(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】二段往復動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/06 20060101AFI20240903BHJP
F04B 27/04 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F04B39/06 E
F04B39/06 F
F04B27/04 K
(21)【出願番号】P 2020563332
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019050733
(87)【国際公開番号】W WO2020138129
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2018245041
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】エベラール ブレーデル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス グリューネヴァルト
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-145887(JP,U)
【文献】実開昭63-123788(JP,U)
【文献】特開2001-355572(JP,A)
【文献】特表2016-535204(JP,A)
【文献】特開平10-184571(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129655(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0264135(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106837734(CN,A)
【文献】米国特許第2899130(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/06
F04B 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに収容された回転駆動源と、
前記回転駆動源からの回転を出力し、前記ケースの端面から一端が突出するように設けられた軸方向に延びる出力軸と、
前記出力軸からの回転駆動力を動力源として空気を圧縮する低圧圧縮要素と、
前記低圧圧縮要素から吐出された圧縮空気を冷却するインタークーラと、
前
記出力軸からの回転駆動力を動力源として前記インタークーラにより冷却された圧縮空気をさらに圧縮する高圧圧縮要素と、
前記出力軸に接続され、前記軸方向において前記
ケースの前記端面と前記インタークーラとの間に配置された送風ファンと、
を備え
、
前記インタークーラは、前記低圧圧縮要素と第1配管を介して接続されるとともに、前記高圧圧縮要素と第2配管を介して接続され、前記第1配管と前記第2配管とを接続する蛇行したクーラ配管を有する、
二段往復動圧縮機。
【請求項2】
前記ケースは、その外表面に前記軸方向に延びる複数のリブ
と、前記複数のリブのうちの一部と接続されている複数の他のリブと、を有する、
請求項1に記載の二段往復動圧縮機。
【請求項3】
前記複数の他のリブは、前記軸方向と垂直な方向に延びる、
請求項2に記載の二段往復動圧縮機。
【請求項4】
前記低圧圧縮要素に前記空気を供給するサイレンサーをさらに備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二段往復動圧縮機。
【請求項5】
前記ケース、前記低圧圧縮要素、前記インタークーラ、前記高圧圧縮要素、及び前記
送風ファンの少なくとも一部を
覆うカバーをさらに備える、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二段往復動圧縮機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二段往復動圧縮機を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二段往復動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧の圧縮空気を得るために、空気を二段階で圧縮する二段往復動圧縮機が知られている。二段往復動圧縮機は、低圧側シリンダと高圧側シリンダとを有する。2段往復動圧縮機においては、低圧側シリンダで圧縮された空気が高圧側シリンダに送り込まれ、高圧側シリンダにおいて更に圧縮される。高圧側シリンダにおいて圧縮された圧縮空気は、吐出ポートを介して空圧機械に供給される。二段往復動圧縮機が商用車に搭載される場合には、高圧側シリンダヘッドから吐出された圧縮空気は、例えば、ブレーキやエアサスペンションに供給される。従来の二段往復動圧縮機は、特開2013-040586号公報に開示されている。
【0003】
空気が圧縮される工程では圧縮熱が発生するため、往復動圧縮機の運転中にはシリンダ及びピストンの温度が上昇する。また、電動モータは印可電流により駆動されるため、この印可電流によりジュール熱が発生する。これにより、電動モータの温度も上昇する。このため、従来の往復動圧縮機には冷却ファンが設けられることが多い。冷却ファンを備えた二段往復動圧縮機が特開平9-264253号公報及び特開2016-070233号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-040586号公報
【文献】特開平9-264253号公報
【文献】特開2016-070233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却ファンを備える二段往復動圧縮機において冷却効果のさらなる向上が求められる。
【0006】
本開示の目的の一つは、二段往復動圧縮機における冷却効果を改善することである。本開示の上記以外の目的は、本願明細書の全体の記載を参照することにより理解される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による二段往復動圧縮機は、ケースに収容された回転駆動源と、前記回転駆動源からの回転を出力し、前記ケースの端面から一端が突出するように設けられた軸方向に延びる出力軸と、前記出力軸からの回転駆動力を動力源として空気を圧縮する低圧圧縮要素と、前記低圧圧縮要素から吐出された圧縮空気を冷却するインタークーラと、前記モータ出力軸からの回転駆動力を動力源として前記インタークーラにより冷却された圧縮空気をさらに圧縮する高圧圧縮要素と、前記出力軸に接続され、前記軸方向において前記ハウジングの前記端面と前記インタークーラとの間に配置された送風ファンと、を備える。
【0008】
本発明の一態様において、前記ケースは、その外表面に前記軸方向に延びる複数のリブを有する。
【0009】
本発明の一態様において、前記ケースは、前記軸方向と垂直な方向に延びる複数の他のリブを有する。
【0010】
本発明の一態様による二段往復動圧縮機は、前記低圧圧縮要素に前記空気を供給するサイレンサーをさらに備える。
【0011】
本発明の一態様による二段往復動圧縮機は、前記ケース、前記低圧圧縮要素、前記インタークーラ、前記高圧圧縮要素、及び前記送付ファンの少なくとも一部を多くカバーをさらに備える。
【0012】
本発明の一態様は、自動車に関する。当該自動車は、上記の二段往復動圧縮機を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によって、二段往復動圧縮機における冷却効果を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態による二段往復動圧縮機を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の二段往復動圧縮機の模式的な側面図である。
【
図3】
図2の二段往復動圧縮機をA-A線に沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。
【
図4】別の実施形態による二段往復動圧縮機を模式的に示す斜視図である。
【
図5】別の実施形態による二段往復動圧縮機の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から
図3を参照して、本発明の様々な実施形態による二段往復動圧縮機1を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による二段往復動圧縮機1を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1の二段往復動圧縮機1の模式的な側面図であり、
図3は二段往復動圧縮機1を
図2のA-A線に沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。本明細書において上下方向に言及する場合には、文脈上別に介される場合を除き、
図1に示されている上下方向を基準とする。本明細書において前後方向に言及する場合には、文脈上別に介される場合を除き、
図2に示されている前後方向を基準とする。
図2には、後述するクランクシャフトの中心軸に一致する軸線Cが示されている。軸線Cは、前後方向に伸びている。本明細書においては、軸線Cに沿う方向を軸方向と呼び、軸線Cから軸線Cと垂直に延びる方向を径方向と呼ぶことがある。
【0016】
図1に示されているように、二段往復動圧縮機1は、ハウジング10を備える。ハウジング10は、モータケース11と、クランクケース12と、第1シリンダ13aと、第2シリンダ13bと、を有する。第1シリンダ13a及び第2シリンダ13bはそれぞれ、クランクケース12の上側に設けられている。ハウジング10の下面には、支持部19を介して4つ脚部が取り付けられている。二段往復動圧縮機1は、脚部18を介して所望の設置場所に設置される。
【0017】
モータケース11の外表面には、軸方向に沿って延びる複数の第1リブ11aと、上下方向に沿って延びる第2リブ11bと、が設けられている。第2リブ11bの上端は、対応する第1リブ11aの後端と接続されている。複数の第1リブ11aのうち一部は、モーターケース11の後端から前端まで延びており、残部は、モーターケース11の後端から前方に向かって延びており途中で第2リブ11bと接続されている。
【0018】
モータケース11には、軸線Cに沿ってその内部を貫通する内部空間が形成されている。モータケース11は、概ね中空の円筒形状を有する。モータケース11の内部空間には、モータ22が配置されている。モータ22は、モータケース11の内壁に取り付けられたステータコイル22aと、ステータコイル22aの径方向内側に組み込まれたロータ22bと、ロータ22bとともに回転するモータ回転軸22cと、を有する。モータ22は、ロータ22bの回転位置を検出する回転検出センサを備えてもよい。モータケース11の貫通孔は、後端において後側キャップ23により閉塞されている。これにより、後側キャップ23の後面がモータケース11の後端面11cとなる。後側キャップ23の径方向中央には、モータケース11の内部空間と外部空間とを接続する貫通孔が設けられている。モータ回転軸22cは、後側キャップ23に設けられた貫通孔を通ってハウジング10の外部まで延伸している。モータ回転軸22cは、軸受を介してモータケース11に対して回転自在に支持される。
【0019】
モータケース11から後方に向かって突出しているモータ回転軸22cの後端には、送風ファン24が取り付けられている。送風ファン24は、モータ回転軸22cとともに中心軸Cの周りで回転する。送風ファン24の回転により、送風ファン24の軸方向後方からファンに向かって流れる気流fiと、送風ファン24の前方からハウジング10の外表面を軸方向に流れる気流foとが発生する。
【0020】
クランクケース12には、軸線Cに沿ってその内部を貫通する内部空間が形成されている。クランクケース12の内部空間とモータケース11の内部空間とは、隔壁20により区画されている。クランクケース12に設けられた貫通孔は、その前端において前側キャップ21により閉塞されている。前側キャップ21は、ほぼ円盤形状のキャップ本体21aと、このキャップ本体21aの径方向中央において前方に向かって突出するドーム21bと、を有する。
【0021】
クランクケース12の内部空間には、クランク機構が配置されている。このクランク機構は、クランク軸15を有する。クランク軸15は、クランクケース12及びモータケース11の内部において中心軸Cに沿って延びている。クランク軸15は、その前端において前側キャップ21に支持されている。クランク軸15は、隔壁20に設けられた貫通孔からモータケース11内に侵入し、モータケース11内において中空のモータ回転軸22cの内周面に支持されている。クランク軸15は、モーター回転軸22cとともに中心軸Cの周りを回転するように、モータ回転軸22cに取り付けられる。これにより、モータ22からの回転駆動力は、モータ回転軸22cを介してクランク軸15に伝達される。
【0022】
クランク軸15は、第1偏心部15aと、第1偏心部15aよりも軸方向後側に設けられた第2偏心部15bと、を有する。第1偏心部15a及び第2偏心部15bは、軸線Cに垂直な断面で見た断面視において円形形状を有する。偏心部15aの中心は、軸線Cから偏心している。第1偏心部15aには、第1コンロッド14aを介して第1ピストン16aが接続されている。同様に、第2偏心部15bには、第2コンロッド14bを介して第2ピストン16bが接続されている。クランク軸15の回転運動は、第1コンロッド14aによって第1ピストン16aの往復動に変換され、第2コンロッド14bによって第2ピストン16bの往復動に変換される。このようにして、第1ピストン16aは、第1シリンダ13aの内部で往復動し、第2ピストン16bは、第2シリンダ13aの内部で往復動する。
【0023】
第1偏心部15a及び第2偏心部15bとは、互いと異なる位相を有する。例えば、第1偏心部15aの位相と第2偏心部15bの位相とは互いに180°ずれている。この位相のずれにより、第1ピストン16aが第1シリンダ13aのシリンダ室を圧縮する方向に駆動されるとき、第2ピストン16bは第2シリンダ13bのシリンダ室を膨張させる方向に駆動される。一方、第2ピストン16bが第2シリンダ13bのシリンダ室を圧縮する方向に駆動されるとき、第1ピストン16aは第1シリンダ13aのシリンダ室を膨張させる方向に駆動される。
【0024】
第1シリンダ13aの先端には第1シリンダヘッド17aが設けられ、第2シリンダ13bの先端には第2シリンダヘッド17bが設けられている。第1シリンダヘッド17aは、その内部空間に空気を吸い込むための吸気ポート27aと、圧縮された空気を吐出するための排気ポート27bとを有する。第1シリンダヘッド17aの内部空間は、隔壁により吸入室と吐出室とに区画されている。第1シリンダヘッド17aの外部から吸気ポート27aを介して吸入室に流入した空気は第1シリンダ13a内に吸引され、シリンダ13a内で往復動する第1ピストン16aによって圧縮された後に吐出室に排出される。この圧縮空気は、第1シリンダヘッド17aの排気ポート27bから配管26aを通ってインタークーラ25に導入され、インタークーラ25で冷却された後に配管26bを通って第2シリンダヘッド17bに導入される。第2シリンダヘッド17bは、配管26bから圧縮空気を吸入するための吸気ポート28aと、第2シリンダ13bで第二段目の圧縮がなされた圧縮空気を排出する排気ポート(不図示)とを有する。吸気ポート28aを介して第2シリンダヘッド17bに流入した空気は第2シリンダ13b内に吸引され、シリンダ13b内で往復動する第1ピストン16bによって第二段目の圧縮をされた後に、排気ポートを介して第2シリンダヘッド17bの外部に吐出される。第2シリンダ13bにより2段目の圧縮がなされた圧縮空気は、不図示の様々な空圧機械に供給され得る。空圧機械は、圧縮空気により作動する様々な装置を含む。二段往復動圧縮機1が商用車に搭載される場合には、第2シリンダ13bからの圧縮空気は、例えば、空気ブレーキ、エアサスペンション、及びこれら以外の商用車に搭載される各種空圧機械に供給され得る。
【0025】
このように、二段往復動圧縮機1において、外部から導入された空気は、第1シリンダ13aにおいて第一段目の圧縮がなされ、第2シリンダ13bにおいて第二段目の圧縮がなされる。このように、第1シリンダ13aは低圧用のシリンダであり、第2シリンダ13bは、高圧用のシリンダである。本明細書において、第1シリンダ13aを低圧圧縮要素ということがあり、第2シリンダ13bを高圧圧縮要素ということがある。低圧圧縮要素には、第1ピストン16a及び第1シリンダヘッド17aが含まれてもよい。高圧圧縮要素には、第2ピストン16b及び第2シリンダヘッド17bが含まれてもよい。
【0026】
図3に示されているように、インタークーラ25は、軸方向において、送風ファン24よりも後方に設けられている。言い換えると、インタークーラ25とモータケース11の後端面との間に送風ファン24が設けられている。インタークーラ25は、例えば不図示のボルトによりモーターケース11に取り付けられる。
【0027】
インタークーラ25は、第1シリンダヘッド17aの排気ポート27bと配管26aを介して接続され、第2シリンダヘッド17bの吸気ポート28aと配管26bを介して接続されている。インタークーラ25は、配管26aと配管26bとを接続する蛇行した配管と、この配管に設けられた多数のフィンと、を有している。インタークーラ25の配管には、配管26aから、第1シリンダ13aにおいて圧縮された高温の圧縮空気が供給される。上記のように、送風ファン24の回転に伴って気流fiが流れ、この気流がインタークーラ25を通過する。この気流fiは、インタークーラ25の配管及びフィンの外表面に沿って流れるため、インタークーラ25の内部を通過する圧縮空気が冷却される。
【0028】
続いて、二段往復動圧縮機1の動作について説明する。ステータコイル22aに電流が印加されると、ロータ22bがステータコイル22aに対して回転する。このとき、ロータ22bの回転がモータ回転軸22cを介してクランク軸15及び送風ファン24に伝達される。クランク軸15の回転運動は、第1コンロッド14aによって第1ピストン16aの往復動に変換され、第2コンロッド14bによって第2ピストン16bの往復動に変換される。この第1ピストン16a及び第2ピストン16bの往復動により、外部から導入された空気は第1シリンダ13aにおいて一段階目の圧縮がなされ、第2シリンダ13bにおいて第二段階目の圧縮がなされる。第1シリンダ13aにおいて圧縮された空気は、インタークーラ25により冷却された後、第2シリンダ13bに導入される。インタークーラ25に対しては、モータ22からの回転駆動力により回転する送風ファン24から冷却風が供給される。
【0029】
図4は、本発明の他の実施形態による二段往復動圧縮機1を示す斜視図である。
図4の二段往復動圧縮機1は、カバー40を備える点で
図1に示された二段往復動圧縮機1と相違している。カバー40は、防音カバーである。カバー40は、二段往復動圧縮機1の全周を覆ってもよい。図示の実施形態においては、車体への取付けの便宜のために、二段往復動圧縮機1のうち脚部18がカバー40から露出している。カバー40は、その一部に、カバー40の内部と外部とを接続する貫通孔が設けられていてもよい。カバー40は、防音機能を有する材料からなる。カバー40の材料としては、例えば、フェルト、ポリ塩化ビニル、又はこれら以外の防音性を有する材料から成る。このカバー40により、二段往復動圧縮機1から発生する音の外部への漏れを抑制できる。
【0030】
図5は、本発明の他の実施形態による二段往復動圧縮機1を示す斜視図である。
図5の二段往復動圧縮機1は、サイレンサー50を備える点で
図1に示された二段往復動圧縮機1と相違している。サイレンサー50は、前側カバー21のドーム21bに取り付けられる。サイレンサー50は、例えば中空の円筒形状を有する。サイレンサー50の内部空間は、吸気口50aから外気を取り入れる第1室と、この第1室に接続されており当該第1室から空気を取り入れる消音室と、に画定されている。吸気口50aは、サイレンサー50の任意の位置に設けられ得る。サイレンサー50の内部空間、第1室及び消音室以外の区画された空間を有していてもよい。消音室は、第1シリンダヘッド17aの吸気ポート27aに接続されている。モータ22が駆動されると、第1シリンダヘッド17aの吸入室が負圧となるため、サイレンサー50の外部から第1室に空気が取り込まれる。この空気は、第1室から消音室に侵入する。空気は、消音室において膨張するため消音される。これにより、外気を吸入する際に発生する吸気騒音を低減することができる。
【0031】
上記の二段往復動圧縮機1は、例えば、商用自動車に搭載され得る。本発明の一態様は、二段往復動圧縮機1を備えた自動車である。
【0032】
上記の実施形態が奏する作用効果について以下で説明する。本発明の一実施形態においては、軸方向において、送風ファン24がモータケース11の後端面11cとインタークーラ25との間に設けられている。これにより、送風ファン24により発生する冷却風がインタークーラ25を通過しやすくなるため、インタークーラ25における圧縮空気の冷却効果が向上する。従来の二段往復動圧縮機においては、軸方向においてモータケースの後端面と送風ファンとの間にインタークーラが設けられている。この従来の二段往復動圧縮機における配置では、送風ファンからインタークーラに送られた冷却風がモータケースの後端面の後端面に衝突して気流が乱れてしまい、送風ファンからの冷却風がインタークーラの冷却に十分に寄与していなかった。本発明の実施形態においては、送風ファンとインタークーラの軸方向における配置を変更することにより、冷却効果が改善されている。
【0033】
上記の一実施形態においては、モータケース11の外表面に軸方向に延びる複数の第1リブ11a及び上下方向に延びる複数の第2リブ11bが設けられている。二段往復動圧縮機1の運転時には、ステータコイル22aに印加される印加電流によりジュール熱が発生し、このステータコイル22aで発生した熱がモータケース11に伝達される。第1リブ11a及び第2リブ11bによりモータケース11の外表面の表面積が大きくなっているため、ステータコイル22aで発生した熱を効率よく大気中に放熱することができる。
また、第1リブ11aは、送風ファン24からの冷却風をモータケース11の外表面に沿って軸方向に案内する。よって、隣接する第1リブ11aの間を送風ファン24からの冷却風が流れるため、この冷却風によってさらに放熱効率を改善することができる。
【0034】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0035】
変形例の一部について以下で例示する。モータケース11とクランクケース12とは、一体のワンピース構造を有していてもよい。モータケース11とクランクケース12とは、別部材として構成されてもよい。二段往復動圧縮機1は、モータ22を制御するための制御回路が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 二段往復動圧縮機
10 ハウジング
11 モータケース
12 クランクケース
13a 第1シリンダ(低圧側シリンダ)
13b 第2シリンダ(高圧側シリンダ)
14a 第1コンロッド
14b 第2コンロッド
15 クランクシャフト
15a 第1偏心部
15b 第2偏心部
16a 第1ピストン
16b 第2ピストン
17a 第1シリンダヘッド
17b 第2シリンダヘッド
18 脚部
19 支持部
21 前側キャップ
22 モータ
22a ステータコイル
22b ロータ
22c モータ回転軸
23 後側キャップ
24 送風ファン
25 インタークーラ