(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】加工装置、及び加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20240903BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240903BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240903BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240903BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20240903BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20240903BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240903BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B24B45/00 A
H01L21/78 N
H01L21/78 F
H01L21/68 A
B24B41/06 L
B24B41/06 A
B24B53/00 K
B24B53/12 Z
B24B27/06 M
B23Q3/155 K
(21)【出願番号】P 2021050755
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】深井 元樹
(72)【発明者】
【氏名】堀 聡子
(72)【発明者】
【氏名】坂上 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕子
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 翔
(72)【発明者】
【氏名】片岡 昌一
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-020281(JP,A)
【文献】特開2008-147344(JP,A)
【文献】特開2008-135519(JP,A)
【文献】特開2016-092237(JP,A)
【文献】特開昭62-053804(JP,A)
【文献】特開2014-054713(JP,A)
【文献】特開2018-195729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
H01L 21/301
H01L 21/677
B24B 41/06
B24B 53/00
B24B 53/12
B24B 27/06
B23Q 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機構により加工対象物が加工される加工テーブルと、
前記加工機構を水平面において互いに直交する第1方向及び第2方向に移動させる加工用移動機構と、
前記加工機構の加工具を交換する加工具交換機構と
、
前記加工対象物を収容する加工対象物収容部と、
前記加工対象物収容部から前記加工対象物を受け取る受取ステージと、
前記受取ステージを前記第2方向に沿って移動させるための移動レールを有し、前記受取ステージを搬送位置に移動させるステージ移動機構とを備え、
前記加工用移動機構は、前記加工テーブルを挟んで前記第1方向に沿って設けられた一対の第1ガイドレールと、当該一対の第1ガイドレールに沿って移動するとともに、前記第2方向に沿って前記加工機構を移動可能に支持する支持体とを有し、
前記加工具交換機構は、前記加工具を交換するために保持する加工具保持部と、当該加工具保持部を前記第2方向に移動させる保持部移動機構とを有
し、
前記保持部移動機構は、前記移動レールに沿って移動できる、加工装置。
【請求項2】
前記加工対象物を前記加工テーブルに搬送するために保持する第1保持機構と、
前記第1保持機構を前記第1方向に沿って移動するためのトランスファ軸を有する搬送用移動機構とを備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記第1保持機構は、前記加工具をドレッシングするためのドレス部材を保持するドレス部材保持部を有する、請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記加工テーブルは、前記第1方向に沿って複数設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項5】
前記加工具をドレス部材を用いてドレッシングするためのドレス用テーブルをさらに備え、
前記ドレス用テーブルは、前記加工テーブルの間に設けられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項6】
前記加工具をドレッシングするためのドレス部材を収容するドレス部材収容部をさらに備え、
前記ドレス部材収容部は、前記移動レールに沿って移動可能に設けられている、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項7】
前記加工機構は、前記加工具であるブレードと、当該ブレードを回転させるスピンドル部と、前記ブレードをスピンドル部に脱着可能に固定するフランジとを有し、
前記加工具交換機構は、前記ブレードを吸着して保持する前記加工具保持部である第1吸着部と、前記第1吸着部とは別に設けられ、前記フランジを吸着して保持する第2吸着部とを有し、
前記フランジにおける前記第2吸着部に吸着される吸着面は、前記スピンドル部の回転軸に直交する平面である、請求項1乃至
6の何れか一項に記載の加工装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7の何れか一項に記載の加工装置を用いて加工品を製造する加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置、及び加工品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ブレードが取り付けられたスピンドルに対して切断用テーブルを相対的に移動させて封止済基板を切断する基板切断モジュール内に、ブレードを自動交換するブレード交換機構を設けたものが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の切断装置では、スピンドルを移動させる移動機構、切断用テーブルを移動させる移動機構、及び、ブレード交換機構を移動させる移動機構が必要であり、装置構成が複雑になるだけでなく、装置のフットプリントが大きくなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、ブレード交換機構を有する加工装置の装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る加工装置は、加工機構により加工対象物が加工される加工テーブルと、前記加工機構を水平面において互いに直交する第1方向及び第2方向に移動させる加工用移動機構と、前記加工機構の加工具を交換する加工具交換機構とを備え、前記加工用移動機構は、前記加工テーブルを挟んで前記第1方向に沿って設けられた一対の第1ガイドレールと、当該一対の第1ガイドレールに沿って移動するとともに、前記第2方向に沿って前記加工機構を移動可能に支持する支持体とを有し、前記加工具交換機構は、前記加工具を交換するために保持する加工具保持部と、当該加工具保持部を前記第2方向に移動させる保持部移動機構とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成した本発明によれば、ブレード交換機構を有する加工装置の装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造を模式的に示す斜視図である。
【
図3】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造の構成を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図4】同実施形態の切断用テーブル及びその周辺構造の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
【
図5】同実施形態の第1保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
【
図6】同実施形態の第1保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すX方向から見た図(側面図)である。
【
図7】同実施形態の第2保持機構及び搬送用移動機構の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
【
図8】同実施形態のラックアンドピニオン機構の構成を模式的に示す断面図である。
【
図9】同実施形態の切断装置の動作を示す模式図である。
【
図10】同実施形態の基板供給機構の構成を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図11】同実施形態の基板供給機構の構成を模式的に示すY方向から見た図(正面図)である。
【
図12】同実施形態の搬入用ステージの構成を模式的に示す断面図である。
【
図13】同実施形態の搬入用ステージの各位置を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図14】同実施形態の搬出用ステージの各位置を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図15】同実施形態のブレード交換機構の構成を模式的に示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図16】同実施形態の切断機構の構成を模式的に示す断面図である。
【
図17】同実施形態のブレード交換機構によるブレードの(a)取り外す前の状態、(b)取り外した後の状態を模式的に示す断面図である。
【
図18】変形例のブレード交換機構によるブレードの取り外す前の状態を模式的に示す断面図である。
【
図19】同実施形態のブレード交換機構による各ブレードの交換状態を示すZ方向から見た図(平面図)である。
【
図20】同実施形態のフルカットの搬送動作及びハーフカットの搬送動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0010】
本発明の加工装置は、前述のとおり、加工機構により加工対象物が加工される加工テーブルと、前記加工機構を水平面において互いに直交する第1方向及び第2方向に移動させる加工用移動機構と、前記加工機構の加工具を交換する加工具交換機構とを備え、前記加工用移動機構は、前記加工テーブルを挟んで前記第1方向に沿って設けられた一対の第1ガイドレールと、当該一対の第1ガイドレールに沿って移動するとともに、前記第2方向に沿って前記加工機構を移動可能に支持する支持体とを有し、前記加工具交換機構は、前記加工具を交換するために保持する加工具保持部と、当該加工具保持部を前記第2方向に移動させる保持部移動機構とを有することを特徴とする。
この加工装置であれば、加工用移動機構により加工機構を水平面において互いに直交する第1方向及び第2方向それぞれに移動させるので、加工テーブルを第1方向及び第2方向に移動させることなく、加工対象物を加工することができる。このため、加工テーブルを移動させる移動機構を不要にすることができ、装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することができる。
また、加工機構を第2方向に移動可能に支持する支持体の移動方向(第1方向)と、保持部を移動させる保持部移動機構の移動方向(第2方向)とが互いに直交するので、支持体を第1方向に移動させて加工機構を加工具交換機構に近づけるとともに、保持部移動機構が加工具保持部を第2方向に移動させて、加工機構の加工具を交換することができる。このように本発明では、加工機構を移動させる加工用移動機構と加工具交換機構の保持部移動機構とを最適な配置にすることができ、加工装置の装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することができる。
【0011】
本発明の加工装置は、前記加工対象物を前記加工テーブルに搬送するために保持する第1保持機構と、前記第1保持機構を前記第1方向に沿って移動するためのトランスファ軸を有する搬送用移動機構とを備えることが望ましい。
この構成であれば、トランスファ軸が第1方向に延びているので、トランスファ軸の延伸方向と保持部移動機構の移動方向とは平面視において互いに直交することになる。また、トランスファ軸と支持体とは平面視において互いに直交するとともに、トランスファ軸の延伸方向と支持体の移動方向とは平面視において互いに平行となる。このような関係により加工用移動機構、加工具交換機構及びトランスファ軸を最適に配置できるようになる。
【0012】
加工具をドレッシングする場合には、ドレス部材を用いることになる。
このとき、前記第1保持機構は、前記加工具をドレッシングするためのドレス部材を保持するドレス部材保持部を有することが望ましい。
この構成であれば、加工対象物を保持する第1保持機構がドレス部材を保持するので、別途ドレス部材保持機構を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
【0013】
1つの加工装置において加工対象物の処理能力を上げるためには、本発明の加工装置は、前記加工テーブルを前記第1方向に沿って複数備えていることが望ましい。
ここで、第1方向に沿って複数の加工テーブルが配置されているので、1つの加工用移動機構により複数の加工用テーブルに加工機構を移動させることができる。その結果、装置構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明の加工装置は、前記加工具をドレス部材を用いてドレッシングするためのドレス用テーブルをさらに備えていることが望ましい。
この構成において、装置のフットプリントを低減するためには、前記ドレス用テーブルは、前記加工テーブルの間に設けられていることが望ましい。
【0015】
また、本発明の加工装置は、加工対象物を収容する加工対象物収容部と、前記加工対象物収容部から前記加工対象物を受け取る受取ステージと、前記受取ステージを前記第2方向に沿って移動させるための移動レールを有し、前記受取ステージを搬送位置に移動させるステージ移動機構をさらに備えていることが望ましい。
移動レールにより受取ステージを第2方向に移動させて搬送位置に移動させる構成とすることにより、加工装置のフットプリントを低減することができる。具体的には、移動レールにより受取ステージを第2方向に移動させるので、第1保持機構を移動させるトランスファ軸が平面視において互いに直交することになり、加工装置のフットプリントを低減することができる。
この構成において装置構成を簡素化するためには、前記保持部移動機構は、前記移動レールに沿って移動できることが望ましい。
【0016】
また、本発明の加工装置は、前記加工具をドレッシングするためのドレス部材を収容するドレス部材収容部をさらに備えていることが考えられる。
この構成において装置構成を簡素化するためには、前記ドレス部材収容部は、前記移動レールに沿って移動可能に設けられていることが望ましい。
【0017】
本発明の加工装置が切断装置の場合には、前記加工機構は、前記加工具であるブレードと、当該ブレードを回転させるスピンドル部と、前記ブレードをスピンドル部に脱着可能に固定するフランジとを有する構成となる。
この場合、前記加工具交換機構は、前記ブレードを吸着して保持する前記加工具保持部である第1吸着部と、前記第1吸着部とは別に設けられ、前記フランジを吸着して保持する第2吸着部とを有し、前記フランジにおける前記第2吸着部に吸着される吸着面は、前記スピンドル部の回転軸に直交する平面であることが望ましい。
この構成であれば、第2吸着部によりフランジを安定して吸着保持することができ、保持部移動機構による第2吸着部の移動時にフランジが位置ずれ又は落下するおそれを低減できる。
【0018】
また、上記の加工装置を用いて加工品を製造する加工品の製造方法も本発明の一態様である。
【0019】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る加工装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0020】
<加工装置の全体構成>
本実施形態の加工装置100は、加工対象物である封止済基板Wを切断することによって、複数の加工品である製品Pに個片化する切断装置である。
【0021】
具体的に切断装置100は、
図1に示すように、封止済基板Wを保持する2つの切断用テーブル(加工テーブル)2A、2Bと、封止済基板Wを切断用テーブル2A、2Bに搬送するために封止済基板Wを保持する第1保持機構3と、切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wを切断する切断機構(加工機構)4と、複数の製品Pが移される移載テーブル5と、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから移載テーブル5に搬送するために複数の製品Pを保持する第2保持機構6と、第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるための共通のトランスファ軸71を有する搬送用移動機構7と、切断機構4を切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wに対して移動させる切断用移動機構(加工用移動機構)8とを備えている。
【0022】
ここで、封止済基板Wとは、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子が接続された基板に対して、少なくとも電子素子を樹脂封止するように樹脂成形したものである。封止済基板Wを構成する基板としては、リードフレーム、プリント配線板を用いることができ、これら以外にも、半導体製基板(シリコンウェーハ等の半導体ウェーハを含む)、金属製基板、セラミック製基板、ガラス製基板、樹脂製基板等を用いることができる。また、封止済基板Wを構成する基板には、配線が施されていても施されていなくてもよい。
【0023】
以下の説明において、切断用テーブル2A、2Bの上面に沿った平面(水平面)内で互いに直交する方向をそれぞれX方向及びY方向、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向とする。具体的には、
図1の左右方向をX方向(第1方向)とし、上下方向をY方向(第2方向)とする。後述するが、X方向は、支持体812の移動方向であり、また、門型の支持体812における一対の脚部を架け渡される梁部(ビーム部)の長手方向(梁部の延びる方向)に直交する方向である(
図2参照)。
【0024】
<切断用テーブル>
2つの切断用テーブル2A、2Bは、X方向、Y方向及びZ方向に固定して設けられている。なお、切断用テーブル2Aは、切断用テーブル2Aの下に設けられた回転機構9Aによってθ方向に回転可能である。また、切断用テーブル2Bは、切断用テーブル2Bの下に設けられた回転機構9Bによってθ方向に回転可能である。
【0025】
これら2つの切断用テーブル2A、2Bは、水平面上においてX方向に沿って設けられている。具体的には、2つの切断用テーブル2A、2Bは、それらの上面が同一の水平面上に位置する(Z方向において同じ高さ位置する)ように配置されるとともに(
図4参照)、それらの上面の中心(具体的には回転機構9A、9Bによる回転中心)がX方向に延びる同一直線上に位置するように配置されている(
図2及び
図3参照)。
【0026】
また、2つの切断用テーブル2A、2Bは、封止済基板Wを吸着保持するものであり、
図1に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bに対応して、吸着保持するための2つの真空ポンプ10A、10Bが配置されている。各真空ポンプ10A、10Bは、例えば水封式真空ポンプである。
【0027】
ここで、切断用テーブル2A、2BがXYZ方向に固定されているため、真空ポンプ10A、10Bから切断用テーブル2A、2Bに接続される配管(不図示)を短くすることができ、配管の圧力損失を低減して、吸着力の低下を防止することができる。その結果、例えば1mm角以下の極小パッケージであっても確実に切断用テーブル2A、2Bに吸着することができる。また、配管の圧力損失による吸着力の低下を防止できるので、真空ポンプ10A、10Bの容量を小さくすることができ、小型化やコストダウンにもつながる。
【0028】
<第1保持機構>
第1保持機構3は、
図1に示すように、封止済基板Wを基板供給機構11から切断用テーブル2A、2Bに搬送するために封止済基板Wを保持するものである。この第1保持機構3は、
図5及び
図6に示すように、封止済基板Wを吸着保持するための複数の吸着部311が設けられた吸着ヘッド31と、当該吸着ヘッド31の吸着部311に接続された真空ポンプ(不図示)とを有している。そして、吸着ヘッド31が、後述する搬送用移動機構7などにより所望の位置に移動されることにより、封止済基板Wを基板供給機構11から切断用テーブル2A、2Bに搬送する。
【0029】
基板供給機構11は、
図1に示すように、複数の封止済基板Wが外部から収容される基板収容部111と、当該基板収容部111に収容された封止済基板Wを第1保持機構3により吸着保持される保持位置RPに移動させる基板供給部112とを有している。この保持位置RPは、2つの切断用テーブル2A、2BとX方向において同列となるように設定されている。なお、基板供給機構11は、第1保持機構3により吸着される封止済基板Wを柔軟な状態として、吸着を容易とするために加熱する基板加熱部113を有していても良い。なお、基板収容部111は、加工対象物収容部に相当する。また、基板収容部111は、加工対象物である封止済基板Wの複数を直接収容するように構成されても良いし、加工対象物である封止済基板Wの複数を収容する容器であるマガジンを収容するように構成されても良い。その他の基板供給機構11の具体的な構成については後述する。
【0030】
<切断機構(加工機構)>
切断機構4は、
図1、
図2及び
図3に示すように、加工具に相当するブレード41A、41B及び2つのスピンドル部42A、42Bからなる2つの回転工具40を有するものである。2つのスピンドル部42A、42Bは、それらの回転軸がY方向に沿うように設けられており、それらに取り付けられるブレード41A、41Bが互いに対向するように配置される(
図3参照)。スピンドル部42Aのブレード41A及びスピンドル部42Bのブレード41Bは、X方向とZ方向とを含む面内において回転することによって各切断用テーブル2A、2Bに保持された封止済基板Wを切断する。なお、本実施形態の切断装置100には、
図3及び
図4に示すように、ブレード41A、41Bによって発生する摩擦熱を抑えるために切削水(加工液)を噴射する噴射ノズル121を有する液体供給機構12が設けられている。この噴射ノズル121は、例えば、後述するZ方向移動部83に支持されている。
【0031】
<移載テーブル>
本実施形態の移載テーブル5は、
図1に示すように、後述する検査部13により検査された複数の製品Pが移されるテーブルである。この移載テーブル5は、いわゆるインデックステーブルといわれるものであり、複数の製品Pを各種トレイ21に仕分けする前に、複数の製品Pが一時的に載置される。また、移載テーブル5は、2つの切断用テーブル2A、2Bと水平面上においてX方向に沿って一列に配置される。さらに、移載テーブル5は、Y方向に沿って前後に移動可能であり、仕分け機構20まで移動することができる。移載テーブル5に載置された複数の製品Pは、検査部13による検査結果(良品、不良品など)に応じて、仕分け機構20によって各種トレイ21に仕分けされる。
【0032】
なお、各種トレイ21は、トランスファ軸71に沿って移動するトレイ搬送機構22により所望の位置に搬送され、仕分け機構20によって仕分けられる製品Pが載置される。仕分けされた後に各種トレイ21は、トレイ搬送機構22によりトレイ収容部23に収容される。本実施形態では、トレイ収容部23に、例えば製品Pを収容する前のトレイ21、良品の製品Pを収容したトレイ21、リワーク(再検査)が必要な不良品の製品Pを収容するトレイ21といった3種類のトレイ21を収容するように構成されている。
【0033】
<検査部>
ここで、検査部13は、
図1に示すように、切断用テーブル2A、2Bと移載テーブル5との間に設けられ、第2保持機構6に保持された複数の製品Pを検査するものである。本実施形態の検査部13は、製品Pの封止面(パッケージ面)を検査する第1検査部131と、製品Pのリード面を検査する第2検査部132とを有している。第1検査部131は、パッケージ面を検査するための光学系を有する撮像カメラであり、第2検査部132は、リード面を検査するための光学系を有する撮像カメラである。なお、第1検査部131及び第2検査部132を共通としても良い。
【0034】
本実施形態の封止済基板W及び製品Pは、基板の一面が樹脂成形された構成となっている。このような構成において、樹脂成形された面は、基板に接続された電子素子が樹脂封止された面であって、「封止面」又は「パッケージ面」と呼ばれる。一方、樹脂成形された面とは反対側の樹脂成形されない面は、通常製品の外部接続電極として機能するリードが露出されるので、リード面と呼ばれる。このリードが、BGA(Ball Grid Array)などの電子部品で用いられる突起状電極の場合には、「ボール面」と呼ばれることもある。さらに、樹脂成形された面とは反対側の樹脂成形されない面は、リードが形成されていない形態もあるので、「基板面」と呼ばれることもある。本実施形態の説明では、樹脂成形された面を「封止面」又は「パッケージ面」と記載し、樹脂成形された面と反対側の樹脂成形されない面を「リード面」と記載する。
【0035】
また、検査部13により複数の製品Pの両面を検査可能にするために、複数の製品Pを反転させる反転機構14が設けられている(
図1参照)。この反転機構14は、複数の製品Pを保持する保持テーブル141と、当該保持テーブル141を表裏逆となるように反転させるモータなどの反転部142とを有している。
【0036】
第2保持機構6が切断用テーブル2A、2Bから複数の製品Pを保持した際には、製品Pのパッケージ面が下側を向いている。この状態で、切断用テーブル2A、2Bから反転機構14に複数の製品Pを搬送する途中で、第1検査部131により製品Pのパッケージ面が検査される。その後、第2保持機構6に保持された複数の製品Pが反転機構14により反転される。この状態で、製品Pのリード面が下側を向いており、反転機構14を第2検査部132に移動させることによって、製品Pのリード面が検査される。
【0037】
<第2保持機構>
第2保持機構6は、
図1に示すように、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから移載テーブル5に搬送するために複数の製品Pを保持するものである。この第2保持機構6は、
図8に示すように、複数の製品Pを吸着保持するための複数の吸着部611が設けられた吸着ヘッド61と、当該吸着ヘッド61の吸着部611に接続された真空ポンプ(不図示)とを有している。そして、吸着ヘッド61が、後述する搬送用移動機構7などにより所望の位置に移動されることにより、複数の製品Pを切断用テーブル2A、2Bから保持テーブル141又は移載テーブル5に搬送する。
【0038】
<搬送用移動機構>
搬送用移動機構7は、
図1に示すように、第1保持機構3を少なくとも基板供給機構11と切断用テーブル2A、2Bとの間で移動させるとともに、第2保持機構6を少なくとも切断用テーブル2A、2Bと保持テーブル141との間で移動させるものである。
【0039】
そして、搬送用移動機構7は、
図1に示すように、2つの切断用テーブル2A、2B及び移載テーブル5の配列方向(X方向)に沿って一直線に延び、第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるための共通のトランスファ軸71を有する。
【0040】
このトランスファ軸71は、第1保持機構3が基板供給機構11の基板供給部112の上方に移動できるとともに、第2保持機構6が移載テーブル5の上方に移動できる範囲で設けられている(
図1参照)。また、このトランスファ軸71に対して、第1保持機構3、第2保持機構6、切断用テーブル2A、2B及び移載テーブル5は、平面視において同じ側(手前側)に設けられている。その他、検査部13、反転機構14、各種トレイ21、トレイ搬送機構22、トレイ収容部23、後述する第1クリーニング機構18及び第2クリーニング機構19、回収容器172も、トランスファ軸71に対して同じ側(手前側)に設けられている。
【0041】
さらに搬送用移動機構7は、
図5、
図6及び
図8に示すように、トランスファ軸71に沿ってX方向に第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるメイン移動機構72と、トランスファ軸71に対して第1保持機構3及び第2保持機構6をZ方向に昇降移動させる昇降移動機構73と、トランスファ軸71に対して第1保持機構3及び第2保持機構6をY方向に水平移動させる水平移動機構74とを有している。
【0042】
メイン移動機構72は、
図5~
図8に示すように、トランスファ軸71に設けられ、第1保持機構3及び第2保持機構6をガイドする共通のガイドレール721と、当該ガイドレール721に沿って第1保持機構3及び第2保持機構6を移動させるラックアンドピニオン機構722とを有している。
【0043】
ガイドレール721は、トランスファ軸71に沿ってX方向に一直線に延びており、トランスファ軸71と同様に、第1保持機構3が基板供給機構11の基板供給部112の上方に移動できるとともに、第2保持機構6が移載テーブル5の上方に移動できる範囲で設けられている。このガイドレール721には、昇降移動機構73及び水平移動機構74を介して第1保持機構3及び第2保持機構6が設けられるスライド部材723がスライド可能に設けられている。ここで、ガイドレール721は第1保持機構3及び第2保持機構6に共通するが、昇降移動機構73、水平移動機構74及びスライド部材723は、第1保持機構3及び第2保持機構6のそれぞれに対して個別に設けられている。
【0044】
ラックアンドピニオン機構722は、第1保持機構3及び第2保持機構6に共通のカムラック722aと、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに設けられ、アクチュエータ(不図示)により回転するピニオンギア722bとを有している。カムラック722aは、共通のトランスファ軸71に設けられており、複数のカムラック要素を連結することにより、種々の長さに変更することができるものである。また、ピニオンギア722bは、スライド部材723に設けられ、いわゆるローラピニオンと呼ばれるものであり、
図7に示すように、モータの回転軸とともに回転する一対のローラ本体722b1と、当該一対のローラ本体722b1の間において周方向に等間隔に設けられ、ローラ本体722b1に対して転動可能に設けられた複数のローラピン722b2とを有するものである。本実施形態のラックアンドピニオン機構722は、上記のローラピニオンを用いているので、カムラック722aに対して2つ以上のローラピン722b2が接触することになり、正逆方向にバックラッシが発生せず、第1保持機構3及び第2保持機構6をX方向に移動させる際に位置決め精度が良くなる。
【0045】
昇降移動機構73は、
図5及び
図8に示すように、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに対応して設けられている。第1保持機構3の昇降移動機構73は、
図5及び
図6に示すように、トランスファ軸71(具体的にはメイン移動機構72)と第1保持機構3との間に介在して設けられており、Z方向に沿って設けられたZ方向ガイドレール73aと、当該Z方向ガイドレール73aに沿って第1保持機構3を移動させるアクチュエータ部73bとを有している。なお、アクチュエータ部73bは、例えばボールねじ機構を用いたものであっても良いし、エアシリンダを用いたものであっても良いし、リニアモータを用いたものであっても良い。なお、第2保持機構6の昇降移動機構73の構成は、
図8に示すように、第1保持機構3の昇降移動機構73と同様である。
【0046】
水平移動機構74は、
図5、
図6及び
図8に示すように、第1保持機構3及び第2保持機構6それぞれに対応して設けられている。第1保持機構3の水平移動機構74は、
図5及び
図6に示すように、トランスファ軸71(具体的には昇降移動機構73)と第1保持機構3との間に介在して設けられており、Y方向に沿って設けられたY方向ガイドレール74aと、第1保持機構3に対してY方向ガイドレール74aの一方側に力を付与する弾性体74bと、第1保持機構3をY方向ガイドレール74aの他方側に移動させるカム機構74cとを有する。ここで、カム機構74cは、偏心カムを用いたものであり、当該偏心カムをモータ等のアクチュエータで回転させることにより、第1保持機構3のY方向への移動量を調整することができる。
【0047】
なお、第2保持機構6の水平移動機構74の構成は、
図8に示すように、第1保持機構3の昇降移動機構73と同様である。また、第2保持機構6には水平移動機構74を設けない構成としても良いし、第1保持機構3及び第2保持機構6の両方に水平移動機構74を設けない構成としても良い。さらに、水平移動機構74は、昇降移動機構73と同様に、カム機構74cを用いることなく、例えばボールねじ機構を用いたものであっても良いし、エアシリンダを用いたものであっても良いし、リニアモータを用いたものであっても良い。
【0048】
<切断用移動機構(加工用移動機構)>
切断用移動機構8は、2つのスピンドル部42A、42Bそれぞれを、X方向、Y方向及びZ方向それぞれに独立して直線移動させるものである。
【0049】
具体的に切断用移動機構8は、
図2、
図3、
図9及び
図10に示すように、スピンドル部42A、42BをX方向に直線移動させるX方向移動部81と、スピンドル部42A、42BをY方向に直線移動させるY方向移動部82と、スピンドル部42A、42BをZ方向に直線移動させるZ方向移動部83とを備えている。
【0050】
X方向移動部81は、2つの切断用テーブル2A、2Bで共通のものであり、特に
図2及び
図3に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bを挟んでX方向に沿って設けられた一対のX方向ガイドレール(第1ガイドレール)811と、当該一対のX方向ガイドレール811に沿って移動するとともに、Y方向移動部82及びZ方向移動部83を介してスピンドル部42A、42Bを支持する支持体812とを有している。一対のX方向ガイドレール811は、X方向に沿って設けられた2つの切断用テーブル2A、2Bの側方に設けられている。また、支持体812は、例えば門型のものであり、Y方向に延びる形状を有している。具体的に支持体812は、一対のX方向ガイドレール811から上方に延びる一対の脚部と、当該一対の脚部に架け渡される梁部(ビーム部)とを有し、当該梁部がY方向に延びている。
【0051】
そして、支持体812は、例えば、X方向に延びるボールねじ機構813により、一対のX方向ガイドレール811上をX方向に沿って直線的に往復移動する。このボールねじ機構813はサーボモータ等の駆動源(不図示)により駆動される。その他、支持体812は、リニアモータ等の他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0052】
Y方向移動部82は、特に
図3に示すように、支持体812においてY方向に沿って設けられたY方向ガイドレール821と、当該Y方向ガイドレール821に沿って移動するY方向スライダ822とを有している。Y方向スライダ822は、例えばリニアモータ823により駆動されるものであり、Y方向ガイドレール821上を直線的に往復移動する。本実施形態では、2つのスピンドル部42A、42Bに対応して2つのY方向スライダ822が設けられている。これにより、2つのスピンドル部42A、42Bは互いに独立してY方向に移動可能とされている。その他、Y方向スライダ822は、ボールねじ機構を用いた他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0053】
Z方向移動部83は、
図2~
図4に示すように、各Y方向スライダ822においてZ方向に沿って設けられたZ方向ガイドレール831と、当該Z方向ガイドレール831に沿って移動するとともにスピンドル部42A、42Bを支持するZ方向スライダ832とを有している。つまり、Z方向移動部83は、各スピンドル部42A、42Bに対応して設けられている。Z方向スライダ832は、例えば、偏心カム機構(不図示)により駆動されるものであり、Z方向ガイドレール831上を直線的に往復移動する。その他、Z方向スライダ832は、ボールねじ機構等の他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0054】
この切断用移動機構8とトランスファ軸71との位置関係は、
図1及び
図4に示すように、トランスファ軸71が、切断用移動機構8の上方において切断用移動機構8を横切るように配置されている。具体的にトランスファ軸71は、支持体812の上方において当該支持体812を横切るように配置され、トランスファ軸71及び支持体812は平面視において互いに直交する位置関係となる。
【0055】
<加工屑収容部>
また、本実施形態の切断装置100は、
図1に示すように、封止済基板Wの切断により生じた端材などの加工屑Sを収容する加工屑収容部17をさらに備えている。
【0056】
この加工屑収容部17は、
図2~
図4に示すように、切断用テーブル2A、2Bの下方に設けられており、平面視において切断用テーブル2A、2Bを取り囲む上部開口171Xを有する案内シュータ171と、当該案内シュータ171によりガイドされた加工屑Sを回収する回収容器172とを有している。加工屑収容部17を切断用テーブル2A、2Bの下方に設けることによって、加工屑Sの回収率を向上することができる。
【0057】
案内シュータ171は、切断用テーブル2A、2Bから飛散又は落下した加工屑Sを回収容器172に導くものである。本実施形態は、案内シュータ171の上部開口171Xが切断用テーブル2A、2Bを取り囲むように構成されているので(
図3参照)、加工屑Sを取りこぼしにくくなり、加工屑Sの回収率を一層向上することができる。また、案内シュータ171は、切断用テーブル2A、2Bの下に設けられた回転機構9A、9Bを取り囲むように設けられており(
図4参照)、加工屑S及び切削水から回転機構9A、9Bを保護するように構成されている。
【0058】
本実施形態では、加工屑収容部17は2つの切断用テーブル2A、2Bに共通のものとされているが、切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられても良い。
【0059】
回収容器172は、案内シュータ171を自重により通過した加工屑Sを回収するものであり、本実施形態では、
図4等に示すように、2つの切断用テーブル2A、2Bそれぞれに対応して設けられている。そして、2つの回収容器172は、トランスファ軸71の手前側に配置されており、それぞれ独立して切断装置100の手前側から取り外すことができるように構成されている。この構成により、加工屑Sの廃棄等のメンテナンス性を向上することができる。なお、回収容器172は、封止済基板Wのサイズや、加工屑Sのサイズ及び量、作業性などを考慮して、全ての切断用テーブルの下全体に1つ設けて良いし、3つ以上で設けても良い。
【0060】
また、加工屑収容部17は、
図4等に示すように、切削水と加工屑とを分離する分離部173を有している。この分離部173の構成としては、例えば、回収容器172の底面に切削水を通過させる多孔板等のフィルタを設けることが考えられる。この分離部173により、回収容器172に切削水を溜めることなく、加工屑Sを回収することができる。
【0061】
<第1クリーニング機構>
また、本発明の切断装置100は、
図1及び
図5に示すように、切断用テーブル2A、2Bに保持された複数の製品Pの上面側(リード面)をクリーニングする第1クリーニング機構18をさらに備えている。この第1クリーニング機構18は、切断用テーブル2A、2Bに保持された複数の製品Pの上面に洗浄液及び/又は圧縮空気を噴射する噴射ノズル18a(
図5参照)によって、製品Pの上面側をクリーニングするものである。
【0062】
この第1クリーニング機構18は、
図5に示すように、第1保持機構3とともにトランスファ軸71に沿って移動可能に構成されている。ここでは、第1クリーニング機構18は、トランスファ軸71に設けられるガイドレール721をスライドするスライド部材723に設けられている。ここで、第1クリーニング機構18及びスライド部材723の間には、第1クリーニング機構18をZ方向に昇降移動するための昇降移動機構181が設けられている。この昇降移動機構181は、例えばラックアンドピニオン機構を用いたもの、ボールねじ機構を用いたもの、又はエアシリンダを用いたもの等が考えられる。
【0063】
<第2クリーニング機構>
さらに、本発明の切断装置100は、
図1に示すように、第2保持機構6に保持された複数の製品Pの下面側(パッケージ面)をクリーニングする第2クリーニング機構19をさらに備えている。この第2クリーニング機構19は、切断用テーブル2Bと検査部13との間に設けられており、第2保持機構6に保持された複数の製品Pの下面に洗浄液及び/又は圧縮空気を噴射することによって、製品Pの下面側をクリーニングする。つまり、第2保持機構6がトランスファ軸71に沿って移動される途中において、第2クリーニング機構19は製品Pの下面側をクリーニングする。
【0064】
<切断装置の動作の一例>
次に、切断装置100の動作の一例を説明する。
図9には、切断装置10の動作における第1保持機構3の移動経路、及び、第2保持機構6の移動経路を示している。なお、本実施形態においては、切断装置100の動作、例えば封止済基板Wの搬送、封止済基板Wの切断、製品Pの検査、後述するブレードの交換、ドレッシングなど、すべての動作や制御は制御部CTL(
図1参照)により行われる。
【0065】
基板供給機構11の基板供給部112は、第1保持機構3により保持される保持位置RPに向けて、基板収容部111に収容された封止済基板Wを移動させる。
【0066】
次に、搬送用移動機構7は第1保持機構3を保持位置RPに移動させ、第1保持機構3は封止済基板Wを吸着保持する。その後、搬送用移動機構7は、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2A、2Bに移動させて、第1保持機構3は吸着保持を解除して、封止済基板Wを切断用テーブル2A、2Bに載置する。このとき、メイン移動機構72により封止済基板WのX方向の位置を調整し、水平移動機構74により封止済基板WのY方向の位置を調整する。そして、切断用テーブル2A、2Bは、封止済基板Wを吸着保持する。
【0067】
ここで、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2Bに移動させる場合には、昇降移動機構73が第1保持機構3を切断用移動機構8(支持体812)に物理的に干渉しない位置まで上昇させる。なお、封止済基板Wを保持した第1保持機構3を切断用テーブル2Bに移動させる際に、支持体812を切断用テーブル2Bから移載テーブル5側に退避させる場合には、上記のように第1保持機構3を昇降させる必要はない。
【0068】
この状態で、切断用移動機構8が2つのスピンドル部42A、42BをX方向及びY方向に順次移動させるとともに、切断用テーブル2A、2Bが回転することによって、封止済基板Wを格子状に切断して個片化する。
【0069】
切断後に、搬送用移動機構7は第1クリーニング機構18を移動させて、切断用テーブル2A、2Bに保持されている複数の製品Pの上面側(リード面)をクリーニングする。このクリーニングの後、搬送用移動機構7は、第1保持機構3及び第1クリーニング機構18を予め定められた位置に退避させる。
【0070】
次に、搬送用移動機構7は第2保持機構6を切断後の切断用テーブル2A、2Bに移動させ、第2保持機構6は複数の製品Pを吸着保持する。その後、搬送用移動機構7は、複数の製品Pを保持した第2保持機構6を第2クリーニング機構19に移動させる。これにより、第2クリーニング機構19が、第2保持機構6に保持されている複数の製品Pの下面側(パッケージ面)をクリーニングする。
【0071】
クリーニングの後、第2保持機構6に保持された複数の製品Pは、検査部13及び反転機構14により、両面検査が行われる。その後、搬送用移動機構7は、第2保持機構6を移載テーブル5に移動させて、第2保持機構6は吸着保持を解除して、複数の製品Pを移載テーブル5に載置する。移載テーブル5に載置された複数の製品Pは、検査部13による検査結果(良品、不良品など)に応じて、仕分け機構20によって各種トレイ21に仕分けされる。
【0072】
なお、両面検査については、例えば、まず、第2保持機構6により吸着保持した状態で製品Pの一方の面を検査する。次に、第2保持機構6から反転機構14の保持テーブル141に製品Pを移載して、反転後の保持テーブル141により吸着保持した状態で製品Pの他方の面を検査することにより、両面検査を実行することができる。そして、この後の反転機構14から移載テーブル5への製品Pの搬送は、保持テーブル141から第2保持機構6に移載することにより行うことができる。また、保持テーブル141をX方向に移動可能な構成とし、保持テーブル141又は移載テーブル5の少なくとも一方をZ方向に移動可能な構成として、保持テーブル141を移載テーブル5の上方に移動させることにより、製品Pを移載テーブル5に搬送して移載することもできる。
【0073】
<基板供給機構の具体的構成>
以下に、基板供給機構11の詳細構成について説明する。
【0074】
基板供給機構11は、上述したように第1保持機構3に封止済基板Wを供給するものである。具体的に基板供給機構11は、
図1、
図10及び
図11に示すように、複数の封止済基板Wが外部から収容される基板収容部111と、当該基板収容部111に収容された封止済基板Wを第1保持機構3により吸着保持される保持位置RPに移動させる基板供給部112とを有している。
【0075】
基板収容部111には、
図10及び
図11に示すように、収容されている封止済基板Wの一部を基板収容部111の外側に押し出す押出機構114が設けられている。この押出機構114は、封止済基板Wの一端部を押す移動可能なプッシュ部材114aと、当該プッシュ部材114aを移動させるアクチュエータ部114bとを有している。アクチュエータ部114bとしては、モータを用いたもの、エアシリンダを用いたもの、又は、ソレノイドを用いたもの等を用いることができる。
【0076】
基板供給部112は、
図10及び
図11に示すように、基板収容部111から封止済基板Wを受け取る受取ステージ115と、基板収容部111から受取ステージ115に封止済基板Wを移動させる基板移動部116と、受取ステージ115を予め定められた搬送位置X2に移動させるステージ移動機構117とを備えている。
【0077】
本実施形態の受取ステージ115は、
図10に示すように、基板収容部111から封止済基板Wを受け取るだけでなく、封止済基板Wを基板収容部111に受け渡されるように構成されている。具体的に受取ステージ115は、基板収容部111から封止済基板Wを受け取る搬入用ステージ115Aと、基板収容部111に封止済基板Wを受け渡す搬出用ステージ115Bとを有している。搬入用ステージ115Aは吸着ステージであり、載置された封止済基板Wを吸着して保持することができる。また、本実施形態の搬出用ステージ115Bは、ハーフカットされた封止済基板Wを受け渡すものである。なお、ハーフカットとは、封止済基板Wの上面(リード面)の一部を切断することにより溝を形成する加工である。
【0078】
搬入用ステージ115Aに載置された封止済基板Wは、
図11及び
図12に示すように、上部から基板加熱部113により搬入用ステージ115Aの上面に押し付けられながら加熱される。このため、搬入用ステージ115Aには、基板加熱部113により加熱される際の衝撃を吸収するシート状のクッション材115xが設けられている。
【0079】
また、搬入用ステージ115Aには、
図12に示すように、封止済基板Wを位置決めする位置決め機構118が設けられている。この位置決め機構118は、搬入用ステージ115Aの一対の側壁115m、115nのうち一方の側壁115mが他方の側壁115nに対して移動可能としてあり、一対の側壁115m、115nの間隔を閉じることで封止済基板Wが他方の側壁115nに当たって他方の側壁115nの内面を基準として位置決めされる構成である。なお、本実施形態では、一方の側壁115mがアクチュエータ115jにより移動可能であり、他方の側壁115nがアクチュエータ115kにより移動可能としてある。基板加熱部113により封止済基板Wを加熱する際には、各アクチュエータ115j、115kにより各側壁115m、115nが干渉しないように退避する。
【0080】
基板移動部116は、
図11に示すように、封止済基板Wの端部を挟むクリップ部116aと、当該クリップ部116aをX方向に移動させるX方向移動部116bと、クリップ部116aをZ方向に移動させるZ方向移動部116cとを有している。
【0081】
上記の押出機構114及び基板移動部116を用いた基板収容部111から受取ステージ115(搬入用ステージ115A及び搬出用ステージ115B)への封止済基板Wの受け渡し手順は次の通りである。
基板収容部111に収容された封止済基板Wを押出機構114のプッシュ部材114aにより押して、封止済基板Wの一部を基板収容部111から搬入用ステージ115A側に出す。そして、封止済基板Wの基板収容部111から出た部分を基板移動部116のクリップ部116aで挟み、クリップ部116aをX方向移動部116bによりX方向に移動させて、封止済基板Wを基板収容部111から引き出して搬入用ステージ115Aに載置する。
【0082】
ステージ移動機構117は、
図10及び
図11に示すように、受取ステージ115(搬入用ステージ115A及び搬出用ステージ115B)を移動させるための一対の移動レール117aと、当該移動レール117aに沿って移動するとともに、受取ステージ115が設けられたスライド部材117bとを有している。スライド部材117bは、例えば、Y方向に延びるボールねじ機構117cにより、一対の移動レール117a上をY方向に沿って直線的に往復移動する。このボールねじ機構117cはサーボモータ等の駆動源(不図示)により駆動される。その他、スライド部材117bは、リニアモータ等の他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0083】
移動レール117aはトランスファ軸71の下方に位置しており、移動レール117aと搬送用移動機構7のトランスファ軸71とは、平面視において互いに直交している。本実施形態では、トランスファ軸71はX方向に延びており、移動レール117aはY方向に延びている。なお、「平面視において互いに直交している」とは、トランスファ軸71と移動レール117aとが垂直(90°)に交差することのほか、実質的に直交することも含む。実質的に直交するとは、垂直から若干の誤差で交差する状態であり、例えば85°以上95°以下で交差している状態である。
【0084】
また、移動レール117aがトランスファ軸71に直交していることから、移動レール117aは、切断用移動機構8の支持体812を移動させるX方向ガイドレール811と直交することになる。別の言い方をすれば、移動レール117aは、切断用移動機構8の支持体812と平面視において平行である。
【0085】
ここで、トランスファ軸71と移動レール117aの周辺構造について触れておくと、基板収容部111及び第1保持機構3はトランスファ軸71に対して互いに反対側に設けられている。具体的には、基板収容部111はトランスファ軸71よりもY方向において奥側に設けられており、第1保持機構3はトランスファ軸71よりもY方向において手前側に設けられている。
【0086】
そして、ステージ移動機構117は、
図13に示すように、搬入用ステージ115Aを、基板収容部111から封止済基板Wを受け取る受取位置X1と、第1保持機構3により封止済基板Wが保持される搬送位置X2との間で直線的に移動させるものである。受取位置X1はトランスファ軸71よりもY軸方向において奥側に位置し、搬送位置X2はトランスファ軸71よりもY軸方向において手前側に位置することになる。また、搬送位置X2にある受取ステージ115(搬入用ステージ115A)上の封止済基板Wは保持位置RPに位置することになる。
【0087】
また、ステージ移動機構117は、搬入用ステージ115Aを、載置された封止済基板Wを基板加熱部113により加熱するための加熱位置X3に移動させる(
図13参照)。本実施形態の加熱位置X3は、受取位置X1よりもY方向において奥側に設定されている。この加熱位置X3において、基板加熱部113が搬入用ステージ115Aに載置された封止済基板Wの上面に接触して封止済基板Wを加熱する。
【0088】
さらに、ステージ移動機構117は、
図14に示すように、搬出用ステージ115Bを搬送位置X2に移動させる。この位置において、搬出用ステージ115Bには、ハーフカットされた封止済基板Wが第1保持機構3によって搬送される。また、ステージ移動機構117は、搬出用ステージ115Bを受取位置X1に移動させる。この位置において、基板移動部116によって搬出用ステージ115Bから基板収容部111に封止済基板Wが収容される。なお、ハーフカットされた封止済基板Wを受取位置X1において収容しているが、封止済基板Wを収容する収容位置を別途設定しておき、その収容位置において封止済基板Wを基板収容部111に収容しても良い。
【0089】
<ブレード交換機構>
本実施形態の切断装置100は、
図10及び
図15に示すように、ブレード41A、41Bを自動的に交換するブレード交換機構24を有している。具体的にブレード交換機構24は、本実施形態では2つのスピンドル部42A、42Bそれぞれからブレード41A、41Bを交換できるものである。そして、ブレード交換機構24は、取り外したブレード41A、41Bを保持したまま、ブレード収容部25にブレード41A、41Bを収容し、新しいブレード41A、41Bを保持して、スピンドル部42A、42Bに搬送して取り付けるものである。なお、ブレード交換機構24は、加工具交換機構に相当する。
【0090】
ここで、切断機構4の構成を説明しておくと、
図16に示すように、ブレード41A、41Bと、当該ブレード41A、41Bを回転させるスピンドル部42A、42Bと、ブレード41A、41Bをスピンドル部42A、42Bに脱着可能に固定する一対のフランジ43、44とを有している。一対のフランジ43、44は、スピンドル部42A、42Bに固定されてスピンドル部42A、42Bに近い方の内フランジ43と、スピンドル部42A、42Bに対して脱着可能に構成されてスピンドル部42A、42Bから遠い方の外フランジ44とから構成されている。外フランジ44は、内フランジ43の中心軸部に装着された状態で、例えばナット等の脱着部材45により固定される。この脱着部材45によりスピンドル部42A、42Bに対してブレード41A、41Bが脱着可能となる。
【0091】
そして、ブレード交換機構24は、
図10及び
図15に示すように、ブレード41A、41B及び外フランジ44を吸着して保持する吸着アーム241と、吸着アーム241を切断機構4に対して相対的に移動させるアーム移動機構242とを備えている。なお、アーム移動機構は、保持部移動機構に相当する。
【0092】
吸着アーム241は、
図17に示すように、ブレード41A、41Bの一方の面(外フランジ44側の面)を吸着して保持する第1吸着部(加工具保持部)241aと、第1吸着部241aの内側に位置しており、外フランジ44の外側の面(内フランジ43とは反対側の面)を吸着して保持する第2吸着部241bとを備えている。さらに、吸着アーム241は、第2吸着部241bの内側に位置しており、スピンドル部42A、42Bの脱着部材45(ここではナット)に係合して脱着部材45を脱着させる脱着部材回転部241
cを備えている。なお、第1吸着部241a及び第2吸着部241bは、吸着アーム241の外部に設けられた吸引ポンプ(不図示)に接続されている。また、脱着部材回転部241cは、脱着部材45を回転させる例えばモータなどの回転機構(不図示)を用いて構成されている。
【0093】
図16及び
図17では、第2吸着部241bにより吸着される外フランジ44の外側の吸着面44aがテーパ形状をなすものであったが、
図18に示す構成であってもよい。
図18に示す外フランジ44は、第2吸着部241bにより吸着される外側の吸着面44aが、スピンドル部42A、42Bの回転軸に直交するフラットな平面である。なお、第2吸着部241bの構成は、このフラットは平面に対応した形状とされており、
図17のものとは異なっている。この構成であれば、吸着アーム241の第2吸着部241bにより外フランジ44を安定して吸着保持することができ、アーム移動機構242による吸着アーム241の移動時に外フランジ44が落下するおそれを低減できる。
【0094】
アーム移動機構242は、
図15に示すように、吸着アーム241をY方向に移動させるY方向移動機構242aと、吸着アーム241をX方向に移動させるX方向移動機構242bとを備えている。なお、アーム移動機構242は、吸着アーム241をZ方向に移動させる機構を有していてもよい。
【0095】
Y方向移動機構242aは、上述したステージ移動機構117の移動レール117aを用いて構成されており、当該移動レール117aに沿ってスライド移動するY方向スライダ242a1を有している。Y方向スライダ242a1は、例えばリニアモータにより駆動されるものであり、移動レール117a上を直線的に往復移動する。なお、Y方向スライダ242a1は、ボールねじ機構を用いた他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0096】
X方向移動機構242bは、Y方向スライダ242a1においてX方向に沿って設けられたX方向ガイドレール242b2と、当該X方向ガイドレール242b2に沿って移動するX方向スライダ242b1とを有している。X方向スライダ242b1は、例えばリニアモータにより駆動されるものであり、X方向ガイドレール242b2上を直線的に往復移動する。なお、X方向スライダ242b1は、ボールねじ機構を用いた他の直動機構により往復移動するように構成しても良い。
【0097】
このようにブレード交換機構24を構成することにより、ブレード交換機構24の移動方向(移動レール117aに沿った方向)と、加工用移動機構8における支持体812の移動方向(X方向ガイドレール811に沿った方向)とが平面視において互いに直交する。つまり、ブレード交換機構24の吸着アーム241は、支持体812の長手方向に沿って移動する。なお、「平面視において互いに直交している」とは、移動レール117aとX方向ガイドレール811とが垂直(90°)に交差することのほか、実質的に直交することも含む。実質的に直交するとは、垂直から若干の誤差で交差する状態であり、例えば85°以上95°以下で交差している状態である。
【0098】
また、ブレード41A、41Bを交換する際には、
図19に示すように、加工用移動機構
8が切断機構4を予め定められた交換位置に移動させる。具体的には、X方向移動部81が支持体812を移動レール117a側(ブレード交換機構24側)に移動させるとともに、Y方向移動部82(
図2参照)が切断機構4を支持体812に沿って移動させることによって、切断機構4を予め定められた交換位置に移動させる。
【0099】
そして、ブレード交換機構24が予め定められた交換位置にある切断機構4のブレード41A、41Bを交換する。具体的には、アーム移動機構242が吸着アーム241を移動レール117aに沿って移動させて、交換位置にある切断機構4のブレード41A、41Bを取り外す。また、アーム移動機構242が吸着アーム241を移動レール117aに沿って移動させて、ブレード交換機構24は取り外したブレード41A、41Bをブレード収容部25に収容し、新しいブレード41A、41Bをブレード収容部25から取り出して、交換位置にある切断機構4に取り付ける。2つの切断機構4のブレード41A、41Bを交換する場合には、図示しない回転機構により吸着アーム241を180度回転させて、同様の動作を行う。
【0100】
なお、ブレード交換機構24が移動レール117aに沿って移動する際には、受取ステージ115が設けられたスライド部材117bは、ブレード交換機構24の移動を邪魔しない位置に退避している(
図19参照)。逆に、受取ステージ115が設けられたスライド部材117bが移動レール117aに沿って移動する際には、ブレード交換機構24は、スライド部材117bの移動を邪魔しない位置に退避している(
図13及び
図14参照)。
【0101】
図10に示すように、本実施形態の切断装置100は、ブレード41A、41Bをドレッシングするためのドレス部材DPを収容するドレス部材収容部26と、ドレス部材DPが載置されてブレード41A、41Bがドレッシングされるドレス用テーブル27とを有している。
【0102】
ドレス部材収容部26は、新しいドレス部材DP及び古いドレス部材DPをそれぞれ収容するものである。本実施形態のドレス部材収容部26は、移動レール117a上に設けられており、具体的には、移動レール117aを移動するY方向スライダ242a1上に設けられている。
【0103】
本実施形態のドレス用テーブル27は、X方向において2つの切断用テーブル2A、2Bの間に設けられている。このドレス用テーブル27には、第1保持機構3及び搬送用移動機構7によりドレス部材DPが搬送される。そして、ドレス用テーブル27は、搬送されたドレス部材DPを吸着して保持する。なお、第1保持機構3には、ドレス部材DPを吸着して保持するためのドレス部材吸着部(ドレス部材保持部)32(
図6及び
図10参照)が設けられている。ドレス用テーブル27にドレス部材DPが保持された状態において、切断用移動機構8が切断機構4をドレス用テーブル27に移動して、切断機構4のブレード41A、41Bがドレッシングされる。ドレッシング後は、第1保持機構3及び搬送用移動機構7によりドレス部材DPがドレス用テーブル27からドレス部材収容部26に搬送される。
【0104】
次に、封止済基板Wをフルカット(個片化)する場合と、ハーフカット(溝加工)する場合について
図20を参照して説明する。なお、フルカットとは、封止済基板Wを切断することにより個片化する加工である。
【0105】
(1)フルカット(個片化)する場合(
図20(a)参照)
基板収容部111にある封止済基板を、押出機構114及び基板移動部116を用いて、受取ステージ115の搬入用ステージ115Aに受け渡す。
【0106】
搬入用ステージ115Aをステージ移動機構117により搬送位置に移動させて、第1保持機構3により封止済基板Wを保持し、切断用テーブル2A、2Bに搬送する(搬入工程)。
【0107】
そして、切断用テーブル2A、2Bで封止済基板Wをフルカット(切断)して個片化する(フルカット工程)。
【0108】
第2保持機構6により製品Pを保持して、反転機構14の保持ステージ141又は移載テーブル5に搬送する(搬出工程)。その後の動作は上述した<切断装置の動作の一例>のとおりである。
【0109】
(2)ハーフカット(溝加工)する場合(
図20(b)参照)
基板収容部111にあるハーフカット予定の封止済基板Wを、押出機構114及び基板移動部116を用いて、受取ステージ115の搬入用ステージ115Aに受け渡す。
【0110】
搬入用ステージ115Aを搬送位置X2に移動させて、第1保持機構3により封止済基板Wを保持し、切断用テーブル2A、2Bに搬送する(搬入工程)。
【0111】
そして、切断用テーブル2A、2Bで封止済基板Wをハーフカット(溝加工)する(ハーフカット工程)。
【0112】
第1保持機構3によりハーフカットされた封止済基板Wを保持し、搬送位置X2にある搬出用ステージ115Bに搬送する(搬出工程)。
【0113】
ハーフカットされた封止済基板Wが受け渡された搬出用ステージ115Bは、ステージ移動機構117により収容位置(受取位置X1)に移動される。そして、基板移動部116がハーフカットされた封止済基板Wを基板収容部111に収容する(収容工程)。
【0114】
<本実施形態の効果>
本実施形態の切断装置100によれば、切断用移動機構8により切断機構4を水平面において互いに直交する第1方向(X方向)及び第2方向(Y方向)それぞれに移動させるので、切断用テーブル2A、2BをX方向及びY方向に移動させることなく、封止済基板Wを加工することができる。このため、切断用テーブル2A、2Bを移動させる移動機構を不要にすることができ、装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することができる。
【0115】
また、切断機構4をY方向に移動可能に支持する支持体812の移動方向(X方向)と、吸着アーム241(第1吸着部241a)を移動させるアーム移動機構242の移動方向(Y方向)とが互いに直交するので、支持体812をX方向に移動させて切断機構4をブレード交換機構24に近づけるとともに、アーム移動機構242が吸着アーム241(第1吸着部241a)をY方向に移動させて、切断機構4のブレード41A、41Bを交換することができる。このように本実施形態では、切断機構4を移動させる切断用移動機構8とブレード交換機構24のアーム移動機構242とを最適な配置にすることができ、切断装置100のフットプリントを低減することができる。
【0116】
また、トランスファ軸71の延伸方向(X方向)とアーム移動機構242の移動方向(Y方向)とが平面視において互いに直交し、トランスファ軸の延伸方向と支持体の移動方向とが平面視において互いに平行であることから、切断用移動機構8、ブレード交換機構24及びトランスファ軸71を最適に配置できるようになり、装置構成を簡素化するとともに、フットプリントを低減することができる。
【0117】
本実施形態では、第1保持機構3がドレス部材DPを保持するので、別途ドレス部材保持機構を設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。また、ドレス用テーブル27をX方向において切断用テーブル2A、2Bの間に設けているので、切断装置100のフットプリントを低減することができる。
【0118】
さらに、本実施形態では、移動レール117aにより受取ステージ115をY方向に移動させて予め定められた搬送位置X2に移動させる構成とすることにより、切断装置100のフットプリントを低減することができる。具体的には、移動レール117aにより受取ステージ115をY方向に移動させるので、第1保持機構3を移動させるトランスファ軸71が平面視において互いに直交することになり、切断装置100のフットプリントを低減することができる。ここで、移動レール117aを用いてアーム移動機構242を構成しているので、装置構成を簡素化するとともに、切断装置100のフットプリントを低減することができる。また、移動レール117aに沿ってドレス部材収容部26を移動可能に構成しているので、装置構成を簡素化するとともに、切断装置100のフットプリントを低減することができる。
【0119】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0120】
例えば、前記実施形態では、ブレード交換機構24はステージ移動機構117の移動レール117aにより移動可能としていが、別のレールに沿って移動可能に構成してもよい。
【0121】
前記実施形態の切断装置100は、フルカット動作及びハーフカット動作の両方を行うものであったが、フルカット動作のみを行うものであってもよい。この場合、受取ステージ115は、搬入用ステージ115Aのみであれば良い。また、ハーフカット動作のみを行うものであってもよい。この場合、第2保持機構6などといった製品Pを搬出するための構成は不要である。
【0122】
前記実施形態では、ツインカットテーブル方式であって、ツインスピンドル構成の切断装置を説明したが、これに限らず、シングルカットテーブル方式であって、シングルスピンドル構成の切断装置や、シングルカットテーブル方式であって、ツインスピンドル構成の切断装置などであってもよい。
【0123】
また、前記実施形態の移載テーブル5は、各種トレイ21に仕分ける前に一時的に載置されるインデックステーブルであったが、移載テーブル5を反転機構14の保持テーブル141としても良い。
【0124】
さらに、前記実施形態では、移載テーブル5からトレイ21に仕分ける構成であったが、枠状部材の内側に配置された粘着テープに製品Pを搬送して貼り付ける構成であっても良い。
【0125】
また、トランスファ軸71を構成するカムラック要素は複数を連結して構成することができるので、例えば、切断装置(加工装置)100を、第2クリーニング機構19と検査部13との間で分離及び連結可能(着脱可能)なモジュール構成とすることができる。この場合、例えば、第2クリーニング機構19側のモジュールと、検査部13側のモジュールとの間に、検査部13での検査とは異なる種類の検査を行うモジュールを追加することができる。なお、ここに例示した構成以外にも、切断装置(加工装置)100をどこで分離及び連結可能(着脱可能)なモジュール構成としてもよく、追加するモジュールを検査以外の様々な機能のモジュールとしてもよい。
【0126】
また、本発明の加工装置は、切断以外の加工を行うものであってもよく、例えば切削や研削などのその他の機械加工を行うものであってもよい。
【0127】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0128】
100・・・切断装置(加工装置)
W・・・封止済基板(加工対象物)
P・・・製品(加工品)
2A、2B・・・切断用テーブル(加工テーブル)
3・・・第1保持機構
4・・・切断機構(加工機構)
6・・・第2保持機構
7・・・搬送用移動機構
71・・・トランスファ軸
8・・・切断用移動機構(加工用移動機構)
811・・・X方向ガイドレール(第1ガイドレール)
812・・・支持体
115・・・受取ステージ
117a・・・移動レール
117・・・ステージ移動機構
24・・・ブレード交換機構(加工具交換機構)
241a・・・第1吸着部(加工具保持部)
242・・・アーム移動機構(保持部移動機構)
DP・・・ドレス部材
32・・・ドレス部材保持部
26・・・ドレス部材収容部
27・・・ドレス用テーブル