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特許7548982シート材、メタルメッシュ、配線基板及び表示装置、並びにそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】シート材、メタルメッシュ、配線基板及び表示装置、並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/52 20060101AFI20240903BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20240903BHJP
   C23C 18/20 20060101ALI20240903BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C23C18/52 B
C23C18/31 A
C23C18/20 Z
B32B15/08 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022190550
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2018138549の分割
【原出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2023021157
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2017145731
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】折笠 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀川 雄平
(72)【発明者】
【氏名】上林 義広
(72)【発明者】
【氏名】阿部 寿之
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051667(WO,A1)
【文献】特開2009-099711(JP,A)
【文献】特開2015-138453(JP,A)
【文献】特開2015-153701(JP,A)
【文献】特開2006-225765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-20/08
B32B 15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、前記樹脂層の一方の主面側に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、前記樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備え、
複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の前記一方の主面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が、前記樹脂層の前記一方の主面上に散在しており、
前記第1の無電解めっき膜が、前記触媒粒子の複数の前記露出面のそれぞれを囲むように前記樹脂層の前記一方の主面上に設けられており、
前記第2の無電解めっき膜が、前記第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の主面が、前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成しており、
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであ
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記一方の主面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、シート材。
【請求項2】
前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜とは反対側の主面が粗面である、請求項1に記載のシート材。
【請求項3】
前記基材が、透明基材である、請求項1又は2に記載のシート材。
【請求項4】
基材上に、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層を形成する工程であって、複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が前記樹脂層の前記一方の主面上に散在し、前記基材が前記樹脂層の他方の主面側に設けられる、工程と、
複数の前記露出面のそれぞれを囲むように、前記樹脂層の前記一方の主面上に第1の無電解めっき膜を形成する工程と、
前記第1の無電解めっき膜を覆うように第2の無電解めっき膜を形成する工程であって、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の主面が前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成する、工程と、
を備え、
前記樹脂層の前記一方の主面を、前記第1の無電解めっき膜及び前記第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであり、
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記一方の主面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、シート材の製造方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のシート材における前記無電解めっき膜に対するエッチングによって、メッシュ状のパターンを有する無電解めっき膜を形成する工程を備える、メタルメッシュの製造方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のシート材における前記無電解めっき膜に対するエッチングによって、配線パターンを有する無電解めっき膜を形成する工程を備える、配線基板の製造方法。
【請求項7】
バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、前記樹脂層の一方の主面側にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、前記樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備え、
複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の前記一方の主面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が、前記樹脂層の前記一方の主面上に散在しており、
前記第1の無電解めっき膜が、前記触媒粒子の複数の前記露出面のそれぞれを囲むように前記樹脂層の前記一方の主面上に設けられており、
前記第2の無電解めっき膜が、前記第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の主面が、前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成しており、
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであ
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記一方の主面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、メタルメッシュ。
【請求項8】
基材と、前記基材上にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、前記樹脂層を覆いながら前記樹脂層のメッシュ状のパターンに沿って前記基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備え、
複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が、前記樹脂層の表面上に散在しており、
前記第1の無電解めっき膜が、前記触媒粒子の複数の前記露出面のそれぞれを囲むように前記樹脂層の表面上に設けられており、
前記第2の無電解めっき膜が、前記第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の表面が、前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成しており、
前記樹脂層の前記表面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであ
前記樹脂層の前記表面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記表面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、メタルメッシュ。
【請求項9】
前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜とは反対側の表面が粗面である、請求項又はに記載のメタルメッシュ。
【請求項10】
バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、前記樹脂層の一方の主面側に配線パターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、前記樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備え、
複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の前記一方の主面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が、前記樹脂層の前記一方の主面上に散在しており、
前記第1の無電解めっき膜が、前記触媒粒子の複数の前記露出面のそれぞれを囲むように前記樹脂層の前記一方の主面上に設けられており、
前記第2の無電解めっき膜が、前記第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の主面が、前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成しており、
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであ
前記樹脂層の前記一方の主面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記表面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、配線基板。
【請求項11】
基材と、前記基材上に配線パターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、前記樹脂層を覆いながら前記樹脂層の配線パターンに沿って前記基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備え、
複数の前記触媒粒子の少なくとも一部が、前記樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の前記露出面が、前記樹脂層の表面上に散在しており、
前記第1の無電解めっき膜が、前記触媒粒子の複数の前記露出面のそれぞれを囲むように前記樹脂層の表面上に設けられており、
前記第2の無電解めっき膜が、前記第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、前記第2の無電解めっき膜の前記第1の無電解めっき膜側の表面が、前記第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成しており、
前記樹脂層の前記表面を、前記第1の無電解めっき膜及び前記第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜側から平面視したときに、前記第1の無電解めっき膜の最長径の平均値が18~90nmであり、
前記樹脂層の前記表面を前記無電解めっき膜側から平面視したときに、前記表面に占める前記第1の無電解めっき膜の面積比率が80~99%である、配線基板。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の配線基板に、発光素子を実装する工程を備える、表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記実装する工程が、前記配線基板における前記無電解めっき膜の、前記樹脂層とは反対側の主面上に接続部を形成させることと、
前記発光素子を、前記接続部を介して前記無電解めっき膜に接続させることと、を含む、請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の配線基板と、前記配線基板に実装されている発光素子と、を備える表示装置。
【請求項15】
前記表示装置が前記配線基板における前記無電解めっき膜の、前記樹脂層とは反対側の主面上に設けられた接続部を更に備え、
前記発光素子が、前記接続部を介して前記配線基板に接続されている、請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材、メタルメッシュ、配線基板及び表示装置、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等の電子部品に用いられる電極用部材として、銅、銀等の金属の微細配線をメッシュ状にパターン化したメタルメッシュの開発が試みられている。
【0003】
メタルメッシュは、従来のITO(インジウム錫酸化物)のような透明導電膜を用いる場合と比較して、低コスト化及び低抵抗化を実現できる点で優れるが、メタルメッシュをタッチパネル等の電極用部材として用いる場合、ITOと比較して不可視性が問題となることがある。
【0004】
不可視性が向上されたメタルメッシュとして、銅層と黒化金属層とからなるメタルメッシュが知られている。例えば、特許文献1及び2には、黒化金属層として、銅よりも腐蝕速度が遅い金属酸化物等を用いたメタルメッシュや、亜鉛層を用いたメタルメッシュなどが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、複数の膜が積層してなる積層膜がガラス板上に形成され、積層膜が、ガラス板上に形成された少なくとも貴金属を含む無機物膜と、該無機物膜上に形成されためっき金属膜とを備える膜付きガラス板が記載されており、同文献によれば、積層膜は、ガラス板側から見た場合に黒色であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-150118号公報
【文献】特開2015-229260号公報
【文献】特開2016-74582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載されたメタルメッシュは、黒化金属層を設けることで黒色面を形成することができるため、不可視性をある程度向上させることができるが、本発明者らの検討によれば、このようなメタルメッシュであっても、反射率が高いという観点で未だ改善の余地があることが判明した。
【0008】
また、特許文献3に記載された膜付きガラス板は、ガラス板と積層膜との密着性を高めることが困難であった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材上に設けられためっき膜によって形成されたメタルメッシュ、及びこれを製造するためのシート材、並びに当該シート材を用いた配線基板及び表示装置に関して、反射率を抑えるとともに、基材とめっき膜との密着性の改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層の一方の主面側に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備えるシート材を提供する。複数の触媒粒子の少なくとも一部は、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面は、樹脂層の一方の主面上に散在している。第1の無電解めっき膜は、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の一方の主面上に設けられている。第2の無電解めっき膜は、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0011】
本発明に係るシート材は、反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性を高くすることができる。
【0012】
樹脂層の一方の主面を無電解めっき膜側から平面視したときに、第1の無電解めっき膜の最長径の平均値は18~90nmであってもよく、該主面に占める第1の無電解めっき膜の面積比率は80~99%であってもよい。
【0013】
第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜とは反対側の主面は粗面であってもよい。
【0014】
基材は、透明基材であってもよい。
【0015】
本発明はまた、上述した本発明に係るシート材の製造方法を提供する。本発明に係るシート材の製造方法は、基材上に、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層を形成する工程であって、複数の触媒粒子の少なくとも一部が、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面が樹脂層の一方の主面上に散在し、基材が樹脂層の他方の主面側に設けられる工程と、複数の露出面のそれぞれを囲むように、樹脂層の一方の主面上に第1の無電解めっき膜を形成する工程と、第1の無電解めっき膜を覆うように第2の無電解めっき膜を形成する工程であって、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成する工程と、を備える。
【0016】
本発明はさらに、上述した本発明に係るシート材における無電解めっき膜に対するエッチングによって、メッシュ状のパターンを有する無電解めっき膜を形成する工程を備える、メタルメッシュの製造方法を提供する。
【0017】
本発明はさらに、上述した本発明に係るシート材における無電解めっき膜に対するエッチングによって、配線パターンを有する無電解めっき膜を形成する工程を備える、配線基板の製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、メタルメッシュの一態様として、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層の一方の主面側にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備えるメタルメッシュを提供する(以下、便宜的に「第1のメタルメッシュ」ということがある)。第1のメタルメッシュにおいては、複数の触媒粒子の少なくとも一部は、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面は、樹脂層の一方の主面上に散在している。第1の無電解めっき膜は、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の一方の主面上に設けられている。第2の無電解めっき膜は、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面は、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0019】
メタルメッシュの他の一態様として、本発明は、基材と、基材上にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層を覆いながら樹脂層のメッシュ状のパターンに沿って基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備えるメタルメッシュを提供する(以下、便宜的に「第2のメタルメッシュ」ということがある)。第2のメタルメッシュにおいては、複数の触媒粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の露出面は、樹脂層の表面上に散在している。第1の無電解めっき膜は、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の表面上に設けられている。第2の無電解めっき膜は、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の表面は、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0020】
本発明に係る上述したメタルメッシュは、反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性を高くすることができる。
【0021】
上述したメタルメッシュは、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜とは反対側の表面が粗面であってもよい。
【0022】
本発明はまた、配線基板の一態様として、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層の一方の主面側に配線パターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備える配線基板を提供する(以下、便宜的に「第1の配線基板」ということがある)。第1の配線基板においては、複数の触媒粒子の少なくとも一部は、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面は、樹脂層の一方の主面上に散在している。第1の無電解めっき膜は、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の一方の主面上に設けられている。第2の無電解めっき膜は、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面は、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0023】
配線基板の他の一態様として、本発明は、基材と、基材上に配線パターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層を覆いながら樹脂層の配線パターンに沿って基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備える配線基板を提供する(以下、便宜的に「第2の配線基板」ということがある)。第2の配線基板においては、複数の触媒粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の露出面は、樹脂層の表面上に散在している。第1の無電解めっき膜は、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の表面上に設けられている。第2の無電解めっき膜は、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の表面は、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0024】
本発明はまた、上述した本発明に係る配線基板に、発光素子を実装する工程を備える、表示装置の製造方法を提供する。実装する工程は、配線基板における無電解めっき膜の、樹脂層とは反対側の主面上に接続部を形成させることと、発光素子を、接続部を介して無電解めっき膜に接続させることと、を含んでいてもよい。
【0025】
本発明はさらに、上述した本発明に係る配線基板と、配線基板に実装されている発光素子と、を備える表示装置を提供する。表示装置は、配線基板における無電解めっき膜の、樹脂層とは反対側の主面上に設けられた接続部を更に備え、発光素子が、接続部を介して配線基板に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性の高いシート材及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記シート材と同様の効果を有するメタルメッシュ、配線基板及びその製造方法を提供することができる。
【0027】
さらに本発明は、反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性の高い表示装置及びその製造方法も提供することができる。近年、発光ダイオード(LED)等の発光素子を備える表示装置(例えば、LEDディスプレイ)の開発が進められている。液晶ディスプレイ(LCD)では、バックライトの光を透過型液晶によって制御するのに対して、LEDディスプレイでは、自然発光素子である発光ダイオードを用いて画素を構成している。これにより、LEDディスプレイは高輝度、高寿命、高視野角といった特徴を持つ。
【0028】
発光素子を備える表示装置において、その解像度を向上させるためには、発光素子自体を小さくすればよい。しかし、発光素子が小さくなる程、基板に対して密着性を高めながら実装することが困難となる。本発明に係る配線基板を電極用部材として用い、これに微小な発光素子を実装することで、フレキシブル且つ高解像度の表示装置を得ることができ、さらに、発光素子が小さい場合であっても、配線基板における基材とめっき膜との密着性が高く、更には発光素子と配線基板との密着性にも優れた表示装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】シート材の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】シート材の他の実施形態を示す模式断面図である。
図3】メタルメッシュを製造する工程の一実施形態を示す概略図である。
図4】メタルメッシュを製造する工程の他の実施形態を示す概略図である。
図5】表示装置を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。
図6】表示装置を製造する工程の他の実施形態を示す概略図である。
図7図5及び図6に示した方法によって得られる表示装置の要部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を適宜参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0031】
[シート材]
図1は、シート材の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るシート材1は、バインダー2及び複数の触媒粒子3を含む樹脂層4と、樹脂層4の一方の主面4a側に設けられ、第1の無電解めっき膜5及び第2の無電解めっき膜6を有する無電解めっき膜7と、樹脂層4の他方の主面4b側に設けられた基材8とを備えている。複数の触媒粒子3の少なくとも一部は、樹脂層4の一方の主面4aから露出する露出面3aを有し、複数の露出面3aは、樹脂層4の一方の主面4a上に散在している。第1の無電解めっき膜5は、複数の触媒粒子3の複数の露出面3aのそれぞれを囲むように樹脂層4の一方の主面4a上に設けられており、第2の無電解めっき膜6は、第1の無電解めっき膜5を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜6の第1の無電解めっき膜5側の主面6aが、第1の無電解めっき膜5の表面に沿う凹部6rを形成している。
【0032】
上述したシート材1によれば、メタルメッシュとしたときの反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性を高くすることができる。このような効果が得られる理由を、本発明者等は以下のように推察する。
【0033】
まず、黒化金属層を設けた従来のメタルメッシュにおいて反射率を低く抑えることができない理由は、黒化金属層が均一に存在する、すなわち、黒化金属層の大部分が平滑面を有することに起因するものと考えられる。これに対し、本発明に係るシート材1では、第1の無電解めっき膜5が、複数の触媒粒子3のそれぞれの露出面3aを囲むように樹脂層4の一方の主面4a上に設けられているため、平滑面を有する領域が少なく、これにより反射率を低く抑えることができたものと推察する。また、無電解めっき膜7及び基材8を、樹脂層4を介して積層させることで、無電解めっき膜7と基材8との密着性を高めることができたと考えられる。
【0034】
バインダー2としてはアクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、及び不飽和二重結合や、環状エーテル、ビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂等が挙げられる。
【0035】
触媒粒子3としては、パラジウム、銀、白金、金、ニッケル、銅及びこれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む金属粒子を用いてもよい。触媒粒子3としてこれらを用いることにより、触媒粒子3と後述する第1の無電解めっき膜5との密着性をより向上させることができるとともに、第1の無電解めっき膜5の最長径及び樹脂層4の一方の主面4aに占める第1の無電解めっき膜5の面積比率を効率よく所望の値に調整することが可能となる。触媒粒子3は、10~100nmの平均粒子径を有することが好ましい。触媒粒子3の平均粒子径が上記数値範囲内であれば、シート材及びメタルメッシュを作製した際に反射率をより効果的に抑えることができる。ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒子径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する値として算出することができる。
【0036】
樹脂層4におけるバインダー2及び触媒粒子3の質量比は特に制限されないが、反射率をより効果的に抑える観点から、例えば、バインダー:触媒粒子=2:1~50:1であることが好ましい。樹脂層4の厚みも特に制限されないが、反射率をより効果的に抑える観点から、例えば10~100nmであることが好ましい。
【0037】
第1の無電解めっき膜5は、反射率を効果的に抑え不可視性をより発揮する観点、及び無電解めっき膜7をエッチングによりパターン化する場合における良好なエッチング性を確保する(過剰なエッチングによる断線を防止する)観点から、ニッケル、パラジウム、金、銀及びこれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、上記エッチング性をより効果的に確保する観点から、第1の無電解めっき膜5は、リンを更に含むことがより好ましく、この場合のリンの含有量は、第1の無電解めっき膜5の全質量に対し8質量%以下であってもよい。
【0038】
第1の無電解めっき膜5は、樹脂層4の一方の主面4aを無電解めっき膜7側から平面視したときに、第1の無電解めっき膜5の最長径の平均値が18~90nmであることが好ましい。第1の無電解めっき膜5の最長径の平均値が18nm以上であれば、第1の無電解めっき膜5により反射率をより効果的に抑えることができ、上記平均値が90nm以下であれば、第1の無電解めっき膜5における平滑面を有する領域を少なくすることができ、結果として反射率をより効果的に抑えることができる。
【0039】
第1の無電解めっき膜5は、樹脂層4の一方の主面4aを無電解めっき膜7側から平面視したときに、樹脂層4の一方の主面4aに占める第1の無電解めっき膜5の面積比率が80~99%であることが好ましい。該面積比率が80%以上であれば、第1の無電解めっき膜5により反射率をより効果的に抑えることができ、面積比率が99%以下であれば、第1の無電解めっき膜5における平滑面を有する領域を少なくすることができ、結果として反射率をより効果的に抑えることができる。
【0040】
ここで、第1の無電解めっき膜5の最長径の平均値及び樹脂層4の一方の主面4aに占める第1の無電解めっき膜5の面積比率は、SEM写真の画像解析により測定することができる。具体的には、シート材1を無電解めっき膜7側から20万倍の倍率で観察し、縦500μm、横600μmの視野でSEM写真の画像を取得し、視野内のそれぞれの第1の無電解めっき膜5の最長径を実測し、それぞれの実測値を平均することで、最長径の平均値を算出することができる。また、面積比率は、視野内のそれぞれの第1の無電解めっき膜5の最長径及び最短径から第1の無電解めっき膜5のそれぞれの面積を測定し、その合計値と視野内の面積との比率を算出することで求めることができる。
【0041】
第2の無電解めっき膜6は、電気抵抗を低くする観点から、銅、ニッケル、銀及びこれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、銅を含むことがより好ましい。なお、上述した第1の無電解めっき膜5及び第2の無電解めっき膜6は、互いに同種又は異種の金属又は金属化合物を含んでいてもよいが、互いに異種の金属又は金属化合物を含むことが好ましく、第1の無電解めっき膜5がニッケル又はニッケル化合物を含み、第2の無電解めっき膜6が銅を含むことがより好ましい。
【0042】
第2の無電解めっき膜6の厚みは、特に制限されないが、反射率をより効果的に抑える観点から、例えば0.3~10μmであることが好ましく、0.5~10μmであることがより好ましい。特に、第2の無電解めっき膜6の厚みが0.3μm以上であれば、より効果的に第2の無電解めっき膜6の連続性を保つことができる。
【0043】
基材8は、特に制限されないが、透明基材であってよい。また、透過率が高く、且つ反射率が低いシート材が得られやすい観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート及びポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。基材8の厚みも特に制限されないが、反射率をより効果的に抑える観点から、例えば3~50μmであることが好ましい。
【0044】
図2は、シート材の他の実施形態を示す模式断面図である。図2に示すように、本実施形態に係るシート材1は、第2の無電解めっき膜6の第1の無電解めっき膜5とは反対側の主面6bが粗面6sであってもよい。これにより、シート材1の不可視性をより向上させることができる。
【0045】
本実施形態に係るシート材1は、例えば以下の方法によって製造することができる。すなわち、本実施形態に係るシート材1の製造方法は、基材8上に、バインダー2及び複数の触媒粒子3を含む樹脂層4を形成する工程であって、複数の触媒粒子3の少なくとも一部が、樹脂層4の一方の主面4aから露出する露出面3aを有し、複数の露出面3aが樹脂層4の一方の主面4a上に散在し、基材8が樹脂層の他方の主面4b側に設けられる工程(第一工程)と、複数の露出面3aのそれぞれを囲むように、樹脂層4の一方の主面4a上に第1の無電解めっき膜5を形成する工程(第二工程)と、第1の無電解めっき膜5を覆うように第2の無電解めっき膜6を形成する工程であって、第2の無電解めっき膜6の第1の無電解めっき膜5側の主面6aが第1の無電解めっき膜5の表面に沿う凹部6rを形成する工程(第三工程)と、備える。
【0046】
第一工程において、基材上に樹脂層を形成する方法としては、例えば、バインダー及び触媒粒子を含む樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥する方法等が挙げられる。第一工程を経ることにより、基材と、基材上にバインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、を備え、複数の触媒粒子の少なくとも一部が、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面が、樹脂層の一方の主面上に散在している積層体(第1の積層体)を得ることができる。樹脂組成物におけるバインダー及び触媒粒子の質量比は特に制限されないが、反射率をより効果的に抑える観点から、例えば、バインダー:触媒粒子=2:1~50:1であることが好ましい。
【0047】
第二工程において、第1の無電解めっき膜を形成する方法としては、例えば、所定の金属を含む第1の無電解めっき浴に第一工程で得られた第1の積層体を浸漬した後、水洗等を行う方法などが挙げられる。第1の無電解めっき浴の処理条件は特に制限されるものではないが、例えば、所定の金属を0.1~2.0含む第1の無電解めっき浴を用いる場合、処理温度は、70~90℃であり、処理時間は、10~120秒である。第二工程を経ることにより、第1の積層体における複数の露出面のそれぞれを囲むように、樹脂層の一方の主面上に第1の無電解めっき膜が形成された積層体(第2の積層体)を得ることができる。
【0048】
第三工程において、第2の無電解めっき膜を形成する方法としては、例えば、所定の金属を含む第2の無電解めっき浴に第二工程で得られた第2の積層体を浸漬した後、水洗等を行う方法などが挙げられる。第2の無電解めっき浴の処理条件は特に制限されるものではないが、例えば、所定の金属を1~5g/L含む第2の無電解めっき浴を用いる場合、処理温度は、25~50℃であり、処理時間は、5~60分である。第三工程を得ることにより、第2の積層体における第1の無電解めっき膜を覆い、且つ第1の無電解めっき膜側の主面が第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成するように、第2の無電解めっき膜が形成されたシート材を形成することができる。
【0049】
本実施形態に係るシート材の製造方法においては、上記第三工程の後に、さらに上記第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜とは反対側の主面を粗面化する工程を備えていてもよい。粗面化は、例えば粗化処理により粗面を形成させてもよいし、めっき処理により粗面を形成させてもよい。
【0050】
[第1のメタルメッシュ]
本実施形態に係る第1のメタルメッシュは、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層の一方の主面側にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備え、複数の触媒粒子の少なくとも一部が、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面が、樹脂層の一方の主面上に散在しており、第1の無電解めっき膜が、複数の触媒粒子の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の一方の主面上に設けられており、第2の無電解めっき膜が、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0051】
このような第1のメタルメッシュは、例えば、上述した本実施形態に係るシート材における無電解めっき膜に対するエッチングによって、メッシュ状のパターンを有する無電解めっき膜を形成することにより製造することができる。
【0052】
図3は、第1のメタルメッシュ10を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。図3に示すように、まず、本実施形態に係るシート材1を準備し(図3(a))、該シート材1の無電解めっき膜7における樹脂層4とは反対側の主面上にメッシュ状のレジストパターン9を形成する(図3(b))。メッシュ状のレジストパターン9を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等によりメッシュ状のレジストパターンを形成する方法、レジスト膜を形成した後、当該レジスト膜をパターン露光及び現像してメッシュ状にパターニングする方法などが挙げられる。その後、レジストパターン9をマスクとして、無電解めっき膜7をエッチングによってメッシュ状のパターンを有する無電解めっき膜7’を形成させ、レジストパターン9を除去する(図3(c))。これにより、メッシュ状のパターンを有する第1の無電解めっき膜5’及び第2の無電解めっき膜6’を有する無電解めっき膜7’を形成することができる。
【0053】
[第2のメタルメッシュ]
本実施形態に係る第2のメタルメッシュは、基材と、基材上にメッシュ状のパターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層を覆いながら樹脂層のメッシュ状のパターンに沿って基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備え、複数のポリピロール粒子の少なくとも一部が、樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の露出面が、樹脂層の表面上に散在しており、第1の無電解めっき膜が、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の表面上に設けられており、第2の無電解めっき膜が、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0054】
このような第2のメタルメッシュは、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0055】
図4は、第2のメタルメッシュ20を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。図4に示すように、まず、基材8上にメッシュ状のパターンを有する樹脂層4’を形成する(図4(a))。メッシュ状のパターンを有する樹脂層4’を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等によりメッシュ状のパターンを有する樹脂層4’を形成する方法等が挙げられる。
【0056】
その後、複数の露出面のそれぞれを囲むように、樹脂層4’の表面上に第1の無電解めっき膜5’を形成する。第1の無電解めっき膜5’の形成方法は、上記シート材の製造方法において述べた方法と同様の方法を採用することができる。
【0057】
その後、樹脂層4’及び第1の無電解めっき膜5’を覆うように、基材8上に第2の無電解めっき膜6’を形成することにより第2のメタルメッシュを形成することができる(図4(b))。その際、第2の無電解めっき膜6’の第1の無電解めっき膜5’側の主面は、第1の無電解めっき膜5’の表面に沿う凹部を形成する。第2の無電解めっき膜6’を形成する方法は、上記シート材の製造方法において述べた方法と同様の方法を採用することができる。
【0058】
上述した本実施形態に係るシート材及びメタルメッシュは、反射率を抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性が高いことから、スマートフォン、タブレット端末、PC等のタッチパネルセンサーなどに好適に用いることができる。タッチパネルセンサーに好適に用いることができるシート材及びメタルメッシュの反射率は、例えば20%以下であり、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
【0059】
[表示装置]
上述した本実施形態に係るシート材から得られる配線基板に発光素子を実装することによって、当該配線基板と、発光素子と、を備える表示装置を製造することができる。
【0060】
[第1の配線基板]
本実施形態に係る第1の配線基板は、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層の一方の主面側に配線パターンを形成するように設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、樹脂層の他方の主面側に設けられた基材と、を備え、複数の触媒粒子の少なくとも一部が、樹脂層の一方の主面から露出する露出面を有し、複数の露出面が、樹脂層の一方の主面上に散在しており、第1の無電解めっき膜が、複数の触媒粒子の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の一方の主面上に設けられており、第2の無電解めっき膜が、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0061】
このような第1の配線基板は、例えば、上述した本実施形態に係るシート材における無電解めっき膜に対するエッチングによって、配線パターンを有する無電解めっき膜を形成することにより製造することができる。
【0062】
[第2の配線基板]
本実施形態に係る第2の配線基板は、基材と、基材上に配線パターンを形成するように設けられ、バインダー及び複数の触媒粒子を含む樹脂層と、樹脂層を覆いながら樹脂層の配線パターンに沿って基材上に設けられ、第1の無電解めっき膜及び第2の無電解めっき膜を有する無電解めっき膜と、を備え、複数のポリピロール粒子の少なくとも一部が、樹脂層の表面から露出する露出面を有し、複数の露出面が、樹脂層の表面上に散在しており、第1の無電解めっき膜が、触媒粒子の複数の露出面のそれぞれを囲むように樹脂層の表面上に設けられており、第2の無電解めっき膜が、第1の無電解めっき膜を覆うように設けられ、第2の無電解めっき膜の第1の無電解めっき膜側の主面が、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成している。
【0063】
このような第2の配線基板は、例えば、上述した第2のメタルメッシュの製造方法と同様の方法により製造することができる。
【0064】
発光素子の実装においては、例えば配線基板に接続部を介して発光素子を実装してもよい。この場合、接続部は、配線基板における無電解めっき膜の、樹脂層とは反対側の主面上に設けられてもよく、発光素子は、接続部の、無電解めっき膜とは反対側の主面上に設けられてもよい。上述した本実施形態に係る配線基板は、基材とめっき膜との密着性が高いため、この配線基板を備える表示装置は、布又は紙のように薄く製造され、折り曲げたり丸めたりできるフレキシブルな表示装置(ディスプレイ)として使用することができる。このようなフレキシブルな表示装置は、小型化・軽量化することができ、収納性・デザイン性を向上させることができる。以下、表示装置の好適な態様について詳細に説明する。
【0065】
本実施形態に係る第1の表示装置は、上述した第1の配線基板において、無電解めっき膜の、樹脂層とは反対側の主面上に設けられた接続部と、接続部の、無電解めっき膜とは反対側の主面上に設けられた発光素子と、を備えるものである。
【0066】
図5は、第1の表示装置100を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。図5に示す方法では、まず、図5(a)に示すように、第1の配線基板10Aにおいて、樹脂層4の基材8とは反対側の主面4a(無電解めっき膜7’が形成されていない面)と、無電解めっき膜7’における第2の無電解めっき膜6’の上面6’aであって、後述する接続部51を形成しない面に、絶縁層52を形成させる。絶縁層52は、樹脂層4の主面4aと、第2の無電解めっき膜6’の一部(例えば、第2の無電解めっき膜6’の端部)を覆うように形成されていてもよい。
【0067】
絶縁層52は、好ましくは樹脂を含有する。絶縁層52を構成する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等であってよい。絶縁層52の厚みは、0.1~5.0μmであってよい。
【0068】
次に、図5(b)に示すように、第2の無電解めっき膜6’の樹脂層4とは反対側の面上であって、絶縁層52が形成されていない上面6’a上に、接続部53を形成させる。
【0069】
接続部53は、上面6’a上に半田合金からなる微小ボールを用いることで形成されてよく、半田合金からなるペーストを印刷して形成されてもよい。接続部53は、第2の無電解めっき膜6’から金属めっきを成長させる無電解めっき法により形成されてもよい。接続部53が無電解めっき法により形成される場合、接続部53は、スズ、銀、銅、ビスマス、インジウム等を構成材料として含んでいてよく、これらのいずれか二以上の材料による合金を含んでいてもよい。接続部53の寸法は、後述する発光素子における電極が接触可能な大きさであれば適宜設定されてよい。
【0070】
次に、図5(c)に示すように、発光部54と、発光部54の一方の主面54a上に設けられた正極55と、正極55から所定の間隔を空けて設けられた負極56とを備える発光素子57を用意し、第1の配線基板10Aにおける第2の無電解めっき膜6’に、発光素子57における正極55及び負極56を、接続部53を介して接続させることにより、第1の配線基板10Aに発光素子57を実装する。この工程では、接続部53の、絶縁層52と接する面の反対側の面53a上に、発光素子57における正極55及び負極56を接触させることにより、発光素子57を第1の配線基板10Aに接続してよい。これにより、発光素子57が第1の配線基板10Aに実装された第1の表示装置100を得ることができる。
【0071】
本実施形態に係る第2の表示装置は、上述した第2の配線基板において、更に無電解めっき膜の、樹脂層とは反対側の主面上に設けられた接続部と、接続部の、無電解めっき膜とは反対側の主面上に設けられた発光素子と、を備えるものである。
【0072】
図6は、第2の表示装置200を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。図6に示す方法では、まず、図6(a)に示すように、第2の配線基板20Aにおいて、基材8における樹脂層4’が形成されている側の主面8a(無電解めっき膜7’が形成されていない面)と、無電解めっき膜7’における第2の無電解めっき膜6’の上面6’aであって、接続部51を形成しない面に、絶縁層52を形成させる。絶縁層52は、基材8の主面8aと、第2の無電解めっき膜6’の一部(例えば、第2の無電解めっき膜6’の端部)を覆うように形成されていてもよい。絶縁層52の材料及び寸法は、上記第1の表示装置における絶縁層52と同様であってよい。
【0073】
次に、図6(b)に示すように、第2の無電解めっき膜6’の樹脂層4とは反対側の面上であって、絶縁層52が形成されていない上面6’a上に、接続部53を形成させる。接続部53の形成方法、材料及び寸法は、上記第1の表示装置における接続部53と同様であってよい。
【0074】
次に、図6(c)に示すように、第2の配線基板20Aにおける第2の無電解めっき膜6’に、発光素子57における正極55及び負極56を、接続部53を介して接続させることにより、第2の配線基板20Aに発光素子57を実装する。この工程では、接続部53の、絶縁層52と接する面の反対側の面53a上に、発光素子57における正極55及び負極56を接触させることにより、発光素子57を第2の配線基板20Aに接続してよい。これにより、発光素子57が第2の配線基板20Aに実装された第2の表示装置200を得ることができる。
【0075】
図7は、図5及び図6に示した方法によって得られる表示装置300(第1の表示装置100又は第2の表示装置200)の要部を模式的に示す平面図である。図7に示すように、表示装置300において、発光素子57は、配線基板30A(第1の配線基板10A又は第2の配線基板20A)における2本の無電解めっき膜7’上に所定の間隔を空けて実装されている。発光素子57は、赤色の発光部を有する発光素子57a、緑色の発光部を有する発光素子57b、及び青色の発光部を有する発光素子57cからなっていてよく、これらの発光素子57a、57b及び57cが、任意の順序で配置されてよい。隣接する発光素子57同士の間隔としては、例えば、無電解めっき膜7’の幅方向における間隔D1が400μm以下、無電解めっき膜7’の延在方向における間隔D2が200μm以下であってよい。
【0076】
上述した表示装置を製造する方法においては、発光素子の露出部分を覆う封止部(図示せず)を設ける工程を更に備えてもよい。封止部は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂で形成されてもよい。
【実施例
【0077】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0078】
[シート材の作製]
(実施例1)
20質量%のパラジウム粒子と、イソシアネート樹脂とを含有する樹脂組成物を準備した。
得られた樹脂組成物をPETフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名「コスモシャインA4100」)上に塗布し、乾燥させることにより、PETフィルム上に厚さ60μmでパラジウム粒子が表面に露出している樹脂層を備える第1の積層体を得た。第1の積層体を0.5g/Lのニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、該めっき浴の温度82℃で、20秒間無電解めっき処理を行い、凹凸表面を有する第1の無電解めっき膜が形成された第2の積層体を得た。続いて、第2の積層体を、3.0g/Lの銅イオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、めっき浴の温度38℃で、45分間無電解めっき処理を行い、第1の無電解めっき膜の凹凸表面上に第2の無電解めっき膜が形成されたシート材を作製した。第2の無電解めっき膜の厚さは1μmであり、第1の無電解めっき膜の表面に沿う凹部を形成していた。
【0079】
(実施例2)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を30秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0080】
(実施例3)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を40秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0081】
(実施例4)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を50秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0082】
(実施例5)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を60秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0083】
(実施例6)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を90秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0084】
(実施例7)
ニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬させる時間を120秒間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、シート材を得た。
【0085】
(比較例1)
PETフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名「コスモシャインA4100」)上に、スパッタリング法にてパラジウムを厚さ20nmとなるように製膜し、積層体を得た。続いて、0.5g/Lのニッケルイオンを含む無電解めっき浴に、得られた積層体を浸漬し、該めっき浴の温度82℃で、20秒間無電解めっき処理を行い、平滑な表面を有する第1の無電解めっき膜が形成された第2の積層体を得た。続いて、0.1g/Lのパラジウムイオンを含む水溶液に、第2の積層体を浸漬し、水洗させた後、3g/Lの銅イオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、めっき浴の温度38℃で、45分間無電解めっき処理を行い、ニッケルを含む第1の無電解めっき膜の表面上に銅を含む第2の無電解めっき膜が形成されたシート材を得た。銅を含む第2の無電解めっき膜の厚さは1μmであった。
【0086】
(比較例2)
PETフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名「コスモシャインA4100」)上に、スパッタリング法にてニッケルを厚さ20nmとなるように製膜し、平滑な表面を有する膜が形成された第2の積層体を得た。続いて、0.1g/Lのパラジウムイオンを含む水溶液に、第2の積層体を浸漬し、水洗させた後、10g/Lの次亜リン酸を含む水溶液に浸漬し、水洗させた。その後、3g/Lの銅イオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、めっき浴の温度38℃で、45分間無電解めっき処理を行い、ニッケルを含む膜の表面上に銅を含む第2の無電解めっき膜が形成されたシート材を得た。無電解めっき膜の厚さは1μmであった。
【0087】
(比較例3)
PETフィルム(東洋紡績株式会社製、標品名「コスモシャインA4100」)を、Sn-Pdコロイド溶液に25℃、5分間浸漬し、水洗した後、0.5g/Lのニッケルイオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、該めっき浴の温度82℃で、20秒間無電解めっき処理を行い、凹凸表面を有する第1の無電解めっき膜が形成された第2の積層体を得た。続いて、0.1g/Lのパラジウムイオンを含む水溶液に、第2の積層体を浸漬し、水洗させた後、3g/Lの銅イオンを含む無電解めっき浴に浸漬し、めっき浴の温度38℃で、45分間無電解めっき処理を行い、ニッケルを含む膜の凹凸表面上に銅を含む第2の無電解めっき膜が形成されたシート材を得た。
【0088】
[シート材の評価]
(第1の無電解めっき膜の最長径及び面積比率の測定)
上記各実施例及び比較例で得られた第2の積層体における第1の無電解めっき膜の最長径及び面積比率を、SEM写真の画像解析により測定した。測定は、それぞれの第2の積層体を縦500μm、横600μmの視野で、20万倍の倍率で観察することにより行い、それぞれの第1の無電解めっき膜の最長径の平均値及び、視野に占める第1の無電解めっき膜の面積比率を算出した。なお、比較例1及び2で作製された第2の積層体は、膜の表面が平滑であったため、最長径を測定できなかった。測定結果を表1に示す。
【0089】
(反射率の測定)
Spectrophotometer CM-5(コニカミノルタ株式会社製、製品名)を用い、JIS K 8729に準拠した方法に従って、上記各実施例及び比較例で得られたシート材におけるPETフィルム側からの光の反射率を測定した。測定結果を表1に示す。反射率が20%以下であれば、反射率が低く抑えられた良好なシート材といえる。
【0090】
[メタルメッシュの作製]
上記各実施例及び比較例で得られたシート材における無電解めっき膜上に、フォトリソグラフィーによりL/S=5/10μmのメッシュ状のレジストパターンを形成した。その後、5%過硫酸ナトリウム水溶液に浸漬して、25℃、5分間でエッチングを行い、レジストを除去することでメタルメッシュを作製した。
【0091】
[メタルメッシュの評価]
(密着性の評価)
得られたメタルメッシュを直径1mmのステンレスの棒に巻き付け、以下の評価基準にしたがって、無電解めっき膜の密着性を評価した。結果を表1に示す。
A:500回の巻き付け後でもめっき膜の剥がれが認められなかった。
B:500回未満の巻き付けでめっき膜の剥がれが認められた。
【0092】
(エッチング性の評価)
エッチングによるラインの断線の有無を目視により観察し、以下の評価基準にしたがって、エッチング性を評価した。結果を表1に示す。
A:エッチングを行った際にラインの断線が認められなかった。
B:エッチングを行った際にラインの断線が認められた。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例1~7の結果から明らかなように、本発明に係るシート材は、反射率を低く抑えることができるとともに、基材とめっき膜との密着性を高くすることができた。さらに、エッチングを行った際にラインの断線が認められず、優れたエッチング性を具備することが示された。
【0095】
これに対し、PETフィルム上にスパッタリング法にてパラジウム膜を設けてからニッケルめっき膜を形成した比較例1、PETフィルム上にスパッタリング法にて直接ニッケル膜を形成した比較例2では、ニッケルを含む膜の大部分が平滑面を有する連続膜を形成しており、反射率を低く抑えることができなかった。さらに、比較例1のように膜を設けると、銅めっき膜が優先的にエッチングされるため、断線しやすいことが示された。また、Sn-Pdコロイド溶液に浸漬することで、PETフィルム上にパラジウム粒子を付着させてからニッケルめっき膜を形成した比較例3では、樹脂層を用いずにめっき膜を形成するため、パラジウム粒子が十分に付着せず、密着性を確保することができなかった。また、パラジウム粒子が付着していない部分に形成されためっき膜は平滑面を有する連続膜を形成しているため、反射率も低く抑えることができなかった。
【符号の説明】
【0096】
1…シート材、2…バインダー、3…触媒粒子、3a…露出面、4,4’…樹脂層、4a…一方の主面、4b…他方の主面、5,5’…第1の無電解めっき膜、6,6’…第2の無電解めっき膜、6a…一方の主面、6b…他方の主面、6r…凹部、6s…粗面、7,7’…無電解めっき膜、8…基材、10…第1のメタルメッシュ、10A…第1の配線基板、20…第2のメタルメッシュ、20A…第2の配線基板、53…接続部、57…発光素子、100,200,300…表示装置。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7