(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】建築パネル、アセンブリ及び関連付けられた方法
(51)【国際特許分類】
E04D 12/00 20060101AFI20240903BHJP
C04B 28/14 20060101ALI20240903BHJP
C04B 14/42 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E04D12/00 D
C04B28/14
C04B14/42 Z
(21)【出願番号】P 2021572615
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 US2020036274
(87)【国際公開番号】W WO2020247722
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507277664
【氏名又は名称】ジョージア パシフィック ジプサム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギリー スチュアート ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン チャールス リチャード
(72)【発明者】
【氏名】カイロ ハメド ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャンヨン
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04948647(US,A)
【文献】特開2001-261363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038101(US,A1)
【文献】米国特許第06475313(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 12/00
C04B 28/14
C04B 14/42
E04C 2/04
E04C 2/26
E04C 2/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根葺きパネルであって、
固化石膏コアと、
前記固化石膏コアと関連付けられた糸状スクリムであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含み、前記メッシュが互いに離間したほぼ平行な細長い糸からなるセットを2つ含み、2つの前記セットに各々属する細長い糸が互いにほぼ垂直に配設され、前記細長い糸の各々が約0.05インチ~約0.5インチの幅又は直径を有し、前記糸状スクリムが約4oz/yd
2~約25oz/yd
2の重量を有する、糸状スクリムと、 前記糸状スクリムと関連付けられた不織マットフェーサと、
を備え、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された1/4インチパネルに対して、少なくとも120lb/ft
2の耐風揚圧力性を示し、
前記
固化石膏コア又はその大部分の層が約45lb/ft
3~約80lb/ft
3の密度を有する、
屋根葺きパネル。
【請求項2】
前記細長い糸が繊維ガラス糸である、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項3】
前記細長い糸の各々が複数の細長いフィラメントを含む、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項4】
各細長い糸中の前記複数の細長いフィラメントが一緒に接着されている、請求項3に記載の屋根葺きパネル。
【請求項5】
各細長い糸中の前記複数の細長いフィラメントが尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダと一緒に接着されている、請求項4に記載の屋根葺きパネル。
【請求項6】
前記複数の開口部の各々が約0.01in
2~約0.5in
2の面積を有する、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項7】
前記糸状スクリムがフィラメントの双方向性、三方向性、又は四方向性パターンを有する、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項8】
各セット内の前記ほぼ平行な細長い糸が約0.1インチ~約0.5インチの距離で互いに離間している、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項9】
前記ほぼ平行な細長い糸が2つの前記セット間で一緒に接着されている、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項10】
前記ほぼ平行な細長い糸が2つの前記セット間で尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダと一緒に接着されている、請求項9に記載の屋根葺きパネル。
【請求項11】
ほぼ平行な細長い糸の各セットが前記屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部にほぼ平行に配設されている、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項12】
ほぼ平行な細長い糸の各セットが前記屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部に対して約45度の角度で配設されている、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項13】
前記不織マットフェーサが複数のガラス繊維で形成された不織繊維ガラスマット
である、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項14】
前記不織繊維ガラスマッ
トが前記
不織繊維ガラスマットの100平方フィート当たり約1.5ポンド~約4.0ポンドの坪量を有する、請求項13に記載の屋根葺きパネル。
【請求項15】
前記複数のガラス繊維の各々が約1~約17ミクロンの平均直径、及び約1/16インチ~約1インチの平均長さを有する、請求項13に記載の屋根葺きパネル。
【請求項16】
前記不織繊維ガラスマットが結合されて、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダを有する一体型マット構造を形成する、請求項13に記載の屋根葺きパネル。
【請求項17】
前記
固化石膏コアの反対側の前記不織マットフェーサの表面上に弾性コーティングを更に備える請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項18】
前記弾性コーティングが、エラストマーアクリル共重合体/樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド、ポリウレタンエラストマー、合成ゴム、及びゴム加工/エラストマーコーティング材料の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項19】
前記弾性コーティングが約1ミル~約30ミルの厚さを有する、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項20】
前記弾性コーティングが少なくとも200psiの引張強度を示す、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項21】
前記弾性コーティングが少なくとも約50psiの引裂強度を示す、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項22】
前記弾性コーティングが約18A~約72Aのショア硬度格付けを有する、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項23】
前記弾性コーティングが約10lb/msf~約165lb/msfの重量で存在する、請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項24】
前記不織マットフェーサが、前記屋根葺きパネルの対向側を形成し、前記対向側が、前記屋根葺きパネルの裏側と反対側であり、前記裏側が、設置時に前記屋根葺きパネルが設置される建物の内部に面するように構成されており、
前記弾性コーティングが、前記屋根葺きパネルの対向側上にある、
請求項17に記載の屋根葺きパネル。
【請求項25】
前記固化石膏コアが少なくとも2つの石膏層を含み、前記少なくとも2つの石膏層のうちの少なくとも1つが、他の少なくとも2つの石膏層のうちの少なくとも1つよりも高い湿潤密度を有するスレートコート層である、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項26】
前記固化石膏コア又はその大部分の層が、(i)約5lb/msf~約15lb/msfの量のシロキサン、又は(ii)約1lb/msf~約10lb/msfの量のシリコネート、又はその両方を含有する、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項27】
前記屋根葺きパネルが約1/4インチ~約1インチの厚さを有する、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項28】
屋根葺きパネルであって、
固化石膏コアと、
前記固化石膏コアと関連付けられた糸状スクリムであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、糸状スクリムと、
前記糸状スクリムと関連付けられた不織マットフェーサと、
を備え、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された1/4インチパネルに対して、少なくとも120lb/ft
2の耐風揚圧力性を示す、
屋根葺きパネル。
【請求項29】
屋根葺きパネルであって、
固化石膏コアと、
前記固化石膏コアと関連付けられた糸状スクリムであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、糸状スクリムと、
前記糸状スクリムと関連付けられた不織マットフェーサと、
を備え、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された5/8インチパネルに対して、少なくとも195lb/ft
2の耐風揚圧力性を示す、
屋根葺きパネル。
【請求項30】
前記屋根葺きパネルが、糸状スクリムを有しない同一の屋根葺きアセンブリ内に設置されている他の同一のパネルよりも高い耐風揚圧力性を示す、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項31】
前記屋根葺きパネルは、前記屋根葺きパネルが、より少ない締結具を有する他の同一の屋根葺きアセンブリに設置されるときに、糸状スクリムを有しない他の同一のパネルに少なくとも同一の耐風揚圧力性を示す、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項32】
前記屋根葺きパネルが、クラス-1 FM 4470 VSH(Very Severe Hail)規格を満たす、請求項1に記載の屋根葺きパネル。
【請求項33】
屋根葺きパネルを製造する方法であって、
糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含み、前記メッシュが互いに離間したほぼ平行な細長い糸からなるセットを2つ含み、2つの前記セットの各々に属する細長い糸が互いにほぼ垂直に配設され、前記細長い糸の各々が約0.05インチ~約0.5インチの幅又は直径を有し、前記糸状スクリムが約4oz/yd
2~約25oz/yd
2の重量を有する、関連付けることと、
前記糸状スクリム及び不織マットフェーサを石膏スラリーと関連付けることと、
前記石膏スラリーが、固化石膏コアの少なくとも一部分を形成するように固化することを可能にすることと、
を含み、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された1/4インチパネルに対して、少なくとも120lb/ft
2の耐風揚圧力性を示し、
前記
固化石膏コア又はその大部分の層が約45lb/ft
3~約80lb/ft
3の密度を有する、
方法。
【請求項34】
前記糸状スクリムを前記不織マットフェーサと関連付けることが、前記糸状スクリム及び前記不織マットフェーサを前記石膏スラリーと関連付けることと同時に起こる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記糸状スクリムを前記不織マットフェーサと関連付けることが、前記糸状スクリム及び前記不織マットフェーサを前記石膏スラリーと関連付けることの前に起こる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記細長い糸が繊維ガラス糸である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記細長い糸の各々が複数の細長いフィラメントを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
各細長い繊維ガラス糸中の前記複数の細長いフィラメントが一緒に接着されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
各細長い繊維ガラス糸中の前記複数の細長いフィラメントが尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダと一緒に接着されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の開口部の各々が約0.01in
2~約0.5in
2の面積を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記糸状スクリムがフィラメントの双方向性、三方向性、又は四方向性パターンを有する、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
各セット内の前記ほぼ平行な細長い糸が約0.1インチ~約0.5インチの距離で互いに離間している、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記ほぼ平行な細長い糸が2つの前記セット間で一緒に接着されている、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記ほぼ平行な細長い糸が2つの前記セット間で尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダと一緒に接着されている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ほぼ平行な細長い糸の各セットが前記屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部にほぼ平行に配設されている、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
ほぼ平行な細長い糸の各セットが前記屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部に対して約45度の角度で配設されている、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記不織マットフェーサが複数のガラス繊維で形成された不織繊維ガラスマット
である、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記不織繊維ガラスマッ
トが前記
不織繊維ガラスマットの100平方フィート当たり約1.5ポンド~約4.0ポンドの坪量を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記複数のガラス繊維の各々が約1~約17ミクロンの平均直径、及び約1/16インチ~約1インチの平均長さを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記不織繊維ガラスマットが結合されて、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダを有する一体型マット構造を形成する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記
固化石膏コアの反対側の前記不織マットフェーサの表面に弾性コーティングを塗布することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
前記弾性コーティングが塗布され、周囲条件で固化される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記弾性コーティングが、エラストマーアクリル共重合体/樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド、ポリウレタンエラストマー、合成ゴム、及びゴム加工/エラストマーコーティング材料の少なくとも1つを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記弾性コーティングが約1ミル~約30ミルの厚さを有する、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記弾性コーティングが少なくとも200psiの引張強度を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記弾性コーティングが少なくとも約50psiの引裂強度を示す、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記弾性コーティングが約18A~約72Aのショア硬度格付けを有する、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記弾性コーティングが約10lb/msf~約165lb/msfの重量で存在する、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記糸状スクリム及び前記不織マットフェーサを前記石膏スラリーと関連付けることが、少なくとも1つの石膏スラリーを前記糸状スクリム上に堆積させることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項60】
前記糸状スクリム及び前記不織マットフェーサを前記石膏スラリーと関連付けることが、少なくとも2つの石膏スラリーを前記糸状スクリム上に堆積させることを含み、前記少なくとも2つの石膏スラリーのうちの少なくとも1つが、他の少なくとも2つの石膏スラリーのうちの少なくとも1つよりも高い湿潤密度を有するスレートコートスラリーである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記石膏スラリーが、(i)約5lb/msf~約15lb/msfの量のシロキサン、又は(ii)約1lb/msf~約10lb/msfの量のシリコネート、又はその両方を含有する、請求項33に記載の方法。
【請求項62】
前記屋根葺きパネルが約1/4インチ~約1インチの厚さを有する、請求項33に記載の方法。
【請求項63】
屋根葺きパネルを製造する方法であって、
糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、関連付けることと、
前記糸状スクリム及び不織マットフェーサを石膏スラリーと関連付けることと、
前記石膏スラリーが、固化石膏コアの少なくとも一部分を形成するように固化することを可能にすることと、
を含み、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された1/4インチパネルに対して、少なくとも120lb/ft
2の耐風揚圧力性を示す、
方法。
【請求項64】
屋根葺きパネルを製造する方法であって、
糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、関連付けることと、
前記糸状スクリム及び不織マットフェーサを石膏スラリーと関連付けることと、
前記石膏スラリーが、固化石膏コアの少なくとも一部分を形成するように固化することを可能にすることと、
を含み、
前記屋根葺きパネルが、減圧下で
4個以上12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリ上で試験された5/8インチパネルに対して、少なくとも195lb/ft
2の耐風揚圧力性を示す、
方法。
【請求項65】
前記屋根葺きパネルが、クラス-1 FM 4470 VSH(Very Severe Hail)規格を満たす、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、建築構造に使用するパネル及び他の材料の分野に関し、より具体的には、高強度屋根葺き及び野地パネル、このようなパネルの作製し、かつ設置する方法、並びにそれらの使用のためのアセンブリ及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年6月7日に出願された米国仮出願第62/858,450号及び2019年8月23日に出願された米国特許仮出願第62/890,981号の優先権の利益を主張するものであり、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
内部壁板、外部建築野地、床材、屋根葺き、及び他の建築構造パネルは、施工中及び施工後に水分、風、及び極端な温度を含む極限環境条件に曝され得る。加えて、このようなシステムは、不適切な設置が不適切に封止され、緩い、又は別の方法で脆弱若しくは浸透可能な構造アセンブリをもたらすように、手間を要する精度の高い設置を必要とする場合がある。
【0004】
具体的には、降雹(こうひょう)は、建物、屋根、屋根に装着された設備、及び他の屋外設備を激しく損傷させる恐れがある、世界の多くの地域に影響を及ぼす広範な危険である。降雹による保険損害は、2018年には米国において11年連続で100億ドルに達した。
【0005】
したがって、容易な設置及び改善された強度並びに/又は耐降雹性を含む耐候性を提供する屋根葺きパネルなどの構造パネルを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、建築パネルが提供される。建築パネルは、固化石膏コアなどの構造コアを含んでもよい。パネルは、コアと関連付けられた少なくとも1つの糸状スクリムを含み、糸状スクリムは、間に複数の開口部を画定する細長い糸で構成されたメッシュである。不織マットフェーサは、糸状スクリムと関連付けられている。特定の実施形態では、建築パネルは屋根葺きパネルである。
【0007】
別の態様では、建築パネルのアセンブリ及びシステムもまた提供される。
【0008】
更に別の態様では、建築パネルの製造方法が提供される。本方法は、糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることであって、糸状スクリムが、複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、関連付けることと、糸状スクリム及び不織マットフェーサを石膏スラリーなどのコア材料と関連付けることと、を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示による石膏パネルを生成するための製造ラインの部分を示す概略的な部分側面図である。
【
図2】石膏パネルの製造に使用される下部繊維ガラスマットの、
図1の左側に向かって示された拡大部分断面図である。
【
図3】
図2の線3--3によって示されるように取られた部分平面図である。
【
図4】
図1の右側に向かって示されるように取られ、パネルの製造に使用される介在石膏組成物を有する、下部繊維ガラスマット及び上部繊維ガラスマットの両方を示す拡大断面図である。
【
図5】
図4の線5--5によって示されるように取られた部分平面図である。
【
図6】
図4の線6--6によって示されるように取られ、パネルの下部マットの底面を示す部分底面図である。
【
図7】完成したパネルの縁部部分の横断面図であり、この図は、
図4の線7--7によって示されるように取られている。
【
図8】
図4の頂部に向かって示されるように取られた、更なる拡大部分断面図である。
【
図9】
図4の底部に向かって示されるように取られた、更なる拡大部分断面図である。
【
図10】本開示によるパネルを組み込む例示的な屋根デッキアセンブリの部分的に破断した斜視図である。
【
図11】
図10の線11--11に沿って取られた拡大断面図である。
【
図12】本開示によるパネルの繊維性上面への第1のアスファルト層の浸透を示す、
図11の丸で囲まれた面積の大幅に拡大された断面図である。
【
図13】本開示による屋根葺きパネルなどの構造パネルの断面図である。
【
図14】本開示による構造パネルの別の実施形態の断面図である。
【
図15】本開示による糸状スクリムの一実施形態の平面図である。
【
図16】本開示による糸状スクリムの別の実施形態の平面図である。
【
図17】本開示による屋根デッキアセンブリの斜視図である。
【
図18】本開示による屋根デッキアセンブリの別の実施形態の部分斜視図である。
【
図19】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図20】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図21】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図22】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図23】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図24】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図25】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図26】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図27】本開示による糸状スクリムの一実施形態の平面図である。
【
図28】実施例に記載された耐風揚圧力性試験の結果を示すグラフである。
【
図29】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図30】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図31】実施例に記載された押込み試験の結果を示すグラフである。
【
図32】実施例に記載された亀裂試験の結果を示すグラフである。
【
図33】実施例に記載されたプルスルー試験の結果を示すグラフである。
【
図34】実施例に記載された耐風揚圧力性試験の結果を示す表である。
【
図35】実施例に記載された耐風揚圧力性試験の結果を示す表である。
【
図36】実施例に記載された耐風揚圧力性試験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図面を参照するが、図面は例示であって限定するものではなく、同様の要素には同様の番号が付けられている。発明を実施するための形態は、同じ参照番号の使用が類似又は同一の項目を示す、本開示の実施例を示す添付図面を参照して説明される。本開示の特定の実施形態は、図面に示されるもの以外の要素、構成要素、及び/又は構成を含んでもよく、図面に示される要素、構成要素及び/又は構成の一部は、特定の実施形態では存在しない場合がある。
【0011】
製造及び使用のための構造パネル及び方法が、本明細書に提供される。一般的に、これらの構造パネルは、内部壁板(内装用壁板)、外部建築野地(建築用外装材)、床材、及び屋根葺きパネルを含むが、これに限定されない、施工に使用するための任意の既知の剛性パネルの形態であってもよい。具体的には、本開示は、改善された強度特性を有する屋根葺きパネルを説明する。しかしながら、上記の改善された特性を達成する記載されたパネル構造は、他の種類の構造パネルに同様に組み込まれてもよいことを理解されたい。
【0012】
例えば、本明細書に記載されるパネル及び材料は、壁板、外部野地、屋根板、及び床材、音軽減及び雨スクリーンマット、並びに他の構造用途などの内部又は外部構造用途のパネルであってもよい。例えば、本明細書に記載されるパネルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、その両方が「Gypsum Panels,Systems,and Methods」と題された、米国特許第10,179,997号及び米国特許出願第15/014,922号に記載されているものなどの外部石膏野地パネルであってもよい。例えば、本明細書に記載されるパネルは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,893,752号、同第8,070,895号、同第6,342,284号、同第6,632,550号、同第7,244,304号、同第7,425,236号、同第7,758,980号、同第7,964,034号、同第8,142,914号及び同第8,500,904号に記載されているものなどのセルロース繊維材料を含有する繊維補強石膏パネルであってもよい。例えば、本明細書に記載されるパネルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,319,900号に記載されているものなどの屋根デッキパネルであってもよい。例えば、本明細書に記載される構造材料は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,157,231号及び同第7,861,488号に記載されているものなどの、ポリマー雨スクリーン又は音軽減マットであってもよい。例えば、本明細書に記載されるパネル又は建築材料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,651,564号に記載されているものなどの石膏及び/又はコンクリート床材下張りであってもよい。
【0013】
全体として、本開示は、構造パネル及び/又は材料が、(i)不織マットフェーサと組み合わせた又はそれに隣接した糸状スクリム、(ii)弾性/可撓性表面コーティング、及び(iii)比較的高いパネルコア密度のうちの1つ以上を含有し、風揚圧力、耐水性、釘引き、曲げ、及び透過性などのパネルの他の物理的特性を保持しながら、高い耐衝撃性を含む、高められた強度及び/又は耐降雹性を提供する、商業及び/又は居住用途のための、内部及び/又は外部構造用途のための様々な構造パネル及び材料に関する。具体的には、本明細書に開示される構造パネルは、Factory Mutual(屋根葺きを含む商業及び産業施設で使用するための特性損失防止に焦点を当てたサードパーティグローバル認定機関)のModerate Hail(クラス1-MH)、Severe Hail(クラス1-SH)、及び/又はVery Severe Hail(クラス1-VSH)のFFM Severe Hail(クラス1-VSH)のFM 4470耐降雹性クラスの規格を満たしてもよい。以下に記載されるように、驚くべきことに、本明細書に記載される特性の組み合わせは、より少ない締結具の使用に基づいて、他の物理的パネル特性及びパネル設置効率の著しい改善を犠牲にすることなく、強度及び耐降雹性の顕著な改善を提供することが見出されている。
【0014】
屋根葺きパネルは、風、雨、雹(ひょう)、及び極端な温度を含む極限気象条件に曝される。低勾配及び勾配なし屋根上では、屋根パラペットを越えて移動し、このような屋根の部分に低圧点を形成する風パターンに起因して、屋根葺きパネルは吸引を受ける。屋根パネル又はアセンブリが十分に強力でない場合、このような吸引は、パネル又はアセンブリの他の部分の揚圧力及び分離をもたらし得る。この現象は、ハリケーン及び竜巻などの、過酷な風況において、ますます起こりやすい。特定の態様では、本開示は、より単純な設置工程で風揚圧力に対する増加した耐性を示す低勾配又は勾配なし屋根の屋根葺きパネルなどの構造パネルを提供する。具体的には、このような構造パネルは、固化石膏コアと、固化石膏コアと関連付けられた糸状スクリムと、糸状スクリムと関連付けられた又はそれに隣接する不織マットフェーサと、を含む。以下に記載されるように、驚くべきことに、糸状スクリムと不織マットフェーサとの組み合わせが、石膏パネルにおける耐風揚圧力性の著しい改善をもたらすことが見出されている。
【0015】
具体的には、本発明者らは、驚くべきことに、石膏パネル上のガラスマットフェーサの面、裏、又は面及び裏の両方の下のスクリムが、これらのパネルがFM-4470 Very Severe Hail(クラス1-VSH)を達成するように、降雹条件に曝されると、増加した風揚圧力性能及び低減された面の凹部を提供することを見出した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、スクリム含有ガラスマットパネルと組み合わせて、風揚圧力評価の実験室条件下で試験した場合に、標準的な屋根葺き締結具が故障点であることを見出した。換言すれば、スクリムを有するガラスマットパネルは、風揚圧力試験室条件下で、標準的な屋根葺き締結具より長持ちし得る。この発見は、かつてはより多くの屋根葺き締結具を必要とした、認定されたFM風揚圧力性能基準を達成するために、屋根葺き設置におけるより少ない締結具の使用を可能にする。更に、より少ない屋根葺き締結具及びより良好な認定されたFM風揚圧力性能を達成する特定の幾何学的設置パターンを使用することにより、より迅速な屋根葺きの設置を可能にし、それによって、請負業者にとって多大な時間及び費用が節約される。例えば、実験室試験は、非常に高い風揚圧力試験室条件において、本発明のパネルを使用して、屋根葺き締結具の数の4倍の減少を実証した。したがって、単位面積当たり、より少ない屋根葺き締結具が必要とされる。4フィート×8フィートパネルでは、屋根葺き締結具の数は、例えば4~24個の屋根葺き締結具、4~16個の屋根葺き締結具、4~12個の屋根葺き締結具、又は4~8つの屋根葺き締結具のような、4~32個の範囲である。4フィート×4フィートパネルでは、屋根葺き締結具の数は、2~6つ、例えば2~4つの屋根葺き締結具の範囲である。当業者であれば、屋根葺き締結具という用語は、金属ねじ頭に直接取り付けられるか、又はねじの上に取り付けられ、ねじ頭までスライドされる、様々な幾何学的形状、厚さ、及び組成物(本明細書に記載される)のプレートを有する大きな金属ねじを含むが、これに限定されないことを理解する。
【0016】
特定の実施形態では、スクリム含有ガラスマットパネルの風揚圧力性能は、予想を著しく超え、全体的なパネル強度を得るために、発明者らは、単一の締結具に付加された屋根葺き締結具プレートの数を倍増させた。これらの実施形態は、4フィート×8フィートパネル内のわずか4つの屋根葺き締結具を用いて、並外れた風揚圧力性能を可能にした。
【0017】
屋根葺きパネル及びアセンブリ、並びに屋根葺きパネル及びアセンブリを製造し、かつ設置する方法について、以下に説明する。概して、本開示は、屋根デッキパネルを参照して説明される。しかしながら、壁板及び野地パネルを含む他の構造パネルも想定され、本開示の範囲内に収まることが意図される。したがって、屋根葺きパネルに関する詳細の開示は、他のこのような構造パネルに同様に適用可能であるように解釈されるべきである。本明細書に記載される構造パネル及び他の構造材料は、容易な設置及び安全な構造アセンブリを提供し得る。
【0018】
構造パネル
一般に、本開示によるパネルは、業界で既知の任意の好適な構造又は構成を含んでもよい。例えば、パネルは、パネルコアの有意な構成要素として(例えば、最大85重量パーセント以上の量で)石膏を含有するパネルであってもよく、又はパネルコアの構成要素として他の構成要素と組み合わせて(例えば、85パーセント未満の量で)石膏を含有するパネルであってもよい。パネルコア内に存在し得る他の構成要素の例としては、セメント系材料、酸化マグネシウム、飛灰、繊維ガラス、セルロース、又は他の繊維が挙げられるが、これらに限定されない。更に、本開示は、一般に、石膏コア又は層を含む建築パネル(本明細書では「構造パネル」とも呼ばれる)に関するが、他のパネルは、本明細書に記載される建築構造用に好適な木質系、発泡系、及び他の材料系パネルなど、石膏パネルに好適に代用されてもよい。すなわち、本開示の様々な実施形態は、石膏パネルを参照して説明又は例示されているが、石膏コア及び他のパネル特徴は、これらの他のパネル又は構造材料の種類の好適な構成要素と交換され得ることを理解されたい。具体的には、このようなパネル及び他の材料は、参照により本明細書に組み込まれる文献に記載されている。例えば、これらのパネル及びマットは、本明細書に記載されるように、任意の好適なフェーサ材料又は他の外部コーティング材料と共に、任意の好適なパネルコア(例えば、パネルの構造コアを形成する1つ以上の層)を含んでもよい。
【0019】
全体として、本明細書に記載される屋根葺きパネルなどの構造パネルは、以下で考察される以下の特徴、(i)不織マットフェーサと組み合わせて又はそれに隣接する糸状スクリム、(ii)弾性/可撓性表面コーティング、及び(iii)比較的高いパネルコア密度、の任意の組み合わせを含有し、風揚圧力、耐水性、釘引き、曲げ、及び透過性などのパネルの他の物理的特性を保持しながら、高い耐衝撃性を含む、高められた耐降雹性を提供してもよい。具体的には、本明細書に開示される構造パネルは、Moderate Hail(クラス1-MH)、Severe Hail(クラス1-SH)、及び/又はVery Severe Hail(クラス1-VSH)に関するFM 4470耐降雹性クラスの規格を満たしてもよい。特定の実施形態では、パネルは、クラス-1 FM 4470 VSH(Very Severe Hail)規格(2019年に最新改正)を満たす。
【0020】
FMクラス1-VSH試験の下、2インチ(51mm)直径の氷球は、53~58ft-lb(72~79J)の衝撃エネルギーを達成するために、圧縮空気を使用して、組み立てられた屋根試験サンプルにおいて、152~160f/秒(46~49m/秒)の速度で推進される。クラス1-VSH格付けを達成するための許容基準は、屋根カバー、現場継ぎ目、及び屋根カバーの下の基質上での亀裂又は分裂又は分離又は破裂の兆候を示さないことである。基質中の小表面押込みは、衝撃点で許容される。以下の実施例に記載されるように、驚くべきことに、記載された特徴の組み合わせにより、耐降雹性能の著しい改善がもたらされたことが発見された。具体的には、これらの結果により、埋め込まれたスクリム、より重いコア、及び/又は可撓性トップコートの組み合わせにより、石膏ボードが屋根アセンブリシステム(すなわち、小亀裂及び押込み)において優れたVSH耐性性能を提供することを可能にすることが確認された。
【0021】
一態様では、屋根葺きパネルなどの構造パネルが提供される。
図13に示すように、パネル1000は、第1の表面及び第2の対向する表面を有する剛性パネルコア101を含む。本明細書で使用するとき、用語「剛性パネルコア」は、構造パネル(例えば、屋根葺きパネル、野地パネル、壁板パネル)として典型的に使用するのに好適な、実質的に硬い非可撓性パネルを指す。例えば、パネルコア101は、繊維補強石膏コアなどの固化石膏コアであってもよい。パネル1000はまた、固化石膏コア101と関連付けられている糸状スクリム110と、糸状スクリム110と関連付けられている不織マットフェーサ104と、を含む。本明細書で使用するとき、「と関連付けられた」という語句は、全体的なパネル構造内に直接又は間接的に物理的に配設された2つの構成要素を指すために広く使用され、すなわち、任意の好適な化学的手段又は機械的手段によって互いに近接して、隣接して、かつ/又は接触して配設されている。例えば、糸状スクリムは、石膏コア内に埋め込まれてもよいが、不織マットフェーサと接触しておらず(すなわち、スクリムは石膏コアの縁部から内部で離間され得る)、又は、糸状スクリムは、石膏コア内に埋め込まれ、かつ不織マットフェーサに接触してもよく、又は、糸状スクリムは、石膏コアがスクリム及びマットフェーサの両方に浸透するように、不織マットフェーサに積層されるか、若しくは他の方法で連結されてもよい。他の実施形態では、スクリムは、固化石膏コアと関連付けられても関連付けられなくてもよい(すなわち、石膏が不織マットフェーサに完全に浸透してスクリムに接触するかどうかに応じて)不織マットフェーサの外面上に位置決めされてもよい。
【0022】
図13に示すように、パネル1000は、2つの対向する外面107、109を有してもよい。第2の外面109は、コーティングされた又はコーティングされていない不織マットフェーサ(すなわち、糸状スクリムと関連付けられた不織マットフェーサ)によって形成され、一方、第1の外面107は、石膏コアの表面(
図13に示される)又は第2のコーティングされた若しくはコーティングされていない不織マットフェーサ(
図14に示される)によって形成されてもよい。重要なことに、第2の外面109(すなわち、スクリム110に最も近い表面)は屋根葺きパネルの対向側であってもよく、一方で、対向する第1の外面107は、屋根葺きパネルの裏側であってもよい。例えば、屋根葺きパネルの裏側は、設置時に屋根葺きパネルが設置される建物の内部に面するように構成された側(例えば、屋根葺きアセンブリの断熱性材料と関連付けられるように構成された側)であってもよく、一方、屋根葺きパネルの対向側は、屋根葺きアセンブリの膜、封止材、又は他の保護被覆(例えば、単プライ屋根葺き膜)を受容するように構成された側であってもよい。他の実施形態では、糸状スクリムは、対向側の代わりにパネルの裏側と関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、対向側及び裏側の両方は、その中に埋め込まれた糸状のスクリムを有してもよい。
【0023】
特定の実施形態では、
図13に示されるように、糸状スクリム110は、不織マットフェーサ104と石膏コア101の大部分との間に位置決めされている。石膏コアから石膏のいくらかの部分が、糸状スクリム及び不織マットフェーサに浸透してもよいことを理解されたい。
【0024】
本明細書で使用するとき、語句「糸状スクリム」は、細長いフィラメント(例えば、繊維又は材料ストランド)、典型的には実質的に途切れない細長いフィラメントによって形成された好適なメッシュ又はメッシュ様構成を有するスクリムを指す。糸状スクリムは、任意の好適な構造、パターン、又は織り構成を有してもよい。特定の実施形態では、糸状スクリムは、フィラメントの双方向性、三方向性、又は四方向性パターンを有する。例えば、双方向スクリムは、90度で交差する機械方向及び機械交差方向の糸を有し(
図15及び
図16を参照)、一方、三方向スクリムは、機械方向糸と90度よりも小さい角度で交差する機械交差糸を有し、四方向スクリムは、45度で一緒に結合された2つ以上の双方向スクリムを有する(
図27を参照)。特定の実施形態では、糸状スクリムは、敷設スクリム、織布スクリム、不織スクリム、又は編スクリムである。
【0025】
特定の実施形態では、糸状スクリム110は、
図15及び
図16に示される110a/bなどのように複数の開口部114を間に画定する複数の細長い糸112の好適なメッシュ構造である。例えば、各細長い糸112は、モノフィラメント又は複数の細長いフィラメントで形成されてもよい。例えば、各細長い糸112は、約4~約12個の細長いフィラメント、例えば約6~約8つの細長いフィラメントを含有してもよい。
【0026】
糸状スクリムの細長いフィラメントは、繊維ガラス又は好適なポリマー材料などの任意の好適な材料で形成されてもよい。特定の実施形態では、糸状スクリムは、耐火性、寸法安定性、及び耐水性を有益に提供し得る繊維ガラスで形成される。
【0027】
複数の細長いフィラメントによって形成される場合、糸112は、複数の細長いフィラメントを一緒に接着する接着剤材料を含んでもよい。例えば、各細長い糸中の複数の細長いフィラメントは、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダと一緒に接着されてもよく、これは殺生物材料を含有しても含有しなくてもよい。このような細長いフィラメントの束は、様々な断面形状(円形、三角形、正方形、五角形など)を有してもよいが、特定の製造プロセス中に、糸112は少なくとも部分的に平坦化され得る。特定の実施形態では、断面は円形である。
【0028】
細長いフィラメント及びその形成された糸112は、任意の好適な長さ及び直径、幅、並びに厚さを有してもよい。例えば、細長いフィラメントは各々、約1μm~約100μm、例えば約1μm~約30μmの直径を有してもよい。例えば、細長い糸112は、約0.0005インチ~約0.5インチ、例えば約0.05インチ~約0.5インチ、例えば約0.05インチ~約0.12インチの直径又は幅を有してもよい。例えば、細長い糸112は、平坦なスクリムプロファイルを作り出すために、幅とは異なる厚さ(すなわち、糸の断面形状は対称でなくてもよい)を有してもよい。このような実施形態では、細長い糸112の厚さは、約0.05インチ~約0.5インチ、例えば約0.1インチ~約0.3インチであってもよい。本明細書で使用するとき、用語「約」は、数値を参照して使用される場合、記載された数値のプラス又はマイナス最大5パーセントである量を指す。
【0029】
糸112の間に形成された開口部114は、スクリムフィラメント束の特定の配向に基づいた任意の好適な形状及び寸法であってもよい。例えば、開口部114は、長方形、正方形、非長方形平行四辺形、円形、楕円形、三角形、又は他の多角形であってもよい。例えば、開口部114の各々は、約0.01in2~約0.5in2、例えば約0.018in2~約0.175in2の面積を有してもよい。
【0030】
特定の実施形態では、糸状スクリム110は、一連の糸112を重なり合った又は織られた形態に配設することによって形成される。スクリム110の糸112は、それらのパターン又は構成を維持するために一緒に接着されてもよい。例えば、糸112は、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダなどの接着剤で互いに接着されてもよい。
【0031】
特定の実施形態では、
図15及び
図16に示されるように、糸状スクリム110a/bのメッシュは、互いに離間し
たほぼ平行な細長い糸112
からなるセットを2つ含み、2つのセットは互いにほぼ垂直に配設される。すなわち、糸は、約90度の交差角116を画定するように互いに重なり合ってもよい。当然のことながら、他の構成では、交差角は、90度よりも小さくてもよく、又は90度を超えてもよい。本明細書で使用するとき、用語「ほぼ」は、糸などの材料の相対位置を指すために使用されるとき、参照された特性を有する材料を包含することを意味し、又は、5パーセント標準誤差などの実質的に参照された特性を有する材料を包含することを意味する。
【0032】
特定の実施形態では、2セットのほぼ平行な細長い繊維のうちの少なくとも1つは、各々が約0.1インチ~約2インチの距離で互いに離間している糸を含む。例えば、2セットのほぼ平行な細長い繊維のうちの少なくとも1つは、約0.1インチ~約0.5インチの距離で互いに離間している糸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、2セットのほぼ平行な細長い繊維の両方は、各々約0.1インチ~約2インチ、例えば約0.1インチ~約0.5インチの距離で互いに離間している糸を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、2セットのほぼ平行な細長い繊維の糸間隔は、機械方向と交差方向において異なる。例えば、機械方向における糸間隔は、約0.13インチ~約0.5インチの範囲であってもよい。例えば、交差方向における糸間隔は、約0.14インチ~約0.35インチの範囲であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、スクリム内の糸の密度は、1インチ当たり約2~約8の糸端の範囲である。特定の実施形態では、1インチ当たりの糸端の数は、スクリムの機械方向と交差方向との間で異なる。このような実施形態では、機械方向糸は、1インチ当たり約3~約6糸端の量で存在してもよく、一方、交差方向糸は、1インチ当たり約2~約8糸端の量で存在してもよい。
【0035】
石膏パネルに対する糸状スクリム100の所望の構成に応じて、ほぼ平行な細長い糸112の各セットは、パネルの少なくとも1つの横方向縁部にほぼ平行に配設されてもよい(
図15を参照)。すなわち、それによって形成された開口部の糸及び縁部は、パネルの横方向縁部と平行であってもよい。あるいは、ほぼ平行な細長い糸の各セットは、パネルの少なくとも1つの横方向縁部に対して約45度の角度で配設されてもよい(
図16参照)。
【0036】
糸状スクリム110は、任意の好適な重量を有してもよい。例えば、糸状スクリムは、少なくともの約4oz/yd2、例えば約4oz/yd2~約25oz/yd2、例えば約4oz/yd2~約10oz/yd2、又は約4oz/yd2~約6oz/yd2の重量を有してもよい。糸状スクリム110は、約30lb/in~約900lb/inの引張強度を有してもよい。糸状スクリム110の糸112は、約3~約5の伸び率%を有してもよい。
【0037】
本明細書に記載され、実施例によって実証されるように、驚くべきことに、パネルコアに埋め込まれた糸状スクリムの存在は、具体的には、パネルの対向側に埋め込まれたスクリムを有するパネル(例えば、対向する膜が適用されてもよい表面などのパネルが設置されている建物の反対側に面するように構成された側)に関するFM 4470試験標準に従って測定された表面押込みを有意に減少させる。例えば、パネルの対向側に埋め込まれた糸状スクリムの存在が、少なくとも、FM 4470 Very Severe Hail(クラス1-VSH)規格を満たすパネルに寄与することが見出された。
【0038】
上述のように、特定の実施形態では、本開示の構造パネルは、
図13に示されるような不織マットフェーサ104と組み合わせて、糸状スクリム110を含有する。語句「不織マットフェーサ」、「不織繊維マット」、「フェーサ材料マット」は、本明細書において互換的に使用される。特定の実施形態では、フェーサ材料は、繊維マットの隙間とコア材料の部分との間の機械的な相互係合を介して、建築パネルコアの材料との強固な結合を形成することができる繊維材料で形成された不織繊維マットである。不織布マットに使用される繊維材料の例としては、ガラス繊維、合成樹脂繊維、及びこれらの混合物又はブレンドなどの鉱物型材料が挙げられる。チョップドストランド及び連続ストランドの両方を使用してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、不織マットフェーサ104は、複数のガラス繊維で形成された不織繊維ガラスマットである。例えば、ガラス繊維は、約1~約17ミクロンの平均直径、及び約1/16インチ~約1インチの平均長さを有してもよい。例えば、ガラス繊維は、13ミクロン(すなわち、K繊維)の平均直径及び3/4インチの平均長さを有してもよい。特定の実施形態では、不織繊維ガラスマットは、マットの100平方フィート当たり約1.5ポンド~約4.0ポンドの坪量を有する。マットはそれぞれ、約10mil~約50milの厚さを有してもよい。不織マットフェーサ104の繊維は、好適な接着剤によって一体型マット構造を形成するために一緒に結合されてもよい。例えば、接着剤は、アクリル架橋剤又はアクリレート接着剤樹脂などの熱可塑性増量剤又は架橋剤で任意に改質された尿素-ホルムアルデヒド樹脂接着剤であってもよい。
【0040】
特定の実施形態では、
図1~
図4に示されるように、フェーサ材料マット6及び16は、ランダムパターンで配向され、樹脂結合剤(図示せず)と一緒に結合されたガラス繊維フィラメント30を含有する。ガラス繊維マット面石膏ボード40の一実施形態を、コア42の固化石膏がその実質的に面積部分にわたって実質的にマット6の厚さに浸透し、コア42の固化石膏がマット16に部分的に浸透し、表面が固化石膏を実質的に含まない
図4及び
図7に示す。
図8に見られるようなマット16の実質的に石膏を含まない表面は、高度にテクスチャ加工され、接着剤組成物が流動及び結合し得る多くの隙間を含有するので、本明細書で考察される弾性/可撓性コーティングなどの上部構成要素に接着するための優れた基質を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図13に示すように、石膏コア101の石膏は、第1の繊維ガラスマット104内の空隙が実質的に排除されるように、第1の繊維ガラスマット104の残りの部分に浸透する。例えば、一実施形態では、第1の繊維ガラスマット104は、石膏コア101の反対側の表面上に弾性/可撓性コーティング106を有する。例えば、弾性/可撓性コーティング106は、固化パネルの最表面又はトップコートを形成してもよい。すなわち、弾性/可撓性コーティング106は、(本明細書の製造方法に関してより詳細に考察されるように、他のパネル製造工程からオンライン又はオフラインで、かつ建築構造(例えば、屋根アセンブリ)内のパネルの設置前に)パネルの製造中に塗布されてもよい。他の実施形態では、繊維ガラスマットは予めコーティングされている。
【0042】
いくつかの実施形態では、弾性/可撓性コーティング106は、第1の繊維ガラスマット104の一部分に浸透して、第1の繊維ガラスマット104の残りの部分及びパネルの外面を画定する。すなわち、石膏コア101の石膏結晶は、第1の繊維ガラスマット104内の空隙が実質的に排除されるように、第1の繊維ガラスマット104の残りの繊維部分に浸透してもよい。本明細書で使用するとき、「繊維ガラスマット内の空隙が実質的に排除されるように」という語句は、コーティング材料によって充填されていない繊維ガラスマットの格子間容積の全て又はほぼ全てを充填する石膏スラリー(例えば、スレートコート)を指す。例えば、空隙容積が低減されたパネルを作製するパネル及び方法は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年1月15日に発行された米国特許第10,179,997号に記載されている。
【0043】
本明細書で使用するとき、用語「弾性コーティング」、「可撓性コーティング」などは、コーティング中に存在する任意のピンホール及び/又は他のマイクロチャネル以外の、かつ、所望のコーティング特性(例えば、高められた耐亀裂性)を提供するために、剛性/構造及び可撓性特性の必要なバランスを提供する、パネルの表面上で実質的に中断されないコーティング材料を指す。例えば、ピンホール又はマイクロチャネルは、コーティングにわたってパネルコアからの水分の放出を提供し得る。フェーサの外面上の弾性/可撓性コーティングは、ラテックス、アクリルエラストマー、及び/又は実施例に記載されるものを含む他の既知のコーティング材料を含有するコーティングなどの、当該技術分野において既知の任意の好適なコーティングであってもよい。例えば、好適な可撓性/弾性コーティングは、とりわけ、アクリルラテックス、ポリウレタン分散体、ポリビニルブチラール、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン-アクリル共重合体ラテックス、及びスチレン-ビニル-アクリル共重合体ラテックスの化学物質を含む(すなわち、固化コーティング前駆体として有する)化学物質を含むことができるか、又はその化学物質に基づいてもよい。特定の実施形態では、可撓性コーティングは、エラストマーアクリル共重合体/樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド、ポリウレタンエラストマー、合成ゴム、及び/又はゴム加工/エラストマーコーティング材料を含有する。
【0044】
特定の実施形態では、コーティングは、バインダ材料、及び任意選択的に充填剤を含んでもよい。例えば、コーティングは、1つ以上の無機充填剤と共に、ポリマー又は樹脂系バインダ材料を含んでもよい。
【0045】
弾性コーティングは、周囲条件において良好なフィルム形成特性を有してもよく、優れた耐水性及び耐UV性を有してもよい。特定の実施形態では、弾性コーティングは、少なくとも約50%の伸びを示す。特定の実施形態では、弾性コーティングは、少なくとも200psiの引張強度を示す。特定の実施形態では、弾性コーティングは、少なくとも約50psiの引裂強度を示す。特定の実施形態では、弾性コーティングは、約18A~約72Aのショア硬度格付けを有する。
【0046】
弾性コーティングは、所望の特性を提供するために、任意の好適な量及び/又は厚さでパネル上に存在してもよい。例えば、弾性コーティングは、約1mil~約30milの厚さを有してもよい。例えば、弾性コーティングは、約10lb/msf~約200lb/msf、例えば約10lb/msf~約165lb/msf、例えば約25lb/msf~約165lb/msfの重量で存在してもよい。より高いコーティング重量も使用されてもよいことが想定される。
【0047】
本明細書に記載され、実施例によって実証されるように、驚くべきことに、本明細書に記載される種類の弾性/可撓性コーティングの存在が、ボードの耐表面亀裂性、押込み耐性、及び耐水性を著しく改善することが見出された。すなわち、この種類の弾性/可撓性コーティングの存在は、少なくとも、FM 4470 Very Severe Hail(クラス1-VSH)規格を満たすパネルに寄与することが見出された。
【0048】
特定の実施形態では、本明細書に記載される構造パネルは、比較的高いコア密度を有する。例えば、石膏パネルコアは、約45lb/ft3~約80lb/ft3、例えば約48lb/ft3~約68lb/ft3、例えば約52lb/ft3~約63lb/ft3の(以下に記載する長に、その大部分の層のコア全体の)密度を有してもよい。例えば、本明細書に記載される構造パネルは、パネルの厚さに応じて、約1,100lb/msf~約3,500lb/msfのパネル重量を有してもよい。例えば、約1/4インチの厚さを有するパネルの場合、パネル全体の重量は、約1,100lb/msf~約1,500lb/msfであってもよい。例えば、約5/8インチの厚さを有するパネルの場合、パネル全体の重量は、約2,500lb/msf~約3,500lb/msf、例えば約2,900~約3,300lb/msfであってもよい。例えば、コア又はコア層密度は、製造中に発泡体及びスタッコ付加速度を調整することによって制御され得る(例えば、より重いコアは、より少ない発泡体及びより多くのスタッコを含有する)。
【0049】
糸状スクリム及び/又は可撓性/弾性コーティングを有するより軽量のボードは、改善された耐降雹性を示し得るが、驚くべきことに、上記範囲での増加したパネル密度は、FM 4470試験規格に従って降雹損傷耐性特性の更なる改善をもたらすことが見出された。例えば、このような増加したパネルコア密度は、少なくとも、FM 4470 Very Severe Hail(クラス1-VSH)規格を満たすパネルに寄与することが見出された。
【0050】
特定の実施形態では、
図13に示すように、石膏コア101は、2つ以上の石膏層102、108を含むが、他の実施形態では、石膏コアは、単一の石膏層を含む。例えば、石膏コアは、異なる組成を有する様々な石膏層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、糸状スクリム110及び不織マットフェーサ104と接触している第1の石膏層102(すなわち、コーティング材料との界面を形成し、かつ不織布マットの残りの繊維部分に少なくとも部分的に浸透する層)は、スレートコート層である。いくつかの実施形態において、第1の石膏層102は、石膏コア101の約2重量パーセント~約20重量パーセントの量で存在する。様々な石膏層は、説明を容易にするために、図中の別個の層として示されている。しかしながら、これらの材料の重なりは、それらの界面で生じ得ることを理解されたい。
【0051】
石膏コアの層は、石膏壁板、乾燥壁、石膏ボード、石膏ラッシュ、及び石膏野地などの他の石膏製品で使用される石膏コアと同様であってもよい。例えば、石膏コアは、焼石膏又はスタッコとしても知られる、粉末無水硫酸カルシウム又は硫酸カルシウム半水和物と水を混合して、水性石膏スラリーを形成し、その後、スラリー混合物を水和させるか、比較的硬い材料の硫酸カルシウム二水和物に固化させることにより、形成されてもよい。特定の実施形態では、石膏コアは、固化石膏(すなわち、完全に水和した硫酸カルシウム)の約80重量パーセント以上を含む。例えば、石膏コアは、約85重量パーセントの石膏を含んでもよい。いくつかの実施形態では、石膏コアは、約95重量パーセントの固化石膏を含む。石膏コアはまた、促進剤、固化遅延剤、発泡剤、及び分散剤などの様々な添加剤を含んでもよい。
【0052】
特定の実施形態では、石膏コア又はその大部分の層は、(i)約5lb/msf~約15lb/msfの量のシロキサン、(ii)約1lb/msf~約10lb/msfの量のシリコネート、又はその両方を含有する。このような添加剤を含めることにより、ASTM C473に従って試験されたときに、ASTM C1177の要件を満たすように、2時間にわたって10%、5%以下の吸水率を示す構造パネルをもたらし得ることが見出されている。
【0053】
特定の実施形態では、
図14に示すように、石膏パネル200は、石膏コア201と関連付けられている2つの不織フェーサ204、212を含む。第1のフェーサ材料と同様に、第2のフェーサ材料は、任意の好適な繊維材料で形成されてもよい。特定の実施形態では、両方のフェーサ204、212は、繊維ガラスマットである。第2のマット212は、第1の繊維ガラスマット204の反対側の石膏コア201の面上に存在する。いくつかの実施形態では、第1のマット204のみが、その表面上に弾性/可撓性コーティング206を有する。他の実施形態では、両方のマット204、212は、石膏コア201の反対側の表面上にコーティング206、214を有する。更に他の実施形態では、弾性/可撓性コーティングは存在しない。いくつかの実施形態では、石膏コア201は、3つの石膏層202、208、210を含む。繊維ガラスマット204、212と接触している石膏層202、210の一方又は両方は、スレートコート層であってもよい。
【0054】
図示した実施形態の各々において、構造パネルは、不織マットフェーサと関連付けられた単一の糸状スクリム110を有して示されているが、上記で説明したように、2つの不織マットフェーサを有する実施形態では、2つの糸状スクリム110が提供され得ることが想定される。
【0055】
特定の実施形態では、パネルは、約1/4インチ~約1インチ、例えば、1/4インチ、1/2インチ、5/8インチ、又は1インチの厚さを有する。例えば、パネルは、約1/2インチ~約5/8インチの厚さを有してもよい。
【0056】
実施例によって実証されるように、本明細書に記載されるパネルを利用して、単位面積当たりにより少ない屋根葺き締結具が必要である。4フィート×8フィートパネルでは、屋根葺き締結具の数は、例えば4~24個の屋根葺き締結具、4~16個の屋根葺き締結具、4~12個の屋根葺き締結具、又は4~8つの屋根葺き締結具のような、4~32個の範囲である。4フィート×4フィートパネルでは、屋根葺き締結具の数は、2~6つ、例えば2~4つの屋根葺き締結具の範囲である。当業者であれば、屋根葺き締結具という用語は、金属ねじ頭に直接取り付けられるか、又はねじの上に取り付けられ、ねじ頭までスライドされる、様々な幾何学的形状、厚さ、及び組成物(本明細書に記載される)のプレートを有する大きな金属ねじを含むが、これに限定されないことを理解する。
【0057】
特定の実施形態では、構造パネルは屋根葺きパネルであり、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された5/8インチパネルに対して、少なくとも195lb/ft2の耐風揚圧力性を示す。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された5/8インチパネルに対して、少なくとも240lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。
【0058】
特定の実施形態では、構造パネルは屋根葺きパネルであり、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/2インチパネルに対して、少なくとも150lb/ft2の耐風揚圧力性を示す。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/2インチパネルに対して、少なくとも195lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。
【0059】
特定の実施形態では、構造パネルは屋根葺きパネルであり、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/4インチパネルに対して、少なくとも120lb/ft2の耐風揚圧力性を示す。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、8つ又は4つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/4インチパネルに対して、少なくとも150lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。
【0060】
したがって、本明細書に記載される糸状スクリムを有するパネルは、同一の屋根アセンブリ内の同じ数の締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルよりも高い耐風揚圧力性を示し得る。あるいは、本明細書に記載されるパネルは、同一の屋根アセンブリ内のより多くの締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルに類似の耐風揚圧力性を示し得る。有利には、本明細書に記載されるパネルを設置する際のより少ない締結具の必要性は、より少ない設置工程及び材料を必要とする。
【0061】
パネルのアセンブリ/システム
特定の実施形態では、
図10~
図14及び
図17~
図18に示されるように、パネルは、屋根デッキパネルであってもよい。例えば、建物の構造における屋根デッキアセンブリ又はシステムの設置は、一般に、建物の屋根を支持するためのフレームを構築することと、屋根デッキシステムの他の構成要素を支持するための表面を提供するために、フレーム波形シートに固着させることと、波形シート平面支持部材に固着させることと、平面支持部材に、良好な耐候性を有する外部仕上げ材料に固着させることと、を伴う。上述の波形シートと平面支持部材との間に挟まれた断熱パネルを含む屋根デッキシステムも広く使用されている。このようなシステムは、特性及び耐候性において断熱性であるように設計される。このような屋根デッキシステムは、加熱に使用されるエネルギーを節約し、空調に使用されるエネルギーを節約するために使用され得る。
【0062】
より具体的には、このような屋根デッキシステムは、典型的には、鋼ビームなどの建物の適切な構造部材に、通常はネジ又はボルトによって、機械的に固着されている波形金属シートを含む。波形金属シートは、断熱材料(使用される場合)、平面支持部材、及び仕上げ材料を含む、その上部にある構成要素の重量を支持する。発泡ポリスチレン、ポリイソシアヌレートなどの軽量で低密度の断熱パネルは、このようなシステム、特により寒冷な気候で広く使用されている。平面支持部材は、一般的に、石膏ボードを含み、ねじなどの機械的締結具によって、下部波形金属シートに定位置に締結される。断熱パネルが使用されるとき、それらは、石膏ボードの下部波形金属シートと上部パネルとの間に挟まれる。ポリマー若しくはゴム膜、又はアスファルトと屋根葺きフェルトの交互層などの外部仕上げ材料は、石膏ボードのパネルの上部にある。
【0063】
上述のような繊維マット面石膏ボードを組み込む典型的な屋根デッキシステムを
図10~
図12に示す。この構造では、建物支持部材(図示せず)間に延在する離間した平行なトラス50は、トラスに溶接されるか、又は別の方法で締結される波形金属デッキ52を支持する。例えば、ポリイソシアヌレートであり得る断熱シート材料の層54及び56は、波形金属デッキ上に配設される。本明細書に記載される種類の繊維性マット面石膏ボードパネルの層58は、それを通って、下部断熱層54及び56を通ってデッキ52に通過する締結具60によって、波形デッキ52に固定される。パネル層58の接合部は、パネル接合部のうちの1つに対して、
図10に示されるようにテープ62を貼り付けることによって封止される。石膏層58の上部にあるのは、アスファルト64及び屋根葺きフェルト66の交互層を含む防水屋根葺き膜であり、各々の3層が現在の実施例に示されている。アスファルト68の最終コーティングは、破砕した砂利トッピング層70で被覆される。
【0064】
図12の拡大図では、第1のアスファルト層64が石膏ボードパネル層58の上向きの繊維マット面に浸透する方法が示されている。この浸透により、屋根システムの構造層への防水膜の確実な接着が保証される。
【0065】
いくつかの実施形態では、様々な幾何学形状、厚さ、及び組成物の締結具60は、機械的締結のために本発明の石膏パネルと共に使用され得る。典型的な屋根葺き締結具は、市販の屋根葺き付属品製造業者から知られている。屋根葺き用途に使用するための石膏パネルよりも強い締結具を選択することは、当業者には既知である。締結具60は、円形、正方形、五角形、六角形、及び、屋根デッキアセンブリ全体(
図10及び
図18)を通って下側金属敷板又はセメント内に駆動し、低圧環境条件下で定位置に保持するための中央に位置するねじによる更に複数の縁部を含む幾何学形状から選択され得るが、これに限定されない。締結具60の形状の特定の実施形態は、円形、正方形、及び六角形であり得る。締結具の厚さは、約0.01~0.2インチ(0.02~0.05インチを含む)の範囲であり得る。締結具60の直径は、2インチ~4インチ、例えば3インチを含む、1.5インチ~6インチの範囲であり得る。締結具60組成物は、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム及びマグネシウムの合金でコーティングされた炭素鋼、鋼及び亜鉛の合金、耐腐食性のある他の金属、並びにポリプロピレン及びナイロンなどであるがこれに限定されないポリマーであり得るが、これに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態では、
図17に示すように、石膏パネルを組み込む屋根デッキシステム150は、上葺き158、下葺き154若しくはその両方として石膏屋根ボード/パネル、断熱材156、鋼、木材、又は他の屋根デッキ152(鋼として示される)上に装着された屋根被覆又は膜160を含む。いくつかの実施形態では、
図18に示すように、石膏パネルを組み込む屋根デッキシステム162は、単プライ膜システムである。例えば、システムは、少なくとも1つの石膏屋根パネル166、170と、断熱材168と、単プライ膜172(例えば、熱可塑性ポリオレフィン(thermoplastic polyolefin、TPO)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、又はエチレンプロピレンジエンターポリマー(ethylene propylene diene terpolymer、EPDM)膜)と、を含んでもよい。石膏屋根葺きパネルを利用するこのような屋根葺きシステムの様々な実施形態は、当該技術分野において既知であり、本開示は、本明細書に開示される石膏パネルを組み込む任意のこのような好適なシステム構成又は設計を包含することを意味する。例えば、屋根葺きシステムは、とりわけ、好適なアスファルト、EPDM、Turbo Seal、CSPE、変性ビチューメン、PVC、低温液体膜、FTPO、TPO、コールタールピッチ組立、又は他の組立屋根構造を組み込んでもよい。
【0067】
したがって、構造パネル1000は、好適な構造アセンブリ又は基質に固定されるように構成されてもよい。例えば、構造パネル1000は、上述のように、屋根アセンブリの締結プレート又は接着式のような標準屋根葺きアセンブリ内に固定されるように構成された屋根葺きパネルであってもよい。例えば、
図13に示されるように、屋根葺きアセンブリ内では、糸状スクリム110に最も近いパネル1000の表面109は、基質と接合する(例えば、屋根デッキ又は断熱層と接合する)底部又は裏面107の反対側の対向表面であってもよい。例えば、好適な断熱層は、発泡ポリスチレン(Expanded Polystyrene、EPS)と、押出発泡ポリスチレン(Extruded Polystyrene、XPS)、又はポリイソシアヌレート(Polyiso、ISO)層と、を含んでもよい。例えば、パネルが取り付けられ得る他の基質材料としては、鋼鉄、木材、コンクリート、石膏、セメント系木材繊維、複合材、又は熱硬化材、並びに他の膜が挙げられる。
【0068】
すなわち、糸状スクリムに隣接する(又は最も近い)表面109は、表面が任意の好適な単プライ膜又は他の屋根アセンブリ層を受容するように構成されるように、屋根構造と関連付けられてもよい。したがって、屋根葺きアセンブリは、屋根葺きパネルの裏面上の断熱層と屋根葺きパネルの対向側の単プライ膜との間に位置決めされた、本明細書に記載される改善された耐降雹性パネルのうちの1つを含んでもよい。特定の実施形態では、屋根葺きアセンブリは、屋根葺きアセンブリ内に少なくとも1つの屋根葺きパネルを固定する複数の締結具を更に含んでもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つの屋根葺きパネルは、屋根葺きアセンブリ内に接着される(すなわち、機械的締結具は、アセンブリ内でパネルを機械的に固定するために使用されない)。
【0069】
上で考察されたように、特定の実施形態では、糸状スクリムに隣接する表面109は、ポリイソシアヌレートボード発泡体層などの断熱層と関連付けられるか、又はそれに面する。特定の実施形態では、屋根葺きアセンブリは、屋根葺きアセンブリ内に屋根葺きパネルを固定する複数の締結具を含む。特定の実施形態では、屋根葺きアセンブリを覆う又は封止するための膜が提供される。例えば、膜は、第1の表面109の反対側(例えば、スクリムに最も近い表面の反対側)のパネル1000の第2の表面107と関連付けられてもよい。例えば、パネルは、断熱材に固定されるように構成されてもよく(発泡ポリスチレン(EPS)、押出発泡ポリスチレン(XPS)、ポリイソシアヌレート(Polyiso、ISO)、又は鋼、木材、コンクリート、石膏、セメント系木材繊維、複合材、又は熱硬化材などの他の基質材料に固定されるように構成されてもよい。
【0070】
糸状スクリムを有する高強度パネルを含有するこのような構造アセンブリは、改善された耐候性、耐降雹性、及び向上された揚圧力耐性を含む耐風性を示し得る。例えば、本明細書に記載される糸状スクリムを有するパネルは、同一の屋根アセンブリ内の同じ数の締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルよりも高い耐風揚圧力性を示し得る。あるいは、本明細書に記載されるパネルは、同一の屋根アセンブリ内のより多くの締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルに類似の耐風揚圧力性を示し得る。設置方法を参照してより詳細に考察されるように、パネルは、追加の設置工程を必要とせずに、改善された耐降雹性及び/又は耐風揚圧力性を提供してもよい。
【0071】
パネルを作製する方法
本明細書に記載される構造パネルを製造する方法も提供される。本方法は、(i)糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることと、(ii)パネルの表面を形成するために弾性/可撓性表面コーティングを塗布することと、(iii)比較的高いパネルコア密度を有するパネルコアを形成することと、のうちの1つを含み、風揚圧力、耐水性、釘引き、曲げ、及び透過性などのパネルの他の物理的特性を保持しながら、高い耐衝撃性を含む、高められた耐降雹性を提供してもよい。具体的には、これらの方法は、Moderate Hail(クラス1-MH)、Severe Hail(クラス1-SH)、及び/又はVery Severe Hail(クラス1-VSH)に関するFM 4470耐降雹性クラスの規格を満たす、本明細書に開示される構造パネルをもたらしてもよい。
【0072】
石膏パネルを製造する特定の実施形態では、石膏スラリーは、それ自体が不織マットフェーサと関連付けられている糸状スクリム上に堆積されるか、又は別の方法で接触させられてもよい。上で考察されたように、石膏スラリーは、(例えば、連続マットコーティング又は他のコーティング若しくは接着剤材料によって浸透されないこれらの構成要素の一部の開放容積、糸状スクリム及び/又は不織マットフェーサによって画定された格子間又は開放容積パネルの一部の容積に浸透して、パネルのための機械的結合を提供してもよい。
【0073】
特定の実施形態では、不織マットフェーサ及び糸状スクリムは、糸状スクリム及び石膏スラリーと同時に(すなわち、実質的に同時に又は実質的に同じプロセス中)関連付けられる。例えば、糸状スクリムのロール及び不織マットフェーサ材料のロールは、同時に巻き解かれ、互いに隣接して位置決めされて、石膏スラリーが堆積されるウェブを提供してもよい。他の実施形態では、不織マットフェーサ及び糸状スクリムは、それらの石膏スラリーとの関連前(例えば、石膏パネル製造プロセスからオフライン)に関連付けられる。例えば、糸状スクリム及び不織マットフェーサ材料は、接着剤又は他の好適な手段を使用して機械的及び/又は化学的に関連付けられてもよく、次いで、組み合わされたスクリム及びマットフェーサは、ロールから巻き出されて、石膏スラリーが堆積されるウェブを提供してもよい。いずれの実施形態でも、不織マットフェーサは、スクリム及び/又は石膏スラリーとの組み合わせ時にコーティングされるか又はコーティングされなくてもよい。
【0074】
上述のように、スクリムは、複数の細長い糸を、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダなどの所望のメッシュパターンに接着させることによって作製されてもよい。各糸は、モノフィラメント又は複数の関連付けられたフィラメントであってもよい。例えば、各糸は、尿素ホルムアルデヒド又はアクリル系バインダなどの糸が一緒に接着される前に、又は同時に接着されるフィラメントの束であってもよい。加工中、糸は、記載された糸の寸法から平坦化されてもよい。
【0075】
上で考察されたように、複数の糸は、任意の所望のメッシュパターンを有するように製造されてもよく、スクリムは、糸の所望の相対的な配向及び位置を有するように、不織マットフェーサ及びパネルコアに対して配向されてもよい。例えば、スクリムは、細長い糸がパネル端部と実質的に平行であるか、又は45度まで回転して、交差方向又は機械方向で見たときに名目上「ダイヤモンド形」スワイプを形成するように構成されてもよい。上で考察されたように、フィラメント束は、交差方向と機械方向が約90度の角度を形成するように(又は機械方向でダイヤモンド形であってもよい)接着されてもよい。すなわち、特定の実施形態では、実質的に平行な細長い糸は、屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部にほぼ平行に配設されている。他の実施形態では、ほぼ平行な細長い糸の各セットは、屋根葺きパネルの少なくとも1つの縁部に対して約45度の角度で配設されている。
【0076】
石膏スラリーは、1つ以上のスレートコート層を含む同じ又は異なる組成物を有する1つ以上の層に提供されてもよい。上で考察されたように、石膏コア又はその大部分は、約45lb/ft3~約80lb/ft3、例えば約48lb/ft3~約68lb/ft3、例えば、約52lb/ft3~約63lb/ft3の比較的高いコア密度を有してもよい。例えば、コア又はコア層密度は、スラリー混合中に発泡体及びスタッコ付加速度を調整することによって制御され得る(例えば、より重いコアは、より少ない発泡体及びより多くのスタッコを含有する)。
【0077】
本明細書で使用するとき、用語「スレートコート」は、石膏コアを形成する石膏スラリーの残部よりも高い湿潤密度を有する石膏スラリーを指す。これらの方法は、本明細書に記載される特徴のいずれか、又は特徴の組み合わせを有する石膏パネルを生成するために使用されてもよい。石膏及び/又は繊維マットへの石膏の強化された浸透は、石膏スラリーの化学的改質によって、石膏スラリーに接触されたスクリム及び/若しくは繊維マットの表面上の浸透強化コーティングの塗布によって、かつ/又は機械的手段によって達成されてもよい。
【0078】
特定の実施形態では、石膏コアは、スクリム及びマットフェーサに順次塗布され、連続的又は同時のいずれかに固化される複数の層を含む。他の実施形態では、石膏コアは単一の層を含む。いくつかの実施形態では、第2の不織布マット及び/又はスクリムは、最終石膏スラリー層(又は唯一の石膏スラリー層)の表面上に堆積されて、
図14に示されるような二重マット面石膏パネルを形成してもよい。例えば、第1及び/又は第2のマットフェーサは、マットの一部分に浸透するその表面上に弾性/可撓性コーティングを含んでもよい。石膏スラリー又はその複数の層は、ロールコーティングなどの任意の好適な手段によってスクリム及びマット上に堆積されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、石膏コアは、石膏コアの最外層(すなわち、繊維ガラスマットとの界面を形成する層)がスレートコート層である、少なくとも3つの石膏層を含む。特定の実施形態では、両方の最外層は、高められた浸透のために化学的に変更される。
【0080】
特定の実施形態では、不織マットフェーサの一方又は両方の外面は、弾性/可撓性コーティングでコーティングされる。いくつかの実施形態では、パネルの対向側を形成する少なくともマットフェーサがコーティングされる。いくつかの実施形態では、コーティングはマットの一部分に浸透して、繊維ガラスマット内の空隙が実質的に排除されるように、石膏コアの石膏結晶が浸透するマットの残りの部分を画定する。特定の実施形態では、弾性コーティングが塗布され、周囲条件で固化又は硬化される。他の実施形態では、方法は、コーティングのための硬化又は乾燥工程を含む。
【0081】
特定の実施形態では、第1及び/又は第2の繊維マットは、スクリム及び/又は石膏スラリーに接触させるときには既にコーティングされている。いくつかの実施形態では、方法は、マットをスクリム及び/又はパネルコアスラリーと接触させる前又は後のいずれかで、第1及び/又は第2の繊維マットにコーティングを塗布することを含む。特定の実施形態では、可撓性/弾性コーティングを塗布することは、スプレーコーティング、リボンコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、又は直接ロールコーティングを含む。いくつかの実施形態では、可撓性/弾性コーティングは、約1mil~約30milのコーティング厚さを形成する量で、第1及び/又は第2の繊維マットの各々に塗布される。例えば、弾性コーティングは、約10lb/msf~約200lb/msf、例えば約10lb/msf~約165lb/msf、例えば約25lb/msf~約165lb/msfの重量で存在してもよい。より高いコーティング重量も使用されてもよいことが想定される。他の実施形態では、コーティングされた繊維マットは、予め作製された形態で得られてもよい。
【0082】
特定の実施形態では、パネルコアスラリー(又はその層)は、スクリム及び予めコーティングされた不織繊維マットの水平方向に配向された移動ウェブの非コーティング側に堆積されてもよい。第2のコーティングされた又はコーティングされていない繊維マットは、スクリム及び第1のコーティングされた繊維マットの反対側のパネルコアスラリーの表面上に堆積されてもよく、例えば、第2のコーティングされた繊維マットの非コーティング表面は、パネルコアスラリーと接触する。いくつかの実施形態では、スクリム及び予めコーティングされた又はコーティングされていない不織繊維マットの移動ウェブは、水性パネルコアスラリーの上部自由表面上に配置されてもよい。したがって、パネルコア材料は、2つの繊維マットの間に挟まれてもよく、一方又は両方がコーティングを有する。特定の実施形態では、パネルコア材料及び/又は弾性/可撓性コーティングを固化させることが、オーブン内で、又は別の好適な乾燥機構によるなどして、硬化させること、乾燥させること、又は材料が室温で固化すること(すなわち、自己硬化)を可能にすることを含む。
【0083】
特定の実施形態では、
図1~
図9に示されるように、石膏コアが形成される乾燥成分(図示せず)は予め混合され、次いで、一般にピンミキサー2と呼ばれる種類のミキサーに供給される。コアを作製する際に使用される水及び他の液体構成成分(図示せず)は、ピンミキサー2内に軽量され、ピンミキサー2では、それらが乾燥成分と組み合わされて水性石膏スラリーを形成する。スラリー4は、ミキサー2の底部の1つ以上の出口を通して、予め関連付けられたスクリム110及び繊維マット6の移動シート上に分散される。スクリム110及び繊維マット6のシートは、長さが不定であってもよく、ロール(図示せず)から供給される。特定の実施形態では、スクリム110及び繊維マット6の2つの反対側の縁部部分は、マット6の平均平面から上向きに漸進的に屈曲され、次いでマージンで内側に回転されて、結果として得られるボード40の縁部の被覆を提供する。
図1では、縁部のこの漸進的な屈曲及び成形は、マットの1つの側縁部のみについて示されており、この目的のために通常用いられる従来の誘導装置は、明確にするために図面から省略されている。
図7は、マット6の重なり合う縁部6Aによって覆われた固化石膏コア42の縁部を示す。
図7は、マット6の任意選択的なスコアマーク10及び10Aを示し、スコアマークは、良好な縁部及び平坦な表面の形成を可能にする。スコアマーク10及び10Aは、従来のスコアリングホイール12によって作製される。
【0084】
繊維マット16の別のシートは、スラリー4の頂部にロール(図示せず)から供給され、それによってスラリーを形成する2つの移動不織繊維マット間にスラリーを挟んでもよい。スラリー4が間に挟まれたマット6及び16は、上部成形ロール18と下方成形ロール20との間のニップに入り、その後、コンベヤーベルト22上に受容される。24で示されるような従来の縁部誘導装置は、石膏がその形状を保持するのに十分に固化されるまで、複合材の縁部を成形及び維持してもよい。やがて、ボードの連続的な長さは切断され、任意選択的に、石膏スラリー中の過剰な水の蒸発速度を増加させることによって、ボードの乾燥を促進する熱への曝露によって更に処理される。
【0085】
上で考察されたように、本明細書に記載される構造パネルのアセンブリもまた、それらの設置ための方法と共に提供される。例えば、アセンブリは、その表面上の1つ以上の構造パネルを好適な基質に任意に固着させることを含んでもよい。例えば、アセンブリは、上述の屋根葺きアセンブリ(すなわち、屋根デッキアセンブリ)であってもよい。
【0086】
例えば、屋根葺きパネルを設置する方法は、屋根葺きパネルの表面上の接着剤を屋根デッキアセンブリに接着することによって、屋根葺きパネルを屋根デッキアセンブリに固定することを含んでもよい。特定の屋根アセンブリ及び屋根アセンブリを設置する方法については、上述される。パネル、アセンブリ及び方法は、特徴の具体的なセットを参照して本明細書の特定の例に記載されているが、様々な特徴、詳細、及び設計は、本明細書で明示的に列挙されていない様々な組み合わせを導出するために交換及び置換され得ることが想定されることを理解されたい。
【0087】
特定の実施形態では、構造パネルは、本明細書に記載され、
図10~
図12、
図17及び
図18に示される従来の屋根デッキアセンブリなどの屋根デッキアセンブリに設置されるように設計されている屋根パネルである。例えば、屋根葺きパネルは、断熱パネル又は屋根デッキなどの屋根デッキアセンブリの任意の好適な基質に接着されるか、又は別の方法で関連付けられてもよい。具体的には、パネルのスクリム補強表面は、パネルの「面」(すなわち、設置時の外向きに面する表面)を形成し、反対側の面がデッキ又はこのようなアセンブリの断熱若しくは他の基底層に接触するように設置されてもよい。このようなシステムは、高められた降雹損傷耐性を含む従来のシステムと比較して、様々な利点のうちのいずれかを提供してもよい。他の実施形態では、パネルのスクリム補強表面は、パネルの「裏」(すなわち、設置時に下向きに面する表面)を形成し、このようなアセンブリのデッキ又は断熱若しくは他の基底層に接触するように設置されてもよい。このようなシステムは、高められた耐揚圧力性を含む従来のシステムと比較して、様々な利点のうちのいずれかを提供してもよい。したがって、これらのパネルは、パネル取付具が屋根アセンブリ内の弱いリンクであることを回避してもよい。したがって、このようなパネルは、改善されたアセンブリ性能及び向上したエネルギー節約を示し得る。
【実施例】
【0088】
厳しい天候/耐降雹性
実験試験を実施して、FM 4470規格による様々な構造パネルの耐降雹性特性を査定した。FMクラス1-VSH試験の場合、2インチ(51mm)直径の氷球は、53~58ft-lb(72~79J)の衝撃エネルギーを達成するために、圧縮空気を使用して、組み立てられた屋根試験サンプルにおいて、152~160f/秒(46~49m/秒)の速度で推進される。クラス1-VSH格付けを達成するための許容基準は、屋根カバー、現場継ぎ目、及び屋根カバーの下の基質上での亀裂又は分裂又は分離又は破裂の兆候を示さないことである。基質中の小表面押込みは、衝撃点で許容される。
【0089】
金属ミサイル衝撃試験方法(metal missile impact testing method、MMIT)もまた、FM 4470及び4471における試験の代用物として使用された。クラス1-VSH試験をシミュレートするために、直径2インチの鋼製ボールヘッドを有する10lbの金属ミサイルを試験サンプル上に5.3フィートの高さから落下させて、衝撃面積上で約53ft-lbの衝撃エネルギーを生成する。衝撃点における表面押込み深さは、10lb MMIT試験後の耐衝撃性能を評価するために測定される。10Lb MMITは、FM 4470クラス1-VSH氷球試験結果と強い相関を示すため、10lb MMITを使用して、1-VSH性能を評価した。
【0090】
まず、埋め込まれたスクリムを試験し、FM 4470試験に従って構造パネルの耐衝撃性を大幅に増加させることが発見された。特に、ガラス繊維スクリムは、ガラス繊維スクリムが対向するマットに近い石膏ボードコアに埋め込まれたときに耐衝撃性を著しく増加させることが観察された。
図19は、繊維ガラススクリムが埋め込まれた5/8インチガラスマット石膏ボード(glass mat gypsum board、GMGB)が、10lb MMIT試験後に、埋め込まれたスクリムを有しない同一のボードと比較して、表面押込みの50%超を低減し得ることを示す。しかしながら、これらの試験パネルでは、表面亀裂が観察された。0が亀裂を示さない基質表面であり、10が複数の亀裂、1/2インチ以上を示す表面基質である、0~10スケールで表面亀裂が評価された。
図19で試験した全ての基質は、深刻な亀裂を示す10の亀裂等級をもたらした。
【0091】
異なるスクリムパターン及び重みの効果も評価された。具体的には、スクリムは、45~80lb/ft
3の目標密度を有する5/8インチボードの面に埋め込まれた。2つのスクリムパターンを評価した:二軸(二方向)及び三軸(三方向)を評価した。結果を
図20に示すが、これは、面に埋め込まれた4oz/yd
2よりも高い重量を有するスクリムが、5/8インチGMGBの押込み深さを低減するのに最も効果的であることを示す。
【0092】
加えて、ボード内のスクリム配置の効果を評価した。具体的には、異なる繊維ガラススクリム構造がGMGB-面(F)、裏(B)、又は面及び裏(F&B)に積層され、MMIT試験された。スクリム構造は、軽量二軸スクリム(2.11oz/yd
2)、5.75oz/yd
2二軸スクリム、及び4.5oz/yd
2二軸接合テープ(JT)スクリムを含んでいた。結果が、
図29及び
図30に示され、面マットに積層されたスクリムを有することが、ボードの耐衝撃性能を駆動することが確認された。面及び裏に積層された軽量スクリムは、スクリムなしに対して押込み深さ及び亀裂をわずかに低減し、一方、面及び裏に積層された5.75二軸スクリムは、著し押込み又は亀裂を示さなかった。驚くべきことに、裏にスクリムを配置することにより、反対側の面側の衝撃深さが低減される一方で、裏マットに積層されたスクリムを有することもまた、マットの亀裂が低減させることが発見された。
【0093】
スクリム配置の別の評価では、2つのポリエステルスクリム及び1つの繊維ガラススクリムが、5.5oz/yd
2二軸ガラススクリム、1.25oz/yd
2三軸ポリエステルスクリム、及び1.4oz/yd
2二軸ポリエステルスクリムを含むGMGBで試験された。結果が、
図31に示され、面及び裏に積層された軽量ポリエステルスクリムであっても、スクリムなしに対して押込み深さ及び亀裂をわずかに低減するが、4oz/yd
2を超えるガラススクリムが他のスクリムより優れていることを明らかにしている。再び、裏にスクリムを有することにより、面上の衝撃深さが低減される一方で、裏マットに積層されたスクリムを有することが、裏マットの亀裂をわずかに低減させることが発見された。
【0094】
スクリム配置の更に別の評価では、二軸及び三軸スクリムが、GMGBの面マットの外面に接着され、耐衝撃性について試験された。外部接着スクリムを、165ポンド/msfで塗布されたスプレー接着剤又はエラストマーコーティング(ニュージャージー、Karnak Corp.から市販されているKarnak 528又はポリビニルブチラール(Polyvinyl Butyral、PVB))でボードに接着した。結果は
図32に示され、これは、亀裂が、接着されたスクリムをコーティングすることによって、スクリムなしに対して劇的に低減され、潜在的には、コーティングなしのボードの頂部のスクリムより優れていることを示す。更なるエラストマーコーティング試験が以下に記載される。加えて、三軸スクリムは、この試験において二軸スクリムボードより優れていた。
【0095】
様々な市販の繊維ガラススクリムを評価して、高められた押込み耐性に寄与してもよい特性を査定した。測定された特性としては、GMGB内で積層されたときのVSH MMIT押込み、糸幅、厚さ、機械方向(machine direction、MD)の糸間隔、交差方向(cross direction、CD)の糸間隔、面積、及び機械方向と交差方向の両方の糸数(yarn count、EPI)を含む。これらの結果を以下の表1及び2に示す。見られるように、同じ製品ラインの異なるロット又は異なるベンダーから得られた同じ重量の市販のスクリムは、耐押込み性及び耐亀裂性においてそれらの有効性が変化し、これはスクリムの測定された構造特性の違いに起因し得る。更に、スクリム重量及びパターンのみが、耐押込み性を強化する際のスクリムの有効性を決定しないことが分かる。
【0096】
【0097】
【0098】
また、様々なコア密度を有するパネルの性能を観察するために、試験を実施した。
図21に示すように、ボード重量と衝撃押込みとの間の良好な相関(R
2=0.9436)が観察された。同じ厚さのより重いボードは、より良好な耐衝撃押込み性を示すが、表面亀裂は、10LB MMIT試験後に発生した。
図21は、5/8インチスクリムなしGMGBボードの重量の押込み深さ(in)に対する効果を示す。この5/8インチGMGBでは、3200lb/msfボードの重量は、約60lb/ft
3のボード密度に変換される。したがって、増加したボード密度は、向上した耐衝撃性をもたらすが、これらの高密度ボードは亀裂を受けやすいことが発見された。
【0099】
次に、様々なパネルコーティングを試験し、パネルの表面に塗布されたゴム化又はエラストマーコーティングが、石膏ボードの耐表面亀裂性、耐押込み性、耐水性を高めることが発見された。例えば、
図22に示されるように、(カリフォルニア、Flex Seal Productsから市販されている)Flex Seal(登録商標)Black Liquidをコーティングした、スクリムが埋め込まれていない5/8インチGMGBが、35mil厚さの押込みの37%を減少させることが見出された。硬化されたFlex Sealフィルムの表面亀裂は、35mil及び75milの厚さで観察されたが、深い押込みが、10lb MMIT試験後に発生した。
【0100】
次に、MMIT押込み深さ及び視覚的亀裂を低減するためのそれらの有効性について、複数のコーティングが2つの異なる充填(コーティング厚さ)で評価された。対照GMGBは、ボードの面に埋め込まれた6.6oz/yd
2三軸スクリム及び~59lb/ft
3のコア密度を有する5/8インチである。これらの試験の結果は、27.5lb/msf充填(約3~5mil厚)で塗布された異なる種類のコーティングの横長を示す
図23に示されている。赤色三角形によって示された対照試験は、スクリムを有し、コーティング中心点を有しない石膏ボードから得られたVSH MMIT-押込み及び亀裂スコアを表す。0が亀裂を示さず、10が基質表面に大きな亀裂を示す、0~10のスケールで亀裂を等級付けしながら、押込みを測定する(インチ)。亀裂又は押込みの%の減少は、MMIT性能の改善を表す。左上象限及び左下象限は、VSH塗布に対する関心領域を表し、左下象限コーティングは最も有望であると見なされる。注目すべきことに、他の石膏パネルコーティング塗布で使用される特定の一般的な化学物質は、特定の水系コーティング材料を含む、耐雹性特性を改善するのに有効であると見なされた。
【0101】
図24は、165lb/msf充填(約30mil厚)で塗布された異なる種類のコーティングの第2の横長分析を示す。赤色三角形によって示された対照試験は、スクリムを有し、コーティング中心点を有しない石膏ボード上で測定されたVSH MMIT-押込み及び亀裂スコアを表す。亀裂又は押込み(負の値)の%の減少は、VSH MMIT性能の改善を表す。逆に、%(正の値)の増加は、性能に対する望ましくない効果を表す。左下象限は、試験された最も有望な種類のコーティングを含むことが観察された。
【0102】
これらの発見を更に分析するために、下記の表3は、各コーティングの化学物質のクラス、特定のクラスに該当する製品名、及び左下象限の材料についてそれぞれコーティングが石膏ボードに塗布された充填を示す。例えば、表3の第1のコーティングクラスは、エラストマー性アクリル共重合体であり、橙色で強調されている。この化学的クラスに適合する製品、(ニュージャージー、Karnak Corp.から市販されている)Karnak 529 Renu-whiteを、石膏ボードに適用された27.5lb/msf充填で評価した。したがって、対照に対する平均押込み及び亀裂は、それぞれ-5%及び-41%であった。したがって、押込みを5%減少させ、コーティングなしの対照基質と比較して、亀裂を41%減少させた。表3はまた、性能を達成するコーティングの製品/化学的クラス当たりに使用される充填の範囲、すなわち、基質の小さな押込み及び亀裂を示す。
【0103】
【0104】
【0105】
更に、以下の表4は、
図23及び
図24中の左上象限からの結果を表す。この象限に該当するコーティングは、基質の亀裂の低減をもたらすが、石膏ボードの押込みの低減をもたらさないことが観察された。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
加えて、各コーティング材料のショア硬度は、亀裂等級(R二乗=0.67)及び押込み(R二乗=0.54)と有意に相関することが発見された。
図25は、異なるショアA硬度を有する異なる製品が石膏ボードの亀裂等級及び押込みに与える効果を示す。ポリ尿素/ポリウレタンハイブリッド製品を除いて、18A~75Aのショア格付けを有する製品は、亀裂及び押込みの著しい減少を示している。なお、許容可能な亀裂等級は<4.8であり、押込みは<0.068である(
図25で強調されている)。
【0110】
したがって、様々なコーティング材料の上記の分析に基づいて、表5は、記載されるように、構造パネルの表面コーティングを形成するために塗布されたときに、優れた性能を示すコーティング材料を示す。各コーティング材料の特性を以下の表5に要約する。
【0111】
【0112】
【0113】
加えて、好適なコーティング材料の多くが、埋め込まれた糸状スクリムを有しないパネルに塗布されると、試験条件下でコーティング材料の層間剥離を示したことが観察された。しかしながら、これらの具体的なコーティングは、パネルの対向側に埋め込まれたスクリムと組み合わせて、驚くべきことに、単離のいずれかの特徴を有するパネルよりも著しく良好に実施された。
【0114】
MMIT所見を検証するために、FM 4470クラス1-VSH(氷球)試験を行った。したがって、結果により、埋め込まれたスクリム、より重いコア、及び石膏ボード内の可撓性トップコートの各々により、屋根アセンブリシステム(すなわち、小亀裂及び押込み)において優れたVSH耐性性能が提供されたことが確認された。これらの試験の結果を以下の表6及び
図26に示す。
【0115】
【0116】
分かるように、表6及び
図26は、規則的なガラスマット石膏屋根ボード又は対照ボード5/8インチGMGB(T1)が、表面亀裂及び深い押込みに起因してVSH試験に合格できなかったことを示す。対照ボードに塗布された可撓性がより低いトップコート水系コーティング材料塗料(T2)は、表面亀裂及び深い押込みもまた観察されたため、耐衝撃性を改善しなかった。埋め込まれた繊維ガラススクリム及びより重いコアを有する5/8インチGMGB(T3及びT5)は、VSH氷球試験後のスクリムを有しない対照ボード(T1)と比較して、表面押込みの78%超を低減し得るが、小表面亀裂が依然として観察された。ゴム化又は可撓性トップコーティングは、表面の亀裂を効果的に防止し得る。Flex Sealフィルムは、耐亀裂性を著しく改善する。VSH試験後に、T4及びT6上に小押込みを有する表面亀裂は観察されなかった。
【0117】
したがって、驚くべきことに、FMクラス1~VSH規格パネルは、埋め込まれたスクリム、より重いコア、及び/又は可撓性表面トップコートの組み合わせによって達成されて、風揚圧力、耐水性、釘引き、曲げ、透過性などの石膏屋根ボードの他の物理的特性を保持しながら、非常に強い耐衝撃性を達成してもよいことが見出された。具体的には、構造パネル及び/又は材料が、(i)不織マットフェーサと組み合わせた糸状スクリム、(ii)弾性/可撓性表面コーティング、及び(iii)比較的高いパネルコア密度のうちの1つ以上を含有し、Moderate Hail(クラス1-MH)、Severe Hail(クラス1-SH)及び/又はVery Severe Hail(クラス1-VSH)に関するFM 4470耐降雹性クラスの規格下の、高い耐衝撃性を含む高められた耐降雹性を提供する、商業及び/又は居住用途のための、内部及び/又は外部構造用途のための屋根葺きパネルなどの優れた構造パネル及びに他のパネル材料が開発されている。
【0118】
耐風揚圧力性
本明細書に開示されるような不織マットフェーサと関連付けられた糸状スクリムを有する石膏パネルを製造し、以下の実施例に従って風揚圧力性能について試験した。製品及び試験材料の風揚圧力試験は、実験室ベースの比較であり、したがって製品性能は、認定された屋根試験機関での試験に対して変化し得る。
【0119】
第1に、以下のように4枚の5/8インチ石膏パネルを調製した:(1)対照1:十分な風揚圧力強度を有することが知られており、具体的には、スクリムなしで第1の(面側)不織繊維ガラスマットフェーサ及び第2の(裏側、結合側)不織繊維ガラスマットフェーサを有する屋根葺き用途用に特別に設計された対照屋根パネル;(2)対照2:スクリムなしで第1の不織繊維ガラスマットフェーサ及び第2の不織繊維ガラスマットフェーサを有する、内部壁パネル用途用に具体的に設計された対照パネル、並びに、(3)実験1及び2:対照2のパネルと概ね同じ構造を有し、第1の不織繊維ガラスマットフェーサ及び第2の不織繊維ガラスマットフェーサを有するが、石膏コアのバルクと第2のマットフェーサとの間に配設された繊維ガラススクリムを含む、実験パネル。実験パネルは、対照2のマットフェーサ重量よりもわずかに高かった、対照1と同様の総マットフェーサ重量を有していた。
【0120】
これらのパネル(4フィート×8フィート)が、5フィート×9フィート組立金属フレーム試験アセンブリに設置され、スクリム補強された第2のフェーサ側が標準的な断熱パネルと接合するように設置され、実験パネルが、12標準締結具によって固定され、屋根膜が、第1のマットフェーサによって形成されたパネルの側に塗布されていた。次いで、このアセンブリが、ゴム化シール(6フィート×10フィート)に連結され、真空がチャンバ内で引かれ、低勾配又は勾配なし屋根を通過する風の低圧システム効果を再現した。各パネルが耐える風揚圧力を記録し、
図28に示した。実施された真空試験は、パネルの下側に直接圧力が印加される屋根アセンブリ試験に匹敵する結果を提供する。
【0121】
見られるように、スクリムのない対照1は、予想通りに実行され、試験室条件下で105psfの揚圧力許容値(90psfを超えると有効であると考えられる)を示した。スクリムのない壁パネル対照2は、予想されるように、外部風耐性ではなく、内部用途のための設計に起因する、75psfの揚圧力許容度を示した。対照的に、付加されたスクリムを有する実験パネル1及び2は、同様のスクリムパネル(対照2)の揚圧力許容値よりも有意に高く(約2倍)、既知の対照屋根パネル(対照1)よりもはるかに高い、135及び150psfの風揚圧力許容値を示した。
【0122】
したがって、これらの試験は、5/8インチパネルに関して、少なくとも90lb/ft2の耐風揚圧力性が、12個未満の締結具を有する屋根葺きアセンブリにおいて達成されてもよいことを実証する。有利には、このような結果は、屋根設置材料及び労働力が、これらのパネルの使用によって最小化され得ることを示す。
【0123】
同様の重い5/8インチのGMGBパネル(T7:スクリムなしの対照;T8-T10:5.75oz/yd
2二軸スクリムを有する)を比較するために、追加の風揚圧力試験を実施した。単一の応力プレート締結具システム(SFS Group USAから入手可能なDekfast 3インチ丸形金属プレート)が組み立てられ、8つの締結具で締結された4×8フットボードで試験された。故障モードは、プレートを貫通する締結具であった。この試験の結果は
図34に示されており、これは、スクリムを含むボードについては、パネル強度は、8つの締結具のみを使用しても、高い衝撃締結具を有する締結具応力プレートを実行することを示す。同様の試験を、異なる数の高衝撃締結具を有する二重応力プレートを使用して実施して、プルスルー前のボードの故障を促進した。4、5及び6つの締結具を使用したアセンブリを試験した。この結果は、
図35に示されており、これは、4つの締結具を使用したアセンブリが、5つ及び6つの締結具を備えたボードよりも実際に優れていることが示されているが、これは、屈曲による緊張に起因すると信じられている。異なる数の締結具(例えば、2及び4)を有する4×4フィートボードを使用して、更なる風揚圧力試験を実施した。結果を
図36に示す。見られるように、スクリムの存在は、対照と比較して、5レベルで風揚圧力性能を増加させた。全体として、工業的に低数の締結具(例えば、8つ以下)をパネル当たり使用する場合であっても、スクリムを含有するパネルは、150lb/ft
2及びより高い力で耐風揚圧力性を達成したことが発見された。
【0124】
これらの試験の結果に基づいて、本明細書に記載されるようなスクリムを含有する4×8フィートのパネルに関して、使用される締結具の数に基づいて、風揚圧力格付け(lb/ft2)が使用される、又は、(試験されない組み合わせに関して)、8つの締結具を使用した5/8インチ厚のパネルに対して240lb/ft2、4つの締結具を使用した5/8インチ厚パネルに対して195lb/ft2、8つの締結具を使用した1/2インチ厚パネルに対して195lb/ft2、4つの締結具を使用した1/2インチ厚パネルに対して150lb/ft2、8つの締結具を使用した1/4インチ厚パネルに対して150lb/ft2、4つの締結具を使用した1/4インチ厚のパネルに対して120lb/ft2になると予想される。これらの結果は、これらの数の締結具の風揚圧力評点の著しい改善を示し、これは、これらの風揚圧力格付けを満たすパネルを設置するのに必要な設置時間の材料改善を可能にする。
【0125】
したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された5/8インチパネルに対して、少なくとも90lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された5/8インチパネルに対して、少なくとも105lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された5/8インチパネルに対して、少なくとも135lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/4インチパネルに対して、少なくとも90lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/4インチパネルに対して、少なくとも105lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される屋根葺きパネルは、10個又は8つの締結具で固定されるような、12個未満の締結具で固定された1/4インチパネルに対して、少なくとも135lb/ft2の耐風揚圧力性を示し得る。
【0126】
次に、下向きパネル(すなわち、締結具又はボードの破損前にパネルが耐える力)に対するプルスルー値に対するスクリムの効果が、様々な厚さを有するGMGBについて測定され、これを風揚圧力性能の予測因子として使用することができる。結果が
図33に示されており、プルスルー力は、一般にボード厚さに比例していたが、スクリムを含むボードのプルスルー力の実質的に直線的な増加があったことが明らかになった。
【0127】
したがって、本明細書に記載される糸状スクリムを有するパネルは、同一の屋根アセンブリ内の同じ数の締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルよりも高い耐風揚圧力性を示し得る。あるいは、本明細書に記載されるパネルは、同一の屋根アセンブリ内のより多くの締結具で固定された他の同一であるがスクリムのないパネルに類似の耐風揚圧力性を示し得る。有利には、本明細書に記載されるパネルを設置する際のより少ない締結具の必要性は、より少ない設置工程及び材料を必要とする。
【0128】
したがって、糸状スクリムを不織マットフェーサを用いてパネルに組み込むことによって、耐風揚圧力性の形態で改善された強度を有する構造パネルが作製され得ることが発見された。このようなパネルは、追加の設置工程を必要とせずに、悪天候に対する高められた強度性能を提供する。
【0129】
本開示は、いくつかの実施形態を参照して説明されているが、本発明は、このような開示された実施形態に限定されないことが当業者によって理解されるであろう。むしろ、本発明は、本明細書に記載されていないが、本発明の趣旨及び範囲に相応する任意の数の変形、変更、置換、又は同等の構成を組み込むように修正することができる。加えて、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は、記載される実施形態のうちのいくつかのみを含んでもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されるものとして理解されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
<付記>
[1]
屋根葺きパネルであって、
固化石膏コアと、
前記固化石膏コアと関連付けられた糸状スクリムであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、糸状スクリムと、
前記糸状スクリムと関連付けられた不織マットフェーサと、
を備える屋根葺きパネル。
[21]
前記石膏コアの反対側の前記不織マットフェーサの表面上に弾性コーティングを更に備える上記[1]に記載の屋根葺きパネル。
[25]
前記弾性コーティングが少なくとも200psiの引張強度を示す、上記[21]に記載の屋根葺きパネル。
[26]
前記弾性コーティングが少なくとも約50psiの引裂強度を示す、上記[21]に記載の屋根葺きパネル。
[27]
前記弾性コーティングが約18A~約72Aのショア硬度格付けを有する、上記[21]に記載の屋根葺きパネル。
[39]
建築パネルであって、
固化石膏コアと、
前記固化石膏コアと関連付けられた2つの糸状スクリムであって、各糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、2つの糸状スクリムと、
前記固化石膏コアの対向面に配設された2つの不織マットフェーサであって、各不織マットフェーサが、糸状スクリムと関連付けられている、2つの不織マットフェーサと、
を備える建築パネル。
[40]
各糸状スクリムが約4oz/yd
2
~約25oz/yd
2
の重量を有する、上記[39]に記載の建築パネル。
[41]
前記細長い糸の各々が複数の細長い繊維ガラスフィラメントを含む、上記[39]に記載の建築パネル。
[42]
各不織マットフェーサが複数のガラス繊維で形成された不織繊維ガラスマットを含む、上記[39]に記載の建築パネル。
[43]
屋根葺きパネルを製造する方法であって、
糸状スクリムを不織マットフェーサと関連付けることであって、前記糸状スクリムが複数の開口部を間に画定する細長い糸で構成されたメッシュを含む、関連付けることと、
前記糸状スクリム及び不織マットフェーサを石膏スラリーと関連付けることと、
前記石膏スラリーが、固化石膏コアの少なくとも一部分を形成するように固化することを可能にすることと、
を含む方法。
[65]
前記石膏コアの反対側の前記不織マットフェーサの表面に弾性コーティングを塗布することを更に含む、上記[43]に記載の方法。
[70]
前記弾性コーティングが少なくとも200psiの引張強度を示す、上記[65]に記載の方法。
[71]
前記弾性コーティングが少なくとも約50psiの引裂強度を示す、上記[65]に記載の方法。
[72]
前記弾性コーティングが約18A~約72Aのショア硬度格付けを有する、上記[65]に記載の方法。