(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20240903BHJP
H01R 13/516 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/516
(21)【出願番号】P 2022028866
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 亨
(72)【発明者】
【氏名】本間 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】岡野 柊哉
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-150180(JP,A)
【文献】特開2011-014454(JP,A)
【文献】特開2003-203712(JP,A)
【文献】特開2023-000590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの外周に回動可能に配置されたレバーと、
を備え、
前記ハウジングは、フレームと、前記フレームに収容されるサブハウジングとを有し、
前記フレームには、前記フレームに対する前記サブハウジングの挿入方向に沿って延出され、延出方向の一側が開口されたレバー挿入孔が設けられ、
前記レバーには、前記ハウジングに向けて延出され、前記レバー挿入孔に配置されて前記レバーを回動可能とする回動軸が設けられ、
前記回動軸には、前記フレームと前記サブハウジングとの間に配置される規制部が設けられているコネクタ。
【請求項2】
前記サブハウジングには、前記レバーに向けて延出された軸部が設けられ、
前記回動軸は、筒状に形成され、前記軸部が挿通されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記規制部は、前記回動軸の周方向の全域に設けられている請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記軸部は、前記サブハウジング側から先端まで外形形状が円形状に形成されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フレームの前記規制部と対向する対向部は、前記フレームの他の部分より前記サブハウジングから離間する位置に配置されている請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、ハウジングとしての電線カバーと、電線カバーの外周に回動可能に配置されたレバーとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このコネクタでは、電線カバーに軸部が設けられ、レバーに軸部が挿通される軸孔が設けられている。軸部を軸孔に挿通することにより、レバーが、電線カバーの外周に回動可能に配置される。
【0003】
このコネクタでは、軸部の先端に、軸孔の周囲に対して、レバーが電線カバーの外周から離間する方向に対向して配置される規制部が設けられている。軸孔の周囲には、レバーの所定の回動位置で、規制部と一致して規制部が挿通可能な許容孔が設けられている。
【0004】
このようなコネクタでは、レバーを電線カバーに組付けるときに、レバーを所定の回動位置に配置させ、規制部と許容孔とを一致させる。規制部が許容孔を挿通するように、軸部を軸孔に挿通させ、レバーを電線カバーに組付ける。軸部に規制部を設けることにより、レバーが電線カバーの外周から離れることがなく、レバーの回動を安定化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、ハウジングにレバーを組付けるときに、規制部と許容孔とを一致させる必要がある。このため、組付作業において、レバーの回動位置を固定しながらレバーをハウジングに組付けなければならず、組付性が低下していた。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、組付性を向上することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングの外周に回動可能に配置されたレバーとを備え、前記ハウジングは、フレームと、前記フレームに収容されるサブハウジングとを有し、前記フレームには、前記フレームに対する前記サブハウジングの挿入方向に沿って延出され、延出方向の一側が開口されたレバー挿入孔が設けられ、前記レバーには、前記ハウジングに向けて延出され、前記レバー挿入孔に配置されて前記レバーを回動可能とする回動軸が設けられ、前記回動軸には、前記フレームと前記サブハウジングとの間に配置される規制部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組付性を向上することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るコネクタの一部を断面とした正面図である。
【
図4】本実施形態に係るコネクタのレバーの要部拡大斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るコネクタが相手コネクタと嵌合する前の側面図である。
【
図6】本実施形態に係るコネクタが相手コネクタと嵌合する前の断面図である。
【
図7】本実施形態に係るコネクタが相手コネクタと嵌合したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
図1~
図7に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、相手コネクタ101と嵌合可能となっている。コネクタ1は、ハウジング3と、レバー5とを備えている。ハウジング3には、端子7が収容されている。相手コネクタ101には、相手端子105が収容されている。コネクタ1は、レバー5の回動によって、相手コネクタ101と嵌合され、端子7と相手端子105とが電気的に接続される。
【0013】
図5~
図7に示すように、相手コネクタ101は、相手ハウジング103と、相手端子105と、カバー107と、検知部材109とを備えている。
【0014】
相手ハウジング103は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。相手ハウジング103は、コネクタ1のハウジング3と嵌合可能な筐体状に形成されている。相手ハウジング103の両側壁の外面には、それぞれカムピン111が外方に向けて突出して形成されている。相手ハウジング103の上下壁の外面には、それぞれ相手係止突起113が外方に向けて突出して形成されている。
【0015】
相手ハウジング103の内部には、コネクタ1との嵌合方向に沿って延出され、相手端子105を収容可能な相手端子収容室115が複数設けられている。なお、相手ハウジング103は、フレームと、フレームに収容される端子収容部材とからなり、端子収容部材の内部には、複数の相手端子収容室115が設けられている。
【0016】
相手端子収容室115は、コネクタ1と反対側が、相手端子105を相手端子収容室115内に挿入可能に開口されている。また、相手端子収容室115は、コネクタ1側が、端子7のタブ状の接続部51を相手端子収容室115内に挿入可能に開口されている。相手端子収容室115の内部には、相手端子105に係合され、相手端子105を相手端子収容室115に保持する相手係止ランス117が弾性変形可能に設けられている。
【0017】
相手端子105は、導電性材料からなる。相手端子105は、コネクタ1側に向けて延出され、端子7のタブ状の接続部51を挿入可能な箱状の相手接続部119を有する雌型端子からなる。相手端子105は、電源や機器などに電気的に接続された相手電線121の端末部に電気的に接続されている。
【0018】
相手端子105は、相手電線121の端末部に電気的に接続された状態で、相手端子収容室115のコネクタ1と反対側の開口から相手端子収容室115に収容される。相手端子105は、相手端子収容室115に収容された状態で、箱状の相手接続部119が、相手端子収容室115のコネクタ1側の開口と一致する位置に配置される。相手端子収容室115に相手端子105が収容された状態では、相手端子収容室115のコネクタ1と反対側の開口から相手電線121が相手ハウジング103の外部に引き出される。相手ハウジング103から引き出された複数の相手電線121の外周は、カバー107によって覆われる。
【0019】
カバー107は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。カバー107は、相手ハウジング103から引き出された複数の相手電線121の外周を覆うように筐体状に形成されている。カバー107は、複数の係合部を介して相手ハウジング103に組付けられる。カバー107の外面には、検知アーム123が弾性変形可能に設けられている。検知アーム123の自由端は、レバー5のレバーロック部59と係合可能な被レバーロック部125となっている。被レバーロック部125は、レバー5の回動完了位置で、レバーロック部59と係合される。
【0020】
検知アーム123の自由端側には、検知孔127が検知アーム123を貫通して形成されている。カバー107の検知アーム123の自由端の下方には、検知仮係止部129と、検知本係止部131とが設けられている。検知仮係止部129と検知本係止部131とが位置する部分には、検知部材109が組付けられている。
【0021】
検知部材109は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。検知部材109は、カバー107の検知アーム123の自由端側の配置スペースに収容可能なように長方形状に形成されている。検知部材109は、カバー107の配置スペースに対して、カバー107の高さ方向に移動可能に配置される。検知部材109のカバー107と反対側の外面には、カバー107の検知仮係止部129と検知本係止部131とに係合可能な検知係止突起133が外方に向けて突出して形成されている。検知係止突起133は、検知仮係止部129と係合することにより、検知部材109を仮係止位置で保持する。また、検知係止突起133は、検知本係止部131と係合することにより、検知部材109を本係止位置で保持する。
【0022】
検知部材109の検知アーム123側には、弾性変形可能な弾性アーム135が設けられている。弾性アーム135の自由端には、カバー107から離れる方向に向けて突出して形成された検知部137が設けられている。検知部137は、検知部材109の仮係止位置で、検知アーム123の被レバーロック部125と当接される。検知部材109の仮係止位置では、被レバーロック部125と検知部137との当接により、検知部材109が本係止位置に移動することができない。検知部137は、検知部材109の本係止位置で、検知アーム123の検知孔127に配置される。
【0023】
検知部材109は、カバー107に組付けられたとき、仮係止位置で保持される。検知部材109は、レバー5の回動を終了したときに、仮係止位置から本係止位置に移動される。このとき、レバー5が回動完了位置に配置されていれば、被レバーロック部125とレバーロック部59とが係合した状態となる。被レバーロック部125とレバーロック部59とが係合した状態では、レバーロック部59と検知部137とが当接し、検知部材109の弾性アーム135が、カバー107側に向けて弾性変形される。弾性アーム135が弾性変形された状態では、被レバーロック部125と検知部137との当接代が少なくなる。このため、検知部材109を本係止位置に向けて移動させることにより、検知部137が被レバーロック部125と摺動して、弾性アーム135が弾性変形され、検知部材109を本係止位置に配置させることができる。検知部材109が本係止位置に配置されることで、レバー5が回動完了位置に配置され、相手コネクタ101とコネクタ1とが正常に嵌合されていることを検出することができる。
【0024】
一方、レバー5は、回動完了位置への回動が不十分であるとき、レバーロック部59が、検知アーム123の被レバーロック部125の外面側に配置される。レバーロック部59が被レバーロック部125の外面側に配置されると、検知部137とレバーロック部59とが当接せず、検知部材109の弾性アーム135が弾性変形しない。このため、検知部材109を仮係止位置から本係止位置に移動させようとしても、検知部137と被レバーロック部125との当接によって、検知部材109を移動することができない。検知部材109が本係止位置に配置されないことで、レバー5が回動完了位置に配置されず、相手コネクタ101とコネクタ1とが正常に嵌合していない可能性があることを検出することができる。
【0025】
図1~
図7に示すように、コネクタ1は、ハウジング3と、レバー5とを備えている。ハウジング3は、フレーム9と、サブハウジング11とを備えている。
【0026】
フレーム9は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。フレーム9は、支持壁13と、相手フード部15と、フード部17とを備えている。
【0027】
支持壁13は、平板状に形成されている。支持壁13は、サブハウジング11と相手ハウジング103との間に配置される。支持壁13は、端子7と相手端子105とが電気的に接続した状態で、サブハウジング11と相手ハウジング103とに当接される。支持壁13には、複数の端子7のタブ状の接続部51が挿通される複数の挿通孔19が貫通して形成されている。複数の挿通孔19は、複数の相手端子収容室115のコネクタ1側の開口と一致する位置に配置されている。
【0028】
支持壁13は、タブ状の接続部51の先端側を挿通孔19に挿通して支持する仮位置(
図6参照)を有する。また、支持壁13は、挿通孔19から露出したタブ状の接続部51が、相手端子105の箱状の相手接続部119内に挿入される本位置(
図7参照)を有する。このため、支持壁13は、サブハウジング11と相手ハウジング103との間に、仮位置と本位置との間を移動可能に配置されている。なお、本実施形態においては、支持壁13は、仮位置で相手ハウジング103と当接しており、相手ハウジング103と共に仮位置から本位置に移動する。
【0029】
支持壁13は、仮位置から本位置に移動するまで、箱状の相手接続部119に対して、タブ状の接続部51を位置決めする。このため、タブ状の接続部51が、箱状の相手接続部119に安定して挿入され、端子7と相手端子105との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0030】
相手フード部15は、支持壁13と連続する一部材で相手ハウジング103側に向けて延出され、内部に相手ハウジング103を収容可能な筐体状に形成されている。相手フード部15の両側壁の外面には、それぞれレバー突起21が外方に向けて突出して形成されている。相手フード部15の両側壁の相手ハウジング103側の端面には、それぞれ相手フード部15に対する相手ハウジング103の挿入方向に沿って延出され、相手ハウジング103側が開口されたピン孔23が設けられている。ピン孔23には、相手フード部15に相手ハウジング103が挿入されるときに、相手ハウジング103のカムピン111が挿入される。ピン孔23に挿入されたカムピン111は、フレーム9の外面から露出するように配置される。
【0031】
相手フード部15の上下壁の内面には、それぞれ相手溝部25が設けられている。相手溝部25は、相手フード部15と支持壁13とにわたって設けられている。相手溝部25の相手ハウジング103側の端部は、相手ハウジング103の相手係止突起113が係合される相手被係止部27となっている。相手係止突起113と相手被係止部27との係合により、相手フード部15からの相手ハウジング103の抜け止めがなされる。相手係止突起113と相手被係止部27とが係合した状態では、相手ハウジング103と支持壁13とが当接された状態となっている。相手ハウジング103と支持壁13とが当接された状態では、相手端子収容室115のコネクタ1側の開口と支持壁13の挿通孔19との位置が一致する。
【0032】
フード部17は、支持壁13と連続する一部材でサブハウジング11側に向けて延出され、内部にサブハウジング11を収容可能な筐体状に形成されている。フード部17の両側壁の内面には、それぞれ溝部29が設けられている。溝部29は、フード部17と相手フード部15とにわたって設けられている。溝部29のサブハウジング11側の端部は、被係止部(不図示)となっている。フード部17の両側壁の内面には、複数の許容溝31が設けられている。許容溝31は、フード部17と相手フード部15とにわたって設けられている。このため、支持壁13には、許容溝31が位置する部分に係合孔33が形成されている。
【0033】
フード部17の両側壁には、それぞれ側壁を貫通して形成されたレバー挿入孔35が設けられている。レバー挿入孔35は、フード部17に対するサブハウジング11の挿入方向に沿って延出され、延出方向の一側であるサブハウジング11側が開口されている。レバー挿入孔35が位置するフード部17の内面71には、対向部37が設けられている。対向部37は、フード部17の内部から内面71に向けて見たときに、内面71より外面側の低い位置に配置されている。対向部37は、レバー挿入孔35の周囲の全域に設けられている。このようなフード部17には、サブハウジング11が収容される。
【0034】
サブハウジング11は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。サブハウジング11は、フード部17の内部に収容可能な筐体状に形成されている。サブハウジング11の両側壁の外面には、それぞれフード部17の溝部29に形成された被係止部に係合可能な係止突起39が外方に向けて突出して形成されている。係止突起39と被係止部との係合により、フード部17からのサブハウジング11の抜け止めがなされる。
【0035】
サブハウジング11の両側壁のフレーム9側の端面には、フード部17の複数の許容溝31と対応する位置に、フレーム9に向けて延出された弾性変形可能な弾性片41が複数設けられている。弾性片41の自由端側には、サブハウジング11の内方に向けて突出された前端突起43と後端突起(不図示)とが設けられている。前端突起43と後端突起とは、前端突起43と後端突起との間に、支持壁13の係合孔33の縁部が配置可能なように離間して配置されている。
【0036】
弾性片41は、サブハウジング11がフード部17に挿入されたとき、支持壁13の係合孔33を挿通し、係合孔33の縁部に前端突起43と後端突起とが係合される。係合孔33の縁部に前端突起43と後端突起とが係合された状態では、端子7のタブ状の接続部51の先端側が、支持壁13の挿通孔19に挿通された支持壁13の仮位置となる。弾性片41は、相手フード部15に相手ハウジング103が収容されることにより、前端突起43が相手ハウジング103と当接して、弾性変形される。弾性片41が弾性変形されると、係合孔33の縁部と前端突起43と後端突起との係合が解除され、支持壁13が本位置に移動することができる。
【0037】
サブハウジング11の両側壁の外面には、それぞれ軸部45が外方に向けて突出して形成されている。軸部45は、サブハウジング11側の基端から先端までの外形形状が円形状に形成されている。すなわち、軸部45は、外面に何も設けられていない単なる円柱状に形成されている。このため、軸部45を容易に形成することができる。軸部45は、サブハウジング11がフレーム9のフード部17に挿入されるときに、フード部17のレバー挿入孔35に挿入される。
【0038】
サブハウジング11の上部には、相手コネクタ101との嵌合方向に沿って延出され、端子7を収容可能な端子収容室47が複数設けられている。なお、サブハウジング11の下部には、内部に複数の端子収容室47が設けられた複数の端子収容部材が収容される。
【0039】
端子収容室47は、フレーム9と反対側が、端子7を端子収容室47内に挿入可能に開口されている。また、端子収容室47は、フレーム9側が、端子7のタブ状の接続部51が挿通され、接続部51をサブハウジング11の外部に露出させるように開口されている。端子収容室47の内部には、端子7に係合され、端子7を端子収容室47に保持する係止ランス49が弾性変形可能に設けられている。
【0040】
端子7は、導電性材料からなる。端子7は、端子収容室47のフレーム9側の開口からサブハウジング11の外部に露出され、フレーム9側に向けて延出されたタブ状の接続部51を有する雄型端子からなる。端子7は、電源や機器などに電気的に接続された電線53の端末部に電気的に接続されている。
【0041】
端子7は、電線53の端末部に電気的に接続された状態で、端子収容室47のフレーム9と反対側の開口から端子収容室47に収容される。端子7は、端子収容室47に収容された状態で、タブ状の接続部51が、端子収容室47のフレーム9側の開口からサブハウジング11の外部に露出される。端子収容室47に端子7が収容された状態では、端子収容室47のフレーム9と反対側の開口から電線53がサブハウジング11の外部に引き出される。
【0042】
このような端子7は、サブハウジング11がフレーム9のフード部17に収容されると、タブ状の接続部51の先端側が、支持壁13の挿通孔19に挿入される。このとき、フレーム9の支持壁13は、タブ状の接続部51を支持する仮位置に配置される。フレーム9の相手フード部15に相手ハウジング103を挿入すると、相手ハウジング103と弾性片41とが当接し、弾性片41と係合孔33との係合が解除される。支持壁13が本位置に配置されるように、相手ハウジング103とフレーム9とが、サブハウジング11側に移動すると、タブ状の接続部51が、箱状の相手接続部119に挿入され、端子7と相手端子105とが電気的に接続される。このようなコネクタ1と相手コネクタ101との嵌合は、レバー5の回動によって行われる。
【0043】
レバー5は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。レバー5は、フレーム9の両側壁に対向して配置される一対の側壁55,55と、一対の側壁55,55を連結する連結部57とを有するように形成されている。レバー5の連結部57には、レバーロック部59が設けられている。レバー5の一対の側壁55,55には、それぞれフレーム9のレバー突起21に係合される係合穴61が形成されている。レバー5の一対の側壁55,55には、それぞれ相手ハウジング103のカムピン111が挿入されるカム溝63が、レバー5の回動軌跡に沿って設けられている。
【0044】
レバー5の一対の側壁55,55には、それぞれサブハウジング11の軸部45が挿通される軸孔65が形成されている。軸孔65は、内径が軸部45の外径より僅かに大きく設定され、内周形状が軸部45の外周形状と同様に円形状に形成されている。軸孔65の周囲には、例えば、軸部45の先端側に突起などの規制部が設けられている場合に、規制部の挿入を許容するような形状が設けられていない。このため、レバー5の回動位置を定めることなく、どのようなレバー5の回動位置であっても、軸部45を軸孔65に挿入させることができる。
【0045】
このようなレバー5は、軸部45を軸孔65に挿入し、サブハウジング11に組付けられた状態で、サブハウジング11をフード部17に挿入すると、軸部45が、レバー挿入孔35に挿入され、フレーム9の外周に回転可能に配置される。レバー5は、フレーム9の外周に配置された状態で、レバー突起21と係合穴61とが係合することにより、回動初期位置で保持される。レバー5の回動初期位置では、カム溝63の開口が、相手コネクタ101と対向して配置される。
【0046】
レバー5の回動初期位置で、相手フード部15に相手ハウジング103を収容すると、カム溝63内に相手ハウジング103のカムピン111が挿入される。回動初期位置から相手コネクタ101側に向けてレバー5を回動させると、カム溝63に沿ってカムピン111が移動し、相手ハウジング103とフレーム9とがサブハウジング11側に向けて移動する。相手ハウジング103とフレーム9との移動により、タブ状の接続部51が箱状の相手接続部119に挿入され、端子7と相手端子105とが電気的に接続される。このとき、レバー5は、回動完了位置に配置され、レバーロック部59がカバー107の被レバーロック部125に係合することによって、回動完了位置で保持される。
【0047】
ここで、軸部45と軸孔65との間には、軸部45が軸孔65から抜け出ることを規制する構造がないため、軸部45が軸孔65から抜け出す可能性がある。軸部45が軸孔65から抜け出すと、レバー5の一対の側壁55,55がハウジング3の外周から離れてしまい、レバー5の回動が不安定になる可能性がある。加えて、レバー5がハウジング3から離脱してしまう可能性がある。そこで、軸孔65は、レバー5に設けられた回動軸としての筒部67に形成され、筒部67には、規制部69が設けられている。
【0048】
筒部67は、レバー5の一対の側壁55,55にそれぞれ設けられ、側壁55の内面から内方に向けて延出されている。筒部67の中心部には、軸孔65が設けられている。筒部67の外周形状は、円形状に形成されている。筒部67の外径は、レバー挿入孔35の幅より僅かに小さく設定されている。筒部67の側壁55の内面からの延出長さは、フレーム9の壁部の厚さと同等に設定されている。筒部67は、レバー5がサブハウジング11に組付けられた状態で、サブハウジング11をフード部17に挿入すると、レバー挿入孔35に挿入される。筒部67は、レバー挿入孔35に配置された状態で、レバー5が回動されると、外周面がレバー挿入孔35の縁部に摺動する。このため、筒部67は、ハウジング3の外周に対して、レバー5を回動可能に支持する回動軸として機能する。
【0049】
規制部69は、筒部67の先端に、筒部67の外面から径方向の外方に向けて突出して設けられている。規制部69は、筒部67の周方向に連続して円形状に形成されている。規制部69の外径は、レバー挿入孔35の幅より大きく設定されている。規制部69の厚さは、フード部17の内面71に形成された対向部37と内面71との間の高さ(段差)と同等に設定されている。
【0050】
規制部69は、筒部67がレバー挿入孔35に挿入されると、フレーム9とサブハウジング11との間に配置され、対向部37に対して、軸部45の軸孔65からの抜け方向に対向して配置される。言い換えれば、レバー5がハウジング3の外周から離間する方向に対向して配置される。このため、軸部45が軸孔65から抜け出ようとしても、規制部69と対向部37とが当接し、軸部45が軸孔65から抜け出ることがない。従って、レバー5がハウジング3の外周から離れることがなく、レバー5の回動を安定化することができる。加えて、レバー5がハウジング3から離脱することがない。また、規制部69は、筒部67の周方向の全域に配置されているので、レバー5の回動範囲の全域で軸部45が軸孔65から抜け出ることを防止することができる。
【0051】
規制部69は、フレーム9の内面71において、内面71よりフレーム9の外面側に配置された対向部37と対向して配置される。対向部37に配置された規制部69のサブハウジング11側の面73は、フレーム9の内面71と面一となるように設定されている。このため、規制部69がフレーム9の内部に張り出すことがなく、フレーム9とサブハウジング11とを近接して配置させることができ、ハウジング3の大型化を抑制することができる。
【0052】
このようなコネクタ1の相手コネクタ101との嵌合は、まず、軸部45を軸孔65に挿通させ、レバー5をサブハウジング11に組付ける。次に、フレーム9のフード部17に、サブハウジング11を挿入する。このとき、係止突起39と被係止部とが係合し、弾性片41と係合孔33とが係合し、支持壁13がタブ状の接続部51の先端側を支持する仮位置に配置される。
【0053】
次に、フレーム9の相手フード部15に、相手ハウジング103を挿入して収容する。このとき、相手係止突起113と相手被係止部27とが係合し、支持壁13と相手ハウジング103とが当接し、相手ハウジング103がフレーム9と一体的に移動可能となる。支持壁13と相手ハウジング103との当接により、弾性片41が相手ハウジング103と当接して弾性変形され、弾性片41と係合孔33との係合が解除される。
【0054】
次に、レバー5を、回動初期位置から回動完了位置に向けて回動させる。レバー5の回動により、カムピン111がカム溝63に沿って移動し、相手ハウジング103とフレーム9とが、サブハウジング11に向けて移動される。フレーム9の移動によって、支持壁13が仮位置から本位置に向けて移動し、タブ状の接続部51が箱状の相手接続部119に挿入され、端子7と相手端子105とが電気的に接続される。
【0055】
そして、レバー5が回動完了位置に配置された状態で、検知部材109を仮係止位置から本係止位置に移動させる。検知部材109が本係止位置に配置されないときには、レバー5を回動完了位置に向けて回動させ、再び、検知部材109を本係止位置に移動させる。検知部材109が本係止位置に移動されたときには、コネクタ1と相手コネクタ101との嵌合を完了する。
【0056】
このようなコネクタ1では、ハウジング3と、ハウジング3の外周に回動可能に配置されたレバー5とを備えている。また、ハウジング3は、フレーム9と、フレーム9に収容されるサブハウジング11とを有する。さらに、フレーム9には、フレーム9に対するサブハウジング11の挿入方向に沿って延出され、延出方向の一側が開口されたレバー挿入孔35が設けられている。また、レバー5には、ハウジング3に向けて延出され、レバー挿入孔35に配置されてレバー5を回動可能とする回動軸としての筒部67が設けられている。そして、回動軸(筒部67)には、フレーム9とサブハウジング11との間に配置される規制部69が設けられている。
【0057】
レバー挿入孔35は、延出方向の一側が開口されているので、レバー5の回動位置を定めることなく、開口から回動軸(筒部67)を挿入することができる。レバー挿入孔35に回動軸(筒部67)を配置することにより、レバー5をハウジング3の外周に回動可能に配置することができる。また、回動軸(筒部67)に設けられた規制部69は、フレーム9とサブハウジング11との間に配置されるので、規制部69が、フレーム9に対して、レバー5がハウジング3の外周から離間する方向に対向して配置される。このため、規制部69によって、レバー5がハウジング3の外周から離れることを防止することができ、レバー5の回動を安定化することができる。加えて、レバー5がハウジング3から離脱することを防止することができる。
【0058】
従って、このようなコネクタ1では、ハウジング3に対するレバー5の組付けを容易に行うことができ、組付性を向上することができる。
【0059】
また、サブハウジング11には、レバー5に向けて延出された軸部45が設けられている。そして、回動軸(筒部67)は、筒状に形成され、軸部45が挿通されている。このため、回動軸(筒部67)に軸部45を挿通させることにより、レバー5の回動を安定化することができる。また、回動軸(筒部67)に軸部45を挿通させることにより、レバー5をサブハウジング11に組付けることができる。レバー5が組付けられたサブハウジング11を、レバー挿入孔35に回動軸(筒部67)を挿入するように、フレーム9に収容することにより、レバー5をハウジング3に組付けることができる。このため、レバー5をサブハウジング11に組付けることにより、レバー5とサブハウジング11とを一部材として取り扱うことができ、部品の管理を容易に行うことができる。加えて、回動軸(筒部67)に軸部45を挿通させることにより、軸部45を保護することができる。
【0060】
また、規制部69は、回動軸(筒部67)の周方向の全域に設けられている。このため、レバー5の回動範囲の全域でレバー5がハウジング3の外周から離れることを規制することができる。
【0061】
さらに、軸部45は、サブハウジング11側から先端まで外形形状が円形状に形成されている。このため、軸部45の形状が複雑化することがなく、容易に軸部45を形成することができる。
【0062】
また、フレーム9の規制部69と対向する対向部37は、フレーム9の他の部分よりサブハウジング11から離間する位置に配置されている。このため、規制部69が対向部37と対向して配置されたときに、規制部69がサブハウジング11側に張り出すことを抑制することができ、フレーム9とサブハウジング11とを近接して配置させ、ハウジング3の大型化を抑制することができる。
【0063】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、本実施形態においては、サブハウジングが、内部に端子収容室が形成された端子収容部材と別体で形成されているが、これに限らず、サブハウジングと端子収容部材とを一体に形成してもよい。
【0065】
また、回動軸は、軸部が挿通されるように筒状に形成された筒部となっているが、これに限らず、回動軸を、中実の円柱状に形成してもよい。この場合には、サブハウジングに軸部を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0066】
1 コネクタ
3 ハウジング
5 レバー
9 フレーム
11 サブハウジング
35 レバー挿入孔
37 対向部
45 軸部
67 筒部(回動軸)
69 規制部