(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造および取り付け方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/171 20060101AFI20240903BHJP
E06B 9/174 20060101ALI20240903BHJP
E06B 9/70 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E06B9/171
E06B9/174
E06B9/70
(21)【出願番号】P 2021008667
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】真野 慎吾
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-280360(JP,A)
【文献】特開平11-247554(JP,A)
【文献】実開平3-58597(JP,U)
【文献】特開2008-175254(JP,A)
【文献】特開2019-60074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0089097(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06-9/18
E06B 9/40-9/50
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口等の開口部を開閉するシャッターカーテンと、開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテンを巻装する巻装部を備えた巻き取り体と、該巻き取り体を回転自在に支持すべく建物側躯体に取り付けられる左右のブラケットとを備えて構成される建物用シャッター装置において、
前記左右のブラケットには、巻装部の外周面に当接して該巻装部を回転自在に支持する回転支持部が備えられ、
左右のブラケットと巻装部とのあいだには、該巻装部の左右移動を規制するための移動規制部が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項2】
巻装部には左右両端縁部に鍔状部が設けられ、左右のブラケットに、該鍔状部に当接して巻装部の左右移動の規制をする移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項3】
巻装部には、鍔状部の左右方向外側部位に回転支持部が当接するための当接代が設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項4】
左右一対の鍔状部のうちの少なくとも一方は、巻装部に対する左右方向の取り付け位置が調節可能な可動の鍔状部であることを特徴とする請求項2または3記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項5】
左右一対の鍔状部のうち一方は前記可動の鍔状部、他方は巻装部に固定された不動の鍔状部であり、可動の鍔状部は、不動の鍔状部が他方側の移動規制部に当接した状態で、一方側の移動規制部に当接するよう位置調節されて取り付けられることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項6】
建物用シャッター装置は、巻き取り体を電動開閉機により回転駆動せしめる電動式であり、不動の鍔状部は、開閉機に伝動チエンを介して動力伝動される従動スプロケットであることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項7】
回転支持部は、内輪部に対して外輪部が回転自在に支持されたものであって、前記内輪部がブラケットに着脱自在に取り付けられ、外輪部が巻装部の外周面に当接することを特徴とする請求項2乃至6の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項8】
移動規制部は、球受け部に球体が自由方向回転自在に支持されたものであって、前記球受け部がブラケットに着脱自在に取り付けられ、球体が鍔状部に当接することを特徴とする請求項2乃至7の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項9】
回転支持部は、少なくとも三個が巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されていることを特徴とする請求項7または8記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項10】
回転支持部は三個であり、頂点の一つが巻装部の軸心の直上に位置する正三角形の各頂点部位に配されることを特徴とする請求項9記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項11】
移動規制部は、少なくとも三個が巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項12】
移動規制部は三個であり、頂点の一つが巻装部の軸心の直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配されることを特徴とする請求項11記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項13】
少なくとも一方のブラケットには、巻装部の左右方向端縁部を遊嵌状に貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至12の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項14】
巻装部の左右両端縁部には移動規制部が設けられ、該移動規制部が左右のブラケットに当接して巻装部の左右移動の規制をするよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造。
【請求項15】
出入り口等の開口部を開閉するシャッターカーテンと、開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテンを巻装する巻き取り体と、該巻き取り体を回転自在に支持すべく建物側躯体に取り付けられる左右のブラケットとを備えて構成される建物用シャッター装置において、
円弧状の外周面にシャッターカーテンが巻装される巻装部の左右方向一端縁部側に左右方向位置調節自在な可動の鍔状部が設けられ、他端縁部側に不動の鍔状部が設けられた前記巻き取り体を、前記巻装部の外周面に当接して該巻装部を回転自在に支持する回転支持部と、前記鍔状部の左右方向外側面に当接して該巻装部の左右移動を規制する移動規制部とが設けられた左右のブラケットに取り付けるための取り付け方法であって、
該取り付け方法は、
・可動の鍔状部が左右方向内方に移動した状態の巻装部の一端縁部を、該一端側のブラケットに設けた貫通孔に貫通せしめる貫通工程、
・該一端縁部が貫通孔に貫通した状態の巻装部を、不動の鍔状部が他端側の移動規制部に当接するよう他端側に移動せしめることで、巻装部の左右両端縁部の外周面を対応する回転支持部に当接させる当接工程、
・前記巻装部の左右両端縁部の外周面が回転支持部に当接した状態で、可動の鍔状部を、一端側に移動して該側の移動規制部に当接する位置で巻装部に取り付け固定する固定工程、
が順次実行されることを特徴とする建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け方法。
【請求項16】
回転支持部は、ブラケットに着脱自在に取り付けられる内輪部に、巻装部の外周面に当接する外輪部が回転自在に支持されるベアリングを用いて構成され、
移動規制部は、ブラケットに着脱自在に取り付けられる球受け部に、移動規制部が当接する球体が自由方向回転自在に支持されるボールキャスターを用いて構成され、
前記回転支持部は、頂点の一つが巻装部の軸心の直上に位置する正三角形の各頂点部位に配される三個であり、移動規制部は、頂点の一つが巻装部の軸心の直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配される三個であり、
前記回転支持部のうち直上の頂点部位に配されるものがブラケットに取り付けられていない状態で貫通工程が実行され、当接工程と固定工程とのあいだに、前記直上部位の回転支持部をブラケットに取り付ける工程が実行されることを特徴とする請求項15に記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造および取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等の建物の出入り口等の開口部の開閉をするため、建物用のシャッター装置を建て付けることがあるが、このようなシャッター装置は、開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配設され、前記シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体(巻き取りホイール、巻き取りドラム)等の各種の部材装置を用いて構成される。
この様なシャッター装置に設けられる巻き取り体は、建物の躯体側に一体的に取り付けられた左右のブラケットに回転自在に軸支されるものであるが、従来のもののなかには、前記ブラケットに回転自在に軸支される支軸部(軸首部)と、該支軸部に一体的に取り付けられ、シャッターカーテンを巻装すべく円筒状の巻装部(巻胴部)とを備え、そして支軸部と巻装部とを、巻装部内において左右に隣接した一対(複数枚)の円板状の連結板(中子)を介して一体的に連結固定したものとしたものがある(特許文献1参照。)。
ところでこの場合の連結板と支軸部および巻装部との連結は、巻装部内での連結固定となるため、例えば巻装部と連結板とは、巻装部の外周面側から抜き溶接のような手段で連結固定することになるが、この場合の抜き溶接は、連結板を直接視認できない状態で行うことになるため製造管理が難しいだけでなく、作業性にも劣るという問題がある。
しかも支軸部と巻装部とのあいだには閉鎖姿勢のシャッターカーテンの荷重が負荷となって働くが、閉鎖姿勢のシャッターカーテンを開放すべく巻き上げたときに過大な負荷が働くことになる。そしてこの過大な負荷は、支軸部と連結板との連結部位に特に大きな応力となって働くため、該部位の強度について充分に考慮しての製造が必要となり、そこで前記特許文献1のものでは、巻装部と支軸部とのあいだの連結強度の向上を図るため、左右連結板のあいだの空間内に充填材を充填するようにしている。しかしながらこのものは、連結板を支軸部、巻装部にそれぞれ溶着する作業が必要であるうえ、充填材の充填作業も必要になって作業性に劣る等の問題がある。
これに対し、支軸部と連結板とをキー溝嵌合により一体的に連結するようにしたものが提唱されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-247140号公報
【文献】特開2015-74943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのものにおいても、巻装部と連結板、そしてキーと連結板をそれぞれ溶着により固定するという溶着作業が依然として必要になることに加え、支軸部にキー溝を形成する作業も必要になって作業性が劣る等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口等の開口部を開閉するシャッターカーテンと、開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテンを巻装する巻装部を備えた巻き取り体と、該巻き取り体を回転自在に支持すべく建物側躯体に取り付けられる左右のブラケットとを備えて構成される建物用シャッター装置において、前記左右のブラケットには、巻装部の外周面に当接して該巻装部を回転自在に支持する回転支持部が備えられ、左右のブラケットと巻装部とのあいだには、該巻装部の左右移動を規制するための移動規制部が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項2の発明は、巻装部には左右両端縁部に鍔状部が設けられ、左右のブラケットに、該鍔状部に当接して巻装部の左右移動の規制をする移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項3の発明は、巻装部には、鍔状部の左右方向外側部位に回転支持部が当接するための当接代が設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項4の発明は、左右一対の鍔状部のうちの少なくとも一方は、巻装部に対する左右方向の取り付け位置が調節可能な可動の鍔状部であることを特徴とする請求項2または3記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項5の発明は、左右一対の鍔状部のうち一方は前記可動の鍔状部、他方は巻装部に固定された不動の鍔状部であり、可動の鍔状部は、不動の鍔状部が他方側の移動規制部に当接した状態で、一方側の移動規制部に当接するよう位置調節されて取り付けられることを特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項6の発明は、建物用シャッター装置は、巻き取り体を電動開閉機により回転駆動せしめる電動式であり、不動の鍔状部は、開閉機に伝動チエンを介して動力伝動される従動スプロケットであることを特徴とする請求項5記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項7の発明は、回転支持部は、内輪部に対して外輪部が回転自在に支持さたものであって、前記内輪部がブラケットに着脱自在に取り付けられ、外輪部が巻装部の外周面に当接することを特徴とする請求項2乃至6の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項8の発明は、移動規制部は、球受け部に球体が自由方向回転自在に支持されたものであって、前記球受け部がブラケットに着脱自在に取り付けられ、球体が鍔状部に当接することを特徴とする請求項2乃至7の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項9の発明は、回転支持部は、少なくとも三個が巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されていることを特徴とする請求項7または8記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項10の発明は、回転支持部は三個であり、頂点の一つが巻装部の軸心の直上に位置する正三角形の各頂点部位に配されることを特徴とする請求項9記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項11の発明は、移動規制部は、少なくとも三個が巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項12の発明は、移動規制部は三個であり、頂点の一つが巻装部の軸心の直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配されることを特徴とする請求項11記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項13の発明は、少なくとも一方のブラケットには、巻装部の左右方向端縁部を遊嵌状に貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至12の何れか1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項14の発明は、巻装部の左右両端縁部には移動規制部が設けられ、該移動規制部が左右のブラケットに当接して巻装部の左右移動の規制をするよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造である。
請求項15の発明は、出入り口等の開口部を開閉するシャッターカーテンと、開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテンを巻装する巻き取り体と、該巻き取り体を回転自在に支持すべく建物側躯体に取り付けられる左右のブラケットとを備えて構成される建物用シャッター装置において、円弧状の外周面にシャッターカーテンが巻装される巻装部の左右方向一端縁部側に左右方向位置調節自在な可動の鍔状部が設けられ、他端縁部側に不動の鍔状部が設けられた前記巻き取り体を、前記巻装部の外周面に当接して該巻装部を回転自在に支持する回転支持部と、前記鍔状部の左右方向外側面に当接して該巻装部の左右移動を規制する移動規制部とが設けられた左右のブラケットに取り付けるための取り付け方法であって、該取り付け方法は、可動の鍔状部が左右方向内方に移動した状態の巻装部の一端縁部を、該一端側のブラケットに設けた貫通孔に貫通せしめる貫通工程、該一端縁部が貫通孔に貫通した状態の巻装部を、不動の鍔状部が他端側の移動規制部に当接するよう他端側に移動せしめることで、巻装部の左右両端縁部の外周面を対応する回転支持部に当接させる当接工程、前記巻装部の左右両端縁部の外周面が回転支持部に当接した状態で、可動の鍔状部を、一端側に移動して該側の移動規制部に当接する位置で巻装部に取り付け固定する固定工程、が順次実行されることを特徴とする建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け方法である。
請求項16の発明は、回転支持部は、ブラケットに着脱自在に取り付けられる内輪部に、巻装部の外周面に当接する外輪部が回転自在に支持されるベアリングを用いて構成され、移動規制部は、ブラケットに着脱自在に取り付けられる球受け部に、移動規制部が当接する球体が自由方向回転自在に支持されるボールキャスターを用いて構成され、前記回転支持部は、頂点の一つが巻装部の軸心の直上に位置する正三角形の各頂点部位に配される三個であり、移動規制部は、頂点の一つが巻装部の軸心の直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配される三個であり、前記回転支持部のうち直上の頂点部位に配されるものがブラケットに取り付けられていない状態で貫通工程が実行され、当接工程と固定工程とのあいだに、前記直上部位の回転支持部をブラケットに取り付ける工程が実行されることを特徴とする請求項15に記載の建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターカーテンが巻装される巻装部を備えた巻き取り体と、該巻き取り体を支持するブラケットとを備えたものにおいて、ブラケットには、巻装部の外周面に当接して該巻装部を回転自在に支持する回転支持部が設けられ、左右のブラケットと巻装部とのあいだには、該巻装部の左右移動を規制するための移動規制部が設けられた構成になる結果、従来必要であったブラケットに軸支するための支軸部を不要にでき、これによって支軸部と巻装部とを溶着等の固着手段により一体化する必要がなくなって構造の簡略化が図れると共に、製造も簡単になって作業性の向上が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、巻装部の左右両端縁部に鍔状部が設けられ、左右のブラケットに、該鍔状部に当接して巻装部の左右移動の規制をする移動規制部が設けられた構成になる結果、ブラケット側に回転支持部だけでなく移動規制体も設けられたものとなって、ブラケット側にこれら部材が集中して取り付けられたものとなって構造の簡略化、組み立て性の効率化が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、巻装部に、鍔状部の左右方向外側部位に回転支持部が当接するための当接代が設けられている結果、巻装部自体が従来の支軸部の機能を果たすと共に、当接代を別部材により構成する必要がなくなって部材の兼用化、構造の簡略化が図れることになる。
請求項4の発明とすることにより、左右一対の鍔状部のうちの少なくとも一方が取り付け位置が調節可能な可動の鍔状部である結果、巻装部をブラケットに取り付ける際の作業が、可動の鍔状部を左右方向内側に移動した邪魔にならない状態でできることになって作業性が向上する。
請求項5の発明とすることにより、巻装部をブラケットに取り付ける際の作業をする際に、不動の鍔状部を他方側の移動規制部に当接した状態で、左右方向内側に移動せしめておいた可動の鍔状部を、一方側の移動規制部に当接するよう位置調節して取り付けることで、左右の鍔状部の精度の高い取り付けが簡単にできることになって作業性が向上する。
請求項6の発明とすることにより、建物用シャッター装置が電動式であった場合に、不動の鍔状部が、開閉機に伝動チエンを介して動力伝動される従動スプロケットに兼用されたものとなる結果、部品点数の低減を図ると共に構造の簡略化に寄与できることができる。
請求項7の発明とすることにより、回転支持部を、内輪部に対して外輪部が回転自在に支持される汎用性の高いものを用いて構成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに寄与できることになる。
請求項8の発明とすることにより、移動規制部を、球受け部に球体が自由方向回転自在に支持される汎用性の高いものを用いて構成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに寄与できることになる。
請求項9の発明とすることにより、回転支持部が、少なくとも三個のものを巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されたものとなっている結果、巻装部の外周面を安定支持したものとすることができる。
請求項10の発明とすることにより、回転支持部は三個であり、しかも頂点の一つが巻装部の軸心の直上に位置する正三角形の各頂点部位に配されたものとなる結果、巻装部の安定した回転支持を少ない個数でできることになる。
請求項11の発明とすることにより、移動規制部が、少なくとも三個のものを巻装部の軸心を中心として適宜角度を存して配されたものになっている結果、鍔状部の外側面を安定支持したものとすることができる。
請求項12の発明とすることにより、移動規制部は三個であり、しかも頂点の一つが巻装部の軸心の直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配されたものとなる結果、巻装部の安定した移動規制を少ない個数でできることになる。
請求項13の発明とすることにより、少なくとも一方のブラケットに巻装部の左右方向端縁部を遊嵌状に貫通するための貫通孔が形成されている結果、巻装部をブラケットに組み込む際の作業が容易になって作業の向上を図れることになる。
請求項14の発明とすることにより、移動規制部を巻装部側に配したものにして、該移動規制部と回転支持部とが分散配置されたものとなる。
請求項15の発明とすることにより、鍔状部が設けられた前記巻き取り体を、回転支持部と移動規制部とが設けられた左右のブラケットに取り付けるための工程として、可動の鍔状部が左右方向内方に移動した状態の巻装部の一端縁部を、該一端側のブラケットに設けた貫通孔に貫通せしめる貫通工程、該貫通した状態の巻装部を、不動の鍔状部が他端側の移動規制部に当接するよう他端側に移動せしめて巻装部の左右両端縁部の外周面を対応する回転支持部に当接させる当接工程、該不動の鍔状部が当接した状態において可動の鍔状部を、一端側に移動して該側の移動規制部に当接する位置で巻装部に取り付け固定する固定工程、を順次実行することで巻き取り体の取り付けが簡単にできることになって作業性が向上する。
請求項16の発明の発明とすることにより、回転支持部をベアリングで、移動規制部をボールキャスターで構成し、しかも回転支持部については正三角形の各頂点部位に配される三個とし、移動規制部については逆正三角形の各頂点部位に配される三個として少ない個数で巻装部の回転支持と移動規制ができるものでありながら、斯かる構成のものにおいて巻装部を取り付ける場合に、回転支持部のうち正三角形の頂点部位に配されるものが取り付けられていない状態で貫通工程が実行され、そして当接工程と固定工程とのあいだに、前記直上部位の回転支持部をブラケットに取り付ける工程を実行することで、巻き取り体を簡単に取り付けることができることになって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】(A)(B)は巻装部の一端側、他端側のブラケット取り付け部位の拡大側面図である。
【
図6】巻装部のブラケット取り付け部位の拡大断面正面図である。
【
図7】(A)(B)は巻装部を組み付ける前半側手順を示す作用説明図である。
【
図8】(A)(B)は巻装部を組み付ける後半側手順を示す作用説明図である。
【
図9】第二の実施の形態を示す巻装部のブラケット取り付け部位の拡大断面正面図である。
【
図10】同実施の形態の回転支持部と移動規制部の配設状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に左右両端縁部が昇降案内されるシャッターカーテン3、開口部Eの上方天井部に配され、シャッターカーテン2を渦巻き状に巻装する巻き取り体4、該巻き取り体4の正逆駆動をしてシャッターカーテン3の開閉を行う電動式の開閉機5等の各種の部材装置を用いて構成されること等は何れも従来通りである。
尚、図中、Hは天井板、Cはシャッターケースである。
【0009】
前記巻き取り体4は、シャッターカーテン3を渦巻き状に巻装するべく外周面が円弧になった円筒状の巻装部4aを備えて構成されるが、該巻装部4aは、建物の躯体(例えば天井壁)G側に取り付けられる左右一対のブラケット6に回転自在に支持される。この場合のブラケット6は、固定片部6aが躯体G側にボルト6bを介して固定されるものであって、該固定片部6aからブラケット本体部6cが延出形成されているが、左右方向一端側(図面において左側)のブラケット本体部6cには巻装部4aの一端縁部を遊嵌状に貫通することができる貫通孔6dが穿設されている。
因みに本実施の形態のシャッター装置1は、前述したように電動式のものであり、そのため左右ブラケット6のうち左右方向他端側(他方側)のブラケット本体部6cは、開閉機5の取り付けスペースを確保するため一端側のものに比して大型になっている。
【0010】
一方、前記巻装部4aの左右方向一端縁(一方縁)4b側部位には、円板状の鍔状部9が左右方向移動自在に外嵌されたものとなっていることで、該鍔状部9が、本発明の「可動の鍔状部」に相当するものであって、後述するように取り付け位置に移動調節した状態で鍔状部9に設けた固定片部9aをビス(締結具)9bを介して締結することで巻装部4aへの取り付け固定ができるようになっている。
これに対し、前記巻装部4aの左右方向他端縁(他方縁)4c側部位には、前記開閉機5に無端(エンドレス、輪状)の伝動チエン7を介して連動連結される従動スプロケット8が溶着により取り付け固定されているが、該従動スプロケット8の取り付け位置は、後述する回転支持部10が巻装部4aの外周面に当接するための当接代Zを確保できるよう他端縁4cよりも左右方向内側位置に取り付け固定されている。そしてこの従動スプロケット8が本発明の「不動の鍔状部」に相当するが、該従動スプロケット8の「不動」は、後述するように巻装部4aをブラケット6に組み付ける工程の前段階で不動になっていれば足りるのであって、工場において予め巻装部4aに固定しておく必要はなく、シャッター装置の組み立て現場において固定したものであってもよい。
因みに従動スプロケット8の巻装部4aに対する固定は、溶着に限定されるものでなく、ボルト固定等、通常知られた適宜の固定手段を必要に応じて採用することができ、また可動の鍔状部9の巻装部4aに対する締結は、ビス9bに限定されず、リベット、ボルト等の通常知られた適宜の締結手段を必要において採用することができる。
【0011】
また、前記ブラケット本体部6cには、巻装部4aの外周面に当接して該巻装部4aの回転支持をするための回転支持部10と、巻装部4aの左右両端縁部に設けられる従動スプロケット8および鍔状部9の左右方向外側面に当接して巻装部4aの左右方向の移動規制をするための移動規制部11とが設けられるが、回転支持部10は、内輪部10aと該内輪部10aに対して回転自在に支持される外輪部10bとを備えた部材、例えば汎用性のあるベアリング(軸受)により構成され、移動規制部11は、球受け部11aと該球受け部11aに対して自由方向(360度の全方向)に回転自在に支持される球体11bとを備えた部材、例えば汎用性のあるボールキャスターにより構成されている。
【0012】
そして本実施の形態では、回転支持部10、移動規制部11はブラケット本体部6cにそれぞれ三個ずつ設けられたものとなっているが、該三個の回転支持部10、移動規制部11は、相互に互いに干渉しない状態で交互に取り付けられたものとなっている。尚、回転支持部10、移動規制部11の数は、三個ずつに限定されないものであって、回転支持部10としては巻装部4aの回転支持ができる個数、移動規制部11としては巻装部4aの移動規制ができる個数であればよいものである。
そして本実施の形態において、三個の回転支持部10は、一つの頂点Xが巻装部4aの軸心Oの直上に位置する正三角形の各頂点に相当する部位に配されるのに対し、三個の移動規制部11については、逆に、一つの頂点Yが前記軸心Oの直下に位置する逆正三角形の各頂点に相当する部位に配されたものとなっており、このように配することで、回転支持部10と移動規制部11とは、前記軸芯Oを中心として60度の角度を存して交互に配されたものとなっている。
因みに回転支持部10は、内輪部10aを貫通するボルト10cをブラケット本体部6cに貫通してナット10dで固定することで該ブラケット本体部6cに取り付けられる構成になっている。尚、この場合にナット10dはブラケット本体部6cに溶着されたものとなっている。一方、移動規制部11は、軸受け部11aから突出したネジ部11cをブラケット本体部6cに貫通してナット11dで固定することで該ブラケット本体部6cに取り付けられる構成になっている。
【0013】
そして巻装部4aは、回転支持部10、移動規制部11が取り付けられたブラケット本体部6cに取り付けられることになるが、該取り付けられた状態の巻装部4aは、前記正三角形の頂点部位に取り付けられた回転支持部10の外輪部10bが、巻装部4aの一端縁4bと鍔状部9とのあいだの当接代Zとなる外周面、および他端縁4cと従動スプロケット8とのあいだの当接代Zとなる外周面にそれぞれ三点で当接支持されることになり、このように構成されることで巻装部4aはブラケット6に回転自在に支持されたものとなる。
しかも巻装部4aは、一端縁4b側の鍔状部9、他端縁4c側の従動スプロケット8の各左右方向外側面に移動規制部11の球体11bが三点で当接することになって、前記回転自在に支持された巻装部4aの回転を許容する状態で、該巻装部4aの左右方向の移動規制がなされるように構成されている。
【0014】
そして本実施の形態においては、前述したように巻装部4aの回転支持を三個の回転支持部10で行い、左右方向の移動規制を三個の移動規制部11で行うようになっているため、最小個数の回転支持部10、移動規制部11により安定した回転支持および移動規制が実行できるが、この場合に、回転支持部10を、一つの頂点Xが巻装部4aの軸心Oの直上に位置する正三角形の各頂点部位に配したものとしたことにより、正三角形の底辺側の頂点部位に配された二個の回転支持部10が、巻き取り体4の重量を前後の均等に分散した状態で受けることになって巻き取り体6の強固な安定支持ができるように配慮されている。
一方、移動規制部11については、逆正三角形の頂点部位に配されたものになっているため、前記回転支持部10のあいだに配されながら、安定した確実な移動規制ができるように配慮されたものになっている。
因みに回転支持部10は鍔状部9、従動スプロケット8に干渉しないよう取り付けられ、移動規制部11は巻装部4aに干渉しないよう取り付けられたものとなっている。
【0015】
次に、この様に構成される巻き取り体4の組み込み手順の一例について説明する。
この場合に、左右のブラケット6は躯体G側に取り付けられるが、そのうち、一端側(開閉機5が配されない側)のブラケット6のブラケット本体部6cについては、直上頂点X部位の回転支持部10が取り付けられていない(取り外された)状態とし、これ以外の回転支持部10、移動規制部11は左右のブラケット本体部6cに取り付けられたものとなっている。また巻装部4aについては、鍔状部9が左右方向移動自在に外嵌しているが、従動スプロケット8は固定された不動の状態となっている。
【0016】
そしてまず、巻装部4aの一端縁4b側部位(一端側部位)を、該巻装部4aを傾斜せしめた状態で一端側のブラケット本体部6cに形成の貫通孔6dに貫通させる。そしてこの場合の巻装部一端縁4b側部位の貫通孔6dに対する貫通は、巻装部4aの他端縁4c(他端)が、該側の移動規制部11を一端側(左右方向内側)に越え、前記傾斜した巻装部4aの傾斜解除ができて巻装部4aを水平姿勢に変姿できればよく、このようにして貫通工程が実行される。因みにこのように貫通工程が実行されることで、巻装部4aの一端縁4b側部位は、前記貫通せしめた貫通孔6dに仮保持された状態になる。
【0017】
次いで前記一端縁4b側部位が貫通孔6dに貫通した巻装部4aの他端縁4c側部位を、該他端側の回転支持部10の外輪部10bに囲繞される領域(空間)に挿入して、従動スプロケット8の左右方向外側面を移動規制部11の球体11bに当接させ、このようにして当接工程が実行される。そしてこのように当接工程が実行されることで、巻装部4aが他端側に移動することになって該巻装部4aの一端縁4b側部位は貫通孔6dから抜け出たものとなり、これによって巻装部4aは、左右両端縁4b、4c側部位の外周面が回転支持部10の外輪部10bに回転自在に支持されることになる。
この場合に本実施の形態においては、前述したように巻装部4aの一端縁4b側部位は、貫通孔6dから抜け出たもののとなっているが、必ずしも抜け出ている必要はない。
【0018】
しかる後、鍔状部9を、一端側の移動規制部11の球体11bに当接する位置まで移動し、該当接位置において、鍔状部9をビス9bを介して巻装部4aに固定することで本発明の固定工程が実行される。
そして本実施の形態においては、前記従動スプロケット8を他端側の移動規制体11に当接する当接工程と、鍔状体9の位置決めしたものを巻装部4aに固定する固定工程とのあいだに、前記取り外されていた一つの回転支持部10を該側のブラケット本体部6cに取り付け固定する回転支持部固定工程を実行することで、巻装部4aが回転自在に支持されかつ左右方向移動規制された巻き取り体4をブラケット6に取り付けることができるようになっている。
尚、回転支持部10の配設位置によっては取り外されたものとしないでも巻装部4aの貫通工程を実行することができる場合があり、この場合には回転支持部固定工程は不要にすることができる。また移動規制部11についても配設位置によっては巻装部4aの貫通工程に支障を来す場合があり、この場合には、前記取り外された回転支持部10と同様、取り外されたものとして巻装部4aの貫通工程が実行される。
【0019】
叙述の如く構成された本実施の形態において、建物用のシャッター装置1を、ガイドレール2、シャッターカーテン3、巻き取り体4、左右のブラケット6を備えたものとし、そして、巻き取り体4を構成する巻装部4aの左右の端縁部に、鍔状部9、従動スプロケット8が設けられ、左右のブラケット6に、巻装部4aの外周面に当接して該巻装部4aを回転自在に支持する回転支持部10と、前記鍔状部9、従動スプロケット8の左右外側面に当接して該巻装部の左右移動を規制する移動規制部とが設けられた構成となっていることで、巻き取り体4は、巻装部4a自体が回転支持部10によって回転自在に支持され、かつ移動規制部11によって左右移動が規制されることになって、巻装部4aへのシャッターカーテン3の巻装が円滑にできる結果、従来必要であったブラケットに軸支するための支軸部の軸支が不要になり、これによって支軸部と巻装部4aとを溶着等の固着手段により一体化する必要がなくなって構造の簡略化が図れると共に、製造も簡単になって作業性の向上が図れることになる。
【0020】
しかもこの場合に、巻装部4aの鍔状部9、従動ブラケット8が取り付けられる部位よりも左右方向外側部位に回転支持部10が当接するための当接代Zが設けられている結果、巻装部4a自体が従来の支軸部の機能を果たすと共に、当接代Zを別部材により構成する必要がなくなって部材の兼用化、構造の簡略化が図れることになる。
そのうえ巻装部4aに設けられる従動スプロケット8は、シャッターカーテン3の巻装作動に必要になるものであるが、該従動スプロケット8が他端側の移動規制部11に当接して巻装部4aの左右移動規制をする鍔状部としての機能を有したものとなっているため、一端側の鍔状部9に加えてさらに他端側に別途専用の鍔状部を設ける必要がなく、部品の兼用化ができることになって部品点数の低減が図れ、構造の簡略化に寄与できることになる。
【0021】
このように巻装部4aの左右移動規制をするため該巻装部4aに設けられる鍔状部9、従動スプロケット8のうち、一方の鍔状部4aが左右方向取り付け位置を調節可能な可動のものとなっているため、巻装部4aをブラケット6に取り付ける作業において、該可動の鍔状部9を左右方向内側に移動して取り付け作業に邪魔にならない状態にでき作業性が向上する。
しかもこの場合に、左右移動規制をするため巻装部4aに設けられる従動スプロケット8は不動のものとなっている結果、巻装部4aをブラケット6に取り付ける作業の際に、該不動の従動スプロケット8を他端側の移動規制部10に当接した状態で、左右方向内側に移動せしめておいた可動の鍔状部9を一端側の移動規制部10に当接するよう位置調節して取り付けることで、巻装部4aを精度よく取り付けることが簡単にできることになって作業性が向上する。
【0022】
また、巻装部4aを回転自在に支持するため設けられる回転支持部10が、内輪部10aに対して外輪部10bが回転自在に支持されるベアリングを用いて構成され、そして内輪部10aがブラケット6に着脱自在に取り付けられ、外輪部10bが巻装部4aの外周面に当接する構成になっているため、回転支持部10を汎用性の高いベアリングを用いて構成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに寄与できることになる。
これに対し、巻装部4aの左右移動規制をするため設けられる移動規制部11が、球受け部11aに球体11bが自由方向回転自在に支持されるボールキャスターを用いて構成され、そして球受け部11aがブラケット6に着脱自在に取り付けられ、球体11bが従動スプロケット8、鍔状部9に当接する構成になっているため、移動規制部11を汎用性の高いボールキャスターを用いて構成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに寄与できることになる。
【0023】
このように構成される回転支持部10、移動規制部11は、左右各側にそれぞれ三個が設けられるが、その場合に、回転支持部10については、一つの頂点Xが巻装部4aの軸心Oの直上に位置する正三角形の各頂点部位に配され、移動規制部11については、一つの頂点Yが巻装部4aの軸心Oの直下に位置する逆正三角形の各頂点部位に配されたものとなっている結果、巻装部4aの回転支持、並びに左右移動規制が、それぞれ三個という少ない数の回転支持部10、移動規制部11によって確実にできることになる。
この場合にさらに、回転支持部10が巻装部4aの軸心Oを重心とする正三角形の各頂点部位に配され、移動規制部11が同じく軸心Oを重心とする逆正三角形の各頂点部位に配されたものとなる結果、回転支持部10、移動規制部11についてはそれぞれ120度の角度を存して配され、回転支持部10と移動規制部11とは60度の角度を存して交互に配されたものとなって、安定した巻装部4aの回転支持および移動規制ができることになる。
尚、本発明では、回転支持部10、移動規制部11の数、配置角度については前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であって、回転支持部10としては巻装部4aの回転支持ができるものであればよく、また移動規制部11としては巻装部の左右移動の規制ができるものであればよいことは勿論である。
【0024】
さらにこのように構成されるものにおいて、巻装部4aをブラケット6に取り付けるため、巻装部4aの一端縁4b側部位を遊嵌状に貫通するための該側のブラケット本体部6cに貫通孔6dが形成されてたものとなっている。
さらに一端側のブラケット本体部6cにおいては、直上頂点X部位の回転支持部10が取り外され、巻装部4aにおいては鍔状部9が左右方向内方に移動された状態になっている。
そしてこの状態で巻装部4aをブラケット6に取り付けることになるが、その方法として、
図7、8に示すように、
・前記鍔状部9が左右方向内方に移動した状態の巻装部4aの一端縁4b部を、巻装部4aを傾斜した状態で該一端側のブラケットに設けた貫通孔6dに貫通せしめる貫通工程、
・該一端縁4b部が貫通孔6dに貫通した状態の巻装部4aを、従動スプロケット8が他端側の移動規制部11に当接するよう他端側に移動せしめる(所謂「行って来い」の操作をする)ことで、巻装部4aが貫通孔6dから抜け出て、該巻装部4aの左右両端縁部部位に形成される当接代Zを回転支持部10に当接支持させる当接工程、
・前記取外されていた直上部位の回転支持部10をブラケット本体部6cに取り付ける工程、
・前記巻装部4aの当接代Zが回転支持部10に当接された状態で、一端側の鍔状部9を該側の移動規制部10に当接する位置まで移動して巻装部4aに取り付け固定する固定工程、
を順次実行することで、巻装部4aの組み込みが簡単にできることになって、巻き取り体4の取り付け作業が簡単にできることになって作業性が向上する。
しかもこの場合に、回転支持部10については直上頂点X部位のものが取り外された状態でできるため、巻装部4aの組み込み作業が、直上部位の回転支持部10に邪魔されることなくできることになって作業性が向上する。
因みにこのような巻装部4aの取り付け作業をするにあたり、回転支持部10、移動規制部11がブラケット本体部6cに対して左右方向内方に配されたものとなっていて、巻装部4aの左右方向外方に向けての移動代が確保できるものである場合には、前述したように巻装部4aの一端側をブラケット6に設けた貫通孔6dに貫通しないでも巻装部4aの所謂「行って来い」の操作をして巻装部4aの左右の当接代Zを回転支持部10に当接せしめることができる場合には、前記貫通工程のないものとして実施することができる。
【0025】
尚、前記実施の形態のものは、回転支持部10、移動規制部11を共に左右のブラケット6に設けたが、このように回転支持部10、移動規制部11を設けるにあたり、両者または回転支持部10を巻装部4a側に設けることが提唱されるが、回転支持部10を巻装部4a側に設けた場合、巻装部4a自体を、シャッターカーテン3が巻装されるため重量が嵩む巻装部4aの回転支持をするべく強度アップ(補強)した構成にする必要がある。これに対し移動規制部11については、巻装部4aの左右移動の規制をする機能があれば足りるものであるから、巻装部4a側に設けたときに、前記回転支持部10を巻装部4a側に設けた場合のように該巻装部4aの強度アップを格別図る必要はなく実現性が認められる。
そこで
図9、10に示す第二の実施の形態のように、ブラケット6側に回転支持部10を設け、移動規制部11を巻装部4aに設けたものとすることができるが、この場合、巻装部4aと共に回転する移動規制部11がブラケット6側に設けられる回転支持部10と干渉しないよう配慮する必要があり、そのため、巻装部4aの左右に大径の鍔状部9を形成し、該鍔状部9に移動規制部11を回転支持部10に干渉しないよう設けることで本発明を実施することができる。勿論、従動スプロケット8が大径であって、回転支持部10に干渉しない位置に移動規制部11が設けられるものであれば、該従動スプロケット8に移動規制部11を設けてもよいものである。またこの場合に、移動規制部11が設けられるものとしては、鍔状部9のように円盤状である必要はなく、杆体や棒状体のように移動規制部11を個別的に取り付け支持する構成のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置における巻き取り体の取り付け構造および取り付け方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
4a 巻装部
4b 一端縁
4c 他端縁
5 開閉機
6 ブラケット
6c ブラケット本体部
6d 貫通孔
7 伝動チエン
8 従動スプロケット
9 鍔状部
10 回転支持部
10a 内輪部
10b 外輪部
11 移動規制部
11a 球受け部
11b 球体
O 軸心
X 直上頂点
Y 直下頂点
Z 当接代