IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイチピエスピ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-高圧熱処理装置 図1
  • 特許-高圧熱処理装置 図2
  • 特許-高圧熱処理装置 図3
  • 特許-高圧熱処理装置 図4
  • 特許-高圧熱処理装置 図5
  • 特許-高圧熱処理装置 図6
  • 特許-高圧熱処理装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】高圧熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20240903BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20240903BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240903BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L21/324 G
H01L21/22 511Q
H01L21/22 511S
H01L21/324 R
H01L21/324 K
H01L21/22 511A
H01L21/31 E
C23C16/44 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022206839
(22)【出願日】2022-12-23
(65)【公開番号】P2023094614
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0185713
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】26, Samsung 1-ro 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18449, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム グンヨン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0127955(KR,A)
【文献】特表2009-539231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
H01L 21/22
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理のための対象物を収容するように形成された内部チャンバと、
ハウジングと、前記ハウジングを前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域に区画する区画板とを備え、前記区画板には前記高温区域と前記低温区域を連通させる排出ホールが形成される、外部チャンバと、
前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給し、前記外部チャンバには保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給するように構成される給気モジュールと、
前記排出ホールを開放するように構成されて、前記高温区域内の前記保護ガスを前記低温区域に排出する排出モジュールとを含み、
前記ハウジングは、
前記区画板とともに前記低温区域を限定するカバー部を含み、
前記カバー部及び前記区画板は、冷却媒体を収容するように形成されて、前記低温区域が前記冷却媒体から放出される冷気で充填されるようにする、高圧熱処理装置。
【請求項2】
記低温区域に排出された前記保護ガスは前記冷気によって冷却される、請求項1に記載の高圧熱処理装置。
【請求項3】
前記カバー部は、
前記区画板と対面したまま前記区画板の上側に配置され、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項4】
前記カバー部は、
前記区画板より多量の冷却媒体を収容するように形成される、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項5】
熱処理のための対象物を収容するように形成された内部チャンバと、
ハウジングと、前記ハウジングを前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域に区画する区画板とを備え、前記区画板には前記高温区域と前記低温区域を連通させる排出ホールが形成される、外部チャンバと、
前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給し、前記外部チャンバには保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給するように構成される給気モジュールと、
前記排出ホールを開放するように構成されて、前記高温区域内の前記保護ガスを前記低温区域に排出する排出モジュールとを含み、
前記排出モジュールは、
前記排出ホールに対応して形成されるホールカバーと、
前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットとを含み、
前記排出モジュールは、
前記ホールカバーを前記区画板に対して回転可能に結合させるヒンジをさらに含む、圧熱処理装置。
【請求項6】
前記駆動ユニットは、
前後進運動するように構成されるアクチュエータと、
前記ホールカバーに結合され、前記アクチュエータに対して回転可能に結合されるリンクとを含む、請求項に記載の高圧熱処理装置。
【請求項7】
前記外部チャンバは、
前記保護ガスが前記低温区域において冷却媒体と熱交換して冷却された後、前記高温区域に循環するように形成される、請求項1又は5に記載の高圧熱処理装置。
【請求項8】
前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールをさらに含み、
前記排出モジュールは、
前記排気モジュールが作動する前に、前記排出ホールを開放するように作動する、請求項1又は5に記載の高圧熱処理装置。
【請求項9】
前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールをさらに含み、
前記区画板は、
前記ヒーティングモジュールに対面するように配置される断熱層をさらに含む、請求項1又は5に記載の高圧熱処理装置。
【請求項10】
熱処理のための対象物を収容するように形成された内部チャンバと、
ハウジングを備え、前記ハウジングは前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域に区分される、外部チャンバと、
前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給し、前記外部チャンバには保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給するように構成される給気モジュールと、
前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するように構成されるヒーティングモジュールと、
前記高温区域において前記ヒーティングモジュールにより加熱された前記保護ガスを前記低温区域に排出するように構成される排出モジュールとを含み、
前記ハウジングは、
前記高温区域と前記低温区域を区画するように配置される区画板と、
前記区画板とともに前記低温区域を限定するカバー部とを含み、
前記カバー部及び前記区画板は、冷却媒体を収容するように形成されて、前記低温区域が前記冷却媒体から放出される冷気で充填されるようにする、高圧熱処理装置。
【請求項11】
記区画板は、
前記保護ガスの前記低温区域への排出のための通路を形成する、請求項10に記載の高圧熱処理装置。
【請求項12】
前記通路は、
前記区画板に貫通形成されて、前記高温区域と前記低温区域を連通させる排出ホールを含み、
前記排出モジュールは、
前記排出ホールに対応して形成されるホールカバーと、
前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットとを含む、請求項11に記載の高圧熱処理装置。
【請求項13】
前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールをさらに含み、
前記排出モジュールは、
前記排気モジュールが作動する前に、前記保護ガスを前記高温区域から前記低温区域に排出するように作動する、請求項10に記載の高圧熱処理装置。
【請求項14】
前記区画板は、
前記ヒーティングモジュールに対面するように前記ヒーティングモジュールの上側に配置される断熱層をさらに含む、請求項11に記載の高圧熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧環境において対象物を熱処理するために使用される熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製作中においてイオンインプランテーション(Ion implantation)工程はウェハの界面にダメージを発生させる。アニーリング(Annealing)は熱処理により該当ウェハのダメージを治癒する工程である。アニーリング以外にも不純物を活性化する時、薄膜(CVD)を形成する時、Ohmic接触合金工程を進行する時にも、ウェハに対して熱処理が行われる。
【0003】
熱処理時にはウェハに対してガスが作用する。該当ガスは、ウェハが収容されたチャンバに対して高圧で供給される。熱処理の終了後に、使用されたガスはチャンバから排気される。ガス排気の後に、熱処理されたウェハはチャンバから引き出される。以後、新しいウェハとガスが次の熱処理のためにチャンバに提供される。
【0004】
チャンバはガスが外部に漏れないように一定水準以上の密閉力を有する。チャンバの密閉力(及び断熱能力)はチャンバ内の熱が外部に漏れないようにするための重要な要因である。このような密閉力はチャンバの温度を下げるのには障害要因ともなる。
【0005】
具体的に、熱処理は高温で行われるので、熱処理中又は熱処理終了後にチャンバの温度を下げる必要がある。例えば、熱処理終了後に熱処理されたウェハの引き出しのためには、まずチャンバの温度が低くならなければならない。しかしながら、チャンバの密閉力により、チャンバの冷却には多くの時間が必要となる。それにより、ウェハに対する熱処理工程のタクトタイム(Tact time)が長くなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、必要に応じて高温チャンバを迅速に冷却できるようにする、高圧熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を実現するための本発明の一側面による高圧熱処理装置は、熱処理のための対象物を収容するように形成される内部チャンバ;ハウジングと、前記ハウジングを前記内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域に区画する区画板とを備え、前記区画板には前記高温区域と前記低温区域を連通させる排出ホールが形成される、外部チャンバ;前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給し、前記外部チャンバには保護ガスを前記第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給するように構成される給気モジュール;及び前記排出ホールを開放するように構成されて、前記高温区域内の前記保護ガスを前記低温区域に排出する排出モジュールとを含む。
【0008】
ここで、前記ハウジングは、前記区画板と共に前記低温区域を限定するカバー部を含み、前記カバー部及び前記区画板の少なくとも1つは、前記低温区域に排出された前記保護ガスを冷却するための冷却媒体を収容するものであってもよい。
【0009】
ここで、前記カバー部は、前記区画板と対面したまま前記区画板の上側に配置され、前記カバー部及び前記区画板の両方は、前記冷却媒体を収容するように形成されて、前記低温区域が前記冷却媒体から放出される冷気で充填されるようにする。
【0010】
ここで、前記カバー部は、前記区画板より多量の冷却媒体を収容するように形成される。
【0011】
ここで、前記外部チャンバは、前記保護ガスが前記低温区域において前記冷却媒体と熱交換して冷却された後、前記高温区域に循環するように形成される。
【0012】
ここで、前記排出モジュールは、前記排出ホールに対応して形成されるホールカバー;及び前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットを含む。
【0013】
ここで、前記排出モジュールは、前記ホールカバーを前記区画板に対して回転可能に結合させるヒンジをさらに含む。
【0014】
ここで、前記駆動ユニットは、前後進運動するように構成されるアクチュエータ;及び前記ホールカバーに結合され、前記アクチュエータに対して回転可能に結合されるリンクを含む。
【0015】
ここで、前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールがさらに含まれ、前記排出モジュールは、前記排気モジュールが作動する前に、前記排出ホールを開放するように作動できる。
【0016】
ここで、前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するヒーティングモジュールがさらに含まれ、前記区画板は、前記ヒーティングモジュールに対面するように配置される断熱層をさらに含む。
【0017】
本発明の他の一側面による高圧熱処理装置は、熱処理のための対象物を収容するように形成される内部チャンバ;ハウジングを備え、前記ハウジングは、内部チャンバを収容する高温区域と前記高温区域より低い温度を有する低温区域に区分される、外部チャンバ;前記内部チャンバに前記熱処理のためのプロセスガスを大気圧より高い第1圧力で供給し、前記外部チャンバには保護ガスを第1圧力と関連して設定された第2圧力で供給するように構成される給気モジュール;前記高温区域に配置され、前記プロセスガス及び前記高温区域内の前記保護ガスを加熱するように構成されるヒーティングモジュール;及び前記高温区域において前記ヒーティングモジュールにより加熱された前記保護ガスを前記低温区域に排出するように構成される排出モジュールとを含む。
【0018】
ここで、前記ハウジングは、前記高温区域と前記低温区域を区画するように配置される区画板;及び前記区画板と共に低温区域を限定するカバー部を含み、前記区画板は、前記保護ガスの前記低温区域への排出のための通路を形成する。
【0019】
ここで、前記通路は、前記区画板に貫通形成されて、前記高温区域と前記低温区域を連通させる排出ホールを含み、前記排出モジュールは、前記排出ホールに対応して形成されるホールカバー;及び前記ホールカバーを前記排出ホールを閉鎖する閉鎖位置と前記排出ホールを開放する開放位置との間で移動させる駆動ユニットを含む。
【0020】
ここで、前記内部チャンバ及び前記外部チャンバから前記プロセスガス及び前記保護ガスを排気するように構成される排気モジュールがさらに含まれ、前記排出モジュールは、前記排気モジュールが作動する前に、前記保護ガスを前記高温区域から前記低温区域に排出するように作動する。
【0021】
ここで、前記区画板は、前記ヒーティングモジュールに対面するように前記ヒーティングモジュールの上側に配置される断熱層をさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
前記のように構成される本発明による高圧熱処理装置によれば、内部チャンバを収容する高温区域と低い温度を有する低温区域に区分される外部チャンバに対して給気モジュールが供給した保護ガスは排出モジュールにより高温区域から低温区域に排出されるため、高温区域において加熱された保護ガスは低温区域において熱交換して迅速に冷却される。
【0023】
冷却された保護ガスは高温区域に回帰して高温区域及び内部チャンバを自然冷却より高い速度で冷却させることができる。これにより、高温チャンバを迅速に冷却して、半導体ウェハに対する熱処理工程のタクトタイム(Tact time)を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例による高圧熱処理装置100に対する概念図である。
図2図1の高圧熱処理装置100の制御的構成を説明するためのブロック図である。
図3図1の高圧熱処理装置100の排出モジュール150に関連した構成の一状態を示した部分断面図である。
図4図3の排出モジュール150に関連した構成の他の状態を示した部分断面図である。
図5図4の区画板123に対する平面図である。
図6図3の排出モジュール150の一状態を示した概念図である。
図7図3の排出モジュール150の他の状態を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例による高圧熱処理装置について添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書では、異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に代える。
【0026】
図1は、本発明の一実施例による高圧熱処理装置100に対する概念図である。
【0027】
本図を参照すると、高圧熱処理装置100は、内部チャンバ110、外部チャンバ120、給気モジュール130、排気モジュール140、及び排出モジュール150を含む。
【0028】
内部チャンバ110は熱処理のための対象物を収容する収容空間を形成する。内部チャンバ110は、高温と高圧の工程環境において汚染物(パーティクル)が発生する可能性を減らすために、非金属材、例えば、石英で製作することができる。図面上簡略化されているが、内部チャンバ110の下段には前記収容空間を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより前記収容空間が開放され、前記対象物はホルダー(図示せず)に装着されたまま内部チャンバ110に投入される。内部チャンバ110の外側に配置されるヒータ(図示せず)の作動により、内部チャンバ110の温度は数百℃に達することができる。前記対象物は、例えば、半導体ウェハであってもよい。その場合、前記ホルダーは前記半導体ウェハを複数層に積層できるウェハボート(wafer boat)であってもよい。
【0029】
外部チャンバ120は、内部チャンバ110を収容する構成である。外部チャンバ120は、内部チャンバ110とは異なり半導体ウェハに対する汚染問題から自由であるため、金属材で製作されてもよい。外部チャンバ120は、内部チャンバ110を収容する内部空間を有するハウジング121を備える。ハウジング121も下部にはドア(図示せず)を備えるが、前記ドアは内部チャンバ110のドアと共に下降し、前記内部空間を開放する。
【0030】
前記内部空間は、区画板123により2つの区域に区分される。区画板123の下側は内部チャンバ110が位置する高温区域125となり得る。区画板123の上側は高温区域125より低い温度を有する低温区域127となり得る。高温区域125は、前記ヒータの加熱により内部チャンバ110に匹敵する温度を有するが、低温区域127は高温区域125に比べて非常に低い温度を有する。低温区域127は冷却媒体、例えば、冷却水の影響を受ける。
【0031】
給気モジュール130はチャンバ110、120に対してガスを供給する構成である。給気モジュール130は半導体工場のユーティリティ(ガス供給設備)に連通するガス供給機131を有する。ガス供給機131は、内部チャンバ110に対してプロセスガスとして、例えば、水素/重水素、フッ素、アンモニア、塩素、窒素などを選択的に提供する。ガス供給機131は、外部チャンバ120に対しては保護ガスとして、例えば、不活性ガスである窒素を提供する。これらのプロセスガス及び保護ガスは、それぞれプロセスガスライン133又は保護ガスライン135を介して内部チャンバ110又は外部チャンバ120に投入される。外部チャンバ120に投入された保護ガスは、具体的に外部チャンバ120と内部チャンバ110との間の空間に満たされる。
【0032】
前記プロセスガス及び前記保護ガスは、大気圧より高い圧力であって、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧を形成するように供給される。また、前記プロセスガスの圧力が第1圧力であり、前記保護ガスの圧力が第2圧力である時、これらは設定された関係で維持されることができる。例えば、前記第2圧力が前記第1圧力より多少大きく設定されることがある。そのような圧力差は、前記プロセスガスが内部チャンバ110から漏れなくなる利点を提供する。
【0033】
排気モジュール140は、前記プロセスガス及び前記保護ガスをチャンバ110、120から排気するための構成である。内部チャンバ110から前記プロセスガスを排気するために、内部チャンバ110の上部には排気管141が連結される。排気管141は低温区域127に配置され、低温区域127から外部チャンバ120の外に延長される。排気管141にはガス排出器143が設置される。ガス排出器143は前記プロセスガスの排気を断続するバルブであってもよい。
【0034】
外部チャンバ120から前記保護ガスを排出するためにも、同様に外部チャンバ120に連通される排気管145とそれに設置されるガス排出器147が備えられる。これらの排気管141及び145は互いに連通されるため、前記プロセスガスは前記保護ガスに希釈されてその濃度が低くなって排気される。
【0035】
排出モジュール150は高温区域125に存在する前記保護ガスを低温区域127に排出するための構成である。高温区域125に存在する前記保護ガスは、低温区域127に存在する前記保護ガスより大きな熱エネルギーを有するため、対流により低温区域127に排出されることができる。前記保護ガスは低温区域127において熱エネルギーを失い、高温区域125に循環されることができる。前記保護ガスの循環と熱交換により、高温区域125及び内部チャンバ110は急速に冷却されることができる。
【0036】
高圧熱処理装置100の制御的構成は、図2を参照して説明する。図2は、図1の高圧熱処理装置100の制御的構成を説明するためのブロック図である。
【0037】
本図(及び図1)を参照すると、高圧熱処理装置100は、前述の給気モジュール130などに加えて、ヒーティングモジュール160、感知モジュール170、制御モジュール180、及び格納モジュール190をさらに含む。
【0038】
ヒーティングモジュール160は、前述のヒータを含む構成である。前記ヒータは外部チャンバ120の内部空間に配置されてもよい。前記ヒータは、前記プロセスガスを加熱して工程温度に至るようにする。
【0039】
感知モジュール170はチャンバ110、120の環境を感知するための構成である。感知モジュール170は圧力ゲージ171と温度ゲージ175を備える。圧力ゲージ171及び温度ゲージ175は、チャンバ110、120ごとに設置されてもよい。
【0040】
制御モジュール180は、給気モジュール130、排気モジュール140などを制御する構成である。制御モジュール180は感知モジュール170の感知結果に基づいて、給気モジュール130などを制御することができる。
【0041】
格納モジュール190は、制御モジュール180が制御のために参照できるデータ、プログラムなどを格納する構成である。格納モジュール190はフラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk)、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの格納媒体を含む。
【0042】
このような構成によれば、制御モジュール180は圧力ゲージ171により得られたチャンバ110、120の圧力(前記第1圧力及び前記第2圧力)に基づいて、給気モジュール130の作動を制御することができる。
【0043】
制御モジュール180はまた、温度ゲージ175により得られたチャンバ110、120の温度に基づいて、排出モジュール150の作動を制御することができる。排出モジュール150の作動は、熱処理進行中にチャンバ110、120の温度を下方調整する必要がある場合、又は熱処理が終了した場合に行われることができる。
【0044】
熱処理が終了した場合において、排気モジュール140が作動して前記プロセスガスが排気される前に、排出モジュール150が作動する。排出モジュール150の作動によって前記保護ガスは自然循環及び熱交換により前記プロセスガスを冷却させる。前記プロセスガスは設定温度以下に冷却されたまま排気モジュール140により排気される。これにより、前記プロセスガスが高温状態で排気されることで発生しうる爆発などの危険要因を先制的に除去することができる。
【0045】
排出モジュール150の具体的構成と作動については図3ないし図7を参照して説明する。
【0046】
まず、図3は、図1の高圧熱処理装置100の排出モジュール150に関連した構成の一状態を示した部分断面図であり、図4は、図3の排出モジュール150に関連した構成の他の状態を示した部分断面図である。
【0047】
本図面を追加で参照すると、ハウジング121は胴部121aとカバー部121bを含む。胴部121aは概してシリンダ形態を有し、カバー部121bは胴部121aの開放された上部に対応する形態を有する。カバー部121bは概してドーム状を有する。
【0048】
区画板123は、カバー部121bと対面したままそれに対して離隔配置される。区画板123は、胴部121aに支持されたままカバー部121bの下側に配置される。区画板123は、胴部121aと共に高温区域125を限定し、カバー部121bと共に低温区域127を限定する。
【0049】
高温区域125にはヒーティングモジュール160が配置される。ヒーティングモジュール160は、ヒータ161と断熱ブロック165とを含む。ヒータ161は、内部チャンバ110を囲む形態を有してもよい。ヒータ161から発生した熱により高温区域125内の前記保護ガス、そして内部チャンバ110内の前記プロセスガスが加熱される。断熱ブロック165はヒータ161を内蔵し、ヒータ161の熱が胴部121a側に伝達されないようにする。
【0050】
ヒータ161に対応して、区画板123の下部には断熱層123aが備えられる。断熱層123aは、ヒータ161と対面するようにヒーティングモジュール160の上側に配置されてもよい。断熱層123aは、ヒータ161から発生した熱が低温区域127に伝達されることを遮断する。
【0051】
区画板123の上部には冷却層123bが備えられる。冷却層123bは冷却媒体、例えば、冷却水を収容する空間を有してもよい。冷却層123bに対応して、カバー部121bにも冷却水を収容する空間が備えられる。カバー部121bは区画板123より多量の冷却水を収容することができる。カバー部121bは低温区域127の上部を限定するため、低温区域127に排出された保護ガスは最大に上昇すると、主にカバー部121bと熱交換するようになる。
【0052】
カバー部121b及び/又は冷却層123bに収容された冷却水は、低温区域127を冷気で充填する。これにより、低温区域127の温度は低く維持される。低温区域127に排出された前記保護ガスは、前記冷気と熱交換して冷却されることができる。
【0053】
区画板123には排出ホール123cが貫通形成される。排出ホール123cは高温区域125と低温区域127を連通させる。このような排出ホール123cは、排出モジュール150により開閉できる。
【0054】
外部チャンバ120は、前記保護ガスが低温区域127から高温区域125に循環するように形成される。例えば、外部チャンバ120は、区画板123と胴部121aとの間、そして胴部121aとヒーティングモジュール160との間に隙間Gが形成されたものであり得る。その場合、前記保護ガスは隙間Gを介して循環できるようになる。
【0055】
このような構成によれば、排出モジュール150が排出ホール123cを閉鎖している状態(図3)においては、ヒータ161から発生した熱は内部チャンバ110と高温区域125内のガスを加熱する。ヒータ161から発生した熱は断熱層123aにより低温区域127に容易に伝達されない。また、低温区域127はカバー部121b及び/又は冷却層123bの冷却水によっても低温に維持される。これにより、高温区域125と低温区域127は同じ圧力を有しても、相互間の温度差は大きくなる状態となる。
【0056】
前記プロセスガスを冷却しようとする場合、排出モジュール150の作動により排出ホール123cが開放される。その場合、高温区域125内の前記保護ガスは排出ホール123cを介して上昇して低温区域127に流動する。高温の前記保護ガスは低温区域127において前記冷却水の冷気と熱交換して冷却される。冷却された低温の前記保護ガスは、区画板123と胴部121aとの間の隙間G{又は排出ホール123c}などを介して高温区域125に回帰することができる。
【0057】
前記保護ガスが自然対流により循環することにより、前記プロセスガスは前記の保護ガスと熱交換により急速に冷却される。前記プロセスガスは十分に冷却された後、排気管141を介して外部に排気される。
【0058】
次に、図5は、図4の区画板123に対する平面図である。
【0059】
本図を参照すると、排出ホール123cは冷却層123bの中心から外れて位置するようになる。これは、冷却層123bの中心には内部チャンバ110の上部が位置するためである。
【0060】
冷却層123bが円板形状を有するが、排出ホール123cも円形に開口されることができる。その場合、排出ホール123cの直径(D)は、冷却層123bの直径(D)に比べて特定比率を有することができる。具体的に、その比率は、高温区域125での前記保護ガスが低温区域127に排出される過程で、急激な熱気排出により内部チャンバ110に熱的衝撃が加えられることを防止できる水準に決定される。
【0061】
以上では、前記保護ガスが高温区域125から低温区域127に排出する時に流動する通路として排出ホール123cを例示しているが、前記通路は他の形態になることもできる。例えば、区画板123が水平軸を中心に回転又は昇降するように構成されると、区画板123とハウジング121との間に開いた空間が前記通路になり得る。
【0062】
図6は、図3の排出モジュール150の一状態を示した概念図であり、図7は、図3の排出モジュール150の他の状態を示した概念図である。
【0063】
本図を追加で参照すると、排出モジュール150は、ホールカバー151、ヒンジ153、アクチュエータ155、及びリンク157を含む。
【0064】
ホールカバー151は排出ホール123cに対応するサイズを有する。ホールカバー151は閉鎖位置(図6)において排出ホール123cを閉鎖する。ホールカバー151は、開放位置(図7)においては排出ホール123cを開放する。
【0065】
ホールカバー151はヒンジ153により区画板123に回転可能に結合される。これにより、ホールカバー151が前記閉鎖位置と前記開放位置との間で回転できるようになる。
【0066】
ホールカバー151を移動させるためには駆動ユニットが備えられる。前記駆動ユニットは、アクチュエータ155とリンク157を含む。
【0067】
アクチュエータ155は前後進運動する構成である。アクチュエータ155は、例えば、前後進作動するシリンダであってもよい。より具体的に、前記シリンダは電気モータにより作動する電動シリンダであってもよい。
【0068】
リンク157は、前記シリンダの移動部をホールカバー151と連結する構成である。リンク157の一端はホールカバー151に結合される。リンク157の他端は前記移動部に対して回転可能に結合される。リンク157の回転に対応して、リンク157及び前記移動部のうち1つには長ホールが形成され、他の1つには長ホールに移動可能に挿入されるピンが設置されてもよい。
【0069】
前記のような高圧熱処理装置は、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わされて多様な変形ができるように構成されることもできる。
【符号の説明】
【0070】
100:高圧熱処理装置
110:内部チャンバ
120:外部チャンバ
121:ハウジング
123:区画板
125:高温領域
127:低温領域
130:給気モジュール
140:排気モジュール
150:排出モジュール
151:ホールカバー
155:アクチュエータ
160:ヒーティングモジュール
170:感知モジュール
180:制御モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7