(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ジョイント、及びフレーム構造体
(51)【国際特許分類】
F16B 12/50 20060101AFI20240903BHJP
F16B 12/40 20060101ALI20240903BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20240903BHJP
A47B 13/06 20060101ALI20240903BHJP
A47B 47/02 20060101ALI20240903BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F16B12/50 B
F16B12/40 A
F16B7/18 E
A47B13/06
A47B47/02 Z
H05K7/18 C
(21)【出願番号】P 2022026675
(22)【出願日】2022-02-24
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391034488
【氏名又は名称】イビケン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】太田 信吾
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-034566(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0073331(KR,A)
【文献】実開平06-087708(JP,U)
【文献】特開2000-070044(JP,A)
【文献】特開2005-185641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0265778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00-7/22
F16B 12/00-12/60
A47B 13/06
A47B 47/02
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にネジ孔と係合孔を有する筒状の第1フレームと、周面に貫通孔を有する筒状の第2フレームとを連結するためのジョイントであって、
前記第2フレームは、4つの周面を有する角筒状に構成されており、
前記ジョイントは、天壁と、
前記天壁から前記天壁の厚さ方向に沿って延びる端壁と、
前記天壁から前記天壁の厚さ方向に沿って延びる側壁とを有し、
前記端壁は、前記第1フレームの係合孔に係合する突出部を有するとともに、当該突出部が前記第1フレームの係合孔に係合した状態で前記第1フレームのネジ孔に重なる位置に挿通孔を有しており、
前記突出部は、前記端壁の曲げ加工によって形成されており、
前記側壁は、前記ジョイントを前記第2フレームにおける前記4つの周面の内側に内挿した状態で前記第2フレームの貫通孔に重なる位置にネジ孔を有していることを特徴とするジョイント。
【請求項2】
前記突出部は、前記端壁から前記端壁の厚さ方向に突出している請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
前記側壁は、一対設けられており、一対の前記側壁の両方にネジ孔を有している請求項1又は2に記載のジョイント。
【請求項4】
前記端壁から前記側壁に向かって延びる折り曲げ部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載のジョイント。
【請求項5】
前記折り曲げ部と前記側壁は、前記折り曲げ部と前記側壁が嵌合した嵌合部を有する請求項4に記載のジョイント。
【請求項6】
前記天壁、前記端壁、及び前記側壁は、一枚の板材が曲げ加工されて形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載のジョイント。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のジョイントを用いて、前記第1フレームと、前記第2フレームとが連結されたことを特徴とするフレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイント、及びフレーム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
第1フレームと第2フレームとをジョイントを用いて連結することによって、フレーム構造体を作製することが知られている。
図9に示すように、例えば、特許文献1は、ジョイント70としての取付金具を用いて、第1フレーム75としての側部フレームに、第2フレーム80としての中間フレームを連結することを開示している。第1フレーム75は、斜め上方に傾斜した溝条76を有している。また、ジョイント70は、溝条76に係合可能な係合片71を有している。係合片71が溝条76に係合した状態で、ジョイント70の2つの挿通孔72と第1フレーム75の2つのネジ孔77の位置を重ね合わせる。この状態で、ネジ(図示省略)を用いて第1フレーム75にジョイント70を接続する。さらに、第2フレーム80にジョイント70を内挿した状態で、ネジ(図示省略)を用いてジョイント70に第2フレーム80を接続することによって、第1フレーム75と第2フレーム80を連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたジョイント70では、第1フレーム75のネジ孔77と、ジョイント70の挿通孔72の位置を重ね合わせる作業に手間がかかっていた。また、作業者は、ネジを用いて第1フレーム75にジョイント70を接続する際に、ジョイント70の位置がずれないように注意しながら作業を行う必要があった。そのため、第1フレーム75にジョイント70を接続する作業を効率良く行うことが難しいという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのジョイントは、周面にネジ孔と係合孔を有する筒状の第1フレームと、周面に貫通孔を有する筒状の第2フレームとを連結するためのジョイントであって、前記ジョイントは、天壁と、前記天壁から前記天壁の厚さ方向に沿って延びる端壁と、前記天壁から前記天壁の厚さ方向に沿って延びる側壁とを有し、前記端壁は、前記第1フレームの係合孔に係合する突出部を有するとともに、当該突出部が前記第1フレームの係合孔に係合した状態で前記第1フレームのネジ孔に重なる位置に挿通孔を有しており、前記側壁は、前記ジョイントを前記第2フレームに内挿した状態で前記第2フレームの貫通孔に重なる位置にネジ孔を有していることを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、ジョイントの突出部を第1フレームの係合孔に係合させることにより、第1フレームのネジ孔とジョイントの挿通孔とが重なる位置にジョイントを位置決めすることができる。ジョイントの位置決めを簡単に行うことができるとともに、ジョイントの位置がずれにくい状態で第1フレームに接続する作業を行うことができる。そのため、ネジを用いて第1フレームにジョイントを接続する作業を効率良く行うことができる。
【0007】
上記ジョイントについて、前記突出部は、前記端壁から前記端壁の厚さ方向に突出していることが好ましい。この構成によれば、突出部の突出方向が、天壁の面に沿う方向となる。突出部を第1フレームの係合孔に挿入する際の作業者の動作が、ジョイントを天壁の面に沿う方向に移動させるという簡単なものとなる。そのため、第1フレームの係合孔にジョイントの突出部を係合させることが容易になる。
【0008】
上記ジョイントについて、前記側壁は、一対設けられており、一対の前記側壁の両方にネジ孔を有していることが好ましい。この構成によれば、ジョイントに接続する第2フレームの貫通孔の位置に合わせて、ネジを取り付ける側壁を選択することができる。
【0009】
上記ジョイントについて、前記端壁から前記側壁に向かって延びる折り曲げ部を有することが好ましい。この構成によれば、端壁に応力が加わった際に、端壁の変形を抑制しやすくなる。
【0010】
上記ジョイントについて、前記折り曲げ部と前記側壁は、前記折り曲げ部と前記側壁が嵌合した嵌合部を有することが好ましい。この構成によれば、ジョイントに応力が加わった際にジョイントの変形を抑制しやすくなる。
【0011】
上記ジョイントについて、前記天壁、前記端壁、及び前記側壁は、一枚の板材が曲げ加工されて形成されていることが好ましい。この構成によれば、より少ない工程数でジョイントを作製することができるため、ジョイントの作製にかかるコストを低減することができる。
【0012】
上記課題を解決するためのフレーム構造体は、上記ジョイントを用いて、前記第1フレームと、前記第2フレームとが連結されたことを要旨とする。
この構成によれば、第1フレームと第2フレームを効率良く連結して、より簡単にフレーム構造体を作製することができる。溶接などを行う必要がないため、フレーム構造体の外観を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のジョイント、及びフレーム構造体によれば、第1フレームにジョイントを接続する作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3はフレーム構造体の一部の分解斜視図である。
【
図4】
図4はフレーム構造体の一部の斜視図である。
【
図5】
図5はフレーム構造体の全体の分解斜視図である。
【
図7】
図7は別の変更例のジョイントの斜視図である。
【
図8】
図8はさらに別の変更例のジョイントの斜視図である。
【
図9】
図9は従来技術のフレーム構造体の一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ジョイントの一実施形態を説明する。
図1に示すように、ジョイント10は、矩形板状の天壁15を有している。天壁15は平面視で長方形であり、長手方向の一方の端部に、天壁15から天壁15の厚さ方向に沿って延びる端壁20を有している。天壁15の短手方向の両方の端部に、天壁15から天壁15の厚さ方向に沿って延びる側壁30を有している。すなわち、側壁30は一対設けられている。端壁20と側壁30は、天壁15の厚さ方向に沿って同じ方向に延びている。
【0016】
ここで、
図1に示すように、天壁15の長手方向に沿う方向を「前後方向DY」という。前後方向DYにおける天壁15の中央を基準にして、端壁20を有する方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、天壁15の厚さ方向に沿う方向を「上下方向DZ」という。上下方向DZにおける天壁15の中央を基準にして、天壁15から端壁20と側壁30が延びる方向を下方とし、その反対方向を上方とする。また、天壁15の前後方向DYに直交するとともに、天壁15の上下方向DZに直交する方向を「左右方向DX」という。前方側からジョイント10を見た際に、左右方向DXにおける天壁15の中央を基準にして、左側を左方とし、右側を右方とする。
【0017】
以下、ジョイント10の端壁20について説明する。
[ジョイント10の端壁20]
図1、2に示すように、ジョイント10の端壁20は、天壁15の前端部15aから天壁15に連続して下方に延びている。端壁20は、中央部に端壁20を貫通した挿通孔21を有している。挿通孔21の外周縁は円形状となっている。
【0018】
端壁20は、端壁20に連続して、端壁20の下端部20cから前方に突出する突出部22を有している。突出部22は、端壁20の厚さ方向に突出している。言い換えれば、突出部22の突出方向は、天壁15の面に沿う方向となる。
【0019】
突出部22は前後方向DYに延びた矩形板状に構成されており、上下方向DZの寸法よりも左右方向DXの寸法が大きく構成されている。突出部22の前端部22aに、面取り部22eを有している。
【0020】
ジョイント10は、端壁20に連続して、端壁20の左右方向DXの両端部20eから折り曲げられて、後方に位置する側壁30に向かって延びる折り曲げ部25を有する。折り曲げ部25は、矩形板状に構成されている。折り曲げ部25の後端部25bに、後述する側壁30の凸部31に嵌合する凹部26を有する。凹部26は、折り曲げ部25の後端部25bから前方に向かって凹んだ形状を有している。凹部26は、折り曲げ部25の後端部25bから前方に向うにつれて、上下方向DZの寸法が大きくなっている。言い換えれば、凹部26は蟻溝となっている。
【0021】
以下、ジョイント10の側壁30について説明する。
[ジョイント10の側壁30]
図1、2に示すように、ジョイント10の側壁30は、天壁15の左右方向DXの両端部15eから天壁15に連続して下方に延びている。側壁30の前端部30aは、天壁15の前端部15aよりも若干後方側に位置する。すなわち、側壁30は、天壁15の前端部15aよりも若干後方側の位置から下方に延びている。
【0022】
なお、側壁30の前端部30aとは、側壁30が天壁15から連続して下方に延びる箇所を基準にして、その箇所における前方側の端部を意味するものとする。
側壁30の後端部30bは、天壁15の後端部15bと同じ位置になっている。すなわち、側壁30の後端部30bは、天壁15の後端部15bと面一となっている。
【0023】
側壁30は、上下方向DZの中央部にネジ孔32を有している。ネジ孔32は、前後方向DYに所定の間隔をおいて2つ設けられている。また、ネジ孔32は、側壁30に設けられた貫通孔の内周にネジ溝が形成されることによって構成されている。
【0024】
側壁30の前端部30aにおける上下方向DZの中央部には、前方に向かって突出した凸部31を有している。この凸部31は、側壁30の前端部30aから前方に向かって突出した形状を有している。凸部31は、側壁30の前端部30aから前方に向かうにつれて、上下方向DZの寸法が大きくなっている。言い換えれば、凸部31は蟻形となっている。凸部31は、上記折り曲げ部25が有する凹部26に嵌合している。
【0025】
図2に示すように、折り曲げ部25の凹部26と、側壁30の凸部31が嵌合すると、折り曲げ部25と側壁30とが加締められた状態となる。これにより、折り曲げ部25と側壁30の相対移動が規制される。折り曲げ部25の凹部26と側壁30の凸部31が嵌合した箇所を嵌合部という。
【0026】
図2に示すように、上下方向DZにおいて、側壁30の下端部30cは、端壁20の下端部20cより若干下方に位置し、突出部22の下端部22cと略同じ位置になっている。また、側壁30の下端部30cは、折り曲げ部25の下端部25cと略同じ位置になっている。折り曲げ部25の上端部25dは、天壁15の上端部15d、すなわち、天壁15の上面と略同じ位置になっている。前方からジョイント10を見た際に、ジョイント10の外形は略正方形となっている。
【0027】
以下、ジョイント10の作製方法について説明する。
[ジョイント10の作製方法]
ジョイント10の作製方法は特に制限されない。例えば、金属製の一枚の板材を打ち抜き加工して、所定の形状を有する板材を作製する。所定の形状としては、後の曲げ加工において板材を折り曲げた際に、本実施形態のジョイント10となる形状を意味する。打ち抜き加工によって、ネジ孔32となる貫通孔と、挿通孔21も形成される。
【0028】
次に、打ち抜き加工を行った板材に対して曲げ加工を行う。曲げ加工では、例えば、天壁15となる箇所を基準にして、端壁20と側壁30となる箇所に対して同時に曲げ加工を行い、端壁20と側壁30を同時に作製する。さらに、折り曲げ部25となる箇所に対して曲げ加工を行う。折り曲げ部25を作製する際、折り曲げ部25の凹部26と、側壁30の凸部31とを嵌合させて嵌合部を形成する。
【0029】
さらに、端壁20における突出部22となる箇所に曲げ加工を行う。最後に、ネジ孔32となる貫通孔にタップ孔加工を実施して、ネジ孔32を形成する。
上記の各工程を行うことによってジョイント10を作製することができる。上記の作製方法によれば、より少ない工程数でジョイント10を作製することができる。なお、曲げ加工を行う箇所の順序は、適宜変更することができる。
【0030】
ジョイント10は、取付治具ともいうものとする。また、金属製のジョイント10は、ジョイント金具、取付金具ともいうものとする。
図3に示すように、ジョイント10は、周面42にネジ孔43と係合孔44を有する筒状の第1フレーム40と、周面52に貫通孔53を有する筒状の第2フレーム50とを連結するために用いられる。ジョイント10を用いて第1フレーム40と第2フレーム50を連結することにより、フレーム構造体11(
図5参照)が作製される。
【0031】
以下、フレーム構造体11を構成する第1フレーム40と第2フレーム50について説明する。
[第1フレーム40]
図3に示すように、第1フレーム40は角筒状に構成されており、上下方向DZに沿って延びている。第1フレーム40は、4つの角部41と、各角部41の間に4つの周面42を有している。第1フレーム40は、長手方向の一方側の端部である上端部40dにおいて、隣り合う2つの周面42に、それぞれ、ネジ孔43と係合孔44とを有している。
【0032】
ネジ孔43は、係合孔44よりも第1フレーム40のより上端部40d側に位置する。ネジ孔43は、第1フレーム40の周面42に設けられた貫通孔にインサートナット45が取り付けられて構成されている。
【0033】
係合孔44は、上記ネジ孔43とは別に第1フレーム40の周面42に設けられた貫通孔として構成されている。
図3に示すように、係合孔44は、第1フレーム40の軸方向に直交する方向に延びた形状、言い換えれば、
図3において横長の形状を有している。係合孔44は、ジョイント10の突出部22の断面よりも若干大きな形状を有している。そのため、係合孔44は、ジョイント10の突出部22を抵抗なく挿入することができるとともに、第1フレーム40の周面42に沿う方向における突出部22の移動を規制することができる。さらに、前後方向DYを軸心にしたジョイント10の回転も規制することができる。これにより、係合孔44にジョイント10の突出部22が挿入されると、ジョイント10の突出部22は位置決めされた状態となる。この状態で、ジョイント10の挿通孔21が、第1フレーム40のネジ孔43に重なる位置となる。
【0034】
なお、上記「係合」とは、ジョイント10の突出部22が、第1フレーム40の係合孔44に抵抗なく挿入された状態のみでなく、第1フレーム40の係合孔44に所定の抵抗を有しつつ挿入された状態を含むものとする。例えば、係合孔44の大きさが、突出部22の断面と略等しく構成されており、ジョイント10の突出部22が、所定の抵抗を受けつつ係合孔44に挿入された状態を含むものとする。
【0035】
[第2フレーム50]
図3に示すように、第2フレーム50は角筒状に構成されており、水平方向に沿って延びている。なお、水平方向とは、上下方向DZに直交する前後方向DYや左右方向DXを含む任意の方向を意味するものとする。第2フレーム50は、4つの角部51と、各角部51の間に4つの周面52を有している。第2フレーム50は、長手方向の一方側の端部50aにおける1つの周面52に、貫通孔53を有している。貫通孔53は、第2フレーム50の長手方向に沿って、所定の間隔をおいて2つ設けられている。
【0036】
図4に示すように、第2フレーム50は、周面52の内側にジョイント10を内挿できるように構成されている。第1フレーム40にジョイント10が接続された状態で、このジョイント10を第2フレーム50に内挿すると、第2フレーム50の2つの貫通孔53は、ジョイント10の側壁30に設けられた2つのネジ孔32と位置が重なるように構成されている。
【0037】
第1フレーム40、及び、第2フレーム50の材質は、特に制限されないが、金属製であることが好ましい。
以下、第1フレーム40、第2フレーム50、及びジョイント10の組み付け手順について説明する。
【0038】
[第1フレーム40、第2フレーム50、及びジョイント10の組み付け手順]
図3、4に示すように、まず、第1フレーム40の係合孔44を有する周面42に対して、ジョイント10の端壁20が対向した状態とする。次に、ジョイント10を天壁15の面に沿う方向である水平方向に移動させて第1フレーム40に近づける。そして、ジョイント10の突出部22を第1フレーム40の係合孔44に挿入して、突出部22を係合孔44に係合させる。ジョイント10の突出部22が第1フレーム40の係合孔44に係合することにより、ジョイント10は第1フレーム40に対して位置決めされた状態となる。この状態で、第1フレーム40のネジ孔43と、ジョイント10の挿通孔21とが重なる位置となる。
【0039】
次に、ジョイント10の後方側からネジ35を挿入する。具体的には、ジョイント10の後方側から、天壁15と一対の側壁30とに囲まれたジョイント10の内周側にネジ35を通過させる。このネジ35を、ジョイント10の端壁20に設けられた挿通孔21を挿通した状態で、第1フレーム40のネジ孔43に螺合させる。これにより、第1フレーム40にジョイント10が接続される。
【0040】
次に、ジョイント10の後方側から第2フレーム50の一方側の端部50aを近づけて、第2フレーム50にジョイント10を内挿する。第2フレーム50の一方側の端部50aを第1フレーム40の周面42に当接させる。この状態で、ジョイント10の側壁30に設けられた2つのネジ孔32と、第2フレーム50の周面52に設けられた2つの貫通孔53とが重なる位置となる。
【0041】
ここで、ジョイント10のネジ孔32と第2フレーム50の貫通孔53とが重なる位置となる際に、第2フレーム50の一方側の端部50aは、第1フレーム40の周面42に当接しなくてもよい。すなわち、第2フレーム50の一方側の端部50aと、第1フレーム40の周面42との間に若干の隙間を有した状態で、ジョイント10のネジ孔32と第2フレーム50の貫通孔53とが重なる位置となってもよい。
【0042】
図4に示すように、次に、第2フレーム50の貫通孔53に対して、第2フレーム50の外側からネジ36を挿入する。このネジ36を、第2フレーム50の貫通孔53を挿通した状態で、ジョイント10のネジ孔32に螺合させる。これにより、ジョイント10に第2フレーム50が接続される。以上の手順により、第1フレーム40と第2フレーム50とが連結されて、フレーム構造体11が作製される。上記の組み付け手順は特に制限されず、適宜順番を入れかえて組み付けることができる。
【0043】
図5に示すように、フレーム構造体11は、複数の第1フレーム40と第2フレーム50を、ジョイント10を用いて連結することにより作製される。フレーム構造体11の形状は、
図5の形状に限定されず、第1フレーム40と第2フレーム50の連結箇所を適宜選択することにより、様々な形状とすることができる。フレーム構造体11は、適宜棚板等を配置して使用することができる。なお、
図5では、ネジ35、36を省略している。
【0044】
以下、フレーム構造体11の用途について説明する。
[フレーム構造体11の用途]
フレーム構造体11の用途は特に制限されず、公知の用途に用いることができる。フレーム構造体11の用途としては、例えば、テーブル、棚、居室間仕切り等が挙げられる。具体的には、洗面化粧台、キッチンカウンター、システム収納、キッチン棚、衣装棚、勉強机、鏡台、作業台、パーテーション等が挙げられる。
【0045】
[作用及び効果]
本実施形態の作用について記載する。
図3に示すように、ジョイント10の突出部22を第1フレーム40の係合孔44に挿入して、突出部22を係合孔44に係合させると、第1フレーム40のネジ孔43とジョイント10の挿通孔21とが重なる位置にジョイント10が位置決めされる。そのため、ジョイント10の位置決めを簡単に行うことができる。また、ジョイント10は、第1フレーム40に対する位置がずれにくくなるため、第1フレーム40とジョイント10を接続するためのネジ35を取り付ける作業を容易に行うことができる。すなわち、
図9に示す従来技術のジョイント70のように、ジョイント70が溝条76に沿って移動しないように注意しながら作業を行う必要がない。
【0046】
さらに、ジョイント10を第2フレーム50に内挿して、第2フレーム50の一方側の端部50aを第1フレーム40の周面42に当接させることにより、第2フレーム50に対するジョイント10の位置決めを簡単に行うことができる。そのため、第2フレーム50にジョイント10を接続するためのネジ36を取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0047】
本実施形態の効果について記載する。
(1)ジョイント10の突出部22を第1フレーム40の係合孔44に係合させることにより、第1フレーム40のネジ孔43とジョイント10の挿通孔21とが重なる位置にジョイント10を位置決めすることができる。ジョイント10の位置決めを簡単に行うことができるとともに、ジョイント10の位置がずれにくい状態で第1フレーム40に接続する作業を行うことができる。したがって、ネジ35を用いて第1フレーム40にジョイント10を接続する作業を効率良く行うことができる。
【0048】
(2)第1フレーム40に接続されたジョイント10を、第2フレーム50に内挿して、第2フレーム50の一方側の端部50aを第1フレーム40の周面42に当接させる。これにより、第2フレーム50に対するジョイント10の位置決めを簡単に行うことができる。したがって、ネジ36を用いて第2フレーム50にジョイント10を接続する作業を効率良く行うことができる。
【0049】
(3)ネジ35を用いて第1フレーム40にジョイント10を接続する作業、及び、ネジ36を用いて第2フレーム50にジョイント10を接続する作業を効率良く行うことができる。したがって、第1フレーム40と第2フレーム50を効率良く連結して、より簡単にフレーム構造体11を作製することができる。また、フレーム構造体11を各部材に分解した状態で搬送して、所定の場所で組み立てることができるため、搬送コストを低減することができる。さらに、フレーム構造体11の作製に溶接を行わないとともに、作製後はジョイント10が外部から見えなくなる。よって、フレーム構造体11の外観を良好にすることができる。
【0050】
(4)ジョイント10の突出部22は、端壁20から端壁20の厚さ方向に突出している。突出部22を第1フレーム40の係合孔44に挿入する際の作業者の動作が、ジョイント10を天壁15の面に沿う方向に移動させるという簡単なものとなる。したがって、第1フレーム40の係合孔44にジョイント10の突出部22を係合させることが容易になる。
【0051】
(5)ジョイント10の突出部22を、第1フレーム40の係合孔44に挿入することにより、前後方向DYを軸心にしたジョイント10の回転が規制される。したがって、ネジ35を締め付ける際にジョイント10が回転してしまう事を抑制することができるため、安全に作業を行うことができる。また、ジョイント10の位置決めをより正確に行うことができる。
【0052】
(6)ジョイント10の突出部22は、面取り部22eを有している。したがって、突出部22を第1フレーム40の係合孔44に挿入する際に、よりスムーズに挿入することができる。
【0053】
(7)側壁30は、一対設けられており、一対の側壁30の両方にネジ孔32を有している。この構成によれば、ジョイント10に接続する第2フレーム50の貫通孔53の位置に合わせて、ネジ36を取り付ける側壁30を選択することができる。
【0054】
図3、5に示すように、例えば、完成品となるフレーム構造体11において、複数の第2フレーム50を、第2フレーム50の貫通孔53の位置がフレーム構造体11の内側になるように配置する場合がある。この場合、ジョイント10の一対の側壁30において、フレーム構造体11の内側に位置する側壁30のネジ孔32を用いて、ジョイント10を第2フレーム50に接続させることができる。複数種類のジョイント10を用意する必要がなく、一種類のジョイント10を用いてフレーム構造体11を作製することができる。したがって、コストを低減することができるとともに、作業効率を向上させることができる。さらに、
図5のフレーム構造体11では、第2フレーム50に取り付けられるネジ36が、フレーム構造体11の内側に位置するため、ネジ36を目立たなくして外観を良好にすることができる。
【0055】
(8)ジョイント10は、端壁20から側壁30に向かって延びる折り曲げ部25を有する。したがって、端壁20に応力が加わった際に、端壁20の変形を抑制しやすくなる。
【0056】
(9)ジョイント10の折り曲げ部25と側壁30は、当該折り曲げ部25と側壁30が嵌合した嵌合部を有する。したがって、ジョイント10に応力が加わった際にジョイント10の変形を抑制しやすくなる。さらに、フレーム構造体11の耐久性を向上させることができる。
【0057】
(10)ジョイント10の天壁15、端壁20、及び側壁30は、一枚の板材が曲げ加工されて形成されている。したがって、より少ない工程数でジョイント10を作製することができるため、ジョイント10の作製にかかるコストを低減することができる。
【0058】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・本実施形態において、ジョイント10は折り曲げ部25を有していたが、折り曲げ部25は省略されていてもよい。
図6に示すように、例えば、ジョイント10は、折り曲げ部25が省略されて端壁20と側壁30の間に隙間Sを有していてもよい。また、端壁20と側壁30の間に隙間Sがない状態で、端壁20と側壁30とが当接していてもよい。
図6の態様では、折り曲げ部25を有していないため、ジョイント10を作製する際の工程数をより少なくすることができる。また、ジョイント10を軽量化することができる。
【0060】
図7に示すように、例えば、一対の側壁30の前端部30aに、さらに前方に向かって矩形板状の凸部33が設けられていてもよい。この凸部33は、端壁20の左右両側から端壁20を挟み込むように配置されている。凸部33の前端部33aは、端壁20の前端部20aと略面一になっている。この態様では、左右方向DXの外側から側壁30に応力が加わった際に、凸部33が端壁20の左右方向DXの両端部20eに当接することにより、側壁30の変形を抑制しやすくなる。
【0061】
・
図8に示すように、ジョイント10は、折り曲げ部25を有するものの、折り曲げ部25と側壁30との間の嵌合部が省略されていてもよい。嵌合部が省略されていることにより、ジョイント10を作製する際に打ち抜き加工で作製する板材の形状が簡略化される。そのため、打ち抜き加工を効率良く行うことが可能になる。また、嵌合部を形成することなく曲げ加工を行うことができるため、曲げ加工のスピードを向上させることが可能になる。この態様では、前方から端壁20に応力が加わった際に、折り曲げ部25の後端部25bが側壁30の前端部30aに当接することにより、端壁20の変形を抑制しやすくなる。また、必要に応じて、折り曲げ部25の後端部25bと、側壁30の前端部30aの間を溶接等の2次加工で固定することによって、強度を増すことができる。
【0062】
・
図1、2に示すジョイント10において、嵌合部を形成する折り曲げ部25の凹部26と、側壁30の凸部31の凹凸関係が反対であってもよい。すなわち、折り曲げ部25に凸部が形成されるとともに、側壁30に凹部が形成されており、両者が嵌合するように構成されていてもよい。
【0063】
・本実施形態において、ジョイント10の天壁15、端壁20、及び側壁30は、一枚の板材が曲げ加工されて形成されていたが、この態様に限定されない。ジョイント10の天壁15、端壁20、及び側壁30の少なくともいずれかは、別部材で構成されて、互いに接合して用いられていてもよい。
【0064】
・本実施形態において、第1フレーム40、及び第2フレーム50は、角筒状に構成されていたが、この態様に限定されない。第1フレーム40、及び第2フレーム50は、円筒状に構成されていてもよく、横断面が四角以外の多角形状からなる筒状であってもよい。
【0065】
・本実施形態では、ジョイント10を使用する際の向きとして、ジョイント10の天壁15が上方に位置する態様について説明したが、ジョイント10を使用する際の向きは限定されない。例えば、天壁15が下方に位置する状態、すなわち、上下方向DZが反転した状態で使用してもよい。同様に、天壁15が左右方向DXや前後方向DYのいずれかの方向に位置する状態で使用してもよい。「天壁15」は、便宜上、天壁15と呼んでいるのであって、必ずしも、上方に位置する必要はない。
【0066】
・本実施形態では、ジョイント10の天壁15は、平面視で前後方向DYに長い長方形であったが、この態様に限定されない。天壁15は、左右方向DXに長い長方形であってもよいし、正方形であってもよい。
【0067】
・ジョイント10の側壁30は、天壁15の短手方向における一方の端部のみから下方に延びていてもよい。また、ジョイント10の側壁30は、一対設けられているものの、一対の側壁30の一方のみにネジ孔32が設けられていてもよい。
【0068】
・ジョイント10の側壁30に設けられたネジ孔32の数は、2つに限定されない。1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
・本実施形態において、ジョイント10の突出部22は、端壁20に対して曲げ加工を行うことによって形成されていたが、この態様に限定されない。ジョイント10の突出部22は、曲げ加工以外の方法によって形成してもよい。例えば、端壁20に対して切削加工を行って貫通孔を形成し、この貫通孔に、棒状の突出部を無理嵌め状態で挿入して突出部としてもよい。
【0069】
・本実施形態では、ジョイント10の突出部22は、端壁20から端壁20の厚さ方向に突出していたが、この態様に限定されない。ジョイント10の突出部22は、端壁20の厚さ方向とは異なる方向に突出していてもよい。端壁20の厚さ方向とは異なる方向としては、例えば、
図1における、前方側斜め上方であってもよいし、前方側斜め下方であってもよい。
【0070】
・本実施形態において、第1フレーム40は、上端部40dの隣り合う2つの周面42に、それぞれ、ネジ孔43と係合孔44とを有していたが、この態様に限定されない。また、第2フレーム50は、長手方向の一方側の端部50aにおける1つの周面52に、貫通孔53を有していたが、この態様に限定されない。第1フレーム40のネジ孔43と係合孔44の位置及び数は、任意に設定することができる。同様に、第2フレーム50の貫通孔53の位置及び数は、任意に設定することができる。
【0071】
また、第1フレーム40は上下方向DZに沿って延びる態様に限定されない。同様に、第2フレーム50は、水平方向に沿って延びる態様に限定されない。第1フレーム40と第2フレーム50は、作製するフレーム構造体11の構造に合わせて、任意の方向に延びるように用いることができる。また、第1フレーム40と第2フレーム50は、直線状に延びる態様に限定されず、少なくとも一部が湾曲していてもよいし、屈曲部を有していてもよい。第1フレーム40と第2フレーム50とをジョイント10を用いて連結することにより、フレーム構造体11の形状や寸法を、任意に選択することができる。
【0072】
・第1フレーム40と第2フレーム50の材質は金属に限定されない。また、ジョイント10の材質も金属に限定されない。例えば、樹脂製、木製、紙製、繊維強化複合材料製等、フレーム構造体11の材質として用いることが可能な任意の材質を採用することができる。また、第1フレーム40、第2フレーム50、及びジョイント10の少なくとも一つが、互いに異なる材質で構成されていてもよい。すなわち、フレーム構造体11が異種材料を組み合わせて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…ジョイント、15…天壁、20…端壁、21…挿通孔、22…突出部、30…側壁、32…ネジ孔、40…第1フレーム、42…周面、43…ネジ孔、44…係合孔、50…第2フレーム、52…周面、53…貫通孔。