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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】眼科用コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/125 20060101AFI20240903BHJP
   A61B 3/14 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61B3/125
A61B3/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021545277
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019056148
(87)【国際公開番号】W WO2020077345
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】62/745,284
(32)【優先日】2018-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/865,036
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/601,442
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521151326
【氏名又は名称】プレベンタ メディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャドル、ラミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チージー
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-546020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0041200(US,A1)
【文献】特開2002-000568(JP,A)
【文献】実開昭54-084894(JP,U)
【文献】実開昭50-057297(JP,U)
【文献】特開2004-065893(JP,A)
【文献】特開2002-238858(JP,A)
【文献】特開2001-159768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0347632(US,A1)
【文献】特開平05-023304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0267668(US,A1)
【文献】米国特許第04618229(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用コンタクトレンズであって、
第1の側の湾曲面と、
前記第1の側の反対の第2の側の平坦面と、
前記第1の側と前記第2の側との間の1つ又はそれ以上の面取りされた縁部であって、前記湾曲面に近いほど大きく、前記平坦面に近いほど小さい円周を有する、1つ又はそれ以上の面取りされた縁部と、
前記湾曲面と、前記平坦面に対して垂直に配向される前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部との間の真っすぐな縁部とを備え、
使用中に、眼撮像カメラと固定的に連結されない、眼科用コンタクトレンズ。
【請求項2】
ガラス、ポリマー、ポリ(メチル)メタクリレート、コーティング、シリコーン又はプラスティックの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項3】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部の前記平坦面に対する角度が0°~90°である、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部の前記平坦面に対する角度が約45°である、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項5】
前記平坦面が、前記レンズを通した視界を広げ、網膜をより大きな角度で捉えることを可能にするように、僅かに丸まっている、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項6】
コンタクトレンズ材料で作られる前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部のための前記平坦面に対する最大の実現可能角度θが、nが前記コンタクトレンズ材料の屈折率である、θ<180-2*逆正弦(1/n)によって決定される、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項7】
前記湾曲面と前記平坦面との間の厚さが0.25mm~2.75mmである、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項8】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部が、真っすぐ又は湾曲の1つである、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項9】
記湾曲面と前記平坦面との間の厚さが2.75mm~10mmである、請求項1に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項10】
眼科用コンタクトレンズであって、
第1の側の湾曲面と、
前記第1の側の反対の第2の側の平坦面と、
前記第1の側と前記第2の側との間の1つ又はそれ以上の面取りされた縁部であって、前記湾曲面に近いほど大きく、前記平坦面に近いほど小さい円周を有する、1つ又はそれ以上の面取りされた縁部と、
前記湾曲面と、前記平坦面に対して垂直に配向される前記眼科用コンタクトレンズの前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部との間の真っすぐな縁部とを本質的に備える、眼科用コンタクトレンズ。
【請求項11】
ガラス、ポリマー、ポリ(メチル)メタクリレート、コーティング、シリコーン又はプラスティックの少なくとも1つを備える、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項12】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部の前記平坦面に対する角度が0°~90°である、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部の前記平坦面に対する角度が約45°である、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項14】
前記平坦面が、前記レンズを通した視界を広げ、網膜をより大きな角度で捉えることを可能にするように、僅かに丸まっている、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項15】
コンタクトレンズ材料で作られる前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部のための前記平坦面に対する最大の実現可能角度が、nが前記コンタクトレンズ材料の屈折率である、θ<180-2*逆正弦(1/n)によって決定される、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項16】
前記湾曲面と前記平坦面との間の厚さが0.25mm~2.75mmである、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項17】
前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部が、真っすぐ又は湾曲の1つである、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項18】
記湾曲面と前記平坦面との間の厚さが2.75mm~10mmである、請求項10に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【請求項19】
眼科用コンタクトレンズであって、
第1の側の湾曲面と、
前記第1の側の反対の第2の側の平坦面と、
前記第1の側と前記第2の側との間の前記眼科用コンタクトレンズの材料の厚さを横切る1つ又はそれ以上の面取りされた縁部であって、前記平坦面に対する角度θを備える、1つ又はそれ以上の面取りされた縁部と、
前記湾曲面と、前記平坦面に対して垂直に配向される前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部との間の真っすぐな縁部とを備える、眼科用コンタクトレンズ。
【請求項20】
コンタクトレンズ材料で作られる前記1つ又はそれ以上の面取りされた縁部のための前記平坦面に対する最大の実現可能角度θが、nが前記コンタクトレンズ材料の屈折率である、θ<180-2*逆正弦(1/n)によって決定される、請求項19に記載の眼科用コンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
眼撮像カメラと共に使用されるレンズアセンブリに関する、照射式コンタクトレンズアセンブリの実装形態である。特定の実装形態は、患者の眼の前部及び後部を照らすように、反射器及び光源も含む。これらの装置は、迅速診断システムで使用される。
【背景技術】
【0002】
視力障害は、読字能力、コンピュータ操作、歩行、社会生活及び車両操作の低下によって、生計を維持する能力や生活の質に支障を及ぼす。従来、失明の原因は、視力の問題や、読字又は運転が困難であるといった機能の低下を訴える患者を、一次医療従事者が診た後に、眼科医によって診断されてきた。世界的には、最も多い失明の原因は白内障であり、続いて、加齢黄斑変性及び糖尿病網膜症であることが、世界保健機関によって報告されている。重度の視力低下は、50歳よりも上の人々に最も多く生じる。このため、早期診断によって、これらの進行を回避することが重要である。網膜疾患の一覧には、糖尿病性及び/又は高血圧性の損傷と、米国及び他の先進国における主な失明の原因である、加齢黄斑変性(AMD)とが含まれる。これは、50歳を過ぎた人々の視力低下の主な原因である。当該疾患をもつ人々のほとんどが、80歳までにいくらかの視力低下を経験する。
【0003】
黄斑とは、眼の後方にある、網膜における小さな部分であり、高い視力のために極めて重要な部分である。人が、対象に焦点を合わせるように頭を回すと、黄斑は、対象に対して中心に位置付けられる。黄斑が損傷すると、周囲の視界のみが残り、中心部の視力が低下する。
【0004】
高血圧及び糖尿病は、細い血管を、網膜内のものも含めて損傷させる。糖尿病では、脆い血管が網膜出血の原因となり、速やかに治療されなかった場合、網膜の炎症反応や瘢痕が引き起こされる。
【0005】
AMDの症例の約80%が、網膜色素上皮及び(視界を司る)視細胞が徐々に失われていく、「乾燥型」又は萎縮性である。末期段階は、末期乾燥型AMD又は滲出型AMDのいずれかである。高齢化によって、2040年までに約2億8,800万件の発症が予測される。
【0006】
他の主な失明の原因は糖尿病網膜症であり、新たな失明の症例全てのうちの12%を占める。重要なことに、20歳~64歳の人々にとっての主な失明の原因となっている。糖尿病網膜症は、20年以上糖尿病を患っている人々の80%が発症することが見込まれる。これには、早期の警告症状が無いことが多いが、網膜写真によって、毛細血管瘤、網膜出血、網膜静脈の「数珠状拡張」といった血管異常及び他の微小血管の異常の発生といった、初期段階を見つけることができる。関連して、漿液及びコレステロールが網膜内に漏出する、黄斑浮腫として知られる合併症が眼に生じると、様々な程度の視力低下が生じる。末期段階では、網膜から異常な血管が無秩序に発生して、出血を招く。これらの血管に伴う瘢痕組織によって、網膜剥離による不可逆的な視力低下を招くことがある。上記の段階のいずれも、写真として容易に撮像することができる。英国では、糖尿病患者に対して、これらの兆候全ての検診を行うことが、標準的な治療となっている。早期検診によって、早期治療及び不必要に段階が進行することの防止が可能となる。改善されたグルコース制御、高血圧の矯正及びコレステロール制御といった単純な治療介入によって、糖尿病網膜症の段階の進行を回避したり遅らせたりするのを助けることができる。
【0007】
高血圧のみによって、初期段階から血管が関わる高血圧性網膜症を招くことがある。微小な細動脈が、局所的又は全体的に狭まる。細動脈による静脈の「狭窄」が生じうる。その後、出血及び「綿花状白斑」(虚血領域)が生じ、視力低下が生じうる。血圧が著しく上昇する前でも、40歳を過ぎた成人の約3%~14%に高血圧性網膜症が見られる。また、他の多数の稀な疾病によっても眼症状が生じうる。
【0008】
進行期の高血圧、糖尿病網膜症、AMD等をもつ多くの患者が、網膜専門医の診療室を訪れる。ETDRS(糖尿病網膜症早期治療研究)、DRS(糖尿病網膜症研究)及びPANORAMA研究といった多くの研究において確立されているように、早期診断は、視力の維持、生活の質の向上、医療及び障害システムへの負担の軽減及び生産性の向上へと繋がる。近い将来に予想される、何千万人もの更なるAMD患者の加齢によって、我々が認めてきた従来の眼の検査の非効率性に起因する、眼治療提供者(眼科医及び検眼医)の不足が見込まれることから、許容量及び効率性の向上が切に必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
一実施例では、眼科用コンタクトレンズであって、a)眼の表面に接触する近位側湾曲面と、b)それを通して網膜を見ることができる、遠位側平坦面と、c)平坦な遠位側の面に近いほど小さく、近位側湾曲面に近いほど大きい円周を有する、眼科用コンタクトレンズの、部分的に面取りされた側面と、d)近位側の面から面取りされた側面まで延在する、(平坦面に対して垂直な)眼科用レンズの、部分的に真っ直ぐな側面とを含む、眼科用コンタクトレンズが開示される。
【0010】
任意で、眼科用コンタクトレンズは、ガラス、ポリマー、ポリ(メチル)メタクリレート及びプラスティックの少なくとも1つを有する。眼科用コンタクトレンズは、約0°~約90°の角度をもつ、面取りされた縁部の角度を有する。面取りされた縁部は、真っ直ぐであっても湾曲していてもよい。好適には、面取りされた縁部の角度は約45°である。或いは、遠位側のいくらか平坦な面(「平坦面」)は、コンタクトレンズを通した視界を広げ、網膜をより大きな角度で捉えるように、僅かに丸まっていてもよい。眼科用コンタクトレンズ材料の最大の実現可能角度は、nが材料の屈折率である、θ<180-2*逆正弦(1/n)によって決定される。眼科用コンタクトレンズの厚さは約0.25mm~2.75mmである。或いは、眼科用コンタクトレンズの厚さは約2.75mm~約10mmである。
【0011】
他の実施例では、眼科用コンタクトレンズアセンブリが、a) 眼の表面に接触する近位側湾曲面と、b)それを通して網膜を見ることができる、遠位側平坦面と、c)コンタクトレンズが、遠位側の面に近いほど小さく、湾曲面に近いほど大きい円周を有する、面取りされた縁部と、d)湾曲面から面取りされた縁部まで延在する、(平坦面に対して垂直な)眼科用コンタクトレンズの、部分的に真っ直ぐな縁部と、e)面取りされた側面の周囲にあり且つ少なくともその一部と接触する、環状体形状の断面を有する光源とを有する。
【0012】
任意で、眼科用コンタクトレンズアセンブリは、約0°~約90°の、面取りされたコンタクトレンズ縁部の角度を有する。面取りされたコンタクトレンズの角度は、約45°であってもよい。眼科用コンタクトレンズアセンブリの遠位側コンタクトレンズ面は、コンタクトレンズを通した視界を広げ、網膜をより大きな角度で捉えるように、僅かに丸まっていてもよい。材料の最大の実現可能角度は、nが材料の屈折率である、θ<180-2*逆正弦(1/n)によって決定される。眼科用コンタクトレンズの厚さは、約0.25mm~2.75mmに変動してもよい。或いは、眼科用コンタクトレンズの厚さは、約2.75mm~約10mmである。面取りされた縁部は、真っ直ぐであっても凹状であってもよい。眼科用コンタクトレンズアセンブリは、ガラス、ポリマー、ポリ(メチル)メタクリレート、プラスティック、光ファイバー、反射材料及びLEDの少なくとも1つを含む。眼科用コンタクトレンズアセンブリは、コンタクトレンズの面取りされた縁部に面し、光源を囲むことによって、より多くの光が眼科用コンタクトレンズアセンブリから漏れるのを防止する、円筒状反射器も有してもよい。眼科用コンタクトレンズアセンブリは、円筒状反射器上に、円筒状反射器から眼科用コンタクトレンズの側面まで延在する上壁部も有してもよい。眼科用コンタクトレンズアセンブリの反射材料は、鏡又はコーティングされた面であってもよい。
【0013】
更に他の実施例では、患者の眼を数多く検診及び診断するための、改善されたシステムであって、a)眼に接触する眼科用コンタクトレンズと、b)光源と、c)眼科用コンタクトレンズ上に位置付けられ、サーバに接続されるカメラと、d)カメラからの写真を受信し処理して、選択された眼科治療専門医の携帯装置に写真を送信するようにプログラミングされる、サーバと、e)眼の写真を表示し、眼の状態を示すスワイプメッセージを受け取り、眼専門家からの指示を受ける、携帯装置とを備え、f)サーバによって、眼専門家の指示が、医療専門家、及び任意で患者とのコミュニケーションへと繋げられ、g)サーバは、眼科治療専門医に支払いを行うようにプログラミングされ、h)サーバは、処理された写真を眼科治療専門医に送信するようにプログラミングされる、システムが開示される。
【0014】
任意で、携帯装置は、それらによって、写真が正常であることの信号をスワイプ、タップ又は他のジェスチャで送信する、スワイプジェスチャ、情報及びロックのシンボルを表示する。ロックが作動している場合、拡大したり前後に移動したりするために、同じ写真が維持される。携帯装置は、スマートフォン、タブレット及び仮想現実装置を含み且つそれに限定されない。検診システムは、写真を正常及び異常へと事前に選別するプログラムを有してもよい。眼科用コンタクトレンズは、光源がその上に位置付けられる、面取りされた縁部を有してもよい。眼科用コンタクトレンズは、 may have 面取りされた縁部と、光源と、眼科用コンタクトレンズの縁部まで延在する上壁部を含む、反射性シリンダとを有してもよい。
【0015】
更に他の実施例では、眼撮像カメラが、ミニコンピュータを含む、低照度のカメラサブアセンブリと、低照度のカメラと隣り合う光センサと、短い円筒状筐体と、カメラサブアセンブリと筐体との間の空間と、筐体の前方における照明と、高画質又は低画質を検出する、ミニコンピュータの内部プログラムと、低画質に対するアラームとを含む。任意で、低照度のカメラサブアセンブリは、照明と光センサとを含む。
【0016】
前述したもの並びに他の態様、特性及び利点が、明細書、図面及び請求項によって、当業者に明らかとなろう。
【0017】
以下、実装形態について、同様の要素が同様の指定によって示される添付の図面に関連して、説明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、典型的な平坦な眼科用コンタクトレンズが載せられ、既知のカメラが隣りにある眼の概略断面である。
図2図2は、現在流通されている眼科用レンズの概略的な概観である。
図3図3は、現在の平坦なレンズの概略断面である。
図4図4は、面取りされた眼科用コンタクトレンズの一実施例の概略断面である。
図5図5は、光源が載せられた眼科用コンタクトレンズアセンブリの概略側面図である。
図6図6は、面取りされた縁部及び光源を示す、コンタクトレンズアセンブリの概略上面図である。
図7図7は、面取りされた縁部に光源が連結したコンタクトレンズアセンブリの概略断面である。
図8図8は、コンタクトレンズの縁部に円筒状反射器が連結した眼科用コンタクトレンズアセンブリの図である。
図9図9は、上壁部がコンタクトレンズの面取りされた部分の全てを取り囲む円筒状反射器を示す、コンタクトレンズアセンブリの概略断面図である。
図10図10は、眼科用コンタクトレンズに適用される内部全反射(TIR)のモデルの概要である。
図11図11は、1条の光の光路を示す、図10におけるモデルの概要である。
図12図12は、左側にコンタクトレンズを小さく示し、右側に網膜を大きく示す、モデルの他の描写である。
図13図13は、比較的一定な網膜の照射を示すグラフである。
図14図14は、画面の下部に制御部を含む、網膜の写真の概要である。
図15図15は、隣り合った2つの網膜の写真を示す。図15-1は、病変が無いと分類された網膜を示す。図15-2は、病変があると分類された網膜を示す。
図16図16は、事前の決定を眼専門家が確認する必要がある、アプリの次の画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
多くの考察及び実験を経て、我々は、一次従事者及び眼科治療専門医を早期の眼診断に繋げるための、より効率的な手法を作る方法を発明した。この方法によれば、網膜専門医や眼科医、検眼医等(眼科治療専門医)が、1時間当たり何百人もの患者を診断及びトリアージすることが可能となる。
【0020】
まず、我々は、第一線の医療専門家によるレンズ設置及び写真撮影を、より単純且つより有効にするように設計された、特殊な照射式コンタクトレンズを発明した。また、我々は、同じく医療専門家が使用し易いように設計された、改善された眼撮像カメラも説明する。更に、我々は、資格を有する眼科治療専門医によって、(後述する)システムを用いて写真を取得することも関連付ける。3つの部分が同期されて、医療における新たなパラダイムが生まれるが、これらの部分のそれぞれは、患者の結果を向上させることが期待できる、他の医療装置又はシステムと共に使用することができる。3つの部分を以下に説明する。
【0021】
光源を一体に含む新たなコンタクトレンズ
哺乳類の眼の色素上皮層又は内面を含む、眼における様々な部分のもつ反射性が極めて低いことから、適切な照射が、眼科学では極めて重要な点であり、課題を示すものである。空気と硝子体液の最も遠位側の位相との間の境界面から反射した全ての迷光によって、眼内空間の見え方が著しく歪むことがある。これらの照射の課題は、眼撮像及び眼内手術の両方に影響を及ぼす。例えば、眼内手術では、1つ以上の眼内照射プローブを、眼の保護外層である強膜内へと挿入して、眼の中での可視性を向上させるように、網膜に直接光を伝達する。これらの光プローブは高価であり、眼の内部への侵襲的な進入を必要とする。
【0022】
網膜撮像では、カメラが取り付けられた、専門的な低倍率の顕微鏡が、網膜、網膜の血管系、視神経乳頭及び黄斑を含む、眼の内面(すなわち、眼底)を撮影するように設計される。現在の網膜撮像の技術には、カメラに使用されるレンズのガラスに、反射防止(AR)コーティングを用いることが含まれる。反射防止コーティングが施されても、眼の内側部分をはっきりと見るには、角膜からの反射が依然として課題となっている。多くの眼底カメラ設計では、照射光路と撮像の経路とが空間的に分離される。この設計によって、撮像用の開口が狭まり、画質が制限される。
【0023】
図1を参照すると、現在使用されている、眼底カメラを含む平坦なレンズ2の概要を示している。所望の光路6が、平坦なレンズ2を通って進入して、眼の裏側へと向かう。カメラの下にある光源からの光が、ビームスプリッタ8内へと方向付けられて、眼10の中へと反射する。しかしながら、緑の線で示すように、ARコーティングがあっても、迷光12が、平坦なレンズの表面を跳ね返る。また、迷光12は、以下に更に説明するように、平坦なレンズの内側湾曲から跳ね返ることもある。
【0024】
図2を参照すると、現在使用されている平坦なレンズ14を示している。この特定のレンズは、オランダのザイドラントの有限責任会社である、ドルク(D.O.R.C.)非公開株式会社によって製造されたものである。平坦なレンズは、人間の眼の視度の大部分を無効化するように、角膜上に当てられる光学部品である。平坦なレンズによって、眼の眼内空間をはっきりと見ることができるようになる。図3には、現在の平坦なレンズ16の断面図を示す。この特定のレンズは12mmの直径を有する。再び図2を参照すると、レンズは、レンズが眼の上にある際に人間の眼に対して遠位側にある表面18において、平坦である。レンズ内では、レンズの近位側湾曲20が視認可能である。この湾曲は、眼の網膜及び眼底を最適に撮像するように、人間の眼に載置できる形状となっている。レンズにおける多くの表面及び湾曲によって、生じる迷光の量が増加しうる。
【0025】
本明細書に記載のような平坦なレンズアセンブリの様々な実装形態が、1つの説に縛られることなく、内部全反射(TIR)に基づいて機能してもよい。TIRは、面の境界における全ての入射光の反射を含む現象である。TIRは、光が、より高密度の媒質内にあって、より低密度の媒質に向かっていることと、入射の角度が、所謂臨界角よりも大きいこととの、2つの条件が揃った場合にのみ生じる。内部全反射は、入射角度が大きい場合にのみ生じる。例えば、大きな入射角度とは、光が空気と水との間で反射する際の48°を超える、任意の角度であってもよい。他の媒質又は材料については、n1が、より高密度の媒質の屈折率であり、n2が、屈折率又はより低密度の媒質である、θ=逆正弦(n2/n1)の式によって、角度が決定されてもよい。
【0026】
本明細書に記載のようなコンタクトレンズアセンブリの実装形態は、非侵襲且つ非外傷性の手法による、最適化された網膜への光の伝達によって、網膜撮像及び眼内手術を向上させるように設計される。コンタクトレンズアセンブリの様々な実装形態において、レンズの前及び眼に対して近位側に、構成要素が存在しない。これによって、レンズの視野を瞳孔の限界まで広げることができ、他の装置との幾何学的な干渉を回避できる。最後に、コンタクトレンズアセンブリの様々な実装形態によって、網膜に反射してくる前に、僅かな光が平坦なレンズの遠位側表面から漏れることから、ほとんどの迷光が取り除かれる。我々は、より多くの光路を送り、光散乱を軽減させるように、コンタクトレンズを設計した。
【0027】
図4を参照すると、面取りされた切断面を有するコンタクトレンズ22の断面図の実装形態を示す。円形状の面取りされた面が、コンタクトレンズの上部の角から切り出される。面取りされた切断面は、真っ直ぐでもよいし、湾曲した縁部を作り出してもよい(凹又は凸)。様々な実装形態において、面取りされた面24は、標準的なコンタクトレンズから切り出されてもよい。いくつかの実装形態では、綺麗な切り口を提供するように、コンタクトレンズを、レーザー、ダイアモンド、刃物又は他のガラスを切断する方法によって切断してもよい。他の実装形態では、コンタクトレンズは、鋳造又は他の技術によって、面取りされた縁部を含んで形成されてもよい。コンタクトレンズは、45°の角度θで切断される。他の実装形態では、角度は、0°~約90°に変動してもよい。様々な実装形態では、nが材料の屈折率である、式θ<180-2*逆正弦(1/n)によって、コンタクトレンズの材料に応じて、最大の実現可能角度を決定してもよい。コンタクトレンズの厚さは、様々な実装形態において、.25mm~2.75mmに変動してもよい。コンタクトレンズは、新たな用途において、より厚くてもよい(2.75mm~約5mm又は10mm)。
【0028】
図5を参照すると、コンタクトレンズアセンブリ26の実装形態の側面図を示している。この実装形態では、平坦なレンズアセンブリ26は、光源28を含む。光源は、コンタクトレンズ32の、面取りされた縁部30における外周の周囲に連結して示される。平坦なレンズ32を示す。図示のように、光源28は環状体形状を有する。光源28の環状体形状によって、連続的な光源が得られる。光源28は、様々な実装形態において、光ファイバーループを含んでもよい。光ファイバーループの表面が、ランダムな光の配置を提供するように変形する。光源28を設置することによって、図1の現在のモデルに示すように、光のビームが、コンタクトレンズの外側からコンタクトレンズの外面に直接当たらないことから、迷光が軽減される。むしろ、光は、TIRの原理に従って、レンズ面に内側から直接当たり、反射して、網膜を照らす。他の実装形態では、発光ダイオード(LED)光が、光源として使用される。LED光源によって、光の離散点が提供される。
【0029】
図6を参照すると、コンタクトレンズアセンブリ34の実装形態の上面図を示している。光源36が示され、コンタクトレンズの面取りされた縁部上に配置される。光源36は、図示のように、追加の光ファイバー37を通して外部光源に連結されるように構成される。面取りされた縁部の、遠位側上部38及び近位側底部40の縁部を、2つの同心円によって示す。図7を参照すると、面取りされた縁部46に光源44が連結したコンタクトレンズアセンブリ42の断面の概要を示している。
【0030】
図8を参照すると、コンタクトレンズ50と、光源52と、反射器54とを含む、コンタクトレンズアセンブリ48の実装形態を示している。反射器は、面取りされた縁部の近くの真っ直ぐな縁部上で、コンタクトレンズに連結される。様々な実装形態において、反射器54は、鏡が光源に面する、鏡面仕上げの材料によって形成されてもよい。他の実装形態では、コンタクトレンズの面取りされた縁部に面する、反射器54の第1の面が、反射面を有する。反射器は、反射材料を備えるか、コーティングされた面又は反射器の内側に連結した反射材料を有する。面取りされた縁部の外側もコーティングされてもよい。反射器54は、平坦なレンズアセンブリの面取りされた縁部及び光源の周囲に、円形状を有するチャンバを形成するようにして、光源を囲む。反射器は、そのチャンバの内部に、より多くの反射光を保持するのを助ける。
【0031】
図9を参照すると、図8におけるコンタクトレンズアセンブリの断面図の概要を示している。この図面には、反射器54の側壁部58及び上壁部56を示す。図示のように、光源52は、眼の写真のためにより多くの光を保持するために、反射器54の上壁部56と側部58との中に完全に囲まれている。
【0032】
図10を参照すると、コンタクトレンズアセンブリ60の実装形態を用いた場合の、内部全反射(TIR)のモデルを示している。コンタクトレンズ62が、人間の眼と同様の球面64に連結して示されている。光源66が、コンタクトレンズ62の面取りされた縁部の周囲に連結して示されている。反射器68が、コンタクトレンズの平坦な縁部に連結して示されている。この特定の図面では、反射器の側壁部は、反射器のチャンバ内における、光線70の反射の可視性を向上させるようには示されていない。光線70は、モデルを通して、希薄な散乱した線として示されている。内部全反射では、コンタクトレンズの前部平坦面上に明瞭な中央部を含むコンタクトレンズ62の、遠位側境界面への最初の到着の際に、基本的に全ての光が反射する。上述したように、面取りされた切断面が、上限角度180-2*逆正弦(1/n)を有する。これよりも小さな角度は全て、迷光を取り除くような働きをしうる。最適な角度は、コンタクトレンズ材料/光源の角度プロファイルに応じて変動する。反射器の反射面によって、全ての光も、反射器を跳ね返るべきである。
【0033】
図11を参照すると、モデルの概要を示している。概要は、光源76から発せられてコンタクトレンズ78の内面を跳ね返る、1条の光74を示す。TIRによって、全ての光が、コンタクトレンズの内面又は遠位側境界面を跳ね返る。図12を参照すると、本明細書に記載のように、コンタクトレンズアセンブリ80の実装形態を用いることによってTIRが達成されると、眼82の後部内面の中にある網膜及び他の構造がしっかりと照射される。図13を参照すると、グラフが、本明細書に記載のような平坦なレンズアセンブリの実装形態を用いた、比較的一定な網膜の照射を示している。
【0034】
発明に関するコンタクトレンズの先駆けが、「平坦な」レンズとして記載されているが、我々のコンタクトレンズの遠位側表面上に僅かな湾曲を設けることが、有益であってもよい。こうした湾曲によって、眼の内部空間をより広く見ることが可能となる。
【0035】
照射式コンタクトレンズアセンブリに使用される構成要素は、限定されない例として、ガラス、ポリマー、ポリ(メチル・メタクリレート)、シリコーン、プラスティック、光ファイバー、反射材料及びLEDといった、当該技術分野のものと同様の品物を作るのに使用される、従来の材料から作られてもよい。当業者にとっては、本明細書に記載の開示によって、適切な材料を選択し、これらの製品を製造することが、容易に可能だろう。
【0036】
眼撮像カメラ
我々は、第一線の医療専門家が使用して、眼科治療専門医とデータを共有するのにより適した、新たな眼撮像カメラを発明した。
【0037】
現在好まれているのは、収納し易いように短いペンを模した、短い円筒状の筐体である。好適には、低レンズカメラサブアセンブリの端部内に光センサとレンズとがあり、筐体とカメラサブアセンブリとの間にスペーサがある。好適には、眼撮像カメラは、患者の現在の網膜の状態、及び我々のカメラで撮像された他の眼構造の状態について、より詳細な洞察を提供しうる、複数の写真及び動画も記録する。
【0038】
繊細且つより小型のカメラが次第に利用可能となり、我々の発明に関する眼撮像カメラが、そうした改善点を活用することになるだろう。また、これらのカメラが、低照度の状況において次第に有効となり、以前に使用可能だったものよりも優れた眼の写真が作られるようになるだろう。こうした要因が組み合わさって、患者の凝視が不安定な場合や、患者が幼い場合でも、より高品質の画像が作られる。
【0039】
眼撮像カメラは、1)拡大、2)専門家による分析、3)患者のファイルを比較用に追加、等のために、コンピュータに画像を移動し易くするように、デジタルである。眼撮像カメラは、撮影された画像が、眼科治療専門医及び/又は診断アルゴリズムによって糖尿病網膜症及び他の網膜疾患を診断するのに必要な品質基準を満たしているかを検出するように、任意にプログラムされたサーバを有する。アルゴリズムは、カメラ又はクラウドのいずれかにおいて素早く且つ効率的に実行されるように設計されて、低画質だったり、画像の再撮影が必要だったりした場合に、医療提供者に対して、数分(好適には数秒)以内に光又は音によって警告するようになっている。好適には、画像は、同じ医師の診察中に再撮影されて、高品質の画像のみが分析される。撮影された画像をリアルタイムでフィードバックすることで、医療専門家の価値及び信頼が増すだろう。
【0040】
デジタル眼撮像カメラは、好適には、重さを最小限に抑えるように、WIFI部品である。発明に関する眼撮像カメラは、好適には、煩わしいコードを必要とせず便利に使用するために、バッテリーを有する。
【0041】
発明に関する眼撮像カメラは、好適には、様々な外来診療所及び緊急事態の状況や、非協力的な患者による、予期せぬ落下の衝撃に耐えられる筐体を有する。眼撮像カメラが小さいほど、医療専門家及び専門家の助手による使用がより便利になり、これによって、外来診療所から被災地まで、より多様な環境での可能性が増加する。
【0042】
携帯可能眼撮像カメラは、任意で、網膜を詳細に見るために、優れた照明を提供する。現在では、発生する熱が低く且つ明るいという利点を有する、発光ダイオード(LED)光を設けるのが最善である。LED光は、a)1つ以上のピンポイントの光、b)LED光の線、及び/又はc)我々の設計のレンズ部分内にあるLED光リング、を含み且つこれに限定されない、様々な形に構成されうる。
【0043】
LED光は、十分な電力をもつよう設計され、網膜、特に、直径が約5.5mmしかない黄斑に対して、適切な照明を提供することを目標とする。
【0044】
システム
上述したように、数年の内に数千万人もの更なるAMD患者が生まれるが、これは、従来の眼の検査によって的確な診断及び検査を行うことが可能な眼治療提供者の、現在及び将来の数よりもはるかに多い。熟慮の結果、我々は、一次従事者及び眼科治療専門医を早期の眼診断に繋げるための、より効率的な手法を作る方法を発明した。この方法によれば、網膜専門医や眼科医、検眼医等(眼科治療専門医)が、1時間当たり何百人もの患者を診断することが可能となる。
【0045】
照射式コンタクトレンズは、それぞれが網膜の撮影を受ける、患者の眼の上に配置される。任意で、眼球外部及び前部も撮影される。外部の写真は、瞼の異常又は前部の混濁による、品質の限界を説明するのを助けるだろう。写真及び付随する患者情報が、セントラルサーバへと送信され、その後、網膜専門医、眼科医、検眼医等(眼科治療専門医)を含み且つこれに限定されない、選択された網膜分析者の携帯装置へと供給される。プログラミングによって、写真の識別及び配列が適切に行われる。
【0046】
眼科治療専門医は、異常網膜から正常なものを区別する彼らの能力によって、選択される。眼科治療専門医は、システムにサインインする。モバイルアプリケーション(アプリ)が開き、迅速診断用の網膜の画像を自動的に読み込む(図14)。画像は、好適には、患者の右側及び左側の画像として表示される。好適には、最初の対の画像が、眼の外部の画像である。これらが正常な場合、専門医は、左にスワイプして内部の画像を見る。眼科治療専門医は、これらを素早く点検することができ、専門医によるスワイプジェスチャが示すようにほとんどが正常であり、サーバに信号を送ることで、患者及び/又は委託医師に、深刻な異常は一切見られないことを示す文言を送る。これらの工程は、眼科治療専門医の時間の10秒も取らないことが予想される。好適には、分析時間は、1秒~30秒、より好適には3秒から20秒、最も好適には8秒~10秒に変動する。実際の時間は、病変の複雑さや、眼科治療専門医のシステム利用経験等によって変動することが理解されるべきである。
【0047】
専門医が、経過観察が必要な眼を観測した場合、スワイプジェスチャによって、この決定をサーバに転送して、患者及び/又は委託医師に、経過観察を勧める文言を送る。
【0048】
一実施例では、各画像の下部に、1)病変や経過観察無しの診断の報告を早めるサイド・スイープ(side-sweep)マークと、2)情報画像と、3)更なるデータの表示を許可するロック機構との3つの選択肢がある。ロックは、現在の画像を保ちながら、専門医による画像の拡大(画面上を指でピンチングするか、他の便利な方法によって、ズームする)を可能にする。特定の領域を拡大することによって、病変の見え方が向上する。画像は、網膜の表面のより多くの部分をパンするように、指向的にスイープすることもでき、専門医が、写真の拡大された領域全てにアクセスすることで、眼の全体の健康を分析し、眼の全撮像領域における問題を突き止めることが可能となる。或いは、眼科治療専門医は、2回スワイプ又はクリックするか、2本の指で画像の一部を分けるようにドラッグすることで、画像を消費できる。
【0049】
図15は、正常及び異常な画像を表示する。
【0050】
図16は、「はい」又は「いいえ」ボタンによって、診断を確認するための画面を示す。この画面に続いて、専門医は、任意で、年齢や、糖尿病性又は高血圧性の網膜症度合い等を含み且つそれに限定されない、関連する他の臨床情報を入力する。
【0051】
他の実施例では、同じ患者の、左右の眼両方の網膜の画像が、1つの画面に共に表示される。
【0052】
システムは、自動的にレポートを作成し、指定された1人(又は複数)の患者、一次治療提供者及び/又は他の指定された人物にレポートを転送して、診断を通知する。システムは、高い安全性を有し、患者のプライバシーに関する法律に準拠する。
【0053】
システムに対して3つのサービス層が検討されるが、これより少なくても多くてもよい。異なる層に対して、特定の活動を割り当てることができる。
【0054】
層1は、写真を、肉眼的に正常又は異常として報告する、検診の段階である。これは、医師の診療室での検査を減らす、単純且つ効率的なトリアージ方法である。また、層1は、個々人が視力低下に気付く前に、眼の健康をよく観察できるようにすることから、健康最適化プロトコルにも適している。異常血管が、進行中の高血圧性又は糖尿病性の網膜症の1つの兆候でありうる。
【0055】
層2は、層1の情報及び病変の診断といった更なる情報を提供する。
【0056】
層3は、層2の情報、並びに病変の程度や専門医の注釈及び洞察といった更なる情報を提供する。このレベルに、検出された損傷の程度が含まれてもよい。糖尿病網膜症については、専門医によって、軽度、中度及び重度の非増殖性、並びに増殖性網膜症の説明が割り当てられ、高血圧性網膜症については、標準化された評価が割り当てられる。
【0057】
層3は、それ自体が、眼病変の進行の観察にも役立つ。好適には、例えば、以前の画像と現在の画像とを重ね合わせることで、以前の写真を現在の写真と比較する。
【0058】
層3の活動は、血管の観察が網膜内でのみ可能であることから、他の慢性的な疾病(すなわち、糖尿病や高血圧)の進行を追跡するのに利用することもできる。
【0059】
サーバがレポートを作成している間、サーバは、任意の電子バンキングアプリで専門医に支払いを行い、次の網膜の画像のセットを読み込む。
【0060】
本発明は、患者にとってのみならず、医師及び医療システムにとっても重要な利点を有する。患者の利点は、この、眼専門医による遠隔での「初期診察」を、病変の進行のより早い段階に行うことができることから、生活様式の改善、早期の網膜治療介入等といった、有効な予防工程を可能とする点である。また、患者にとって、眼専門医を受診する不便性及び費用、そのための移動、並びに収入の減少が無い。また、患者及び医者が、我々の安全なウェブポータル上にある彼らの網膜の画像の全履歴を、教育及び患者の進行観察のために見ることができる。
【0061】
我々のシステムを利用した診断に取られる専門医の時間がほんの僅かであることから、費用も、従来の眼の検査のほんの一部である。また、タブレット、スマートフォン及び仮想現実装置を含み且つこれに限定されない、携帯装置を介して診断が行われることから、眼科治療専門医は、彼らの都合の良い時に、場所を問わずに「検診診察」を行うことができる。眼科治療専門医にとっては、彼が、診療所やスタッフの間接費を必要とすることなく、より多くの検査を行うことが可能となる場合に、大きな節約となる。そして、眼科治療専門医の時間及び診療所を、従来の診療所受診を本当に必要としている症例のために使うことができる。
【0062】
医療システムにおける利益は、「初期診察」が素早く費用効率良く行われることである。一般的な眼科治療専門医及び網膜専門医への従来の診療所受診が、より能率化され、前述のように「高収率」となるだろう。
【0063】
例1
上述したように、遠隔で我々のシステムを利用する眼科治療専門医によって、頻繁に網膜の写真を診断することができ、ジェスチャによるスワイプ又はタップでの診断は、特に正常な写真については、多くは10秒未満で効率的に行われる。著しく異常な写真についても、スワイプ又はタップによって10秒未満で迅速に記号化して、再び、スワイプ又はタップによって素早く分類することができる。これらは、上記の層1及び2に対応する。眼科治療専門医が、平均で、10秒当たり1つ(又は左右の対)の網膜の査定を1件(又は複数件)行った場合、1分当たり6人の患者/6対の眼、1時間当たり360人の患者/360対の眼へと繋がる。1日当たり、休憩のための2時間の中断及び6時間の稼働時間として、週5日の査定を想定すると、各眼科治療専門医によって、1週間当たり10,800人の患者又は1年当たり約540,000人の患者を、従来の検査費用のほんの一部で査定できるとみられる。多忙な眼科治療専門医は、年率で毎年12,500人の患者が受診する彼らの業務における従来の眼の検査に基づくと、通常業務内で1日につき50人の患者を診ることができる。これらの従来の受診の多くは再診でもあり、我々の提案するシステムの効率性をより際立たせる。AIによって、査定される眼の貯蔵部から正常な眼を取り除けば、専門医が、主に病変を読み取ることができ、効率性が更に向上するだろう。
【0064】
例2
多忙な眼科治療専門医は、彼らの全日程を我々のシステムに充てる必要はないだろう。代わりに、患者同士の間や空き時間中といった、1日のうちの数時間でも、大きな違いを生むのに十分である。各眼科治療専門医が、網膜写真の分析を平日の1日当たり2時間(720件)で週に3,600件、週末の各日に3時間(1,080件)で2,160件行った場合、各眼科治療専門医の査定が、1年当たり合計288,000人の患者分となる。
【0065】
他の実施例では、画像が品質制御画像検査(眼撮像カメラの説明を参照)を通過し、アップロードされて送信された後、診断アルゴリズムによって、糖尿病性及び高血圧性の網膜症の診断、並びに診断を促した特定の網膜の特性についての注釈が助けられる。最初に、我々は、人間による読み取りの前に、まず前処理工程として人工知能を使い、健康な網膜の画像を選別する。これは、健康な眼は外観の差異が少ないことから、「健康」はAIによってより正確に診断できるため、合理的である。我々が画像のデータベースを作り上げたことで、AIは、全ての画像を診断し、糖尿病性及び高血圧性の網膜症の程度を評価するポイントまで発展する。我々は、人間による査定をAI診断と比較して、品質制御を維持する。我々のシステムは、AI製品であるだけでなく、発展の全ての段階において人間の検証を含むものである。
【0066】
システムにおける追加の選択肢として、より詳細なデータをデータ保存部に返送して、現地の医師とより詳細に共有することが含まれる。
【0067】
本発明に用いられる、電話、タブレット、仮想装置及び他のコンピュータ化された装置は、限定されない例として、スマートフォン、タブレット及び仮想現実装置といった、当該技術分野のものと同様のアプリを動作させるのに使用される従来のモデルであってもよい。当業者にとっては、本明細書に記載の開示によって、適切な材料を選択し、これらの製品を製造することが容易に可能だろう。
【0068】
多くの他の疾病及び症候群が網膜に影響を及ぼし、我々の装置及び方法によって効率的に査定することができる。これらには、前述の血管疾患、炎症疾患、起こりうる関連する眼所見を伴う自己免疫疾患、眼の腫瘍性疾患、緑内障及び他の視神経異常、角膜疾患、ブドウ膜の疾患、水晶体及び関連する毛様体小帯器の疾患、黄斑症、周辺網膜変性、起こりうる関連する眼所見を伴う遺伝性及び先天性の病患、起こりうる関連する眼所見を伴う感染性のプロセス、未熟児の網膜症、眼科の所見によって明白となりうる神経性の疾患、網膜裂傷、網膜剥離、母斑症、並びに起こりうる関連する眼所見を伴う他の全身性の疾患、起こりうる関連する眼所見を伴う自己免疫疾患、起こりうる関連する眼所見を伴う代謝疾患、起こりうる関連する眼所見を伴う変性性疾患、起こりうる関連する眼所見を伴う環境性又は中毒性の症状、が含まれ且つこれに限定されない。本明細書に列記した実装形態及び多くの他の実装形態は、本開示から容易に明らかになるだろう。これによって、当業者には、本開示が適用される多用途性が容易に理解されるだろう。
【0069】
ペット市場の数は米国内だけでも数千万に及ぶ。乳牛といった産業動物も非常に多い。両方の種類の動物に安価な治療が求められる。開示のコンタクトレンズ、眼撮像カメラ及びシステムは、ペット及び産業動物の市場に容易に適用できる。
【0070】
本発明は、その特定の実施例と関連して説明されてきたが、上記の説明の観点から、当業者にとって、多くの代替例、変形例及び変更例が明らかであることは、明白である。従って、こうした代替例、変形例及び変更例の全てが、添付のクレームに包含されるようになっている。
【0071】
上記の説明は、本発明の原理の例示のみのためとして考えられる。また、当業者に対して、多くの変形及び変更が容易に生じうることから、本発明を、上記に示し説明した作品及びプロセスそのものに限定することは望ましくない。従って、全ての適切な変形例及び均等物が、本発明の範囲から逸脱することなく再分類されてもよい。
【0072】
本発明の原理の理解を促す目的で、上記の詳細な説明及び例によって例示的な実施例が示され、その説明に特定の言語が使用されるだろう。それにも関わらず、これが本発明の範囲の限定を意図するものでないことが理解されよう。本開示の所有権を有する当業者に対して生じうる、本明細書に示す発明特性の任意の代替例及び更なる変形例、並びに本明細書に示すような本発明の原理の任意の追加の用途が、本発明の範囲から逸脱することなく検討される。
【0073】
本明細書を通した、一「実施例」、一「例」又は同様の言語への参照は、実施例と関連して説明される特定の特性、構造、特徴又はそれらの組み合わせを意味し、本発明の実施例の少なくとも1つに含まれる。このため、本明細書を通した、一「実施例」及び「例」といった表現、そして同様の言語の存在は全て、必然ではないが、同じ実施例、異なる実施例又は図面の1つ以上に言及するものであってもよい。また、2つ以上の特性や要素等に対する「実施例」又は「例」等の用語への参照は、特性が、必ずしも関連する、異なる、同じである等を意味するものではない。
【0074】
一実施例又は例の各記載は、各実施例を特徴付ける同様又は同一の言語のどのような使用にも関わらず、一実施例の他の記載から独立して考えられるべきである。このため、一実施例が「他の実施例」として識別される場合、識別された実施例は、「他の実施例」という言語によって特徴付けられた他のどの実施例からも独立している。本明細書に説明される特性及び機能等は、クレーム及び/又は技術分野が、直接的又は間接的に、黙示的又は明示的に示されてもよいことから、全体的又は部分的に、互いに組み合わせることが可能であると考えられる。
【0075】
本明細書で使用されるように、「備える」、「含む」、「含有する」、「は(is)」、「は(are)」、「特徴とする」及びこれらの文法的均等物は、列挙されていない追加の要素又は方法の工程を排除することのない、包括的又は制約の無い用語である。「備える」は、広く解釈され、より限定的な用語である「からなる」及び「のみからなる」を含む。
【0076】
本明細書を通した、特性、利点又は同様の言語への参照は、本発明によって実装形態されうる特性及び利点の全てが、本発明の任意の単一の実施例であるべき又は本発明の任意の単一の実施例にあることを、暗示するものではない。むしろ、特性及び利点に言及する言語は、一実施例と関連して説明される特定の特性、利点又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味するものとして理解される。このため、本明細書を通した、特性及び利点及び同様の言語の議論は、必然ではないが、同じ実施例を参照するものであってもよい。
【0077】
また、本発明の記載の特性、利点及び特徴は、1つ以上の実施例における任意の適切な手法で、組み合わせられてもよい。当業者は、本発明を、特定の実施例における1つ以上の特定の特性又は利点無しに実施できることを認識するだろう。他の例では、追加の特性及び利点が、本発明の全ての実施例に存在しなくてもよい所定の実施例として認識されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16