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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240903BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E02F9/16 E
B62D25/08 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021053069
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150457
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 篤人
(72)【発明者】
【氏名】中谷 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】角野 哲也
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-007962(JP,U)
【文献】特開2016-098533(JP,A)
【文献】特開2011-084876(JP,A)
【文献】米国特許第04260320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00 - 9/28
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブと、前記キャブの前面を外側から覆うキャブガードとを備える作業機械において、
前記キャブガードは、枠体と、前記枠体の内側で第1方向に延びる複数の第1桟と、前記枠体の内側で前記第1方向に直交する第2方向に延び、少なくとも一部が前記枠体に対して着脱可能な複数の第2桟と、前記複数の第2桟のうち前記枠体から取り外された第2桟を前記キャブに対して前記第1桟と重なる位置に保持する保持具とを備え
前記保持具は、前記第1桟と重なる位置において、前記第2桟を前記第1桟と平行に保持するように前記枠体に設けられた貫通穴と、前記貫通穴に前記第2桟を挿通した状態で前記第2桟を前記枠体に固定する固定部とで構成されることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項に記載の作業機械において、
前記枠体には、前記貫通穴に挿入された前記第2桟の先端側を保持する凹部が形成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項に記載の作業機械において、
前記枠体に対して着脱可能な前記第2桟は、前記貫通穴に挿入された状態で前記枠体の外面に当接して、前記枠体に固定されるブラケットを有することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記キャブから前記キャブガードを平面視して、
前記第1方向は、上下方向であり、
前記第2方向は、左右方向であることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブガードを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャブ内のオペレータを保護するために、キャブのフロンガラスを外面側から覆う前面ガード装置を備える作業機械が知られている。このような前面ガード装置は、枠体と、枠体の内側で縦方向に延びる複数の縦桟と、枠体の内側で横方向に延びる横桟とで構成される。
【0003】
また、特許文献1には、縦桟の着脱によって桟の密度を切替可能な前面ガード装置が記載されている。前面ガード装置に縦桟を装着して桟の密度を高めれば、前面ガード装置の保護性能が向上すると共に、前面ガード装置の強度が向上する。一方、前面ガード装置から縦桟を取り外して桟の密度を下げれば、前面ガード装置の保護性能は下がるものの、キャブに搭乗したオペレータの視界が向上して作業効率が高まる。そして、作業者は、作業機械の作業現場の状況に応じて、桟の密度を設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平4-7962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の前面ガード装置では、取り外した縦桟の保管場所がない。そのため、作業現場に行く前に縦桟を着脱して、取り外した縦桟を駐機場などで保管しておく必要がある。その結果、作業現場で縦桟を着脱して、作業現場の現場状況に合わせた桟の密度の切り替えが難しいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業現場の作業状況に合わせた桟の密度の切り替えが容易なキャブガードを備えた作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、キャブと、前記キャブの前面を外側から覆うキャブガードとを備える作業機械において、前記キャブガードは、枠体と、前記枠体の内側で第1方向に延びる複数の第1桟と、前記枠体の内側で前記第1方向に直交する第2方向に延び、少なくとも一部が前記枠体に対して着脱可能な複数の第2桟と、前記複数の第2桟のうち前記枠体から取り外された第2桟を前記キャブに対して前記第1桟と重なる位置に保持する保持具とを備え、前記保持具は、前記第1桟と重なる位置において、前記第2桟を前記第1桟と平行に保持するように前記枠体に設けられた貫通穴と、前記貫通穴に前記第2桟を挿通した状態で前記第2桟を前記枠体に固定する固定部とで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業現場の作業状況に合わせた桟の密度の切り替えが容易なキャブガードを備えた作業機械を得ることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の側面図である。
図2】第1実施形態に係るキャブガードの分解斜視図である。
図3】桟の密度が最も高い状態のキャブガードの組立斜視図である。
図4】桟の密度が最も低い状態のキャブガードの組立斜視図である。
図5】第2実施形態に係るキャブガードの組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る作業機械1の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、作業機械の具体例としては、例えば、油圧ショベル、ホイールローダ、クレーン、ダンプトラック等が挙げられる。また、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、作業機械1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
図1は、作業機械1の側面図である。図1に示すように、作業機械1は、下部走行体2と、下部走行体2により支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、車体の一例である。
【0012】
下部走行体2は、無限軌道帯である左右一対のクローラ8を備える。そして、走行モータ(図示省略)の駆動により、左右一対のクローラ8が独立して回転する。その結果、作業機械1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラ8に代えて、装輪式であってもよい。
【0013】
上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)によって旋回可能に下部走行体2に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機4(作業装置)と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の後部に配置されたカウンタウェイト6とを主に備える。
【0014】
フロント作業機4は、上部旋回体3に起伏可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に回動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に回動可能に支持されたアタッチメント4cと、ブーム4aを駆動させるブームシリンダ4dと、アーム4bを駆動させるアームシリンダ4eと、アタッチメント4cを駆動させるアタッチメントシリンダ4fとを含む。
【0015】
なお、図1では、アタッチメント4cの一例として小割破砕機を図示しているが、アタッチメント4cの具体例は小割破砕機に限定されず、バケット、大割圧砕機、ブレーカー、グラップルなどでもよい。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、上面視円弧形状を成す重量物である。
【0016】
キャブ7には、作業機械1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。また、キャブ7の前面には、キャブ7に搭乗したオペレータが作業機械1の前方を視認するためのフロントガラス7aが設けられている。さらに、キャブ7の内部空間には、オペレータが着席するシートと、シートに着席したオペレータにより操作される操作装置とが配置されている。
【0017】
操作装置は、作業機械1を動作させるためのオペレータの操作を受け付ける。オペレータによって操作装置が操作されることによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。なお、操作装置の具体例としては、レバー、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、スイッチ等が挙げられる。
【0018】
さらに、キャブ7の前面には、キャブガード10が取り付けられている。キャブガード10は、フロントガラス7a(すなわち、キャブ7の前面)を外側から覆うようにキャブ7に固定されている。キャブガード10は、例えば、作業機械1の作業時に前方から飛散する破片がフロントガラス7aに当たって、フロントガラス7aが損傷するのを防止する役割を担う。
【0019】
図2は、第1実施形態に係るキャブガード10の分解斜視図である。図3は、桟の密度が最も高い状態のキャブガード10の組立斜視図である。図4は、桟の密度が最も低い状態のキャブガード10の組立斜視図である。図2図4に示すように、キャブガード10は、枠体11と、複数の縦桟16~20(第1桟)と、複数の横桟21、22a~22h(第2桟)とを主に備える。縦桟16~20及び横桟21、22a~22hの数は、図2図4の例に限定されない。また、縦桟16~20及び横桟21、22a~22hを総称して、「桟」と表記する。
【0020】
なお、本実施形態では、左辺14、右辺15、及び縦桟16~20の延設方向を「第1方向」と定義し、上辺12、下辺13、及び横桟21、22a~22hの延設方向を「第2方向」と定義する。
【0021】
また、キャブ7のフロントガラス7aは僅かに後傾(上端が下端より後方に位置)している。そして、左辺14、右辺15、及び縦桟16~20は、厳密にはフロントガラス7aの傾斜角度に沿って延設される。但し、キャブ7から左辺14、右辺15、及び縦桟16~20を平面視すると、これらの延設方向は上下方向になるので、図2図4では、単純化のために左辺14、右辺15、及び縦桟16~20の延設方向を「上下方向」とする。
【0022】
枠体11は、直方体の外形を呈する枠型の部材である。より詳細には、枠体11は、上辺12、下辺13、左辺14、及び右辺15で構成される。上辺12及び下辺13は、上下方向に離間した位置において、各々が左右方向に延設されている。左辺14及び右辺15は、左右方向に離間した位置において、各々が上下方向に延設されている。そして、上辺12の左端と左辺14の上端とが接続され、上辺12の右端と右辺15の上端とが接続され、下辺13の左端と左辺14の下端とが接続され、下辺13の右端と右辺15の下端とが接続されて、全体として長方形の枠型を構成している。
【0023】
上辺12、下辺13、左辺14、及び右辺15は、各々が所定の幅及び厚みを有する長尺板状の部材である。左辺14及び右辺15の長さは、上辺12及び下辺13の長さより長い。すなわち、枠体11は、上下方向の長さが左右方向の長さより長い長方形である。枠体11の形状は、フロントガラス7aの形状に合わせて適宜設定される。すなわち、枠体11の内側の大きさは、フロントガラス7aより僅かに大きく設定される。
【0024】
上辺12には、複数の貫通穴12a~12hと、複数のボルト穴28a~28hとが形成されている。貫通穴12a~12h及びボルト穴28a~28hの数は、枠体11に対して着脱可能な横桟22a~22hに一致する。なお、貫通穴12a~12h及びボルト穴28a~28hは、上辺12に代えて、下辺13に形成されていてもよい。
【0025】
貫通穴12a~12hは、上辺12を厚み方向(上下方向)に貫通している。貫通穴12a~12hは、キャブガード10を前後方向から平面視して、縦桟16~20に重なる位置に配置されている。より詳細には、キャブガード10を上下方向から平面視して、貫通穴12a~12eは縦桟16~20の前方に位置し、貫通穴12f~12hは縦桟18~20の後方に位置している。貫通穴12a~12hは、後述する丸棒23a~23hが挿入可能な大きさに設定されている。ボルト穴28a~28hは、対応する貫通穴12a~12hそれぞれに隣接して、上辺12の外面(上面)に形成されている。ボルト穴28a~28hには、後述するボルト26a~26hが螺合される。
【0026】
左辺14には、複数の貫通穴14a~14hと、複数のボルト穴27a~27hとが形成されている。貫通穴14a~14h及びボルト穴27a~27hの数は、枠体11に対して着脱可能な横桟22a~22hに一致する。なお、貫通穴14a~14h及びボルト穴27a~27hは、左辺14に代えて、右辺15に形成されていてもよい。
【0027】
貫通穴14a~14hは、左辺14を厚み方向(左右方向)に貫通している。貫通穴14a~14hは、左辺14の幅方向(前後方向)の中央において、上下方向に所定の間隔を隔てて形成されている。貫通穴14a~14hは、丸棒23a~23hが挿入可能な大きさに設定されている。ボルト穴27a~27hは、対応する貫通穴14a~14hそれぞれに隣接して、左辺14の外面(左面)に形成されている。ボルト穴27a~27hには、ボルト26a~26hが螺合される。
【0028】
右辺15には、複数の凹部15a~15hが形成されている。15a~15hの数は、枠体11に対して着脱可能な横桟22a~22hに一致する。凹部15a~15hは、右辺15の内面(左面)から右方に凹んでいる。凹部15a~15hは、右辺15の幅方向(前後方向)の中央において、上下方向に所定の間隔を隔てて形成されている。より詳細には、凹部15a~15hは、キャブガード10を左右方向から平面視して、左辺14に設けられた貫通穴14a~15hに重なる位置に形成されている。なお、凹部15a~15hは、右辺15に代えて、左辺14に形成されていてもよい。
【0029】
縦桟16~20は、枠体11の内部に配置されて、一端が上辺12の内面(下面)に接続され、他端が下辺13の内面(上面)に接続されている。そして、縦桟16~20は、左右方向に所定の間隔を隔てて、各々が上下方向に延設されている。縦桟16~20は、厚み(左右方向)<幅(前後方向)<長さ(上下方向)となる直方体形状の長尺板状の部材である。そして、縦桟16~20の最も寸法の小さい厚み方向は、作業機械1(フロントガラス7a)の左右方向に一致している。これにより、キャブ7に搭乗したオペレータの視界を確保しつつ、キャブガード10の保護性能及び強度を高めることができる。
【0030】
縦桟16~20それぞれには、複数の貫通穴16a~16h、17a~17h、18a~18h、19a~19h、20a~20hが形成されている。貫通穴16a~16hは、縦桟16を厚み方向に貫通している。貫通穴16a~16hは、縦桟16の幅方向の中央において、上下方向に所定の間隔を隔てて配置されている。貫通穴16a~16hの数は、枠体11に対して着脱可能な横桟22a~22hに一致する。貫通穴16a~16hは、丸棒23a~23hが挿入可能な大きさに設定されている。貫通穴17a~17h、18a~18h、19a~19h、20a~20hについても同様である。
【0031】
また、対応する貫通穴16a、17a、18a、19a、20aは、キャブガード10を左右方向から平面視して、左辺14に設けられた貫通穴14aと、右辺15に設けられた凹部15aとに重なる位置に形成されている。すなわち、対応する貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aには、1本の丸棒23aが挿入可能になっている。また、貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aに挿入された丸棒23aの先端は、対応する凹部15aによって保持される。他の貫通穴14b~14h、16b~16h、17b~17h、18b~18h、19b~19h、20b~20h、及び凹部15b~15hについても同様である。
【0032】
複数の横桟21、22a~22hは、枠体11の内部に配置されている。そして、複数の横桟21、22a~22hは、上下方向に所定の間隔を隔てて、各々が左右方向に延設されている。すなわち、縦桟16~20と、横桟21、22a~22hとは、互いに直交する方向に延設されている。
【0033】
横桟21は、キャブガード10の上下方向の中央部において、一端が左辺14の内面(右面)に接続され、他端が右辺15の内面(左面)に接続されている。横桟21は、枠体11に着脱不能に固定されている。すなわち、横桟21は、枠体11の一部とみなすことができる。横桟21は、厚み(上下方向)<幅(前後方向)<長さ(左右方向)となる直方体形状の長尺板状の部材である。そして、縦桟16~20の最も寸法の小さい厚み方向は、作業機械1(フロントガラス7a)の上下方向に一致している。これにより、キャブ7に搭乗したオペレータの視界を確保しつつ、キャブガード10の保護性能及び強度を高めることができる。
【0034】
なお、横桟21は複数に分割されていてもよい。そして、分割された横桟21それぞれは、左辺14及び縦桟16の間、縦桟16、17の間、縦桟17、18の間、縦桟18、19の間、縦桟19、20の間、及び縦桟20及び右辺15の間に配置されてもよい。他の例として、縦桟16~20は、上下方向に分割されていてもよい。そして、縦桟16の一方は上辺12及び横桟21の間に配置され、他方は下辺13及び横桟21の間に配置されていてもよい。さらに他の例として、縦桟16~20を貫通させる貫通穴が横桟21に形成されていてもよいし、横桟21を貫通させる貫通穴が縦桟16~20に形成されていてもよい。
【0035】
さらに、横桟21には、複数の凹部21a~21h(凹部21f~21hは図示省略)が形成されている。凹部21a~21hは、横桟21の上面から下方に向けて凹んでいる。なお、横桟21には、凹部21a~21hに代えて、横桟21を上下方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。凹部21a~21hは、キャブガード10を前後方向から平面視して、縦桟16~20に重なる位置に配置されている。より詳細には、キャブガード10を上下方向から平面視して、凹部21a~21eは縦桟16~20の前方に位置し、凹部21f~21hは縦桟18~20の後方に位置している。そして、凹部21a~21hは、丸棒23a~23h(棒状部材)が挿入可能な大きさに設定されている。
【0036】
また、凹部21aは、キャブガード10を上下方向から平面視して、上辺12に設けられた貫通穴12aに重なる位置に形成されている。すなわち、貫通穴12aに挿入された丸棒23aの先端は、凹部21aによって保持される。そのため、上辺12及び横桟21の上下方向の距離は、丸棒23aの長さに対応する。対応する貫通穴12b~12h及び凹部21b~21hについても同様である。
【0037】
横桟22aは、長尺棒状の丸棒23aと、板状のブラケット24aとで構成される。丸棒23aの長さは、左辺14及び右辺15の左右方向の距離に対応する。また、丸棒23aの直径は、縦桟20の厚み寸法以下であるのが望ましい。なお、棒状部材の横断面(延設方向に直交する断面)の形状は、真円に限定されず、楕円、多角形(三角形、矩形)などでもよい。ブラケット24aは、丸棒23aの基端に取り付けられている。換言すれば、丸棒23aは、ブラケット24aの表面からブラケット24aと直交する方向に延設されている。さらに、ブラケット24aには、厚み方向に貫通する貫通穴25aが設けられている。横桟22b~22hについても同様である。
【0038】
横桟22a~22hは、枠体11に対して着脱可能に構成されている。オペレータは、丸棒23aの先端(ブラケット24aが取り付けられた端部と反対側の端部)を、左辺14の外面側から貫通穴14aに挿入する。そして、貫通穴14aを通過した丸棒23aは、貫通穴16a、17a、18a、19a、20aをさらに通過して、先端が凹部15aに保持される。
【0039】
また、丸棒23aの先端が凹部15aに到達すると、ブラケット24aが左辺14の外面に当接する。このとき、ブラケット24aに形成された貫通穴25aと、左辺14に形成されたボルト穴27aとが連通する。そして、オペレータは、貫通穴25aに挿入したボルト26aをボルト穴27aに螺合する。その結果、図3に示すように、丸棒23aが左右方向に延設された状態で横桟22aが枠体11に固定される。横桟22b~22hについても同様である。これにより、キャブ7に搭乗したオペレータの視界が狭くなる代わりに、キャブガード10の保護性能及び強度が向上する。
【0040】
一方、オペレータは、貫通穴25a及びボルト穴27aからボルト26aを取り外し、貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aから丸棒23aを抜去する。これにより、図2に示すように、横桟22aが枠体11から取り外される。これにより、キャブガード10の保護性能及び強度が低下する代わりに、キャブ7に搭乗したオペレータの視界が広くなる。
【0041】
次に、オペレータは、丸棒23aの先端を、上辺12の外面側から貫通穴12aに挿入する。貫通穴12aを通過した丸棒23aの先端は、凹部21aに保持される。また、丸棒23aの先端が凹部21aに到達すると、ブラケット24aが上辺12の外面に当接する。このとき、ブラケット24aに形成された貫通穴25aと、上辺12に形成されたボルト穴28aとが連通する。そして、オペレータは、貫通穴25aに挿入したボルト26aをボルト穴28aに螺合する。
【0042】
その結果、図4に示すように、丸棒23aが上下方向に延設された状態で横桟22aが枠体11に固定される。このとき、横桟22a(丸棒23a)は、キャブ7から見て縦桟20と重なる位置において、縦桟20と平行に保持される。横桟22b~22hについても同様である。これにより、枠体11の内側で且つキャブ7に搭乗したオペレータの視界を遮らない位置において、横桟22a~22hを保持することができる。
【0043】
貫通穴12a~12hと、ブラケット24a~24hと、ボルト26a~26hと、ボルト穴28a~28hとは、枠体11から取り外された横桟22a~22hを、キャブ7に対して縦桟16~20に重なる位置に保持する保持具の例である。また、ブラケット24a~24hと、ボルト26a~26hと、ボルト穴28a~28hとは、貫通穴12a~12hに横桟22a~22hを挿通した状態で横桟22a~22hを枠体11に固定する固定部の例である。
【0044】
第1実施形態によれば、貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aから抜去した横桟22aを、貫通穴12aに挿入することによって、キャブ7から見て縦桟20のシルエットに重なる位置で横桟22aを保持することができる。横桟22b~22hについても同様である。これにより、キャブガード10の桟の密度を下げる場合に、枠体11の内側で且つキャブ7に搭乗したオペレータの視界を遮らない位置で横桟22aを保持することができる。その結果、作業現場の作業状況に合わせた桟の密度の切り替えが容易になる。
【0045】
また、第1実施形態によれば、貫通穴12aに挿入された丸棒23aの先端を、横桟21に設けられた凹部21aで保持することによって、貫通穴12aに保持された丸棒23aの先端が暴れるのを防止することができる。横桟22b~22hについても同様である。但し、横桟21は省略可能である。
【0046】
また、第1実施形態によれば、ブラケット24aをボルト26aによって枠体11の外面に固定することによって、枠体11に対して横桟22aを強固に固定することができる。但し、枠体11に対する横桟22aの固定方法は、前述の例に限定されない。他の例として、横桟22aは、枠体11に設けられたクリップ状の固定部に着脱可能に固定されてもよい。
【0047】
さらに、第1実施形態によれば、横桟22a~22hを枠体11に対して着脱可能とすることによって、左右方向の桟の密度を調整することができる。これにより、特に林業の現場などのように、上下方向に延びる物体(すなわち、樹木)が多い現場において、キャブ7に搭乗するオペレータの視界を確保することができる。
【0048】
但し、左右方向に延びる横桟22a~22hを枠体11に固定し、上下方向に延びる縦桟16~20を枠体11に対して着脱可能にしてもよい。すなわち、左右方向を「第1方向」とし、上下方向を「第2方向」としてもよい。
【0049】
[第2実施形態]
なお、キャブガード10は、縦桟16~20のシルエットに重ねて横桟22a~22hを保持することに限定されない。図5は、第2実施形態に係るキャブガード10Aの組立斜視図である。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0050】
まず、第2実施形態に係るキャブガード10Aは、横桟21より上方の横桟22a~22dが枠体11に対して着脱可能で、横桟21より下方の横桟22e~22hが枠体11に対して着脱不能に固定されている。そのため、第2実施形態では、横桟22e~22hからブラケット24e~24hが省略され、左辺14からボルト穴27e~27hが省略されている。
【0051】
また、第2実施形態に係るキャブガード10Aは、上辺から貫通穴12a~12h及びボルト穴28a~28hが省略され、横桟21から凹部21a~21hが省略されている。一方、第2実施形態に係るキャブガード10Aには、左辺14に貫通穴29a~29d及びボルト穴30a~30dが形成され、右辺15に凹部31a~31dが形成されている。
【0052】
貫通穴29a~29dは、左辺14を厚み方向に貫通している。貫通穴29a~29dは、貫通穴14e~14hに対して、上下方向の同じ位置で且つ前後方向にズレた位置に配置されている。貫通穴29a~29dは、丸棒23a~23dが挿入可能な大きさに設定されている。ボルト穴30a~30dは、対応する貫通穴29a~29dに隣接する位置において、左辺14の外面に形成されている。ボルト穴30a~30dには、ボルト26a~26hが螺合される。なお、貫通穴29a~29d及びボルト穴30a~30dは、左辺14に代えて、右辺15に形成されていてもよい。
【0053】
凹部31a~31hは、右辺15の内面(左面)から右方に向けて凹んでいる。凹部31a~31dは、凹部15e~15hに対して、上下方向の同じ位置で且つ前後方向にズレた位置に配置されている。また、凹部31a~31dは、キャブガード10を左右方向から平面視して、貫通穴29a~29dに重なる位置に形成されている。
【0054】
オペレータは、貫通穴25a及びボルト穴27aからボルト26aを取り外し、貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aから丸棒23aを抜去する。次に、オペレータは、丸棒23aの先端を、左辺14の外面側から貫通穴29aに挿入する。貫通穴29aを通過した丸棒23aの先端は、凹部31aに保持される。また、丸棒23aの先端が凹部31aに到達すると、ブラケット24aが左辺14の外面に当接する。このとき、ブラケット24aに形成された貫通穴25aと、左辺14に形成されたボルト穴30aとが連通する。そして、オペレータは、貫通穴25aに挿入したボルト26aをボルト穴30aに螺合する。
【0055】
その結果、丸棒23aが左右方向に延設された状態で横桟22aが枠体11に固定される。このとき、横桟22a(丸棒23a)は、キャブ7に搭乗したオペレータから見て横桟22e(丸棒23e)と重なる位置において、横桟22eと平行に保持される。横桟22b~22dについても同様である。
【0056】
貫通穴29a~29dと、ブラケット24a~24dと、ボルト26a~26dと、ボルト穴30a~30dとは、枠体11から取り外された横桟22a~22dを、キャブ7に対して横桟22e~22hに重なる位置に保持する保持具の例である。また、ブラケット24a~24dと、ボルト26a~26dと、ボルト穴30a~30dとは、貫通穴29a~29dに横桟22a~22dを挿通した状態で横桟22a~22dを枠体11に固定する固定部の例である。
【0057】
第2実施形態によれば、貫通穴14a、16a、17a、18a、19a、20aから抜去した横桟22aを、貫通穴29aに挿入することによって、キャブ7から見て横桟22eのシルエットに重なる位置で保持することができる。横桟22b~22hについても同様である。これにより、キャブガード10の桟の密度を下げる場合に、枠体11の内側で且つキャブ7に搭乗したオペレータの視界を遮らない位置で横桟22aを保持することができる。その結果、作業現場の作業状況に合わせた桟の密度の切り替えが容易になる。
【0058】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 作業機械
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c アタッチメント
4d ブームシリンダ
4e アームシリンダ
4f アタッチメントシリンダ
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
7a フロントガラス
10,10A キャブガード
11 枠体
12 上辺
12a~12h,14a~14h,16a~16h,17a~17h,18a~18h,19a~19h,20a~20h,25a~25h,29a~29d 貫通穴
13 下辺
14 左辺
15 右辺
15a~15h,21a~21h,31a~31d 凹部
16,17,18,19,20 縦桟
21,22a~22h 横桟
23a~23h 丸棒
24a~24h ブラケット
26a~26h ボルト
27a~27h,28a~28h,30a~30d ボルト穴
図1
図2
図3
図4
図5