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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】寛骨臼人工関節
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/34 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A61F2/34
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020564030
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019016428
(87)【国際公開番号】W WO2019152893
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】15/886,711
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/782,509
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520290644
【氏名又は名称】リビジョン テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エフ.ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジェイ.ハイドゥケウィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ キュー.スピトラー
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/009807(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180431(US,A1)
【文献】特表2011-511699(JP,A)
【文献】米国特許第06340370(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨盤上の自然の寛骨臼関節面を置き換えるための人工寛骨臼関節であって、
概して凸状の形状を有する、カップの骨に面する面と、
平面に近いリムを画定する、概して凹状の形状を有する、カップの関節に面する面と、
を含む人工寛骨臼カップと、
前記カップの骨に面する面に固定可能な、拡大部のカップに面する面と、
前記拡大部のカップに面する面が前記カップの骨に面する面に固定された状態で、前記人工寛骨臼カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成された拡大部の骨に面する面と、
を含む拡大部と、
前記拡大部を前記人工寛骨臼カップに固定するように構成された拡大部固定機構であって、
前記カップの骨に面する面および前記拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部と、
前記カップの骨に面する面、および前記ガイド部と係合する前記拡大部のカップに面する面の他方におけるスライダと、
固定要素と、を含む拡大部固定機構と、
を含み、
前記拡大部固定機構は、
前記スライダが前記ガイド部に沿ってスライド可能な非固定配置と、
前記スライダと前記ガイド部が摩擦係合し前記スライダが前記ガイド部に対して所定の位置で固定される固定配置と、の間で再構成され、
前記拡大部固定機構は、
前記平面に対してほぼ垂直なアクセス方向に前記人工寛骨臼カップに向かって器具を移動させることによって、前記拡大部固定機構の前記固定要素を前記器具に係合させ、
前記器具は前記固定要素に係合し、前記器具を作動させて前記拡大部固定機構をロック構成に移動させ、
前記拡大部固定機構がロック構成にある状態で、器具を引き抜くことで再構成可能であることを特徴とする人工寛骨臼関節。
【請求項2】
前記固定配置は、前記非固定配置の非拡張形態と比べて拡張形態にある前記スライダを含むことを特徴とする請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項3】
前記ガイド部はスロットを成し、前記スライダは前記スロット内に伸びるように構成された突起を含むことを特徴とする請求項2に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項4】
前記スライダは、前記スロットの一部を成す対応した肩面と係合するように構成された肩面を含み、前記スライダの肩面と前記スロットを成す肩面との係合によって、前記スライダが前記スロットから外れて移動することを防ぐことを特徴とする請求項3に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項5】
前記スライダは、前記スライダの肩面を含む蟻継ぎ形状の部材を含むことを特徴とする請求項4に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項6】
前記ガイド部は前記カップの骨に面する面に沿って延在し、前記スライダは前記拡大部のカップに面する面上にあることを特徴とする請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項7】
前記スライダは前記拡大部の一体部分であることを特徴とする請求項6に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項8】
前記ガイド部は前記カップの骨に面する面に形成されたスロットを成すことを特徴とする請求項6に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項9】
前記ガイド部は前記スライダ用の湾曲した移動経路を画定して、前記カップの骨に面する面の一部に沿った前記拡大部の湾曲した移動経路を生成することを特徴とする請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項10】
前記非固定配置では、前記拡大部固定機構は、前記人工寛骨臼カップに対する前記拡大部の回転を容易にし、前記固定配置では、前記拡大部固定機構は、前記人工寛骨臼カップに対する前記拡大部の回転を抑制することを特徴とする請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項11】
前記固定要素は、拡張形態と非拡張形態との間の変換を生じさせるために、前記器具によって回転可能な留め具を含むことを特徴とする請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項12】
前記拡大部固定機構互いに対して回転可能な一対の部材を含み、
前記拡大部が、前記人工寛骨臼カップに関する複数の回転位置の間の軸を中心に回転可能であり、各回転位置で、前記拡大部のカップに面する面が前記カップの骨に面する面に固定された状態で、前記拡大部の骨に面する面が、前記人工寛骨臼カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成された非固定配置と、
前記拡大部が前記回転位置の1つの所定位置に固定され、前記拡大部固定機構が、前記複数の回転位置のいずれかにある前記拡大部によって固定配置に再構成される固定配置と、
の間で再構成される拡大部固定機構と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工寛骨臼関節
【請求項13】
前記固定配置における回転位置のそれぞれでは、前記拡大部のカップに面する面の領域が、前記カップの骨に面する面の対応する領域に面し、前記カップの骨に面する面の対応する領域の曲率と一致することを特徴とする請求項12に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項14】
前記拡大部固定機構は、
前記カップの骨に面する面と前記拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部と、
前記カップの骨に面する面と、前記ガイド部と係合する、前記拡大部のカップに面する面と、の他方におけるスライダと、を含み、
前記非固定配置では、前記スライダは前記ガイド部に沿ってスライド可能であり、
前記固定配置では、前記スライダと前記ガイド部は、摩擦係合して前記スライダが前記ガイド部に対して所定の位置で固定される
ことを特徴とする請求項12に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項15】
前記カップの骨に面する面および前記拡大部の骨に面する面が骨盤に固定された状態で、前記固定要素が前記骨盤から離れる方向に向けられる、請求項1に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項16】
骨盤上の自然の寛骨臼関節面を置き換えるための人工寛骨臼関節であって、
概して凸状の形状を有する、カップの骨に面する面と、
平面に近いリムを画定する、概して凹状の形状を有する、カップの関節に面する面と、
を含む人工寛骨臼カップと、
前記カップの骨に面する面に固定可能な、拡大部のカップに面する面と、
前記拡大部のカップに面する面が前記カップの骨に面する面に固定された状態で、前記人工寛骨臼カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成された拡大部の骨に面する面と、
を含む拡大部と、
前記拡大部を前記人工寛骨臼カップに固定するように構成された拡大部固定機構と、
を含み、
前記拡大部固定機構は、
前記カップの骨に面する面と前記拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部と、
前記カップの骨に面する面と、前記ガイド部と係合する、前記拡大部のカップに面する面の他方におけるスライダと、
ファスナーであって、
前記スライダが前記ガイド部に沿ってスライド可能である非固定配置と、
前記スライダと前記ガイド部が摩擦係合して前記スライダが前記ガイド部に対して所定位置で固定される固定配置と、の間で前記拡大部固定機構を再構成するために作動させることができ、
カップの骨に面する平面が骨盤に固定された状態で、前記平面に概して垂直なアクセス方向に沿って器具によって係合され、作動されるように配向される、ファスナーと、を備える、
ことを特徴とする人工寛骨臼関節。
【請求項17】
固定配置では、前記スライダは、非固定配置の非拡張形態と比較して拡張形態にあり、
前記ガイド部はスロットを画定し、
前記スライダは、前記スロット内に延びるように構成された突起を備える、請求項16に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項18】
前記ガイド部はカップの骨に面する面に沿って延在し、前記スライダは拡大部のカップに面する面にあり、
スライダは拡大部と一体の部分である、請求項16に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項19】
前記非固定配置では、前記拡大部固定機構は、前記人工寛骨臼カップに対する前記拡大部の回転を容易にし、前記固定配置では、前記拡大部固定機構は、前記人工寛骨臼カップに対する前記拡大部の回転を抑制することを特徴とする請求項16に記載の人工寛骨臼関節。
【請求項20】
前記カップの骨に面する面および前記拡大部の骨に面する面が骨盤に固定され、前記ファスナーが、前記骨から離れる方向に向けられた駆動機構を備える、請求項16に記載の人工寛骨臼関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、関節形成のための埋め込み物および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成手術は、関節の1つ以上の関節面が人工関節面で置き換えられる外科的手術である。そのような手術は、特に股関節として一般に知られている寛骨臼大腿関節に対するものとして、ますます一般的になっている。寛骨臼大腿関節に関する関節形成手術は、寛骨臼の関節面を交換するために人工寛骨臼関節を埋め込むことを含むことができる。これは、大腿骨骨頭の関節面の置換とともに、またはこれを伴わないで行われる場合がある。
【0003】
寛骨臼関節形成を成功させるには、埋め込み物が有効なままで、必要な摩耗特性を失わないようにすることが重要となる。さらに、寛骨臼関節形成手術が迅速かつ円滑に行われることが望ましい。多くの既存の寛骨臼関節形成のための埋め込み物および方法は、埋込むのに時間がかかり、または下側の骨への十分な付着が形成されない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の様々なシステムおよび方法は、当該技術分野の現状に応じて、特に、現在利用可能な寛骨臼関節形成システムおよび方法によってまだ完全に解決されていない当技術分野の問題およびニーズに応じて開発されている。本開示のシステムおよび方法は、限定されないが、人工寛骨臼カップ、拡大部(オーギュメント)、および拡大部固定機構を含み、寛骨臼埋め込みおよびその器具を提供し得、それによって骨固定の強化および/または埋め込みの効率化が可能となる。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、人工寛骨臼関節は、骨盤上の寛骨臼関節面を置き換えるように設計され得る。人工関節は、概して凸状の形状を有する、カップの骨に面する面および概して凹状の形状を有する、カップの関節に面する面を含んだ人工寛骨臼カップを含み得る。人工関節はまた、カップの骨に面する面に固定可能な、拡大部のカップに面する面、および拡大部の骨に面する面を含んだ拡大部を含み得る。拡大部の骨に面する面は、カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成することができるとともに、拡大部のカップに面する面は、カップの骨に面する面に固定される。人工関節はまた、カップの骨に面する面の少なくとも一部が拡大部のカップに面する面の少なくとも一部に面して、拡大部をカップに固定するように構成された、拡大部固定機構を含むことができる。拡大部固定機構は、カップの骨に面する面および拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部、およびカップの骨に面する面と、ガイド部と係合する、拡大部のカップに面する面との他方におけるスライダを含むことができる。拡大部固定機構は、スライダがガイド部に沿ってスライド可能な非固定配置と、スライダとガイド部が摩擦係合しスライダがガイド部に対して所定の位置で固定される固定配置と、の間で再構成され得る。固定配置は、非固定配置における非拡張形態と比べて拡張形態にある、スライダまたはガイド部の少なくとも1つを含むことができる。
【0006】
固定配置は、非固定配置における非拡張形と比べて拡張形態にあるスライダを含みことができる。例えば、ガイド部はスロットを成し、スライダはスロット内に伸びるように構成された突起を含むことができる。スライダは、スロットの一部を成す対応した肩面と係合するように構成された肩面を含むことができる。スライダの肩面とスロットを成す肩面との係合によって、スライダがスロットから外れて移動することを防ぐことができる。スライダは、肩面を含む蟻継ぎ形状の部材を含んでもよい。
【0007】
ガイド部はカップの骨に面する面に沿って延在することができ、スライダは拡大部のカップに面する面上とすることができる。スライダは拡大部の一体部分であってもよく、ガイド部はカップの骨に面する面に形成されたスロットとしてもよい。ガイド部はスライダ用の湾曲した移動経路を画定し、それによってカップの骨に面する面の一部に沿って拡大部の湾曲した移動経路を生成することができる。
【0008】
非固定配置では、拡大部固定機構は、カップに対する拡大部の回転を容易にし、固定配置では、拡大部固定機構は、カップに対する拡大部の回転を抑制することができる。また、拡大部固定機構は、拡張形態と非拡張形態との間の変形を生じさせるために回転可能な留め具を含むことができる。
【0009】
他の実施形態では、人工寛骨臼関節は、骨盤上の寛骨臼関節表面を置き換えるように設計することができる。人工寛骨臼関節は、概して凸状の形状を有する、カップの骨に面する面および概して凹状の形状を有する、カップの関節に面する面を含んだ、人工寛骨臼カップを含み得るものである。この人工関節はまた、カップの骨に面する面に固定可能な、拡大部のカップに面する面、および拡大部の骨に面する面を含んだ拡大部を含み得る。この人工関節はまた、カップの骨に面する面の少なくとも一部が拡大部のカップに面する面の少なくとも一部に面して、拡大部をカップに固定するように構成された、拡大部固定機構を含むことができる。補強部固定機構は、互いに対して回転可能な一対の部材を含むことができる。拡大部固定機構は、非固定配置と固定配置との間で再構成され得るものである。非固定配置では、拡大部は、カップに関する複数の回転位置の間の軸を中心に回転可能であり得る。各回転位置では、拡大部のカップに面する面がカップの骨に面する面に固定された状態で、拡大部のカップに面する面は、カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成され得る。固定配置では、拡大部は回転位置の1つの所定位置に固定され得る。拡大部固定機構は、複数の回転位置のいずれかにある拡大部によって、固定配置に再構成され得る。
【0010】
固定配置における回転位置のそれぞれでは、拡大部のカップに面する面の領域が、カップの骨に面する面の対応する領域に面し、カップの骨に面する面の対応する領域の曲率と一致し得る。例えば、カップの骨に面する面および拡大部のカップに面する面は、一致する球面曲率を有することができる。
【0011】
これらの実施形態では、拡大部固定機構は、カップの骨に面する面と拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部、およびカップの骨に面する面と、ガイド部と係合する、拡大部のカップに面する面、の他方におけるスライダを含むことができる。非固定配置では、スライダはガイド部に沿ってスライド可能であり、固定配置では、スライダとガイド部は、摩擦係合してスライダがガイド部に対して所定の位置で固定され得る。
【0012】
他の実施形態では、方法は、骨盤上の寛骨臼関節面を人工寛骨臼関節で置き換えることに関するものとすることができる。この方法は、骨盤の寛骨臼に人工寛骨臼カップを配置することを含むことができ、寛骨臼カップの概して凸状の、骨に面する面が寛骨臼に面し、寛骨臼カップの概して凹状の、関節に面する面が反対側のカップの骨に面する面に向いている。カップの関節に面する面は、平面に近いリムを画定することができる。拡大部は、カップに対して所定の位置に移動され得、ここでは、拡大部のカップに面する面がカップの骨に面する面に面し、かつ拡大部の骨に面する面が骨盤の一部に面する。拡大部固定機構を作動させて、拡大部をカップの所定位置に固定することができる。この作動には、器具を、平面にほぼ垂直なアクセス方向に、寛骨臼カップに向かって移動させ、拡大部固定機構の固定領域に係合させることを含み得る。
【0013】
拡大部固定機構の作動は、器具を使用して、平面にほぼ垂直な軸の周りで留め具を回転させることを含むことができる。また、拡大部固定機構の作動は、器具を使用して、平面にほぼ垂直な方向に留め具を移動させることを含むことができる。
【0014】
拡大部固定機構は、カップの骨に面する面と拡大部のカップに面する面の一方に沿って延在するガイド部と、カップの骨に面する面と、ガイド部と係合する、拡大部のカップに面する面、の他方におけるスライダを含むことができる。拡大部固定機構の作動は、拡大部固定機構を、スライダがガイド部に沿ってスライド可能である非固定配置から、スライダとガイド部が摩擦係合してスライダがガイド部に対して固定される固定配置へ再構成することを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、骨盤上の自然の寛骨臼関節面を置換するための人工寛骨臼関節は、人工寛骨臼カップ、拡大部、および拡大部固定機構を有することができる。人工寛骨臼カップは、概して凸状の形状を有する、カップの骨に面する面と、概して凹状の形状を有する、カップの関節に面する面とを含み得る。拡大部は、それらの間にすき間を画定する第1の突起と第2の突起を有することができ、各突起は、カップの骨に面する面に固定可能な、拡大部のカップに面する面と、拡大部のカップに面する面がカップの骨に面する面に固定された状態で、人工寛骨臼カップが取り付けられている骨盤の一部に面するように構成された、拡大部の骨に面する面と、を含み得る。拡大部固定機構は、拡大部を、カップの骨に面する面の少なくとも一部が拡大部のカップに面する面の少なくとも一部に面した状態で、人工寛臼カップに固定するように構成され得る。
【0016】
第1の突起および第2の突起は両方とも、人工寛骨臼カップの対称軸からほぼ半径方向外向きに延在することができる。第1の突起および第2の突起はそれぞれ、第1の突起および第2の突起が骨盤上の解剖学的特性に適合するように曲がることができるように選択された形状および材料を有することができる。
【0017】
第1の突起および第2の突起はそれぞれ、拡大部固定機構に近接した近位端、拡大部固定機構から離れて配置された遠位端、および遠位端を第1の突起と第2の突起の他方から離れて突出させる弧状形状を有し得る。第1の突起および第2の突起は、「ウサギの耳」の形状を画定するように形作られてもよい。第1の突起および第2の突起のそれぞれは、さらに、肉組織に面する面と、肉組織に面する面から骨に面する面まで通り、突起を骨盤に固定するために使用可能な留め具を受け入れる少なくとも1つの穴を有する。
【0018】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴と利点は、以下の記載及び付加された特許請求の範囲から十分に明らかとなるか、あるいは本明細書で説明されるシステムおよび方法を実施することによっても知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は例示的な実施形態のみを示し、したがって、添付の特許請求の範囲による範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解して、本開示の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて追加の特異性および詳細とともに説明される。
図1図1は、一実施形態による人工寛骨臼関節の斜視図である。
図2A図2Aは、図1の人工寛骨臼関節の寛骨臼カップの斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aの寛骨臼カップの正面図である。本明細書で使用される場合、人工寛骨臼関節の構成要素を指すとき、方向用語の前、後、左、右、上、および下は、人工寛骨臼関節の実施形態を説明する際の便宜のために用いられる。そのように使用される場合、人工関節が寛骨臼関節に埋め込まれるとき、それらは人体に対する向きの方向を指さないこと、および人工寛骨臼関節が埋め込まれるとき、人工寛骨臼が骨盤に対する向きを制限するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
図2C図2Cは、図2Aの寛骨臼カップの上面図である。
図2D図2Dは、図2Aの寛骨臼カップの底面図である。
図3A図3Aは、図1の人工寛骨臼関節の拡大部の斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aの拡大部の正面図である。
図3C図3Cは、図3Aの拡大部の背面図である。
図3D図3Dは、図3Aの拡大部の上面図である。
図3E図3Eは、図3Aの拡大部の底面図である。
図3F図3Fは、図3Aの拡大部の左側面図である。
図3G図3Gは、図3Aの拡大部の右側面図である。
図4図4は、骨盤の寛骨臼に埋め込まれた人工寛骨臼関節を骨盤の左側から見た図である。
図5図5は、一実施形態による人工寛骨臼関節の斜視図である。
図6図6は、人工寛骨臼関節の別の実施形態の斜視図である。
図7図7は、図6の人工寛骨臼関節の分解斜視図である。
図8A図8Aは、図6の人工寛骨臼関節の拡大部の斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aの拡大部の正面図である。
図8C図8Cは、図8Aの拡大部の背面図である。
図9A図9Aは、図6の人工寛骨臼関節の鞍部の斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aの鞍部の正面図である。
図9C図9Cは、図9Aの鞍部の背面図である。
図9D図9Dは、図9Aの鞍部の上面図である。
図9E図9Eは、図9Aの鞍部の底面図である。
図9F図9Fは、図9Aの鞍部の左側面図である。
図9G図9Gは、図9Aの鞍部の右側面図である。
図10A図10Aは、人工寛骨臼関節の別の実施形態の底面図である。
図10B図10Bは、人工寛骨臼関節の別の実施形態の上面図である。
図11A図11Aは、図10Aおよび10Bに示される人工寛骨臼関節の寛骨臼カップの上面図である。
図11B図11Bは、図10Aおよび10Bに示される人工寛骨臼関節の寛骨臼カップの底面図である。
図12A図12Aは、図10Aおよび10Bに示される人工寛骨臼関節の拡大部の斜視図である。
図12B図12Bは、図12Aの拡大部の正面図である。
図12C図12Cは、図12Aの拡大部の背面図である。
図12D図12Dは、図12Aの拡大部の上面図である。
図12E図12Eは、図12Aの拡大部の底面図である。
図12F図12Fは、図12Aの拡大部の左側面図である。
図12G図12Gは、図12Aの拡大部の右側面図である。
図13図13は、骨盤の寛骨臼に埋め込まれた、図10Aおよび10Bの人工寛骨臼関節を備えた骨盤をその左側から見た図である。
図14図14は、一実施形態による人工寛骨臼関節の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の例示的な実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解され、図面全体を通して、同様の部品は同様の数字によって指定される。本願の図に概略的に説明および図示されている本開示の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置および設計できることは容易に理解されよう。したがって、図に表される、装置、システム、および方法の実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲の範囲を限定することを意図せず、単に例示的な実施形態の代表的な例である。
【0021】
「接続される」、「結合される」および「通信する」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体的、および熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指いている。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、機能的に互いに結合されていることもある。「隣接する」という用語は、互いに直接物理的に接触している物を指すが、物は必ずしも一緒に取り付けられるものとは限らない。「流体連通」という語句は、一方の機構内の流体が他方の機構に流れ込むことができるように接続されている2つの機構を指す。
【0022】
用語「例示的な」は、本明細書では「例、実例、または例示として機能を果たす」ことを意味するように使用される。「例示的な」として本明細書で説明されるいずれの実施形態も、他の実施形態に対して必ずしも好ましいまたは有利なものとして解釈されるわけではない。実施形態の様々な態様が図に提示されているが、特に示されていない限り、図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0023】
図1は、一実施形態による人工寛骨臼関節100の斜視図である。人工関節100は、大腿骨骨頭(図示せず)の自然または人工の関節面を受け入れこれと連動して動作し得る、寛骨臼の、自然関節面または以前に埋め込まれた人工関節面に取って代わるように設計され得るものである。人工関節100は、既存の人工寛骨臼カップを交換するのに特によく適しているものであり、例えば、カップが外れたりおよび/またはカップの周りで骨崩壊が起こったりする場合である。特に、本明細書で説明される拡大部は、そのような状況で、人工関節を骨盤に固定するためのより大きな領域を提供することなどによって、人工寛骨臼カップを固定することに寄与できる。例えば、これは、骨が拡大部内におよび/またはその周りに成長することを可能とし、さらなる機会を利用して人工関節を所定の位置にネジ(図示せず)で固定できるようにするものであり、その際、ねじのいくつかは拡大部をとおり骨盤内に延在することができる。
【0024】
人工関節100は、寛骨臼カップ102および少なくとも1つの拡大部104を含むことができる。図2A~2Dを参照すると、カップ102は、中空のほぼ半球形状などのほぼ中空のシェルとすることができる。寛骨臼カップ102は、ほぼすべての方向において凸状である、カップの骨に面する面112と、ほぼすべての方向において凹状であるカップの関節に面する面114とを含むことができる。しかしながら、それぞれの面は、面の一般的な凸状または凹状の湾曲に適合しない局所化された部分を含み得る。例えば、これは表面が多孔性または粗面などの不均一なテクスチャを含む場合であり、これは、骨の成長および/またはカップ102と拡大部104との間の確実な係合に寄与できるものである。カップの骨に面する面112は、概して、用意された寛骨臼に適合するように成形することができる。カップの関節に面する面114は、天然または人工の大腿骨頭(不図示)の関節面の周りに適合するように成形することができる。
【0025】
カップ102は、穴116などの1つまたは複数の開口を画定することができる。穴116は、カップの関節に面する面からカップの骨に面する面までカップ102の中を通ることができる。例えば、図2A~2Dの実施形態では、穴116は、中央に配置された穴、中央に配置された穴を中心とする円形パターンで間隔を開けた5つの穴の第1のセット、および中央に配置された穴を中心とし、第1のセットよりも中央の穴から遠い円形パターンで間隔を開けた5つの穴の第2のセットを含むことができる。しかし、穴116は、他の様々な異なるパターン、数、および/またはサイズとすることができる。穴116によって、隣接する骨盤骨へのカップの固定が容易になる。例えば、1つ以上の穴116は、穴116を通って骨盤の骨内に延在するネジまたは他の留め具を受け入れることができる。また、カップ102が長期にわたって寛骨臼に着座したままであることから、寛骨臼の骨が穴116内に成長して、カップ102が寛骨臼にさらにしっかりと固定されるのを助けることができる。
【0026】
カップ102はまた、リム120を含むことができ、リム120は、カップ102が概して半球形状である実施形態では概して円形とすることができる。リム120は、平面122に近いものとすることができる(図2Bを参照)。本明細書で使用されるように、リムが平面に近いとは、リムが平面である場合に平面がリムと一直線に揃うことを意味する。ただし、リムが平面でない場合は、平面からリムの周囲の点までの合計垂直距離が最小になるように平面が配置されている場合には、リムは平面に近いとする。
【0027】
カップ102はまた、ガイド部124を含むことができ、ガイド部の各々は、カップの骨に面する面112からカップ102内に延在するスロット126を成す。カップ102は、カップ102の周りに間隔を置いて配置された5つのそのようなガイド部124を画定し、各ガイド部124は、リム120からカップの骨に面する面112に沿ってカップ102の中心に向かって(すなわち中央穴の中央位置に向かって)延在するスロット126を画定する。各スロット126は、カップの骨に面する面112の曲率に一致する経路などの湾曲した経路で、カップの骨に面する面112に沿ってカップ102の中心に向かって延在することができる。また、各スロット126は、全体的なカップの骨に面する面112からカップ102内により深く延在するにつれて、より広くすることができる。したがって、カップ102は、各スロット126について、スロットのより広くてより深い部分を画定する、対応するガイド部124の肩面128(図2Aを参照)を含むことができる。図2A~2Dに示す実施形態では、各スロット126は、それがカップ102内に深く延びるにつれて外側に広がっており、その結果、各スロットは、面においてより狭く、カップ102内に深く延びるにつれてより広い、概して台形(すなわち、あり形)の断面を有する。
【0028】
次に、図3A~3Gを参照して、拡大部104をより詳細に説明する。拡大部104は、人工関節100が埋め込まれるとき、概ね骨盤に背を向け肉組織の方を向くように構成された概ね平坦な拡大部の肉組織に面する面130を含むことができる(拡大部104は、拡大部の肉組織に面する面130が骨盤のある部分に面するような向きとなっているが)。拡大部104はまた、カップ102のカップの骨に面する面112(図1参照)に面するように構成された拡大部のカップに面する面132、および人工関節100が埋め込まれたときに概して骨盤に向かって面するように構成された拡大部の骨に面する面134を含むことができ。拡大部のカップに面する面132は、全方向において、カップの骨に面する面112の凸面の曲率と一致する凹面の曲率を有することができる。例えば、そのような曲率は球面曲率であってもよい。図3A~3Gに示す拡大部104では、拡大部の肉組織に面する面130は、概して、丸い先端を有する三日月形である。拡大部のカップに面する面132は、全方向で概して凹状としてカップ102のカップの骨に面する面112と一致するようにすることができる。補強部の骨に面する面134は、一般に、全方向において凸状であり得る。
【0029】
拡大部のカップに面する面132は、拡大部の肉組織に面する面130の凹状縁部から延在し、拡大部の骨に面する面134は、拡大部の肉組織に面する面130の凸状縁部から延在することができる。また、拡大部の骨に面する面134および拡大部のカップに面する面132は、互いに交わって、三日月形の、肉組織に面する面130の一方の先端から他方の先端まで凸状の弓状経路とし延在する尾根部136を形成することができる。拡大部104は、肉組織に面する面130から骨に面する面134まで延在する穴138をその内部に画定することができる。カップ102の穴116と同様に、拡大部104の穴138は、拡大部を骨盤に固定するための1つまたは複数のネジ(図示せず)を受け入れることができる。また、穴138は、時間の経過と共にその内部で骨が成長することを可能にして、拡大部104を骨盤に固定するのに寄与し、それによりカップ102を骨盤に固定することを助けることができる。拡大部104の全体的な形状がここで詳細に説明されているが、拡大部は、以下でより詳細に論じられるように、多くの異なる形状を有することができる。
【0030】
拡大部104はさらに、スライダ140を含むことができ、このスライダは拡大部104のそれ以外の部分と一体的に形成することができる。スライダ140は、三日月状の肉組織に面する面130の凹状縁部に近い、中央に配置することができる。スライダ140は、肉組織に面する面130と同一平面である平面142を含むことができる。さらに、スライダは、拡大部104の本体に背を向ける方向に面する(端面144は、凹状の代わりに平面であってもよいが、拡大部104の隣接するカップに面する面132と実質的に同じ方向に面する)端面144を含むことができる。さらに、スライダ140は、端面から拡大部104の本体に戻るように延在する、対向する側面146または肩面を含むことができる。スライダ140は、拡大部の肉組織に面する面130から拡大部のカップに面する面132に沿って延在することができる。また、スライダ140は、それが拡大部のカップに面する面132から離れて外側に延在するにしたがって広がるようにすることができる。図3A~3Gに示す特定の実施形態では、スライダは、カップ102におけるスロット126の蟻継ぎ形状と一致する一般的な蟻継ぎ形状を形成することができる。したがって、スライダ140の側面146は、カップ102の対応するガイド部124の肩面に面して係合し、スライダ140が着座するスロット126からのスライダ140の移動きを阻止することができる。スライダ140はまた、スライダ140の側面146と拡大部104の本体との間で、拡大部104がスライダ140の両側で側部スロット150を形成するとともに拡大部104の本体内に延在することができる。さらに、スライダ140は、側部スロット150間でスライダ140内に延在する中央スロット152を画定することができる。スライダ140はまた、ネジ穴のような開口部154を画定することができ、その開口部は平坦な面142からスライダ140内に延在し、それによって中央スロット152は開口部154の反対側に延在する。
【0031】
図1に戻ると、カップ102および拡大部104の一部はまた、追加の構成要素も含む、拡大部固定機構170の一部であり得る。その機構170は、拡大部104がカップ102に対して固定される固定配置と、拡大部固定機構170が拡大部104とカップ102との間の動きを容易にする非固定配置との間で再構成され得る。図1に示す実施形態では、拡大部固定機構170は、スライダ140、スライダ140が着座するスロット126を画定する、対応するガイド部124、およびスライダ140を拡張するために移動可能な留め具172を含むことができる。例えば、留め具172は、スライダ140の開口部154にねじ込まれるネジとすることができる。開口部154の少なくとも一部は、留め具172よりも小さくすることができ、その結果、留め具172が開口部154内に延在するとき、留め具172は、スライダ140の部分を、開口部154および中央スロット152の反対側に押しやって開くようにし、それによってスライダ140を拡張することができる。非拡張形態から拡張形態へのスライダ140のこの再構成は、スライダ140と、対応するスロット126を規定する対応するガイド部124と、の間に摩擦を生じさせ得るものである。この摩擦によって、ガイド部124に対して所定の位置にスライダ140をロックまたは固定でき、これにより、拡大部104をカップ102に対して所定の位置に固定することができる。従って、固定機構170は、固定配置のために留め具172をスライダ140の開口部154により移動させ、非固定配置のためにファスナ172を開口部154からより遠くに移動させることによって、固定配置成と非固定配置との間で再構成される。例えば、留め具172がネジである場合、留め具172は、軸を中心に留め具172を回転させることによって移動させることができる。これは、ビットドライバ174などの機器を使用して実施することができる。
【0032】
次に図4を参照すると、人工関節200の別の実施形態が示されている。人工関節200は、カップ102、拡大部204、および拡大部固定機構270を含むことができる。これらの構成要素は総て、拡大部204および拡大部固定機構270が、単一の増強物204を取り外し可能に固定するための複数のガイド部224と相互作用する複数のスライダ240を含むことを除いて、人工関節100と同じものとすることができる。また、図4は、骨盤290、具体的には、骨盤290の寛骨臼292に埋め込まれた人工関節200を示している。
【0033】
人工関節は、異なる数の拡大部を含んでもよく、拡大部は、骨盤の異なる部分に適合するように異なる形状であってもよい。また、骨崩壊がある領域には異なる形状を使用でき、それにより、寛骨臼周囲の骨盤の崩壊領域に拡大部を適合させることができる。次に図5を参照すると、寛骨臼カップ102と、3つの異なる形状の拡大部304、306、および308と、を備えた人工関節300が示されている。人工関節は、3つの拡大部304、306および308のそれぞれに1つが対応する、3つの増強物固定機構312、314、および316を含む。拡大部固定機構312、314および316用の留め具は、図5には示されていない。ただし、留め具は、拡大部固定機構312、314および316に含まれてもよい。拡大部固定機構312、314および316は、それぞれ、図1図3Gを参照して上述した拡大部固定機構170と同様とすることができる。
【0034】
次に、別の人工関節500を、図6図9Gを参照して説明する。まず、図6および図7を参照すると、図6は、人工関節500の組立図であり、図7は、人工関節500の分解図である。人工関節500は、人工関節100と同様のものとすることができる。実際、人工関節500におけるカップ102は、上述したカップ102と同じものとすることができる。しかしながら、拡大部504および拡大部固定機構506は、上述のものとは異なり得る。概して、増強物固定機構506は、カップ102と拡大部504が、非固定配置で互いに対して回転し、拡大部504がカップ102に対する複数の異なる回転位置のいずれかにある状態で固定位置に共に固定されることが可能な代わりの構造を有するものである。
【0035】
図8A~8Cを参照すると、拡大部504は、三日月形状の肉組織に面する面530、カップに面する面532、および骨に面する面534を含むことができ、これらはすべて、上述の拡大部104の対応する面と同様のものとすることができる。ただし、拡大部504は、拡大部504を通る、拡大部の骨に面する面534から拡大部のカップに面する面532まで延在する鞍部穴540を画定することができる。鞍部穴540は、拡大部の骨に面する面534から拡大部のカップに面する面532まで延在するにつれて、概して段階的に大きくなることができる。拡大部504はまた、拡大部の肉組織に面する面530から拡大部504内に延在する一対のピン穴542を画定することができる。ピン穴542は、鞍部穴540と交差するとともに、鞍部穴540の両側を通過することができる。
【0036】
拡大部固定機構506は、拡大部504の鞍部穴540の肩部に着座することができる固定リング550を含むことができる。鞍部穴540は、固定リング550の周りで外向きに拡大して、その中に固定リング550が広がることができる環状の隙間(図示せず)を形成することができる。拡大部固定機構506はまた、拡大部504のピン穴542に着座することができるバネピンなどの、一対のピン552を含むことができる。
【0037】
鞍部560は、鞍部穴540に着座することができる。図7および図9A~9Gを参照して、鞍部560について説明する。鞍部560は、概して円筒形のピボットすなわち軸562と、概して蟻継ぎ形のスライダ564を含むことができる。軸562は、軸のリングに面する面572から軸内に延在する半径方向スロット570を画定することができる。リングに面する面572は、鞍部560が非拡張形態にあるとき、軸562が鞍部穴540内で回転可能である状態で、鞍部穴540内の固定リング550の方を向くことができる。軸の外面576は、鞍部560が拡張された形態にあるとき、軸562の部分が分かれて半径方向スロット570が広がるようにして、鞍部穴540を取り囲む拡大部504の材料と係合するように構成された突起部578を画定することができる。例えば、突起部578は、軸方向に延びる突起部の、円周方向に延在する複数の列を含むことができる。軸562は、外面576から軸562内へ延在する丸い環状溝582を画定することができる。環状溝582は、ピン552が軸562の両側の環状溝582に着座するようにピン穴542と整列することができ、ピン552は、拡大部504に対する鞍部560の軸方向移動を阻止し、拡大部の504に対する鞍部560の回転運動を可能とする。
【0038】
スライダ564は、リングに面する面572の反対側で、軸562から延在することができる。スライダ564は、上述したスライダ140と同様の形状とすることができ、またスライダ140と同様に機能して、カップ102のガイド部124の所定の位置に展開しおよび固定することができる。鞍部560は、軸562をその軸方向に通過し、さらにスライダ564を通過する留め穴580を画定することができる。留め穴580は、内面にネジが形成されて、ネジが形成された留め具584が留め穴580にねじ込まれ、軸562とスライダ564を外側に押すことができる。
【0039】
拡大部固定機構506と拡大部固定機構170はそれぞれ、異なる実施形態において、様々な異なる方法で変更されてもよい。例えば、拡大部固定機構506は、拡大部504の骨に面する面534に近づかないようにして鞍部を拡大できるように構成されてもよい。例えば、拡大部固定機構506は、一対の噛み合いかさ歯車を含むことができる。そのような実施形態では、拡大部504の肉組織に面する面530における回転ヘッドは、ビットドライバのビットなどの器具を受け入れることができる。ヘッドは、(シャフトなどを介して)第1のかさ歯車に固定できる。第1のかさ歯車は、第2のかさ歯車を駆動することができ、その第2のかさ歯車は、留め具を鞍部560にねじ込むために回転するシャフトを駆動することができる。一例では、留め具をねじ込むシャフトは、留め具にさらに十分に入り込んで、留め具が鞍部にさらに入るときでも、シャフトは留め具に係合したままである。
【0040】
別の例として、ガイド部は、拡大部に形成され得、スライダは、カップ上に配置され得る。また、ガイド部は雄部であり得、スライダは雌部であり得る。例えば、ガイド部は、カップに沿って形成されたレールであり得、スライダは、レールが嵌合するスロットを画定する拡大部に取り付けられた部分であり得、これによって拡大部が非固定位置でカップに対してスライドすることを可能にする。このような構成では、留め具がレールに押し込まれ、留め具が拡大してレールとスライダを固定する。あるいは、留め具は、雌のスライダまたはガイド部を縮小させ(押し込み)、雄のガイド部またはスライダとそれぞれ摩擦係合するようにしてもよい。
【0041】
ここで説明する人工関節の構成要素には、パーツを十分に厳しい精度で形成できる限り、また結果として得られるパーツが、埋め込まれた人工物やここで説明する機能について、通常に見なされる特性を示す限り、さまざまな製造技術および材料を用いることができ、その特性としては、十分な強度、十分な耐摩耗性、十分な耐久性、人体との適合性などである。例えば、構成要素はチタンでできていてもよい。また、本明細書で説明される構成要素のそれぞれについて、3D印刷、機械加工、金属射出成形、および/またはダイカストなどの異なる製造技術を使用することができる。一例として、当技術分野で知られている任意の表面性状特性を有するカップおよび拡大部は、3D印刷によって形成することができる。
【0042】
鞍部560は、製造中拡大部504内に配置されてもよい。あるいは、鞍部560は、人工関節500を埋め込むための外科的手順の前または最中に、臨床医によって拡大部504内に配置されてもよい。同様に、実施形態のいずれかの拡大部はまた、外科医が外科手術中にカップ上に配置することができるが、これの少なくとも一部は、外科手術の前に行われてもよい。
【0043】
再び図1図3Gを参照すると、人工関節100を組み立てる際、留め具172は、スライダを拡張することなくスライダ140に部分的にねじ込むことができる。スライダは、カップ102におけるスロット126に沿ってスライドすることができ、カップのリム120近傍に始まり、拡大部104がカップ102に対して所望の位置に移動するまでスライドする。このとき、拡大部固定機構を作動させて、拡大部104をその位置でカップ102に固定することができる。これは、器具174をアクセス方向600(図1参照)でカップに向かって動かすことを含む。アクセス方向600は、カップ102のリム120に近接する平面122に概ね垂直であり得る(図2Bを参照)。本明細書で使用される場合、一般に垂直とは、垂直であることから30度以内を意味する。器具174を使用して、留め具172をスライダ140の開口部154にねじ込むことができる。これには、留め具172が平面122にほぼ垂直な軸の周りを回転することが含まれ得る。また、留め具172は、人工関節100の接合側から、平面122にほぼ垂直な方向に移動することができる。留め具172の作動によって、スライダ140を拡大されたスライダ形態に拡張することができ、その結果、スライダは、スロット126に沿ってガイド部124に摩擦係合し、拡大部104がカップ102に対して所定の位置に固定される。人工関節200および人工関節300は、同様の技術を使用して組み立てることができ、そこでは拡大部は同様の方法でカップに対して所定の位置に固定される。
【0044】
図6図9Gの人工関節500を組み立てる際に、固定リング550は鞍部穴540に着座し、また、鞍部560は拡大部のカップに面する面532から鞍部穴540内に移動することができ、その際リングに面する面572が最初に及んで固定リング550に面する。次に、ピン552をピン穴542に押し込んで、鞍部560の軸方向移動を阻止することができる。留め具584は、拡大部の骨に面する面534の側面から鞍部560の留め具穴580に部分的にねじ込むことができる。拡大部504は、スライダ564がリム120に近接する、カップ102のスロット126にスライドするように移動することができる。拡大部504は、スロット126に沿ってスライドされ、また拡大部504が所望の位置になるまで鞍部560に対して回転されることができる。
【0045】
その位置で、器具174を使用して留め具をサドル穴540にねじ込むことによって留め具584を作動させることができる。留め具584は、それが留め具穴580にねじ込まれているとき、軸562およびスライダ564を外側に押すことができる。これにより、軸562の突起578が鞍部穴540の周りの材料と摩擦係合し、スライダ564が、スライダ564が着座する、対応するスロット126を画定するガイド部124に摩擦係合することができる。これによって、拡大部504およびカップ102に対する所定位置に鞍部560を固定することができ、それにより、拡大部504をカップ102に対する所定位置に固定することができる。留め具584が鞍部560にねじ込まれると、留め具584の拡がったヘッドが固定リング550を拡張させることができる。ヘッドが固定リング550を通過するとき、固定リング550は、そのバネ力によって収縮することができる。その結果、固定リング550は、留め具584の緩みを抑制し、したがって、カップ102に対する拡大部504の緩みを抑制することができる。
【0046】
人工具の組み立ての一部は、外科手術中に臨床医によって行われる場合がある。例えば、寛骨臼および寛骨臼の周りの領域は、外科的手術の間に調整され得、寛骨臼カップは、寛骨臼内に配置および固定され得る。例えば、寛骨臼カップは、カップを介して骨盤内に留め具をねじ込むことによって配置することができる。そして、拡大部は、上述のように拡大部をスライドおよび/または回転させることなどによって、所望の位置に、移動されおよび調整されることができる。次に、拡大部固定機構を作動させて、拡大部を既に配置されたカップに対する所定位置に固定することができる。さらに、留め具を、拡大部を通って骨盤にねじ込むなどして、追加の固定を行うことができる。
【0047】
あるいは、寛骨臼カップに対する拡大部の所望の位置を決定することができ、拡大部を所定の位置にスライドおよび/または回転させることができる。次に、カップが埋め込まれる前に、拡大部固定機構を作動させて、拡大部カップに対して所定の位置に固定することができる。補強部がカップに対して配置されると、組み立てられた人工関節は、準備された寛骨臼に配置され、カップおよび/または拡大部を通して骨盤内にねじ込まれた留め具を使用するなどして、骨盤に対して所定の位置に固定され得る。
【0048】
複数の拡大部を有する人工関節の場合、寛骨臼内の適所にカップを固定する前および/または後に、1つまたは複数の拡大部をカップに対して配置および固定することができる。
【0049】
ここで、別の人工関節1100を、図10A図12Gを参照して説明する。図10Aおよび10Bはそれぞれ、組み立てられた形態の人工関節1100の底面図および上面図である。人工関節1100は、図1図3Gに示した人工関節100と類似点を共有することができる。例えば、人工関節1100の寛骨臼カップ1102は、人工関節100の寛骨臼カップ102と同様であり得る。但し、寛骨臼カップ1102は、異なる数および/または配置の穴1116を含み得る。例えば、図10A図11Bの実施形態では、穴1116は、中央に配置された穴、中央に配置された穴を中心とする円形パターンで間隔を開けた4つの穴の第1のセット、および中央に配置された穴を中心とし、第1のセットの4つの穴よりも中央の穴から遠い、円形パターンで間隔を開けた3つの穴の第2のセットを含むことができる。人工関節1100の拡大部1104は、図1図3Gに示される拡大部固定機構170と同様の拡大部固定機構1170を含み得る。但し、他の実施形態(図示せず)では、拡大部確保機構1170は、代替的に、図6図9Gに示される拡大部固定機構506と同様の特徴を組み込んでもよい。この代替実施形態では、寛骨臼カップ1102および拡大部1104は、固定解除配置において互いに対して回転することができ、および/または拡大部1104が寛骨臼カップ1102に対して任意の回転位置を取ることができるように、ロックまたは固定配置において互いに固定することができる。
【0050】
ここで、図12A~12Gを参照して、拡大部1104をより詳細に説明する。拡大部1104は、骨盤の解剖学的特性に適合し得る屈曲可能な材料で形成され得る2つの突起部1161、1162を含むことができる。2つの突起部1161、1162はそれぞれ、図12Aに示されるように、突起部1161、1162の遠位端1163、1164に向かって互いに離れるように突出する弓形形状を有したものとすることができる。このようにして、2つの突起部1161、1162は一緒になって「うさ耳」形状を形成することができる。但し、他の実施形態では、突起部1161、1162は、弓型の形状を有さなくてもよく、または共に「ウサギの耳」の形状を形成しなくてもよいことが理解されよう。
【0051】
拡大部104はまた、人工関節1100が埋め込まれるとき、概ね骨盤に背を向け周囲の肉組織の方を向くように構成された概ね平らな拡大部の肉組織に面する面1130を含むことができる(拡大部1104は、拡大部の肉組織に面する面1130が骨盤のある部分に面するような向きとなっているが)。拡大部1104はまた、カップ1102のカップの骨に面する面1112(図10Bおよび図11A参照)に面するように構成された拡大部のカップに面する面1132、および人工関節1100が埋め込まれたときに概して骨盤に向かって面するように構成された拡大部の骨に面する面11134を含むことができる。拡大部のカップに面する面1132は、全方向において、カップの骨に面する面1112の凸面の曲率と一致する凹面の曲率を有することができる。例えば、そのような曲率は球面曲率であってもよい。図12A~12Gに示されている拡大部1104では、拡大部の肉組織に面する面1130および拡大部の骨に面する面1134が、概して、「ウサギの耳」の形状を形成する丸みを帯びた先端を有する弓状の形状を有し得る。
【0052】
拡大部1104は、肉組織に面する面1130から骨に面する面1134まで延在する穴1138をその内部に画定することができる。前述の寛骨臼カップ102の穴116と同様に、拡大部1104における穴1138は、拡大部1104を骨盤に固定するための1つまたは複数のネジ(図示せず)を受け入れることができる。また、穴1138は、時間の経過と共にその内部で骨が成長することを可能にして、拡大部1104を骨盤に固定するのに寄与し、カップ1102を骨盤に固定することを助けることができる。
【0053】
図10A図12Gに示される拡大部1104は、6つの穴1138を有する2つの突起部1161、1162を含むが、他の実施形態は、任意の数の突起部および/または任意の形状、サイズ、配置、またはパターンの穴を含み得ることが理解されよう。さらに、本明細書では、3D印刷された拡大部(図示せず)を含む、患者固有の突起部を持つ拡大部も意図される。患者の特定の解剖学的構造に一致するようにこれらのオーグメントを形作るのを助けるのに利用できる付随する外科器具(図示せず)も、テンプレート、曲げ具など、本明細書で意図されることも理解されるであろう。
【0054】
本明細書に開示されるそれぞれの拡大部は、異なる所定のサイズを有する一組の拡大部として外科医が利用できるようにすることができるが、本明細書に開示される各拡大部のサイズおよび形状は、患者固有の寛骨臼/骨盤の解剖学的構造に適合するようにカスタマイズすることもでき得る。例えば、本明細書に開示される各拡大部についての所望のサイズおよび形状は、患者の独特の寛骨臼/骨盤の解剖学的構造から得られた測定に基づいて、手術前(または手術中)に決定され得る。これらの測定値は、手術前/手術中の撮像データ(X線撮像データ、CT撮像データ、MR撮像データ、X線透視撮像データなど)から導くことができる。そして、カスタマイズされた拡大部が、任意の適切な方法(例えば、3D印刷など)によって形成され得る。前述したように、外科医は、寛骨臼カップに対するカスタマイズした拡大部の位置を微調整することもできる。このようにして、寛骨臼カップおよび/または患者固有の解剖学的構造に対する患者固有の拡大部の位置を調整する能力と組み合わせた、患者固有の拡大部を含むハイブリッド型拡大部設計が提供される。外科医は、患者の固有の寛骨臼/骨盤の解剖学的構造によりよく適合させるために、必要に応じて、手術中にカスタマイズされた拡大部の形状をさらに微調整することもできる。したがって、患者固有の拡大部の形状が満足できるものでない場合、外科医は、寛骨臼カップに対する拡大部の位置をさらに調整しおよび/または拡大部自体の形状を調整して、カスタマイズされた拡大部と患者の間の最適な適合を実現することもできる。
【0055】
図12A~12Gを続けると、拡大部1104は、スライダ1140をさらに含み、このスライダは、拡大部1104の他の部分と一体的に形成され得る。スライダ1140は、肉組織に面する面1130に近接して中央に配置することができる。スライダ1140は、肉組織に面する面1130と同一平面である平面1142を含むことができる。さらに、スライダ1140は、拡大部1104の本体に背を向ける方向に面する(端面1144は、凹状の代わりに平面であってもよいが、拡大部1104の隣接するカップに面する面1132と実質的に同じ方向に面する)端面1144を含むことができる。さらに、スライダ1140は、端面から拡大部1104の本体に戻るように延在する、対向する側面1146または肩面を含むことができる。スライダ1140は、拡大部の肉組織に面する面1130から拡大部のカップに面する面1132に沿って延在することができる。また、スライダ1140は、それが拡大部のカップに面する面1132から離れて外側に延在するにしたがって広がるようにすることができる。図12A~12Gに示される特定の実施形態では、スライダは、カップ1102におけるスロット1126の蟻継ぎ形状と一致する一般的な蟻継ぎ形状を形成することができる。したがって、スライダ1140の側面1146は、カップ1102の対応するガイド部1124の肩面に面して係合し、スライダ1140が着座するスロット1126からのスライダ1140の移動を阻止することができる。スライダ1140はまた、スライダ1140の側面1146と拡大部1104の本体との間で、拡大部1104がスライダ1140の両側で側部スロット1150を形成するとともに拡大部1104の本体内に延在することができる。さらに、スライダ1140は、側部スロット1150間でスライダ1140内に延在する中央スロット1152を画定することができる。スライダ1140はまた、ネジ穴のような開口部1154を画定することができ、その開口部は平坦な面1142からスライダ1140内に延在し、それによって中央スロット1152は開口部1154の反対側に延在する。
【0056】
図1図3Gに示される実施形態と同様、寛骨臼カップ1102および拡大部1104の一部は、追加の構成要素も含み得る、拡大部固定機構1170の一部であり得る。その機構1170は、拡大部1104がカップ1102に対して固定される固定配置と、拡大部固定機構1170が拡大部1104とカップ1102との間の動きを容易にする非固定配置との間で再構成され得る。図10A図12Gに示す実施形態では、拡大部固定機構1170は、スライダ1140、スライダ1140が着座するスロット1126を画定する対応するガイド部1124、およびスライダ1140を拡大するために移動可能な留め具(図示せず)を含むことができる。例えば、留め具は、スライダ1140における開口部1154にねじ込まれるネジとすることができる。開口部1154の少なくとも一部は、留め具よりも小さくすることができ、その結果、留め具が開口部1154内に延在するとき、留め具は、スライダ1140の部分を、開口部1154および中央スロット1152の反対側に押しやって開くようにし、それによってスライダ1140を拡張することができる。非拡張形態から拡張形態へのスライダ1140のこの再構成によって、スライダ1140と、対応するスロット1126を画定する対応するガイド部1124との間に摩擦を生じさせることができる。この摩擦によって、ガイド部1124に対して所定の位置にスライダ1140をロックまたは固定でき、これにより、拡大部1104をカップ1102に対して所定の位置に固定することができる。従って、固定機構1170は、固定配置のために留め具をスライダ1140の開口部1154へより移動させ、非固定配置のためにファスナを開口部1154からより遠くに移動させることによって、固定配置成と非固定配置との間で再構成され得る。例えば、留め具がネジである場合、留め具は、軸の周りに留め具を回転させることによって移動させることができる。これは、ビットドライバなどの器具を用いて実施することができる。
【0057】
ここで、図13を参照すると、図10Aの人工寛骨臼関節1100は、骨盤1290の寛骨臼1292に埋め込まれた状態で示されている。人工関節1100は、寛骨臼カップ1102、拡大部1104、および拡大部固定機構1170を含むことができる。これらの構成要素はすべて、人工関節1100と同じものとすることができる。他の実施形態(図示せず)では、拡大部1104および拡大部固定機構1170は、寛骨臼カップ1102に形成された複数のガイド部と相互作用して単一の拡大部1104を寛骨臼カップ1102に解除可能に固定する複数のスライダを含み得る。
【0058】
ここで図14を参照すると、寛骨臼カップ1102とそれに取り付けられた3つの異なる形状の拡大部1304、1306および1308とを備えた人工関節1300が示されている。拡大部1304、1306および1308のそれぞれは、骨盤の異なる部分に適合するように異なる形状であり得る。また、骨崩壊がある領域には異なる形状を使用でき、それにより、寛骨臼周囲の骨盤の崩壊領域に拡大部1304、1306および1308を適合させることができる。人工関節1300は、3つの拡大部固定機構1312、1314および1316を含み、3つの拡大部1304、1306および1308のそれぞれに1つずつある。図14には、拡大部固定機構1312、1314および1316用の留め具は示されていないが、留め具は、拡大部固定機構1312、1314および1316に含まれるようにすることができる。拡大部固定機構1312、1314および1316はそれぞれ、図1図3Gを参照して上述した拡大部固定機構170と同様とすることができる。
【0059】
本明細書で開示されるいずれの方法も、説明される方法を実行するための1つまたは複数のステップまたは作用を含む。方法のステップおよび/または作用は、互いに交換することもできる。換言すれば、実施形態の適切な動作のために特定のステップまたは作用の順序が必要でない限り、特定のステップおよび/または作用の順序および/または使用を変更することができる。
【0060】
本明細書全体を通して「実施形態」または「その実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体で引用される引用句またはその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0061】
同様に、実施形態の上記の説明では、開示を簡素化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図、またはその説明に一緒にグループ化される場合があることを理解されたい。しかしながら、この開示の方法は、いかなるクレームもそのクレームに明示的に列挙されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の態様は、前述の単一の開示された実施形態のすべてより少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この詳細な説明に続く請求項は、これにより、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立している。この開示には、独立クレームとその従属クレームのすべての順列が含まれます。
【0062】
特徴または要素に関する用語「第1」の請求項の列挙は、第2または追加のそのような特徴または要素の存在を必ずしも意味しない。ミーンズプラスファンクション形式で列挙された要素は、35U.S.C. §112Para.6 に従って解釈されることを意図している。6 本明細書に記載される基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0063】
本開示の特定の実施形態および用途を例示し説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、本明細書に開示された正確な構成および構成要素に限定されないことを理解されたい。本明細書に開示された方法およびシステムの構成、動作、および詳細において、当業者には明らかであろう様々な修正、変更、および変形を行うことができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13
図14