(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】磁気駆動ユニットを有する流体バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
F16K31/06 305A
F16K31/06 305E
F16K31/06 305J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205172
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522166851
【氏名又は名称】アーファウエス インジェニエーア ヨット ツェー レーマー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ライナー フィッシュ
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013220557(DE,A1)
【文献】特開2016-044708(JP,A)
【文献】特開平08-330130(JP,A)
【文献】特許第2736032(JP,B2)
【文献】実開平03-020405(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ閉鎖体(9)のための駆動ユニット(2)を備える流体バルブであって、
前記駆動ユニット(2)は、コア(3)と、前記コア(3)を部分的に取り囲む電気コイル(4)と、前記コイル(4)の通電及び結果としての磁気力によって移動可能なアーマチュア(5)とを備え、
前記駆動ユニット(2)は、本体(6)を備え、前記本体(6)には、前記コイルのための支持部(6.1)、前記コア(3)のための少なくとも1つの挿入口(6.2)、及びアーマチュア支持部(6.3)が設けられており、
前記少なくとも1つの挿入口(6.2)に挿入された前記コア(3)は、前記コア(3)が前記アーマチュア支持部(6.3)に対して規定の位置を取るようにオーバーモールド(7)を用いて前記本体(6)に固定され、
前記アーマチュア支持部(6.3)は、前記アーマチュア(5)のための軸受セクション(6.3.1)を備え、前記軸受セクションにおいて、前記アーマチュア(5)は、前記本体(6)に対して枢動可能に取り付けられ
、
前記本体(6)は、前記コア(3)を部分的に挿入することができる前記コア(3)のための管状の挿入部を備え、前記挿入部は、前記コイル(4)の巻線が適用される支持部(6.1)も形成する、流体バルブ。
【請求項2】
前記コア(3)は、オーバーモールド(7)によって前記本体(6)に対する変位に対して固定され、前記コア(3)の少なくとも1つの磁極面(3.1、3.1′)は、前記アーマチュア支持部(6.3)に対して所定の位置を取るようになっている、請求項1に記載の流体バルブ。
【請求項3】
前記オーバーモールド(7)は、前記コア(3)及び前記コイル(4)を取り囲み、前記本体(6)への結合を確立する、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項4】
前記コア(3)は、U字形である、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項5】
前記アーマチュア(5)は、前記コア(3)の磁極面(3.1、3.1′)のペアにまたがり、前記コイル(4)の通電により、前記アーマチュア(5)は、前記アーマチュア(5)の長手方向軸(LA)に垂直に延びる枢動軸(SA)の周りで枢動可能である、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項6】
前記コア(3)は、層状かつ合同様式で配置された複数の金属平板材ピース(3.2)によって形成されている、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項7】
前記平板材ピース(3.2)は、打ち抜き部品である、請求項6に記載の流体バルブ。
【請求項8】
前記コア(3)の前記平板材ピース(3.2)は、導電様式で互いに対して当接する、請求項6に記載の流体バルブ。
【請求項9】
前記軸受セクション(6.3.1)は、円弧形状を有するアーマチュア(5)の軸受部(5.1)のための表面軸受を形成する滑り軸受セクションである、請求項1に記載の流体バルブ。
【請求項10】
前記本体(6)は、プラスチック射出成形品によって形成される、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項11】
前記本体(6)は、前記コイル(4)に電気的に接触するために設けられる金属接点(8)のための挿入口(6.4)を備える、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項12】
前記アーマチュア支持部(6.3)は、下部領域(6.3.2)と、前記下部領域(6.3.2)から突出する壁部(6.3.3)とを有する箱状形状である、請求項1又は2に記載の流体バルブ。
【請求項13】
流体バルブの駆動ユニットを製造する方法であって、
本体(6)及びコア(3)を提供するステップと、
前記本体(6)の周りに導電体を巻きつけて、電気コイル(4)を形成するステップと、
前記コア(3)を前記本体(6)に挿入するステップと、
射出成形プロセスによって前記コア(3)及び前記コイル(4)をオーバーモールドして、結果として得られた前記オーバーモールド(7)の前記本体(6)への部分的結合を形成するようになっているステップと、
を含み、
前記本体(6)に設けられたアーマチュア支持部(6.3)に対する前記コア(3)の規定された挿入位置が、射出成形中に用いられる射出成形ツールによって確立され、
前記アーマチュア支持部(6.3)は、前記コイル(4)の通電及び結果としての磁気力によって移動可能なアーマチュア(5)のための軸受セクション(6.3.1)を備え、前記軸受セクションにおいて、前記アーマチュア(5)は、前記本体(6)に対して枢動可能に取り付けられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ閉鎖体を動かすことができる磁気駆動ユニットを有する流体バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気駆動ユニットを有する流体バルブはすでに知られている。詳細には、アーマチュアが磁界の印加によって直線的に移動する、すなわち変位する流体バルブは知られている。この直線運動は、バルブ閉鎖体の枢動運動に変換される。バルブ閉鎖体の枢動運動に応じて、流体バルブの流路が解放又は閉鎖される。
【0003】
公知の流体バルブの主たる欠点は、その製造が複雑であり、従って高価であることである。加えて、バルブの規定された閉鎖動作を達成するために、アーマチュアの少なくとも1つの端部位置は、停止部を調整することによって較正する必要がある。これは、さらに、流体バルブのコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、本発明の目的は、低コストで製造することができ、最終的な調整を必要とせずに規定された切り替え又は閉鎖動作をもたらす流体バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項1の特徴を備える流体バルブによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。流体バルブの製造方法は、さらに独立請求項15の主題である。
【0006】
1つの態様では、バルブ閉鎖体のための駆動ユニットを備える流体バルブが開示される。駆動ユニットは、コアと、コアを部分的に取り囲む電気コイルと、コイルの通電及び結果としての磁気力によって移動可能なアーマチャとを備える。アーマチュアは、アーマチュアの移動がバルブ閉鎖体の運動、具体的にはフラップ運動を引き起こすように、バルブ閉鎖体に結合されている。駆動ユニットは、本体を備え、その上には、コイルのための支持部、コアのための少なくとも1つの挿入口、及びアーマチュア支持部が設けられている。本体は、好ましくは、駆動ユニットの支持構造を形成する。アーマチュア支持部は、アーマチュアを収容して取り付けるために用いられる。少なくとも1つの挿入口に導入されたコアは、コアがアーマチュア支持部に対して規定された位置を取るようにオーバーモールドを用いて本体に固定される。
【0007】
流体バルブの技術的利点は、オーバーモールドの間に、従って本体におけるコアの挿入位置の固定の間に、アーマチュア支持部に対するコアの位置を非常に正確に規定することができるので、流体バルブの製造プロセスが単純化され、加えて、アーマチュアに対するコアの位置の再調整を回避することができることである。
【0008】
1つの例示的な実施形態では、コアは、オーバーモールドによって本体に対する変位に対して固定され、コアの少なくとも1つの磁極面は、アーマチュア支持部に対して所定の位置を取るようになっている。これにより、アーマチュア支持部に挿入されたアーマチュアが少なくとも1つの磁極面に対して規定された位置を取ることが保証され、従って、アーマチュアへの規定された力の導入又は規定された切り替え動作が達成される。好ましくは、コアに対する少なくとも1つの磁極面の位置は、コイルの通電状態において、従ってアーマチュアが磁極面に向かって移動した場合に、アーマチュアと磁極面との間に空隙が依然として残るように選択される。空隙は、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満に選択される。
【0009】
1つの例示的な実施形態では、オーバーモールドは、コア及びコイルをフード状様式で取り囲み、本体への結合を確立する。一方では、これにより、コア及びコイルがオーバーモールドによって包囲されて外部の影響から保護され、他方では、所望の挿入位置でのコアの固定が達成される。
【0010】
1つの例示的な実施形態では、コアはU字形である。その結果、磁極面のペアを有するヨーク状又はブラケット状のコアが形成される。1つの磁極面は、ここでは、共通の平面内で互いに距離を置いて配置される。従って、閉じた磁気回路は、アーマチュアを用いて実現することができる。
【0011】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュアは、コアの磁極面のペアにまたがり、コイルの通電により、アーマチュアは、アーマチュアの長手方向軸に垂直に延在する枢動軸の周りで枢動可能である。換言すれば、枢動軸は、コアの磁極面が配置される平面と平行に延在する。好ましくは、枢動軸は、アーマチュアの長手方向から見て、互いに上下に配置される磁極面のペアの下方に位置する。その結果、アーマチュアは、磁極面の平面に対して枢動することができ、コイルが通電されると、磁気回路を閉じることができる。
【0012】
1つの例示的な実施形態によれば、アーマチュアは、通電状態において、磁極面に向かう第1の枢動位置に枢動すると共に、非通電時に、アーマチュアの長手方向軸が磁極面の平面から斜めに突出する第2の枢動位置に位置決めされるように、コアの磁極面が配置される平面に対して枢動することができる。平面から外への枢動は、好ましくは、コイルの通電時に変形するばねのばね力によって行われる。第1の枢動位置において、アーマチュアは、好ましくは、磁極面から小さな距離、例えば1mm未満、詳細には0.5mm未満の距離を有する、すなわち磁極面に対して直接的な当接は存在しない。第1の枢動位置では、磁気回路は閉じられる。第2の枢動位置では、磁極面からの(詳細には最も遠い磁極面からの)アーマチュアの距離は、最大で5mm、詳細には4mm、3mm、又は2mm、より好ましくは1mm以下、例えば0.8mm又は実質的に0.8mmである。枢動運動の小さなストロークに起因して、アーマチュアへの高い力の導入、従って高い作動力が発生する。
【0013】
1つの例示的な実施形態では、コアは、層状かつ合同様式で配置された複数の金属平板材ピースによって形成されている。これにより、コアは、一体で作られたコアと比較して、低コストで製造することができる。
【0014】
1つの例示的な実施形態では、平板材ピースは、打ち抜き部品である。打ち抜き部品の使用は、コアのコスト効率が高い製造もサポートする。
【0015】
1つの例示的な実施形態では、コアの平板材ピースは、導電様式で互いに当接する。その結果、コアは、固体材料から一体部品で形成されたコアと同様の電気特性又は磁気特性を有する。
【0016】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュア支持部は、アーマチュアのための軸受セクションを備え、この軸受セクションで、アーマチュアは、本体に対して枢動可能に取り付けられる。これにより、アーマチュアは、通電状態において磁極面に向かって枢動することができ、非通電状態において磁極面から離れることができる。この枢動動作は、バルブ閉鎖体が開閉動作を行うように、バルブ閉鎖体に伝達される。
【0017】
1つの例示的な実施形態では、軸受セクションは、円弧形状を有するアーマチュア軸受部のための表面軸受を形成する滑り軸受セクション(摺動軸受セクションとも呼ばれる)である。従って、アーマチュアをアーマチュア支持部に挿入することで軸受が実現されるため、駆動ユニットの簡素な構造が達成される。
【0018】
1つの例示的な実施形態によれば、本体は、プラスチック射出成形部品によって形成される。このプラスチック射出成形部品は、ここでは、駆動ユニットの基部を形成する。プラスチック射出成形部品を使用することにより、本体を低コストで製造することができる。
【0019】
1つの例示的な実施形態では、本体は、コアを部分的に挿入することができるコアのための管状の挿入部を有する。また、挿入部は、コイルの巻線が外側に適用される支持部を形成する。従って、本体は、挿入可能なコアのガイド構造を形成するとともに、コイルの支持部も形成する。その結果、流体バルブの駆動ユニットの製造プロセスは、明白に簡略化され、より正確になる。
【0020】
1つの例示的な実施形態では、本体は、コイルに電気的に接触するために設けられる金属接点のための挿入口を備える。これにより、金属接点を直接本体に固定することもでき、これは、金属接点がその後のプラスチックのオーバーモールドの施工前でも正確な位置で既に本体に固定されているので、結果として、製造プロセスを簡略化して指定する。
【0021】
1つの例示的な実施形態では、アーマチュア支持部は、下部領域とそこから突出する壁部とを有する箱状形状である。一方では、アーマチュア支持部は、アーマチュアのための受容空間を形成し、他方では、アーマチュア支持部は、バルブハウジングを固定するための又はバルブ閉鎖体を取り付けるための接続手段として使用される。
【0022】
さらなる態様では、流体バルブの駆動ユニットを製造する方法が開示される。本方法は、
本体及びコアを提供するステップと、
本体に導電体を巻きつけて、電気コイルを形成するステップと、
コアを本体に挿入するステップと、
射出成形プロセスによってコア及びコイルをオーバーモールドして、結果として得られたオーバーモールドの本体への部分的結合を形成するようになっているステップと、
を含み、
本体に設けられたアーマチュア支持部に対するコアの規定された挿入位置が、射出成形プロセス中に用いられる射出成形ツールによって確立される。
【0023】
本発明の意味において、「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」又は「おおよそ(about)」という表現は、それぞれの正確な値から±10%、好ましくは±5%の偏差及び/又は機能にとって重要ではない変化の形態での偏差を意味する。
【0024】
本発明のさらなる進展、利点、及び可能性のある用途は、例示的な実施形態の以下の説明及び図面に由来する。これに関連して、説明及び/又は図示された全ての特徴は、原則として、特許請求の範囲の概要又はそれらの後方参照に関係なく、個別に又は何らかの組み合わせで本発明の主題である。さらに、特許請求の範囲の内容は、本明細書の一部とされる。
【0025】
本発明は、例示的な実施形態によって複数の図面を参照して詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】例示的に
図2に示す断面平面A-Aに沿った流体バルブを通る縦断面を示す。
【
図2】例示的に
図1に示す断面平面B-Bに沿った流体バルブの駆動ユニットを通る断面を示す。
【
図3】例示的に流体バルブの駆動ユニットの本体の斜視図を示す。
【
図4】例示的にそこに設けられたコイル及び接触要素を有する流体バルブの駆動ユニットの本体の斜視図を示す。
【
図5】例示的に、層状コアの一部を形成する、その中に挿入される平板材又はコアシートの部分を有する流体バルブの本体の駆動ユニットの斜視図を示す。
【
図6】例示的に、コイル、その上に設けられた接触要素、及び挿入されたコアシートを有する流体バルブの駆動ユニットの本体の斜視図を示す。
【
図7】例示的に流体バルブの駆動ユニットを製造するためのステップを示すブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び2の各々は、流体バルブ1の断面図を示し、
図1は
図2に断面線A-Aで示す流体バルブの中心を貫通する縦断面図であり、
図2は
図1に示す断面線B-Bに沿って流体バルブ1の横方向でこれに対して垂直に広がる断面図である。
【0028】
流体バルブ1は、バルブ閉鎖体9のための駆動ユニット2と、少なくとも1つの流路が設けられたバルブハウジング10とを備える。バルブ閉鎖体9は、バルブハウジング10の中に延び、駆動ユニット2に結合されており、バルブ閉鎖体9は、駆動ユニット2によって動かすことができるように、詳細には枢動させることができるようになっている。詳細には、バルブ閉鎖体9は、枢動位置に応じてバルブ開口を解放又は閉鎖するために、第1及び第2の枢動位置を取ることができる。図示の例示的な実施形態では、バルブハウジング10は、3つのポートを備え、ポートのペアは、バルブ閉鎖体9の枢動位置に応じて、その都度、互いに流体接続される。これとは異なり、流体バルブ1は、2つのポートのみを有することもでき、ポートの間の流体接続は、バルブ閉鎖体9の枢動位置に応じて、解放されるか又は解放されない。
【0029】
流体バルブ1は、以下の機能を有する。すなわち、駆動ユニット2は、アーマチュア5の枢動位置に影響を与えるように設計されている。駆動ユニット2は、電磁駆動ユニットである、すなわち、駆動ユニットのコイル4が通電されると、磁気力が発生し、これによってアーマチュア5が第2の枢動位置から第1の枢動位置へ移動する。この第1の枢動位置は、
図1に示されている。この第1の枢動位置は、コイル4が通電さている限り保持される。好ましくは、アーマチュア5は、コイル4を通る電流の流れが終了した後に第2の枢動位置に後退するように、ばねによって付勢される。
【0030】
図1に示すように、バルブ閉鎖体9は、バルブ閉鎖体9がアーマチュア5によって動かされる、詳細には枢動されるような方法でアーマチュア5と結合される。詳細には、バルブ閉鎖体9は、アーマチュア5の枢動位置に応じてバルブハウジング10内で第1又は第2の位置を取り、結果として、バルブ位置を規定する、すなわち流路の解放又は閉鎖を規定する。
【0031】
流体バルブ1の駆動ユニット2の構造は、以下により詳細に説明される。
【0032】
駆動ユニット2は、本体6を備える。本体6は、駆動ユニット2の支持基本構造を形成する。好ましくは、これは、射出成形部品として、詳細にはプラスチック射出成形部品として設計される。本体6は、コイル4のための管状又は実質的に管状の支持部6.1を有する。支持部6.1の内部には第1の挿入口6.2が形成されており、その中には、
図5に示すようにU字形コア3の脚部を挿入することができる。
【0033】
本体6は、アーマチュア支持部6.3をさらに備える。このアーマチュア支持部6.3は、支持部6.1に直接隣接し、アーマチュア5を枢動可能に受け入れるように設計されている。アーマチュア支持部6.3は、箱状、詳細には矩形の箱状様式に形成されており、下部領域6.3.2と複数の壁領域6.3.3とを有している。壁領域6.3.3は、下部領域に結合され、下部領域6.3.2を周方向に取り囲み、下部領域6.3.2から、支持部6.1から外方に面する側に突出する。
【0034】
下部領域6.3.2には第2の挿入口6.2’が設けられており、
図5に示すように、この挿入口にはU字形コア3の第2の脚部を挿入することができる。従って、U字形コア3はヨーク形状であり、コアの脚部はコイル4によって取り囲まれており、コイル4が通電されると、コア3と、コア3の磁極面3.1、3.1’にまたがるアーマチュア5とによって閉磁気回路が形成されるようになっている。
【0035】
支持部6.1のアーマチュア支持部6.3から外方に面する側では、本体6は、金属接点8のための挿入口を有する。金属接点8は、これらの挿入口に相互連結的に挿入することができる。これは、
図1及び
図4から6に示されている。金属接点8は、コイル4と電気的に接触するために用いられる。
【0036】
例示的な実施形態では、コア3は、複数の層状の平板材ピース(flat material piece)3.2から形成される。平板材ピースは、具体的には、金属平板材、詳細には金属シートから作られている打ち抜き部品である。コア3を形成するために、平板材ピースは、その平坦面が他方の上部に合同様式で位置付けられ、複数の平板材ピース3.2を有するスタックが形成されるようになっており、この構成でコア3(いわゆる層状コア)が形成される。ここでは、個々の平板材ピース3.2は、互いに直接、導電的に接触するので、層状コアは、一体に形成されたコアと同じ又は実質的に同じ電気特性を有する。その結果、コア3の製造コストを大幅に削減することができる。
【0037】
好ましくは、アーマチュア5は、複数の層状の平板材ピースのスタックも含み、これらは、以下でアーマチュアプレートと呼ばれる。詳細には、アーマチュアプレートは、金属平板材、詳細には金属シートから作られている打ち抜き部品である。アーマチュア5を形成するために、その平坦面が他方の上部に合同様式で位置付けられ、複数のアーマチュアプレートを有するスタック(いわゆる層状アーマチュア)が形成されるようになっている。ここでは、個々のアーマチュアプレートは、互いに直接、導電的に当接するので、層状アーマチュア5は、一体に形成されたアーマチュアと同じ又は実質的に同じ電気特性を有する。その結果、アーマチュア5の製造コストを大幅に削減することができる。
【0038】
好ましい実施形態では、アーマチュア5は、アーマチュアキャリア5.2を備える。アーマチュアキャリア5.2は、層状アーマチュアプレートのスタックを少なくとも部分的に取り囲み、それらを互いに対して固定する。アーマチュアキャリア5.2は、好ましくは、射出成形部品、詳細にはプラスチック射出成形部品である。
【0039】
アーマチュア5の自由端において、アーマチュアキャリア5.2は、軸受部5.1を備える。この軸受部5.1によって、アーマチュア5は、本体6のアーマチュア支持部6.3に枢動可能に取り付けられる。
【0040】
外周において、軸受部5.1は、滑り軸受が形成されるように断面が円弧形状の摺動面を備える。摺動面は、軸受部5.1と逆の形状に形成されたアーマチュア支持部6.3の凹状の軸受セクション6.3.1と相互連結で接触する。その結果、アーマチュア5は、コアの磁極面3.1,3.1’が配置される平面と平行に延在する、又はアーマチュア5の長手方向軸LAと垂直に延在する枢動軸SAの周りに枢動することができる。これにより、アーマチュア5は、
図1に示す上部磁極面3.1に向かって、又はそこから離れて枢動することができる。
【0041】
アーマチュア5に高い磁気力を加えることができ、製造プロセス後の再調整又は調整作業なしに流体バルブ1の再現性のある切り替え動作を実現できるようにするために、コア3を本体6の中にできるだけ正確に位置決めすることが有利である。詳細には、これは、アーマチュア支持部6.3の軸受セクション6.3.1に対する、従って同様にアーマチュア5に対する磁極面3.1、3.1’の位置を決定するので、製造プロセス中にコア3の本体6への挿入位置をできるだけ正確に及び再現性良く決定することが有利である。
【0042】
コア3又はコア3を形成する平板材ピース3.2を本体6に対して固定するために、アーマチュア支持部6.3から突出する本体6の部分は、挿入されたコア3及びコイル4と共に少なくとも部分的にオーバーモールドされる。一方では、これは本体6に対するコア3又はコア3を形成する平板材ピース3.2の挿入位置を固定し、他方では、コア3又はコイル4が電気絶縁様式で収容される。
【0043】
好ましくは、コア3の挿入位置は、アーマチュア支持部6.3及び磁極面3.1、3.1’がオーバーモールドに用いられる射出成形金型の当接領域に対して当接するように、調整される。このようにして、本体6におけるコア3の再現可能な挿入位置、従ってアーマチュア支持部6.3の軸受セクション6.3.1に対する磁極面3.1、3.1’の位置の正確な調整が達成される。
【0044】
以下、
図7によるフローチャートに基づいて、流体バルブ1を製造する方法のステップを説明する。
【0045】
最初に、本体6及びコア3を提供する(S10)。コア3が複数の平板材ピース3.2から形成される場合、これらの平板材ピース3.2を提供する。
【0046】
次に、本体6の支持部6.1に導電体を巻きつけて、本体6上に電気コイル4を製作する(S11)。
【0047】
コイル4を製作した後、コア3を本体6に挿入する(S12)。ここでは、コアを、アーマチュア支持部6.3から外方に面する側から、本体6に形成された少なくとも1つの挿入口6.2、6.2’に挿入する。好ましくは、コア3を形成する複数の平板材ピース3.2を、積み重ね及び合同様式で互いに隣り合うように本体6に挿入する。
【0048】
コア3又はコア3を形成する平板材ピース3.2の挿入後、コア3及びコイル4を、射出成形プロセスを用いてオーバーモールドする(S13)。これは、射出成形プロセスで形成されたオーバーモールド7と本体6との間に部分的な結合部を形成し、その結果、本体6内のコア3の挿入位置を恒久的に固定する。射出成形プロセスの間、本体6に設けられたアーマチュア支持部6.3に対するコア3の規定された挿入位置を確立するように設計された射出成形金型が使用される。詳細には、射出成形金型は、本体6のアーマチュア支持部6.3のための規定された当接面と、コア3の磁極面3.1、3.1’のための当接面とを有しているので、射出成形金型により、コア3は、アーマチュア支持部6.3又はその上に形成されるアーマチュアの軸受セクション6.3.1に対して常に規定の位置を取ることができる。
【0049】
本発明は、例示的な実施形態を用いて上述されている。多くの修正例並びに変形例は、特許請求の範囲によって定義される保護範囲から離れることなく可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0050】
1 流体バルブ
2 駆動ユニット
3 コア
3.1、3.1’ 磁極面
3.2 平板材ピース
4 コイル
5 アーマチュア
5.1 軸受部
5.2 アーマチュアキャリア
6 本体
6.1 支持部
6.2 第1の挿入口
6.2’ 第2の挿入口
6.3 アーマチュア支持部
6.3.1 軸受セクション
6.3.2 下部領域
6.3.3 壁部
6.4 挿入口
7 オーバーモールド
8 金属接点
9 バルブ閉鎖体
10 バルブハウジング
LA アーマチュアの長手方向軸
SA アーマチュアの枢動軸