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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】基板処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20240903BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240903BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240903BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05D1/26 Z
B05D7/24 301M
B41J2/01 205
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022130388
(22)【出願日】2022-08-18
(65)【公開番号】P2023031279
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111471
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヨン オク
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ボ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,クワン ジュン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05C 5/00-21/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のノズルを用いてインクを基板上に吐出して、前記基板上に互いに離隔した多数のインクパターンを形成し、
前記多数のインクパターンそれぞれの、前記インクに含まれる添加物の密度を算出し、
前記多数のノズルそれぞれから吐出されるインクの体積を測定し、
前記算出された多数のインクパターンそれぞれの密度と、前記測定された前記多数のノズルそれぞれから吐出されたインクの体積とに基づいて、一つのピクセル領域内にインクを吐出するための複数のノズルを選定し、前記一つのピクセル領域における基準の密度および基準の体積が設定され、前記複数のノズルは前記基準の密度および前記基準の体積に一致するように選定される、ことを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記多数のインクパターンそれぞれの密度を算出することは、
前記多数のインクパターンのうち第1インクパターンを撮影して、第1インクパターンイメージを生成し、
前記第1インクパターンイメージのグレースケール値を算出し、
前記グレースケール値に基づいて、前記第1インクパターンの密度を算出することを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1インクパターンイメージのグレースケール値を算出することは、
前記第1インクパターンイメージを多数の部分に区分し、
前記区分された多数の部分それぞれの前記グレースケール値を決定して、前記多数の部分の前記グレースケール値を生成し、
前記多数の部分の前記グレースケール値に基づいて、前記第1インクパターンイメージの前記グレースケール値を決定することを含む、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第1インクパターンイメージの前記グレースケール値は前記多数の部分の前記グレースケール値の平均である、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記多数のノズルそれぞれから吐出されるインクの体積を測定することは、
前記多数のノズルそれぞれから吐出される状態のインクを撮影し、
前記撮影されたインクのメイン液滴の体積に基づいて、前記多数のノズルそれぞれから吐出されるインクの体積を算出することを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板はロールトゥロール方式で提供されるフレキシブル基板である、請求項1に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDパネル、PDPパネル、LEDパネルなどのディスプレイ装置を製造するために基板上に印刷工程(例えば、RGBパターニング(RGB Patterning))を行う。インクジェットヘッドを備える印刷装備を用いて印刷工程を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、QD(quantum dot)インクには機能向上のための多様な有機物/無機物が添加される。ところが、このような多様な添加物がヘッドの内部で均一に混合されず、ヘッドの多数のノズルから吐出されるインクの間に添加物の密度差が発生し得る。そのためムラ(mura)が発生して収率が低下する。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ムラ発生を最小化して収率を向上させ得る基板処理方法を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、ムラ発生を最小化して収率を向上させ得る基板処理装置を提供することにある。
【0006】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための本発明の基板処理方法の一面(aspect)は、多数のノズルを用いてインクを基板上に吐出して、前記基板上に互いに離隔した多数のインクパターンを形成し、前記多数のインクパターンそれぞれの密度を算出し、前記算出された多数のインクパターンそれぞれの密度に基づいて、一つのピクセル領域内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズルを選定することを含む。
【0008】
前記他の課題を達成するための本発明の基板処理装置の一面は、多数のノズルを含み、前記多数のノズルを介してインクを基板上に吐出して前記基板上に互いに離隔した多数のインクパターンを形成するヘッドと、前記多数のインクパターンを撮影して、多数のインクパターンイメージを生成する第1イメージ生成モジュールと、前記多数のインクパターンイメージそれぞれのグレースケール値(grayscale value)を算出し、算出された前記グレースケール値に基づいて一つのピクセル領域内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズルを選定する制御モジュールを含み得る。
【0009】
前記他の課題を達成するための本発明の基板処理装置の他の面は、第1ステージと、前記第1ステージに隣接する第2ステージと、前記第1ステージおよび前記第2ステージを横切るように配置されたガントリと、前記ガントリに設けられ、多数のノズルを含んで前記第1ステージおよび第2ステージでインクを吐出できるインクジェットヘッドモジュールと、前記ガントリに設けられた第1イメージ生成モジュールと、前記インクジェットヘッドモジュールおよび前記第1イメージ生成モジュールを制御する制御モジュールを含み、前記インクジェットヘッドモジュールは前記第2ステージのテスト用基板にインクを吐出して多数のインクパターンを形成し、前記第1イメージ生成モジュールは前記インクパターンを撮影してインクパターンイメージを生成し、前記制御モジュールは前記インクパターンイメージから、前記多数のインクパターンそれぞれの密度を算出し得る。
【0010】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による基板処理装置を説明するための概念図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法における多数のインクパターンそれぞれの密度を算出する方法を説明するためのフローチャートである。
図3図2の方法を説明するための概念図である。
図4図2の方法を説明するための概念図である。
図5図2の方法を説明するための概念図である。
図6】ノズルミキシング動作を説明するための概念図である。
図7】本発明の他の実施形態による基板処理装置を説明するための概念図である。
図8】インクのボリュームを測定する方法を説明するための図である。
図9】インクのボリュームを測定する方法を説明するための図である。
図10】本発明の他の実施形態による基板処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明のまた他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。
【0013】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用される。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語の「下」は下と上の方向をすべて含むことができる。素子は他の方向に配向されてもよく、そのため空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0014】
第1、第2などが多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これらの素子、構成要素および/またはセクションはこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使用する。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得るのはもちろんである。
【0015】
図1は本発明の一実施形態による基板処理装置を説明するための概念図である。
【0016】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による基板処理装置はヘッド120、第1イメージ生成モジュール130、制御モジュール150等を含む。
【0017】
ヘッド120は多数のノズルを含む。ヘッド120は多数のノズルを介してインクを基板110上に吐出して基板110上に互いに離隔した多数のインクパターンPを形成する。
【0018】
基板110は図示するように一方向に(図面符号Sを参照)移動することができ、フレキシブル(flexible)性質を有するテスト用基板であり得るが、これに限定されない。基板110はロールトゥロール(roll-to-roll)方式で提供されるフレキシブル基板であり得る。または、基板110はガラス基板のようにハードな(hard)性質を有する基板でもあり得る。
【0019】
インクパターンPはヘッド120から吐出されたインクによって基板110上に形成される。多数のインクパターンPそれぞれはヘッド120の多数のノズルそれぞれに対応する。例えば、一つのノズルが一つの吐出領域A内に一度吐出して一つのインクパターンPを生成することもでき、一つのノズルが一つの吐出領域A内に多数回吐出して一つのインクパターンPを生成することができる。
【0020】
第1イメージ生成モジュール130はインクパターンPを撮影して、インクパターンイメージ(図3の10を参照)を生成する。第1イメージ生成モジュール130は例えば、カメラを含み得るが、これに限定されない。インクパターンイメージ10を生成できるものであればいかなるものでも可能である。
【0021】
制御モジュール150は生成された多数のインクパターンイメージ10に基づいて、対応する多数のインクパターンPそれぞれの密度を算出する。詳しく後述するが、制御モジュール150は多数のインクパターンイメージ10それぞれのグレースケール値(grayscale value)を算出し、グレースケール値に基づいて密度を算出する。制御モジュール150は算出された密度に基づいてノズルミキシング動作を行う。一つのピクセル領域内に一つのピクセルを形成するために、多数のノズルが使用される。すなわち、多数のノズルから前記一つのピクセル領域内にインクを吐出してその結果として一つのピクセルが完成される。ノズルミキシング動作は一つのピクセル領域内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズルを選定し、選定された少なくとも一つのノズルを用いて前記ピクセル領域にインクを吐出することを意味する。
【0022】
また、制御モジュール150はヘッド120の動作、第1イメージ生成モジュール130の動作を制御することができる。さらに制御モジュール150は基板110の動作も制御することができる。
【0023】
本発明の一実施形態による基板処理装置の動作をまとめると次のとおりである。
【0024】
まず、ヘッド120は多数のノズルを用いてインクを基板110上に吐出して、基板110上に互いに離隔した多数のインクパターンPを形成する。次に、制御モジュール150は多数のインクパターンPそれぞれの密度を算出する。次に、制御モジュール150は算出された多数のインクパターンPそれぞれの密度に基づいて、一つのピクセル領域(図6のP1,P2,P3を参照)内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズル(図6のN1~N10参照)を選定する(すなわち、ノズルミキシング動作を行う)。
【0025】
以下では、多数のインクパターンPそれぞれの密度を算出する方法を図2ないし図5を参照して説明する。
【0026】
図2は本発明のいくつかの実施形態による基板処理方法における、多数のインクパターンPそれぞれの密度を算出する方法を説明するためのフローチャートである。図3ないし図5図2の方法を説明するための概念図である。
【0027】
図1および図2を参照すると、ヘッド120により基板110上に互いに離隔した多数のインクパターンPが形成された後に、第1イメージ生成モジュール130は多数のインクパターンPのうち第1インクパターン(多数のインクパターンのうち任意の一つを意味する)を撮影して第1インクパターンイメージ10を生成する(図2のS210)。
【0028】
第1インクパターンイメージ10は図3に示したもののとおりである。例えば、第1インクパターンイメージ10のセンター領域10Cはエッジ領域10Eに比べて明るくてもよい。第1インクパターンPで添加物(例えば、無機物)が集まっている領域は、第1インクパターンイメージ10で相対的に暗く見える(エッジ領域10Eを参照)。逆に、第1インクパターンPで添加物が少ない領域は、第1インクパターンイメージ10で相対的に明るく見える(センター領域10Cを参照)。
【0029】
第1インクパターンイメージ10はグレースケール(grayscale)で表示されたものであり得る。すなわち、第1インクパターンイメージ10は第1イメージ生成モジュール130によりグレースケールで撮影されたものでもあり得、第1イメージ生成モジュール130によりカラー(color)で撮影された後制御モジュール150によりグレースケールに変化したものであり得る。
【0030】
次に、制御モジュール150は第1インクパターンイメージ10のグレースケール値を算出する(図2のS220)。
【0031】
具体的には、図4に示すように、制御モジュール150は第1インクパターンイメージ10を多数の部分10a~10fに区分する。例えば、制御モジュール150は第1インクパターンイメージ10に多数の横線と多数の縦線が互いに交差するように配置し、多数の横線と多数の縦線によって定義される領域を生成したが、これに限定されない。また、制御モジュール150は一つの部分10a~10fが実質的な四角形形状になるようにしたが、これに限定されない。一つの部分10a~10fは実質的な三角形形状または五角形形状であってもよい。
【0032】
また、図5に示すように、制御モジュール150は区分された多数の部分10a~10fそれぞれのグレースケール値(grayscale value)を決定して、多数の部分グレースケール値を生成する。例えば、多数の部分10a,10b,10c,10d,10e,10fそれぞれの部分グレースケール値は9、10、11、6、5、6等であり得る。すなわち、第1インクパターンイメージ10のセンター領域10Cに位置する部分10d,10e,10fは相対的に部分グレースケール値が小さく、エッジ領域10Eに位置する部分10a,10b,10cは相対的に部分グレースケール値が大きくてもよい。このような部分グレースケール値は例示的なものであり、これに限定されない。図示とは異なり、インクパターンPによってはセンター領域10Cに位置する部分10d,10e,10fの部分グレースケール値が相対的に大きく、エッジ領域10Eに位置する部分10a,10b,10cの部分グレースケール値が相対的に小さくてもよい。
【0033】
また、制御モジュール150は多数の部分グレースケール値に基づいて、第1インクパターンイメージ10全体のグレースケール値を決定する。
【0034】
例えば、制御モジュール150は多数の部分グレースケール値の平均を出して、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値を決定することができる(すなわち、算術平均を利用)。または、制御モジュール150は特定領域に加重値を付与して(例えば、エッジ領域10Eに対応する部分グレースケール値に相対的に高い加重値を付与して)、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値を決定することができる(すなわち、加重平均を利用)。制御モジュール150は算術平均、加重平均以外の他の方式を用いて、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値を決定することができる。
【0035】
次に、制御モジュール150は決定された第1インクパターンイメージ10のグレースケール値に基づいて、第1インクパターンPの密度を算出する(図2のS230)。
【0036】
具体的には、制御モジュール150は第1インクパターンイメージ10のグレースケール値に対応するように第1インクパターンPの密度を決定することができる。
前述したように、第1インクパターンPで添加物(例えば、無機物)が集まっている領域は、第1インクパターンイメージ10で相対的に暗く見える。逆に、第1インクパターンPで添加物が少ない領域は、第1インクパターンイメージ10で相対的に明るく見える。したがって、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値に比例して、第1インクパターンPの密度を決定することができる。例えば、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値が大きいと、第1インクパターンPの密度値を大きく決定することができる。または、第1インクパターンイメージ10のグレースケール値を、第1インクパターンPの密度で決定することもできる。
【0037】
以下では図6を参照して、算出された多数のインクパターンPそれぞれの密度に基づいて、一つのピクセル領域(例えば、P1,P2,P3の一つ)内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズル(例えば、N1~N10の一つ)を選定する方法(すなわち、ノズルミキシング動作)を説明する。
【0038】
図6はノズルミキシング動作を説明するための概念図である。
【0039】
図6を参照すると、ヘッド120には多数のノズルN1~N10が設けられている。図1ないし図5を用いて説明した方法により、多数のノズルN1~N10それぞれに対してインクの密度が測定された。例えば、第1ノズルN1から吐出されるインクの密度は9、第2ノズルN2から吐出されるインクの密度は8、第3ノズルN3から吐出されるインクの密度は8、第9ノズルN9から吐出されるインクの密度は10、第10ノズルN10から吐出されるインクの密度は11であると仮定する。
【0040】
説明の便宜上、多数のノズルN1~N10それぞれから吐出されるインクのボリューム(volume)はすべて同一であると仮定する。例えば、多数のノズルN1~N10それぞれから吐出されるインクのボリュームは1であると仮定する。
【0041】
例えば、基板Gには多数のピクセル領域P1,P2,P3が定義されている。
【0042】
ヘッド120は第1方向Xに、すなわち図面上で左右方向に移動する。基板110は第2方向Yに、すなわち図面上で上下方向に移動することができる。
ここで、各ピクセル領域P1,P2,P3にボリューム3のインクが吐出される場合のみピクセルが完成されると仮定する。一つのノズルN1~N10から吐出されるインクのボリュームは1であるので、一つのピクセル領域(例えば、P1)に3回のインク吐出が行われなければならない。
【0043】
ピクセル領域P1内のインクの密度を10に合わせるために、制御モジュール150はピクセル領域P1内にインクを吐出するためのノズルとして、第1ノズルN1、第9ノズルN9、第10ノズルN10を選定する。選定された3個のノズルN1,N9,N10はそれぞれピクセル領域P1に1回ずつインクを吐出する。すると、ボリュームは3に合わせられ(すなわち、1+1+1=3)、密度は10に合わせられる(すなわち、(9+10+11)/3=10)。
【0044】
または、ピクセル領域P2内のインクの密度を9に合わせるために、制御モジュール150はピクセル領域P2内にインクを吐出するためのノズルとして、第1ノズルN1、第3ノズルN3、第9ノズルN9を選定する。選定された3個のノズルN1,N3,N9はそれぞれピクセル領域P2に1回ずつインクを吐出する。すると、ボリュームは3に合わせられ(すなわち、1+1+1=3)、密度は9に合わせられる(すなわち、(9+8+10)/3=9)。第2ノズルN2から吐出されるインクの密度と第3ノズルN3から吐出されるインクの密度は互いに同一であるため、N1、N3、N9の代わりにN1、N2、N9が選定されることもできる。
【0045】
このように一つのピクセル領域P1,P2,P3内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズルN1~N10を、密度を基準として選定することができる。
【0046】
図7は本発明の他の実施形態による基板処理装置を説明するための概念図である。図8および図9はインクのボリュームを測定する方法を説明するための図である。説明の便宜上図1ないし図6を用いて説明した内容と異なる点を中心に説明する。
【0047】
まず図7を参照して、本発明の他の実施形態による基板処理装置は、ヘッド120、第1イメージ生成モジュール130、第2イメージ生成モジュール140、制御モジュール150等を含む。
【0048】
ヘッド120は多数のノズルを介してインクを基板110上に吐出して基板110上に互いに離隔した多数のインクパターンPを形成する。
【0049】
第1イメージ生成モジュール130は基板110上の多数のインクパターンPを撮影して、多数のインクパターンイメージ(図3の10参照)を生成する。
【0050】
制御モジュール150は多数のインクパターンイメージ10に基づいて、対応する多数のインクパターンPそれぞれの密度を算出する。前述したように、制御モジュール150は多数のインクパターンイメージ10それぞれのグレースケール値(grayscale value)を算出し、グレースケール値に基づいて密度を算出する。
【0051】
第2イメージ生成モジュール140は多数のノズルそれぞれから吐出されるインクを撮影し、多数のインク液滴イメージ(図8の300を参照)を生成する。第2イメージ生成モジュール140は例えば、カメラを含み得るが、これに限定されない。インク液滴イメージ300を生成できるものであれば、いかなるものでも可能である。
【0052】
また、制御モジュール150は多数のインク液滴イメージ300に基づいて、対応する多数のインクのボリュームを算出する。
【0053】
ここで、図9を参照すると、図9は多数のインク液滴イメージ300のうち第1インク液滴イメージ(多数のインク液滴イメージのうち任意の一つを意味する)の位置に応じたボリュームを示す図である。図9のy軸はノズルの表面から離れた距離(distance)を意味し(単位:μm)、x軸はピクセル別の体積(volume/pixel)を意味する(単位pL)。
【0054】
制御モジュール150はインク液滴イメージ(図8の300を参照)を同じ位置に応じたボリュームグラフ(図9参照)に変換し、メイン液滴301を見つける。メイン液滴301を見つける方法は多様であり得るが、例えば、図9でスロープ(slope)が急激に増加または急激に減少する領域を基準としてメイン液滴301を見つける。
【0055】
制御モジュール150はこのように見つけたインクのメイン液滴301のボリュームに基づいて、ノズルから吐出されるインクのボリュームを算出する。例えば、制御モジュール150はインクのメイン液滴301のボリュームを、インクの全体ボリュームとして決定する。インク液滴でメイン液滴301が全体ボリュームに寄与する程度が非常に大きく、メイン液滴301を除いた残りの部分(例えば、サテライト液滴(302)、連結液滴303等)は全体ボリュームに寄与する程度が小さいからである。
【0056】
制御モジュール150はヘッド120の動作、第1イメージ生成モジュール130、第2イメージ生成モジュール140の動作を制御する。さらに制御モジュール150は基板110の動作を制御することもできる。
【0057】
本発明の他の実施形態による基板処理装置の動作をまとめると次のとおりである。図10を参照すると、ヘッド120は多数のノズルを用いてインクを基板110上に吐出して、基板110上に互いに離隔した多数のインクパターンPを形成する。
【0058】
第2イメージ生成モジュール140は多数のノズルから吐出される状態のインクを撮影してインク液滴イメージ(図8の300を参照)を生成する。次に、制御モジュール150はインク液滴イメージ300からインクのボリュームを算出する(S410)
第1イメージ生成モジュール130は多数のインクパターンPを撮影してインクパターンイメージ(図3の10を参照)を生成する。次に、制御モジュール150はインクパターンイメージ10からインクの密度を算出する(S420)。
【0059】
次に、制御モジュール150は多数のインクパターンイメージそれぞれのグレースケール値(すなわち、インクの密度)と多数のノズルそれぞれから吐出されたインクのボリュームに基づいて、一つのピクセル領域内にインクを吐出するための少なくとも一つのノズルを選定することができる(すなわち、ノズルミキシング動作を実行)(S430)。
【0060】
ここで、再び図6を参照して、ノズルミキシング動作を具体的に説明する。前述したように、多数のノズルN1,N2,N3,N9,N10から吐出されるインクの密度は、それぞれ9、8、8、10、11であると仮定する。また、多数のノズルN1,N2,N3,N9,N10から吐出されるインクのボリュームは、それぞれ1、1.2、0.8、1.2、1であると仮定する。
【0061】
例えば、ピクセル領域P3内のインクの密度を9に合わせるには、制御モジュール150はピクセル領域P3内にインクを吐出するためのノズルとして、第1ノズルN1、第3ノズルN3、第9ノズルN9を選定する。
【0062】
具体的に説明すると、先に密度を基準として使用可能なノズル候補を選定する。ピクセル領域P3内のインクの密度を9に合わせるために、ノズル候補はN1、N2、N3、N9が選定され得る。次に、体積を基準として、前記ノズル候補のうち最終的に使用するノズルを選定する。一つのピクセル領域P3内のインクのボリュームは3に合わせなければならないため、N2よりはN3がより適する。したがって、最終的に使用されるノズルはN1、N3、N9が選定される。
【0063】
選定された3個のノズルN1,N3,N9はそれぞれピクセル領域P2に1回ずつインクを吐出する。すると、ボリュームは3に合わせられ(すなわち、1+0.8+1.2=3)、密度は9に合わせられる(すなわち、(9+8+10)/3=9)。
【0064】
図11は本発明のまた他の実施形態による基板処理装置を説明するための図である。
【0065】
図11を参照すると、本発明のまた他の実施形態による基板処理装置は、第1ステージPT、第2ステージMT、ガントリ410、インクジェットヘッドモジュール420、第1イメージ生成モジュール440a,440b,440c、第2イメージ生成モジュール430、テスト用基板JOF1,JOF2,JOF3、基板G等を含む。
【0066】
第1ステージPTは基板Gを支持して移動させるための領域である。第1ステージPTで基板Gを移動する方法は、特定方式に限定されない。例えば、ホルダが基板Gを 保持して移動させたり、エアーフローティング方式によって基板Gを移動させることができる。基板Gは第2方向Yに沿って移動し得る。基板Gは例えば、ガラス基板を有することができる。
【0067】
第2ステージMTは第1ステージPTに第1方向Xに隣接して配置される。第2ステージMTには、多数のテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3が配置される。多数のテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3は第2方向Yに沿って長く延びるように配置され得る。多数のテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3は第1方向Xを互いに隣接して配置される。多数のテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3それぞれはフレキシブル(flexible)性質を有し、例えば、ロールトゥロール(roll-to-roll)方式で提供されることができる。
【0068】
ガントリ410は第1ステージPTおよび第2ステージMT上に、第1ステージPTおよび第2ステージMTを横切るように配置される。ガントリ410は第1方向Xに長く延び得る。
【0069】
インクジェットヘッドモジュール420はガントリ410に設けられ、ガントリ410に沿って移動することができる(図面符号Wを参照)。図示するように、インクジェットヘッドモジュール220は第1方向Xに移動できるが、これに限定されない。インクジェットヘッドモジュール420はインクを吐出する多数のヘッドを含み得、各ヘッドは多数のノズルを含むことができる。インクは例えば、QD(Quantum Dot)インクであり得るが、これに限定されない。
【0070】
多数の第1イメージ生成モジュール440a,440b,440cはガントリ410に形成される。多数の第1イメージ生成モジュール440a,440b,440cそれぞれはカメラを含み得るが、これに限定されない。第1イメージ生成モジュール440a,440b,440cはテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3に対応する位置に配置され得る。
【0071】
インクジェットヘッドモジュール420は多数のテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3にインクを吐出して、テスト用基板JOF1,JOF2,JOF3に多数のインクパターンPを形成する。第1イメージ生成モジュール440a,440b,440cは多数のインクパターンPを撮影し、多数のインクパターンイメージ(図3の10を参照)を生成する。制御モジュール(図示せず)は多数のインクパターンイメージ10それぞれのグレースケール値(grayscale value)を算出し、グレースケール値に基づいてインクパターンの密度を算出する。
【0072】
第2イメージ生成モジュール430はガントリ410に設けられ、インクジェットヘッドモジュール420に隣接して配置される。第2イメージ生成モジュール430はインクジェットヘッドモジュール420と共にガントリ410に沿って移動し得る。第2イメージ生成モジュール430は多数のノズルそれぞれから吐出されるインクを撮影して、多数のインク液滴イメージ(図8の300を参照)を生成する。制御モジュール(図示せず)は多数のインク液滴イメージ300から、前記インクのボリュームを算出する。
【0073】
制御モジュール150は算出された密度とボリュームを用いて、ノズルミキシング動作を行う。
【0074】
一方、インクの密度を算出することは、インクのボリュームを算出することよりもより頻繁に行われ得る。インクのボリュームは主にノズルの状態に応じて変わるので、相対的に容易に変わらない。反面、インクの密度はインクの添加物の混合程度によって変わるので、インクのボリュームに比べて相対的に容易に変わり得る。したがって、制御モジュール150がノズルに応じたインクのボリュームデータを第1期間の間使用できれば、制御モジュール150はノズルに応じたインクの密度データを第1期間より短い第2期間の間のみ使用することができる。
【0075】
例えば、工程処理された基板Gが第1ステージPTでアンロードされて工程処理される新しい基板Gが第1ステージPTにロードされる前に、インクジェットヘッドモジュール420は第2ステージMTに移動してテスト用基板JOF1,JOF2,JOF3にインクを吐出してインクパターンを形成する。第1イメージ生成モジュール440a,440b,440cはインクパターンを撮影してインクパターンイメージを生成する。すなわち、制御モジュール150は新しい基板Gが第1ステージPTにロードされるたびに、ノズルに応じたインクの密度データを生成することができる。
【0076】
反面、基板処理装置のセッティング期間やメンテナンス期間など既に設定された時期にのみ、第2イメージ生成モジュール140が吐出されるインクを撮影してインク液滴イメージを生成することができる。すなわち、制御モジュール150は既に設定された時期にのみ(または定期的に)ノズルに応じたインクのボリュームデータを生成することができる。
【0077】
制御モジュール150はこのように生成されたインクの密度データ、ボリュームデータを用いてノズルミキシング動作を行う。
【0078】
以上と添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11