36fが形成されていることにより、臓器100の壁面に接触する面積が大きくなるため、電極35を組織に接触させる押し付ける力が大きくても、組織に対する圧力は分散されて変化が少なくなる。これにより、先端硬質部36が組織を変形させる量もほぼ一定に保たれ、電極35が組織内に入り込む深さを一定に保ちやすくなる。
【0070】
図19、
図20および
図21に、電極ユニット30の第3の変形例を示す。第3の変形例の電極ユニット30は、第2の変形例と同様に、電極35の頂部35cが、先端硬質部36の下端面36bよりも下方に突出し、かつ先端硬質部36の先端面36eよりも先端側に突出している。
【0071】
そして、第3の変形例の先端硬質部36は、先端から第1軸Xに沿って左右方向に向かって突出する一対の凸部36fを備える。図示する第3の変形例では、一対の凸部36fは、一対の先端硬質部36のそれぞれから第1軸Xに沿って互いに離れる方向に突出している。なお、一対の凸部36fは、一対の先端硬質部36のそれぞれから第1軸Xに沿って互いに近づく方向に突出してもよい。
【0072】
第3の変形例の電極ユニット30は、第2の実施形態と同様に、下端面36bおよび先端面36eのいずれかを臓器100の壁面に押し当てることにより、電極35を組織に接触させ、組織を切除することができる。また、先端硬質部36の先端に凸部36fが形成されていることにより、臓器100の壁面に接触する面積が大きくなるため、電極35が組織内に入り込む深さを一定に保ちやすくなる。
【0073】
図22、
図23および
図24に、電極ユニット30の第4の変形例を示す。第4の変形例の電極支持部32は、1つの先端硬質部36および2つの弾性領域37を備える。また、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bよりも下方に突出し、かつ先端硬質部36の先端面36eよりも先端側に突出している。
【0074】
図25、
図26および
図27に、電極ユニット30の第5の変形例を示す。第5の変形例の電極支持部32は、1つの先端硬質部36および1つの弾性領域37を備える。また、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bよりも下方に突出し、かつ先端硬質部36の先端面36eよりも先端側に突出している。
【0075】
第4および第5の変形例に示すように、電極支持部32が備える先端硬質部36および弾性領域37の数は、1つであってもよいし2つであってもよい。
【0076】
図28、
図29および
図30に、電極ユニット30の第6の変形例を示す。第6の変形例の電極支持部32は、1つの先端硬質部36および1つの弾性領域37を備える。また、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bから下方に突出している。第5の変形例とは異なり、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の先端面36eよりも基端側に位置している。
【0077】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0078】
図31は、第2の実施形態の内視鏡システム1の概略的な構成を示す図である。本実施形態の内視鏡システム1は、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して長手軸Lに沿って相対的に移動させることができる。
【0079】
具体的には、本実施形態の内視鏡システム1では、スライダ20と電極ユニット保持部23とが分離している。電極ユニット保持部23は、スライダ20とは独立して、シース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動する。電極ユニット保持部23には、電極コネクタ24が設けられている。
【0080】
本実施形態の内視鏡システム1では、電極ユニット保持部23をシース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動させることにより、シース11に対するテレスコープ21の位置を固定したまま、電極ユニット30のみをシース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動させることができる。
【0081】
そして、内視鏡システム1では、電極ユニット30をシース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動させることにより、弾性領域37のシース11の先端11aからの突出長を変更することができる。弾性領域37の、シース11の先端11aよりも基端側に位置する部分は、周囲をシース11により囲まれていることから、湾曲変形が起きにくくなる。したがって、本実施形態の内視鏡システム1では、弾性領域37のシース11の先端11aからの突出長を変更することにより、先端硬質部36を臓器100の壁面に押し当てた際に、弾性領域37が弾性変形する長さを変化させることができる。
【0082】
先端硬質部36を臓器100の壁面に押し当てて弾性領域37が弾性変形すると、先端硬質部36および電極35は、テレスコープ21の視野内において上方に移動する。このとき、先端硬質部36および電極35がテレスコープ21の視野外にまで移動してしまう場合がある。この場合に、本実施形態では、電極ユニット30をシース11に対して基端側に移動させて、弾性領域37が弾性変形する長さを短くすることにより、先端硬質部36および電極35がテレスコープ21の視野外に移動してしまうことを防止できる。
【0083】
なお、本実施形態の電極ユニット30の電極支持部32構成は、
図2から
図30に示した第1の実施形態およびその変形例のいずれであってもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0085】
図32は、第3の実施形態の内視鏡システム1の概略的な構成を示す図である。本実施形態の内視鏡システム1は、電極ユニット30が電極シース45および操作部46を備える点が、第1の実施形態と異なる。
【0086】
電極シース45は、弾性領域37よりも高い曲げ剛性を有する筒状の部材である。電極シース45は、基端硬質部31の外周を囲うように配置されている。電極シース45は、基端硬質部31に対して長手軸Lに沿って相対的に移動可能である。
【0087】
電極シース45が、基端硬質部31に対する移動可能範囲の最も先端側に移動した状態においては、電極シース45の先端45aが、基端硬質部31の先端31aよりも先端側に位置する。そして、電極シース45が、基端硬質部31に対する移動可能範囲の最も先端側に移動した状態においては、弾性領域37の一部または全部が電極シース45内に収容される。
【0088】
電極シース45の基端45bは、シース11の基端11bよりも基端側に突出する。電極シース45のシース11の基端11bよりも基端側に突出した部位には、操作部46が設けられている。シース11の先端11aおよび電極ユニット30の電極支持部32を被検体内に挿入した状態において、操作部40は、被検体外に位置する。
【0089】
操作部40は、電極シース45と共に基端硬質部31に対して相対的に移動可能である。すなわち、操作部40を基端硬質部31に対して相対的に移動させることにより、シース11が基端硬質部31に対して相対的に移動する。そして、本実施形態の電極ユニット30では、シース11が基端硬質部31に対して相対的に移動すると、弾性領域37の電極シース45の先端45aからの突出長を変更することができる。弾性領域37の、電極シース45によって囲まれた部分は湾曲変形が起きにくくなる。したがって、本実施形態の電極ユニット30は、弾性領域37の電極シース45の先端45aからの突出長を変更することにより、先端硬質部36を臓器100の壁面に押し当てた際に、弾性領域37が弾性変形する長さを変化させることができる。
【0090】
内視鏡システム1の使用時において、先端硬質部36を臓器100の壁面に押し当てて弾性領域37が弾性変形すると、先端硬質部36および電極35は、テレスコープ21の視野内において上方に移動する。このとき、先端硬質部36および電極35がテレスコープ21の視野外にまで移動してしまう場合がある。この場合に、本実施形態では、電極シース45を基端硬質部31に対して先端側に移動させて、弾性領域37が弾性変形する長さを短くすることにより、先端硬質部36および電極35がテレスコープ21の視野外に移動してしまうことを防止できる。
【0091】
なお、本実施形態の電極ユニット30の電極支持部32構成は、
図2から
図30に示した第1の実施形態およびその変形例のいずれであってもよい。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電極ユニットおよび内視鏡システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。