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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】動作検知システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240903BHJP
   A41D 13/00 20060101ALN20240903BHJP
   A41D 19/00 20060101ALN20240903BHJP
   A41D 19/015 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
G06F3/01 514
A41D13/00 102
A41D19/00 Z
A41D19/015 610A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022509405
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005759
(87)【国際公開番号】W WO2021192737
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020053263
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 佳明
(72)【発明者】
【氏名】山際 伸一
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504682(JP,A)
【文献】特開2016-080675(JP,A)
【文献】特開2018-141717(JP,A)
【文献】特表2017-512542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0086519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A41D 13/00
A41D 19/00
A41D 19/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着体に装着される動作検知用部材により被装着体の動作情報を検知する動作検知部と、
前記動作検知部により検知された前記動作情報をサーバに送信する通信部と、
前記動作情報が、いかなる動作であるかを判定する動作判定部と、
を含み、
前記動作検知用部材は、
被装着体に装着される装着部であって、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮部位を有する装着部と、
前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、伸縮したことを示す伸縮情報を検知する配線電極部と、
を含み、
前記配線電極部は、導電性線状体を経糸と緯糸で織った織構造に織り込んで構成されており、前記装着部の伸縮部位の少なくとも一部に設けられた配線部であって、導電性線状体を含む第一配線部および導電性線状体を含む第二配線部を有する配線部と、前記第一配線部に電気的に接続された第一電極部および前記第二配線部に電気的に接続された第二電極部を有する電極部と、を備え、前記被装着体の動作により、前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、前記第一電極部及び前記第二電極部の接触状態が変化することで、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が変化し、
前記第一配線部及び第二配線部が同一平面上に形成されている
動作検知システム。
【請求項2】
前記動作検知部は、前記動作検知用部材により被装着体の動作の有無を前記動作情報として検知する
請求項1記載の動作検知システム。
【請求項3】
前記動作検知用部材は、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ、及び圧力センサの少なくとも1つを含み、
前記動作検知部は、前記加速度センサにより得られた加速度、前記角速度センサにより得られた角速度、前記磁気センサにより得られた磁気情報、及び前記圧力センサにより得られた圧力情報の少なくとも1つを前記動作情報として検知する
請求項1記載の動作検知システム。
【請求項4】
前記動作判定部は、前記動作検知部により検知された前記動作情報が所定の閾値を超えた場合に、前記動作情報の種類に応じて予め定まる動作であると判定する
請求項2又は請求項3記載の動作検知システム。
【請求項5】
前記伸縮部位は、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮性布材で構成される
請求項1~4の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項6】
前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値を検知する抵抗検知部
を更に含み、
前記通信部は、前記抵抗検知部により検知された前記抵抗値をサーバに送信する
請求項1~5の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項7】
動作毎に対応する動作情報を予め格納する格納部
を更に含み、
前記動作判定部は、前記動作検知部により検知された前記動作情報が、前記格納部に格納された動作情報と一致する場合に、前記動作情報に対応する動作であると判定する
請求項2又は請求項3記載の動作検知システム。
【請求項8】
前記動作情報を入力とし、前記動作情報に対応する動作を出力する動作判定モデルを格納するモデル格納部
を更に含み、
前記動作判定部は、前記動作検知部により検知された前記動作情報と、前記動作判定モデルとに基づいて得られる動作を、判定結果とする
請求項2又は請求項3記載の動作検知システム。
【請求項9】
前記動作判定モデルは、前記動作情報と、前記動作情報に対応する動作とを教師データとして予め学習された機械学習モデルである
請求項記載の動作検知システム。
【請求項10】
前記動作判定部により判定された前記動作に応じた文字列、画像、動画、若しくは音声、又は前記動作に応じて操作される機器を制御するための制御信号を出力する出力部
を更に含む請求項1~請求項9の何れか1項記載の動作検知システム。
【請求項11】
前記動作検知用部材は、被装着体としての人体の手に装着される装着部を含み、
前記動作判定部は、前記動作情報に基づいて、いかなる前記人体の手の動作であるか判定し、
前記出力部は、前記動作判定部により判定された前記人体の手の動作に応じた文字列、画像、動画、若しくは音声、又は前記制御信号を出力する
請求項10記載の動作検知システム。
【請求項12】
前記サーバは、前記通信部から受信した前記抵抗値に基づいて、前記被装着体の動作の有無を判定する動作判定部を含む
請求項記載の動作検知システム。
【請求項13】
前記抵抗値に基づいて、前記被装着体の動作の有無を判定する動作判定部
を更に含み、
前記通信部は、前記動作判定部による判定結果を前記サーバに送信する
請求項記載の動作検知システム。
【請求項14】
前記装着部が、前記被装着体としての人体の手に装着される手袋状の装着部であり、
前記手袋状の装着部の伸縮部位のうち、前記配線部が設けられる伸縮部位が、前記手の指の、近位指節間関節の甲又は中手指節間関節の甲に対向する部位であり、
前記動作判定部は、所定の抵抗値と、前記抵抗検知部により検知された前記抵抗値との差が、所定の閾値以上である場合、前記手の指に動作が有ると判定する
請求項12又は請求項13記載の動作検知システム。
【請求項15】
前記動作検知用部材は、複数設けられ、各々が前記抵抗検知部に接続されており、
前記動作判定部は、複数の前記動作検知用部材の各々から前記抵抗検知部により検知される前記抵抗値に基づいて、複数の前記動作検知用部材の各々が装着された前記被装着体の部位の動作の有無を判定し、前記複数の動作検知用部材の各々の動作の有無の判定結果の組合せに基づいて、前記被装着体の動作を判定する
請求項記載の動作検知システム。
【請求項16】
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部とが離間し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触する、
請求項~請求項、又は請求項15の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項17】
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に減少し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に増加する、
請求項~請求項又は請求項15~請求項16の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項18】
前記第一配線部と前記第二配線部とが一体的に設けられ、
前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との導通経路が長くなる、
請求項~請求項又は請求項15~請求項17の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項19】
前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位を最大伸長率まで伸長させたとき、伸長率の変化が±5%の範囲内で前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率の範囲を有する、
請求項~請求項又は請求項15~請求項17の何れか1項に記載の動作検知システム。
【請求項20】
前記第一電極部、前記第二電極部、前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一つに含まれる導電性線状体が、カーボンナノチューブ糸を含む導電性線状体である請求項~請求項又は請求項15~請求項18の何れか1項に記載の動作検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、人体の部位(肘部、膝部、腰部、手の指等)等の動作を検知するための動作検知用部材を用いた動作検知システムが知られている。
【0003】
動作検知用部材としては、例えば、特許文献1には、「使用者の手の動きや形を検出するため手に装着される手袋型入力装置であって、伸縮可能な素材により構成された手袋の外側および/または内側に、伸縮性を有する導電性インクを用いて、指関節の動作を検知するためのセンシングデバイスが形成されている手袋型入力装置。」が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「着用者の手に装着可能な手袋本体と、前記手袋本体の掌側の面以外の部位で且つ関節相当部位に付設され、前記手袋本体の変形に追従して伸縮するシート状の1又は複数の歪みセンサと、前記手袋本体に一体的に設けられ、前記手袋本体の変形に追従して変形するように設けられる伸縮性の配線部と、を備える歪みセンサ付手袋。」が開示されている。
【0005】
特許文献1:特開2016-130940号公報
特許文献2:特開2017-061770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の手法では、指関節が動いたことを検知することはできるが、被装着体がいかなる動作をしたかを正確に検知することができない、という問題があった。
【0007】
そこで、本開示の課題は、被装着体がいかなる動作をしたかを正確に検知することができる動作検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の動作検知システムは、被装着体に装着される動作検知用部材により被装着体の動作情報を検知する動作検知部と、前記動作検知部により検知された前記動作情報をサーバに送信する通信部と、前記動作情報が、いかなる動作であるかを判定する動作判定部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、被装着体がいかなる動作をしたかを正確に検知することができる動作検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る動作検知システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る動作検知用部材を示す模式的な平面図である。
図3】本実施形態に係る動作検知用部材を示す模式的な断面図である。
図4A】本実施形態に係る動作検知用部材における伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸長部の一例)を示す模式的な平面図である。
図4B】本実施形態に係る動作検知用部材における指部の伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸長部一例)の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図5】本実施形態に係る動作検知用部材を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を織り込んだ一例を示す概略平面図である。
図7】本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を編み込んだ一例を示す概略平面図である。
図8】本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を刺繍した一例を示す概略平面図である。
図9】最大伸長率までの伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸長部の一例)の伸長及び収縮を5回繰り返し実施したときの「第一電極部及び第二電極部の間の抵抗値と測定時間との関係、並びに、伸長率と測定時間との関係」の一例を示す図である。
図10図9の結果に基づく、1回目の伸縮における「第一電極部及び第二電極部の間の抵抗値と伸長率との関係」の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係るサーバのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図12】本実施形態に係るサーバの機能構成の例を示すブロック図である。
図13】本実施形態に係るサーバによる動作検知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図14A】第1の変形例の配線電極部を示す模式的な平面図である。
図14B】第1の変形例の配線電極部の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図15A】第2の変形例の配線電極部を示す模式的な平面図である。
図15B】第2の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図15C】第2の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図16A】第3の変形例の配線電極部を示す模式的な平面図である。
図16B】第3の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図16C】第3の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図17A】第4の変形例の配線電極部を示す模式的な平面図である。
図17B】第4の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図17C】第4の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的なである。
図18A】第5の変形例の配線電極部を示す模式的な平面図である。
図18B】第5の変形例の配線電極部の伸長状態を示す模式的な平面図である。
図19】第6の変形例の動作検知用部材を示す模式的な断面図である。
図20】第7の変形例の動作検知用部材を示す模式的な断面図である。
図21】変形例1に係るサーバの機能構成の例を示すブロック図である。
図22】変形例1に係るサーバによる動作検知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図23】変形例2に係るサーバの機能構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本開示の実施形態に係る動作検知システムの構成>
以下、開示の技術の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る動作検知システム1000の構成を示す図である。図1に示すように、動作検知システム1000は、動作検知用部材150と、サーバ300とを含む。動作検知用部材150と、サーバ300とは、無線通信を実行する。
【0013】
<動作検知用部材>
以下、動作検知用部材の概要について説明する。なお、本開示において、「~」を用いた数値範囲は、「~」の前後で示された数値が各々最小値及び最大値として含まれる数値範囲を意味する。
【0014】
動作検知用部材は、被装着体の動作を検知するための部材である。動作検知用部材としては、手の伸縮により動作を検知する伸縮センサや、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ等の手の傾きや位置により動作を検知する時間軸検知型のセンサを採用することができる。本実施形態では、動作検知用部材が伸縮センサである場合を例に説明する。
【0015】
本実施形態に係る動作検知用部材は、被装着体に装着される装着部であって、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮部位を有する装着部と、前記装着部の伸縮部位の少なくとも一部に設けられた配線部であって、導電性線状体を含む第一配線部および導電性線状体を含む第二配線部を有する配線部と、前記第一配線部に電気的に接続された第一電極部および前記第二配線部に電気的に接続された第二電極部を有する電極部と、を備え、前記被装着体の動作により、前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、前記第一配線部および前記第二配線部の接触状態が変化することで、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が変化する配線電極部と、を具備する。
【0016】
本実施形態に係る動作検知用部材は、被装着体の動作により伸縮部位が伸縮(つまり、伸長および収縮)したとき、第一配線部および第二配線部の接触状態が変化することで、第一電極部と第二電極部との間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検知することにより、被装着体の動作を検知できる。
【0017】
そして、本実施形態に係る動作検知用部材は、動作を検知するための配線電極部が、導電性線状体で構成されている。そのため、耐久性も高い。
【0018】
それに加え、伸縮性布材で構成された装着部の伸縮部位に、導電性線状体で構成された配線部が設けられている。そのため、被装着体に装着したとき違和感を抱き難く、装着感にも優れる。
【0019】
また、特許文献1の手袋型入力装置、歪みセンサ付手袋等は、手を開いた状態と閉じた状態でキャリブレーションを必要とするが、手袋を使用し続けているとセンサ位置がずれてきて、検出精度が低下する可能性がある。一方で、本実施形態に係る動作検知用部材は、キャリブレーションが不要であり、装着後すぐに使用可能であり、位置ずれの許容範囲が広い。
【0020】
ここで、本開示において、「第一電極部と第二電極部との間の抵抗値が変化する」とは、1)第一電極部と第二電極部との間が導通された状態で、抵抗値が増減すること、又は2)第一電極部と第二電極部との間が導通から非導通の状態もしくは非導通から導通の状態に変化することを示す。なお、この抵抗値の変化は、電極部、配線部、および電極部と配線部との接合部の破損による抵抗値の変化は含まない。
【0021】
「第一配線部と第二配線部との少なくとも一部が接触している」とは、第一配線部及び第二配線部以外の他の配線部(例えば、第三配線部)を有する場合、他の配線部を介在して第一配線部と第二配線部との少なくとも一部が接触している態様も含む。
【0022】
「配線部が、伸縮部位に設けられている」とは、「配線部が伸縮性部材の表面に設けられている」又は「配線部が伸縮性布材の内部に設けられている」ことを示す。
【0023】
そして、「配線部が伸縮性布材の表面に設けられている」とは、伸縮性布材の表裏面を構成する布材層(部分的に表裏面を構成する布材層も含む)に、配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。言い換えれば、「配線部が伸縮性布材の表面に設けられている」とは、伸縮性布材から配線部を構成する導電性線状体の少なくとも一部が露出した状態で、電極部又は配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。
【0024】
一方、「配線部が伸縮性布材の内部に設けられている」とは、伸縮性布材の内層に、例えば、伸縮性布材の内層となる布材層中又は布材層間に、配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。
【0025】
「装着部が、伸縮性布材で構成された伸縮部位を有する」とは、装着部の伸縮部位に相当する位置が伸縮性布材で構成され、当該伸縮性布材に配線部が設けられた態様、装着部の伸縮部位に相当する位置の表面に、別途、配線部を有する伸縮性布材が貼り合わされている態様の何れも含む。なお、伸縮部位の設け方は、接着剤による貼り合わせ、縫いによる取り付け等が例示される。
【0026】
(動作検知用部材の構成)
以下、本実施形態に係る動作検知用部材の一例について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る動作検知用部材150は、電極配線付きの布材である。本実施形態では、動作検知用部材150は、図2に示すような手袋状の部材である場合を例に説明する。具体的には、動作検知用部材150は、例えば、手袋状装着部10(装着部の一例)と、配線電極部100と、通信モジュール202と、を有している。
【0027】
(手袋状装着部)
手袋状装着部10は、被装着体としての人体の手に装着される手袋状の装着部である。
【0028】
手袋状装着部10は、人体の手首に装着される手首部1と、人体の指に装着される指部2と、手首部1および指部2を連結する胴部3と、を有している。
【0029】
なお、手首部1、指部2及び胴部3の連結部(中手指節間関節に対応する部位)、指部2(遠位指節間関節及び近位指節間関節に対応する部位)と、が「被装着体の動作により伸縮する伸縮部位」の一例に相当する。
【0030】
また、近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位が、「配線部が設けられた装着部の伸縮部位」の一例に相当する。
【0031】
ここで、手袋状装着部10は指部2を、例えば、各指に対応して5つ有している。具体的には、手袋状装着部10は、指部2として、例えば、親指に装着される親指部2A、人差し指に装着される人差し指部2B、中指に装着される中指部2C、薬指に装着される薬指部2D、及び小指に装着される小指部2Eを有している。
【0032】
ただし、指部2の構成は、上記構成に限られるわけではない。手袋状装着部10は、指部2として、例えば、親指に装着される親指部と、人差し指、中指、薬指および小指に装着される指部と、の2つの部位を有していてもよい。
【0033】
手袋状装着部10は、例えば、表面を構成する表面布材層10Aと、裏面を構成する裏面布材層10Bと、表面布材層10A及び裏面布材層10Bの間に有する中間布材層10Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。
【0034】
手袋状装着部10は、3重の布材層以外に、例えば、1重(単層)、2重(2層)、又は4重(4層)以上の布材層で構成されていてもよい。
【0035】
なお、2層以上の布材層で構成された多重の装着部は、例えば、各布材層を作製した後、縫い合わせる手法で作製してもよいし、織編機により一括して多重の手袋状装着部10を作製してもよい。
【0036】
手袋状装着部10は、例えば、伸縮性布材で構成されている。ただし、手袋状装着部10は、柔軟性布材で構成され、かつ少なくとも近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位(配線部が設けられた装着部の伸縮部位の一例)が伸縮性布材で構成されていればよい。
【0037】
伸縮性布材としては、例えば、織編物が代表的に挙げられる。手袋状装着部10は不織布であってもよい。
【0038】
織編物としては、平織り、綾織り、朱子織り、周知の応用織り等の織物;緯編み、経編み、レース編み、周知の応用編み等の編物が挙げられる。
【0039】
伸縮性布材を構成する糸(線状体)は、絶縁性の糸とする。絶縁性の糸とは、線抵抗が1.0×10Ω/cm以上の糸を示す。絶縁性の糸の線抵抗は、後述する導電性線状体の線抵抗と同じ方法で測定される線抵抗である。
【0040】
伸縮性布材は、弾性糸を利用した織編物を適用することがよい。
【0041】
弾性糸としては、例えば、弾性糸の外周に非弾性糸をコイル状に巻き付けたカバードヤーン(シングルカバードヤーン又はダブルカバードヤーン)、弾性糸と非弾性糸とを精紡交撚したコアースパンヤーン、圧空ノズルを用いて弾性糸の外周に非弾性糸を巻き付けたエアー交絡カバードヤーン、弾性糸と非弾性糸とを撚糸してなるツイステッドヤーン等が挙げられる。
【0042】
弾性糸としては、ポリウレタン弾性繊維、ポリエステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維等、いわゆるゴム状弾性を示す繊維の糸が挙げられる。
【0043】
非弾性糸としては、合成繊維(ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維)、天然繊維(綿、絹、麻、羊毛等の繊維)の糸が挙げられる。
【0044】
(配線電極部)
配線電極部100は、電極部20と、配線部30と、配線部50と、を有している。
【0045】
電極部20は、第一電極部20Aと第二電極部20Bとを有し、通信モジュール202と電気的に接続される電極部である。
【0046】
配線部30は、第一配線部30Aと第二配線部30Bとを有し、指の近位指節間関節の曲げ(被装着体の動作の一例)により、指の近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位が伸縮したとき(以下、「指部2の伸縮部位が伸縮したとき」とも称する)、第一配線部30A及び第二配線部30Bの接触状態が変化する配線部30(以下、「検知用配線部30」と称する)である。
【0047】
配線部50は、第一配線部50Aと第二配線部50Bとを有し、電極部20と配線部30とを電気的に接続するための接続用の配線部(以下「接続用配線部50」と称する)である。
【0048】
なお、接続用配線部50は、必要に応じて設けられる配線部であり、電極部20と検知用配線部30とが直接接続した態様であってもよい。
【0049】
-電極部-
電極部20において、第一電極部20Aと第二電極部20Bとは、例えば、手袋状装着部10の手首部1の甲側に、各々設けられている。ただし、電極の配置位置は、特に、制限はなく、例えば、手袋状装着部10の手首部1の掌側、手袋状装着部10の胴部3の掌側であってもよい。
【0050】
なお、電極部20は、目的に応じて、3つ以上設けてもよい。例えば、一つの電極部を共通電極とし、一つの電極部に2つ以上の配線部50を接続してもよい。本態様としては、例えば、薬指部2Dに配置される検知用配線部30に接続される2つの配線部50のうち、一つと、小指部2Eに配置される検知用配線部30に接続される2つの配線部50ののうち、一つと、を共通電極としての一つの電極部に接続する態様が挙げられる。
【0051】
電極部20は、例えば、図3に示すように、手袋状装着部10の表面布材層10Aに設けられている。つまり、電極部20は、手袋状装着部10の表面に設けられている。
【0052】
なお、電極部20は、手袋状装着部10の中間布材層10Cに設けられていてもよい。つまり、電極部20は、手袋状装着部10の内部に設けられていてもよい。手袋状装着部10の内部に電極部20が設けられていても、ピン状の電極等により接続が可能なためである。
【0053】
-検知用配線部-
検知用配線部30は、指の近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位(親指部2A、人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの全部位)に設けられている。
【0054】
ただし、検知用配線部30の配置位置は、上記態様に限定されず、目的に応じて、下記態様であってもよい。
・検知用配線部30が、指の、近位指節間関節の甲側および中手指節間関節の甲側の少なくとも一方に対向する指部2の部位に設けられている態様。
・検知用配線部30が、指の、近位指節間関節の掌側および中手指節間関節の掌側の少なくとも一方に対向する指部2の部位に設けられている態様。
・複数の検知用配線部30のうち、一部が、指の甲側に対向する指部2の部位に対向する位置に設けられ、それ以外の一部が指の掌側に対向する指部2の部位に対向する位置に設けられる態様。例えば、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30を設け、人差し指部、中指部、薬指部及び小指部の甲側に対向する人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの部位に対向する位置に検知用配線部30を設けられる態様である。
・検知用配線部30が、親指部2A、人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの少なくとも一つに設けられている態様。
【0055】
検知用配線部30において、第一検知用配線部30Aは、第一電極部20Aに電気的に接続されている。また、第二検知用配線部30Bは、第二電極部20Bに電気的に接続されている。
【0056】
第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で少なくとも一部が接触して設けられている。
【0057】
ただし、検知用配線部30の一部を指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置を設ける場合(例えば、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30を設け、人差し指部、中指部、薬指部及び小指部の甲側に対向する人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの部位に対向する位置に検知用配線部30を設ける場合)、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で離間して設けられる。
【0058】
なお、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で離間して設ける態様は、第1の変形例で説明する。
【0059】
第一検知用配線部30Aは、例えば、指部2の長手方向に沿って延在している。第一検知用配線部30Aは、導電性線状体40A2を波状に設けた波状部32Aを有している。
【0060】
第二検知用配線部30Bは、例えば、指部2の長手方向に沿って延在している。第二検知用配線部30Bも、導電性線状体40B2を波状に設けた波状部32Bを有している。
【0061】
そして、指部2の伸縮部位の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが点接触又は線接触している。
【0062】
なお、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bは、いずれも、導電性線状体40A2および導電性線状体40B2を波状に設けた波状部を有さず、直線に設けた直線部のみ有する構成であってもよい。また、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bは、いずれも、導電性線状体40A2および導電性線状体40B2が屈曲した屈曲部を有してもよい。
【0063】
検知用配線部30は、手袋状装着部10の内部に設けられている。具体的には、例えば、図3に示すように、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の内層の布材層(部分的に内層となる布材層も含む)である中間布材層10Cに、検知用配線部30が設けられていることにより、検知用配線部30を手袋状装着部10の内部に設けることができる。また、例えば、2層の布材層で構成された手袋状装着部10の布材層の間に、検知用配線部30を設けてもよい。
【0064】
なお、検知用配線部30は、手袋状装着部10の表面に設けられていてもよい。例えば、検知用配線部30は、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の表面布材層10A又は裏面布材層10Bに設けられていてもよい。ただし、検知用配線部30は、手袋状装着部10による外部との絶縁化を図る観点から、手袋状装着部10の内部に設けることがよい。
【0065】
-接続用配線部50-
接続用配線部50において、第一接続用配線部50Aは、第一電極部20Aと第一配線部30Aとを電気的に接続している。第二接続用配線部50Bは、第二電極部20Bと第二配線部30Bとを電気的に接続している。
【0066】
接続用配線部50は、手の甲側に対向する、手袋状装着部10の胴部3に設けられている。
【0067】
ただし、接続用配線部50の配置位置は、上記態様に限定されず、電極部20および検知用配線部30の配置位置に応じて設定される。
【0068】
接続用配線部50は、手袋状装着部10の内部に設けられている。具体的には、例えば、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の内層の布材層(部分的に内層となる布材層も含む)である中間布材層10Cに、接続用配線部50が設けられていることにより、接続用配線部50を手袋状装着部10の内部に設けることができる。また、例えば、2層の布材層で構成された手袋状装着部10の布材層の間に、接続用配線部50を設けてもよい。
【0069】
なお、接続用配線部50は、手袋状装着部10の表面に設けられていてもよい。例えば、接続用配線部50は、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の表面布材層10A又は裏面布材層10Bに設けられていてもよい。ただし、接続用配線部50は、手袋状装着部10による外部との絶縁化を図る観点から、手袋状装着部10の内部に設けることがよい。
【0070】
-導電性線状体-
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50は、各々、導電性線状体40を含む。つまり、導電性線状体40が配置された領域を、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50とする。
【0071】
具体的には、例えば、第一電極部20Aは導電性線状体40A1を含む。
【0072】
第一接続用配線部50Aは、第一電極部20Aの導電性線状体40A1が延在した導電性線状体40A3を含む。
【0073】
第一検知用配線部30Aは、第一接続用配線部50Aの導電性線状体40A3が延在した導電性線状体40A2を含む。
【0074】
つまり、第一電極部20Aと第一検知用配線部30Aとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
【0075】
また、例えば、第二電極部20Bは導電性線状体40B1を含む。
【0076】
第二接続用配線部50Bは、第二電極部20Bの導電性線状体40B1が延在した導電性線状体40B3を含む。
【0077】
第二検知用配線部30Bは、第二接続用配線部50Bの導電性線状体40B3が延在した導電性線状体40B2を含む。
【0078】
つまり、第二電極部20Bと第二検知用配線部30Bとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
【0079】
第一電極部20A及び第一検知用配線部30Aと、第二電極部20B及び第二検知用配線部30Bとは、各々、同じ一本の導電性線状体40で構成されることにより、電極部20と検知用配線部30との接続不良が抑制される。
【0080】
なお、同じ一本の導電性線状体40とは、導電性線状体40の端部同士を、線状体以外の他の接続材料(ハンダ、導電性ペースト等)又は接続部材(かしめ、コネクタ等)を利用することなく、結び又は撚り継ぎ等により結合した線状体も含む。
【0081】
ただし、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50は、各々、複数本の導電性線状体40を含んでもよい。また、第一電極部20A、第一検知用配線部30A及び第一接続用配線部50Aと、第二電極部20B、第二検知用配線部30B及び第二接続用配線部50Bと、は各々、同じ一本の導電性線状体40で構成されていなくてもよい。
【0082】
例えば、第一電極部20A、第一検知用配線部30A及び第一接続用配線部50Aと、第二電極部20B、第二検知用配線部30B及び第二接続用配線部50Bと、は各々、互いの導電性線状体40の端部同士が、線状体以外の他の接続材料(ハンダ、導電性ペースト等)又は接続部材(かしめ、コネクタ等)で連結されていてもよい。
【0083】
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つにおいて、例えば、導電性線状体40の少なくとも一部は、手袋状装着部10の糸で拘束されている。
【0084】
このような形態は、導電材料として機能する導電性線状体40を、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50として手袋状装着部10に固定する手段としても用いることができるという観点から好ましい。
【0085】
手袋状装着部10に拘束されている導電性線状体40は、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50に含まれる同じ1本の導電性線状体40であってもよいし、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50のいずれか一つのみに含まれる別の導電性線状体40であってもよい。
【0086】
なお、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つにおいて、導電性線状体40は手袋状装着部10の糸で拘束されていなくてもよい。
【0087】
例えば、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つが接着剤により手袋状装着部10に固定されている場合、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つが絶縁性の糸により手袋状装着部10に縫い付けられているときは、導電性線状体40が手袋状装着部10の糸で拘束されていなくても、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つを手袋状装着部10に固定可能である。
【0088】
例えば、導電性線状体40を180°に繰り返し屈曲又は湾曲して配置した矩形の領域を形成する。この矩形の領域は、手袋状装着部10の表面布材層10Aの糸に導電性線状体40の一部を拘束させて形成する。そして、この矩形の領域を面状の電極部20とする。
【0089】
なお、導電性線状体40を渦巻状に配置した領域を、電極部20としてもよい。また、導電性線状体40を屈曲又は湾曲して配置した任意の面形状(多角形、円形等)を、電極部20としてもよい。
【0090】
一方、電極部20から導電性線状体40を直線状、波状、屈曲又はそれらの組み合わせで延在させた領域を形成する。この領域は、手袋状装着部10の中間布材層10Cの糸に導電性線状体40の一部を拘束させて形成する。そして、この領域を検知用配線部30および接続用配線部50とする。
【0091】
具体的には、手袋状装着部10が織物の場合、図7に示すように、経糸及び緯糸で織られた織物の織組織に、導電性線状体40を織り込んで、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、手袋状装着部10を織ることにより形成する際に、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を同時に形成可能であるという観点、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の一体性の向上という観点から好ましい。
【0092】
手袋状装着部10が編物の場合、図7に示すように、ループ状の糸が編み込まれた編物の編組織に、上記形状で導電性線状体40を編み込んで、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、手袋状装着部10を編むことにより形成する際に、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を同時に形成可能であるという観点、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の一体性の向上という観点から好ましい。
【0093】
編物の網組織に導電性線状体40を編み込む場合、例えば、引き揃え編み、プレーティング編み、インレイ編みなどを採用できる。図7は、インレイ編みを採用して導電性線状体40を編み込んだ例を示している。
【0094】
また、図8に示すように、手袋状装着部10に対して、上記形状で導電性線状体40を刺繍して、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を形成する際に、同時に、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の、手袋状装着部10への固定も行うことが可能であるという観点から好ましい。
【0095】
刺繍の手法は、例えば、ランニングステッチ、コーチングステッチ、バックステッチ、チェーンステッチ、アウトラインステッチ等の周知のステッチを採用できる。図8は、チェーンステッチを採用して導電性線状体40を刺繍した例を示している。
【0096】
また、手袋状装着部10に対して、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で縫い付けて固定することが、電極部20を構成する導電性線状体40と、検知用配線部30を固定する導電性線状体40と、接続用配線部50を固定する導電性線状体40と、を共通するものにすることができるという観点から好ましい。
【0097】
例えば、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で縫い付けて固定されている態様としては、導電性線状体40を織り込んだ織物又は導電性線状体40を編み込んだ編物から、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を連続的に形成し、その、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で手袋状装着部10に縫い付けた態様が挙げられる。
【0098】
図6中、12は手袋状装着部10(織物)を構成する経糸、14は手袋状装着部10(織物)を構成する緯糸を示す。図7中、16は、手袋状装着部10(織物)を構成する糸を示す。
【0099】
なお、手袋状装着部10を構成する糸として弾性糸を採用する場合、弾性糸を伸長した状態で、織編物を形成しつつ、導電性線状体40を手袋状装着部10に、織り込む又は編み込むことがよい。
【0100】
(導電性線状体)
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成する導電性線状体は、導電性を有するものであれば、特に制限はないが、金属ワイヤーを含む線状体、導電性糸を含む線状体等が挙げられる。導電性線状体40は、金属ワイヤー及び導電性糸を含む線状体(金属ワイヤーと導電性糸を撚った線状体等)であってもよい。
【0101】
金属ワイヤーを含む線状体、及び導電性糸を含む線状体は、共に、高い電気伝導性を有するため、導電性線状体40として適用すると、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の抵抗を低減することが容易となる。
【0102】
金属ワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属ワイヤーは錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、はんだ等でめっきされたものであってもよく、後述する炭素材料やポリマーにより表面が被覆されたものであってもよい。
【0103】
金属ワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属ワイヤーも挙げられる。金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属腐食が抑制される。
【0104】
金属ワイヤーを被覆する炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、カーボンファイバー等の非晶質炭素;グラファイト;フラーレン;グラフェン;カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0105】
一方、導電性糸を含む線状体は、1本の導電性糸からなる線状体であってもよいし、複数本の導電性糸を撚った線状体であってもよい。また、導電性糸と絶縁性の糸を撚ったものであってもよい。導電性糸を含む線状体は、金属ワイヤーを含む線状体に比べ、柔軟性が高く、手袋状装着部10への織り込み、編み込み若しくは刺繍又は手袋状装着部10への縫い付けによる断線が生じ難いという利点がある。
【0106】
導電性糸としては、導電性繊維(金属繊維、炭素繊維、イオン導電性ポリマーの繊維等)を含む糸、導電性微粒子(カーボンナノ粒子等)を含む糸(以下、カーボンナノチューブ糸)、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸等が挙げられる。
【0107】
導電性糸を含む線状体としては、特に、カーボンナノチューブ糸を含む線状体(以下「カーボンナノチューブ線状体」とも称する)が好適に挙げられる。
【0108】
カーボンナノチューブ線状体は、例えば、カーボンナノチューブフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)の端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚ることにより得られる。このような製造方法において、撚りの際に捻りを加えない場合には、リボン状のカーボンナノチューブ線状体が得られ、捻りを加えた場合には、糸状の線状体が得られる。リボン状のカーボンナノチューブ線状体は、複数のカーボンナノチューブの集合が捻られた構造を有しない線状体である。このほか、カーボンナノチューブの分散液から、紡糸をすること等によっても、カーボンナノチューブ線状体を得ることができる。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造は、例えば、米国公開公報US 2013/0251619(日本国特開2011-253140号公報)に開示されている方法により行うことができる。カーボンナノチューブ線状体の直径の均一さが得られる観点からは、糸状のカーボンナノチューブ線状体を用いることが望ましく、純度の高いカーボンナノチューブ線状体が得られる観点からは、カーボンナノチューブシートを撚ることによって糸状のカーボンナノチューブ線状体を得ることが好ましい。カーボンナノチューブ線状体は、2本以上のカーボンナノチューブ線状体同士が撚られた線状体であってもよい。
【0109】
カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと金属や導電性高分子、グラフェン等のカーボンナノチューブ以外の導電性材料とを含む線状体(以下「複合線状体」とも称する)であってもよい。複合線状体は、カーボンナノチューブ線状体の上述した特徴を維持しつつ、線状体の導電性が向上しやすくなる。
【0110】
複合線状体としては、例えば、カーボンナノチューブと金属とを含む線状体を例とすると、(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シート若しくは束、又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体、(2)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と共に、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体、(3)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを撚った複合線状体等が挙げられる。なお、(2)の複合線状体においては、カーボンナノチューブの束を撚る際に、(1)の複合線状体と同様にカーボンナノチューブに対して金属を担持させてもよい。また、(3)の複合線状体は、2本の線状体を編んだ場合の複合線状体であるが、少なくとも1本の金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体が含まれていれば、カーボンナノチューブ線状体又は金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体若しくは複合線状体の3本以上を編み合わせてあってもよい。
【0111】
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の金属単体、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
【0112】
これら、導電性線状体40の中でも、カーボンナノチューブ糸を含む導電性線状体(特に、カーボンナノチューブ糸のみを含む導電性線状体や、カーボンナノチューブ糸と非金属系導電性材料とを含む導電性線状体)が好ましい。
【0113】
例えば、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸は、伸縮が繰り返されると金属又は金属酸化物に割れが生じ易く、耐久性が低い。この点、カーボンナノチューブ線状体は、屈曲への耐性が強く、指部2の伸縮部位が伸縮を繰り返しても、配線部の抵抗値が変化しにくい。また、カーボンナノチューブ線状体は、耐食性も高いという利点もある。
【0114】
ここで、導電性線状体40の線抵抗は、5.0×10-3Ω/cm~1.0×10Ω/cmが好ましく、1.0×10-2Ω/cm~5.0×10Ω/cmがより好ましい。
【0115】
導電性線状体40の線抵抗の測定は、次の通りである。まず、導電性線状体40の両端に銀ペーストを塗布し、銀ペースト間の部分の抵抗を測定し、導電性線状体40の抵抗値(単位:Ω)を求める。そして、得られた抵抗値を、銀ペースト間の距離(cm)で除して、導電性線状体40の線抵抗を算出する。
【0116】
(通信モジュール)
通信モジュール202は、例えば、手袋状装着部10の手首部1の甲側に設けられている。ただし、通信モジュール202の配置位置は、特に制限はなく、例えば、手袋状装着部10の手首部1の掌側、手袋状装着部10の胴部の掌側であってもよい。
【0117】
そして、通信モジュール202は、不図示の接続端子を介して、電極部20と電気的に接続されている。
【0118】
通信モジュール202は、例えば、面ファスナー等の手段により、手袋状装着部10に脱着可能に設けられている。通信モジュール202を手袋状装着部10から取り出すことで、通信モジュールに防水処理を施すことなく、動作検知用部材150が選択可能となる。
【0119】
通信モジュール202は、抵抗検知部204と、通信部206とを有している(図5)。なお、通信モジュール202は、不図示の電源部も有している。
【0120】
抵抗検知部204は、抵抗値を検知するためのセンサである。抵抗検知部204は、機能的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの抵抗値を検知する。そして、抵抗検知部204は、検知した抵抗値を、通信部206に渡す。このように、抵抗検知部204は、被装着体に装着される動作検知用部材150により被装着体の動作情報を検知するのである。
【0121】
通信部206は、サーバ300と無線通信を行うための通信デバイスである。通信部206は、サーバ300と直接通信を行う場合にはIEEE802.15.1やIEEE802.15.4等の規格に準拠する。なお、通信部206は、サーバ300と無線基地局や無線ルータ経由の通信を行う場合、例えば、Wi-Fi(登録商標)、LTE等の規格に準拠し、当該無線基地局や無線ルータと直接通信を行う。また、通信部206は、検知した抵抗値のデータを有線でサーバ300に送信する構成としてもよい。通信部206は、機能的には、抵抗検知部204により検知された抵抗値のデータをサーバ300に送信する。
【0122】
(動作検知用部材の作用)
本実施形態に係る動作検知用部材150は、手袋状装着部10における指部2の伸縮部位が伸長前の状態で、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部(本実施形態では、波状部32A,32B)が接触している(図4A参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触している。
【0123】
一方、手の指の曲げ(近位指節間関節の曲げ)により、手袋状装着部10における指部2の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する(図4B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、が離間する。
【0124】
より具体的には、指部2の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、の周期が長く、かつ振幅が小さくなる。それにより、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する。
【0125】
この動作により、指部2の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通となる。
【0126】
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げ)が検知できる。
【0127】
一方、手の指の曲げ(近位指節間関節の曲げ)が解除され、指部2の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(図4A参照)。つまり、抵抗値が低下する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となる。
【0128】
このように、伸縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げの解除)が検知できる。
【0129】
ここで、最大伸長率(=約80%)を有する指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)について、指部2の伸縮部位を伸長率70%まで伸長した後、収縮する動作を、伸縮速度1mm/sで5回繰り返し実施したときの「第一電極部20A及び第二電極部20Bの間の抵抗値と測定時間との関係、伸長率と測定時間との関係」の一例を図9に示す。また、図9の測定結果に基づく、1回目の伸縮における「第一電極部20A及び第二電極部20Bの間の抵抗値と伸長率との関係」の一例を図10に示す。
【0130】
図9図10に示すように、指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)は、伸縮したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が、ある伸長率を境に変化している。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通、そして非導通から導通に変化している。
【0131】
図9図10に示すように、動作検知用部材150は、指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)の伸縮による第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げ及びその解除)が検知できる。
【0132】
なお、図9図10に示す抵抗値変化の測定結果では、伸長率が平均43.7%±5%程度の範囲で、伸長時に抵抗値の上昇、収縮時に抵抗値の降下が見られることがわかる。
【0133】
<サーバ>
次に、サーバ300について説明する。サーバ300は、動作検知用部材150が検知した抵抗値に基づいて、手の状態(例えば、じゃんけんの、グー、チョキ、パー等)を表示する。すなわち、動作検知用部材150により指の動作を検知できることから、本実施形態の動作検知システム1000では、動作検知用部材150が手の状態を表示するための入力装置として機能することとなる。なお、サーバ300は、手の状態を表示するだけでなく、手の状態を説明する音声を出力することも可能である。
【0134】
(サーバの構成)
図11は、本実施形態に係るサーバ300のハードウェア構成を示すブロック図である。図11に示すように、サーバ300は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、ストレージ304、入力部305、表示部306及びアンテナ307を有する。各構成は、バス309を介して相互に通信可能に接続されている。サーバ300としては、汎用コンピュータだけでなく、例えばスマートフォンやタブレット型デバイス等種々の情報処理装置を採用することができる。
【0135】
CPU301は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU301は、ROM302又はストレージ304からプログラムを読み出し、RAM303を作業領域としてプログラムを実行する。CPU301は、ROM302又はストレージ304に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM302又はストレージ304には、動作検知プログラムが記憶されている。
【0136】
ROM302は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM303は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ304は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0137】
入力部305は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0138】
表示部306は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部306は、タッチパネル方式を採用して、入力部305として機能しても良い。
【0139】
アンテナ307は、動作検知用部材150を含む他の機器と無線通信を行うためのアンテナであり、他の機器と直接通信を行う場合にはIEEE802.15.1やIEEE802.15.4等の規格に準拠する。なお、アンテナ307は、他の機器と無線基地局や無線ルータ経由の通信を行う場合、例えば、Wi-Fi(登録商標)、LTE等の規格を用いることができる。
【0140】
次に、サーバ300の機能構成について説明する。図12は、サーバ300の機能構成の例を示すブロック図である。図12に示すように、サーバ300は、機能構成として、通信部311と、動作判定部312と、画像生成部313と、表示部314とを有する。各機能構成は、CPU301がROM302又はストレージ304に記憶された動作検知プログラムを読み出し、RAM303に展開して実行することにより実現される。
【0141】
通信部311は、動作検知用部材150から抵抗値を受信する。そして、通信部311は、受信した抵抗値を、動作判定部312に渡す。
【0142】
動作判定部312は、通信部206から受信した抵抗値に基づいて、被装着体の動作の有無を判定する。
【0143】
具体的には、動作判定部312は、所定の抵抗値と、抵抗検知部204により検知された抵抗値との差が、所定の閾値以上である場合、手の指に動作が有ると判定する。
【0144】
ここで、動作判定部312は、指毎の動作の有無を判定するが、何れの指についてであるかは、予め抵抗値のデータと何れの指であるかを示す情報とを併せて動作検知用部材150から受信する構成とすればよい。動作判定部312は、指毎に複数設けられ抵抗検知部204により検知された抵抗値に基づいて、各指の動作の有無を判定し、判定結果の組合せに基づいて、人の手の動作を判定する。例えば、動作判定部312は、近位指節間関節について動作が有ったか否か、中手指節間関節に動作が有ったか否かをそれぞれ判定する。そして、動作判定部312は、判定結果を画像生成部313に渡す。
【0145】
画像生成部313は、動作判定部312による判定結果に基づいて、判定結果の動作に応じた画像を生成する。具体的には、画像生成部313は、近位指節間関節について動作が有ったと判定した場合、近位指節間関節を曲げた画像を生成する。なお、予め定めた手の動作を表す複数の画像から、対応する画像を選択する構成としてもよい。そして、画像生成部313は、生成した画像を、表示部314に渡す。
【0146】
表示部314は、画像生成部313が生成した動作に応じた文字列、画像、若しくは動画を表示し、音声を再生し、又は動作に応じて操作される機器を制御するための制御信号を出力する。具体的には、表示部314は、動作に応じた文字列、画像、動画、若しくは音声、又は動作に応じて操作される機器を制御するための制御信号を表示部306に表示する。表示部314は、文字列又は音声を出力するときには、当該動作に対応する文字列又は当該文字列を音声変換したものを出力する。また、制御信号としては、例えば、IoTによる制御をするためのIFTTT等における入力情報や、車両のハンドルやロボットに対する制御信号等が含まれる。この場合、サーバ300は、他の機器と通信により、又は直接接続される。
【0147】
(サーバの作用)
サーバ300の作用について説明する。図13は、サーバ300による動作検知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。CPU301がROM302又はストレージ304から動作検知プログラムを読み出して、RAM303に展開して実行することにより、サーバ300による処理が行なわれる。
【0148】
ステップS101において、CPU301は、通信部311として、動作検知用部材150から抵抗値を受信する。
【0149】
ステップS102において、CPU301は、動作判定部312として、通信部206から受信した抵抗値に基づいて、被装着体の動作の有無を判定する。
【0150】
ステップS103において、CPU301は、画像生成部313として、動作判定部312による判定結果に基づいて、判定結果の動作に応じた画像を生成する。
【0151】
ステップS104において、CPU301は、表示部314として、画像生成部313が生成した動作に応じた画像を表示し、処理を終了する。そして、抵抗値を受信する度に当該ルーチンを繰り返す。なお、所定周期により、抵抗値の受信があったか否かを判定し、受信があった場合に当該処理を行う構成としてもよい。
【0152】
以上説明したように、本開示の動作検知システムは、被装着体に装着される動作検知用部材により被装着体の動作情報を検知する動作検知部と、動作検知部により検知された動作情報をサーバに送信する通信部と、動作情報が、いかなる動作であるかを判定する動作判定部と、を含むことにより、被装着体がいかなる動作をしたかを正確に検知することができる動作検知システムを提供することができる。
【0153】
また、動作検知用部材は、被装着体に装着される装着部であって、被装着体の動作により伸縮する伸縮部位を有する装着部と、装着部の伸縮部位が伸縮したとき、伸縮したことを示す伸縮情報を検知する配線電極部と、を含むことにより、装着感に優れることから、動作がある場合に被装着者が違和感を覚えることがないため、動作に動作検知用部材の影響が少ない。このため、より動作を正確に検知することができる。
【0154】
また、サーバが、通信部から受信した抵抗値に基づいて、被装着体の動作の有無を判定することにより、任意の動作範囲を検出することができる。閾値を複数用意することで、多段階の動作を検知することも可能である。
【0155】
また、動作に応じた画像又は動画を表示することにより、リアルタイムに被装着体の状態を把握することができる。すなわち、リハビリテーションや、ロボットアームの動作確認等に応用することができる。
【0156】
また、動作に応じた文字列、画像、若しくは動画を表示し、音声を再生し、又は動作に応じて操作される機器を制御するための制御信号を出力することができるため、例えば手話等を、文字や音声に変換して認識することもできる。手話等の訓練にも応用することができる。
【0157】
また、上記伸縮センサを用いることにより、耐久性が高く、装着感に優れる動作検知用部材を用いた動作検知をすることができる。すなわち、装着感に優れ、かつ、手の動作自体を正確に検知することができる動作検知システムを提供することができる。
【0158】
(配線電極部の変形例)
本実施形態に係る動作検知用部材150において、配線電極部は、図4に示す配線電極部100の構成に限定されず、変形、又は改良してもよい。
【0159】
以下、本実施形態に係る動作検知用部材における配線電極部の変形例について説明する。
【0160】
なお、以下の説明では、配線電極部は、上記形態について説明した部材と同一であれば、図中に、同一符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0161】
また、以下の説明では、接続用配線部は、省略して説明する。
【0162】
-第1の変形例-
配線電極部は、例えば、図14Aに示す配線電極部101であってもよい。
【0163】
具体的には、図14Aに示すように、配線電極部101は、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間して設けられている。そして、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとは、略平行に対向し、かつ離間して設けられている。
【0164】
被装着体の動作により、装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(図14B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触する。
【0165】
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、近づき接触する。
【0166】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が低下する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となる。
【0167】
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0168】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する(図14A参照)。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通となる。
【0169】
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0170】
-第2の変形例-
配線電極部は、例えば、図15Aに示す配線電極部102であってもよい。
【0171】
具体的には、図15Aに示すように、配線電極部102は、第一検知用配線部30Aの波状部32Aとして、第一波状部32A1と、第一波状部32A1よりも第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さが異なる第二波状部32A2と、を有している。
【0172】
そして、配線電極部102は、第一検知用配線部30Aの波状部32Aとして、第一波状部32A1と、第一波状部32A1の周期及び/又は振幅が異なる第二波状部32A2と、を有している。
【0173】
なお、本例では、第二波状部32A2が、第一波状部32A1よりも第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さが短い例を示している。そして、第二波状部32A2が、第一波状部32A1よりも周期が短く、かつ振幅が小さい例を示している。
【0174】
被装着体の動作により、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの一部が離間する(図15B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、が離間する。
【0175】
さらに伸長すると、ある伸長率に達した時点で、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、が離間する(図15C参照)。
【0176】
つまり、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが先に離間し、第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが後に離間する。
【0177】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が段階的に変化する。つまり、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが一部離間したことによる接触抵抗の増加分、抵抗値が段階的に増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通の状態で、抵抗値が一定値増加した後、導通から非導通となる。
【0178】
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0179】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが接触する(図15B参照)。
【0180】
さらに、収縮すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが接触する(図15A参照)。つまり、抵抗値が段階的に低下する。
【0181】
具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となった後、導通した状態で、抵抗値が低下する。
【0182】
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0183】
ここで、第2の変形例は、目的とする、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化に応じて、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触部において、互いの接触長さが異なる領域を複数有していてもよい。そして、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bの少なくとも一方に、周期及び/又は振幅が異なる複数の波状部を有していてもよい。
【0184】
なお、抵抗値の段階的な変化(つまり段階的な増加又は低下)とは、装着部の伸縮部位が伸長する過程で、抵抗値が変化し、その抵抗値変化が一旦終了した後、再度、抵抗値が変化することを示す。
【0185】
-第3の変形例-
配線電極部は、例えば、図16Aに示す配線電極部103であってもよい。具体的には、図16Aに示すように、配線電極部103は、電極部20として、第三電極部20Cと、検知用配線部30として第三検知用配線部30Cと、をさらに有している。
【0186】
第三電極部20Cは導電性線状体40C1を含む。第三検知用配線部30Cは、第三電極部20Cの導電性線状体40C1が延在した導電性線状体40C2を含む。つまり、第三電極部20Cと第三検知用配線部30Cとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
【0187】
第三検知用配線部30Cは、第三電極部20Cに電気的に接続されている。
【0188】
第三検知用配線部30Cは、第一検知用配線部30A及び第二検知用配線部30Bと別体で、かつ検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態で、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの間に介在し、かつ第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部と接触して設けられている。
【0189】
第三検知用配線部30Cは、例えば、導電性線状体40C2を波状に設けた波状部32Cを有している。
【0190】
そして、装着部の伸縮部位の伸長前の状態において、第三検知用配線部30Cの波状部32Cは、第一検知用配線部30Aの波状部32Aおよび第二検知用配線部30Bの波状部32Bと点接触又は線接触している。
【0191】
ただし、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第一検知用配線部30Aの波状部32Aとの接触長さは、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さと異なっている。そして、第三検知用配線部30Cの波状部32C、第一検知用配線部30Aの波状部32A及び第二検知用配線部30Bの波状部32Bの周期及び/又は振幅が異なっている。
【0192】
なお、本例では、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第一検知用配線部30Aの波状部32Aとの接触長さが、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さよりも短い例を示している。そして、第三検知用配線部30Cの波状部32Cは、第一検知用配線部30Aの波状部32A及び第二検知用配線部30Bの波状部32Bよりも振幅が小さい例を示している。
【0193】
装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが離間する(図16B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が離間する。
【0194】
さらに伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが離間する(図16C参照)。具体的には、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が離間する。
【0195】
つまり、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが先に離間し、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが後に離間する。
【0196】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間が導通から非導通となる。
【0197】
さらに伸長すると、第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間が導通から非導通となる。
【0198】
そして、伸長に伴う、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化、および第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0199】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが接触する(図16B参照)。具体的には、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が接触する。
【0200】
さらに収縮すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが接触する(図16A参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が接触する。
【0201】
つまり、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが先に接触し、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが後に接触する。
【0202】
このように、収縮に伴う、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化、および第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0203】
なお、第3の変形例は、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが先に離間し、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが後に離間する態様であってもよい。
【0204】
-第4の変形例-
配線電極部は、例えば、図17Aに示す配線電極部104であってもよい。
【0205】
具体的には、図17Aに示すように、配線電極部104は、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間して設けられている。そして、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとは、角度(例えば、各波状部の延在方向の成す角度が3°~30°)を成して対向し、かつ離間して設けられている。
【0206】
被装着体の動作により、装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(図17B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触する。
【0207】
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、第一検知用配線部30Aの波状部32Aに、第二検知用配線部30Bの波状部32Bの先端側(第二電極部20Bと接続されていない方の先端側)から近づき接触していく。
【0208】
さらに伸長すると、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が増加する(図17C参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の接触領域が増加する。
【0209】
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、近づき接触領域が増加する。
【0210】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が段階的に変化する。つまり、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bが最初に接触したときに、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通の状態から導通の状態となる。次に、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が増加すると、接触抵抗が低下し、第一電極部20Aと第二電極部20Bと間の抵抗値が段階的に低下する。
【0211】
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0212】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が少なくなる(図17B)。さらに、収縮すると、ある伸長率に達した時点で、背職していた第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが離間する(図17A参照)。つまり、抵抗値が段階的に増加する。
【0213】
具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通の状態で、抵抗値が低下し、その後、非導通の状態となる。
【0214】
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することでも、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0215】
-第5の変形例-
配線電極部は、例えば、図18Aに示す配線電極部105であってもよい。具体的には、図18Aに示すように、配線電極部105は、検知用配線部30として、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが一体的に設けられている。具体的には、例えば、検知用配線部30としての、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、第一電極部20Aおよび第二電極部20Bを構成する導電性線状体40が延在した一本の導電性線状体40で構成されている。
つまり、配線電極部105は、第一電極部20Aと第二電極部20Bとが、一つの検知用配線部30で電気的に連結されている。
なお、検知用配線部30は、複数本の導電性線状体40で構成されていてもよい。
【0216】
検知用配線部30の途中には、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態で、検知用配線部30が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の検知用配線部30同士の少なくとも一部が接触した接触部34を有している。
【0217】
つまり、検知用配線部30の途中には、装着部の伸縮部位の伸長前の状態で、導電性線状体40が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の導電性線状体40同士の少なくとも一部が接触した接触部34を有している。
【0218】
装着部の伸縮部位が、検知用配線部30の延在方向に沿って伸長すると、検知用配線部30の接触部34において、屈曲部又は湾曲部の間で接触した検知用配線部30同士が離間する(図18B参照)。それにより、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの導通経路が長くなる。
【0219】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、導通経路が増加した分、抵抗値が増加する。
【0220】
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0221】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、検知用配線部30の途中において、検知用配線部30が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の検知用配線部30同士の少なくとも一部が接触した接触部34を形成する(図18A参照)。
【0222】
この動作により、装着部の伸縮部位が収縮したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、導通経路が減少した分、抵抗値が低下する。
【0223】
そして、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することでも、被装着体の動作が検知できる。
【0224】
なお、第5の変形例は、検知用配線部30の接触部における、検知用配線部30同士の接触面積に増減により、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の変化量を制御できる。
【0225】
-第6の変形例-
電極配線部は、例えば、図19に示す配線電極部106であってよい。つまり、検知用配線部が設けられた手袋状装着部の伸縮部位が、手袋状装着部の該当位置の表面に配置された態様であってもよい。
【0226】
具体的には、図19で示すように、配線電極部106(電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50)は、伸縮性布材60に設けられている。
【0227】
伸縮性布材60は、表面を構成する表面布材層60Aと、裏面を構成する裏面布材層60Bと、表面布材層60A及び裏面布材層60Bの間に有する中間布材層60Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。なお、伸縮性布材60の構成は、手袋状装着部10を構成する布材と同様である。
【0228】
電極部20は、例えば、伸縮性布材60の表面布材層60Aに設けられている。
検知用配線部30は、例えば、伸縮性布材60の中間布材層60Cに設けられている。
配線用配線部50は、例えば、伸縮性布材60の中間布材層60Cに設けられている。
【0229】
そして、配線電極部106が設けられた伸縮性布材60は、縫う、接着等の周知の固定手段により、手袋状装着部10の該当位置の表面に配置されている。
【0230】
第6の変形例では、配線電極部106が設けられた伸縮性布材60を手袋状装着部10の該当位置の表面に配置するため、手袋状装着部10は、布材以外に、樹脂、紙、革等の周知の材質で構成できる。
【0231】
-第7の変形例-
電極配線部は、例えば、図20に示す配線電極部107であってよい。つまり、検知用配線部が設けられた手袋状装着部の伸縮部位が、手袋状装着部の該当位置の表面に配置された態様であってもよい。
【0232】
具体的には、図20に示すように、電極部20としてボタン電極(スナップボタン等)が、縫う、接着等の周知の固定手段により、手袋状装着部10の該当位置の表面に配置されている。
【0233】
検知用配線部30は伸縮性布材70に設けられている。
伸縮性布材70は、表面を構成する表面布材層70Aと、裏面を構成する裏面布材層70Bと、表面布材層70A及び裏面布材層70Bの間に有する中間布材層70Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。なお、伸縮性布材70の構成は、手袋状装着部10を構成する布材と同様である。
【0234】
そして、検知用配線部30が設けられた伸縮性布材70は、手袋状装着部10の表面に設けられている。
【0235】
接続用配線部50は、手袋状装着部10の表面に、電極部20と検知用配線部30とを接続して設けられている。また、接続用配線部50は、布材、樹脂材等の周知の絶縁シート72で被覆されている。
【0236】
第7の変形例でも、配線電極部107を手袋状装着部10の該当位置の表面に配置するため、手袋状装着部10は、布材以外に、樹脂、紙、革等の周知の材質で構成できる。
【0237】
(特性)
なお、被装着体の動作を検知するために、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)は、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下(好ましくは10倍以上又は1/10以下、より好ましくは100倍以上又は1/100以下)に変化する、伸長率の範囲を有することがよい(図7図8参照)。つまり、装着部の伸縮部位は、伸長する過程で、伸長率が10%変化する間に第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下で変化することがよい。
【0238】
具体的には、装着部の伸縮部位の最大伸長率をX(ただし10≦X)、装着部の伸縮部位を伸長させたときの、ある地点の伸長率をY(ただし、5≦Y≦(X-5)としたとき、Y-5%~Y+5%の範囲内で、最大抵抗値が最小抵抗値の2倍以上又は1/2以下(好ましは10倍以上又は1/10以下、より好ましくは100倍以上又は1/100以下)となる領域を有することがよい。
この抵抗値変化は、伸長率が目的とする時点と、この時点から伸長率が10%変化した時点と、の抵抗値の比により算出する。
【0239】
なお、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率の範囲は、2点以上存在してもよい。
【0240】
また、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率と最大伸長率との比(伸長率/最大伸長率)の範囲は、0.1~0.9(好ましくは0.2~0.8)の範囲であることがよい。この比が上記範囲であると、誤動作を防ぎつつ、効率良く、被装着体の動作が検知できる。
【0241】
装着部の伸縮部位の伸縮に伴う、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の変化は、次の通り測定される。
【0242】
第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値を測定しながら、速度1mm/sで、装着部の伸縮部位を最大伸長まで伸長させた後、同じ速度で元に戻るまで収縮させる。このとき、抵抗値を1秒毎にプロットとして、抵抗値の変化を測定する。なお、装着部の伸縮部位の伸長方向は、伸長伸縮による抵抗値の変化を検知したい方向とする。
【0243】
ここで、装着部の伸縮部位の伸長率は、式:((伸長時の伸長方向の長さ)-(伸長前の伸長方向の長さ))/(伸長前の伸長方向の長さ)×100で算出する。
【0244】
一方、装着部の伸縮部位の最大伸長率とは、式:((最大伸長時の伸長方向の長さ)-(伸長前の伸長方向の長さ))/(伸長前の伸長方向の長さ)×100で算出する。
【0245】
なお、装着部の伸縮部位の最大伸長は、装着部の伸縮部位を適切な張力で伸長した際に、それ以上伸びなくなる時の長さである。つまり、装着部の伸縮部位を伸長が停止する張力で伸長させたときの長さを、装着部の伸縮部位の最大伸長とする。
【0246】
(動作検知用部材(その装着部)の形状など)
上記実施形態では動作検知用部材150の装着部の形状が手袋状である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。動作検知の目的に応じて、装着部の形状を、筒状、シート状、帯状等の種々の形状としてもよい。
【0247】
筒状の装着部としては、サポーター、リストバンド等の形状が採用できる。シート状の装着部としては、両端にファスナーを設けて、被着体に巻き付ける形式の、サポーター、リストバンド等の形状が採用できる。なお、シート状の装着部の場合、シート状の装着部を粘着剤によって、被装着体に貼り付ける態様でもよい。帯状の装着部としては、サスペンダー等の形状が採用できる。なお、装着部の形状は、被装着体に装着する個所に応じて選択される。
【0248】
ここで、被装着体に装着する個所としては、例えば、被装着体としての人体の、可動部(首部、手首部、肘部、肩部、膝部、腰部、足首部、足部等)が挙げられる。ただし、これに限られるわけではない。人体以外であれば、工業用ロボットのアームや人型のロボット等としてもよい。
【0249】
このように、本実施形態に係る動作検知用部材は、装着部の形状に応じて、被装着体における種々の個所に装着可能となる。
【0250】
それにより、例えば、被装着体の可動部の動作(肘部、膝部等の可動部が所定の角度で可動した動作等)および、その可動回数等が検知可能となる。さらに、腕や腰まわりのサイズ測定も可能となる。また、複数計測による動き検知も可能となる(例えば、首部、手首部、肘部、肩部、膝部、腰部、足首部、足部等を複合して計測することで人の動きを予測検知可能となる。)
【0251】
(検知用配線部の変形例)
本実施形態に係る動作検知用部材は、検知用配線部30以外の周知のセンサ(例えば、圧力センサ、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ等)を設けてもよい。他のセンサを設けることで、動作のより高い検知が可能となる。
【0252】
例えば、圧力センサにより、伸縮部材に対する圧力を測り、計測された圧力が所定の閾値を超えるか否かを判定することができる。また、例えば、圧力センサにより、物に触れたときの圧力や、指同士が接触したことの検知等の何かに触った、又は何かに触られたことの検知が可能となる。
【0253】
また、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ等の時間軸検知型のセンサを採用することで、被装着体の現在の形状を計測することができる。時間軸検知型のセンサを、上記の伸縮センサと組み合わせることも可能である。
【0254】
(サーバの変形例1)
本実施形態に係る動作検知用部材150は、例えば、指の動作を検知できることから、ゲーム等の操作用の入力装置等に利用することができる。以下、変形例として、表示された画面と同じ手の状態となっているか否かを判定するゲームに、動作検知システムを用いる場合を説明する。なお、上記実施形態におけるサーバ300と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0255】
図21に示すように、変形例に係るサーバ310は、通信部311と、動作判定部312と、画像生成部313と、表示部314と、処理部315と、正誤判定部316とを含んで構成される。
【0256】
表示部314は、処理部315から渡された人体の手の動作の見本画像を、表示部306に表示する。また、表示部314は、処理部315から渡された正誤判定部316による判定結果に対応する画像を表示する。
【0257】
処理部315は、表示された画面と同じ手の状態となっているか否かを判定するゲームの処理を実行する。具体的には、まず、処理部315は、予め用意された、人体の手の動作の見本画像と、正解動作とからなる複数のペアから、ランダムで1つのペアを選択する。次に、処理部315は、選択したペアの見本画像を、表示部314に渡す。処理部315は、選択したペアの正解動作を、正誤判定部316に渡す。
【0258】
また、処理部315は、正誤判定部316から判定結果を受け取ると、表示部314に、予め用意された判定結果に対応する画像を渡す。
【0259】
正誤判定部316は、動作判定部312により判定された動作が、表示部314が表示した見本画像の動作である正解動作と一致するか否かを判定する。具体的には、正誤判定部316は、動作判定部312による判定結果が、処理部315から渡された正解動作と一致するか否かを判定する。すなわち、正誤判定部316は、人の指が曲がっているか否かが、各指について全て一致する場合には、動作が正解動作と一致するとして正解と判定する。そうでない場合、正誤判定部316は、不正解として判定する。そして、正誤判定部316は、判定結果を、処理部315に渡す。
【0260】
(変形例1におけるサーバの作用)
次に、変形例1におけるサーバ310の作用について説明する。図22は、サーバ310による動作検知処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。CPU301がROM302又はストレージ304から動作検知プログラムを読み出して、RAM303に展開して実行することにより、動作検知処理ルーチンが行なわれる。なお、サーバ300と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0261】
ステップS201において、CPU301は、処理部315として、予め用意された、人体の手の動作の見本画像と、正解動作とからなる複数のペアから、ランダムで1つのペアを選択する。
【0262】
ステップS200において、CPU301は、表示部314として、上記ステップS201により選択された人体の手の動作の見本画像を、表示部306に表示する。
【0263】
ステップS203において、CPU301は、正誤判定部316として、上記ステップS102により判定された動作が、上記ステップS200で表示した見本画像の動作である正解動作と一致するか否かを判定する。
【0264】
ステップS204において、CPU301は、表示部314として、上記ステップS203による判定結果に対応する画像を表示し、処理を終了する。そして、抵抗値を受信する度に当該ルーチンを繰り返す。なお、所定周期により、抵抗値の受信があったか否かを判定し、受信があった場合に当該処理を行う構成としてもよい。なお、サーバ310は、見本画像等を、他の外部端末に表示する構成としてもよい。
【0265】
なお、本変形例では画像の場合を例に説明したが、画像ではなく、動画を用いてもよい。
【0266】
このように、本変形例に係る動作検知システムは、人体の手の動作の見本画像又は見本動画を表示し、動作判定部により判定された動作が、表示した見本画像又は見本動画の動作と一致するか否かを判定し、当該判定結果を表示することにより、ゲームに応用することもできる。また、複数の動作検知システムを用意し、これらを連携させることにより、じゃんけんゲーム等、複数人の動作の検出結果に応じたゲームに応用することができる。
【0267】
(サーバの変形例2)
変形例2では、動作情報と動作とが予め対応付けて格納され、それに基づいて動作判定を行う場合について説明する。図23に示すように、変形例2に係るサーバ320は、通信部311と、動作判定部312と、画像生成部313と、表示部314と、処理部315と、正誤判定部316と、登録部317と、格納部318とを含んで構成される。なお、上記実施形態におけるサーバ300及び変形例1と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0268】
登録部317は、動作毎に対応する動作情報を、格納部318に登録する。例えば、登録部317は、「じゃんけんのチョキの形の動作」に対応して、5本の指の各々について動作検知用部材150により検知された動作情報のうち、「人差し指と中指との動作情報が所定閾値超えている、かつ、他の指の動作情報が所定の閾値以下である」、というように動作と動作情報とが対応付けて、格納部318に登録する。
【0269】
格納部318には、動作毎に対応する動作情報が予め格納されている。具体的には、格納部318には、動作情報に対応した、動作が登録されている。
【0270】
動作判定部312は、動作情報に基づいて、いかなる人体の手の動作であるか判定する。具体的には、動作判定部312は、動作検知用部材150により検知された動作情報が、格納部318に格納された動作情報と一致する場合に、動作情報に対応する動作であると判定する。
【0271】
正誤判定部316は、動作判定部312により判定された動作が、表示部314が表示した見本画像の動作である正解動作と一致するか否かを判定する。具体的には、正誤判定部316は、動作判定部312による判定結果が、処理部315から渡された正解動作と一致するか否かを判定する。すなわち、正誤判定部316は、動作判定部312による判定結果の示す動作が、正解動作と一致するとして正解と判定する。そうでない場合、正誤判定部316は、不正解として判定する。そして、正誤判定部316は、判定結果を、処理部315に渡す。
【0272】
以上説明したように、本変形例に係る動作検知システムは、動作毎に対応する動作情報を、予め登録しておき、検知された動作情報が、登録された動作情報と一致する場合に、動作情報に対応する動作であると判定することにより、動作をより正確に検知することができる。
【0273】
(サーバの変形例3)
変形例3では、加速度センサ、角速度センサ、磁気センサ等の時間軸検知型のセンサを採用した場合について説明する。なお、上記実施形態におけるサーバ300及び変形例1並びに変形例2と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0274】
本変形例では、動作情報は、加速度センサにより得られる加速度情報である場合を例として説明する。
【0275】
登録部317は、動作情報を入力とし、動作情報に対応する動作を出力する動作判定モデルを、格納部318に格納する。
【0276】
具体的には、動作判定モデルは、任意のモデルであり、動作情報と、動作情報に対応する動作とを教師データとして予め学習された機械学習モデルを採用することができる。
【0277】
例えば、動作判定モデルがニューラルネットワークである場合、登録部317は、予め動作情報と、動作情報に対応する動作とを教師データとして、例えば逆誤差伝搬法等により学習しておく。この場合、動作情報としては、例えば、初期位置から動作により動いた位置までの時間毎の加速度情報を、一連のベクトルとして表現して、入力に用いればよい。そして、登録部317は、学習した動作判定モデルを、格納部318に格納する。
【0278】
格納部318には、動作判定モデルが格納されている。
【0279】
動作判定部312は、動作検知用部材150により検知された動作情報と、動作判定モデルとに基づいて得られる動作を、判定結果とする。
【0280】
以上説明したように、本変形例に係る動作検知システムは、動作検知用部材150により検知された動作情報と、動作情報を入力とし、動作情報に対応する動作を出力する動作判定モデルとを用いて、動作の判定を行うことにより、より正確に動作を検知することができる。
【0281】
なお、上記実施形態では、動作判定部312をサーバ300に構成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。動作判定部312を動作検知用部材150に構成してもよい。この場合、通信部206は、動作判定部312による判定結果をサーバ300に送信する構成とすればよい。そして、通信部311は、受信した判定結果を、画像生成部313に渡す構成とすればよい。
【0282】
また、上記実施形態では、抵抗検知部204が、被装着体に装着される動作検知用部材150により被装着体の動作情報を検知する動作検知部として機能したが、これに限定されるものではない。抵抗検知部204の代わりに動作検知部として、電気信号をそのまま動作情報として用いて、通信部206に渡す構成としてもよい。この場合、動作検知部は、動作検知用部材により被装着体の動作の有無、すなわち電気信号の有無を動作情報として検知する。動作検知部は、上記の各センサとして構成してもよい。
【0283】
また、実施形態及び各変形例で示した機能構成を、組合せて構成することもできる。
【0284】
また、上記実施形態の例のみならず、動作と出力される対象を自由に設定することもできる。例えば、人差し指だけ伸ばす動作の場合、数字の1として設定し文字列等により出力する、テレビを付ける動作として設定し制御信号として出力することも可能である。
【0285】
また、被装着体が手である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。手袋、手に限らず、動作を検知できる箇所であれば装着させることができる。例えば、曲がる箇所や折れる箇所、膨張収縮が行われる箇所等で有れば装着可能である。
【0286】
また、被装着体が人の手である場合を例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、動物や、ロボットのアーム等の工作機等の他の物についても、動作の検知対象とすることができる。
【0287】
なお、日本国特許出願第2020-053263号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0288】
10A 表面布材層
10B 裏面布材層
10C 中間布材層
20 電極部
20A 第一電極部
20B 第二電極部
20C 第三電極部
30 配線部(検知用配線部)
30A 第一配線部(第一検知用配線部)
30B 第二配線部(第一検知用配線部)
30C 第三配線部
32A 波状部(第一検知用配線部)
32A1 第一波状部
32A2 第二波状部
32B 波状部
32C 波状部
34 接触部
40、40A1~3、40B1~3、40C1、40C2 導電性線状体
50 配線部(接続用配線部)
50A 第一配線部(第一接続用配線部)
50B 第二配線部(第二接続用配線部)
100~107 配線電極部
150 動作検知用部材
202 通信モジュール
204 抵抗検知部
300、310、320 サーバ
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 ストレージ
305 入力部
306 表示部
307 アンテナ
309 バス
311 通信部
312 動作判定部
313 画像生成部
314 表示部
315 処理部
316 正誤判定部
317 登録部
318 格納部
1000 動作検知システム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23