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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】治療用椅子のヘッドレスト用調整機構
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/12 20060101AFI20240903BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61G15/12 510
A47C7/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022517934
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 FI2020050634
(87)【国際公開番号】W WO2021058879
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】20195824
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591036309
【氏名又は名称】プランメカ オイ
【氏名又は名称原語表記】Planmeca Oy
【住所又は居所原語表記】Asentajankatu 6, 00880 Helsinki, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒヴァリネン ペンッティ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】実公昭61-006914(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3182346(JP,U)
【文献】実開昭56-047632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/12
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストアーム(4)で椅子(1)に接続されたヘッドレスト(2)と、前記ヘッドレスト(2)の位置調整部材(3)を備えた治療用椅子(1)であって、
前記位置調整部材(3)は、前記ヘッドレスト(2)を所望の位置にロックするための爪(7)を備えた少なくとも1つのラチェット機構(5)を含み、前記爪(7)は、ラチェット要素(6)の1つの方向への回転をロックし、前記ラチェット要素(6)を別の方向への回転できるようにし、
前記ラチェット機構(5)が、一群の平行な爪(7)及び1つ以上の爪(7)に動作可能に接続された円筒形ラチェット要素(6)を含み、
前記ラチェット要素(6)が、互いに隣接する1列以上のリセス(6a)を含み、
前記互いに隣接する1列以上のリセス(6a)の各列において、前記リセス(6a)の角度位置が、他の列のリセス(6a)の角度位置とは異なることを特徴とする、
治療用椅子(1)。
【請求項2】
前記円筒形ラチェット要素(6)が、前記ラチェット要素(6)の第1の回転方向で前記ラチェット要素(6)の回転を停止及びロックする1つ以上の爪(7)に対する一群のリセス(6a)を含む、請求項1に記載の治療用椅子(1)。
【請求項3】
リセス(6a)が、前記ラチェット要素(6)の縁上に互いに角距離で次々に一列に配置され、同じ列にある前記リセス(6a)のすべてが同じ回転面上にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の治療用椅子(1)。
【請求項4】
前記ラチェット要素(6)の前記リセス(6a)の角度位置の差が、1度~10度の間であり、適切には3度~7度の間であり、有利には約5度~6度である、請求項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項5】
前記ラチェット要素(6)が、その外周に前記リセス(6a)の列を含む円筒形要素であることを特徴とする、請求項2~のいずれか1項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項6】
前記ラチェット機構(5)が同数の爪(7)及びリセス(6a)の列を含むことを特徴とする、請求項2~のいずれか1項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項7】
前記爪(7)が、前記リセス(6a)の支持面(6c)と一度に1つずつ接触することを特徴とする、請求項2~いずれか1項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項8】
前記ラチェット機構(5)が、両方向で回転する前記ラチェット要素(6)のロックを解除するように配置された解放機構(10)含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項9】
位置調整部材(3)が、位置調整部材(3)の両端に1つずつある2つのラチェット機構(5)を備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の治療用椅子(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのラチェット機構(5)が、第1のラチェット機構(5)と第2のラチェット機構を含み、
前記第1のラチェット機構(5)が、前記ヘッドレスト(2)と非回転可能に接続され、前記第2のラチェット機構(5)が、前記ヘッドレストアーム(4)と非回転可能に接続されているという特徴がある、請求項に記載の治療用椅子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用椅子(treatment chair)の調整可能なヘッドレスト機構(adjustable headrest mechanism)に関するものであり、これにより、椅子の背もたれ部(back section)に対する調整が可能になる。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、医療及び歯科治療の状況では、治療用椅子には調整可能なヘッドレストが付いている。ヘッドレストは、多くの場合、調整可能なヘッドレスト部で治療用椅子の背もたれ部に接続されている。焦点は、これまでは簡単に調整可能なヘッドレストを製造することであったが、現在の問題は、現今の患者のために耐久性があり強力に調整可能なヘッドレストを製造することである。患者の肥満と体重は、世界中の人々の間で増加している。調整可能なヘッドレストは、機械的に調整する構造と設計に弱点がある。これは、重い人の数が増えると、ヘッドレスト調整機構の重量制限を簡単に超えてしまうためである。これにより、歯科医院やその他の場所で、ヘッドレストの位置調整機構が誤動作、変形、摩耗、破損する。治療用椅子の位置調整機構の強度と品質は、日常の使用における耐久性に不可欠である。
【0003】
ヘッドレストは、位置調整部材の助けを借りて治療用椅子の背もたれ部の上部に接続され、すべての患者の体型に合うように椅子の背もたれ部に対して調整される。1つの問題は、現今の重い患者が手術中に治療されると、調整機構とそのロックシステムが大幅に過負荷になることである。
【0004】
本発明は、重い患者に使用する際の調整可能なヘッドレスト機構の不十分な剛性及び耐久性の問題に関する。本発明は、治療用椅子のヘッドレスト及び背もたれ部に接続された調整機構の剛性、強度及び耐久性に関する。好ましくは、剛性及び頑丈な構造は、重い負荷に耐えるために平らな対向面を備えた正方形の爪(歯止め)要素(pawl elements)を使用することによって達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小さな調整ステップを備えた治療用椅子のヘッドレストのための迅速に調整可能で容易に使用可能な調整機構を達成することであり、この機構は、ユーザーフレンドリーであり、また衛生的で、静かで、重い負荷に対する高い耐性を備えている。
【0006】
本発明による調整機構は、請求項1の特徴付け部分に開示されているものによって特徴付けられる。本発明の他の実施形態は、他の請求項に開示されているものによって特徴付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、いくつかの平行な列のリセス(recesses)、いくつかの爪、及びリセスから爪の頭(pawl heads)を引き抜くための解放機構(release mechanism)を含む少なくとも1つの円筒形ラチェット要素(cylindrical ratchet element)を有する調整機構を提供する。円筒形ラチェット要素の爪の頭とリセスは、互いに対応するように形成されている。各列において、リセスは、ラチェット要素の周囲に互いに角距離を置いて次々に配置され、同じ列のすべてのリセスは、同じ回転面上にある。各リセスの回転運動は、円全体の一部にすぎない。好ましくは、リセスの各列の回転面は、リセスの各列が接触している爪の長手方向の中心線を通る垂直面を中心とする。
【0008】
平行な列のリセスは、一度に1つの爪だけがリセスに入ることができるように配置されている。これは、リセスの各列の位置を必要な角度で配置することによって実現される。リセスは、例えば、バーニアの原理(Vernier principle)に従って配置される。いくつかの平行な爪のセットで、本発明は、十分に小さい調整ステップと高い重量抵抗を備えた調整機構を提供し得る。各爪の第2端にあるバネは、爪の頭を円筒形のラチェット要素の最も近いリセスに押し付けるように配置されている。解放機構は、解放ハンドルを作動させるときにすべての爪を動かすように配置されているが、他の爪が円筒形ラチェット要素の外面に追従している間、一度に1つの爪の頭のみが円筒形ラチェット要素のリセスから引き出されて解放される。
【0009】
調整機構は、剛性のあるフレームと剛性のある蓋(lid:リッド)で構成されており、非対称の応力を補正する。非対称の応力は、真ん中にない爪がリセスの中に収容されて荷重を吸収するときに発生する可能性がある。本発明による調整機構は、いくつかの平行な爪を含み、爪の頭は、円筒形のラチェット要素のリセスに適合するように形作られている。リセスは、一度に1つの爪の頭だけがリセスの内側のロック位置にあることができるように編成されている。
【発明の効果】
【0010】
新しい機構の材料は重い負荷に耐えることができ、機構は必要に応じて安全に調整できる。耐荷重性の爪の1つが損傷したり壊れたりした場合でも、5~10度回転した後、次の爪が荷重を引き継ぐという事実によって、安全性も向上する。このような小さな動きは、怪我の可能性を最小限に抑える。
【0011】
いくつかの既知の解決策では、患者の位置に従ってヘッドレストを調整する場合、調整には、椅子の操作者が両手を使用する必要がある。片方の手でヘッドレスト機構への圧力を軽減し、もう一方の手で機構の側面にあるリリースレバーを同時に押す。メカニックのジョイントが上下に調整されているかどうかに関係なく、レバーを押す必要がある。治療作業は主に手に滅菌手袋をはめて行うため、患者を変更する際にはヘッドレストを注意深く清掃する必要があり、表面の清掃が必要になる。
【0012】
この新しい構成は、治療スタッフの治療作業を容易にする。ヘッドレスト構造の両方のジョイントは、リリースレバーを押さなくても上に曲がることができる。爪は、リセスの傾斜面に沿ってリセスから引っ込めることができるように配置され、円筒形のラチェット要素が爪に対して回転することを可能にする。各爪の2番目の端にあるバネは、爪の頭を最も近いリセスに押し込む傾向があり、ヘッドレストの持ち上げが停止すると、そこに固定される。両方のジョイントは、持ち上げが停止する位置にロックするように配置されている。リリースレバーを押す必要はなく、ヘッドレストは片手で上向きに調整できる。両方のジョイントを同時に使用することも、片方のジョイントだけを使用することもできる。調整は、手のひらに触れることなく行うこともできる。たとえば、手首や膝で持ち上げることもできる。これにより調整が大幅にスピードアップし、少なくとも片方の手が無菌のままになる。安全上の理由から、下向きの調整は、もう一方の手がヘッドレストと患者の頭を軽くし、もう一方の手がロックされたジョイントをリリースレバーから解放するように行われる。調整が終了すると、リリースレバーが解放され、両方のヘッドレストジョイントが次のリセスにロックされる。両方の爪の頭の形状は、荷重によって爪の頭がリセスから外れることはなく、代わりにリセスに固定されて確実にロックされるように形作られている。
【0013】
本発明による解決策の1つの利点は、構造が非常に小さなステップで調整可能であり、それで剛性であり、強く、耐久性があり、迅速に調整可能であり、使いやすく、また衛生的であるということである。剛性と強度は、リセスの耐荷重面での爪の頭の接触面積を最大化することによって実現される。好ましくは、対表面積は、例えば、丸い爪の代わりに正方形の断面を有する爪を使用することによって最大化される。
【0014】
ヘッドレストを調整する際の小さな又は密な段階は、円筒形のラチェット要素の爪とリセスの列の数を増やすことによって実現される。すべての爪の頭について、円筒形のラチェット要素には、はめ込まれるべきリセスの列があり、リセスのすべての列は、他のリセスの列に対して特定の角度に配置されている。これにより、ヘッドレストをロックするときに高密度のロック位置が可能になる。円筒形のラチェット要素に爪を配置してバーニア原理を実装すると、一度に1つの爪の頭が1つのリセスの内側に挿入される。
【0015】
リセスは、それらの相対的な動きが一方向にのみ可能であるように、爪の頭に対応して形成されている。これにより、ヘッドレスト位置調整部材がラチェットのように動作し、一方向に自由に動き、他の方向にロックされる。取り付けられた爪解放機構は、爪のロックを解除し、すべての爪の頭がリセスから引き出されたときに、両方向に移動してヘッドレストを目的の位置に調整できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下では、本発明は、添付の簡略化された概略図を参照することにより、例示的な実施形態の助けを借りて詳細に説明される。
【0017】
図1】本発明によるヘッドレスト及びその位置調整部材を含む治療用椅子を側面図で示す。
図2】本発明による位置調整部材を備えたヘッドレストを側面図で示す。
図3】側面図において、本発明による位置調整部材を備えたヘッドレストを示し、調整部材は断面化されている。
図4】本発明による位置調整部材を側面図及び断面図で示す。
図5】本発明による位置調整部材のラチェット機構の拡大断面図を側面図で示す。
図6】片側の固定ラグが見えるように、位置調整部材のない本発明によるヘッドレストを側面図で示す。
図7】ラチェット機構のない本発明による位置調整部材の断面を側面図で示す。
図8】本発明による位置調整部材の内部を斜視図で示す。
図9】本発明による位置調整部材の内側の拡大された角を上面図で示す。
図10】本発明による位置調整部材の爪又は爪要素を斜視図で示す。
図11】本発明による位置調整部材の円筒形ラチェット要素を斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明は、ヘッドレストアームと治療用椅子のヘッドレストとの間に接続された強力で頑丈な位置調整部材を提供する。ヘッドレストとそのコンポーネントの構造は、概略図と簡略化された方法で図に示されている。その場合、構造のすべてのコンポーネントとフォームが必ずしも表示されるとは限らない。
【0019】
図1は、ヘッドレスト2、本発明による位置調整部材3、ヘッドレストアーム4、背もたれ部1a、シート部1b、及び脚部1cを備える治療用椅子1を側面図で示している。位置調整部材3は、そのフレーム3bの両端にロック可能なジョイント3aを備え、このジョイント3aは、ヘッドレスト2を背もたれ部1aに対して配置及び調整することを可能にする。
【0020】
図2は、本発明の有利な実施形態を側面図で示している。ヘッドレスト2は、2つの平行な固定ラグ2aを有し、これにより、ヘッドレスト2は、位置調整部材3の第1のジョイント3aに関節運動する。これに対応して、位置調整部材3の第2の端部は、第2のジョイント3aに関節運動する。ヘッドレストアーム4の2つの平行な固定ラグ4a。したがって、ヘッドレスト2は、位置調整部材3に関して第1のジョイント3aの周りを回ることができ、位置調整部材3は、治療用椅子1の背もたれ部1aに挿入されるヘッドレストアーム4に関して、第2のジョイント3aの周りを回すことができる。
【0021】
さらに、位置調整部材3は、ジョイント3aのロックを解除してヘッドレスト2を別の所望の位置に調整するための解放部材13を備える。
【0022】
図3図5は、本発明の位置調整部材3の異なる断面を側面図で示している。図3では、位置調整部材3の構成要素の第1の部分が見え、図4では、位置調整部材3の構成要素の第2の部分が見える。図5は、本発明による位置調整部材3のラチェット機構5の拡大断面図である。
【0023】
上述のように、位置調整部材3は、フレーム3bと、フレーム3bの両端にあるジョイント3aとを含む。各ジョイント3aについて、フレーム3bは、その各端部に丸い支点穴3cと、フレーム3bの内側にあるラチェット機構5とを備える。ラチェット機構5は、支点ピンとしても機能し、フレーム3bの各端部の支点穴3cの内側に配置される円筒形のラチェット要素6を備える。円筒形ラチェット要素6は、その円筒形表面上に一群の平行なリセスの列を含む。
【0024】
ラチェット機構5は、平行な爪7及びバネ8のグループと、フレーム3bに固定されている対向要素3dとをさらに含む。バネ8は、爪7の頭をリセス6aの列と接触させるために、爪7を円筒形ラチェット要素6に向かって押すように配置されている。爪7は、爪7がリセス6aに入るときに円筒形ラチェット要素6が一方向に回転するのを防ぐように配置されている。他方向への回転を妨がない。
【0025】
位置調整部材3はまた、ガイド要素9を備えた解放機構10を備え、解放部材13が押されたときに、解放機構10は、爪7をリセス6aから引き抜くことにより、円筒形ラチェット要素6を両方向に回転させるように配置されている。その目的のために、爪7は解放ピン7aを有する。
【0026】
さらに、位置調整部材3は、フレーム3bの内側に底部要素11を備える。底部要素11は、円筒形ラチェット要素6がフレーム3bの第1の端部の支点穴3c内で回転するのを防ぐ爪7を支持するように配置されている。対応する支持配置は、フレーム3bの第2の端部にある。
【0027】
図5は、本発明による位置調整部材3の有利なラチェット機構5の拡大断面図を側面図で示している。円筒形ラチェット要素6のリセス6aは、対向面6b及び支持面6cを有する。リセス6が爪7と同一線上にあるとき、爪7は、爪7に関連するバネ8によってリセス6aに押し込まれ、爪7と対向要素3dとの間に配置される。爪7の線形運動は、対向面6bによって停止され、支持面6cは、ヘッドレスト2によって引き起こされる圧力によって爪7に押し付けられる。
【0028】
図6は、ヘッドレスト2及びヘッドレストアーム4の第1の端部を、位置調整部材3なしで、片側のそれらの固定ラグ2a及び4aが見えるように側面図で示している。ヘッドレスト2の固定ラグ2aは、正方形の結合要素2bを含み、ヘッドレストアーム4の固定ラグ4aは、正方形の結合要素4bを含む。結合要素2b、4bは、円筒形ラチェット要素6を動かないように固定ラグ2a、4aに接続するように配置されている。これは、結合要素2bに配置された第1の円筒形ラチェット要素6がヘッドレスト2に対して移動又は回転せず、結合要素4bに配置された第2の円筒形ラチェット要素6が、ヘッドレストアーム4に関して移動又は回転しないことを意味する。
【0029】
図7は、ラチェット機構6のない本発明による位置調整部材3の断面を側面図で示している。円筒形ラチェット要素6の回転チャンバーとして機能する支点穴3cは空であり、底部11の上の爪7のガイドレール12が見える。
【0030】
図8及び図9は、カバーなしの本発明による有利なヘッドレスト位置調整部材3を示す。図8は、ヘッドレスト位置調整部材3を斜め上面図で示したものである。ヘッドレスト位置調整部材3の機械的構造は、いくつかの列のリセス6aを備えた少なくとも1つの円筒形ラチェット要素6を備える。リセス6aの各列について、調整機構は、対応する爪7を含む。爪7及びリセス6aは、一度に1つの爪の頭部7cのみがリセス6a内に収容できるように相対的に配置される。
【0031】
図8及び9の状況で、最上部の爪7の頭部7cは、リセス6aの内側に収容され、したがって、ヘッドレストアーム4と位置調整部材3との間のジョイント3aの円筒形ラチェット要素6の第1の回転方向をロックする責任がある。
【0032】
解放機構10は、解放ピン7aを作動させることによって、爪の頭部7cをリセス6aから引き抜くように構成されている。解放機構10は、一組の解放部材10aを含み、これは、この実施形態では、解放機構10のフレームプレート内の対角線エッジである。フレームプレートのエッジは、すべての爪7をラチェット要素6から外側に引く。
【0033】
解放部材13を操作して爪の頭部7cをリセス6aから引き抜くと、ラチェット機能が無効になり、位置調整部材3の端部のジョイント3aが再解放され、位置調整部材3とヘッドレスト2を両方向に回転させることができる。
【0034】
図9は、位置調整部材3のカバーなしの一部を上面図で示している。わかりやすくするために、平行な爪7の間のガイドレール12の端がより目立つように、図の2番目に最上部の爪7が切り取られている。また、この状況では、最上部の爪7の頭部7cは、リセス6aの内側に収容されている。
【0035】
図10は、本発明による爪又は爪要素7を斜め上面図で示している。正方形の断面を有するフレーム部分に加えて、爪7は、頭部7c、解放ピン7a、バネガイド7b、ダンパー7d、及び爪7の頭部にある傾斜リセス7eを備える。ラチェット要素6のリセス6aの形状と一致するように取り付けられている。ダンパー7dは、例えば、爪7の頭部7cのゴムパッドである。傾斜したリセス7eは、支持面と接触している爪7のその側にあるラチェット要素6のリセス6aの支持面6cとの接触面を形成する。好ましくは、傾斜リセス7eは、頭部7cが存在する爪7の第1の端部から爪7の第2の端部に向かってより深くなる。傾斜リセス7eの傾斜接触面は、爪7の頭部がヘッドレスト2の位置を調整するときに、偶然にリセス6aの内側から外れる。これにより安全性が向上する。
【0036】
図11は、本発明による円筒形ラチェット要素6を斜め上面図で示している。円筒形ラチェット要素6の表面は、リセス6aのいくつかの平行な列を含む。好ましくは、各列は、ラチェット要素6の全周の一部のみを覆う。例えば、1つの列は、40度の間隔で配置される5つのリセス6aを有することができる。各列が隣接する列から8度シフトしている、5つの平行な同様の列を使用すると、8度間隔で25の異なるロック位置が実現される。
【0037】
上述の説明で述べたように、リセス6aは、2つの表面、曲線状の対向面6b及び平坦な支持面6cを含む。好ましくは、対向面6bと支持面6cとの間の角度は90度であるが、それはまた、爪7の頭部7cの形状に応じて別の角度であり得る。
【0038】
リセス6aの列は、リセス6aの他の列に対して特定の角度に配置されている。平行な爪7のセットを使用すると、堅牢で強力な構造にもかかわらず、ヘッドレスト2の高密度の調整、ロック、及び配置が可能になる。円筒形ラチェット要素6は、第1のラチェット要素6がヘッドレスト2に対して回転するのを防ぎ、第2のラチェット要素6がヘッドレストアーム4に対して回転するのを防ぐために、固定ラグ2a及び4aに取り付けられる正方形の固定端6dを備える。したがって、第1のラチェット機構5は、ヘッドレスト2に非回転的に接続され、第2のラチェット機構5は、ヘッドレストアーム4に非回転的に接続される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11