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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】手術野を保護するためのドレープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/20 20160101AFI20240903BHJP
【FI】
A61B46/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021570311
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020034645
(87)【国際公開番号】W WO2020243136
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】62/853,979
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521515517
【氏名又は名称】メドスター ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ティルト、 アレキサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】タン、 パメラ
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04572173(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01221547(GB,A)
【文献】登録実用新案第3071598(JP,U)
【文献】特表2000-517215(JP,A)
【文献】特開平08-047499(JP,A)
【文献】登録実用新案第3141404(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の毛髪を手術野の外に保持するためのドレープであって、
手術中に患者の毛髪を覆うように構成されるシートと、
前記シートの先端部に設けられるか又は結合される接着シール部材であって、前記手術野と前記患者の毛髪との間にシールを形成するために、前記手術野に隣接する前記患者の皮膚に適用されるように構成される接着シール部材と、
前記接着シール部材の近傍であって前記シートの前記先端部から離れた側において前記シートに結合される少なくとも1つの固定部材であって、前記ドレープを前記患者に固定するために、前記手術野に隣接して前記患者の毛髪に取り付けられるように構成される少なくとも1つの固定部材と
を備える、ドレープ
【請求項2】
前記シートの前記先端部に隣接して前記シートに結合される毛髪案内部材をさらに備え、前記毛髪案内部材は、前記ドレープの適用中に、前記患者の毛髪を梳かして前記手術野の外に保持するように構成される、請求項1に記載のドレープ
【請求項3】
前記毛髪案内部材は、少なくとも部分的に面ファスナのフック部分及び/又はループ部分から形成される、請求項2に記載のドレープ
【請求項4】
前記シートは、少なくとも部分的に半透明及び/又は透明である、請求項1に記載のドレープ
【請求項5】
前記シートは、不浸透性材料から形成される、請求項1に記載のドレープ
【請求項6】
前記接着シール部材は、ハイドロコロイド粘着剤である、請求項に記載のドレープ
【請求項7】
前記少なくとも1つの固定部材は、ヘアクリップ、櫛、及びヘアピンのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のドレープ
【請求項8】
前記少なくとも1つの固定部材は、複数のヘアクリップである、請求項1に記載のドレープ
【請求項9】
前記少なくとも1つの固定部材は、前記患者の頭部に合うように輪郭が形成され、かつ/又は円形の手術野の周囲で円形構成に屈曲するように構成される可撓性の櫛状である、請求項1に記載のドレープ
【請求項10】
前記櫛状の固定部材は、前記ドレープの適用中に、前記患者の毛髪を梳かして前記手術野の外に保持するように構成される歯を含む、請求項9に記載のドレープ
【請求項11】
前記ドレープは、線状の構成、字形の構成、及び形の構成のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のドレープ
【請求項12】
前記ドレープは、字形の構成を有し、形の構成になるように選択的に屈曲されるように構成される、請求項1に記載のドレープ
【請求項13】
前記ドレープは、形の構成を有し、前記シートは、前記手術野上に配置されるように構成される円形開口を含む、請求項1に記載のドレープ
【請求項14】
前記円形開口は、前記手術野にアクセスするために切開されるように構成される切開ドレープによって覆われる、請求項13に記載のドレープ
【請求項15】
前記切開ドレープは前記接着シール部材であり、前記切開ドレープは、その上に粘着剤を含み、前記粘着剤は、前記手術野と前記患者の毛髪との間にシールを形成するために、前記手術野に隣接する及び前記手術野上にある前記患者の皮膚に適用されるように構成される、請求項14に記載のドレープ
【請求項16】
患者の毛髪を手術野の外に保持するためのシステムであって、
複数の請求項1に記載のドレープを備えており、
前記接着シール部材は、複数のドレープ間に延在する切開ドレープであり、前記切開ドレープは、その上に粘着剤を有しており、前記粘着剤は、前記手術野と前記患者の毛髪との間にシールを形成するために、前記手術野に隣接する及び前記手術野上にある前記患者の皮膚に適用されるように構成され、前記切開ドレープは、前記手術野にアクセスするために切開されるように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の毛髪の保護を支援するための装置及び方法に関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2019年5月29日に出願された米国仮出願第62/853,979号による優先権を主張し、その主題の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
頭皮の有毛部に施される手術のための滅菌ドレーピングは、形成外科医、頭頸部外科医、及び神経外科医等のユーザにとって課題となり得る。手術野の毛髪は感染リスクをもたらす可能性があり、また、創傷及び縫合材料に絡まってユーザの手術能力を妨げる可能性もある。手術野における毛髪に対する1つの一般的な解決策は、手術野を完全に剃毛することを含み、実際、身体の他の部分の外科的処置では、事案の最初に電気バリカンを用いて毛を剃るのが一般的である。しかしながら、頭皮を剃毛することは非常に顕著であり、特に毛髪が長い患者で顕著であり、多くの患者にとって心理社会的にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。これは、フェイスリフトのような選択的美容外科手術を受ける女性患者又は頭皮の処置を受ける子供にとって特に望ましくないことがある。
【0004】
したがって、ユーザは、一般に、切開を行うために必要な最小限の量の毛髪であると認識するものを剃り、剃毛されておらず長い毛髪を滅菌した手術野から外に維持するための様々な技術を使用することによって、頭皮又は顔面の手術を進める。これらの技術のいくつかには、剃毛していない毛髪を束ねること及び編むこと、束ねた又は編んだ毛髪をバンド又はクランプで固定することが含まれる。これらの各技術は、安価で、容易に利用可能であり、患者の毛髪の手術後の洗浄及び梳きを最小限にすることによって、事案の終了時の処置時間を短縮し得る。しかしながら、これらの技術は、患者が麻酔下にある間、処置の開始時に時間を消費し、これは美容処置に関しては分単位で患者に請求可能なものである。さらに、多くのユーザは、髪を編み又は束ねる欲求又は能力を単に有していない。
【0005】
剃毛されておらず長い毛髪を無菌の手術野の外に維持するための別の技術は、手術用ドレープを手術野の所定の位置で患者にステープル留めすることである。この技術は、迅速かつ安価で、簡単に利用可能である。しかしながら、この技術では患者の頭皮に多数のステープルが必要であり、これらは後に切除しなければならず、小さな瘢痕を残すことがある。もう1つの技術は、患者の頭部をドレープで完全に包み、患者の毛髪をドレープの下に固定することである。しかし、この技術は額又は耳に関する処置にのみ有用であり、頭皮領域内の手術野には適用できない。
【0006】
手術野の毛髪がユーザを苛立たせているにもかかわらず、この問題に専念した文献はほとんどなく、提案された解決策はせいぜい平凡なものである。これは、手術用ドレープが非常に特殊化され、かつ高価になった時代に特に驚くべきことである。手術施設は、患者の無菌状態及びユーザの利便性を確実にするために、全ての事案のドレープに数百ドルを費やしている。したがって、剃毛されていない毛髪を手術野の外に維持するために特殊化ドレープを提供することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、患者の毛髪の保護を支援するための装置が提供される。装置は、手術中に患者の毛髪を覆うように構成されるシートを含む。シートの先端部にはシール部材が設けられるか又は結合されている。シール部材は、手術野と患者の毛髪との間にシールを形成するために、手術野に隣接する患者の皮膚に適用されるように構成される。少なくとも1つの固定部材が、シートの先端部に隣接してシートに結合される。少なくとも1つの固定部材は、装置を患者に固定するために、手術野に隣接して患者の毛髪に取り付けられるように構成される。
【0008】
一態様では、患者の毛髪の保護を支援するための方法が提供される。方法は、患者の毛髪の保護を支援するための装置を提供するステップを含む。装置は、装置の少なくとも1つの固定部材を手術野に隣接する患者の毛髪に取り付けることによって、患者に固定される。装置のシール部材を手術野に隣接する患者の皮膚に適用することによって、手術野と患者の毛髪との間にシールが形成される。手術野に隣接する患者の毛髪は、装置のシートで覆われる。
【0009】
理解を深めるために、添付の図面を参照してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1つの構成による特殊化ドレープの底面図である。
【0011】
図2】第1の例の使用環境における図1の特殊化ドレープを示す。
【0012】
図3】第2の例の使用環境における図1の特殊化ドレープを示す。
【0013】
図4】別の構成における図1の特殊化ドレープの上面図である。
【0014】
図5】第4の例の使用環境における図1の特殊化ドレープを示す。
【0015】
図6】別の構成における図1の特殊化ドレープの一部の底面図である。
【0016】
図7図6の特殊化ドレープの一部の底面図である。
【0017】
図8図6の特殊化ドレープの一部の施術の例示シーケンスを示す。
図9図6の特殊化ドレープの一部の施術の例示シーケンスを示す。
【0018】
図10】別の構成における図1の特殊化ドレープの底面図である。
【0019】
図11】別の構成に従った、例示的な使用環境における特殊化ドレープの上面図である。
【0020】
図12】例示的な使用環境における図11の特殊化ドレープの側面図である。
【0021】
図13】別の構成及び例示的な使用環境における図11の特殊化ドレープの斜視上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「患者」とは、限定されないが、ヒト、ブタ、ラット、マウス、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、ウサギ、ウシ、家畜類等を含む任意の温血動物を指し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「ユーザ」は、処置を準備し、支援し、及び/又は実行する個人を指すために言い換え可能に使用され得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明確に示さない限り、複数形も含み得る。用語「含む」は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定し得るが、1つ以上の他の特徴、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連するリストされた項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含み得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「XとYの間」等の語句は、XとYを含むように解釈され得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、語句「X及びYの少なくとも1つ」は、X、Y、又はX及びYの組み合わせを含むように解釈され得る。例えば、ある要素がX及びYのうちの少なくとも1つを有するように記載されている場合、その要素は、特定の時点で、X、Y、又はX及びYの組み合わせを含んでもよく、その選択は、時によって異なり得る。対照的に、語句「Xの少なくとも1つ」は、1つ以上のXを含むように解釈され得る。
【0029】
要素が、別の要素「の上に」、「に取り付けられる」、「に接触する」こと等を指す場合、それは、別の要素の上に直接、別の要素に取り付けられ、又は接触していてもよく、又は介在要素が存在してもよいことが理解されよう。別の特徴に「隣接して」配置される構造又は特徴への参照は、隣接する特徴と重なり合う又はその下にある部分を有さなくてもよいことも、当業者には理解されよう。
【0030】
本明細書では、「上」等の空間的に相対的な用語は、図示するように、ある要素又は特徴と(複数の)別の要素又は特徴との関係を説明するための記載を簡潔にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図示された方向に加えて、使用中又は動作中の装置の異なる方向を含み得ることが理解されよう。例えば、図中の装置が反転される場合、他の要素又は特徴の「上に」又は「上部に」と記載される要素は、他の要素又は特徴の「下に」方向付けられる。
【0031】
本明細書では、「第1の」、「第2の」等の用語は様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素と別の要素を区別するためにのみ使用される。したがって、以下に説明する「第1の」要素は、本開示の教示から逸脱することなく、「第2の」要素とも呼び得る。施術のシーケンス(又はステップ)は、特に示されない限り、特許請求の範囲又は図面に提示された順序に限定されない。
【0032】
本発明は、以下の特徴を任意の組み合わせで含むか、構成されるか、又は本質的に構成される。
【0033】
図1-2は、患者の頭皮、額、耳、及び/又は首に関する処置中に患者の毛髪が手術野に入ることを防止することを支援するための特殊化ドレープ100の第1の構成を示す。特殊化ドレープ100は、シート102、シール部材104、毛髪案内部材106、及び少なくとも1つの固定部材108(ここでは固定部材108a、108b、108cとして示されている)を含み得る。顔の上に重なる場合に、例えば、麻酔医が、処置の間、気管内チューブの配置を監視することができるように、シート102は、少なくとも部分的に半透明及び/又は透明であってもよい。また、シート102は、手術の副作用から手術野OFの外の患者の毛髪H及び/又は皮膚Sを保護することを支援し得る不浸透性材料から形成されてもよい(図2)。シート102は、処置に応じて、無菌であっても非無菌であってもよい。
【0034】
シール部材104は、シート102の先端部110において又は隣接してシート内に組み込まれ、シート上に設けられ、及び/又はシートに取り付けられてもよい。シール部材104は、手術野OFの外側の患者の毛髪H及び/又は皮膚Sから手術野OFを分離することを支援するように構成される(図2)。シール部材104は、粘着剤、接着剤、弾性ストリップ(例えば、シリコーン)、又は手術野OFを患者の毛髪から分離するように構成し得る任意の他の所望の障壁とし得る。図1に示す構成例では、シール部材は、シート102の先端部110に設けられた粘着剤である。取り外し可能な保護ストリップ(図示せず)が、使用前に接着シール部材104を覆ってもよい。シール部材104は、ハイドロコロイド粘着剤であってもよい。ハイドロコロイド粘着剤は、通常のテープ粘着剤よりも、電気バリカンで剃った後の残毛の小さな断端を含む可能性がある凹状の円形面の周りにおける良好な接触及びシールを可能にする。さらに、ハイドロコロイド粘着剤は、通常のテープ粘着剤よりも除去が容易であり、敏感な皮膚を有する患者に有害な皮膚反応を引き起こす可能性が低い場合がある。
【0035】
シール部材104は、シート102の先端部110に設けられているものとして説明したが、接着剤型のシール部材104等のシール部材104は、最初に、シート102の先端部110の代わりに、患者の皮膚Sに設けられてもよい。患者の皮膚に設けられると、シート102の先端部110は、シール部材104に押し付けられて、シール部材104をシート104の先端部110に、そしてシート104を患者に結合し得る。
【0036】
毛髪案内部材106は、シート102の先端部110に隣接してシート102内に組み込まれ、シート上に設けられ、及び/又はシートに取り付けられる。毛髪案内部材106は、特殊化ドレープ100(図2)の適用中に、患者の毛髪Hを梳かして手術野OFの外に保持するように構成されてもよい。毛髪案内部材106は、少なくとも部分的に、面ファスナのフック部分及び/又はループ部分から形成されてもよい。
【0037】
少なくとも1つの固定部材108は、シート102の先端部110に隣接してシート102内に組み込まれ、シート上に設けられ、及び/又はシートに取り付けられる。少なくとも1つの固定部材108は、特殊化ドレープ100の適用中に患者の毛髪Hに取り付けられるように構成されてもよい。少なくとも1つの固定部材108は、一旦患者の毛髪Hに取り付けられると、特殊化ドレープ100を患者に固定し、処置の間の特殊化ドレープ100の移動を回避するのに役立ち得る(図2)。少なくとも1つの固定部材108は、ヘアクリップ、櫛、ヘアピン、特殊化ドレープ100を患者に取り付けるのに適した任意の他のファスナ、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。図1-2に示す構成例では、特殊化ドレープ100は、複数のヘアクリップ固定部材108(ここではヘアクリップ固定部材108a、108b、108cとして示されている)を含んでいる。
【0038】
その包装の際、シート102は、少なくとも1つの固定部材108の上に折り畳まれてもよく、シール部材104は、取り外し可能な保護ストリップによって覆われかつ保護されてもよい。特殊化ドレープ100を患者に適用するために、ユーザは、毛髪案内部材106によって患者の毛髪を手術野OFから離して、優しく、しかししっかりと梳かす。少なくとも1つの固定部材108は、毛髪案内部材106が患者の毛髪Hを手術野OFから離すように梳くために使用されている間及び/又は使用された後で、患者の毛髪Hに取り付けられてもよい。例えば、少なくとも1つの固定部材108は、患者の毛髪Hに挿入され、次いで、固定部材108のスナップ取り付け機構を使用することによって、「スナップ」して患者の毛髪Hと係止係合し得る。
【0039】
一旦、特殊化ドレープ100が、毛髪案内部材106及び/又は少なくとも1つの固定部材108を介して患者の毛髪Hに締結/固定されると、ユーザは、保護ストリップを除去し、シーリング部材104を、手術野OFの縁部Eにおける剃毛領域上に押し付ける。次に、図2に示すように、ユーザはシート102を患者の毛髪H上に展開する。この時点で、手術野OFに隣接する全ての毛髪Hは、特殊化ドレープ100によって覆われており、適切なシールが手術野OFの縁部Eに沿って形成されている。次に、手術野OFは、例えば、ベタジン又はクロルヘキシジンで調製及び消毒されてもよく、通常の滅菌技術に従って標準的な滅菌接着ドレープで覆われてもよい。あるいは、特殊化ドレープ100は滅菌包装されてもよく、ユーザは、指定された手術野OFが剃毛されて消毒されると、上記のように滅菌様式で特殊化ドレープ100を適用してもよい。手術の最後に、特殊化ドレープ100を除去し、廃棄するか、又は既知の技術を用いて洗浄及び滅菌し得る。
【0040】
上記の患者に特殊化ドレープ100を適用するシーケンスは、施術のシーケンスの一例を示しているに過ぎない。このシーケンスは、特殊化ドレープ100が患者に適用される手法を制限することを意図していない。上記のステップのいずれも、特殊化ドレープ100の構成及び/又は処置に応じて、他のステップの前又は後に実行されてもよい。例えば、特殊化ドレープ100が接着剤型のシール部材104を含む場合、上述の手法で特殊化ドレープ100の残りの部分を取り付ける前に、接着剤型のシール部材104を患者の皮膚Sに適用することが望ましい場合がある。
【0041】
特殊化ドレープ100は、異なる処置のために特殊化ドレープ100をカスタマイズするための代替構成を有し得る。例えば、特殊化ドレープ100の特定の構成は、上述の特徴のいずれかをより多く又はより少なく有し得る。さらに、特殊化ドレープ100の特定の構成は、異なる外科的処置のための切開要件に基づいて、上述の特徴の各々に対して異なるサイズを必要とし得る。
【0042】
図1-15は、特殊化ドレープの代替構成例を示している。図1-2に示す構成は、特殊化ドレープ100の実質的に直線状の構成であり、二冠状切開等の大きな頭皮創傷に特によく適していてもよい。図3は、患者の頭皮上での2つの直線状の特殊化ドレープ100(ここでは特殊化ドレープ100a及び100bとして示されている)の使用を示す。
【0043】
図4に示す構成は、実質的にU字形の構成を有する特殊化ドレープ512である。U字形の特殊化ドレープ512は、ユーザが直線状の特殊化ドレープとしてU字形の特殊化ドレープ512を使用することができ、さらに、実質的に円形のドレープとしてU字形の特殊化ドレープを使用し得るように、可撓性及び汎用性があってもよい。図4に示すように、U字形の特殊化ドレープ512は、複数のヘアクリップ固定部材108(ここではヘアクリップ固定部材108a、108b、108c、108dとして示されている)を含む。図4には示されていないが、U字形の特殊化ドレープ512は、毛髪案内部材106を含み得る。図5は、選択的に屈曲され、かつ実質的に円形のドレープとして使用されるU字形の特殊化ドレープ512を示す。U字形の特殊化ドレープ512は、実質的に円形に操作されるときに、頭皮の1-2cmの病変を切除するための小切開及び/又は小手術野OFの周囲に配置するのに特に適していてもよい。
【0044】
図6-7に示す構成は、実質的に円形の構成を有する特殊化ドレープ814である。円形特殊化ドレープ814のシート102は、手術野OF上に配置されるように構成された円形開口816を含み得る。円形開口は、切開ドレープ818によって覆われてもよい。切開ドレープ818は、使用時に切開ドレープ818がシール部材104として機能し得るように、その上に設けられた粘着剤を有し得る。さらに、切開ドレープ818は、手術野を無菌に保つのに役立つ抗菌特性を有し得る。図7に示すように、円形の特殊化ドレープ814を使用する前に、取り外し可能な保護シート920が切開ドレープ818に設けられた粘着剤を覆ってもよい。図8は、手術野OF上に設けられた切開ドレープ818と共に使用される円形特殊化ドレープ814を示す。図9に示すように、円形の特殊化ドレープ814が所定の位置に配置されると、ユーザは、手術野OFにアクセスするために切開ドレープ818の一部を切開してもよい。
【0045】
また、切開ドレープ818は、直線状の特殊化ドレープ100と共に利用されてもよい。例えば、図10に示すように、切開ドレープ818は、2つの直線状の特殊化ドレープ100(ここでは直線状の特殊化ドレープ100a及び100bとして示されている)の間に延びてもよい。この構成では、切開ドレープ818は、2つの直線状の特殊化ドレープ100a、100bの間に配置された手術野OF上に設けられ得る。さらに、図10に示される構成において、切開ドレープ818は、シール部材104として機能し得る。
【0046】
図11-13は、特殊化ドレープ1322の別の構成を示す。図1に示された直線状の特殊化ドレープと同様に、図11-13の特殊化ドレープ1322は、シート102と、シール部材104と、少なくとも1つの固定部材1322とを含む。しかしながら、図1に示された直線状の特殊化ドレープ100のヘアクリップ固定部材108a、108b、108cとは異なり、図11-13の特殊化ドレープ1322の固定部材1324は、櫛状に構成される。櫛状固定部材1324は、患者の頭部P(図11-12)又は円形の手術野OF(図13)の周囲に合うように輪郭を形成し得る可撓性の設計を有する。櫛状固定部材1324の歯1326は、櫛状固定部材1324が患者の毛髪Hにしっかりと保持されることを可能にする。櫛状固定部材1324は、特殊化ドレープ1322の適用中に患者の毛髪Hを櫛でとかして手術野OFの外に保持するように構成されてもよく、したがって、上述の毛髪案内部材106の代わりに機能し得る。
【0047】
その包装の際、シート102は、櫛状固定部材1324の上に折り畳まれてもよい。さらに、その包装の際、シール部材104は、取り外し可能な保護ストリップ(図示せず)によって保護されてもよい。図11-13の特殊化ドレープ1322を適用するために、ユーザは、手術野OFに隣接する患者の毛髪Hに櫛状固定部材1324を優しく、しかししっかりと挿入する。櫛状固定部材1324、及びそれに対応して特殊化ドレープ1322が患者の毛髪Hに締結されると、ユーザは、保護ストリップを剥離し、手術野OFの縁部Eにおける剃毛領域にシール部材104を押し付ける。次いで、ユーザは、シート102を患者の毛髪H上に展開する。この時点で、手術野に隣接する全ての患者の毛髪は、シート102で覆われるべきであり、適切なシールが手術野OFの縁部Eに沿って形成されている(図11-13)。次に、手術野OFは、例えば、ベタジン又はクロルヘキシジンで調製及び消毒されてもよく、通常の滅菌技術に従って標準的な滅菌接着ドレープで覆われてもよい。あるいは、特殊化ドレープ1322は滅菌包装されてもよく、ユーザは、指定された手術野OFが剃毛されて消毒されると、上記のように滅菌様式で特殊化ドレープ1322を適用してもよい。手術の最後に、特殊化ドレープ1322を除去し、廃棄するか、又は既知の技術を用いて洗浄及び滅菌し得る。
【0048】
上記の患者に特殊化ドレープ1322を適用するシーケンスは、施術のシーケンスの一例を示しているに過ぎない。このシーケンスは、特殊化ドレープ1322が患者に適用される手法を制限することを意図していない。以下に詳述するステップのいずれも、特殊化ドレープ1322の構成に応じて、他のステップの前又は後に実行し得る。例えば、特殊化ドレープ1322が接着剤型のシール部材104を含む場合、上述の手法で特殊化ドレープ1322の残りの部分を取り付ける前に、接着剤型のシール部材104を患者の皮膚Sに適用することが望ましい場合がある。
【0049】
図11-13の特殊化ドレープ1322には、異なる処置に合わせてカスタマイズ可能な複数の形状とサイズが利用可能である。幅広の歯1326を有する櫛状固定部材1324を備えた、より長くて大きいシート102は、頭皮の頂部に亘って一方の耳から他方の耳まで延在する二冠状切開部に特に適切であり得る(図11-12)。短い歯1326を有するより丸みを帯びた櫛状固定部材1324は、頭皮の1-2cmの病変の切除のための小さな切開及び/又は小さな手術野OFの周囲に配置されるのに特に好適であり得る(図13)。異なる処置に対する切開要件に基づいて、固定部材1324及びシート102のサイズ及び形状の多くの組合せが可能である。
【0050】
本開示の態様は、特に上記の例示的態様を参照して示されかつ説明されてきたが、当業者には、種々の追加的態様が企図され得ることが理解されよう。例えば、装置を使用するための上述の特定の方法は、単なる例示である。当業者であれば、本明細書に示しかつ説明したものと実質的に同様の位置に上述した装置又はその構成要素を配置するための任意の数のツール、ステップのシーケンス、又は他の手段/オプションを容易に決定し得るであろう。図中の明確性を維持するために、図示された重複構成要素の特定のものには具体的に番号が付されていないが、当業者は、番号が付された構成要素に基づいて、番号が付されていない構成要素に関連付けられるべき要素番号を認識するであろう。類似の構成要素間の区別は、図中の要素番号の有無のみによって意図され又は暗示されるものではない。記載された構造及び構成要素のいずれも、単一の又はモノリシック片として一体的に形成されてもよく、又は別個のサブ構成要素から構成されてもよく、これらの形成のいずれかは、任意の適切なストック又はカスタム構成要素及び/又は任意の適切な材料又は材料の組み合わせを含む。しかしながら、(複数の)選択された材料は多くの応用に対して生体適合性であるべきである。さらに、(複数の)選択された材料は、手術野を無菌に保つのに役立つ抗菌特性を有し得る。記載された構造及び構成要素のいずれも、特定の使用環境に対して所望されるように使い捨て可能又は再使用可能であり得る。任意の構成要素は、その構成要素に関連する材料、構成、少なくとも1つの寸法等を示すためのユーザ認識可能なマーキングを備えてもよく、ユーザ認識可能なマーキングは、ユーザが特定の使用環境のために類似の構成要素の配列から1つの構成要素を選択する際にユーザを支援する可能性がある。「実質的に」という用語は、本明細書では、大部分ではあるが必ずしも全体ではない品質を示すために使用されており、「実質的な」品質を特定するものは、非品質的な項目の何らかの比較的軽微な包含の可能性を許容する。本明細書に記載される特定の構成要素は、特定の幾何学的形状を有するものとして示されるが、本開示の全ての構造は、任意の適切な形状、サイズ、構成、相対関係、断面積、又は特定の用途に望ましい任意の他の物理的特性を有し得る。1つの態様又は構成に関連して記載された任意の構造又は特徴は、他のあらゆる態様又は構成に単独で、又は他の構造若しくは特徴と組み合わせて提供されてもよい。それは、本明細書に記載された態様及び構成のそれぞれを、他の態様及び構成の全てに関して記載されたオプションの全てを有するものとして記載することは実際的ではないからである。これらの特徴のいずれかを組み込む装置又は方法は、以下の請求項及びそれらの任意の均等物に基づいて決定されるように、本開示の範囲に該当すると理解されるべきである。
【0051】
他の態様、目的、及び利点も、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することで得ることができる。
図1
図2
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図4-5】
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図13